| 【発明の名称】 |
放射性物質標識生体起因物質検出用の蓄積性蛍光体シート |
| 【発明者】 |
【氏名】細井 雄一
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| 【要約】 |
【課題】生体起因物質の検出に際して高分解能の放射線画像を与えるオートラジオグラフィー用蓄積性蛍光体シートを提供する。
【解決手段】多孔性シートを用いて放射性物質で標識した生体起因物質もしくはその複製物を生化学的特異的結合を利用して検出解析するためのオートラジオグラフィーに用いられる蓄積性蛍光体シートであって、輝尽性蛍光体の重量が10〜140g/m2の範囲にある蛍光体層を有する蓄積性蛍光体シート。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 所定位置にプローブ分子を結合固定させた多孔性シートに生化学的特異的結合により固定された放射性物質標識を持つ生体起因物質もしくはその複製物をオートラジオグラフィーにより検出するための蓄積性蛍光体シートであって、輝尽性蛍光体の重量が10〜140g/m2の範囲にある蛍光体層を有することを特徴とする蓄積性蛍光体シート。 【請求項2】 蛍光体層の層厚が5〜50μmの範囲にある請求項1に記載の蓄積性蛍光体シート。 【請求項3】 所定位置に結合固定されたプローブ分子に生化学的特異的結合により固定された放射性物質標識を持つ生体起因物質もしくはその複製物を有する多孔性シートと輝尽性蛍光体の重量が10〜140g/m2の範囲にある蛍光体層を有する蓄積性蛍光体シートとの積層体。 【請求項4】 放射性物質が32P、33Pおよび35Sからなる群より選ばれる少なくとも一種の放射性同位元素であって、蓄積性蛍光体シートが該放射性同位元素から放出される電子線のエネルギーを吸収蓄積するものである請求項3に記載の積層体。 【請求項5】 所定位置にプローブ分子を付着固定した多孔性シートに、放射性物質で標識した試料の生体起因物質もしくはその複製物を液相にて接触させて、該プローブ分子に該放射性標識試料を生化学的特異的結合により固定する工程;該多孔性シートから未固定の放射性標識試料を除去処理する工程;該処理を施した多孔性シートを、輝尽性蛍光体の重量が10〜140g/m2の範囲にある蛍光体層を有する蓄積性蛍光体シートに重ね合わせて、多孔性シートに結合固定された放射性標識試料から発せられる放射線エネルギーを蓄積性蛍光体シートの蛍光体層に吸収蓄積させる工程;放射線エネルギーを吸収蓄積した蓄積性蛍光体シートに励起光を照射して該蛍光体層から放出される輝尽発光光を集光し、光電変換して電気的画像信号を得る工程;そして、該電気的画像信号を処理して、多孔性シート上の放射性標識試料の結合固定情報を検出する工程を含むことを特徴とするオートラジオグラフィーによる放射性標識された生体起因物質もしくはその複製物の結合情報の検出方法。 【請求項6】 所定位置に一群の一本鎖核酸断片プローブを付着固定した多孔性シートに、放射性物質で標識した一本鎖核酸試料を液相にて接触させて、該核酸試料をハイブリダイゼーションにより該プローブに結合固定する工程;該多孔性シートから未固定の核酸試料を除去処理する工程;該処理を施した多孔性シートを、輝尽性蛍光体の重量が10〜140g/m2の範囲にある蛍光体層を有する蓄積性蛍光体シートに重ね合わせて、多孔性シートに結合固定された放射性標識核酸試料から発せられる放射線エネルギーを蓄積性蛍光体シートの蛍光体層に吸収蓄積させる工程;放射線エネルギーを吸収蓄積した蓄積性蛍光体シートに励起光を照射して該蛍光体層から放出される輝尽発光光を集光し、光電変換して電気的画像信号を得る工程;そして、該電気的画像信号を処理して、核酸試料を検出する工程を含むことを特徴とするオートラジオグラフィーによる放射線標識された相補性核酸試料の結合情報の検出方法。 【請求項7】 シート平面を二次元方向に細分区画する隔壁と、該隔壁により区画された各領域に配置された多孔性構造体とから構成され、該隔壁の平均密度が0.6g/cm3以上であって、該多孔性構造体の平均密度が1.0g/cm3以下(但し、隔壁の平均密度>多孔性構造体の平均密度の関係を満たす)である複合材料シートの該多孔性構造体にプローブ分子を結合固定させた検出用シートに生化学的特異的結合により固定された放射性物質標識を持つ生体起因物質もしくはその複製物をオートラジオグラフィーにより検出するための蓄積性蛍光体シートであって、輝尽性蛍光体の重量が10〜140g/m2の範囲にある蛍光体層を有することを特徴とする蓄積性蛍光体シート。 