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【発明の名称】 防爆型フィルムコンデンサ。
【発明者】 【氏名】福尾 英二

【要約】 【課題】従来の油含浸型フィルムコンデンサのように、コンデンサ素子が短絡して爆発し、油が飛散することのない安全で低背な防爆型フィルムコンデンサを構成することである。

【解決手段】コンデンサ素子の外周にガラス布を捲回し、底部に金属板を当接させて補強し、上部メタリコン電極に厚さ0.05mm〜0.5mmの皿状の軟金属板よりなるベローズを接続し、減圧孔を備える上部の電極蓋を空間を隔てて嵌合接続した防爆型フィルムコンデンサを構成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】誘電体フィルムと金属箔を積層捲回し、両端にメタリコン電極を形成したコンデンサ素子を絶縁ケースに収納し、上下の電極蓋とメタリコン電極を接続し、絶縁油を充填封止してなる油含浸フィルムコンデンサにおいて、上部のメタリコン電極を易変形性ベローズに接続し、該ベローズに減圧孔を備える上部の電極蓋を空間を隔て嵌合接続したことを特徴とする防爆型フィルムコンデンサ。
【請求項2】請求項1記載の防爆型フィルムコンデンサにおいて、前記ベローズが、厚さが0.05〜0.5mmの皿状の軟金属板であることを特徴とする防爆型フィムルコンデンサ。
【請求項3】請求項1および2記載の何れかの防爆型フィルムコンデンサにおいて、前記コンデンサ素子の外周にテープを捲回し、底部メタリコン電極全面に金属板を当接接続し、該金属板を底部電極蓋に接続したことを特徴とする防爆型フィルムコンデンサ。
【請求項4】請求項1〜3に記載の何れかの防爆型フィルムコンデンサにおいて、前記コンデンサ素子の少なくとも上部のメタリコン電極が複数の島状に形成されていることを特徴とする防爆型フィルムコンデンサ。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は,誘導加熱装置または共振型インバータの共振回路などに用いられる、絶縁油を充填し封止された大電力、大電流用の防爆型フィルムコンデンサに関する。
【0002】
【従来の技術】大電流用のフィルムコンデンサ素子は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリフェニレンスルファイド(PPS),ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)などの誘電損失が小さく、絶縁耐力にも優れた有機高分子フィルムと、アルミなどの金属箔を、交互に重ねて巻き取り、外周部の前記有機高分子フィルムを熱融着させ、両端にメタリコン電極を溶射してコンデンサ素子を形成し、絶縁ケースに入れ油含浸して封止していた。
【0003】コンデンサの構造を製造方法面から説明すると、特願平11−253797に提示されているように、図2に示すように有機高分子フィルムとアルミなどの金属箔を交互に重ねて、捲き芯に捲回し両端に金属溶射をしてメタリコン電極を形成したコンデンサ素子を、絶縁樹脂で形成された円筒ケースに収容して複数の穴部を設けた電極蓋をケース両端に嵌合させて、一方の電極蓋の穴部において前記コンデンサ素子のメタリコン電極と電極蓋との接続および密閉封止し、ついで他方の電極蓋の穴部より絶縁油を充填した後に、メタリコン電極と電極蓋との接続および密閉封止を同時に行い油含浸型フィルムコンデンサを形成していた。
