| 【発明の名称】 |
アルミニウム電解コンデンサおよびその製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】中田 泰彦
【氏名】棚橋 正和
【氏名】井垣 恵美子
【氏名】嶋田 幹也
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| 【要約】 |
【課題】信頼性が高いアルミニウム電解コンデンサおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】ケース12と、ケース12を封口するための封口体11と、ケース12内に封入されたセパレータ、陰極、陽極および電解液と、陽極に接続された陽極リード17とを備えるアルミニウム電解コンデンサであって、陰極がアルミニウム箔を含み、ケース12内に、電解液のpHを一定に保持する働きを有する固体化合物をさらに備える。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ケースと、前記ケースを封口するための封口体と、前記ケース内に封入されたセパレータ、陰極、陽極および電解液と、前記陰極および前記陽極にそれぞれ接続された2つのリードとを備えるアルミニウム電解コンデンサであって、前記陰極および前記陽極がアルミニウム箔を含み、前記リードがアルミニウムからなり、前記ケース内に、前記電解液のpHを一定に保持する働きを有する固体化合物をさらに備えることを特徴とするアルミニウム電解コンデンサ。 【請求項2】 前記陰極および陽極から選ばれる少なくとも1つの電極の表面にはピットが形成されており、前記固体化合物が前記ピット内に配置されている請求項1に記載のアルミニウム電解コンデンサ。 【請求項3】 前記固体化合物が前記セパレータに付着している請求項1に記載のアルミニウム電解コンデンサ。 【請求項4】 前記固体化合物が前記リードの表面に付着している請求項1に記載のアルミニウム電解コンデンサ。 【請求項5】 前記封口体が前記固体化合物を含む請求項1に記載のアルミニウム電解コンデンサ。 【請求項6】 前記固体化合物が金属を含む化合物であり、前記金属が陽イオンに変化する際の酸化電位EMと、アルミニウムがアルミニウムイオンに変化する際の酸化電位EAとがEM≦EAの関係を満たす請求項1ないし5のいずれかに記載のアルミニウム電解コンデンサ。 【請求項7】 前記固体化合物が、イットリウムの酸化物、イットリウムの水酸化物、アルミニウムの酸化物、アルミニウムの水酸化物、スカンジウムの酸化物、スカンジウムの水酸化物、ランタンの酸化物、ランタンの水酸化物、プラセオジムの酸化物、プラセオジムの水酸化物、ネオジムの酸化物、ネオジムの水酸化物、プロメチウムの酸化物、プロメチウムの水酸化物、セリウムの酸化物、セリウムの水酸化物、ガドリニウムの酸化物、ガドリニウムの水酸化物、テルビウムの酸化物、テルビウムの水酸化物、ジスプロシウムの酸化物、ジスプロシウムの水酸化物、ホルミウムの酸化物、ホルミウムの水酸化物、エルビウムの酸化物、エルビウムの水酸化物、ツリウムの酸化物、ツリウムの水酸化物、ルテチウムの酸化物、ルテチウムの水酸化物、ベリリウムの酸化物、およびベリリウムの水酸化物からなる群から選ばれる少なくとも1つの化合物を含む請求項1ないし5のいずれかに記載のアルミニウム電解コンデンサ。 【請求項8】 陰極および陽極を備えるアルミニウム電解コンデンサの製造方法であって、(i)表面にピットが形成されたアルミニウム箔を、金属の硝酸塩の水溶液に浸漬する工程と、(ii)前記(i)の工程ののちに、前記アルミニウム箔をアルカリ性水溶液に浸漬することによって前記金属の水酸化物を前記ピット内に形成し、これによって前記陰極および前記陽極から選ばれる少なくとも1つの電極を形成する工程とを含み、前記金属が陽イオンに変化する際の酸化電位EMと、アルミニウムがアルミニウムイオンに変化する際の酸化電位EAとがEM≦EAの関係を満たすことを特徴とするアルミニウム電解コンデンサの製造方法。 【請求項9】 前記金属が、イットリウム、アルミニウム、スカンジウム、ランタン、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、セリウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、ルテチウム、およびベリリウムからなる群から選ばれる少なくとも1つの金属を含む請求項8に記載のアルミニウム電解コンデンサの製造方法。 【請求項10】 前記アルカリ性水溶液のpHが、8〜12の範囲内である請求項8または9に記載のアルミニウム電解コンデンサの製造方法。 