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【発明の名称】 ノンハロゲン難燃性ケーブル
【発明者】 【氏名】緒方 昭雅

【要約】 【課題】室温や加温条件下で揮発成分の発生を極力抑制できるノンハロゲン難燃性ケーブル1を提供する。

【解決手段】絶縁線心4上に設けた内外二層のシース層を、その内側の第1シース層5に一般のノンハロゲン難燃材を用いて耐火性と耐熱性を備えさせ、外側の第2シース層6をガスバリア性の高いポリマで形成して電気絶縁層やシースなどの被覆材から有機ガス成分が揮発するのを抑制する。第2シース層6には、ポリアミド、エチレン・ビニルアルコール共重合体を用い、厚さを10μm〜0.5mmの範囲に設定する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 絶縁線心上に内側の第1シース層および外側の第2シース層の内外二層からなるシース層を設け、前記第1シース層をノンハロゲン難燃材で設けたノンハロゲン難燃性ケーブルであって、前記第2シース層をガスバリア性の高いポリマで設けてなっていることを特徴とするノンハロゲン難燃性ケーブル。
【請求項2】 前記ガスバリア性の高いポリマが、ポリアミド,エチレン・ビニルアルコール共重合体,ポリテトラフロロエチレン,ポリアクリロニトリル,ポリエチレンテレフタレートおよびポリアセタールのいずれかであり、好ましくは前記ポリアミドまたは前記エチレン・ビニルアルコール共重合体であることを特徴とする請求項1に記載のノンハロゲン難燃性ケーブル。
【請求項3】 前記ガスバリア性の高いポリマによる第2シース層の厚さが10μm〜0.5mmであることを特徴とする請求項1または2に記載のノンハロゲン難燃性ケーブル。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、火災時などに発生する高熱や火炎に対して耐火性および耐熱性を備えた難燃性を有するとともに、電気絶縁層やシースなどの被覆材から有機ガス成分が揮発するのを抑制できるノンハロゲン難燃性ケーブルに関する。
【0002】
【従来の技術】ハロゲン含有ポリマは、燃焼時に塩化水素やフッ化水素などのハロゲン化水素を発生することで難燃性が得られる反面、それら発生ガスは金属を腐食させたり、人体に有害とされてきたので、近年、ハロゲンを含まないノンハロゲン難燃性のケーブルが主流となっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】一方、難燃性とは別の問題点として、たとえば半導体製造設備のクリーンルームのように不純物の存在を極限まで抑える必要のある場所では、そこに布設される電線・ケーブルとしては、被覆材から発生する特に有機ガス成分の揮発を抑える必要がある。
【0004】たとえば、塩化ビニルを被覆材に用いて被覆した電線・ケーブルの場合、可塑剤の揮発成分が発生する。また、環境面を考慮したポリオレフィン系樹脂を被覆材に用いた電線・ケーブルにあっても、酸化防止剤による揮発成分の発生が懸念されるといったように、揮発成分の発生を極力抑えられるガスバリア性に優れたノンハロゲン難燃性ケーブルの開発や供給が望まれてきた。
【0005】したがって、本発明の目的は、室温や加温条件下で揮発成分の発生を極力抑制できるノンハロゲン難燃性ケーブルを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明にかかる請求項1に記載のノンハロゲン難燃ケーブルは、絶縁線心4上に内側の第1シース層5および外側の第2シース層6の内外二層からなるシース層を設け、前記第1シース層5をノンハロゲン難燃材で設けたものであって、前記第2シース層6をガスバリア性の高いポリマで設けてなっていることを特徴とする。
【0007】以上から、絶縁線心4上にノンハロゲン難燃材の第1シース層5を設けて耐火性と耐熱性を備えさせ、ガスバリア性の高いポリマによる第2シース層6を設けたことで、電気絶縁層やシースなどの被覆材から有機ガス成分の揮発を抑制するのに有効である。
【0008】また、請求項2に記載のノンハロゲン難燃性ケーブルは、前記ガスバリア性の高いポリマとして、ポリアミド,エチレン・ビニルアルコール共重合体,ポリテトラフロロエチレン,ポリアクリロニトリル,ポリエチレンテレフタレートおよびポリアセタールのいずれかを用い、好ましくは前記ポリアミドまたは前記エチレン・ビニルアルコール共重合体を用いてなっていることを特徴とする。
