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【発明の名称】 異方導電性シート
【発明者】 【氏名】五十嵐 久夫

【氏名】井上 和夫

【氏名】瀬高 良司

【要約】 【課題】無加圧の状態若しくは小さい力で厚み方向に加圧した状態で導電性を示すと共に大きい力で厚み方向に加圧した状態では、無加圧の状態若しくは小さい力で厚み方向に加圧した状態よりも高い導電性を示す異方導電性シートを提供すること。

【解決手段】上記の課題は、エラストマーよりなるシート基体と、このシート基体中にその厚み方向に伸びるよう配列された導電性繊維と、当該シート基体中にその厚み方向に並ぶよう配向した状態で含有された磁性を示す導電性粒子とを有してなる異方導電性シートによって解決される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 エラストマーよりなるシート基体と、このシート基体中にその厚み方向に伸びるよう配列された導電性繊維と、当該シート基体中にその厚み方向に並ぶよう配向した状態で含有された磁性を示す導電性粒子とを有してなることを特徴とする異方導電性シート。
【請求項2】 導電性粒子がシート基体の面方向に分散された状態で含有されていることを特徴とする請求項1に記載の異方導電性シート。
【請求項3】 シート基体中に導電性付与物質が分散されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の異方導電性シート。
【請求項4】 導電性付与物質は、それ自体導電性を示す物質および吸湿することによって導電性が発現される物質から選ばれる少なくとも1種の物質であることを特徴とする請求項3に記載の異方導電性シート。
【請求項5】 無加圧の状態および歪み率がS0 〔但し、S0 は0〜3(%)の範囲から選ばれた値〕%以下の値となるよう厚み方向に加圧された状態における厚み方向の体積固有抵抗をR0 とし、歪み率がS0 %よりもΔS〔但し、ΔSは10〜20(%)の範囲から選ばれた値〕%以上大きい値となるよう厚み方向に加圧された状態における厚み方向の体積固有抵抗をR1 としたとき、体積固有抵抗R0 が1×107 〜1×1012Ω・mの範囲にあり、体積固有抵抗R0 と体積固有抵抗R1 との比(R0 /R1 )が1×102 〜1×1010の範囲にあることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の異方導電性シート。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、厚み方向に導電性を示す異方導電性シートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】異方導電性エラストマーシートは、厚み方向にのみ導電性を示すもの、または厚み方向に加圧されたときに厚み方向にのみ導電性を示す加圧導電性導電部を有するものであり、ハンダ付けあるいは機械的嵌合などの手段を用いずにコンパクトな電気的接続を達成することが可能であること、機械的な衝撃やひずみを吸収してソフトな接続が可能であることなどの特長を有するため、このような特長を利用して、例えば電子計算機、電子式デジタル時計、電子カメラ、コンピューターキーボードなどの分野において、回路装置、例えばプリント回路基板とリードレスチップキャリアー、液晶パネルなどとの相互間の電気的な接続を達成するためのコネクターとして広く用いられている。
【0003】また、プリント回路基板や半導体集積回路などの回路装置の電気的検査においては、検査対象である回路装置の一面に形成された被検査電極と、検査用回路基板の表面に形成された検査用電極との電気的な接続を達成するために、回路装置の被検査電極領域と検査用回路基板の検査用電極領域との間に異方導電性エラストマーシートを介在させることが行われている。
【0004】従来、このような異方導電性エラストマーシートとしては、種々の構造のものが知られている。例えば無加圧の状態で導電性を示す異方導電性エラストマーシートとしては、絶縁性ゴムよりなるシート基体中に、導電性繊維が厚み方向に伸びるよう配向した状態で配列されてなるもの、カーボンブラックや金属粉末が配合されてなる導電性ゴムと絶縁性ゴムとが面方向に沿って交互に積層されてなるもの(特開昭50−94495号公報参照)などが知られている。一方、厚み方向に加圧した状態で導電性を示す異方導電性エラストマーシートとしては、金属粒子をエラストマー中に均一に分散して得られるもの(特開昭51−93393号公報参照)、導電性磁性体粒子をエラストマー中に不均一に分布させることにより、厚み方向に伸びる多数の導電路形成部と、これらを相互に絶縁する絶縁部とが形成されてなるもの(特開昭53−147772号公報参照)導電路形成部の表面と絶縁部との間に段差が形成されてなるもの(特開昭61−250906号公報参照)などが知られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、電子部品あるいは電子部品応用機器の分野においては、無加圧の状態若しくは小さい力で厚み方向に加圧した状態で、厚み方向にある程度の導電性(例えば体積固有抵抗が1×107 〜1×1012Ω・m)を示し、大きい力で厚み方向に加圧した状態では、無加圧の状態若しくは小さい力で加圧した状態よりも高い導電性(例えば体積固有抵抗が1×10-2〜1×107 Ω・m)を示す異方導電性エラストマーシートが望まれているが、このような異方導電性エラストマーシートは現在まで知られていない。