【請求項11】 陰極および陽極を備えるアルミニウム電解コンデンサの製造方法であって、(I)表面にピットが形成されたアルミニウム箔を、金属の硝酸塩の水溶液に浸漬する工程と、(II)前記(I)の工程ののちに、前記アルミニウム箔を熱処理することによって前記金属の酸化物を前記ピット内に形成し、これによって前記陰極および前記陽極から選ばれる少なくとも1つの電極を形成する工程とを含み、前記金属が陽イオンに変化する際の酸化電位EMと、アルミニウムがアルミニウムイオンに変化する際の酸化電位EAとがEM≦EAの関係を満たすことを特徴とするアルミニウム電解コンデンサの製造方法。 【請求項12】 前記金属が、イットリウム、アルミニウム、スカンジウム、ランタン、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、セリウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、ルテチウム、およびベリリウムからなる群から選ばれる少なくとも1つの金属を含む請求項11に記載のアルミニウム電解コンデンサの製造方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、アルミニウム電解コンデンサおよびその製造方法に関する。 【0002】 【従来の技術】アルミニウム電解コンデンサを高温雰囲気下において無負荷で放置すると、容量が低下するとともに、ガスが発生して内圧が上昇し液漏れの原因となる。これは、アルミニウムからなる陰極箔の腐食によるものであり、電解液に水を添加した系ではより顕著になる。また、電圧負荷をかけて高温で放置した場合には、アルミニウムからなる陽極リードが電解エッチングされ、最後には断線に至る。 【0003】このようなアルミニウムの腐食を防止する方法として、従来から、アルミニウムの表面をリン酸で処理して、リン酸アルミニウムの被膜を形成する方法が知られている(特開昭62−17185号公報参照)。この方法では、リン酸アルミニウムの被膜をあらかじめ形成しておくことによって、腐食反応(Al→Al3++3e-)が起きることを防止する。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、そのような処理をおこなっても腐食の防止が十分でない場合があった。特に、電解液の水分量を増やした場合には腐食が起こりやすくなるという問題があった。 【0005】上記課題を解決するため、本発明は、信頼性が高いアルミニウム電解コンデンサおよびその製造方法を提供することを目的とする。 【0006】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、本発明のアルミニウム電解コンデンサは、ケースと、前記ケースを封口するための封口体と、前記ケース内に封入されたセパレータ、陰極、陽極および電解液と、前記陰極および前記陽極にそれぞれ接続された2つのリードとを備えるアルミニウム電解コンデンサであって、前記陰極および前記陽極がアルミニウム箔を含み、前記リードがアルミニウムからなり、前記ケース内に、前記電解液のpHを一定に保持する働きを有する固体化合物をさらに備えることを特徴とする。この構成によれば、電解液のpHが小さくなりすぎることを防止できるため、信頼性が高いアルミニウム電解コンデンサが得られる。 【0007】上記アルミニウム電解コンデンサでは、前記陰極および前記陽極から選ばれる少なくとも1つの電極の表面にはピットが形成されており、前記固体化合物が前記ピット内に配置されていてもよい。この構成によれば、電極の腐食を特に防止することができる。 【0008】上記アルミニウム電解コンデンサでは、前記固体化合物が前記セパレータに付着していてもよい。この構成によれば、電極の腐食を特に防止することができる。 【0009】上記アルミニウム電解コンデンサでは、前記固体化合物が前記リードの表面に付着していてもよい。この構成によれば、リードの腐食を特に防止することができる。 【0010】上記アルミニウム電解コンデンサでは、前記固体化合物が金属を含む化合物であり、前記金属が陽イオンに変化する際の酸化電位EMと、アルミニウムがアルミニウムイオンに変化する際の酸化電位EAとがEM≦EAの関係を満たすものでもよい。 【0011】上記アルミニウム電解コンデンサでは、前記固体化合物が、イットリウムの酸化物、イットリウムの水酸化物、アルミニウムの酸化物、アルミニウムの水酸化物、スカンジウムの酸化物、スカンジウムの水酸化物、ランタンの酸化物、ランタンの水酸化物、プラセオジムの酸化物、プラセオジムの水酸化物、ネオジムの酸化物、ネオジムの水酸化物、プロメチウムの酸化物、プロメチウムの水酸化物、セリウムの酸化物、セリウムの水酸化物、ガドリニウムの酸化物、ガドリニウムの水酸化物、テルビウムの酸化物、テルビウムの水酸化物、ジスプロシウムの酸化物、ジスプロシウムの水酸化物、ホルミウムの酸化物、ホルミウムの水酸化物、エルビウムの酸化物、エルビウムの水酸化物、ツリウムの酸化物、ツリウムの水酸化物、ルテチウムの酸化物、ルテチウムの水酸化物、ベリリウムの酸化物、およびベリリウムの水酸化物からなる群から選ばれる少なくとも1つの化合物を含んでもよい。