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【発明の名称】 回路遮断器
【発明者】 【氏名】朝日 信夫

【氏名】小笠原 誠

【要約】 【課題】大電流遮断時に消弧装置から飛散する溶融物がトリップクロスバーのラッチ受けとの係合部に付着しないようにする。

【解決手段】ラッチ受け13に、トリップクロスバー16のラッチ受け13との係合部16aを消弧装置18の飛散物から遮蔽する保護カバー19を装着する。電流遮断時に消弧装置18側から飛んでくる飛散物は保護カバー19により遮られるので、大電流遮断後もトリップクロスバー16の係合部16aは初期状態が維持され、回路遮断器再投入後の過電流引外し機能が阻害されることがない。
【特許請求の範囲】
【請求項1】消弧装置の周辺に設置されたラッチ受けと、このラッチ受けを背面から係止するトリップクロスバーとを備え、前記ラッチ受けは可動接触子との間で開閉スプリングのばね力を受けるラッチを常時係止するとともに、過電流発生時には前記トリップクロスバーによる係止を解かれて回動し、前記ラッチの係止を解いて前記可動接触子を開離動作させる回路遮断器において、前記ラッチ受けに、前記トリップクロスバーの前記ラッチ受けとの係合部を前記消弧装置の飛散物から遮蔽する保護カバーを装着したことを特徴とする回路遮断器。
【請求項2】前記保護カバーに、前記ラッチ受けとトリップクロスバーとの間に装着されるリセットスプリングの受け部を設けたことを特徴とする請求項1記載の回路遮断器。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、配電盤や制御盤において過電流保護器として用いられる配線用遮断器や漏電遮断器などの回路遮断器に関し、詳しくは電流遮断時の溶融飛散物を遮蔽する手段に関する。
【0002】
【従来の技術】図3は従来構成を示す回路遮断器の概略縦断面図である。図3において、モールドケース1内には、電源側端子2、電源側端子2と一体の固定接触子3、接点を介して固定接触子3と接離する可動接触子4、一端が可動接触子4に接続されたリード線5、一端がリード線5の他端に接続された過電流引外し装置6のコイル6a、コイル6aの他端が接続された負荷側端子7により通電路が形成されている。8は開閉ハンドルで軸9によりモールドケース1に回動支持され、可動接触子4は軸10を介して開閉ハンドル8に連結されている。11は樹脂成形品のラッチで一端で軸12によりモールドケース1に回動可能に支持され、他端はラッチ受け13に係止されている。ラッチ11と可動接触子4との間には引張ばねからなる開閉スプリング14が掛けられ、図示オン状態で可動接触子4は軸10を支点に時計方向の回転力を受け、可動接点を介して固定接触子3の固定接点に適度の接触圧力で押圧されている。
【0003】ラッチ受け13は鋼鈑からなり、平板状の受け部13aの両側に左右一対の腕部13bが折り曲げ形成され、その上端で軸15によりモールドケースに回動可能に支持されている。受け部13aの上端面は図示の通り斜面に形成され、ラッチ11はこの斜面に係合している。ラッチ受け13はラッチ11から、軸15を支点に反時計方向の回転力を受けるが、受け部13aの背面に爪16aが係合するトリップクロスバー16により係止されて静止している。受け部13aの爪16aが係合する部分の近傍には、窓穴13bがあいている。トリップクロスバー16は樹脂からなる棒状体で回路遮断器の各極に跨るように横方向に延び、モールドケース1に回動可能に支持されている。トリップクロスバー16には、過電流引外し装置6のアーマチュア6bに対向するように突片16bが設けられ、この突片16bとラッチ受け13との間には、圧縮ばねからなるリセットスプリング17が挿入されている。18は消弧装置で磁性体によりU字状に形成され、可動接触子4の開閉経路を囲むように上向きに設置されている。
【0004】このような回路遮断器において、図示オン状態から開閉ハンドル8を右方向にオフ操作すると、可動接触子4の連結軸10が開閉スプリング14の軸線Xを図3の右から左に通過する死点を境に、可動接触子4に対する開閉スプリング14のばね作用が反転し、可動接触子4は反時計方向に回転力を受けて固定接触子3から開離する。
