| 【発明の名称】 |
電解コンデンサ用アルミニウム箔およびその製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】片野 雅彦
【氏名】磯部 昌司
【氏名】望月 和女
【氏名】大竹 富美雄
【氏名】目泰 将志
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| 【要約】 |
【課題】高い静電容量を有する中高圧用電解コンデンサ用アルミニウム箔およびその製造方法を提供する。
【解決手段】アルミニウム箔の表面から測定して、15atomic%酸素濃度に至るまでの深さの平均値が100〜300Åであり、前記深さが前記平均値の1/3〜3倍の範囲内にあることを特徴とする電解コンデンサ用アルミニウム箔。アルミニウム鋳塊を熱間圧延する工程において、ワークロール面にロールコーティングの層を形成し、該ロールコーティングの層を仕上げ熱間圧延板面に移動させて該熱間圧延板面のロールコーティングの厚さを0.1〜5μmとし、しかる後冷間で最終のアルミニウム箔厚さまで圧延し、さらに該アルミニウム箔を最終焼鈍することを特徴とする電解コンデンサ用アルミニウム箔の製造方法。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 アルミニウム箔の表面から測定して、15atomic%酸素濃度に至るまでの深さの平均値が100〜300Åであり、前記深さが前記平均値の1/3〜3倍の範囲内にあることを特徴とする電解コンデンサ用アルミニウム箔。 【請求項2】 アルミニウム鋳塊を熱間圧延する工程において、ワークロール面にロールコーティングの層を形成し、該ロールコーティングの層を仕上げ熱間圧延板面に移動させて該熱間圧延板面のロールコーティングの厚さを0.1〜5μmとし、しかる後冷間で最終のアルミニウム箔厚さまで圧延し、さらに該アルミニウム箔を最終焼鈍することを特徴とする電解コンデンサ用アルミニウム箔の製造方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、使用電圧が高い電解コンデンサに使用され、直流電解法による電解エッチングにより、高い静電容量の得られるアルミニウム箔とその製造方法に関する。 【0002】 【従来の技術】化成電圧が高く、例えば約略200V以上の電圧で化成処理される電解コンデンサ用のアルミニウム箔は、箔表面の面積拡大エッチング処理に直流電解法が主に用いられている。即ち、一次直流電解エッチング法で箔表面に初期のトンネル状ピットを多数穿孔し、次いで処理条件を変えて二次直流電解エッチング法で初期トンネルピットのピット径を拡大してトンネル状に穿孔するものである。これはトンネル状に拡径穿孔することによって、200V以上という高い電圧で化成処理し、穿孔内面を含む箔表面に誘電体層となる酸化皮膜を生成させても、穿孔内が酸化皮膜で充填されることなく高い拡面率が保持できるようにするためである。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】近年、コンデンサの小型化の傾向に伴い、静電容量の改善が要求されている。この要求に対して、圧延によってアルミニウム箔面に生じる摩耗粉の大きさとその量をコントロールすることにより、交流電解法でエッチングし、化成電圧20Vで化成処理する方法が開示されている(特開平10−135082号公報)。しかしながら、該公報に開示されているアルミニウム箔を直流電解法でエッチングした場合は、200Vで化成処理した箔において静電容量の高い箔は得難い。これはおそらく、直流電解法で一次エッチングし、次いで二次エッチングで拡径処理した場合に、型崩れの無いトンネルピットが得られていないものと思われる。その結果、200V化成処理したときに十分に静電容量の高い箔とならないものと考えられる。 【0004】また、アルミニウム溶湯を鋳造し、均熱処理し、熱間圧延し、冷間圧延し、中間焼鈍し、冷間圧延した箔を、高真空引きした後の不活性ガス雰囲気で一次焼鈍し、次いで真空引きした後に不活性ガス雰囲気で二次焼鈍して、箔表面に厚さで30〜80Åの酸化膜を形成し、このように規定した箔を直流電解法でエッチングする電解コンデンサ箔が提案されている(特開平10−326726号公報)。