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【発明の名称】 回路遮断器の過電流引外し装置
【発明者】 【氏名】川嶋 善明

【氏名】海老澤 恒雄

【要約】 【課題】オイルダシュポット構造の鉄心を有する過電流引外し装置において、時延動作時間の設定を容易にする。

【解決手段】接極子4で閉塞されたシリンダ7内に、段付き円柱状のプランジャ8と戻しばね9とが制動油とともに封入されたオイルダシュポット構造の鉄心において、シリンダ内壁面で移動を案内されるプランジャ8の大径部外周面に軸方向のスリット11を設け、その断面積により制動抵抗を調整するようにする。シリンダ内壁面とプランジャ外周面との隙間Gにより制動抵抗を調整する場合には、隙間Gが過大になると時延動作特性の繰り返し精度が悪化するが、スリット11を設けることにより隙間Gを適正に保つことができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】開口端が接極子により閉塞された底付き円筒体からなるシリンダ内に、円柱状のプランジャが制動油とともに移動自在に収容され、前記プランジャと前記接極子との間に戻しばねが挿入されたオイルダシュポット構造の鉄心を有する回路遮断器の過電流引外し装置において、前記シリンダの内壁面で案内される前記プランジャの外周面に、軸方向のスリットを設けたことを特徴とする回路遮断器の過電流引外し装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、配線用遮断器や漏電遮断器などの回路遮断器に組み込まれる過電流引外し装置に関し、特にオイルダシュポット構造の鉄心を有する完全電磁形の過電流引外し装置に関する。
【0002】
【従来の技術】図3は上記過電流引外し装置の従来構成を示す縦断面図である。図3において、過電流引外し装置は、L字形に形成された磁性板からなるヨーク1と、その一方の脚部に連結されたオイルダシュポット構造の鉄心2と、その外側に配置された電磁コイル3と、鉄心2の一端の接極子4と対向するように、ヨーク1の他方の脚部に回動可能に支持されたアーマチュア5と、このアーマチュア5とヨーク1との間に掛けられた復帰スプリング6とからなっている。鉄心2は、開口端が接極子4により閉塞された底付き円筒体からなるシリンダ7内に、プランジャ8がシリコンオイルなどからなる制動油とともに移動自在に収容され、プランジャ8と接極子4との間に圧縮コイルスプリングからなる戻しばね9が挿入されている。プランジャ8は段付き円柱状で、小径部に戻しばね9が嵌め込まれ、大径部がシリンダの内壁面に案内されて移動する。
【0003】このような過電流引外し装置において、電磁コイル3を通過する回路電流が過負荷状態になると、プランジャ8に対する吸引力が戻しばね9に打ち勝ち、プランジャ8は接極子4に向って移動する。その際、プランジャ8は、制動油による制動力を受ける。プランジャ8が接極子4に接近し、磁気回路の抵抗が小さくなったところで、アーマチュア5は復帰スプリング6に抗して接極子4に吸引されて回路遮断器のトリップバー10を押し、回路遮断器をトリップさせる(時延動作)。また、回路電流が短絡状態になると、プランジャ8はほとんど移動しないままで、アーマチュア5は瞬時に接極子4に吸引されて回路遮断器をトリップさせる(瞬時動作)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記時延動作において、過電流引外し装置の動作時間は、主に制動油の粘性及びプランジャ8の大径部外周面とシリンダ7の内壁面との間の隙間Gにより決まるが、制動油の粘性の微調整は困難なので、時延動作時間の調整は結局、隙間Gに依存することになる。ところが、プランジャ8の大径部は移動時の案内部も兼ねるため、隙間Gをある程度以上大きくなると、時延動作特性の繰り返し精度が悪くなるという問題があった。そこで、この発明の課題は、上記隙間Gを増やすことなく、時延動作時間を自由に設定できるようにすることにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、この発明は、開口端が接極子により閉塞された底付き円筒体からなるシリンダ内に、円柱状のプランジャが制動油とともに移動自在に収容され、前記プランジャと前記接極子との間に戻しばねが挿入されたオイルダシュポット構造の鉄心を有する回路遮断器の過電流引外し装置において、前記シリンダの内壁面で案内される前記プランジャの外周面に、軸方向のスリットを設けるものとする。このような手段によれば、スリットの断面積を変えることにより、プランジャ案内面での隙間を変えることなく時延動作時間を自由に設定することができ、またプランジャの案内はスリット部以外のプランジャ外周面で行うことができる。
【0006】
【発明の実施の形態】図1及び図2はこの発明の実施の形態を示すもので、図1は鉄心部分の縦断面図、図2(A)は図1におけるプランジャの側面図、図2(B)はその大径部の横断面図である。図1及び図2において、従来例と相違するのは、シリンダ7の内壁面で案内されるプランジャ8の大径部外周面に、方形断面の軸方向のスリット11が等間隔で4本設けられている点である。スリット11はプランジャ8が電磁吸引力を受けてシリンダ7内を接極子4に向って移動する際に、制動油がプランジャ8の接極子側から反接極子側に流動する通路となり、その断面積が大きくなるとプランジャ8の移動に対する制動力が小さくなり、また小さくなると制動力が大きくなる。
【0007】従って、スリット11の断面積を変えることにより、過電流引外し装置の時延動作時間を適宜に設定することができ、その際、プランジャ8の大径部外周面とシリンダ内壁面との隙間Gを適正に保つことにより、プランジャ大径部のスリット11がない外周面でプランジャ8の移動を繰り返し精度良く案内することができる。なお、スリット11の本数は4本に限らず、1〜複数本に任意に定めることができ、またその断面形状も方形に限らず適宜の形状、例えばU字状や三角形状にすることが可能である。また、プランジャの段付き形状も図示2段に限られるものではなく、あるいは段がなくてもこの発明は適用可能である。
【0008】
【発明の効果】以上の通り、この発明によれば、シリンダ内壁面で案内されるプランジャ外周面に制動抵抗を調節するためのスリットを1本あるいは複数本設けることにより、プランジャ外周面とシリンダ内壁面との隙間を大きくすることなく時延動作時間を自由に設定し、過電流引外し装置の動作特性を向上させることができる。
【出願人】 【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
【出願日】 平成12年8月10日(2000.8.10)
【代理人】 【識別番号】100075166
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 巖 (外2名)
【公開番号】 特開2002−56766(P2002−56766A)
【公開日】 平成14年2月22日(2002.2.22)
【出願番号】 特願2000−242546(P2000−242546)