【0006】本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであって、その目的は、無加圧の状態若しくは小さい力で厚み方向に加圧した状態で導電性を示すと共に大きい力で厚み方向に加圧した状態では、無加圧の状態若しくは小さい力で厚み方向に加圧した状態よりも高い導電性を示す異方導電性シートを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の異方導電性シートは、エラストマーよりなるシート基体と、このシート基体中にその厚み方向に伸びるよう配列された導電性繊維と、当該シート基体中にその厚み方向に並ぶよう配向した状態で含有された磁性を示す導電性粒子とを有してなることを特徴とする。
【0008】本発明の異方導電性シートにおいては、前記導電性粒子が前記シート基体の面方向に分散された状態で含有されていることが好ましい。また、前記シート基体中に導電性付与物質が分散されていてもよく、この導電性付与物質は、それ自体導電性を示す物質および吸湿することによって導電性が発現される物質から選ばれる少なくとも1種の物質であることが好ましい。
【0009】また、本発明の異方導電性シートにおいては、無加圧の状態および歪み率がS0 〔但し、S0 は0〜3(%)の範囲から選ばれた値〕%以下の値となるよう厚み方向に加圧された状態における厚み方向の体積固有抵抗をR0 とし、歪み率がS0 %よりもΔS〔但し、ΔSは10〜20(%)の範囲から選ばれた値〕%以上大きい値となるよう厚み方向に加圧された状態における厚み方向の体積固有抵抗をR1 としたとき、体積固有抵抗R0 が1×107 〜1×1012Ω・mの範囲にあり、体積固有抵抗R0 と体積固有抵抗R1 との比(R0 /R1 )が1×102 〜1×1010の範囲にあることが好ましい。
【0010】
【作用】本発明の異方導電性シートによれば、エラストマーよりなるシート基体中に導電性繊維が厚み方向に伸びるよう配列されているため、無加圧の状態若しくは小さい力で厚み方向に加圧した状態においては、当該導電性繊維の電気特性に応じた導電性を示し、しかも、シート基体中には、その厚み方向に並ぶよう配向した状態で導電性粒子が含有されているため、大きい力で厚み方向に加圧した状態においては、導電性粒子によってシート基体の厚み方向に伸びる導電路が形成されるので、これにより、無加圧の状態または若しくは小さい力で厚み方向に加圧した状態よりも高い導電性を示す。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。図1は、本発明の異方導電性シートの一例における構成を示す説明用断面図である。この異方導電性シートは、エラストマーよりなるシート基体10を有し、このシート基体10中には、導電性繊維Fが当該シート基体10の厚み方向に伸びるよう面方向に沿って配列され、更に、磁性を示す導電性粒子Pが当該シート基体10の厚み方向に並ぶよう配向した状態でかつ当該シート基体10の面方向に分散した状態で含有されている。本発明において、導電性繊維Fはシート基体10の厚み方向に伸びるよう配列されることが必要であるが、「厚み方向に伸びるよう配列され」とは、シート基体の厚み方向と同一の方向(以下、この方向を「Z方向」という。)乃至このZ方向に対して30°以下の範囲で傾いた方向に伸びるよう配列されることを意味する。
【0012】シート基体10の厚みは、特に限定されるものではないが、通常、0.05〜1mm、好ましくは0.1〜0.5mmである。シート基体10を構成するエラストマーとしては、架橋構造を有する高分子物質が好ましい。架橋高分子物質を得るために用いることのできる硬化性の高分子物質形成材料としては、種々のものを用いることができ、その具体例としては、ポリブタジエンゴム、天然ゴム、ポリイソプレンゴム、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴムなどの共役ジエン系ゴムおよびこれらの水素添加物、スチレン−ブタジエン−ジエンブロック共重合体ゴム、スチレン−イソプレンブロック共重合体などのブロック共重合体ゴムおよびこれらの水素添加物、クロロプレン、ウレタンゴム、ポリエステル系ゴム、エピクロルヒドリンゴム、シリコーンゴム、エチレン−プロピレン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体ゴムなどが挙げられる。以上において、得られる異方導電性シートに耐候性が要求される場合には、共役ジエン系ゴム以外のものを用いることが好ましく、特に、成形加工性および電気特性の観点から、シリコーンゴムを用いることが好ましい。
【0013】シリコーンゴムとしては、液状シリコーンゴムを架橋または縮合したものが好ましい。液状シリコーンゴムは、その粘度が歪速度10-1secで105 ポアズ以下のものが好ましく、縮合型のもの、付加型のもの、ビニル基やヒドロキシル基を含有するものなどのいずれであってもよい。具体的には、ジメチルシリコーン生ゴム、メチルビニルシリコーン生ゴム、メチルフェニルビニルシリコーン生ゴムなどを挙げることができる。