しかしながら該公報に開示されているアルミニウム箔でもまだその静電容量は不十分である。 【0005】 【課題を解決するための手段】発明者らは、表面積の拡大処理を直流電解法でエッチングし、化成電圧200V以上で化成処理して高い静電容量の得られるアルミニウム箔を研究した結果、熱間圧延工程で形成されるワークロール表面のロールコーティングの層を適正量圧延板に移動させた熱間圧延板をさらに冷間圧延し最終焼鈍すると、直流電解法でエッチングすることにより、静電容量の高い箔が得られるということを知見して本発明を完成したものである。 【0006】即ち第1の発明は、アルミニウム箔の表面から測定して、15atomic%酸素濃度に至るまでの深さの平均値が100〜300Åであり、前記深さが前記平均値の1/3〜3倍の範囲内にあることを特徴とする電解コンデンサ用アルミニウム箔である。図1に、深さに関する規定の内容を模式的に示す。箔表面の酸化物を箔の内部までもたらすことにより、直流電解法でエッチング処理することにより静電容量の高い箔が得られる。 【0007】第2の発明は、アルミニウム鋳塊を熱間圧延する工程において、ワークロール面にロールコーティングの層を形成し、該ロールコーティングの層を圧延板面に移動させて仕上げ熱間圧延板面のロールコーティングの厚さを0.1〜5μmとし、しかる後冷間圧延し、最終焼鈍することを特徴とする電解コンデンサ用アルミニウム箔の製造方法である。熱延ワークロールのロールコーティング層を厚く設け、このロールコーティング層の適当量を熱間圧延板に移動させると、その後の冷間圧延、最終焼鈍後の箔において、その箔の表面酸化物を箔の内部までもたらすことが可能となり、静電容量の高い箔を容易に得られる。 【0008】 【発明の実施の形態】本発明で使用するアルミニウムを以下に説明する。アルミニウムの組成は本発明を限定するものではない。即ち本発明においては高純度のアルミニウムばかりでなくアルミニウム合金も含むものである。例えば化成電圧が略200V以上で処理するような中高圧コンデンサ用アルミニウム箔の場合は、好ましくはSi:5〜50ppm 、Fe:5〜50ppm 、Cu:25〜70ppm を含有するアルミニウムや、JIS H 2111に記載される方法に準じて測定されるAl純度99.98以上のアルミニウムに限らず、さらにZn,Ga等の元素を任意に選択して含有させたアルミニウム合金でもよい。 【0009】なお、Pbは中高電圧用コンデンサ箔には通常添加される元素で、本発明のアルミニウム箔にもPbを添加することが好ましい。即ちPbは箔面積拡大のエッチング処理に使用する電解液との反応性を促進させることにより、初期のトンネルピット数を増加させる効果があるので、その後のピット径拡大処理と15atomic%の酸素濃度に至るまでの深さが深いことによる効果と相まって、静電容量の高いアルミニウム箔が得られる。 【0010】特にPbの含有量を箔の表面から0.1μmの深さ部分に40〜2000ppmとすると好ましい。箔の表面から0.1μmの深さ部分に含有されるPb量が下限値未満であると上記の効果が少なく、また上限値を超えると過剰の反応性を箔表面の過剰溶解を示し易く、静電容量の高い箔が得難くなる。このようなPb量とするには、例えばアルミニウム溶湯中にPbを4ppm 以下添加し、箔を最終焼鈍処理で略470℃程度の温度以上に加熱保持すれば達成できる。 【0011】15atomic%酸素濃度に至るまでの深さは下記の方法で定義する。即ち、オージェ電子分光分析装置(AES)によって酸素のデプスプロファイルを測定し、15atomic%酸素濃度の深さを求める。一般に化成電圧略200V以上で処理される箔は中高電圧用のコンデンサ箔とされる。このような箔はアルミニウム箔を製造する最終段階で焼鈍処理して再結晶粒の(100)面が圧延面に揃うようにされる。 【0012】上述の中高電圧用のコンデンサアルミニウム箔は、一例として下記のようにしてエッチングされる。