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【発明の名称】 可動接点付きシート及びシートスイッチ
【発明者】 【氏名】高橋 勝利

【氏名】岩間 尚也

【氏名】山形 武夫

【要約】 【課題】部品点数を削減することで安価対応を可能とし、可動接点を押圧した時の操作フィーリングを良好にすると共に、塵埃の進入を防ぎ、高い接触信頼性が得られる可動接点付きシート及びシートスイッチの構造を提供する。

【解決手段】下面に接着剤2が塗布された接着面を有する絶縁フィルム製のシート1と、ドーム状の膨出部を有し、シート1の接着面に上面が覆われて貼付された可動接点3とを備え、シート1には、可動接点3の外周端部3bを横切って、膨出部の頂部3a方向へ向かって延びる直線状の切り込み1aを形成した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 下面に接着剤が塗布された接着面を有する絶縁フィルム製のシートと、ドーム状の膨出部を有し、前記シートの接着面に上面が覆われて貼付された可動接点とを備え、前記シートには、前記可動接点の外周端部を横切って、膨出部の頂部方向へ向かって延びる直線状の切り込みを形成したことを特徴とする可動接点付きシート。
【請求項2】 前記切り込みは、前記可動接点のドーム状の膨出部頂部を除く外周端部の複数箇所に形成したことを特徴とする請求項1記載の可動接点付きシート。
【請求項3】 前記シートには、複数個の前記可動接点を貼付すると共に、前記切り込みは、前記シートの最も外側に配置された前記可動接点同士の外周端部を結ぶ仮想外周線よりも内側に形成したことを特徴とする請求項1記載の可動接点付きシート。
【請求項4】 前記シートは、前記仮想外周線の内側に上下に貫通された開口部を有し、この開口部の近傍に配置された前記可動接点の外周端部に設けられた前記切り込みは、前記開口部の位置とは異なる方向へ向けて形成したことを特徴とする請求項3記載の可動接点付きシート。
【請求項5】 請求項1乃至4に記載の何れかからなる可動接点付きシートと、固定接点が設けられた回路基板とを備え、前記可動接点が前記固定接点に対向するように配設された状態で、前記可動接点付きシートが前記シートの下面の接着剤によって前記回路基板上に貼付されていることを特徴とするシートスイッチ。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、各種電子機器の操作パネルなどに使用される可動接点付きシート及びそれを用いたシートスイッチに関する。
【0002】
【従来の技術】従来の可動接点付きシート及びシートスイッチの構造としては、図6乃至図8に示すものがある。図6はスペーサ付きの可動接点付きシートを示す分解斜視図、図7及び図8は1枚シート構造の可動接点付きシート及びシートスイッチを示す平面図及び断面図である。
【0003】図6において、スペーサ付きの可動接点付きシートは、導電性の金属板で中央をドーム状に膨出して形成された可動接点13と、この可動接点13の上面を覆う、下面に接着剤が塗布された絶縁フィルム製のシート11と、このシート11の下面に貼付されて前記可動接点13を収納する収納孔12aが形成された、絶縁フィルム製のスペーサシート12とから構成されている。
【0004】前記可動接点13は、前記スペーサシート12の収納孔12aに収納されると共に、ドーム状の上面が、前記シート11の下面に塗布された接着剤14により覆われて固着されている。また、前記スペーサシート12には、前記収納孔12a同士を結ぶ連結溝12bがそれぞれ設けられており、この連結溝12bを設けることにより前記可動接点13が押圧された時に、ドーム状の前記可動接点13のドームの中の空気が、前記連結溝12bを通して他の収納孔12aの方へ逃げるようにして、操作フィーリングが悪くなるのを防止している。
【0005】また、前記シート11、及び前記スペーサシート12には、回路基板上に搭載されるLEDからの照光用の孔や構成部品の逃げ用の孔として使用される開口部11a、及び12cが複数箇所に設けられている。
【0006】また、図7の可動接点付きシートは、スペーサシートを備えておらず、導電性の金属板で中央をドーム状に膨出して形成された可動接点13と、この可動接点13の上面を覆う、下面に接着剤が塗布された絶縁フィルム製のシート16とから構成されている。
【0007】この場合、前記シート16の、前記可動接点13の外周端部13bと交わる部分には幅広の貫通孔からなる開口部16a(図では丸穴)が設けられており、この開口部16aを設けることにより前記可動接点13が押圧された時に、ドーム状の前記可動接点13のドームの中の空気が、前記開口部16aを通して外部へ逃げるようにして、操作フィーリングが悪くなるのを防止している【0008】図8に示すシートスイッチは、前記可動接点付きシートと、上面に中央固定接点17bと外側固定接点17aとが設けられた回路基板17とから構成され、前記可動接点付きシート16の、前記可動接点13の外周端部13bの下端が前記外側固定接点17aに当接され、且つ頂部13aが前記中央固定接点17bと対向するように、前記シート16の下面の接着剤14によって、前記回路基板17上に貼付されている。