【0014】これらの中で、ビニル基を含有する液状シリコーンゴム(ビニル基含有ポリジメチルシロキサン)は、通常、ジメチルジクロロシランまたはジメチルジアルコキシシランを、ジメチルビニルクロロシランまたはジメチルビニルアルコキシシランの存在下において、加水分解および縮合反応させ、例えば引続き溶解−沈殿の繰り返しによる分別を行うことにより得られる。また、ビニル基を両末端に含有する液状シリコーンゴムは、オクタメチルシクロテトラシロキサンのような環状シロキサンを触媒の存在下においてアニオン重合し、重合停止剤として例えばジメチルジビニルシロキサンを用い、その他の反応条件(例えば、環状シロキサンの量および重合停止剤の量)を適宜選択することにより得られる。ここで、アニオン重合の触媒としては、水酸化テトラメチルアンモニウムおよび水酸化n−ブチルホスホニウムなどのアルカリまたはこれらのシラノレート溶液などを用いることができ、反応温度は、例えば80〜130℃である。このようなビニル基含有ポリジメチルシロキサンは、その分子量Mw(標準ポリスチレン換算重量平均分子量をいう。以下同じ。)が10000〜40000のものであることが好ましい。また、得られる導電路素子の耐熱性の観点から、分子量分布指数(標準ポリスチレン換算重量平均分子量Mwと標準ポリスチレン換算数平均分子量Mnとの比Mw/Mnの値をいう。以下同じ。)が2以下のものが好ましい。
【0015】一方、ヒドロキシル基を含有する液状シリコーンゴム(ヒドロキシル基含有ポリジメチルシロキサン)は、通常、ジメチルジクロロシランまたはジメチルジアルコキシシランを、ジメチルヒドロクロロシランまたはジメチルヒドロアルコキシシランの存在下において、加水分解および縮合反応させ、例えば引続き溶解−沈殿の繰り返しによる分別を行うことにより得られる。また、環状シロキサンを触媒の存在下においてアニオン重合し、重合停止剤として、例えばジメチルヒドロクロロシラン、メチルジヒドロクロロシランまたはジメチルヒドロアルコキシシランなどを用い、その他の反応条件(例えば、環状シロキサンの量および重合停止剤の量)を適宜選択することによっても得られる。ここで、アニオン重合の触媒としては、水酸化テトラメチルアンモニウムおよび水酸化n−ブチルホスホニウムなどのアルカリまたはこれらのシラノレート溶液などを用いることができ、反応温度は、例えば80〜130℃である。このようなヒドロキシル基含有ポリジメチルシロキサンは、その分子量Mwが10000〜40000のものであることが好ましい。また、得られる導電路素子の耐熱性の観点から、分子量分布指数が2以下のものが好ましい。本発明においては、上記のビニル基含有ポリジメチルシロキサンおよびヒドロキシル基含有ポリジメチルシロキサンのいずれか一方を用いることもでき、両者を併用することもできる。
【0016】本発明においては、高分子物質形成材料を硬化させるために適宜の硬化触媒を用いることができる。このような硬化触媒としては、有機過酸化物、脂肪酸アゾ化合物、ヒドロシリル化触媒などを用いることができる。硬化触媒として用いられる有機過酸化物の具体例としては、過酸化ベンゾイル、過酸化ビスジシクロベンゾイル、過酸化ジクミル、過酸化ジターシャリーブチルなどが挙げられる。硬化触媒として用いられる脂肪酸アゾ化合物の具体例としては、アゾビスイソブチロニトリルなどが挙げられる。ヒドロシリル化反応の触媒として使用し得るものの具体例としては、塩化白金酸およびその塩、白金−不飽和基含有シロキサンコンプレックス、ビニルシロキサンと白金とのコンプレックス、白金と1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサンとのコンプレックス、トリオルガノホスフィンあるいはホスファイトと白金とのコンプレックス、アセチルアセテート白金キレート、環状ジエンと白金とのコンプレックスなどの公知のものが挙げられる。硬化触媒の使用量は、高分子物質形成材料の種類、硬化触媒の種類、その他の硬化処理条件を考慮して適宜選択されるが、通常、高分子物質形成材料100重量部に対して3〜15重量部である。
【0017】シート基体10中に含有される導電性繊維Fを構成する材料としては、特に限定されるものではなく、非磁性のものであっても磁性を示すものであってもよいが、無加圧の状態もしくは小さい圧力で加圧した状態において、後述する範囲の体積固有抵抗が容易に得られる点で、非磁性の導電性繊維としては、カーボン繊維、ポリアミド繊維などの繊維の表面に、スズ、ハンダ、銅などの非磁性金属よりなる導電性被覆膜が形成されてなるもの、またはこの導電性被覆膜の表面に更に絶縁性被覆膜が形成されてなるもの、リン青銅、ベリリウム銅、SUS、アルミニウムなどの非磁性金属よりなる繊維の表面に絶縁性被覆膜が形成されてなるものなどを好適に用いることができ、磁性を示す導電性繊維としては、カーボン繊維、ポリアミド繊維などの繊維に、ニッケル、コバルト、鉄、フェライトまたはこれらの合金などの導電性磁性体材料よりなる導電性被覆膜が形成されてなるもの、またはこの導電性被覆膜の表面に更に絶縁性被覆膜が形成されてなるもの、ニッケル、鉄などの導電性磁性体材料よりなる繊維の表面に絶縁性被覆膜が形成されてなるものなどを好適に用いることができる。以上において、絶縁性被覆膜を構成する材料としては、ポリイミド、電着ポリイミド、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、フッ素樹脂などの有機材料、シリカなどの無機材料を用いることができる。また、導電性繊維Fにおける絶縁性被覆膜の被覆率は、目的とする異方導電性シートの導電性に応じて適宜設定されるが、例えば50〜99%であり、好ましくは70〜95%である。
【0018】導電性繊維Fの径は、通常、5〜100μm、好ましくは10〜50μmである。導電性繊維Fの長さは、シート基体10の厚みの50〜150%であることが好ましく、より好ましくは60〜120%であり、具体的には、0.05〜1mm、好ましくは0.1〜0.5mmである。また、シート基体10中における導電性繊維Fの密度は、異方導電性シートの使用目的および導電性繊維Fの種類によって適宜設定されるが、面方向の断面において1cm2 あたり1×103 〜1×106 本含有されていることが好ましく、より好ましくは1×104 〜1×105 である。
