| 【発明の名称】 |
平型ケーブルの製造方法及び平型ケーブル製造用の押出成形金型 |
| 【発明者】 |
【氏名】林 正幸
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| 【要約】 |
【課題】シース強度を十分に満足させ、捻りや曲げで簡単に裂けてしまうこともなく、高い施工性を有する平型ケーブルの製造方法等を提供する。
【解決手段】複数の絶縁体22、22を並べて押出成形金型27の芯金29内を走行させた後、押出成形金型27のダイス28及び芯金29の間から溶融樹脂33を連続的に押し出して、芯金29の外へ送り出された複数の絶縁体22、22の上にシース23を被覆する際、押し出される溶融樹脂33の中に、芯金29に設けたピン状の棒部材37を入れて溶融樹脂33の流れを一瞬分流させるようにした。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 導体の上に絶縁体を被覆した複数の絶縁導体と、該複数の絶縁導体を並べた状態でこれらの上に被覆されるシースとを備え、該シースには前記複数の絶縁導体の延在方向にのびる融着不完全な面を形成した平型ケーブルの製造方法であって、前記複数の絶縁体を並べて押出成形金型の芯金内を走行させた後、前記押出成形金型のダイス及び前記芯金の間から溶融樹脂を連続的に押し出して、前記芯金の外へ送り出された前記複数の絶縁体の上に前記シースを被覆する際、押し出される前記溶融樹脂の中に、前記芯金に設けたピン状の棒部材を入れて前記溶融樹脂の流れを一瞬分流させるようにしたことを特徴とする平型ケーブルの製造方法。 【請求項2】 導体の上に絶縁体を被覆した複数の絶縁導体と、該複数の絶縁導体を並べた状態でこれらの上に被覆されるシースとを備え、該シースには前記複数の絶縁導体の延在方向にのびる融着不完全な面を形成した平型ケーブルを製造する際に用いられる押出成形金型であって、ダイスと該ダイスの内側に設置される芯金とを備え、該芯金は、前記シースを被覆するために前記ダイス及び前記芯金の間から押し出される溶融樹脂の流れを一瞬分流させるピン状の棒部材を有することを特徴とする平型ケーブル製造用の押出成形金型。
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【発明の詳細な説明】【0001 】 【発明の属する技術分野】本発明は、平型ケーブルの製造方法と、その平型ケーブルを製造する際に用いられる押出成形金型とに関する。 【0002 】 【従来の技術】従来より平型ケーブルは、VVF(ビニル絶縁ビニルシースケーブル)、EEF(ポリエチレン絶縁耐熱ポリエチレンシースケーブル)、CEF(架橋ポリエチレン絶縁耐熱ポリエチレンシースケーブル)等の各種が知られている。以下、VVFを例にして説明する。 【0003 】一般家屋への送電に採用される平型ケーブル(600Vビニル絶縁ビニルシースケーブル平型)は、並んで配置される複数の絶縁導体と、これらの上に被覆されるシースとを備えている。また、その断面視が略長円状になるように構成されている。上記絶縁導体は、導体(芯線)とその導体の上に被覆される絶縁体とから成り、上記シースはダイスと芯金とを備えた押出成形金型を用いて被覆されるようになっている。このような平型ケーブルは、端部に位置するシースを除去し、絶縁導体を分岐させた上で例えば配電盤等に接続されるようになっている。 【0004 】絶縁導体の分岐についてもう少し詳しく説明すると、カッターを用いて各絶縁導体の分断面に沿うようにシースの外表面をその長手方向に切り欠いて切り溝を形成し、その後に平型ケーブルの端面からカッターを切り入れて引き裂き、各絶縁導体を分岐させるようになっている。 【0005 】ところで、カッターを用いて各絶縁導体を分岐させていることから、比較的大きな力が必要であり、工事の際の施工性に影響を来していた。そのため、実開昭53−24878号公報に開示されるような構成の平型ケーブルが注目されるようになってきた。すなわち、上記公報に開示された平型ケーブルを簡単に説明すると次のようになる。 【0006 】図6及び図7において、引用符号1は上記公報に開示された平型ケーブルを示しており、その平型ケーブル1は、導体2、2の上に絶縁体3、3を被覆した一対の絶縁導体4、4と、その絶縁導体4、4を一括して被覆するシース5とを備えて構成されている。シース5には、上下左右の四カ所に融着不完全な面6、6が形成されており、その融着不完全な面6、6は、製造過程おいて表面層7を除く内側部分8を一旦複数に分離することで得られるようになっている。 【0007 】平型ケーブル1の製造について図8、図9を参照しながら説明すると、引用符号9はシース5を被覆するための押出成形機を示しており、ダイス10と芯金11とを備えた押出成形金型12をその本体部13に取り付けて構成されている。