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【発明の名称】 積層セラミック電子部品
【発明者】 【氏名】丸岡 正人

【氏名】中川 卓二

【氏名】高木 義一

【氏名】米田 康信

【要約】 【課題】積層セラミックコンデンサ素子などの電子部品素子の外部電極と金属端子との接着面積の制御が容易な電子部品を提供する。

【解決手段】電子部品10は、両端に外部電極が形成され積み重ねられた複数の積層セラミックコンデンサ素子12と、積層セラミックコンデンサ素子の外部電極16a,16bに接続される金属端子18a,18bとを含む。金属端子には外部電極に当接される面に凹部30が形成され、該凹部に外部電極と金属端子とを接着するための導電性接着剤18が付与されて、該導電性接着剤で前記外部電極の一部分のみが前記金属端子に接着される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 両端に外部電極が形成される積層セラミック電子部品素子、および前記外部電極に接続される金属端子を含み、前記金属端子には前記外部電極に当接される面に凹部が形成され、該凹部に、前記外部電極と前記金属端子とを接着するための導電性接着剤が付与されて、該導電性接着剤で前記外部電極の一部分のみを前記金属端子に接着したことを特徴とする、積層セラミック電子部品。
【請求項2】 前記金属端子は、折り返し部を備え、該折り返し部で折り返された一方片は他方片に対しばね性を有し、該一方片に前記凹部が形成される、請求項1に記載の積層セラミック電子部品。
【請求項3】 前記金属端子の前記外部電極に当接される面に環状に配置される突出部を形成し、該突出部の内側を前記凹部とした、請求項1または請求項2に記載の積層セラミック電子部品。
【請求項4】 前記金属端子には前記凹部に連通する貫通孔が形成され、該貫通孔を通じて導電性接着剤が付与される、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の積層セラミック電子部品。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は積層セラミック電子部品に関し、特にたとえば、DC−DCコンバータなどの電源回路の平滑用のタンタル電解コンデンサなどの置き換えに用いられる高容量の積層セラミック電子部品に関する。
【0002】
【従来の技術】金属端子付きの積層セラミック電子部品は、耐たわみ強度の確保や熱応力を緩和し、耐熱衝撃性の向上を目途として用いられる。そのような積層セラミック電子部品では、一般に、金属端子で積層セラミックコンデンサ素子を基板から浮かすことが行われる。さらに、実開平1−112032号に開示されているように、金属端子を折り曲げることが行われる。これらの技術を用いると、アルミニウム基板などの熱膨張の大きい基板と積層セラミックコンデンサ素子との熱膨張の差を緩和することもできる。このような積層セラミック電子部品の形成には、複数の積層コンデンサ素子間の接合やコンデンサと金属端子との間の接合に導電性樹脂やはんだペーストなどの導電性接着剤が用いられるが、複数の積層セラミックコンデンサ素子の外部電極の端面部の全面と金属端子とを導電性接着剤で接着した場合、導電性接着剤の熱応力の残留や熱歪みが大きいので、接着部に熱的損傷が発生しやすいという問題があった。そこで、特開平8−64467号に開示された技術では、素子の外部電極の端面の一部分のみを金属端子に接着して、導電性接着剤の熱応力による悪影響を低減させるようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、複数の積層セラミックコンデンサ素子の外部電極の端面の一部と金属端子とをはんだペーストで接着する際の接着面積を制御するためには、はんだの組成、量、フラックス量、およびはんだ付け条件を最適化する必要があったため、接着面積の制御は容易ではなかった。そして、接着面積を外部電極の端面の一部分に限定できない場合には、積層セラミックコンデンサ素子間の隙間にはんだやフラックスが侵入し、短絡や絶縁劣化が生じる場合があった。
【0004】それゆえに、この発明の主たる目的は、積層セラミックコンデンサ素子などの積層セラミック電子部品素子の外部電極と金属端子との接着面積の制御が容易な積層セラミック電子部品を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】この発明にかかる積層セラミック電子部品は、両端に外部電極が形成される積層セラミック電子部品素子、および外部電極に接続される金属端子を含み、金属端子には外部電極に当接される面に凹部が形成され、該凹部に、外部電極と金属端子とを接着するための導電性接着剤が付与されて、該導電性接着剤で外部電極の端面部の一部分のみを金属端子に接着したことを特徴とする、積層セラミック電子部品である。また、金属端子は、折り返し部を備え、該折り返し部で折り返された一方片は他方片に対しばね性を有し、該一方片に凹部が形成されるようにすることが好ましい。さらに、金属端子の外部電極に当接される面に環状に配置される突出部を形成し、該突出部の内側を凹部として用いてもよい。また、金属端子には凹部に連通する貫通孔が形成され、該貫通孔を通じて導電性接着剤が付与されることが好ましい。