【0019】シート基体10中に含有される導電性粒子Pとしては、磁場を作用させることによって容易にシート基体10の厚み方向に並ぶよう配向させることができる観点から、磁性を示す導電性粒子が用いられる。このような導電性粒子Pの具体例としては、ニッケル、鉄、コバルトなどの磁性を示す金属よりなる粒子若しくはこれらの合金よりなる粒子またはこれらの金属を含有する粒子、またはこれらの粒子を芯粒子とし、当該芯粒子の表面に金、銀、パラジウム、ロジウムなどの酸化しにくい導電性金属のメッキを施したもの;ZrFe2 、FeBe2 、FeRh、MnZn、Ni3 Mn、FeCo、FeNi、Ni2 Fe、MnPt3 、FePd、FePd3 、Fe3 Pt、FePt、CoPt、CoPt3 、Ni3 Ptなどの強磁性金属間化合物からなる粒子、またはこの粒子を芯粒子とし、当該芯粒子の表面に金、銀、パラジウム、ロジウムなどの酸化しにくい導電性金属のメッキを施したもの;化学式:M1 O・Fe2 3 (但し、M1 は、Mn、Fe、Ni、Cu、Zn、Mg、Co、Liなどの金属を示す。)で表されるフェライト、若しくはこれらの混合物(例えばMn−Znフェライト、Ni−Znフェライトなど)、FeMn2 4 などのマンガナイト、化学式:M2 O・Co2 3 (但し、M2 は、Fe、Niなどの金属を示す。)で表されるコバルタイト、Ni0.5 Zn0.5 Fe2 4 、Ni0.35Zn0.65Fe2 4 、Ni0.7 Zn0.2 Fe0.1 Fe2 4、Ni0.5 Zn0.4 Fe0.1 Fe2 4 などの強磁性金属酸化物よりなる粒子、またはこの粒子を芯粒子とし、当該芯粒子の表面に金、銀、パラジウム、ロジウムなどの酸化しにくい導電性金属のメッキを施したもの;非磁性金属粒子、ガラスビーズ、カーボンなどの無機物質よりなる粒子、またはポリスチレン、ジビニルベンゼンによって架橋されたポリスチレンなどのポリマーよりなる粒子を芯粒子とし、当該芯粒子の表面に、ニッケル、コバルトなどの導電性磁性体のメッキを施したもの、あるいは芯粒子に、導電性磁性体および酸化しにくい導電性金属の両方を被覆したものなどが挙げられる。また、これらの導電性粒子は、その導電性を調整することを目的として、表面に絶縁被膜が形成されたものであってもよい。ここで、絶縁被膜としては、金属酸化物、酸化珪素化合物などの無機材料、樹脂、カップリング剤などの有機材料を用いることができる。以上において、芯粒子の表面に導電性金属を被覆する手段としては、特に限定されるものではないが、例えば化学メッキまたは電解メッキにより行うことができる。
【0020】導電性粒子Pとして、芯粒子の表面に導電性金属が被覆されてなるものを用いる場合には、長期間にわたって安定した導電性が得られる観点から、粒子表面における導電性金属の被覆率(芯粒子の表面積に対する導電性金属の被覆面積の割合)が40%以上であることが好ましく、さらに好ましくは45%以上、特に好ましくは47〜95%である。また、導電性金属の被覆量は、目的とする異方導電性シートの導電性に応じて適宜設定されるが、芯粒子の0.5〜50重量%であることが好ましく、より好ましくは1〜30重量%、さらに好ましくは3〜25重量%、特に好ましくは4〜20重量%である。被覆される導電性金属が金である場合には、その被覆量は、芯粒子の2.5〜30重量%であることが好ましく、より好ましくは3〜20重量%、さらに好ましくは3.5〜15重量%、特に好ましくは4〜10重量%である。また、被覆される導電性金属が銀である場合には、その被覆量は、芯粒子の3〜50重量%であることが好ましく、より好ましくは4〜40重量%、さらに好ましくは5〜30重量%、特に好ましくは6〜20重量%である。
【0021】また、導電性粒子Pの数平均粒子径は、1〜1000μmであることが好ましく、より好ましくは2〜500μm、さらに好ましくは5〜300μm、特に好ましくは10〜200μmである。また、導電性粒子Pの粒子径分布(Dw/Dn)は、1〜10であることが好ましく、より好ましくは1.01〜7、さらに好ましくは1.05〜5、特に好ましくは1.1〜4である。このような条件を満足する導電性粒子Pを用いることにより、得られる異方導電性シートは、厚み方向に並ぶ導電性粒子間に十分な電気的接触が得られる。また、後述するシート成形材料層にその厚み方向に磁場を作用させた場合には、導電性粒子が厚み方向に並ぶよう配向して連鎖を形成する際に、当該導電性粒子Pの移動により、導電性繊維Fが厚み方向に伸びるよう配列しやすくなる。また、導電性粒子Pの形状は、特に限定されるものではないが、高分子物質形成材料中に容易に分散させることができる点で、球状のもの、星形状のものあるいはこれらが凝集した2次粒子による塊状のものであることが好ましい。
【0022】また、導電性粒子Pの含水率は、5%以下であることが好ましく、より好ましくは3%以下、さらに好ましくは2%以下、とくに好ましくは1%以下である。このような条件を満足する導電性粒子を用いることにより、高分子物質形成材料を硬化処理する際に気泡が生ずることが防止または抑制される。
【0023】シート基体10中における導電性粒子Pの割合は、当該異方導電性シートの使用目的および用いられる導電性粒子の種類に応じて適宜選択されるが、体積分率で、通常3〜30%、好ましくは5〜15%となる範囲から選択されることが好ましい。この割合が3%未満である場合には、十分に電気抵抗の小さい導電路を形成することが困難となることがある。一方、この割合が50%を超える場合には、得られる異方導電性シートは脆弱なものとなることがある。また、後述するシート成形材料層にその厚み方向に磁場を作用させた場合には、導電性粒子Pと導電性繊維Fとが互いに干渉する結果、導電性粒子Pの配向および導電性繊維Fの配列を確実に達成することが困難となることがある。
