| 【発明の名称】 |
イオン注入装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】浅野 史朗
【氏名】野田 悦夫
【氏名】関 克彦
【氏名】矢崎 逸夫
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| 【要約】 |
【課題】複数の基体に対して均一なイオン注入を可能とし、複数の基体に厚みが均一で安定した高品質の処理層を生成可能なイオン注入装置を提供する。
【解決手段】真空排気口6とプラズマ原料用の導入口5とを備えた真空容器1、真空容器1内部に複数の基体10を保持する基体保持具21、基体保持具21と真空容器1とを絶縁するブッシング12、複数の基体10に正または負の電圧を印加するパルス高電圧電源15、真空容器1内に放電プラズマを生成して基体10にイオンを注入する高周波誘導コイル25、高周波誘導コイル25に高周波電流を供給する高周波発振器を有する。真空容器1に、電磁波を透過させる絶縁材質からなる中空円筒管20を設け、複数の基体10を保持した基体保持具21を中空円筒管20内に収納する。高周波誘導コイル25は、中空円筒管20の外周に所定の間隔を有して巻回される。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 内部空間を真空とするための真空排気口と前記内部空間に生成するプラズマの原料を供給するための導入口とを備えた真空容器と、前記真空容器内部において複数の基体を保持する保持手段と、前記複数の基体に前記真空容器の電位を基準とした正または負の電圧を印加するバイアス電源と、前記真空容器内に放電を発生させることによりプラズマを生成して前記基体にイオンを注入する誘導コイルと、前記誘導コイルに高周波電流を供給する高周波電源とを有するイオン注入装置において、前記真空容器には、前記内部空間を一体に形成するとともに前記誘導コイルから放射される電磁波を透過させる絶縁材質から構成され、前記保持手段に保持された前記複数の基体を収納する中空円筒管が設けられ、且つ前記誘導コイルは、前記中空円筒管の外周に所定の間隔を有して巻回されていることを特徴とするイオン注入装置。 【請求項2】 前記保持手段および前記中空円筒管はそれぞれ複数設けられ、各中空円筒管内に一つの保持手段が収納されており、前記誘導コイルは、前記複数の中空円筒管を個別に取り囲むように配置されていることを特徴とする請求項1記載のイオン注入装置。 【請求項3】 前記保持手段および前記中空円筒管はそれぞれ複数設けられ、各中空円筒管内に一つの保持手段が収納されており、前記誘導コイルは、前記複数の中空円筒管の全体を取り囲むように配置されていることを特徴とする請求項1記載のイオン注入装置。 【請求項4】 前記誘導コイルは、独立に設けられた複数の誘導コイルであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のイオン注入装置。 【請求項5】 前記高周波電源は、前記複数の誘導コイルに高周波電流を供給する単一の高周波電源であり、前記単一の高周波電源と前記複数の誘導コイルとの間に、全ての誘導コイルに対応する単一のインピーダンス整合器が設けられていることを特徴とする請求項4記載のイオン注入装置。 【請求項6】 前記高周波電源は、前記複数の誘導コイルに高周波電流を供給する単一の高周波電源であり、前記単一の高周波電源と前記複数の誘導コイルとの間に、各誘導コイルにそれぞれ対応する複数のインピーダンス整合器が設けられていることを特徴とする請求項4記載のイオン注入装置。 【請求項7】 前記高周波電源は、前記複数の誘導コイルに個別に高周波電流を供給する複数の高周波電源であり、前記複数の高周波電源と前記複数の誘導コイルとの間に、各誘導コイルにそれぞれ対応する複数のインピーダンス整合器が設けられていることを特徴とする請求項4記載のイオン注入装置。 【請求項8】 前記複数の高周波電源は、2種類以上の異なる周波数の高周波電流を供給するように構成されていることを特徴とする請求項7記載のイオン注入装置。 【請求項9】 前記真空容器本体に接続されてこの真空容器本体と共に前記中空円筒管および前記誘導コイルを収納する空間を形成する金属製カバーが設けられていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のイオン注入装置。 【請求項10】 前記中空円筒管を冷却する冷却手段が設けられていることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載のイオン注入装置。 【請求項11】 前記中空円筒管は端部に金属製のフランジを有し、このフランジを介して前記真空容器本体に着脱可能に構成されていることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載のイオン注入装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、例えば、金属製の基体にイオンを注入するためのイオン注入装置に関する。 【0002】 【従来の技術】従来から、例えば、ステンレス鋼からなる基体に、窒素イオンやチタンイオンを注入すると、基体の耐磨耗性や疲労寿命が大幅に改善されることが知られている。これは、イオンを金属表面に照射すると、照射されたイオンが金属に侵入すると共に、金属の構成元素と反応して表層部のみを合金化、化合物化するためである。また、照射されたイオンは金属結晶に打ち込まれた釘のような作用をするため、金属表層に形成された合金層、化合物層と金属との密着性は極めて高く、剥離しにくい。そこで、ピストン、ベアリングなどの自動車部品、バイト、ドリルなどの切削工具のような金属製の基体に、イオンを注入することによって、基体の耐磨耗性、耐熱性、硬度などを向上させる試みがなされている。 【0003】上記のような基体にイオンを注入する方法としては、従来から、イオン源から引き出したイオンを加速し、質量分離用の偏向磁石を通した後に基体に注入するという方法があった。しかし、この方法では、基体に対するイオン注入が一方向からしか行えないことから、基体周囲にイオンを注入するためには、基体を保持するワークホルダ等の角度を変える駆動機構が必要であり、注入時間も長くかかっていた。