【0009】以上から、ガスバリア性の高いポリマとして好ましくは比較的硬質のポリアミドか、あるいは比較的軟質のエチレン・ビニルアルコール共重合体を用いて第2シース層6を設けることにより、いずれの場合も有機ガスなどの成分の発生を抑制でき、またケーブルとして実用的に必要な適度な可撓性を備えさせることができる。
【0010】さらに、請求項3に記載のノンハロゲン難燃性ケーブルは、前記ガスバリア性の高いポリマによる第2シース層6の厚さが10μm〜0.5mmであることを特徴とする。
【0011】以上から、第2シース層6の厚さが10μm以下の場合は所要のガスバリア性が得られず、また0.5mm以上の場合は可撓性や難燃性などの特性面で満足するものが得られない。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明にかかるノンハロゲン難燃性ケーブルの実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0013】図1に示すように、本例のノンハロゲン難燃性ケーブル(以下、単にケーブルという)1は、導体2を絶縁体3で被覆することにより絶縁線心4が形成され、この絶縁線心4上にさらに内側の第1シース層5および外側の第2シース層6の内外二層からなるシース層を設けてなっている。
【0014】第1シース層5の樹脂材料には一般的なノンハロゲン難燃材を用いることができ、本例ではエチレン・エチルアクリレート共重合体が用いられている。また、第2シース層6の樹脂材料にはガスバリア性の高いポリマが用いられている。この第2シース層6を形成するガスバリア性の高いポリマとしては、ポリアミド,エチレン・ビニルアルコール共重合体,ポリテトラフロロエチレン,ポリアクリロニトリル,ポリエチレンテレフタレートおよびポリアセタールなどを用いることができる。
【0015】〔実施例〕
実施例1:導体2をポリエチレン(PE)の絶縁体3で被覆してなる絶縁線心4を図1のように形成し、その絶縁線心4を外側から第1シース層5によって被覆成形する。第1シース層5の成形材料として一般的なノンハロゲン難燃材、この場合エチレン・エチルアクリレート共重合体の重量部100と水酸化マグネシウムの重量部80との混和物を用いている。
【0016】周知のように、水酸化マグネシウムは金属水和物として難燃性を高めるのに有効である他、ガス発生を抑制するのに効果的であるとされている。ちなみに、水酸化マグネシウムに代えて、同じく金属水和物である水酸化アルミニウムを用いることも可能である。
【0017】かかる第1シース層5の上に、ポリアミド〔ナイロン12−ダイアミドL1901;ダイセル・ヒュルス(株)製〕の単体を、本発明でいう10μm〜0.5mmの範囲内である「0.1mm」の厚さで被覆して第2シース層6を形成し、ケーブル1を作成した。
【0018】実施例2:上記実施例1で形成した第1シース層5の上に、エチレン・ビニルアルコール共重合体〔エバール;クラレ社製〕の単体を、同じく本発明でいう10μm〜0.5mmの範囲内である「0.3mm」の厚さで被覆して第2シース層を形成し、ケーブル1を作成した。
【0019】〔比較例〕
比較例1:上記実施例1,2と同サイズ径の導体をポリエチレンの絶縁体で被覆してなる絶縁線心上に実施例1,2と同じく一般的なノンハロゲン難燃材で被覆して1層だけのシース層を形成し、ケーブルを作成した。
【0020】比較例2:上記比較例1と同様に導体をポリエチレンの絶縁体で被覆してなる絶縁線心上に実施例1,2と同じく一般的なノンハロゲン難燃材で被覆してそれを第1シース層とした。さらに、その第1シース層の上にポリアミドを0.6mm(*本発明でいう厚さ10μm〜0.5mmの範囲を超えている)の厚さに被覆して第2シース層を形成し、ケーブルを作成した。
【0021】このようにして形成した実施例1,2のケーブル1および比較例1,2のケーブルのそれぞれについて、ガスクロマトグラフ分析試験を行い、機械的性質として撓み試験を行った。その結果を〔表1〕に示す。
【0022】ガスクロマトグラフ分析試験を行う脱ガス評価試験装置についてはここで特に図示して言及しない。