【0024】本発明の異方導電性シートにおいては、無加圧の状態若しくは小さい力で加圧した状態における厚み方向の導電性を調整するために、シート基体10中に、非磁性の導電性付与物質を含有させることができる。かかる導電性付与物質としては、それ自体導電性を示す物質(以下、「自己導電性物質」ともいう。)、吸湿することによって導電性が発現される物質(以下、「吸湿導電性物質」ともいう。)などを用いることができ、これらの自己導電性物質および吸湿導電性物質は、いずれか一方を使用することも両者を併用することもできる。
【0025】自己導電性物質としては、一般的には、金属結合における自由電子により導電性を示す物質、余剰電子の移動によって電荷の移動が起こるもの、空孔の移動によって電荷の移動が起こるもの、主鎖に沿ってπ結合を有し、その相互作用により導電性を示す有機高分子物質、側鎖にある基の相互作用によって電荷の移動を起こす物質などから選択して用いることができる。具体的には、白金、金、銀、銅、アルミウニム、マンガン、亜鉛、錫、鉛、インジウム、モリブデン、ニオブ、タンタル、クロムなどの非磁性金属;二酸化銅、酸化亜鉛、酸化錫、酸化チタンなどの非磁性導電性金属酸化物;ウィスカ、チタン酸カリウムなどの導電性繊維物質;ゲルマニウム、珪素、インジウム燐、硫化亜鉛などの半導電性物質;カーボンブラック、グラファイトなどの炭素系物質;ポリアセチレン系ポリマー、ポリフェニレン系ポリマー、チオフェニレン系ポリマー等の複素環ポリマーなどの導電性高分子物質などを用いることができ、これらは、単独でまたは2種以上を組み合わせて導電性付与物質として用いることができる。
【0026】吸湿導電性物質としては、イオンを生成し、そのイオンによって電荷を運ぶ物質、水酸基やエステル基などの極性の大きい基を有する物質などから選択して用いることができる。具体的には、第四級アンモニウム塩、アミン系化合物などの陽イオンを生成する物質;脂肪族スルホン酸塩、高級アルコール硫酸エステル塩、高級アルコールエチレンオキサイド付加硫酸エステル塩、高級アルコール燐酸エステル塩、高級アルコールエチレンオキサイド付加燐酸エステル塩などの陰イオンを生成する物質;ベダイン化合物などの陽イオンおよび陰イオンの両方を生成する物質;クロルポリシロキサン、アルコキシシラン、アルコキシポリシラン、アルコキシポリシロキサン等の珪素化合物、導電性ウレタン、ポリビニルアルコールまたはその共重合体等の高分子物質、高級アルコールエチレンオキサイド、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、多価アルコール脂肪酸エステル等のアルコール系界面活性剤、多糖類などの極性の大きい基を有する物質などを用いることができ、これらは、単独でまたは2種以上を組み合わせて導電性付与物質として用いることができる。
【0027】また、上記の吸湿導電性物質の中では、高い耐熱性を有し、弾性高分子物質との相溶性が良好で、弾性高分子物質の形成において重合阻害を引き起こさない点で、脂肪族スルホン酸塩が好ましい。かかる脂肪族スルホン酸塩としては、1−デカンスルホン酸塩、1−ウンデカンスルホン酸塩、1−ドデカンスルホン酸塩、1−トリデカンスルホン酸塩、1−テトラデカンスルホン酸塩、1−ペンタデカンスルホン酸塩、1−ヘキサデカンスルホン酸塩、1−ヘプタデカンスルホン酸塩、1−オクタデカンスルホン酸塩、1−ノナデカンスルホン酸塩、1−エイコサンデカスルホン酸塩またはこれらの異性体などの炭素数が10〜20のアルキル基を有するものが好ましい。また、塩としては、リチウム、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属塩が好ましく、特に、一層高い耐熱性を有する点で、ナトリウム塩が好ましい。
【0028】シート基体10中における導電性付与物質の割合は、導電性付与物質の種類や目的とする導電性の程度などに応じて適宜設定されるが、通常、導電性付与物質として非磁性金属よりなるものを単独で用いる場合には、シート基体10を構成するエラストマー100重量部に対して10重量部以下、好ましくは8重量部以下、導電性付与物質として非磁性導電性金属酸化物よりなるものを単独で用いる場合には、シート基体10を構成するエラストマー100重量部に対して40重量部以下、好ましくは30重量部以下、導電性付与物質としてカーボンブラックよりなるものを単独で用いる場合には、シート基体10を構成するエラストマー100重量部に対して40重量部以下、好ましくは30重量部以下、導電性付与物質として導電性高分子物質よりなるものを単独で用いる場合には、シート基体10を構成するエラストマー100重量部に対して30重量部以下、好ましくは25重量部以下、導電性付与物質として吸湿導電性物質を単独で用いる場合には、シート基体10を構成するエラストマー100重量部に対して40重量部以下、好ましくは30重量部以下の範囲から設定される。また、上記の種々の導電性付与物質を組み合わせて用いる場合には、その割合は上記の範囲を考慮して設定される。
【0029】また、シート基体10中には、必要に応じて、通常のシリカ粉、コロイダルシリカ、エアロゲルシリカ、アルミナなどの無機充填材を含有させることができる。このような無機充填材を含有させることにより、シート基体10を形成するための材料のチクソトロピー性が確保され、その粘度が高くなり、しかも、導電性粒子の分散安定性が向上すると共に、高い強度を有するシート基体10が得られる。このような無機充填材の使用量は、特に限定されるものではないが、多量に使用すると、磁場による導電性粒子の配向を十分に達成することができなくなるため、好ましくない。