【0009】上記構成において、シートスイッチ上方に配置された図示しないゴムまたは樹脂製の押釦の操作部を押圧すると、前記シート16を介して操作部の下面の押圧部に押圧された前記可動接点13が反転動作を行い、頂部13a下面が前記中央固定接点17bに当接することによって、前記回路基板17の前記中央固定接点17bと前記外側固定接点17aの電気的接続が行われる。また、押釦への押圧力を除去すれば、前記可動接点13の弾性復帰力により前記可動接点13の頂部13aが前記中央固定接点17bから離れて接続がオフ状態となる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述した従来の可動接点付きシート及びシートスイッチの構造においては、スペーサシート付き可動接点付きシートの構造では、前記スペーサシート12を必用とする分、部品点数が増え、安価対応ができないという問題があった。
【0011】また、1枚シートを使用した可動接点付きシートの構造では、前記開口部16aが前記可動接点13の外周方向に大きく開口しているため、前記可動接点13の反転復帰時に前記開口部16aから可動接点13内部に塵埃が侵入してしまうという問題があった。
【0012】したがって、本発明では上述した問題点を解決し、部品点数を削減することで安価対応を可能とし、可動接点付きシート及びシートスイッチの可動接点を押圧した時でも、ドームの中の空気が逃げるようにして操作フィーリングを良好にすると共に、塵埃の進入を防ぎ、高い接触信頼性が得られる可動接点付きシート及びシートスイッチの構造を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために本発明では第1の手段として、下面に接着剤が塗布された接着面を有する絶縁フィルム製のシートと、ドーム状の膨出部を有し、前記シートの接着面に上面が覆われて貼付された可動接点とを備え、前記シートには、前記可動接点の外周端部を横切って、膨出部の頂部方向へ向かって延びる直線状の切り込みを形成したことを特徴とする。
【0014】また、第2の手段として、前記切り込みは、前記可動接点のドーム状の膨出部頂部を除く外周端部の複数箇所に形成したことを特徴とする。
【0015】また、第3の手段として、前記シートには、複数個の前記可動接点を貼付すると共に、前記切り込みは、前記シートの最も外側に配置された前記可動接点同士の外周端部を結ぶ仮想外周線よりも内側に形成したことを特徴とする。
【0016】また、第4の手段として、前記シートは、前記仮想外周線の内側に上下に貫通された開口部を有し、この開口部の近傍に配置された前記可動接点の外周端部に設けられた前記切り込みは、前記開口部の位置とは異なる方向へ向けて形成したことを特徴とする。
【0017】また、第5の手段として、前記第1の手段乃至第4の手段に記載の何れかからなる可動接点付きシートと、固定接点が設けられた回路基板とを備え、前記可動接点が前記固定接点に対向するように配設された状態で、前記可動接点付きシートが前記シートの下面の接着剤によって前記回路基板上に貼付されていることを特徴とする。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例を図1乃至図5に示す。図1は本発明の可動接点付きシートを示す平面図、図2は同じくシートに切り込みを複数設けた場合の平面図、図3はシートスイッチを示す断面図、図4はシートに可動接点を複数個配置した状態を示す平面図、図5は同じくシートにLEDからの照光孔を設けた状態を示す平面図である。
【0019】図1及び図2において、シート1は、PET(ポリエチレンテレフタレート)などの合成樹脂からなる絶縁材でフィルム状に形成されている。また、このシート1の下面には一面に接着剤2が塗布されて、後述する可動接点3を固着したり、回路基板4上に貼付される接着面が形成されている。また、前記シート1には、シート1に固着される後述する可動接点3の外周端部3bを横切って、膨出部の頂部3a方向へ向かって延びる直線状の切り込み1aが形成されている。この切り込み1aは、図1に示すように1箇所のみに形成してもよく、図2に示すように可動接点3のドーム状の膨出部頂部3aを除く外周端部3bの複数箇所(図では4箇所)に形成するようにしてもよい。また、この切り込み1aは直線状に形成されており、切断加工後の抜き幅が略ゼロに等しくなるように金型で切断加工されて形成されるものとなっている。