【0023】撓み試験については、実施例と比較例のそれぞれのケーブルを長さ400mmに裁断した供試品を準備し、この供試品のケーブルをスパン250mmの距離両端で両端支持して、そのスパン中央部に重量400グラムの集中荷重をかけた。その状態で実施例および比較例の各ケーブル供試品の撓み量(単位;mm)を測定した。撓み試験についてはEM−EEFでは「可撓性」が要求されており、第2シース層に硬質のポリアミドを用いた場合は特に可撓性が問題となるとの判断に基づき、上記条件下での撓み量が大きいほど可撓性が良好であると判定した。
【0024】また、第1シース層5については第2シース層ほどに機械的性質が殆ど影響しないとの経験則から、使用したノンハロゲン難燃材の配合重量部の変化に伴う特性変化といったものに言及しなかった。
【0025】
【表1】

〔考察〕表1から、実施例1のように、第2シース層6にポリアミドを使用して厚さ0.1mmに被覆したケーブル1の場合、有機ガスの発生は見られず、撓み量の測定値は12mmであり、布線時の取り扱い性など実用面でも問題はない。
【0026】また、実施例2のように、第2シース層6にエチレン・ビニルアルコール共重合体を使用して厚さ0.3mmに被覆したケーブルの場合、同じく有機ガスの発生は見られず、撓み量の測定値は15mmであった。この場合も同じく実用面での問題はない。
【0027】このように、第2シース層6の成形材料に用いたポリアミドの場合、硬質であるために厚さを先述のように0.1mmに設定している。また、同じく第2シース層6の成形材料にエチレン・ビニルアルコール共重合体を用いた場合は、この共重合体そのものが軟質であるため、厚さを0.1〜0.4mmの範囲に限って設定しても問題はないと考え、本例では実施例2のように第2シース層6の厚さを上記範囲内の0.3mmに設定して撓み試験を行った。
【0028】それに対して、比較例1のように、ノンハロゲン難燃材による第1シース層だけを設けたケーブルの場合、撓み量の測定値は16mmで実施例1,2の撓み量よりも大きく、可撓性は良好といえるが、有機ガスの発生が見られることが難点である。
【0029】また、比較例2のように、ポリアミドを0.6mmの厚さで被覆して第2シース層を形成したケーブルの場合、有機ガスの発生は見られないが、撓み量の測定値も3mmと少なく、実用面で難点がある。
【0030】以上から、本発明の要旨の1つとして述べているように、第2シース層6の厚さが10μm以下の場合は所要のガスバリア性が得られず、また0.5mm以上の場合は可撓性や難燃性などの特性面で満足するものが得られない。第2シース層の厚さを「0.6mm」に設定した比較例2にあっては、撓み量が3mm(表1参照)と他例と比べて極端に少なく、可撓性に欠けて実用面に難点ありといえるのである。
【0031】なお、ガスバリア性の高いポリマ例として先述のように列記したが、なかでもたとえばポリエチレンテレフタレートの場合、透明性,ガスバリア性,そして機械的強度などで優れた特性をもつことが知られている。
【0032】
【発明の効果】以上説明したように、本発明にかかる請求項1に記載のノンハロゲン難燃性ケーブルは、絶縁線心上にノンハロゲン難燃材の第1シース層を設けて耐火性と耐熱性を備えさせ、ガスバリア性の高いポリマによる第2シース層を設けたことで、電気絶縁層やシースなどの被覆材から有機ガス成分の揮発を抑制するのに有効であり、難燃性とガス不透過性に優れている。
【0033】また、請求項2に記載のノンハロゲン難燃性ケーブルは、ガスバリア性の高いポリマとして好ましくは比較的硬質のポリアミドか、あるいは比較的軟質のエチレン・ビニルアルコール共重合体を用いて第2シース層6を設けることにより、いずれの場合も有機ガスなどの成分の発生を抑制でき、またケーブルとして実用的に必要な適度な可撓性を備えさせることができる。
【0034】さらに、請求項3に記載のノンハロゲン難燃性ケーブルは、第2シース層6の厚さが好ましくは10μm〜0.5mmの範囲であり、10μm以下の場合は所要のガスバリア性が得られず、また0.5mm以上の場合は可撓性や難燃性などの特性面で満足するものが得られない。
【出願人】 【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
【出願日】 平成12年8月10日(2000.8.10)
【代理人】 【識別番号】100075959
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 保 (外1名)
【公開番号】 特開2002−56725(P2002−56725A)
【公開日】 平成14年2月22日(2002.2.22)
【出願番号】 特願2000−243195(P2000−243195)