【0030】このような異方導電性シートおいては、シート基体10中に導電性繊維Fが厚み方向に伸びるよう配列されているため、当該異方導電性シートが無加圧の状態または若しくは小さい力で厚み方向に加圧した状態では、当該導電性繊維Fの電気特性に応じた導電性を示す。この導電性の程度は、当該異方導電性シートの使用目的に応じて適宜設定されるが、具体的には、異方導電性シートが無加圧の状態および歪み率がS0 〔但し、S0 は0〜3(%)の範囲から選ばれた値〕%以下の値となるよう厚み方向に加圧された状態においては、当該異方導電性シートの厚み方向の体積固有抵抗R0 が、1×107 〜1×1012Ω・mの範囲にあることが好ましく、より好ましくは1×108 〜1×1011Ω・mの範囲である。このような導電性を得るためには、用いられる導電性繊維の種類を選択し、当該導電性繊維の含有量を調整すればよい。また、異方導電性シートを、1cm2 当たり0〜5g、好ましくは0〜2gの荷重で厚み方向に加圧することにより、上記の歪み率S0 (%)の値が得られればよい。
【0031】一方、シート基体10中には、その厚み方向に並ぶよう配向した状態で導電性粒子Pが含有されているため、当該異方導電性シートが大きい力で厚み方向に加圧した状態では、導電性粒子Pの連鎖によってシート基体の厚み方向に伸びる導電路が形成されるので、これにより、無加圧の状態または若しくは小さい力で厚み方向に加圧した状態よりも高い導電性を示す。この導電性の程度は、当該異方導電性シートの使用目的に応じて適宜設定されるが、具体的には、異方導電性シートが歪み率がS0 %よりもΔS〔但し、ΔSは10〜20(%)の範囲から選ばれた値〕%以上大きい値となるよう厚み方向に加圧された状態においては、当該異方導電性シートの厚み方向の体積固有抵抗R1 に対する前記体積固有抵抗R0 の比(R0 /R1 )が1×102 〜1×1010の範囲にあることが好ましく、より好ましくは1×103 〜1×109 の範囲である。このような導電性を得るためには、用いられる導電性粒子Pの種類を選択し、当該導電性粒子の含有割合を調整すればよい。また、異方導電性シートを、1cm2 当たり5〜1000g、好ましくは10〜500gの荷重で厚み方向に加圧することにより、上記の歪み率S0 +ΔS(%)の値が得られればよい。
【0032】以上において、異方導電性シートの厚み方向の体積固有抵抗は、以下のようにして測定することができる。
無加圧の状態の体積固有抵抗:異方導電性シートの一面に、スパッター装置により金属膜を形成し、この金属膜の表面に導電性接着剤により、絶縁抵抗計に接続された配線を接着する。そして、前記絶縁抵抗計に接続された電極径が50mmの測定用電極によって、異方導電性シートの他面を加圧することにより、異方導電性シートの他面に測定用電極の表面が充分に密着させ、その後、異方導電性シートの他面に測定用電極の表面が接触した状態すなわち無加圧の状態とする。そして、この状態において、適宜の電圧値または電流値の電流を測定用電極と金属膜との間に供給し、1分間経過後、異方導電性シートの厚み方向の体積固有抵抗を測定する。
厚み方向に加圧された状態の体積固有抵抗:異方導電性シートを、それぞれ絶縁抵抗計に接続された電極径が50mmの測定用電極および加圧用電極との間に配置し、加圧用電極によって異方導電性シートが所要の歪み率となるまで加圧し、この状態で、異方導電性シートの厚み方向の体積固有抵抗を測定する。
【0033】以上のような異方導電性シートは、例えば以下の方法によって製造することができる。先ず、硬化処理によって絶縁性のエラストマーとなる液状の高分子物質形成材料中に、導電性繊維、磁性を示す導電性粒子および必要に応じて用いられる非磁性の導電性付与物質が分散されてなる流動性のシート成形材料を調製し、図2に示すように、このシート成形材料を金型20内に注入してシート成形材料層10Aを形成する。ここで、金型20は、それぞれ矩形の強磁性体板よりなる上型21およひ下型22が、矩形の枠状のスペーサー23を介して互いに対向するよう配置されて構成され、上型21の下面と下型22の上面との間にキャビティが形成されている。
【0034】次いで、上型21の上面および下型22の下面に、例えば電磁石または永久磁石を配置し、金型内のシート成形材料層10Aにその厚み方向に平行磁場をシート成形材料層の厚み方向に作用させる。その結果、シート成形材料層10Aにおいては、当該シート成形材料層中に分散されている導電性粒子Pが、図3に示すように、面方向に分散された状態を維持しながら厚み方向に並ぶよう配向すると共に、導電性粒子Pの移動に伴って導電性繊維Fが厚み方向に伸びるよう配列される。一方、導電性付与物質を用いる場合には、当該導電性付与物質は非磁性のものであるため、平行磁場が作用しても当該シート成形材料層10A中に分散されたままの状態である。そして、この状態において、シート成形材料層10Aを硬化処理することにより、エラストマーよりなるシート基体10が形成され、以てシート基体10と、このシート基体10中にその厚み方向に伸びるよう配列された導電性繊維Fと、当該シート基体10中にその厚み方向に並ぶよう配向した状態で含有された導電性粒子Pとを有する方導電性シートが得られる。
【0035】以上において、シート成形材料層10Aに作用される平行磁場の強度は、平均で0.02〜1.5Tとなる大きさが好ましい。永久磁石によってシート成形材料層10Aの厚み方向に平行磁場を作用させる場合において、当該永久磁石としては、上記の範囲の平行磁場の強度が得られる点で、アルニコ(Fe−Al−Ni−Co系合金)、フェライトなどよりなるものを用いることが好ましい。シート成形材料層10Aの硬化処理は、平行磁場を作用させたままの状態で行うこともできるが、平行磁場の作用を停止させた後に行うこともできる。シート成形材料層10Aの硬化処理は、使用される材料によって適宜選定されるが、通常、加熱処理によって行われる。具体的な加熱温度および加熱時間は、シート成形材料層10Aを構成する高分子物質用材料などの種類、導電性粒子Pの移動に要する時間などを考慮して適宜設定される。