【0006】この発明にかかる積層セラミック電子部品では、外部電極の端面部の一部分のみを導電性接着剤で金属端子に接着しているので、導電性接着剤の熱応力が緩和され、接着部に熱的損傷が生じることが低減される。また、凹部を設けてその内側に導電ペーストを付与しているので、接着面積の制御が容易になり、積層セラミック電子部品素子間の隙間にはんだやフラックスが侵入して短絡や絶縁劣化が生じることを防止できる。
【0007】この発明の上述の目的、その他の目的、特徴および利点は、図面を参照して行う以下の発明の実施の形態の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【0008】
【発明の実施の形態】図1はこの発明にかかる実施例の積層セラミック電子部品を示す斜視図である。図1に示す積層セラミック電子部品10は、3つの積層セラミックコンデンサ素子12,12,12を含む。
【0009】積層セラミックコンデンサ素子12は、たとえばチタン酸バリウム系の誘電体からなる複数の誘電体層と、たとえばNiなどの電極材料からなる複数の内部電極とを、交互に積層して形成された積層体14を含む。この積層体14は厚みが2.5mm、幅長が5.0mmのものが用いられる。また、積層体14の各素子12の両端部には、Cu層,Ni層およびSn層をこの順に積層してなる外部電極16a,16bが形成される。外部電極16a,16bは、Cuペーストを厚さ塗布し焼き付けることによって形成されたCu層、湿式めっきによって形成されたNi層、およびSn層により形成される。
【0010】3個の積層セラミックコンデンサ素子12,12,12は、たとえばFe−Cr製の2つの金属端子20aおよび20bに、リフローはんだ付けされる。
【0011】図3に示すように、一方の金属端子20aは、中間部22aを含む。中間部22aの上端縁には、短冊状の折曲部25aを介して素子当接部24aが連続的かつ一体的に形成される。素子当接部24aは中間部22aに間隔を隔てて対向するように形成される。この間隔は折曲部25aの幅長により決定される。また、中間部22aの下端縁には、板状の基板当接部26aが中間部22aとほぼ直角方向にのびて一体的に形成される。積層セラミック電子部品10の実装時には、基板当接部26aが図示しない基板の実装ランド上にはんだ付けされる。素子当接部24aは、折曲部25a、中間部22aおよび基板当接部26aに対してばね性を有する。さらに、金属端子20aの素子当接部24aには、図2および図3に示すように、積層セラミックコンデンサ素子12の外部電極16aに対応して、たとえば3つの略矩形状の凹部30,30,30が形成される。それぞれの凹部30の面積は外部電極16aの外側端面の面積よりも小さく形成される。それぞれの凹部30内には、導電性接着剤としてのはんだペースト18がたとえば0.2mg(0.04mg/mm2 )ずつ付与される。凹部30,30,30間の素子当接部24aの面は、はんだペーストが素子12,12,12間の隙間に侵入することを防止するため、素子12,12,12間の隙間に当接するよう形成される。他方の金属端子20bも同様に形成される。
【0012】3個の積層セラミックコンデンサ素子12,12, 12のそれぞれの外部電極16a,16bは、リフローはんだ付けによって、金属端子20a,20bに接合される。この積層セラミック電子部品10では、凹部30を設けてその内部にはんだペースト18を付与するので、接着面積の制御が容易である。
【0013】図4は比較例の積層セラミック電子部品を示す斜視図である。図4に示す積層セラミック電子部品11は、図1に示した積層セラミック電子部品10と比べて、金属端子の形状のみが異なるものである。比較例の積層セラミック電子部品11の金属端子21a,21bは、図5および図6に示すように、中間部22a,22bの上端部に折曲部25a,25bを介して平板状の素子当接部24a,24bが連続的かつ一体的に形成される。この素子当接部24a,24bは中間部22a,22bとの間に間隔をおきながら対向するように形成される。素子当接部24a,24bは、中間部22a,22b、折曲部25a,25b、および基板当接部26a,26bに対してばね性を有して形成される。
【0014】そして、金属端子20a,20aの素子当接部24a,24bには、図6に示すように、積層セラミックコンデンサ素子12の外部電極16a,16bに対応して、それぞれ3個所に導電性接着剤としてのはんだペースト18が、たとえば0.2mg(0.04mg/mm2 )ずつ付与される。この後、積層セラミックコンデンサ素子12の外部電極16,16bと金属端子21a,21bとは、リフローはんだ付けされる。
【0015】そして、実施例と比較例の積層セラミック電子部品をアルミニウム基板に実装し、以下の試験を行った。
■ 初期短絡不良は、直流電圧50Vを5秒印加して、絶縁抵抗が106 Ω以下のものを不良とした。
■ 熱衝撃サイクル特性は、−55℃〜125℃の熱変化を1サイクルの熱衝撃として、250サイクルの熱衝撃を印加したときと、500サイクルの熱衝撃を印加したときとにおいて、静電容量の変化(減少)が10%以上の不良発生率(不良発生数/全体数)を調べた。
■ プレッシャークッカー試験は、温度100℃、圧力2気圧、試験時間100時間、の試験後に絶縁抵抗106 Ω以下に低下したものを不良とした。
【0016】
【表1】