この構成によれば、信頼性が特に高いアルミニウム電解コンデンサが得られる。 【0012】また、本発明の第1の製造方法は、陰極および陽極を備えるアルミニウム電解コンデンサの製造方法であって、(i)表面にピットが形成されたアルミニウム箔を、金属の硝酸塩の水溶液に浸漬する工程と、(ii)前記(i)の工程ののちに、前記アルミニウム箔をアルカリ性水溶液に浸漬することによって前記金属の水酸化物を前記ピット内に形成し、これによって前記陰極および前記陽極から選ばれる少なくとも1つの電極を形成する工程とを含み、前記金属が陽イオンに変化する際の酸化電位EMと、アルミニウムがアルミニウムイオンに変化する際の酸化電位EAとがEM≦EAの関係を満たすことを特徴とする。この製造方法によれば、電極が腐食されにくく信頼性が高い電解コンデンサを製造できる。 【0013】上記第1の製造方法では、前記金属が、イットリウム、アルミニウム、スカンジウム、ランタン、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、セリウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、ルテチウム、およびベリリウムからなる群から選ばれる少なくとも1つの金属を含んでもよい。 【0014】上記第1の製造方法では、前記アルカリ性水溶液のpHが、8〜12の範囲内であってもよい。 【0015】また、本発明の第2の製造方法は、陰極および陽極を備えるアルミニウム電解コンデンサの製造方法であって、(I)表面にピットが形成されたアルミニウム箔を、金属の硝酸塩の水溶液に浸漬する工程と、(II)前記(I)の工程ののちに、前記アルミニウム箔を熱処理することによって前記金属の酸化物を前記ピット内に形成し、これによって前記陰極および前記陽極から選ばれる少なくとも1つの電極を形成する工程とを含み、前記金属が陽イオンに変化する際の酸化電位EMと、アルミニウムがアルミニウムイオンに変化する際の酸化電位EAとがEM≦EAの関係を満たすことを特徴とする。この製造方法によれば、電極が腐食されにくく信頼性が高い電解コンデンサを製造できる。 【0016】上記第2の製造方法では、前記金属が、イットリウム、アルミニウム、スカンジウム、ランタン、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、セリウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、ルテチウム、およびベリリウムからなる群から選ばれる少なくとも1つの金属を含んでもよい。 【0017】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態は一例であり、本発明は以下の実施形態に限定されない。 【0018】(実施形態1)実施形態1では、本発明のアルミニウム電解コンデンサについて説明する。 【0019】まず、アルミニウム電解コンデンサにおいて、電極の腐食およびリードの腐食が進行するメカニズムを説明する。 【0020】電圧を印加せずにアルミニウム電解コンデンサを放置したときには、主に陰極が腐食する。この陰極の腐食は、以下に説明するように、電解液中の酸素濃度の偏りに基づく電池効果によって発生する。アルミニウム電解コンデンサのコンデンサ素子は、アルミニウム箔からなる陽極、アルミニウム箔からなる陰極、およびセパレータによって構成される。そして、陽極および陰極は、セパレータを挟んでコイル状に固く巻かれている。コイルの外周部分と中心部分とでは、電解液中の溶存酸素の濃度が異なっているために電位差が生じる。その結果、電池効果によってコイルの中心部分の電極(特に陰極)が腐食する。さらに、この腐食によって、コンデンサ素子の中心部では(Al3++H2O→Al(OH)2++H+)の反応が起こるため、電解液が酸性側にシフトし、腐食がますます加速する。このような電極の腐食を防止するためには、増えようとするH+を中和することが最も効果的である。 【0021】また、アルミニウム電解コンデンサに電圧を印加したときには、主に陽極のリードが腐食しやすくなる。この陽極リードの腐食は、以下に説明するように、電解エッチングによって発生する。アルミニウム電解コンデンサでは、時間の経過とともに内部の電解液が蒸発によって減少していく。