【0020】可動接点3は、ステンレスまたはリン青銅などのばね性のある金属材により頂部3aを有するドーム状に膨出されて形成されており、この頂部3aが外部からの押圧操作によって反対側に反転するようになっている。この可動接点3が、後述する回路基板4の外側固定接点5a上に配設されて、押圧操作によって反転することにより前記頂部3a下面が中央固定接点5bと接離して接点の切り換えが行われるようになっている。
【0021】上記の可動接点付きシートを組み立てるには、前記可動接点3のドームの上面を前記シート1の下面の前記接着剤2の接着面に貼り付け固着する。この場合、前記シート1は図3に示すように、前記接着剤2の接着面が前記可動接点3の上面側のドーム状の膨出部に沿って湾曲された状態で貼付されるものとなる。この時、前記シート1に形成された前記切り込み1aは、前記可動接点3の外周端部3bを横切る位置となるように取り付けられ、この状態で、前記可動接点3は前記シート1に固着されるものとなる。
【0022】図3は本発明の可動接点付きシートを用いたシートスイッチの構造を示し、シートスイッチの1キー部分の断面図である。尚、図1及び図2で説明した同一部品については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0023】図において、回路基板4は、フェノール樹脂などの絶縁性の積層板などから形成されている。この回路基板4上には、カーボンなどを印刷したり、銅箔などをエッチング加工することにより外側固定接点5a、中央固定接点5bの回路パターンが設けられている。
【0024】上記のシートスイッチを組み立てるには、前記可動接点付きシートを前記回路基板4上に位置させ、前記可動接点3の外周端部3bの下端が、前記外側固定接点5aに当接され、且つ頂部3aが前記中央固定接点5bと対向するように、前記シート1の下面に塗布された接着剤2の接着面によって、前記回路基板4上に貼り付けることで組立が終了する。
【0025】次に上記シートスイッチの動作を説明すると、シートスイッチ上方に配置された図示しないゴムまたは樹脂製の押釦の操作部を押圧すると、前記シート1を介して押圧された前記可動接点3が反転動作を行い、頂部3aが前記中央固定接点5bに当接することによって、前記回路基板4の前記中央固定接点5bと前記外側固定接点5aの電気的接続が行われる。また、前記押釦への押圧力を除去すれば、前記可動接点3の弾性復帰力により前記可動接点3の頂部3aが前記中央固定接点5bから離れて接続がオフ状態となる。
【0026】上述した本発明の可動接点付きシート及びシートスイッチの構造においては、前記シート1には、前記切り込み1aが設けられており、この切り込み1aは前記可動接点3が固着された外周端部3bを横切るように膨出部の頂部3a方向へ向かって延びる直線状に形成されていることから、前記可動接点3が前記シート1を介して押圧された時、ドーム状の前記可動接点3のドームの中の空気は、前記可動接点3の外周端部3bから前記切り込み1aを通って外部へと排出されることとなる。したがって、前記可動接点3はドーム内の空気の圧力を受けずに確実に反転動作が行われるため、良好なフィーリングが得られるものとなる。また、スペーサシートを削減でき、安価対応が可能となる。
【0027】また、前記切り込み1aは直線状に形成されて、切断加工後の抜き幅が略ゼロに等しくなるように金型で切断加工されて形成されており、また、膨出部の頂部3a方向へ向かって延びる直線状に形成されていることから、ドーム状の前記可動接点3が反転動作する時には、前記切り込み1aの対向した両切片1b、1c同士は密着された状態で同じ方向に動作するようになっており、前記切り込み1aが広がることがないため、前記可動接点3の反転復帰時に、前記切り込み1aを通じて外部の空気がドーム状の前記可動接点3のドーム内に流れ込んだ場合においても、前記切り込み1aによって空気は流通するが、外部の塵埃などの侵入を阻止することができるため、前記切り込み1aから塵埃が侵入し接触不良を引き起こすことを防止できる。
【0028】また、前記シート1への前記可動接点3の固着時や、前記シート1の前記回路基板4への取り付け時に、前記シート1が前記可動接点3の膨出部の頂部3aから外周端部3bの方向へ引っ張られても、前記切り込み1aが広がることがなく、塵埃の侵入を低減することができる。
【0029】また、前記切り込み1aは、前記可動接点3のドーム状の膨出部頂部3aを除く外周端部3bの複数箇所に形成したことから、押圧操作される前記可動接点3のドーム状の膨出部頂部3aから、前記接着剤2が前記切り込み1aを通してはみ出すことがない。また、前記切り込み1aの個々の大きさ(長さ)を極力小さくすることで、塵埃の侵入を低減することができると共に、ドームの中の空気を効率良く外部へ排出することができるものとなっている。