即ち、最終焼鈍して再結晶粒の(100)面が圧延面に揃った厚さ80〜120μm程度のアルミニウム箔を電解液中で該箔を陽極とし、直流を印加して一次エッチング処理を施し箔表面に初期トンネルピットを形成する。 【0013】この一次直流電解エッチング処理において、印加する電流密度の好ましい範囲は100〜300mA/cm2 で、この範囲であると好ましい数の初期トンネルピットが形成される。一次エッチング処理で使用する電解液は、塩酸、硫酸、燐酸、硝酸などを含有する酸水溶液などの公知のものでよく特に限定されるものではない。 【0014】この一次エッチング処理の電解液温度が高いと反応が促進されて好ましいが、高温に過ぎると反応が速過ぎて箔表面の溶解が激しく均一な初期トンネルピットを形成し難くなる。好ましい処理温度は60〜95℃である。また好ましい処理時間は2〜4分程度である。処理時間は電気量で15〜30クーロン/cm2 が好ましい。 【0015】アルミニウム箔の表面から測定して、15atomic%酸素濃度に至るまでの深さの平均値が100Å未満であり、またはその深さが平均値の1/3未満であると、上記の条件で一次エッチング処理して初期トンネルピットを形成するときに、優先的に箔表面が溶け易くなり、好ましいピット形状を形成できずに、次いで処理する二次エッチング処理後の箔の拡面率を下げ、静電容量が高くならない。 【0016】上述の酸素は主としてAlの酸化物として存在し、圧延板表面の酸化物と箔のアルミニウムとが圧延時に混練され、箔表面から箔内部へ圧入されたものと考察され、箔の最終焼鈍時に無酸素状態で加熱されたものである。また15atomic%酸素濃度に至るまでの深さの平均値が300Åを超え、またはその深さが平均値の3倍を超えると、局部的に表面が溶け難くなり、その部分は初期トンネルピットの発生が少なく、二次エッチング後の拡面率を下げ、静電容量の低下を引き起こす。即ち15atomic%酸素濃度に至るまでの深さの平均値が100〜300Åであり、その酸素濃度に至るまでの深さが前記深さの平均値の1/3〜3倍の範囲内にあると、初期トンネルピットの数が多くかつ均一に形成され、酸化物が深いところまであるので、二次エッチング処理でのピット径拡大処理においてピットくずれが減少し、拡面率が向上し、静電容量が高くなるものと思われる。 【0017】ここで15atomic%酸素濃度は、箔表面からの酸化物の存在する程度を定量化するための指標であると共に二次エッチング処理で初期トンネルピット径の拡大処理においてピット形状の形くずれ防止能を備えた酸化物を意味しているものである。ここで二次エッチング処理による初期トンネルピット径の拡大処理は、直流電解処理、化学処理、または両者の併用による二次エッチング処理を行い、初期トンネルピットの径を拡大してトンネル状のピットとする。このトンネル状ピットの長さは、箔厚さとエッチング処理された箔の用途によって異なるが数μmから数十μmと幅がある。 【0018】二次エッチング処理の条件は、本発明を限定するものではないが、例えば電解液は塩酸に少量の硫酸、燐酸、蓚酸などを加えた酸水溶液や希硝酸を加えた酸水溶液が好ましい。また電流密度は60〜200mA/cm2 、処理温度は60〜95℃、処理時間はピットの拡径の寸法にもよるが2〜10分が適当である。このようにしてエッチング処理して表面積の拡大されたコイル箔は、この箔を陽極として化成処理を行うが、電解液としては例えば硼酸アンモニウム、りん酸アンモニウム、有機酸アンモニウムなどの緩衝溶液を用いて、用途によって約200V以上の電圧を一段または多段階で印加して化成処理を行うものである。 【0019】上述した中高圧用コンデンサ用アルミニウム箔のエッチング処理に先だって、箔の表面を脱脂および表面調整等のために酸またはアルカリ液で処理してもよく、例えば処理液は0.05〜1モル/Lの硝酸または苛性ソーダ水溶液、温度は40〜60℃である。次にアルミニウム箔の製造方法について説明する。 【0020】精製された高純度アルミニウムを配合して所定組成に調整されたアルミニウム溶湯を半連続鋳造法で厚さ例えば400〜550mm程度の鋳塊に鋳造する。