【0005】一方、電流が過電流状態になると過電流引外し装置6がアーマチュア6bを吸引し、図示状態から反時計方向に回動したアーマチュア6bは一端でトリップクロスバー16の突片16bを蹴り出して、トリップクロスバー16を時計方向に回動させる。その結果、爪16aはラッチ受け13の係合部から外れて窓穴13bに落ち込み、これにより係止を解かれたラッチ受け13は反時計方向に回動してラッチ11から外れる。これに伴い、ラッチ11も係止を解かれ、時計方向に回動する。そして、開閉スプリング14の軸線Xが可動接触子4の連結軸10を図3の左から右に通過する死点越えが生じると、可動接触子4に対する開閉スプリング14のばね作用が反転し、可動接触子4は反時計方向に回転力を受けて固定接触子3から開離する(トリップ動作)。図4は、このトリップ動作状態を示している。その際、固定可動接点間にはアークが発生し、このアークは磁性体からなる消弧装置18に吸引されて伸張し、アーク電圧が上昇して消弧される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記した従来の回路遮断器において、ラッチ受け13は消弧装置18の周辺に設置されているため、短絡事故のような大電流を遮断した際には、アークとの接触により消弧装置18から発生する金属溶融物や蒸気が、図4に矢印で示すように飛散し、トリップクロスバー16のラッチ受け13との係合部、つまり爪16aに付着することがあった。そのため、回路遮断器を再投入して使用する場合、ラッチ受け13と爪16aとの係合面の摩擦力が増大し、過電流引外し装置6が動作しても係止を解くことができず、従って遮断が不能になる危険があった。この発明の課題は、このような現象に対処し、回路遮断器の動作信頼性を高めることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、この発明は、消弧装置の周辺に設置されたラッチ受けと、このラッチ受けを背面から係止するトリップクロスバーとを備え、前記ラッチ受けは可動接触子との間で開閉スプリングのばね力を受けるラッチを常時係止するとともに、過電流発生時には前記トリップクロスバーによる係止を解かれて回動し、前記ラッチの係止を解いて前記可動接触子を開離動作させる回路遮断器において、前記ラッチ受けに、前記トリップクロスバーの前記ラッチ受けとの係合部を前記消弧装置の飛散物から遮蔽する保護カバーを装着するものである(請求項1)。請求項1によれば、電流遮断時に消弧装置側から飛んでくる飛散物は保護カバーにより遮られるので、トリップクロスバーの係合部は初期の状態が維持され、回路遮断器のリセット後に再投入したとしても、過電流引外し機能が飛散物で阻害されることがない。前記保護カバーには、前記ラッチ受けとトリップクロスバーとの間に装着されるリセットスプリングの受け部を設けることができる(請求項2)。
【0008】
【発明の実施の形態】図1は、この発明の実施の形態を示す回路遮断器の概略縦断面図である。図1において、従来と相違するのは、ラッチ受け13に保護カバー19が装着されている点である。図2に保護カバー19の斜視図を拡大して示す。保護カバー19は耐熱性の樹脂により図2の形状に成形され、溝19aを介してラッチ受け13の受け部13aにその下端部から嵌め込み装着される。ラッチ受け13の窓穴13bに対応して凹部19bが形成され、トリップクロスバー16の爪16aが窓穴13bに落ち込んだときの逃げ部を形成している。保護カバー19は、図1に示すように、ラッチ受け13の窓穴13bに消弧装置18側から被さり、トリップクロスバー16のラッチ受け13との係合部(爪16a)を覆っている。これにより、図3に示したように、短絡電流遮断時に消弧装置18から金属の溶融物や蒸気がラッチ受け13に向って飛散したとしても、それらが爪16aに付着することがない。また、図2において、保護カバー19にはばね受け部としての円形凹部19cが設けられ、図1に示すようにリセットスプリング17の一端を円形凹部19cで受けている。ばね受け凹部19cは保護カバー19の成形時に同時成形できるので、ラッチ受け13にプレス加工により突起などを形成するよりも簡単で安価である。
【0009】
【発明の効果】以上の通り、この発明によれば、ラッチ受けに、トリップクロスバーのラッチ受けとの係合部を遮蔽する保護カバーを装着することにより、電流遮断時の金属溶融物などが付着してラッチ受けとトリップクロスバーとの間の摩擦力が増大することを防止し、短絡事故などの大電流遮断後の回路遮断器の再投入においても過電流引外し機能を正常に維持することができる。
【出願人】 【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
【出願日】 平成12年8月10日(2000.8.10)
【代理人】 【識別番号】100075166
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 巖 (外2名)
【公開番号】 特開2002−56762(P2002−56762A)
【公開日】 平成14年2月22日(2002.2.22)
【出願番号】 特願2000−242544(P2000−242544)