ダイス10と芯金11との間は所定の間隔が保たれて溶融樹脂14が充填されており、その充填された溶融樹脂14がダイス10のランド部と芯金11のランド部の間から押し出されると、シース5になって芯金11の内側から外側へ送り出される絶縁導体4、4を被覆するようになっている。芯金11のランド部には、上下左右のそれぞれの方向に突出する四つの分流板15(上下方向の分流板のみ図示)が形成されており、押し出された溶融樹脂14の流れが分流板15によって分流されるようになっている。 【0008 】溶融樹脂14の流れが分流板15によって分流されると、分流板15を挟んだ両側に溶融樹脂14の分離面が形成され、そして、溶融樹脂14の流れが分流板15の下流で再び結合すると、上記分離面も不完全な状態で融着し合い、分離容易となる融着不完全な面6、6(図6及び図7参照)がシース5に形成される。これにより、平型ケーブル1の端末処理の際、カッター等を用いなくとも手でシース5を簡単に引き裂いて各絶縁導体4、4を分岐させることができるようになる(図6参照)。 【0009 】 【発明が解決しようとする課題】上記公報に開示された従来技術にあっては、工事の際の施工性が改善されるのは言うまでもない。しかしながら、手でシース5を簡単に引き裂くことができることから、シース5の強度が低下しており例えばJIS規格を満足させることができないような場合が生じる恐れがある。また、使用時に平型ケーブル1を捻ったり曲げたりすると、シース5が勝手に裂けてしまったりする場合がある。 【0010 】これは分流板15によって溶融樹脂14の流れを分流させていることが原因であると考えられる。すなわち、分流板15は、溶融樹脂14の流れに沿って延在する板片状の部材であるから、その延在する方向の長さに応じて溶融樹脂14の流れを比較的長く分流させることができるようになっている。従って、溶融樹脂14の流れが分流板15の下流で再び結合するまでに要する時間、距離が長くなれば、樹脂成形上、融着不完全な面6、6同士の融着力が低くなって上記問題点が生じることになる。 【0011 】本発明は、上述した事情に鑑みてなされるもので、シース強度を十分に満足させ、捻りや曲げで簡単に裂けてしまうこともなく、高い施工性を有する平型ケーブルの製造方法及び平型ケーブル製造用の押出成形金型を提供することを課題とする。 【0012 】 【課題を解決するための手段】上記課題を解決するためなされた請求項1記載の本発明の平型ケーブルの製造方法は、導体の上に絶縁体を被覆した複数の絶縁導体と、該複数の絶縁導体を並べた状態でこれらの上に被覆されるシースとを備え、該シースには前記複数の絶縁導体の延在方向にのびる融着不完全な面を形成した平型ケーブルの製造方法であって、前記複数の絶縁体を並べて押出成形金型の芯金内を走行させた後、前記押出成形金型のダイス及び前記芯金の間から溶融樹脂を連続的に押し出して、前記芯金の外へ送り出された前記複数の絶縁体の上に前記シースを被覆する際、押し出される前記溶融樹脂の中に、前記芯金に設けたピン状の棒部材を入れて前記溶融樹脂の流れを一瞬分流させるようにしたことを特徴としている。 【0013 】上記課題を解決するためなされた請求項2記載の本発明の平型ケーブル製造用の押出成形金型は、導体の上に絶縁体を被覆した複数の絶縁導体と、該複数の絶縁導体を並べた状態でこれらの上に被覆されるシースとを備え、該シースには前記複数の絶縁導体の延在方向にのびる融着不完全な面を形成した平型ケーブルを製造する際に用いられる押出成形金型であって、ダイスと該ダイスの内側に設置される芯金とを備え、該芯金は、前記シースを被覆するために前記ダイス及び前記芯金の間から押し出される溶融樹脂の流れを一瞬分流させるピン状の棒部材を有することを特徴としている。 【0014 】請求項1に記載された本発明によれば、平型ケーブルは次のような手順で製造される。先ず、導体の上に絶縁体を被覆し絶縁導体を複数製造する。次いで、絶縁導体を複数並べた状態で押出成形金型の芯金内を走行させ、その複数の絶縁導体を芯金から外へ送り出しながらシースを被覆する。シースは押出成形金型のダイス及び芯金の間から溶融樹脂を連続的に押し出すことで形成される。この時、押し出される溶融樹脂は、芯金に設けられたピン状の棒部材によってその流れが一瞬分流される。溶融樹脂の流れが分流されると、シースにそのシースの引き裂きを容易にする融着不完全な面が形成される。以上によって、平型ケーブルが製造される。溶融樹脂の流れを分流させて融着不完全な面を形成する際、その分流は一瞬だけとなり、分流した溶融樹脂の流れはすぐに結合する。 【0015 】請求項2に記載された本発明によれば、ダイス及び芯金の間からシースとなる溶融樹脂が押し出される構造の押出成形金型である。