このとき、ケース内部の陽極リード表面に付着している電解液は、蒸発にともなって次第にバッファ性を失っていくため、陽極リードが腐食しやすくなる。そして、いったん腐食が生じると、腐食によって形成されたピット(pit)の内部ではH+が濃縮してますます腐食が加速する。この陽極リードの腐食に対しても、陰極箔の腐食の場合と同様に、増えようとするH+を中和することが効果的である。 【0022】上記腐食を抑制できる実施形態1のアルミニウム電解コンデンサ10について、断面図を図1に模式的に示す。 【0023】図1を参照して、アルミニウム電解コンデンサ10は、封口体11で封口されたケース12と、ケース12内に封入されたコンデンサ素子13と、電解液(図示せず)とを備える。コンデンサ素子13の分解斜視図を図2に模式的に示す。コンデンサ素子13は、セパレータ14と、セパレータ14を挟むように配置された陽極(陽極箔)15および陰極(陰極箔)16と、陽極15に接続された陽極リード17と陰極16に接続された陰極リード18とを備える。以下、陽極15および陰極16をまとめて電極箔という場合があり、陽極リード17および陰極リード18をあわせてリードと呼ぶ場合がある。セパレータ14、陽極15および陰極16は巻回されてケース12内に封入されている。電解液は主にセパレータに保持されている。 【0024】封口体11は、たとえば、ゴムや樹脂からなる。 【0025】電解液には、たとえば、アルミニウム電解コンデンサに一般的に使用される電解液を用いることができ、たとえば、エチレングリコール系電解液を用いることができる。具体的には、水と、エチレングリコールと、アジピン酸アンモニウムなどの溶剤とを含む電解液を用いることができる。電解液は、必要に応じて腐食防止剤を含む。電解液の初期のpHは、たとえば、5〜7程度である。特に、電解液は、30質量%〜60質量%の水を含むことが好ましい。この構成によれば、等価直列抵抗(Equivalent Series Resistance。以下、ESRという。)が特に低いアルミニウム電解コンデンサが得られる。 【0026】セパレータ14には、アルミニウム電解コンデンサに一般的に用いられている電解紙を用いることができ、たとえば、マニラ紙(Manila paper)を用いることができる。 【0027】また、陽極15および陰極16には、電解コンデンサに一般的に用いられているアルミニウム箔を用いることができる。また、陽極リード17および陰極リード18には、電解コンデンサに一般的に用いられているアルミニウムリードを用いることができる。 【0028】アルミニウム電解コンデンサ10は、ケース12内に、電解液のpHを一定に保持するための固体化合物(以下、固体化合物Aという場合がある)をさらに備える。すなわち、アルミニウム電解コンデンサ10では、その構成部材である電極箔、セパレータ、リード、および封口体からなる群から選ばれる少なくとも1つの表面または内部に固体化合物Aが配置されている。なお、電解液中に固体化合物Aが分散されていてもよい。 【0029】固体化合物Aは、水溶液中(電解液中)に固体の状態で分散させたとき、水溶液のpHを一定に保つように働く機能を有する。すなわち、固体化合物Aは緩衝剤(バッファ)として機能する。 【0030】固体化合物Aには、金属を含み、以下の3つの条件を満たす化合物を用いることができる。第1の条件として、電解液中である程度安定に存在する化合物であることが必要とされる。第2の条件として、金属状体から陽イオンに変化する際の酸化電位EMが、アルミニウムがアルミニウムイオンに変化する際の酸化電位EAと同等またはそれ以下の金属(以下、金属Mという場合がある)を含む化合物であることが必要とされる。すなわち、金属Mが陽イオンに変化する際の酸化電位EMと、EAとは、EM≦EA(好ましくは、EM<EA)の関係を満たす。第3の条件として、電解液中でH+を中和する化合物であることが必要とされる。 【0031】このような条件を満たす固体化合物Aの具体例としては、たとえば、酸化イットリウムまたは水酸化イットリウムが挙げられる。酸化イットリウムは、電解液が酸性側にシフトしようとすると、それ自身はイットリウムイオンになって水溶液中に溶解し、pHを一定に保つ働きをする(Y2O3+6H+→2Y3++3H2O)。また、水酸化イットリウムについても同様の働きを有する(Y(OH)3+3H+→Y3++3H2O)。アルミニウム電解コンデンサ10では、固体化合物Aのこのような性質を利用することによって、電解液のpHを一定に維持し、腐食を抑制することができる。 【0032】固体化合物Aには、上述した条件を満たす化合物であれば、酸化イットリウムや水酸化イットリウム以外の化合物を用いることができる。