該鋳塊は鋳造偏析などの除去のために好ましくは450℃以上の高温で保持して均質化処理する。均質化処理された鋳塊は圧延され、板の厚さで例えば70〜150mm程度まで粗圧延する。この粗圧延の終了温度は高温とし、例えば400℃以上が好ましい。この終了温度を高温とするのは次工程の仕上げ熱間圧延工程でワークロールにロールコーティング層を形成し易くするためのものである。このロールコーティング層は圧延板の表面がワークロールで薄い小片状に剥がされ、この剥がされたアルミニウムの微小薄片がロール表面に堆積したものと考えられる。 【0021】粗熱間圧延後の仕上げ熱間圧延は、粗圧延された厚さ70〜150mm程度の圧延板を例えば3〜7パス程度の圧延パス回数で好ましくは3〜12mm程度の仕上げ熱間圧延板とされる。この仕上げ熱間圧延でワークロール表面に堆積したロールコーティング層が圧延板に移動するが、この移動したロールコーティング層は圧延板表面を汚染するものと考えられ、圧延板の表面を清浄に保つためにワークロールをブラシなどで拭うと共に圧延油で流し取っていたが、本発明ではこのワークロールの拭いを慎重にコントロールし、適当な量のロールコーティング層を仕上げ熱間圧延板に移動させることによって、次いで冷間圧延して得られたアルミニウム箔の表面から深い位置までアルミニウムの酸化物をもたらすことができたものと考えられる。 【0022】上述の熱間仕上げ圧延でワークロール表面に堆積したロールコーティング層を仕上げ熱間圧延板に移動させるには、アルミニウムを高純度のものとし、あるいは仕上げ熱間圧延時のワークロールに入る粗熱間圧延板を高温度のものとしたり、仕上げ熱間圧延を高圧下率で圧延したりすることで可能である。このアルミニウムの酸化物を透過型電子顕微鏡で観察すると高温で酸化させた酸化皮膜の如き緻密な膜とは異なったアモルファスであることが観察される。 【0023】仕上げ熱間圧延のワークロールの拭いをコントロールするには、ワークロールに接触させる拭い治具(ワークロールブラシと呼ぶことにする)の圧力をコントロールしてもよく、あるいはそれぞれの圧延パスでワークロールブラシを使用したり、使用中止することでコントロールすることができる。仕上げ熱間圧延板表面に移動したロールコーティング層の厚さを、0.1〜5μmとすることで、爾後の箔厚さまでの圧延で、箔に対して箔表面から深い位置までアルミニウムの酸化物をもたらすことができる。この仕上げ熱間圧延板表面に移動したロールコーティング層の厚さが下限値未満ではアルミニウム箔の深い所まで酸化物をもたらすことができず、二次電解エッチング処理で表面溶解を起こし拡径したトンネル状ピットの形状が崩れ、静電容量を高くできない。また上限値を超えると、一次電解エッチング処理による初期ピット数が少なく、静電容量を高くできない。 【0024】上述のロールコーティング層が所定厚さ移動した熱間仕上げ圧延板は、さらに冷間圧延され、厚さにして例えば80〜120μm程度の箔に圧延される。次いでこの箔は再結晶粒の(100)面を圧延面に揃える目的で470〜650℃の温度に加熱保持して最終焼鈍処理を施こす。この焼鈍温度で上述のアモルファス状のロールコーティング層が酸やアルカリに対して耐食性を有する強固な皮膜に変化し、結果として二次電解エッチング処理によって拡面率の高い、静電容量の高い箔が得られるものと思われる。 【0025】この熱間仕上げ圧延板を冷間圧延してアルミニウム箔に圧延する冷間圧延中の何れかの厚さの箔に対して、該箔の表面の圧延油、塵、表面傷等の除去のために、硝酸などの酸性の処理液や苛性ソーダなどのアルカリ性の処理液で、処理液の温度に依存するが、箔表面を10〜30秒程度の時間で中間洗浄してもよい。なお、上記仕上げ熱間圧延板のその後の冷間圧延ではワークロールと圧延板との間でアルミニウムの表面が摩耗した摩耗粉が発生し、その一部は冷間圧延板に移るが、その摩耗粉だけでは冷間圧延で箔表面の深い位置までアルミニウムの酸化物をもたらすことができない。なぜならば冷間圧延で発生する上記摩耗粉はその量が少なく、また圧下率を高くしても、板が延ばされるだけで本発明の如き深い位置までアルミニウムの酸化物をもたらすことができない。 