【0017】表1に示すように、実施例では積層セラミックコンデンサ素子の外部電極と金属端子との接着面積を、外部電極の端面面積の40%に制御することができた。それに対し、比較例では接着面積が外部電極の端面面積の90%に達し、素子間にはんだペーストが侵入したものが生じた。なお、表1において、接着面積は、積層セラミックコンデンサ素子12の1個あたりの面積である。そのため、実施例では初期短絡不良が発生しなかったのに対し、比較例では発生した。また、プレッシャークッカー試験においても、実施例では絶縁不良が生じなかったのに対し、比較例では絶縁不良が発生した。さらに、実施例では熱衝撃サイクル試験後の容量落ち不良が発生しなかったのに対し、比較例では発生した。
【0018】図7は本願発明の積層セラミック電子部品に用いられる金属端子の変形例を示す斜視図であり、図8はその断面図である。この金属端子20aは、素子当接部24aの主面にたとえば矩形環状に配列された突出部32が積層セラミックコンデンサ素子12の外部端子16aへ向かって突き出し形成される。そして、この突出部32で囲まれた内側に導電性接着剤としてのはんだペースト18が付与される。すなわち、突出部32で囲まれた内側がこの変形例の凹部30となる。突出部32は、素子当接部24aとは別の部材で形成してもよく、図1に示した実施例と同様に素子当接部24a自体をプレス加工等により変形させて形成してもよい。他方の金属端子20bも同様に形成される。この変形例の金属端子20a,20bを用いて形成した積層セラミック電子部品10でも図1の実施例と同様の作用効果を得ることができる。
【0019】図9は本願発明の積層セラミック電子部品に用いられる金属端子の他の変形例を示す断面図である。この金属端子20a(20b)は、素子当接部24a(24b)と基板当接部26a(26b)とが一体的に形成された略L字形状のものである。素子当接部24a(24b)の一方面には、積層セラミックコンデンサ素子12の外部電極16a,16bに対応する凹部30が形成される。凹部30の底には、素子当接部24a(24b)の他方面に連通する貫通孔23が形成される。この貫通孔23を通じて凹部30内に導電性接着剤としてのはんだペースト18が注入付与される。この変形例の金属端子20a,20bを用いて形成した積層セラミック電子部品10でも図1の実施例と同様の作用効果を得ることができる。
【0020】なお、上述の実施例では3個の積層セラミックコンデンサ素子を金属端子で接合したものについて説明したが、この発明では、これに限るものではなく、素子は1個でもよく、2個または4個以上のでもよいのはもちろんのことである。
【0021】また、上述の各実施例では外部電極がCu層、Ni層およびSn層の3層構造に形成されているが、外部電極ははんだがつくなら他の材質、構造であってもよい。
【0022】また、金属端子の材質は、Fe−Cr,黄銅に限らず、Ag,Ni,Cu,Fe,Cr,Al,Zrあるいはこれらの合金やクラッド材などで構成してもよい。
【0023】さらに、この発明は、積層セラミックコンデンサに限らず、インダクタやバリスタ、多層部品等、その他の積層型セラミック電子部品に適用してもよい。
【0024】
【発明の効果】この発明によれば、外部電極の端面部の一部分のみを導電性接着剤で金属端子に接着しているので、導電性接着剤の熱応力が緩和され、接着部に熱的損傷が生じることが低減される。また、凹部を設けてその内側に導電ペーストを付与しているので、接着面積の制御が容易になり、積層セラミックコンデンサ素子間の隙間にはんだやフラックスが侵入して短絡や絶縁劣化が生じることを防止できる。
【出願人】 【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
【出願日】 平成12年8月11日(2000.8.11)
【代理人】 【識別番号】100079577
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 全啓
【公開番号】 特開2002−57064(P2002−57064A)
【公開日】 平成14年2月22日(2002.2.22)
【出願番号】 特願2000−244744(P2000−244744)