また、質量分離、加速といった過程を経るために長距離のビーム輸送が必要となり、装置が複雑で、高価となっていた。 【0004】これに対処するため、近年では、注入したい物質の正イオンを含む放電プラズマ中に基体を保持し、数十から数百kVの負のパルス電圧を印加する方法が提案されている(参考文献: J. R. Conrad, et al., "Plasma source ion-implantation technique for surface modification of materials", J. Appl. Phys 62(11), 1987, pp.4591-4596)。【0005】このイオン注入方式は、PSII(Plasma Source Ion Implantation)、PBII(Plasma Based Ion Implantation)若しくはPIII(Plasma ImmersionIon Implantation)という略称で呼ばれており、前述した加速・質量分離を行う従来法と比べて、以下のような利点を有している。 (a)基体の周囲を取り囲んでいるプラズマから、基体表面にほぼ垂直にイオン注入が行えるため、従来法で必要だった基体の駆動機構が不要となり、注入時間も短くて済む。これは、特に、基体が三次元形状をしている場合に有利である。 (b)長距離のビーム輸送が不要なので、装置構成を単純・安価にできる。 【0006】このようなPSII方式のイオン注入装置の一例を、図12〜14を参照して説明する。なお、このイオン注入装置は、例えば、米国特許第4764394号公報などに記載されたものと同様のものである。また、図12は、イオン注入装置を正面から見た時の断面図、図13は上面から見た時の断面図、図14は斜視図である。 【0007】まず、図12に示すように、イオン注入装置の真空容器1は、上面の上板2、下面の底板3、および側面の側板4からなる略円筒形状の容器である。この真空容器1の底板3には、図示しないガス供給源から真空容器1内に放電ガスを導入するためのガス導入口5と、図示しない真空排気ポンプによって真空容器1内を真空にするための真空排気口6とが設けられている。 【0008】真空容器1の上板2と底板3の外壁には、水平方向に伸びる複数の角棒状の永久磁石7a,7bが互いに平行に配設されている。これらの永久磁石7a,7bは、上板2および底板3の外壁に直角な方向に着磁され、隣接する磁石の極性が互いに異なるように交互に配設されている。さらに、図13に示すように、真空容器1の側板4の外壁には、垂直方向に伸びる複数の永久磁石7cが、互いに平行に、かつ、隣接する磁石の極性が互いに異なるように交互に配設されている。このように永久磁石7a〜7cを真空容器1の外壁全面に配設することにより、真空容器1の内壁全面を覆う磁力線16a〜16cが形成されている。 【0009】また、真空容器1には、陽極となる上板2、底板3、および側板4に対して、陰極となるフィラメント9が配設されている。さらに、真空容器1内には、イオンを注入する基体10を保持するための金属製の基体保持台11が、ブッシング12を介して真空容器1と電位的に絶縁されて設置されている。 【0010】そして、真空容器1には、フィラメント9に通電するためのフィラメント電源と、上板2、底板3、および側板4を陽極、フィラメント9を陰極とする放電を起こすためのアーク電源からなる放電電源ユニット13が接続されている。さらに、基体保持台11には、ブッシング12および高圧ケーブル14を介してパルス高電圧電源15が接続されており、このパルス高電圧電源15からパルス状の高電圧を基体10に印加するようになっている。 【0011】このような構成を有するPSII装置の動作について、以下に説明する。まず、図示しない真空排気装置を用いて真空排気口6から排気することにより、真空容器1を予め真空状態とする。そして、基体10に注入しようとする物質のガス(窒素、酸素など)をガス導入口5から真空容器1内に供給し、放電電源ユニット13のフィラメント電源によってフィラメント9に通電して加熱し、発生する熱電子を真空容器1内に充満させる。 【0012】この状態で、放電電源ユニット13のアーク電源によって、フィラメント9と真空容器1との間に放電を発生させ、図12に示すような放電プラズマ17を生成する。そして、基体保持台11に接続されたパルス高電圧電源15によって、放電プラズマ17の生成とは独立に、パルス幅がおよそ数十マイクロ秒、大きさが数十から数百kV程度の負のパルス電圧を、基体10に対して印加する。 【0013】ここで、基体10への電圧印加が、数十マイクロ秒という短い時間幅にパルス化されている理由は、ターゲットへの電圧印加によって、放電プラズマ17と基体10との間にアーク放電が発生するのを防止するためである。このように、基体10に負のパルス電圧が印加されると、基体10を取り囲んだプラズマ中に、シースが成長して電子が基体10から遠ざけられ、逆にイオンが基体10方向に加速されるので、イオンが基体10に注入される。 【0014】 【発明が解決しようとする課題】ところで、上記のような従来のPSII方式のイオン注入装置においては、真空容器1内で放電プラズマ17を生成する際に、フィラメント9の周辺に、高密度のプラズマが生成され、そのプラズマが基体10に向かって拡散してゆくため、フィラメント9から基体10に向かう方向におけるプラズマの密度分布に高低差が生じる。 【0015】すなわち、基体10のうち、フィラメント9に対向しない部分と接するプラズマの密度は、フィラメント9に対向する部分と接するプラズマの密度よりも必然的に小さくなる。特に、複数の基体10の処理を行う場合には、個々の基体10がプラズマの拡散を妨げることにもなるため、フィラメント9と各基体10との距離の違いや、基体10相互の位置関係によっても、基体10と接するプラズマの密度には濃淡が生じる。 【0016】このように、複数の基体10の全体がプラズマと接触している場合であっても、高密度のプラズマと接触している基体10と低密度のプラズマと接触している基体10とが生じるため、基体10に負のパルス電圧を印加した際に注入されるイオンの量が、プラズマの濃淡に応じて変化する。また、そのようなプラズマの濃淡に応じて、各基体10表面に対するイオンの注入角度も変化するため、注入深さなどにも不均一が生じる可能性がある。