具体的には、固体化合物Aは、イットリウムの酸化物、イットリウムの水酸化物、アルミニウムの酸化物、アルミニウムの水酸化物、スカンジウムの酸化物、スカンジウムの水酸化物、ランタンの酸化物、ランタンの水酸化物、プラセオジムの酸化物、プラセオジムの水酸化物、ネオジムの酸化物、ネオジムの水酸化物、プロメチウムの酸化物、プロメチウムの水酸化物、セリウムの酸化物、セリウムの水酸化物、ガドリニウムの酸化物、ガドリニウムの水酸化物、テルビウムの酸化物、テルビウムの水酸化物、ジスプロシウムの酸化物、ジスプロシウムの水酸化物、ホルミウムの酸化物、ホルミウムの水酸化物、エルビウムの酸化物、エルビウムの水酸化物、ツリウムの酸化物、ツリウムの水酸化物、ルテチウムの酸化物、ルテチウムの水酸化物、ベリリウムの酸化物、およびベリリウムの水酸化物からなる群から選ばれる少なくとも1つの化合物を含むことが好ましい。すなわち、金属Mとしては、イットリウム、アルミニウム、スカンジウム、ランタン、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、セリウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、ルテチウム、およびベリリウムからなる群から選ばれる少なくとも1つの金属を用いることができる。また、上述した化合物と同様の性質を有する化合物であれば、他の化合物であっても固体化合物Aとして使用できる。なお、上述した固体化合物の中でも、酸化物または水酸化物からイオンになって溶解するときの溶解速度が比較的大きいため、特に、酸化イットリウムまたは水酸化イットリウムが好ましい。 【0033】以下に、陰極、セパレータ、リード、または封口体に固体化合物Aが添加されている場合について、順次説明する。アルミニウム電解コンデンサ10は、以下で説明する電極、セパレータ、リード、および封口体からなる群より選ばれる少なくとも1つの構成部材を含む。 【0034】(陰極)陰極16としては、表面にピット(pit)が形成されており、固体化合物Aがピット内に配置されているアルミニウム箔を用いることが好ましい。このようなアルミニウム箔31について、断面図を図3に模式的に示す。アルミニウム箔31は、その表面31sにピット31aが形成されている。ピット31a内には、固体化合物Aが配置されている。なお、陽極15にも、陰極16と同様のアルミニウム箔を用いてもよい。すなわち、陽極15および陰極16から選ばれる少なくとも1つの電極の表面にはピットが形成されており、固体化合物Aがピット内に配置されていてもよい。 【0035】以下に、固体化合物Aが水酸化イットリウムの場合について、陰極箔の製造方法の一例を説明する。まず、エッチングによって表面にピットが形成されたアルミニウム箔を用意する。アルミニウム箔の表面のピットは、たとえば、電解エッチングまたは化学エッチングによって形成できる。 【0036】次に、アルミニウム箔を硝酸イットリウムの水溶液に浸漬することによって、アルミニウム箔のピットに硝酸イットリウム水溶液を含ませる。その後、アルミニウム箔を水酸化ナトリウム水溶液に浸漬する処理を行って、ピット内に水酸化イットリウムを付着させる。このとき、水酸化ナトリウム水溶液のpHは8以上であればよいが、アルミニウムはアルカリ水溶液に溶解する性質を有するため、できるだけ中性に近いアルカリ水溶液で処理することが好ましい。具体的には、アルカリ水溶液のpHは、8〜12の範囲内であることが好ましい。また、高温・長時間の処理もアルミニウム箔にダメージを与えるため、低温・短時間で処理を行うことが好ましい。 【0037】次に、固体化合物Aが酸化イットリウムである場合について説明する。この場合は、まず、アルミニウム箔を硝酸イットリウム水溶液に浸漬し、アルミニウム箔のピット内に硝酸イットリウム水溶液を含ませる。その後、アルミニウム箔を熱処理することによって硝酸イットリウムを熱分解し、ピット内に酸化イットリウムを付着させる。熱処理は、たとえば、大気中で500℃、10分間の条件で行うことができる。 【0038】なお、固体化合物Aがイットリウム以外の金属の水酸化物または酸化物である場合にも、同様の方法で固体化合物Aを形成できる。 【0039】(セパレータ)セパレータ14としては、固体化合物Aが表面に付着したセパレータを用いることが好ましい。このようなセパレータ41について、断面図を図4に模式的に示す。セパレータ41の表面41sには、固体化合物Aが付着している。 【0040】以下、固体化合物Aが表面に付着したセパレータは、固体化合物A(たとえば酸化イットリウム)の粉末を直接セパレータに擦り込めばよい。セパレータには、アルミニウム電解コンデンサに一般的に用いられている電解紙を用いることができ、たとえばマニラ紙を用いることができる。 【0041】固体化合物A(たとえば酸化イットリウム)の粉末は、市販の粉末をそのままの状態で使用してもかまわないが、市販の粉末を乳鉢で粉砕し、粒径をより小さくして使用することが好ましい。