【0030】図4及び図5は本発明の可動接点付きシートに前記可動接点3を複数個配置した状態を示す平面図で、図5はシートにLEDからの照光孔を設けた状態を示す平面図である。尚、図1乃至図3で説明した同一部品については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0031】図において、シート6は、PET(ポリエチレンテレフタレート)などの合成樹脂からなる絶縁材で1枚のフィルム状に形成されている。また、このシート6の下面には一面に接着剤2が塗布されて、複数個の前記可動接点3を所定位置に固着したり、前記回路基板4上に貼付される接着面が形成されている。また、前記シート6には、シート6に固着される複数個の前記可動接点3の外周端部3bを横切って、膨出部の頂部3a方向へ向かって延びる複数個の直線状の切り込み6aが形成されている。
【0032】また、前記切り込み6aは、前記シート6の最も外側に配置された前記可動接点3同士の外周端部3bを結ぶ仮想外周線Lよりも内側に位置するように形成されている。すなわち、前記切り込み6aを、防塵などの侵入路となりやすい前記シート6の外縁側から遠ざかる位置に配置するようにしたことから、更に外部からの塵埃の侵入の影響を少なくすることができる。
【0033】また、図5に示す場合には、シート7に前記回路基板4に取り付けられた図示しないLED等からの照光用の孔や、他構成部品などの取り付けに際する逃げ孔などの開口部7bが設けられており、この開口部7bの近傍に配置された前記可動接点3の外周端部3bに設けられた前記切り込み7aは、前記開口部7bの形成された位置とは異なる方向へ向けて形成されている。すなわち、前記切り込み7aを、塵埃などの侵入路となりやすい前記開口部7bから遠ざかる方向へ向けて形成したことから、更に外部からの塵埃の侵入の影響を少なくすることができる。
【0034】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の可動接点付きシートの構造は、下面に接着剤が塗布された接着面を有する絶縁フィルム製のシートと、ドーム状の膨出部を有し、シートの接着面に上面が覆われて貼付された可動接点とを備え、シートには、可動接点の外周端部を横切って、膨出部の頂部方向へ向かって延びる直線状の切り込みを形成したことから、空気逃げ用の連結溝を有するスペーサシートを削減でき、安価対応が可能となると共に、シートへの可動接点の固着時や、シートの回路基板への取り付け時に、シートが可動接点の膨出部の頂部から外周端部の方向へ引っ張られても、切り込みが広がることがなく、塵埃の侵入を低減することができる。
【0035】また、切り込みは、可動接点のドーム状の膨出部頂部を除く外周端部の複数箇所に形成したことから、押圧操作される可動接点のドーム状の膨出部頂部から、接着剤が切り込みを通してはみ出すことを防止できる。また、切り込みの個々の大きさ(長さ)を極力小さくすることで、塵埃の侵入を低減することができると共に、ドームの中の空気を効率良く外部へ排出することができる。
【0036】また、シートには、複数個の可動接点を貼付すると共に、切り込みは、シートの最も外側に配置された可動接点同士の外周端部を結ぶ仮想外周線よりも内側に形成したことから、防塵などの侵入路となりやすいシートの外縁側から遠ざかる位置に切り込みが配置されるため、更に外部からの塵埃の侵入の影響を少なくすることができる。
【0037】また、シートは、仮想外周線の内側に上下に貫通された開口部を有し、この開口部の近傍に配置された可動接点の外周端部に設けられた切り込みは、開口部の位置とは異なる方向へ向けて形成したことから、塵埃などの侵入路となりやすい開口部から遠ざかる方向へ向けて切り込みが配置されるため、更に外部からの塵埃の侵入の影響を少なくすることができる。
【0038】また、可動接点の外周端部を横切って、膨出部の頂部方向へ向かって延びる直線状の切り込みを形成した可動接点付きシートと、固定接点が設けられた回路基板とを備え、可動接点が固定接点に対向するように配設された状態で、可動接点付きシートがシートの下面の接着剤によって回路基板上に貼付されていることから、可動接点の反転動作時にも、切り込みによって空気は流通するが、外部の塵埃などの侵入を阻止することができるため、切り込みから塵埃が侵入し接触不良を引き起こすことを防止できる。
【出願人】 【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプス電気株式会社
【出願日】 平成12年8月7日(2000.8.7)
【代理人】
【公開番号】 特開2002−56746(P2002−56746A)
【公開日】 平成14年2月22日(2002.2.22)
【出願番号】 特願2000−244042(P2000−244042)