【0036】上記の構成の異方導電性シートによれば、エラストマーよりなるシート基体10中に導電性繊維Fが厚み方向に伸びるよう配列されているため、無加圧の状態若しくは小さい力で厚み方向に加圧した状態においては、当該導電性繊維Fの電気特性に応じた導電性を示し、しかも、シート基体10中には、その厚み方向に並ぶよう配向した状態で導電性粒子Pが含有されているため、大きい力で厚み方向に加圧した状態においては、導電性粒子Pの連鎖によってシート基体10の厚み方向に伸びる導電路が形成されるので、これにより、無加圧の状態または若しくは小さい力で厚み方向に加圧した状態よりも高い導電性を示す。
【0037】このような本発明の異方導電性シートは、その一面に被接続体を接触させるまたは小さい力で加圧することにより、当該被接続体の表面における静電気、静電容量、イオン量などの電気量の微視的な面分布状態を、当該異方導電性シートの表面に転写保持することができ、更に、異方導電性シートの一面に被接続体を大きい力で加圧することにより、当該異方導電性シートの他面に、転写保持された電気量の微視的な面分布状態を移動させることができる。具体的には、本発明の異方導電性シートは、例えばプリント配線基板などの静電容量方式の電気的検査装置において、検査対象物の表面の静電容量分布を計測部に移動するためのセンサー部として有用であり、このような電気的検査装置によれば、検査対象物の表面の静電容量分布を二次元画像として表現することができる。また、例えばレーザープリンターなどの書き込み装置から発生するイオンのパターン画像または電子複写装置のロール部の静電パターン画像を、本発明の異方導電性シートを介して電気的なパターン画像に変換することができる。また、本発明の異方導電性シートによれば、上記の例に限定されず、静電気、静電容量、イオン量などの電気量の微視的な面分布状態を、二次元的な電気的パターン画像として表現することができる。また、本発明の異方導電性シートは、従来の異方導電性シートが利用されている種々の用途、例えば回路装置相互間の電気的な接続を達成するためのコネクターとして、あるいは回路装置の電気的検査に用いられるコネクターとして利用することができる。
【0038】また、本発明の異方導電性シートは、導電性粒子Pとして適宜のものを用いることにより、当該導電性粒子Pによる連鎖が熱伝導路として機能するため、放熱シートなどの熱伝導性シートとして利用することができる。例えば電子装置の発熱部品等の発熱体に本発明の異方導電性シートを接触させ、当該異方導電性シートをその厚み方向に断続的に繰り返して加圧することにより、発熱体から一定の熱量が異方導電性シートを介して断続的に放熱し、その結果、発熱体の温度を一定に維持することができる。また、本発明の異方導電性シートは、電磁放射の吸収シートとして用いることができ、これにより、例えば電子部品等から発生する電磁的ノイズを低減することができる。
【0039】
【実施例】以下、本発明の具体的な実施例について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0040】〈実施例1〉付加型液状シリコーンゴム100重量部中に、導電性繊維50重量部と、導電性粒子90重量部とを添加して混合することにより、シート成形材料を調製した。以上において、導電性繊維としては、カーボン短繊維(平均長さt=0.2mm,平均径10μm,大阪ガスケミカル社製)にフェライトメッキを重量比が40%となる割合で表面コートしたものに、更に液状ポリイミド樹脂材料によって60%の被覆率で表面コートし、温度200℃で硬化処理を行ったものを用い、導電性粒子として、MnFe2 4 (マンガンフェライト)よりなる粒子(数平均粒子径5μm)を用いた。
【0041】それぞれ厚みが5mmの矩形の鉄板よりなる上型および下型と、厚みが0.2mmの矩形の枠状のスペーサーとよりなる異方導電性シート成形用の金型を用意し、この金型のキャビティ内に、調製したシート成形材料を注入してシート成形材料層を形成した。次いで、上型の上面および下型の下面に電磁石を配置し、シート成形材料層に対し、その厚み方向に1Tの平行磁場を作用させながら、100℃、2時間の条件で、当該シート成形材料層の硬化処理を行うことにより、厚みが0.2mmのシート基体を形成して図1に示す構成の異方導電性シートを製造した。この異方導電性シートのシート基体中における導電性繊維の密度は5×104 本/cm2 であり、導電性粒子の含有割合は体積分率で15%であった。
【0042】〈実施例2〉付加型液状シリコーンゴム100重量部中に、導電性繊維60重量部と、導電性粒子70重量部と、導電性付与物質20重量部とを添加して混合することにより、シート成形材料を調製した。以上において、導電性繊維としては、カーボン短繊維にニッケルをコートしたもの(平均長さ0.2mm,平均径8.5μm,Westain社製)に、電着ポリイミド樹脂材料を80%の被覆率で表面コートし、温度200℃で硬化処理を行ったものを用い、導電性粒子としては、Ni0.5 Zn0.5 Fe2 4 よりなる粒子(数平均粒子径3μm)を用い、導電性付与物質としては、酸化亜鉛粉末(自己導電性物質)を用いた。