従って、複数の基体10間で処理層の厚みや品質にばらつきが生じ、結果的に複数の基体10を同一条件でイオン注入処理することが困難となる。 【0017】本発明は、以上のような従来技術の問題点を解決するために提案されたものであり、その目的は、複数の基体に対して均一なイオン注入を可能とし、複数の基体に厚みが均一で安定した高品質の処理層を生成可能なイオン注入装置を提供することである。 【0018】 【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するため、本発明は、内部空間を真空とするための真空排気口と前記内部空間に生成するプラズマの原料を供給するための導入口とを備えた真空容器と、前記真空容器内部において複数の基体を保持する保持手段と、前記複数の基体に前記真空容器の電位を基準とした正または負の電圧を印加するバイアス電源と、前記真空容器内に放電を発生させることによりプラズマを生成して前記基体にイオンを注入する誘導コイルと、前記誘導コイルに高周波電流を供給する高周波電源とを有するイオン注入装置において、以下のような技術的特徴を有する。 【0019】請求項1記載のイオン注入装置は、前記真空容器に、前記内部空間を一体に形成するとともに前記誘導コイルから放射される電磁波を透過させる絶縁材質から構成され、前記保持手段に保持された前記複数の基体を収納する中空円筒管が設けられ、且つ前記誘導コイルが、前記中空円筒管の外周に所定の間隔を有して巻回されていることを特徴としている。 【0020】この特徴によれば、保持手段によって保持された複数の基体が、真空容器に設けられた中空円筒管内に収納され、この中空円筒管の外周に誘導コイルが所定の間隔を有して巻回されているので、誘導コイルによって生成される放電プラズマが複数の基体の全面を取り囲むことになり、複数の基体の全面を高密度で均一性の高いプラズマと接触させることができる。この状態でバイアス電源によって基体に正または負の電圧を印加することによって、空間的にほぼ均一で一定量のイオンがプラズマから各基体表面に向かってほぼ垂直方向に加速・注入される。このように、複数の基体に対して均一なイオン注入が可能であるため、複数の基体に厚みが均一で安定した高品質の処理層を生成することができる。 【0021】請求項2記載の発明は、請求項1記載のイオン注入装置において、前記保持手段および前記中空円筒管がそれぞれ複数設けられ、各中空円筒管内に一つの保持手段が収納されており、前記誘導コイルが、前記複数の中空円筒管を個別に取り囲むように配置されていることを特徴としている。請求項3記載の発明は、請求項1記載のイオン注入装置において、前記保持手段および前記中空円筒管がそれぞれ複数設けられ、各中空円筒管内に一つの保持手段が収納されており、前記誘導コイルが、前記複数の中空円筒管の全体を取り囲むように配置されていることを特徴としている。 【0022】以上のような請求項2、3の特徴によれば、複数の中空円筒管の間において均一なイオン注入が可能であり、多数の基体に対して同一条件でイオン注入処理を行うことができる。特に、請求項3の特徴によれば、複数の中空円筒管の全体を取り囲むように誘導コイルを配置しているため、各中空円筒管を個別に取り囲むように誘導コイルを配置した場合に比べて、誘導コイルの製作が容易である。 【0023】請求項4記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載のイオン注入装置において、前記誘導コイルが、独立に設けられた複数の誘導コイルであることを特徴としている。この特徴によれば、複数の誘導コイルを使用しているため、特に、複数の中空円筒管を使用した場合に、単一の誘導コイルを使用した場合に比べて、誘導コイルの製作が容易であり、組み立ての際における中空円筒管と誘導コイルとのギャップ調整が容易になる。 【0024】請求項5記載の発明は、請求項4記載のイオン注入装置において、前記高周波電源が、前記複数の誘導コイルに高周波電流を供給する単一の高周波電源であり、前記単一の高周波電源と前記複数の誘導コイルとの間に、全ての誘導コイルに対応する単一のインピーダンス整合器が設けられていることを特徴としている。この特徴によれば、単一の高周波電源と単一のインピーダンス整合器を使用して複数の誘導コイルに供給される高周波電力の全てを制御できるため、電源構成を簡略化することができる。 【0025】請求項6記載の発明は、請求項4記載のイオン注入装置において、前記高周波電源が、前記複数の誘導コイルに高周波電流を供給する単一の高周波電源であり、前記単一の高周波電源と前記複数の誘導コイルとの間に、各誘導コイルにそれぞれ対応する複数のインピーダンス整合器が設けられていることを特徴としている。この特徴によれば、単一の高周波電源を使用することで、電源構成の簡略化を実現しながら、しかも、各誘導コイルに対応する複数のインピーダンス整合器を使用し、各インピーダンス整合器の整合状態を変化させて各誘導コイルへの供給電力を変化させることなどにより、プラズマの空間分布制御を実現することができる。 【0026】請求項7記載の発明は、請求項4記載のイオン注入装置において、前記高周波電源が、前記複数の誘導コイルに個別に高周波電流を供給する複数の高周波電源であり、前記複数の高周波電源と前記複数の誘導コイルとの間に、各誘導コイルにそれぞれ対応する複数のインピーダンス整合器が設けられていることを特徴としている。この特徴によれば、複数の高周波電源の各々から供給される高周波電力が、各インピーダンス整合器を経由して各誘導コイルに供給される。各インピーダンス整合器の整合状態を変化させて各誘導コイルへの供給電力を変化させるだけでなく、各高周波電源の出力を変動させることによって各誘導コイルへの供給電力の精密な制御が可能となるため、単一の高周波電源を使用した場合に比べてプラズマのより精密な空間分布制御を実現することができる。 【0027】請求項8記載の発明は、請求項7記載のイオン注入装置において、前記複数の高周波電源が、2種類以上の異なる周波数の高周波電流を供給するように構成されていることを特徴としている。この特徴によれば、誘導コイルに供給する高周波電流の周波数を適切に設定することにより、高密度プラズマの生成と生成したプラズマの空間分布制御をより有利に行うことができる。 