粒径を小さくすることによって、セパレータへの付着性を向上でき、かつ固体化合物として機能する際にイオン化しやすくできる。具体的には、粉末の平均粒径が、1μm〜100μmの範囲内であることが好ましい。 【0042】(リード)リード(特に、陽極リード17)としては、表面に固体化合物Aが付着したリードを用いることが好ましい。このようなリード51について、断面図を図5に示す。リード51は、棒状のアルミニウムからなり、電極箔が巻き付けられる部分51aと、封口体の貫通孔内に配置される部分51bとを備える。そして、部分51bの表面には、固体化合物Aが付着している。 【0043】固体化合物Aとして水酸化イットリウムや酸化イットリウムを用いる場合には、上記陰極箔と同様の方法で固体化合物Aが付着したリードを作製することができる。 【0044】固体化合物Aを付着させるリードには、アルミニウム電解コンデンサに一般的に使用されるアルミニウムリードを用いることができる。 【0045】(封口体)封口体11としては、固体化合物Aを含む封口体を用いることが好ましい。具体的には、封口体11が、固体化合物Aが添加されているゴムまたは樹脂からなることが好ましい。このような封口体61について、断面図を図6に模式的に示す。封口体61は、円盤状の形状を有し、リードが挿入される2つの貫通孔61hが形成されている。封口体61の内部には、固体化合物Aが添加されている。 【0046】ゴムの材料には、たとえば、イソブチレンとイソプレンとジベニルベンゼンとの共重合体であるブチルゴムポリマーを用いることができる。なお、固体化合物Aの粉末は、封口体の材料となるゴムを製造する段階で、他の材料と一緒に添加することができる。添加する固体化合物Aの粉末は、平均粒径が1μm〜100μmの範囲内であることが好ましい。 【0047】アルミニウム電解コンデンサ10は、電解液のpHを一定に保持する働きを有する固体化合物Aを含む。このため、電極(特に陰極)の腐食による容量の低下を防止でき、また、無負荷放置時にガスが発生することを防止できる。したがって、アルミニウム電解コンデンサ10によれば、信頼性が高いコンデンサが得られる。さらに、寿命が同等の条件で従来のアルミニウム電解コンデンサと比較した場合、アルミニウム電解コンデンサ10では、水分量が多く電導度が高い電解液を用いることができるため、ESRをより低くすることができる。また、固体化合物Aを添加したリードまたは封口体を用いることによって、リードの断線が生じにくいコンデンサが得られる。 【0048】(実施形態2)実施形態2では、アルミニウム電解コンデンサを製造するための本発明の第1の製造方法について説明する。 【0049】実施形態2の製造方法について、工程断面図を図7に示す。この製造方法では、まず、図7(a)に示すように、表面にピット(図3参照)が形成されたアルミニウム箔71を、金属の硝酸塩の水溶液72に浸漬する(工程(i))。この工程によって、アルミニウム箔71のピット内に水溶液72が充填される。水溶液72には、実施形態1で説明した金属Mの硝酸塩の水溶液を用いることができる。具体的には、イットリウム、アルミニウム、スカンジウム、ランタン、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、セリウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、ルテチウム、およびベリリウムからなる群から選ばれる少なくとも1つの金属を含む硝酸塩の水溶液を用いることができる。水溶液72中の硝酸塩の濃度は、たとえば、0.05mol/L〜0.5mol/Lの範囲内である。 【0050】その後、図7(b)に示すように、アルミニウム箔71をアルカリ性水溶液73に浸漬することによって、金属Mの水酸化物をピット内に形成する(工程(ii))。このようにして、金属Mの水酸化物(化合物A)がピット内に形成されたアルミニウム箔71を得て、これを陰極および陽極から選ばれる少なくとも1つの電極として用いる。アルミニウム箔71は、陰極として用いると特に効果が大きい。 【0051】上記電極の形成方法以外は、通常の製造方法と同様の工程でアルミニウム電解コンデンサを製造する。具体的には、陽極リードおよび陰極リードに、それぞれ、陽極箔および陰極箔を接続する。そして、セパレータを挟んで陽極箔と陰極箔とをコイル状にまいてコンデンサ素子を形成し、セパレータに電解液を含浸させる。その後、コンデンサ素子をケース内に挿入し、封口体でケースを封口する。このようにして、アルミニウム電解コンデンサを製造できる。実施形態2の製造方法によれば、電極に固体化合物Aが付着した本発明のアルミニウム電解コンデンサを製造できる。 