【0004】また、前記コンデンサ素子両端の金属箔へのメタリコン電極を放射状に分割形成して油含浸を容易にして、それぞれの分割電極が電極蓋に設けられた複数の穴部において接続して、残留インダクタンス値を小さくし電流容量を大きくしていた。しかしながら従来の構造では、コンデンサ素子が短絡を起こした場合、瞬間的にケースが爆発して中の油が飛散して周辺の回路を破損する事故を連鎖的に生じていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従来の構造における油含浸型コンデンサのように、コンデンサ素子が短絡を起こした場合、瞬間的にケースが爆発して中の油が飛散し、周辺の回路を破損する事故を連鎖的に生ずることなく、コンデンサ素子の導通が遮断されて、安全な状態を維持する防爆型フィルムコンデンサを実現することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】第1の発明は、誘電体フィルムと金属箔を積層捲回し、両端にメタリコン電極を形成したコンデンサ素子を、絶縁ケースに収納し上下の電極蓋とメタリコン電極を接続し、絶縁油を充填し封止してなる油含浸フィルムコンデンサにおいて、上部のメタリコン電極を易変形性ベローズに接続し、該ベローズに減圧孔を備える電極蓋を、空間を隔てて嵌合接続したことを特徴とする防爆型フィルムコンデンサである。
【0007】図1の断面図に示すように、捲芯5に捲回したコンデンサ素子11の上部メタリコン電極3を易変形性ベローズ1に、はんだ接続部2で接続し、該ベローズが図3の完成図に示す減圧孔12と外部端子取り付け用の端子電極14を備える電極蓋13に、空間4を隔てて接続されているので、コンデンサ素子が短絡した場合に発熱で油が沸騰してケース内部の圧力が瞬時に高くなり、コンデンサ素子上部のメタリコン電極に接続された易変形性ベローズを押し上げて変形させる。このとき、ベローズに接続されたメタリコン電極が、コンデンサ素子の捲回された電極箔端部から剥離され、開放状態となるので短絡電流が遮断される。このため、減圧孔を備える電極蓋との間にベローズが押し上げられるための、所定量の空間を隔てておく必要がある。
【0008】第2の発明は,前記の防爆型フィルムコンデンサにおいて、前記ベローズが、厚さが0.05〜0.5mmの皿状の軟金属板であることを特徴とする防爆型フィルムコンデンサである。
【0009】図4に示す皿上の軟金属板よりなる薄型のベローズ1において、前記のメタリコン電極を剥離するための、最小限の空間を上部電極蓋との間に備えるベローズの厚みは、0.05mm以下では強度が弱過ぎてベローズの変形のみでケース内部の圧力増加を吸収してしまい、メタリコン電極が全面で剥離され難くなる。また、0.5mm以上ではコンデンサ内部の圧力上昇でベローズが変形し難く、メタリコン電極を剥離するまで変形させるためには、外装ケースの強度を持たせる必要があり、ケースの軽量化、低価格化が意図できない。
【0010】第3の発明は,前記の防爆型フィルムコンデンサにおいて、コンデンサ素子外周に補強テープを捲回し、該テープを樹脂で固定した前記コンデンサ素子の底部メタリコン電極全面に金属板を当接接続し、該金属板を底部電極蓋に接続したことを特徴とする防爆型フィルムコンデンサである。
【0011】コンデンサ素子が短絡したとき、コンデンサ内部の圧力上昇でベローズを変形させるためには、図1に示すように樹脂ケース7の強度を持たせることよりも、コンデンサ素子の底部を金属板9で補強し、外周を補強テープ10を捲回して補強することで、上部のベローズを変形させる内部圧力に耐える強度に増しておけば、コンデンサ素子内の圧力増加でベローズが変形し電極を剥離するので、汎用のケースを用いた防爆型フィルムコンデンサが構成できる。外周の補強テープには、ポリアラミドテープやガラスクロステープなどが用いられる。
【0012】第4の発明は,前記の防爆型フィルムコンデンサにおいて、前記コンデンサ素子の上部メタリコン電極が複数の島状に形成されていることを特徴とする防爆型フィルムコンデンサである。