芯金は、溶融樹脂の流れを一瞬分流させるピン状の棒部材を有していることから、平型ケーブルを製造する際に、絶縁導体の上に溶融樹脂を押し出すと、その溶融樹脂の流れは棒部材によって一瞬分流される。分流された溶融樹脂の流れはすぐに結合する。溶融樹脂の流れが分流されると、シースにそのシースの引き裂きを容易にする融着不完全な面が形成される。 【0016 】 【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1は本発明の平型ケーブルの製造方法の一実施の形態を示す平型ケーブルの斜視図である。 【0017 】図1において、引用符号21は平型ケーブルを示している。その平型ケーブル21としては、VVF(ビニル絶縁ビニルシースケーブル)、EEF(ポリエチレン絶縁耐熱ポリエチレンシースケーブル)、CEF(架橋ポリエチレン絶縁耐熱ポリエチレンシースケーブル)等の各種を挙げることができる。以下、VVFを例にして説明する。 【0018 】平型ケーブル(JIS C 3342、600Vビニル絶縁ビニルシースケーブル平型)は、引込口配線用及び屋内配線用に用いられる低圧配線用ケーブルであって、並んで配置される一対の絶縁導体22、22と、これらの上に被覆されるシース23とを備えており、その断面視は略長円状になるように構成されている。シース23には、絶縁導体22、22の延在方向にのびる融着不完全な面24、24が形成されており、工事の際の施工性の向上が図られている。 【0019 】絶縁導体22、22は、導体(芯線)25、25と絶縁体26、26とを備えており、導体25、25の上に絶縁体26、26を被覆することで製造されている。導体25、25は当然の如く導電性を有し、絶縁体26、26はポリ塩化ビニル等のビニル系樹脂で形成されている。尚、本形態では絶縁導体22、22の数を二つとして説明するが、これに限られず複数あれば良いものとする。 【0020 】シース23は、並んで配置された状態の絶縁導体22、22を一括して被覆するようになっている。その被覆には、押出成形機(不図示)に取り付けられる、図2ないし図4のいずれかに示されるような押出成形金型27が用いられるようになっている。 【0021 】押出成形金型27は、ダイス28と、そのダイス28の内部に設置される芯金29とを備えており、そのダイス28は、内部が中空となる略筒状に形成されている。ダイス28の内部形状は、ダイス28の外側となる一端面30に形成された押出成形口31に向けて次第に狭くなるテーパ状に形成されている。押出成形口31は、平面視楕円形状に形成されており、押出成形口31から内部に連続する面がダイス28のランド部32となっている。 【0022 】芯金29は、内部が中空となる略筒状に形成されている。また、その外形形状は、ダイス28の内部形状に合わせて形成されており、ダイス28の内部に設置されると所定の間隔を有するようになっている。その間隔は、シース23となる溶融樹脂33を充填するための空間34を形成するようになっている。 【0023 】芯金29の細くなった先端部には、空間34を挟んで上記ランド部32と対面するランド部35と、芯金29の内部に連通する送出口36、36とが形成されている。また、上記先端部には、空間34に介在するピン状の棒部材37も設けられている。尚、ランド部32とランド部35の間隔(又は押出成形口31)を大きく設定すと、絶縁導体22、22の上に押し出されてその絶縁導体22、22を被覆するシース23の厚みが厚くなり、また、間隔を狭く設定するとシース23の厚みが薄くなるようになっている。 【0024 】送出口36、36は、絶縁導体22、22の並びと同じように配置されている。棒部材37は、本形態において送出口36、36を開口させた端面に一体に設けられている。また、棒部材37は、絶縁導体22、22の間に位置し、高さ(中心から端部までの長さ)が1.0〜1.3mm、径が0.03〜0.1mmのピンとして形成されている(上記融着不完全な面24、24の幅をケーブル中心から1.5mm以下に抑えるため)。尚、棒部材37は、溶融樹脂33の流れによって受ける力で変形してしまわないように形成されている。 【0025 】上記構成において、図4を参照しながら平型ケーブル21の製造方法について説明する。尚、絶縁導体22、22は既知の製造方法で予め製造されているものとする。 【0026 】図4において、先ず、絶縁導体22、22を並べ、その状態で絶縁導体22、22を矢線P方向に走行させる。次に、絶縁導体22、22を更に矢線P方向に走行させ、押出成形金型27の芯金29内を走行させる。続いて、絶縁導体22、22を芯金29の送出口36、36から外側へ送り出す。