【0026】 【実施例】<試料の調整>Pb:0.8ppm 、Si:15ppm 、Fe:10ppm 、Cu:50ppm のアルミニウム純度99.99wt%以上の、半連続鋳造法で得られた厚さ530mmのスラブを用意し、このスラブを600℃で10時間保持の均質化処理を施し、室温でスラブの両面を厚さ15mm面削し、再加熱して500℃で粗熱間圧延し厚さ75mmの粗熱間圧延板とした。 <仕上げ熱間圧延>次いで仕上げ熱間圧延を6パスとし、圧下率を約30%とし、厚さ約9mmの仕上げ熱間圧延板とした。仕上げ熱間圧延の開始温度は450〜420℃、終了温度は330〜300℃であった。 【0027】この仕上げ熱間圧延を6パスにおいてワークロールの拭い治具としてナイロン製のワークロールブラシを用い、該ナイロン製ブラシの使用(ON)、ナンロンブラシを使用しない(OFF)として圧延した。このON,OFFを組み合わせて圧延し、上記の厚さ9mmの仕上げ熱間圧延板とした。この仕上げ熱間圧延板のロールコーティング層の厚さを測定した。測定はミクロトーム切片を用いた透過型電子顕微鏡観察によって求めた。結果を表1に示す。透過型電子顕微鏡観察の条件は以下のとおりであった。すなわち、ミクロトーム切片を加速電圧200kV、倍率5000倍で観察し、最表層から金属アルミ部とコントラストが異なる境界までをコーティング層として厚さを写真から求めた。観察視野は1試料あたり5点とした。 <冷間圧延>このようにして得られた上述の厚さ約9mmの仕上げ熱間圧延板を冷間圧延し、厚さ0.25mmの冷間圧延板を得た。この冷間圧延板に対して、下記条件で中間洗浄を施した冷間圧延板とこの中間洗浄を施さない冷間圧延板とを用意した。 【0028】洗浄の条件処理液 苛性ソーダ1モル/L水溶液温度 50℃時間 20秒<箔圧延>上記用意した2種類の冷間圧延板を更に冷間圧延して、厚さ106μmの箔とした後、Ar雰囲気中で530℃×6時間の最終焼鈍処理を施して試料箔を作製した。 【0029】該箔の表面から0.1μm部分のPb量を化学分析したところ800ppm であった。この試料箔の15atomic%酸素濃度の深さを測定した。測定は10箇所の観察視野とし、オージェ電子分光法によって下記条件で測定した酸素の深さ方向デプスファイルから15atomic%酸素濃度の深さとして求め、平均値および深さの値の10箇所のうちで最大値と最小値を厚さの範囲として求めた。結果を表1に示す。 【0030】 オージェ電子分光法測定条件装置 VG社製MICROLAB 310D電子線系 電子線源 LaB6フィラメント 加速電圧 10KV フィラメント電流 0.1mA 測定領域 約100μm×100μm 照射電流 約20〜30nA(ファラデーカップ計測) イオン銃系 イオン銃 VG社製EX050イオン銃(作動排気型) 加速電圧 3KV フィラメント電流 5mA 照射電流 約500nA(ファラデーカップ計測) 膜厚測定用標準物質 0.2μmアルマイト皮膜または0.1μm タンタルオキサイドによってスパッタレート 測定<電解エッチング>これらの箔に対して、下記条件で一次および二次電解エッチング処理をし、次いで硼酸系水溶液中で200Vおよび400Vの化成処理を施して静電容量を測定した。結果を表1に示す。 【0031】 一次電解エッチング処理条件 電解液 塩酸0.8モル/Lおよび硫酸3.4モル/Lの混合水溶液 電流密度 直流150mA/cm2 時間 160秒 温度 80℃ 二次電解エッチング処理条件 電解液 硝酸1.3モル/Lの水溶液 電流密度 直流100mA/cm2 時間 300秒 温度 75℃表1の結果によれば、箔表面の15atomic%酸素濃度の深さの平均値および厚さの範囲が本発明条件内にある(試料符号2−1,2−2,3−1,3−2,4−1,4−2,5−1,5−2)箔の静電容量は高いことが判る。 【0032】また仕上げ熱間圧延板表面のロールコーティング層の厚さが本発明範囲にある(試料符号2−1,2−2,3−1,3−2,4−1,4−2,5−1,5−2)箔は、箔表面の15atomic%酸素濃度の深さの平均値および厚さの範囲が本発明範囲にあり、静電容量の高い箔が得られることが判る。 <比較例1>仕上げ熱間圧延において、各パス(6パス)全てにナイロン製のワークロールブラシを使用(試料符号1−1,1−2)してワークロールのロールコーティング層を除去した条件、およびナイロン製ワークロールブラシ使用パスを2パス(試料符号6−1,6−2)にしてワークロールのロールコーティング層を厚くした条件で、その他実施例と同じ条件で圧延し箔を得、実施例と同じ事項を同じ条件で測定した。結果を表1に示す。 【0033】表1の結果によると、箔表面の15atomic%酸素濃度の深さの平均値および厚さの範囲が本発明条件を外れる(試料符号1−1,1−2,6−1,6−2)箔の静電容量は低いことが判る。また仕上げ熱間圧延板表面のロールコーティングの厚さが本発明条件を外れる(試料符号1−1,1−2,6−1,6−2)板から箔を製造する場合は、箔表面の15atomic%酸素濃度の深さの平均値および厚さの範囲が本発明条件を外れ静電容量の高い箔が得られないことが判る。 <比較例2>また実施例中試料No. 3−1,3−2と同じ仕上げ熱間圧延ブラシングパターンを用い、しかし仕上げ熱間圧延初期のF5圧延の圧下率を50%、F1,F2圧延の圧下率を各17%として、箔表面の15atomic%酸化物厚さがバラツクようにして熱間圧延し、厚さ約9mmの仕上げ熱間圧延板とした。冷間圧延と箔圧延は実施例と同様に圧延した。測定項目は実施例と同じ項目とした。結果を表1に示す。 【0034】表1の結果によると、中間洗浄無しの場合(試料No. 7−1)では箔表面の15atomic%酸化物厚さに厚い箇所(本発明条件を外れる)があって、静電容量の低くなることが判る。また中間洗浄有りの場合(試料No. 7−2)では箔表面の15atomic%酸化物厚さに薄い箇所(本発明条件を外れる)があって、静電容量の低くなることが判る。 【0035】 【表1】
【0036】上記結果を、前出の特開平10−326726号公報記載の従来技術と比較すると、本発明の優位性は更に明確になる。すなわち、上記公報の実施例には、化成電圧375Vで処理した箔により得られた静電容量として0.67〜0.78μF/cm2 が記載されている。これに対して本発明によれば、表1に示したように化成電圧400Vのときに静電容量1.00〜1.04μF/cm2 が得られており、上記従来技術に対して大幅に向上していることが分かる。一般に、化成電圧が高くなるほど静電容量は低下することが知られている。この事実を考慮すると、従来技術よりも高い化成電圧で従来技術よりも高い静電容量が得られたことは、従来技術からは容易に予期し得ない顕著な効果であると言える。 【0037】 【発明の効果】上述した如く、本発明の高電圧コンデンサ用アルミニウム箔は静電容量が高いから、小型化に対応できる効果を有する。またその製造方法も特別な工程を要さずに従来の熱間圧延におけるロールコーティング層を利用しただけのものであるから、製造が容易である効果を有する。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000004743 【氏名又は名称】日本軽金属株式会社 【識別番号】399054321 【氏名又は名称】東洋アルミニウム株式会社
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| 【出願日】 |
平成12年8月11日(2000.8.11) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100077517 【弁理士】 【氏名又は名称】石田 敬 (外3名)
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| 【公開番号】 |
特開2002−57076(P2002−57076A) |
| 【公開日】 |
平成14年2月22日(2002.2.22) |
| 【出願番号】 |
特願2000−245152(P2000−245152) |
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