【0013】コンデンサ素子が短絡して前記ベローズを押し上げて、メタリコン電極をコンデンサ素子より剥離し易くするため、図1の断面図に示すように非メタリコン部6を設けて、複数の島状にメタリコン電極3を形成して、上部ベローズおよび底部補強金属板9と、接続部2で接続し底部はネジ穴8でネジ止め固定し、メタリコン電極がコンデンサ素子から剥離し易くしておく コンデンサ素子短絡時のケース内部の増加圧力が、ベローズの変形およびメタリコン電極の剥離に作用するように、ベローズの変形し易さと、メタリコン電極の剥離し易さのバランスをとっておく。島状のメタリコン電極形状は、コンデンサ素子の中心から放射状に切り離された扇子状のメタリコン電極に形成して、残留インダクタンスが大きくならず、且つ油の含浸性を良くしておく。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明の防爆型フィルムコンデンサは、ケース内のコンデンサ素子が短絡し内部の増加した圧力で、コンデンサ素子の一方のメタリコン電極に接続するベローズを変形させ、同時にメタリコン電極をコンデンサ素子から剥離させ、開放状態にする。また、ベローズとして皿状の薄い軟金属板を用いることで、厚みの薄いベローズとなりケースの高さも低背化できるさらに、コンデンサ素子の外周および底部を補強し、コンデンサ素子短絡時の増加圧力をベローズに吸収させ、メタリコン電極を複数の島状に形成し、剥離し易くしておく。
【0015】
【実施例1】以下、本考案の実施の形態例について製造方法面より説明する。外径;20mmΦ、長さ;100mmの、材質;ポリアセタールよりなる巻芯に、厚さ;30μm、幅;100mmの3枚重ねのポリプロピレン(PP)フィルムと、厚さ;6μm、幅;90mmのアルミニウム箔を、ポリプロピレン(PP)フィルムより2mm端み出させて交互に2層積層して、外径;95mmΦのフィルムコンデンサ素子を捲き取った。
【0016】つぎに、コンデンサ素子に厚さ;20μm、幅;100mmのガラス布を10回巻いて、エポキシ樹脂を含浸し硬化させて補強したコンデンサ素子の両端に、油含浸通路用に十文字状のマスキングをして、錫合金をメタリコンして、外径;95mmΦ、長さ;105mmのメタリコン電極付きコンデンサ素子を形成した。
【0017】ついで、底部電極に厚さ2mmの黄銅板を当接接続して補強したコンデンサ素子を、内径;100mmΦ、長さ;105mm、肉厚:5mmのエポキシ樹脂よりなる円筒状ケースに入れて底部電極蓋に接続し、上部から図4に示す肉厚;0.3mmの皿状の軟銅板の油含浸穴と、コンデンサ素子のメタリコン電極との位置を合わせながら被せて外周をエポキシ樹脂でケースに接合させ、皿状軟銅板の穴から油含浸後、該穴よりメタリコン電極と前記皿状軟銅板を、接続して密閉した。
【0018】つぎに、前記の皿状の軟銅板の穴部で、コンデンサ素子のメタリコン電極に接続および気密封止をはんだ付けで処理し、減圧孔を備える上部の電極蓋を嵌合させ外周部で接続して、防爆型フィルムコンデンサを構成した。
【0019】
【発明の効果】本発明の防爆型フィルムコンデンサは、従来の構造における油含浸型コンデンサ素子のように、コンデンサ素子が短絡しても爆発して油が飛散することなく、ケース内部でコンデンサ素子の上部メタリコン電極が剥離して開放され、安全な状態となる。また、コンデンサ素子の外周部と底部の強度を増して、内部圧力を上部のベローズに作用させ、さらに、変形し易い柔らかいベローズを用い、且つメタリコン電極を島状に形成するので、コンデンサ素子の短絡時に瞬時にメタリコン電極が剥離して安全状態となるので、通常の安価なコンデンサケースを用いた防爆型フィルムコンデンサが構成できる。
【出願人】 【識別番号】000201777
【氏名又は名称】双信電機株式会社
【出願日】 平成12年8月9日(2000.8.9)
【代理人】
【公開番号】 特開2002−57061(P2002−57061A)
【公開日】 平成14年2月22日(2002.2.22)
【出願番号】 特願2000−240573(P2000−240573)