そして最後に、送出口36、36から送り出された絶縁導体22、22の上にシース23を被覆する。シース23は空間34(図2参照)に充填された溶融樹脂33を押出成形口31(図2参照)から連続的に押し出すことによって形成される。この時、押し出される溶融樹脂33は、棒部材37によってその流れが一瞬分流される。流れが一瞬分流されることで溶融樹脂33の分離面はすぐにその下流で結合し融着力が高い状態で融着不完全な面24、24(図1参照)がシース23に形成される。以上により平型ケーブル21が製造される。 【0027 】このような製造方法を採用し、また、押出成形金型27を用いることで、シース23の引き裂きを容易にする融着不完全な面24、24(図1参照)をシース23に形成することができる。従って、図5に示される如く、平型ケーブル21の端面からカッター38を切り入れて引き裂き、各絶縁導体22、22を分岐させる端末処理を行う際に、カッター38に掛かる引裂荷重を低減させることができる(シース23の実質的な切断面積が少なくなる)。以上により、施工性の高い平型ケーブルを製造することができるという効果を奏する。 【0028 】尚、本発明に基づいて形成した融着不完全な面を有するVVFのシースの引裂荷重(N)は31Nであった。また、同じくEEFのシースの引裂荷重(N)は42Nであった。これらに対して、融着不完全な面の無い従来のVVFのシースの引裂荷重(N)は51Nであった。また、融着不完全な面の無い従来のEEFのシースの引裂荷重(N)は72Nであった。 【0029 】図4に戻り、以上のような製造方法を採用し、また、押出成形金型27を用いることで、押し出される溶融樹脂33の流れを一瞬分流させ、すぐに結合させることができる。従って、融着不完全な面24、24(図1参照)同士の融着力を高め、シース強度を十分に満足させるとともに、捻りや曲げで簡単に裂けてしまうのを防止することができるという効果を奏する。 【0030 】尚、本発明に基づいて製造した平型ケーブル21の端末処理に係るシース破断荷重(MPa)は12〜14MPaであった。また、シース23が裂けるまで捻ってみたが、その回数は∞でありシース23の裂けは見られなかった。これに対し、従来例の公報に開示された平型ケーブル1はシース破断荷重(MPa)が8〜12MPaであった。また、その平型ケーブル1のシース5が裂けるまでの捻り回数は5〜22回程度であった。従来例の公報に開示された平型ケーブル1はは、容易にシース5が裂けて絶縁導体4、4が露出してしまった。 【0031 】その他、本発明は本発明の主旨を変えない範囲で種々変更実施可能なことは勿論である。 【0032 】 【発明の効果】以上説明したように、請求項1に記載された本発明によれば、シースの引き裂きを容易にする融着不完全な面をシースに形成した施工性の高い平型ケーブルを製造することができる。溶融樹脂の流れを一瞬分流させて融着不完全な面を形成する方法を採用することから、分流した溶融樹脂の流れをすぐに結合させることができる。従って、融着不完全な面同士の融着力が高くなり、シース強度を十分に満足させることができる。また、捻りや曲げで簡単にシースが裂けてしまうのを防止することができる。 【0033 】請求項2に記載された本発明によれば、芯金の棒部材によってシースの引き裂きを容易にする融着不完全な面をシースに形成することができる。また、溶融樹脂の流れを一瞬分流させ、すぐに結合させることができる。従って、本発明の押出成形金型を用いることで、施工性の高い平型ケーブルを製造することができる。また、融着不完全な面同士の融着力を高め、シース強度を十分に満足させるとともに捻りや曲げで簡単にシースが裂けてしまうのを防止することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000006895 【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
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| 【出願日】 |
平成12年8月11日(2000.8.11) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100075959 【弁理士】 【氏名又は名称】小林 保 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開2002−56732(P2002−56732A) |
| 【公開日】 |
平成14年2月22日(2002.2.22) |
| 【出願番号】 |
特願2000−243606(P2000−243606) |
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