【0043】それぞれ厚みが5mmの矩形の鉄板よりなる上型および下型と、厚みが0.2mmの矩形の枠状のスペーサーとよりなる異方導電性シート成形用の金型を用意し、この金型のキャビティ内に、調製したシート成形材料を注入してシート成形材料層を形成した。次いで、上型の上面および下型の下面に電磁石を配置し、シート成形材料層に対し、その厚み方向に1Tの平行磁場を作用させながら、100℃、2時間の条件で、当該シート成形材料層の硬化処理を行うことにより、厚みが0.2mmのシート基体を形成して図1に示す構成の異方導電性シートを製造した。この異方導電性シートのシート基体中における導電性繊維の密度は1×105 本/cm2 であり、導電性粒子の含有割合は体積分率で13%であった。
【0044】〈実施例3〉付加型液状シリコーンゴム100重量部中に、導電性繊維60重量部と、導電性粒子70重量部と、導電性付与物質5重量部とを添加して混合することにより、シート成形材料を調製した。以上において、導電性繊維としては、カーボン短繊維にニッケルをコートしたもの(平均長さ0.2mm,平均径8.5μm,Westain社製)に、電着ポリイミド樹脂材料を80%の被覆率で表面コートし、温度200℃で硬化処理を行ったものを用い、導電性粒子としては、Ni0.5 Zn0.5 Fe2 4 よりなる粒子(数平均粒子径3μm)を用い、導電性付与物質としては、アルキル基の炭素数が5〜15のナトリウムアルカンスルホネート(吸湿導電性物質)を用いた。このシート成形材料を用いたこと以外は実施例2と同様にして、シート基体の厚みが0.2mmの図1に示す構成の異方導電性シートを製造した。この異方導電性シートのシート基体中における導電性繊維の密度は2×106 本/cm2 であり、導電性粒子の含有割合は体積分率で14%であった。
【0045】〈比較例1〉導電性繊維を用いずにシート成形材料を調製したこと以外は、実施例1と同様にして比較用の異方導電性シートを製造した。
【0046】〈異方導電性シートの電気特性の評価〉実施例1〜3および比較例1に係る異方導電性シートの電気特性について、下記のようにしてその評価を行った。
〔無加圧の状態における厚み方向の体積固有抵抗〕異方導電性シートの一面に、イオンスパッター装置(E1010,日立サイエンス社製)により、Au−Pdをターゲットとして厚みが100nmの金属膜を形成した。この金属膜の表面に銀を含有してなる導電性接着剤により、絶縁抵抗計(4339A ハイレジスタンスメーター,HP社製)に接続された配線を接着した。そして、前記絶縁抵抗計に接続された電極径が50mmの測定用電極によって、異方導電性シートの他面を加圧することにより、異方導電性シートの他面に測定用電極の表面が充分に密着させ、その後、異方導電性シートの他面に測定用電極の表面が接触した状態すなわち無加圧の状態とした。そして、この状態において、適宜の電圧値または電流値の電流を測定用電極と金属膜との間に供給し、1分間経過後、異方導電性シートの厚み方向の体積固有抵抗を測定した。
〔厚み方向に加圧された状態の体積固有抵抗〕異方導電性シートを、それぞれ絶縁抵抗計(4339A ハイレジスタンスメーター,HP社製)に接続された電極径が50mmの測定用電極および加圧用電極の間に配置し、加圧用電極によって異方導電性シートを歪み率が20%となるまで加圧し、この状態で、異方導電性シートの厚み方向の体積固有抵抗を測定した。以上、結果を表1に示す。
【0047】
【表1】

【0048】〔電荷の転写性および移動性〕図4に示すように、アース板40上に異方導電性シート1を配置し、この異方導電性シート1の直上に、ウレタン樹脂製のロール45を配置した。このロール45は、テスラコイルによって放電処理されることにより、表面に電荷が蓄積されたものであって、その表面電位が500±50V(トレックジャパン製の表面電位計「モデル520−1」によって測定した値)の範囲に調整されている。そして、ロール45を徐々に下降させることによって異方導電性シート1の表面に接触させ(無加圧の状態)、この状態で1分間保持した後、ロール45を徐々に上昇させ、異方導電性シート1の表面電位を、表面電位計「モデル520−1」によって測定した。次いで、ロール45を徐々に下降させることによって、異方導電性シート1の表面をその歪み率が20%となるよう加圧し、この状態で1分間保持した後、ロール45を徐々に上昇させ、異方導電性シート1の表面電位を、表面電位計「モデル520−1」によって測定した。上記の操作を合計で10回行い、表面電位の平均値および値のばらつきを求めた。以上、結果を表2に示す。
【0049】
【表2】

【0050】表2の結果から明らかなよう、実施例1〜3に係る異方導電性シートによれば、当該異方導電性シートの表面にロール45の表面を接触させることにより、ロール45の表面の電荷が異方導電性シートの表面に高い再現性で転写されることが確認された。また、ロール45によって異方導電性シートの表面を加圧することにより、ロール45の表面の電荷が異方導電性シートを介してアース板に移動することが確認された。これに対して、比較例1に係る異方導電性シートにおいては、その表面にロール45の表面の電荷を安定して転写することができなかった。
【0051】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、無加圧の状態若しくは小さい力で厚み方向に加圧した状態で導電性を示すと共に大きい力で厚み方向に加圧した状態では、無加圧の状態若しくは小さい力で厚み方向に加圧した状態よりも高い導電性を示す異方導電性シートを提供することができる。
【出願人】 【識別番号】000004178
【氏名又は名称】ジェイエスアール株式会社
【出願日】 平成12年8月9日(2000.8.9)
【代理人】 【識別番号】100078754
【弁理士】
【氏名又は名称】大井 正彦
【公開番号】 特開2002−56719(P2002−56719A)
【公開日】 平成14年2月22日(2002.2.22)
【出願番号】 特願2000−240859(P2000−240859)