【0028】請求項9記載の発明は、請求項1〜8のいずれか1項に記載のイオン注入装置において、前記真空容器本体に接続されてこの真空容器本体と共に前記中空円筒管および前記誘導コイルを収納する空間を形成する金属製カバーが設けられていることを特徴としている。この特徴によれば、誘導コイルと中空円筒管を金属製カバー内に収納することにより、誘導コイルから電磁波が外部に漏出することを抑制できるため、電磁波障害によるイオン注入装置各部の誤動作などの発生を防止することができる。 【0029】請求項10記載の発明は、請求項1〜9のいずれか1項に記載のイオン注入装置において、前記中空円筒管を冷却する冷却手段が設けられていることを特徴としている。この特徴によれば、冷却手段により中空円筒管を冷却することにより、中空円筒管内に生成される放電プラズマから発生する熱を奪って各部の温度上昇を抑制し、熱膨張率の差異に起因する接合部の剥離などを防止することができる。 【0030】請求項11記載の発明は、請求項1〜10のいずれか1項に記載のイオン注入装置において、前記中空円筒管が端部に金属製のフランジを有し、このフランジを介して前記真空容器本体に着脱可能に構成されていることを特徴としている。この特徴によれば、中空円筒管が、フランジを介して真空容器本体に着脱可能であるため、中空円筒管を取り外した状態で、中空円筒管内に収納される保持手段への基体の取り付け・取り外しや、保持手段の別部材への取り付け・取り外し等の作業を容易に行うことができる。 【0031】 【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。 [第1の実施の形態] [構成]図1は、本発明による第1の実施の形態として、請求項1、2に記載の発明を適用したイオン注入装置の一つの形態を示す断面斜視図である。この図1に示すように、本実施の形態に係るイオン注入装置の真空容器1は、上面の上板2、下面の底板3、および側面の側板4からなる箱形の容器である。この真空容器1の側板4には、図示しないガス供給源から放電ガスを導入するためのガス導入口5と、図示しない真空排気装置によって真空容器1内を真空にするための真空排気口6とが設けられている。 【0032】そして、この真空容器1の底板3には、下部フランジ18(18a〜18c)と上部フランジ19(19a〜19c)を備えた垂直方向に伸びる3個の中空円筒管20(20a〜20c)が一列に並べて取り付けられ、真空容器1本体と一体の内部空間を形成している。ここで、各中空円筒管20は、電磁波を透過させるアルミナなどの絶縁材質から構成されており、その下部開口を封じるようにステンレス鋼からなる下部フランジ18が溶接されると共に、その上部開口の周囲にはステンレス鋼からなる円盤状の上部フランジ19が溶接されている。 【0033】真空容器1の内部には、複数の基体10を保持するための保持手段として、3個の基体保持具21(21a〜21c)が設置されている。ここで、各基体保持具21は、垂直方向に伸びる基体保持棒22とその上端部を除く部分に取り付けられた複数の基体保持リング23から構成されており、各基体保持リング23に基体10を挟持することにより、複数の基体10を保持するようになっている。また、各基体保持具21の基体保持棒22は、その上端部で共通の基体保持板24に接続され、真空容器1の上板2に設置されたブッシング12から高圧ケーブル14を介してパルス高電圧電源15に接続されている。 【0034】これら3個の基体保持具21a〜21cの各々は、3個の中空円筒管20a〜20cと順次対応しており、その基体保持棒22a〜22cが対応する中空円筒管20a〜20cの中心軸とほぼ一致し、かつ、基体保持リング23によって複数の基体10を保持した領域全体が対応する中空円筒管20a〜20c内にそれぞれ挿入されるように配置されている。 【0035】各中空円筒管20の外周の大気側には、高周波誘導コイル25が所定の間隔を有して螺旋状に巻回されている。この場合、高周波誘導コイル25は、3個の中空円筒管20a〜20cを個別に順次取り囲むようにして配置されており、図示しないインピーダンス整合器、同軸構造のRF供給ケーブルを経由して高周波発振器に接続されている。また、高周波誘導コイル25は、例えば中空形状の銅線から構成され、その両端部には冷却水入口26および冷却水出口27がそれぞれ設けられており、冷却水供給ユニット28から供給される冷却水を高周波誘導コイル25内の中空部に循環させるようになっている。 【0036】[作用]以上のような本実施の形態に係るイオン注入装置における基本動作を説明する。まず、図示しない真空排気装置を用いて真空排気口6から排気することにより、真空容器1を予め真空状態とする。また、冷却水供給ユニット28を用いて、大気側に設けられた冷却水入口26から水を供給し、冷却水出口27から排出することによって、高周波誘導コイル25内で水を循環させる。 【0037】そして、図示しないガス供給源を用いて、例えば、窒素ガスなどの放電ガスをガス導入口5から真空容器1内に供給するとともに、図示しない高周波発振器から同軸構造のRF供給ケーブル、インピーダンス整合器を経由して高周波誘導コイル25に高周波電力を供給する。その結果、誘導電界によって高周波誘導コイル25の内側に配置された中空円筒管20a〜20cの内部にそれぞれ放電プラズマが生成される。 【0038】この場合、高周波誘導コイル25に供給された冷却水は、コイルを流れる高周波電流によって発生する熱を除去し、高周波誘導コイル25の温度上昇を抑える働きをする。この状態で、パルス高電圧電源15から高圧ケーブル14およびブッシング12を通して、真空容器1内の基体保持板24に負のパルス電圧を印加する。負のパルス電圧は基体保持棒22から基体保持リング23を経由して基体10に印加されるため、基体10を取り囲むように生成された放電プラズマと基体10との境界部分にイオンシースが形成され、基体10にはその表面にほぼ垂直な方向から放電プラズマ中のイオンが注入される。 【0039】[効果]以上のような本実施の形態によれば、複数の基体10を保持した3個の基体保持具21a〜21cをそれぞれ収納した3個の中空円筒管20a〜20cの外周に高周波誘導コイル25が所定の間隔を有して巻回されているため、3個の中空円筒管20a〜20c内に収納された基体10に直接接する空間部分や基体10間の間隙部分に放電プラズマが生成され、複数の基体10の全面を高密度でほぼ均一なプラズマによって取り囲み、直接接触させることができる。 