【0052】(実施形態3)実施形態3では、アルミニウム電解コンデンサを製造するための本発明の第2の製造方法について説明する。なお、実施形態2と同様の部分については、同一の符号を付して重複する説明を省略する。 【0053】実施形態3の製造方法では、まず、図7(a)に示すように、表面にピット(図3参照)が形成されたアルミニウム箔71を、金属の硝酸塩の水溶液72に浸漬する(工程(I))。工程(I)は、実施形態2で説明した工程(i)と同様である。この工程によって、アルミニウム箔71のピット内に水溶液72が充填される。水溶液72には、実施形態1で説明した金属Mの硝酸塩の水溶液を用いることができる。具体的には、イットリウム、アルミニウム、スカンジウム、ランタン、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、セリウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、ルテチウム、およびベリリウムからなる群から選ばれる少なくとも1つの金属を含む硝酸塩の水溶液を用いることができる。水溶液72中の硝酸塩の濃度は、たとえば、0.05mol/L〜0.5mol/Lの範囲内である。 【0054】その後、アルミニウム箔71を水溶液72から取り出して乾燥させる。そして、アルミニウム箔71を熱処理することによって、金属Mの酸化物をピット内に形成する(工程(II))。この熱処理によって、金属Mの硝酸塩が熱分解し金属Mの酸化物となる。熱処理は、たとえば、500℃で10分間の条件で行うことができる。このようにして、金属Mの水酸化物(化合物A)がピット内に形成されたアルミニウム箔71を得て、これを陰極および陽極から選ばれる少なくとも1つの電極として用いる。アルミニウム箔71は、陰極として用いると特に効果が大きい。 【0055】上記電極の形成方法以外は、実施形態2で説明したように、アルミニウム電解コンデンサを製造する。実施形態3の製造方法によれば、電極に固体化合物Aが付着した本発明のアルミニウム電解コンデンサを製造できる。 【0056】 【実施例】以下、実施例を用いて本発明をさらに詳細に説明する。 【0057】(実施例1)実施例1では、陰極箔の表面およびエッチングピットの空洞部に固体化合物Aを付着させた一例について説明する。 【0058】まず、濃度が10質量%の硝酸イットリウム水溶液を用意した。また、陰極箔として、低圧電解コンデンサ用のアルミニウム箔を用意した。次に、硝酸イットリウム水溶液にアルミニウム箔を数秒間浸漬して硝酸イットリウムをアルミニウム箔に十分にしみ込ませた。次に、硝酸イットリウム水溶液からアルミニウム箔を引き上げて余分な液を除去した。次に、アルミニウム箔をアルカリ性の水溶液で処理した。具体的には、アルミニウム箔を水酸化ナトリウム水溶液(pH8)に10秒間浸漬した。そして、浸漬後、アルミニウム箔を引き上げて余分な液を除去した。最後に、析出した水酸化イットリウムがアルミニウム箔から流れ落ちない程度にアルミニウム箔を純水で軽く水洗いし、乾燥させた。以上のような手順で水酸化イットリウムをアルミニウム箔の表面および内部のエッチングピット壁面に付着させ、陰極箔を形成した。 【0059】このようにして形成した陰極箔を用いてアルミニウム電解コンデンサを作製した。なお、陰極箔以外の部分については通常の部材を用いた。 【0060】(実施例2)実施例2では、セパレータに固体化合物Aを付着させた一例について説明する。 【0061】まず、酸化イットリウムの試薬(和光純薬工業株式会社製、純度:99.99%以上)を乳鉢で粉砕して微粒子状にした。また、セパレータとして、低圧電解コンデンサ用の電解紙であるマニラ紙を用意した。そして、微粒子状の酸化イットリウムの粉末を、目の細かいふるいを使ってセパレータの上に均一に分散させ、指で擦り込むようにして酸化イットリウム粉末をセパレータに付着させた。その後、残った余分な粉末を払い落とした。このようにして、酸化イットリウムの粉末が付着したセパレータを作製した。なお、本実施例では、セパレータ1cm2あたり、0.1mgの酸化イットリウムを付着させた。このようにして作製したセパレータを用いて、アルミニウム電解コンデンサを作製した。なお、セパレータ以外の部分は、通常の部材を用いた。 【0062】(比較例1)比較例1では、固体化合物Aを付着させる処理を行っていない陰極箔およびセパレータを用いてアルミニウム電解コンデンサを作製した。なお、陰極箔およびセパレータ以外の部分については、実施例1および2のアルミニウム電解コンデンサと同様の構成とした。 【0063】上記実施例1および2、ならびに比較例1のコンデンサについて、電圧を印加しない状態で高温で放置する試験を行った。