【0040】従って、空間的にほぼ均一で一定量のイオンをプラズマから基体表面に向かってほぼ垂直方向に加速・注入できる。このように、複数の基体に対して均一なイオン注入が可能であるため、複数の基体に厚みが均一で安定した高品質の処理層を生成することができる。特に、三次元形状の基体に対しても、厚みが均一で安定した高品質の処理層を生成することができる。さらに、本実施の形態においては、3個の中空円筒管20a〜20cの間において均一なイオン注入が可能であり、これらの中空円筒管20a〜20c内に多数の基体10を収納してそれらの多数の基体10に対して同一条件でイオン注入処理を行うことができる。 【0041】[第2の実施の形態] [構成]図2は、本発明による第2の実施の形態として、請求項1、3に記載の発明を適用したイオン注入装置の一つの形態を示す断面斜視図である。この図2に示すように、本実施の形態に係るイオン注入装置は、図1に示す第1の実施の形態に係るイオン注入装置において、中空円筒管20と基体保持具21を3個から6個に増やすと共に、高周波誘導コイル25の配置を変更したものである。 【0042】すなわち、真空容器1の底板3には、下部フランジ18(18a〜18f)と上部フランジ19(19a〜19f)を備えた垂直方向に伸びる6個の中空円筒管20(20a〜20f)が取り付けられ、真空容器1本体の内部空間と連通する内部空間を形成している。ここで、6個の中空円筒管20a〜20fは、3個の中空円筒管20a〜20c、20d〜20fを各1列として2列に並べられている。 【0043】また、これら6個の中空円筒管20a〜20fの各々と順次対応する6個の基体保持具21a〜21fは、中空円筒管20a〜20fの位置に合わせて、3個の基体保持具21a〜21c、21d〜21fを各1列として2列に並べられている。そして、6個の基体保持具21a〜21fの各々は、その基体保持棒22a〜22fが対応する中空円筒管20a〜20fの中心軸とほぼ一致し、かつ、基体保持リング23によって複数の基体10を保持した領域全体が対応する中空円筒管20a〜20f内にそれぞれ挿入されるように配置されている。 【0044】また、本実施の形態において、高周波誘導コイル25は、6個の中空円筒管20a〜20fの外周の大気側に所定の間隔を有して螺旋状に巻回されているが、この場合、中空円筒管20a〜20fを個別に取り囲むのではなく、6個の中空円筒管20a〜20fの全体を取り囲むように配置されている。なお、他の部分については、図1に示す第1の実施の形態に係るイオン注入装置と同様の構成であるため、ここでは説明を省略する。 【0045】[作用・効果]以上のような本実施の形態によれば、複数の基体10を保持した6個の基体保持具21a〜21fをそれぞれ収納した6個の中空円筒管20a〜20fの外周に高周波誘導コイル25が所定の間隔を有して巻回されているため、6個の中空円筒管20a〜20f内に収納された基体10に直接接する空間部分や基体10間の間隙部分に放電プラズマが生成され、複数の基体10の全面を高密度でほぼ均一なプラズマによって取り囲み、直接接触させることができる。 【0046】従って、前述した第1の実施の形態と同様に、空間的にほぼ均一で一定量のイオンをプラズマから基体表面に向かってほぼ垂直方向に加速・注入できる。このように、複数の基体に対して均一なイオン注入が可能であるため、複数の基体に厚みが均一で安定した高品質の処理層を生成することができる。特に、三次元形状の基体に対しても、厚みが均一で安定した高品質の処理層を生成することができる。 【0047】さらに、本実施の形態においては、6個の中空円筒管20a〜20f内により多くの基体10を収納してそれらのより多くの基体10に対して同一条件でイオン注入処理を行うことができる。特に、本実施の形態においては、6個の中空円筒管20a〜20fの全体を取り囲むように高周波誘導コイル25を配置しているため、各中空円筒管を個別に取り囲むように高周波誘導コイル25を配置した場合に比べて、誘導コイルの製作が容易である。 【0048】[第3の実施の形態] [構成]図3は、本発明による第3の実施の形態として、請求項1、2、9に記載の発明を適用したイオン注入装置の一つの形態を示す断面斜視図である。この図3に示すように、本実施の形態に係るイオン注入装置は、図1に示す第1の実施の形態に係るイオン注入装置において、中空円筒管20と高周波誘導コイル25を収納する金属製カバー29を設けたものである。 【0049】すなわち、真空容器1の底板3には、大地電位を有する箱型の金属製カバー29が接続されており、底板3と金属製カバー29とで形成される空間内に、3個の中空円筒管20a〜20cおよびそれらに巻回された高周波誘導コイル25が収納されている。また、高周波誘導コイル25の一方の端部は金属製カバー29と接続され、他方の端部は金属製カバー29を貫通して、金属製カバー29とインピーダンス整合器30との間に接続された円筒形状の外導体管31の中を通り、インピーダンス整合器30の出力端子に接続されている。 【0050】インピーダンス整合器30には、同軸構成のRF供給ケーブル32を介して高周波発振器(高周波電源)33が接続されており、この高周波発振器33から高周波誘導コイル25に高周波電力が供給されるようになっている。さらに、冷却水供給ユニット28から高周波誘導コイル25に冷却水を供給するための配管は金属製カバー29を貫通している。なお、他の部分については、図1に示す第1の実施の形態に係るイオン注入装置と同様の構成であるため、ここでは説明を省略する。 【0051】[作用・効果]以上のような本実施の形態によれば、高周波誘導コイル25と3個の中空円筒管20a〜20cが大地電位の金属製カバー29内に収納されると共に、高周波誘導コイル25に高周波電流を供給する配線も外導体管31内を通っているため、高周波誘導コイル25および配線から電磁波が外部に漏出することを抑制できる。従って、本実施の形態によれば、前述した第1の実施の形態と同様の効果が得られることに加えて、さらに、金属製カバー29を設けたことにより、電磁波障害によるイオン注入装置各部の誤動作などの発生を防止することができ、装置全体の動作の安定性と信頼性を高めることが可能となる。 【0052】[第4の実施の形態] [構成]図4は、本発明による第4の実施の形態として、請求項1、2、9、10に記載の発明を適用したイオン注入装置の一つの形態を示す断面斜視図である。この図4に示すように、本実施の形態に係るイオン注入装置は、図3に示す第3の実施の形態に係るイオン注入装置において、金属製カバー29に冷却手段を設けたものである。すなわち、金属製カバー29のうち、両端の中空円筒管20a,20cに対向する側壁には、ファン34を内蔵した2個の送風ユニット35a,35bがそれぞれ取り付けられている。また、金属製カバー29の別の側壁には、パンチングメタル製の排気口36が設けられている。なお、他の部分については、図3に示す第3の実施の形態に係るイオン注入装置と同様の構成であるため、ここでは説明を省略する。 【0053】[作用・効果]以上のような本実施の形態によれば、送風ユニット35a、35bに内蔵されたファン34を回転させることによって空気を金属製カバー29内に送り込んで排気口36から送り出し、金属製カバー29内の空気を強制的に対流させることができる。これにより、3個の中空円筒管20a〜20cおよびその下部フランジ18a〜18c、上部フランジ19a〜19cに流入する放電プラズマからの熱を奪って中空円筒管20a〜20c各部の温度上昇を抑制することができる。 【0054】従って、本実施の形態によれば、前述した第1、第3の実施の形態と同様の効果が得られることに加えて、さらに次のような効果が得られる。すなわち、金属製カバー29に送風ユニット35a,35bと排気口36を設けたことにより、中空円筒管20a〜20c各部の温度上昇を抑制できるため、温度上昇に伴う中空円筒管20a〜20cの割れや中空円筒管20a〜20cと下部フランジ18a〜18c、上部フランジ19a〜19cの膨張率の違いに起因する接合部の剥離などを防止することが可能となる。 【0055】[第5の実施の形態] [構成]図5は、本発明による第5の実施の形態として、請求項1、11に記載の発明を適用したイオン注入装置の一つの形態を示す図であり、特に、放電容器周辺を拡大して示す断面図である。この図5に示すように、本実施の形態に係るイオン注入装置は、図1に示す第1の実施の形態に係るイオン注入装置において、中空円筒管20を独立した放電容器37として真空容器1本体に着脱可能に構成すると共に、放電容器37に冷却手段を設けたものである。 【0056】すなわち、放電容器37の基本的な構成は、第1の実施の形態と同様であり、中空円筒管20は、電磁波を透過させるアルミナなどの絶縁材質から構成されており、その下部開口を封じるようにステンレス鋼からなる下部フランジ18が溶接されると共に、その上部開口の周囲にはステンレス鋼からなる円盤状の上部フランジ19が溶接されている。この構成に加えて、本実施の形態においては、放電容器37の上部フランジ19が、Oリング38を介してボルト39により真空容器1の底板3に締め付けられ、内部を真空に保持した状態で固定されるようになっている。また、上部フランジ19の内部には、中空円筒管20を囲むように同心状円形の冷却水路40が設けられており、冷却水入口26および冷却水出口27を介して図示しない冷却水供給ユニットから供給される冷却水を冷却水路40内で循環させるようになっている。 【0057】[作用・効果]以上のような本実施の形態によれば、放電容器37が真空容器1の底板3に対して着脱可能であるため、この放電容器37を真空容器1から取り外した状態で、この放電容器37内に収納される基体保持具21への基体の取り付け・取り外しや、基体保持板24への基体保持具21の取り付け・取り外し等の作業を容易に行うことができる。 【0058】[第6の実施の形態] [構成]図6は、本発明による第6の実施の形態として、請求項1、2、4に記載の発明を適用したイオン注入装置の一つの形態を示す断面斜視図である。この図6に示すように、本実施の形態に係るイオン注入装置は、図1に示す第1の実施の形態に係るイオン注入装置において、3個の中空円筒管20a〜20cに対応する3個の独立した高周波誘導コイル25a〜25cを使用したものである。 【0059】すなわち、3個の高周波誘導コイル25a〜25cは、3個の中空円筒管20a〜20cの外周の大気側に所定の間隔を有して螺旋状に巻回されているが、この場合、3個の高周波誘導コイル25a〜25cの各々が、対応する中空円筒管20a〜20cを個別に取り囲むように配置されている。そして、3個の高周波誘導コイル25a〜25cの各々が、中空形状の銅線から構成され、冷却水供給ユニット28によりその中空部に冷却水を循環させるようになっている。なお、他の部分については、図1に示す第1の実施の形態に係るイオン注入装置と同様の構成であるため、ここでは説明を省略する。 【0060】[作用・効果]以上のような本実施の形態によれば、複数の基体10を保持した3個の基体保持具21a〜21cをそれぞれ収納した3個の中空円筒管20a〜20cの外周に独立した3個の高周波誘導コイル25a〜25cが所定の間隔を有して巻回されているため、3個の中空円筒管20a〜20c内に収納された基体10に直接接する空間部分や基体10間の間隙部分に放電プラズマが生成され、複数の基体10の全面を高密度でほぼ均一なプラズマによって取り囲み、直接接触させることができる。 【0061】従って、前述した第1の実施の形態と同様に、空間的にほぼ均一で一定量のイオンをプラズマから基体表面に向かってほぼ垂直方向に加速・注入できる。このように、複数の基体に対して均一なイオン注入が可能であるため、複数の基体に厚みが均一で安定した高品質の処理層を生成することができる。特に、三次元形状の基体に対しても、厚みが均一で安定した高品質の処理層を生成することができる。 【0062】さらに、本実施の形態においては、複数の中空円筒管20a〜20cに対応した複数の高周波誘導コイル25a〜25cを使用しているため、各中空円筒管20を個別に取り囲む高周波誘導コイルが直列に接続されて単一の高周波誘導コイルを形成した第1の実施の形態と比較して、高周波誘導コイルの製作、および組立の際の中空円筒管20と高周波誘導コイル25とのギャップ調整が容易になるなどの効果が期待できる。 【0063】[第7の実施の形態] [構成]図7は、本発明による第7の実施の形態として、請求項1、2、4に記載の発明を適用したイオン注入装置の一つの形態を示す断面斜視図である。