試験は、85℃で5000時間放置することによって行った。 【0064】その後、それぞれのコンデンサを分解し、陰極箔の腐食の様子、および陰極箔の容量変化を調べた。なお、陰極箔の腐食の様子は、放置試験前後において陰極箔を目視観察することによって評価した。また、陰極箔の容量変化は、容量維持率(%)={(高温放置試験後の容量)/(高温放置試験前の容量)}×100の式で評価した。 【0065】その結果、実施例1および2のコンデンサでは、陰極箔の外観に変化はなく、容量維持率は95%であった。一方、比較例1のコンデンサでは、陰極箔の外観が黒色に変化し、容量維持率は60%であった。このように、比較例1のコンデンサでは高温放置試験によって陰極箔の容量が大きく減少しているのに対し、実施例1および2のアルミニウム電解コンデンサでは陰極箔の容量がほとんど変化しなかった。 【0066】(実施例3)実施例3では、陽極リードの表面に固体化合物Aを付着させた一例について説明する。まず、陽極リードとして、低圧電解コンデンサ用のアルミニウムリードを用意した。この陽極リードを硝酸イットリウム水溶液に浸漬し、陽極リード表面にイットリウムイオンを付着させた。次に、この陽極リードをアルカリ水溶液で処理することによって、陽極リードの表面に水酸化イットリウムを付着させた。なお、水酸化イットリウムを付着させる手順や条件は、実施例1で説明したものと同様である。このようにして作製した陽極リードを用いて、アルミニウム電解コンデンサを作製した。なお、陽極リード以外の部分については、通常の部材を用いた。 【0067】(実施例4)実施例4では、封口体に固体化合物Aを添加した一例について説明する。実施例4では、封口体に用いるゴムを製造する段階で、酸化イットリウムを添加剤として加え、封口体を作製した。材料となるゴムには、イソブチレン、イソプレン、およびジビニルベンゼンの共重合体からなるブチルゴムポリマーを用いた。また、酸化イットリウムは、ゴム1gあたり10mg添加した。このゴムからなる封口体を用いて、アルミニウム電解コンデンサを作製した。なお、封口体以外の部分については、通常の部材を用いた。 【0068】(比較例2)比較例2では、固体化合物Aを付着させる処理を施していない陽極リードおよび封口体を用いてアルミニウム電解コンデンサを作製した。なお、陽極リードおよび封口体以外の部分については、実施例3および4のアルミニウム電解コンデンサと同様の構成とした。 【0069】上記実施例3および4、ならびに比較例2のアルミニウム電解コンデンサについて、電圧を印加しながら高温で放置する試験を行った。試験は、6.3Vの電圧を印加しながら85℃において5000時間放置することによって行った。 【0070】放置試験ののち、それぞれのコンデンサを分解し、陽極リードの腐食の様子を調べた。なお、陽極リードの腐食の様子は、放置試験前後において陽極リードを目視観察することによって評価した。 【0071】その結果、比較例2のコンデンサでは、高温放置試験後において、陽極リードの表面に多数の孔食ピットが観察された。これに対し、実施例3および4のアルミニウム電解コンデンサでは、孔食の痕跡がほとんど観察されなかった。 【0072】以上、本発明の実施の形態について例を挙げて説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されず本発明の技術的思想に基づき他の実施形態に適用することができる。 【0073】 【発明の効果】以上説明したように、本発明のアルミニウム電解コンデンサによれば、信頼性が高いアルミニウム電解コンデンサが得られる。また、本発明の第1および第2の製造方法によれば、信頼性が高いアルミニウム電解コンデンサを製造できる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000005821 【氏名又は名称】松下電器産業株式会社
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| 【出願日】 |
平成13年5月25日(2001.5.25) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100095555 【弁理士】 【氏名又は名称】池内 寛幸 (外5名)
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| 【公開番号】 |
特開2002−57077(P2002−57077A) |
| 【公開日】 |
平成14年2月22日(2002.2.22) |
| 【出願番号】 |
特願2001−157570(P2001−157570) |
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