この図7に示すように、本実施の形態に係るイオン注入装置は、図2に示す第2の実施の形態に係るイオン注入装置において、6個の中空円筒管20a〜20fを巻回する高周波誘導コイルとして3個の独立した高周波誘導コイル25ad,25be,25cfを使用したものである。 【0064】すなわち、本実施の形態においては、3個の高周波誘導コイル25ad,25be,25cfは、6個の中空円筒管20a〜20fの外周の大気側に所定の間隔を有して螺旋状に巻回されているが、この場合、3個の高周波誘導コイル25ad,25be,25cfの各々が、対応する各2個の中空円筒管(20a,20d),(20b,20e),(20c,20f)を個別に取り囲むように配置されている。そして、3個の高周波誘導コイル25ad,25be,25cfの各々が、中空形状の銅線から構成され、冷却水供給ユニット28によりその中空部に冷却水を循環させるようになっている。なお、他の部分については、図2に示す第2の実施の形態に係るイオン注入装置と同様の構成であるため、ここでは説明を省略する。 【0065】[作用・効果]以上のような本実施の形態によれば、複数の基体10を保持した6個の基体保持具21a〜21fをそれぞれ収納した6個の中空円筒管20a〜20fの外周に独立した3個の高周波誘導コイル25ad,25be,25cfが所定の間隔を有して巻回されているため、6個の中空円筒管20a〜20f内に収納された基体10に直接接する空間部分や基体10間の間隙部分に放電プラズマが生成され、複数の基体10の全面を高密度でほぼ均一なプラズマによって取り囲み、直接接触させることができる。 【0066】従って、前述した第1、第2の実施の形態と同様に、空間的にほぼ均一で一定量のイオンをプラズマから基体表面に向かってほぼ垂直方向に加速・注入できる。このように、複数の基体に対して均一なイオン注入が可能であるため、複数の基体に厚みが均一で安定した高品質の処理層を生成することができる。特に、三次元形状の基体に対しても、厚みが均一で安定した高品質の処理層を生成することができる。 【0067】さらに、本実施の形態においては、複数の中空円筒管20a〜20fに対して複数の高周波誘導コイル25ad,25be,25cfを使用しているため、複数の中空円筒管20a〜20fの全体を取り囲む単一の高周波誘導コイル25を使用した第2の実施の形態と比較して、高周波誘導コイルの製作、および組立の際の中空円筒管20と高周波誘導コイル25とのギャップ調整が容易になるなどの効果が期待できる。 【0068】また、単一の高周波誘導コイル25によって複数の中空円筒管20a〜20fの全体を取り囲む第2の実施の形態と比較すると、各高周波誘導コイル25ad,25be,25cfに面する中空円筒管20a〜20fの面積を増やすことができるため、中空円筒管20a〜20f内部への高周波電界の供給が効率的に行われ、生成される放電プラズマの密度を高める効果も期待できる。 【0069】[第8の実施の形態] [構成]図8は、本発明による第8の実施の形態として、請求項1、2、4、5に記載の発明を適用したイオン注入装置の一つの形態を示す図であり、特に、高周波誘導コイルへの高周波電力供給系を示す概略構成図である。この図8に示すように、本実施の形態に係るイオン注入装置は、3個の独立した高周波誘導コイル25a〜25cを使用し、これらの高周波誘導コイル25a〜25cに高周波電流を供給する単一の高周波発振器33を設けると共に、高周波発振器33と3個の高周波誘導コイル25a〜25cとの間に、全ての高周波誘導コイル25a〜25cに対応する単一のインピーダンス整合器30を設けたものである。単一の高周波発振器33、単一のインピーダンス整合器30、および3個の高周波誘導コイル25a〜25cの間は、同軸形状のRF供給ケーブル32を介して接続されており、このRF供給ケーブル32は、インピーダンス整合器30と3個の高周波誘導コイル25a〜25cとの間で3系統に分岐している。 【0070】[作用・効果]以上のような本実施の形態においては、単一の高周波発振器33から供給された高周波電力が、単一のインピーダンス整合器30を経由して同軸形状のRF供給ケーブル32から3系統に分岐され、3個の高周波誘導コイル25a〜25cの各々に供給される。この場合、単一の高周波発振器33と単一のインピーダンス整合器30を使用して、複数の高周波誘導コイル25a〜25cに供給される高周波電力の全てを制御できるため、電源構成を簡略化することができ、結果的に、電源系に起因するトラブルを未然に防止できるという効果が得られる。 【0071】[第9の実施の形態] [構成]図9は、本発明による第9の実施の形態として、請求項1、2、4、6に記載の発明を適用したイオン注入装置の一つの形態を示す図であり、特に、高周波誘導コイルへの高周波電力供給系を示す概略構成図である。この図9に示すように、本実施の形態に係るイオン注入装置は、3個の独立した高周波誘導コイル25a〜25cを使用し、これらの高周波誘導コイル25a〜25cに高周波電流を供給する単一の高周波発振器33を設けると共に、高周波発振器33と3個の高周波誘導コイル25a〜25cとの間に、高周波誘導コイル25a〜25cの各々に対応する3個のインピーダンス整合器30a〜30cを設けたものである。単一の高周波発振器33、3個のインピーダンス整合器30a〜30c、および3個の高周波誘導コイル25a〜25cの間は、同軸形状のRF供給ケーブル32を介して接続されており、このRF供給ケーブル32は、単一の高周波発振器33と3個のインピーダンス整合器30a〜30cとの間で3系統に分岐している。 【0072】[作用・効果]以上のような本実施の形態においては、単一の高周波発振器33から供給された高周波電力が、同軸形状のRF供給ケーブル32から3系統に分岐され、3個のインピーダンス整合器30a〜30cを経由して3個の高周波誘導コイル25a〜25cの各々に供給される。 【0073】この場合、単一の高周波発振器33を用いるという電源構成の簡略化を実現しながら、しかも、各高周波誘導コイルに対応する複数のインピーダンス整合器30a〜30cを使用し、各インピーダンス整合器30a〜30cの整合状態を変化させて各高周波誘導コイル25a〜25cへの供給電力を変化させることなどにより、プラズマの空間分布制御を実現することができる。また、各高周波誘導コイル25a〜25cの負荷条件に応じて個別に負荷整合を行うことができるため、プラズマからの反射電力を最小にする等の制御を容易に行うことができる。このように、本実施の形態によれば、生成プラズマの空間分布制御を行えるため、基体10の周囲により均一なプラズマを生成できる。 【0074】[第10の実施の形態] [構成]図10は、本発明による第10の実施の形態として、請求項1、2、4、7に記載の発明を適用したイオン注入装置の一つの形態を示す図であり、特に、高周波誘導コイルへの高周波電力供給系を示す概略構成図である。この図10に示すように、本実施の形態に係るイオン注入装置は、3個の独立した高周波誘導コイル25a〜25cを使用し、これらの高周波誘導コイル25a〜25cに高周波電流を個別に供給する3個の高周波発振器33a〜33cを設けると共に、3個の高周波発振器33a〜33cと3個の高周波誘導コイル25a〜25cとの間に、高周波誘導コイル25a〜25cの各々に対応する3個のインピーダンス整合器30a〜30cを設けたものである。3個の高周波発振器33a〜33c、3個のインピーダンス整合器30a〜30c、および3個の高周波誘導コイル25a〜25cの間は、同軸形状の3個のRF供給ケーブル32a〜32cを介して互いに独立に接続されている。 【0075】[作用・効果]以上のような本実施の形態においては、3個の高周波発振器33a〜33cの各々から供給された高周波電力が、3個のRF供給ケーブル32a〜32cおよび3個のインピーダンス整合器30a〜30cを経由して、3個の高周波誘導コイル25a〜25cの各々に供給される。すなわち、3個の高周波発振器33a〜33cの各々から供給された高周波電力が、3個の高周波誘導コイル25a〜25cの各々に対し、完全に独立した別系統でそれぞれ供給される。 【0076】この場合、3個のインピーダンス整合器30a〜30cの整合状態を変化させて3個の高周波誘導コイル25a〜25cへの供給電力を変化させるだけでなく、3個の高周波発振器33a〜33cの出力を変動させることによって3個の高周波誘導コイル25a〜25cへの供給電力の精密な制御が可能となるため、単一の高周波発振器を使用した第9の実施の形態に比べてプラズマのより精密な空間分布制御を実現することができる。従って、基体10の周囲により均一なプラズマを生成できる。 【0077】[第11の実施の形態] [構成]図11は、本発明による第11の実施の形態として、請求項1、3、4、8に記載の発明を適用したイオン注入装置の一つの形態を示す断面斜視図である。この図11に示すように、本実施の形態に係るイオン注入装置は、図2に示す第2の実施の形態に係るイオン注入装置において、6個の中空円筒管20a〜20fを巻回する高周波誘導コイルとして2個の独立した高周波誘導コイル25a,25bを使用したものである。 【0078】すなわち、本実施の形態においては、高周波誘導コイル25aが、6個の中空円筒管20a〜20fの外周の大気側に所定の間隔を有して螺旋状に巻回され、6個の中空円筒管20a〜20fの全体を取り囲むように配置されているが、これに加えて、高周波誘導コイル25aの下方に、別の高周波誘導コイル25bが、同様に、6個の中空円筒管20a〜20fの全体を取り囲むように螺旋状に巻回されている。2個の高周波誘導コイル25a,25bは、2個のインピーダンス整合器30a,30bおよび2個のRF供給ケーブル32a,32bを介して周波数の異なる2個の高周波発振器33a,33bにそれぞれ接続されている。なお、他の部分については、図2に示す第2の実施の形態に係るイオン注入装置と同様の構成であるため、ここでは説明を省略する。 【0079】[作用・効果]本実施の形態によれば、それぞれが6個の中空円筒管20a〜20fの全体を取り囲む2個の高周波誘導コイル25a,25bに対して、異なる周波数の高周波電流を供給することができる。この場合、2個の高周波誘導コイル25a,25bに供給する高周波電流の周波数を適切に設定することにより、高密度プラズマの生成と生成したプラズマの空間分布制御をより有利に行うことができる。 【0080】[他の実施の形態]なお、本発明は、以上のような実施の形態に限定されるものではなく、各部材の大きさ、配置位置、数、形状、材質、各実施の形態相互の組み合わせ等は適宜変更可能である。例えば、前記各実施の形態では、いずれも中空円筒管の数が3個あるいは6個となっているが、それらは単なる例示であって中空円筒管の設置個数は特に限定されるものではなく、個数は任意に選択可能である。また、高周波誘導コイルの形状や1個の高周波誘導コイルによって取り囲む中空円筒管の数も特に限定されない。 【0081】 【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、保持手段によって保持された複数の基体を、真空容器の一部に設けた中空円筒管内に収納し、この中空円筒管の外周に誘導コイルを所定の間隔を有して巻回することにより、複数の基体の全面を高密度で均一性の高いプラズマと接触させることができる。従って、複数の基体に対して均一なイオン注入を可能とし、複数の基体に厚みが均一で安定した高品質の処理層を生成可能なイオン注入装置を提供することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000003078 【氏名又は名称】株式会社東芝 【識別番号】000221144 【氏名又は名称】東芝タンガロイ株式会社
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| 【出願日】 |
平成13年5月30日(2001.5.30) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100081961 【弁理士】 【氏名又は名称】木内 光春
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| 【公開番号】 |
特開2002−350599(P2002−350599A) |
| 【公開日】 |
平成14年12月4日(2002.12.4) |
| 【出願番号】 |
特願2001−161839(P2001−161839) |
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