【請求項8】 蛍光体層の層厚が5〜50μmの範囲にある請求項7に記載の蓄積性蛍光体シート。 【請求項9】 シート平面を二次元方向に細分区画する隔壁と、該隔壁により区画された各領域に配置された多孔性構造体とから構成され、該隔壁の平均密度が0.6g/cm3以上であって、該多孔性構造体の平均密度が1.0g/cm3以下(但し、隔壁の平均密度>多孔性構造体の平均密度の関係を満たす)である複合材料シートの該多孔性構造体に結合固定させたプローブ分子に生化学的特異的結合により固定された放射性物質標識を持つ生体起因物質もしくはその複製物を有する検出用シートと輝尽性蛍光体の重量が10〜140g/m2の範囲にある蛍光体層を有する蓄積性蛍光体シートとの積層体。 【請求項10】 放射性物質が32P、33Pおよび35Sからなる群より選ばれる少なくとも一種の放射性同位元素であって、蓄積性蛍光体シートが該放射性同位元素から放出される電子線のエネルギーを吸収蓄積するものである請求項9に記載の積層体。 【請求項11】 複合材料シートが、多孔性構造体のシートの表側の表面そして裏側の表面の内の少なくとも一方が、当該表面に接する隔壁の表面よりもシート内部側に後退している複合材料シートである請求項9もしくは10に記載の積層体。 【請求項12】 シート平面を二次元方向に細分区画する隔壁と、該隔壁により区画された各領域に配置された多孔性構造体とから構成され、該隔壁の平均密度が0.6g/cm3以上であって、該多孔性構造体の平均密度が1.0g/cm3以下(但し、隔壁の平均密度>多孔性構造体の平均密度の関係を満たす)である複合材料シートの該多孔性構造体に結合固定させたプローブ分子を有する検出用シートに、放射性物質で標識した試料の生体起因物質もしくはその複製物を液相にて接触させて、該プローブ分子に該放射性標識試料を生化学的特異的結合により固定する工程;該検出用シートから未固定の放射性標識試料を除去処理する工程;該処理を施した検出用シートを、輝尽性蛍光体の重量が10〜140g/m2の範囲にある蛍光体層を有する蓄積性蛍光体シートに重ね合わせて、検出用シートに結合固定された放射性標識試料から発せられる放射線エネルギーを蓄積性蛍光体シートの蛍光体層に吸収蓄積させる工程;放射線エネルギーを吸収蓄積した蓄積性蛍光体シートに励起光を照射して該蛍光体層から放出される輝尽発光光を集光し、光電変換して電気的画像信号を得る工程;そして、該電気的画像信号を処理して、検出用シート上の放射性標識試料の結合固定情報を検出する工程を含むことを特徴とするオートラジオグラフィーによる放射性標識された生体起因物質もしくはその複製物の結合情報の検出方法。 【請求項13】 シート平面を二次元方向に細分区画する隔壁と、該隔壁により区画された各領域に配置された多孔性構造体とから構成され、該隔壁の平均密度が0.6g/cm3以上であって、該多孔性構造体の平均密度が1.0g/cm3以下(但し、隔壁の平均密度>多孔性構造体の平均密度の関係を満たす)である複合材料シートの該多孔性構造体に結合固定させた一本鎖核酸断片プローブを持つ検出用シートに、放射性物質で標識した一本鎖核酸試料を液相にて接触させて、該核酸試料をハイブリダイゼーションにより該プローブに結合固定する工程;該検出用シートから未固定の核酸試料を除去処理する工程;該処理を施した検出用シートを、輝尽性蛍光体の重量が10〜140g/m2の範囲にある蛍光体層を有する蓄積性蛍光体シートに重ね合わせて、検出用シートに結合固定された放射性標識核酸試料から発せられる放射線エネルギーを蓄積性蛍光体シートの蛍光体層に吸収蓄積させる工程;放射線エネルギーを吸収蓄積した蓄積性蛍光体シートに励起光を照射して該蛍光体層から放出される輝尽発光光を集光し、光電変換して電気的画像信号を得る工程;そして、該電気的画像信号を処理して、放射生標識核酸試料の結合情報を検出する工程を含むことを特徴とするオートラジオグラフィーによる放射性標識された相補性核酸試料の結合情報の検出方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、オートラジオグラフィーを利用して放射性物質標識生体起因物質を検出するための蓄積性蛍光体シート、および該蓄積性蛍光体シートと多孔性シートとの組合せを用いる生体起因物質の検出解析方法に関するものである。 【0002】 【従来の技術】X線などの放射線が照射されると、放射線エネルギーの一部を吸収蓄積し、そののち可視光線や赤外線などの電磁波(励起光)の照射を受けると、蓄積した放射線エネルギーに応じて輝尽発光を示す性質を有する蓄積性蛍光体(例、輝尽性蛍光体)を利用して、この輝尽性蛍光体を含有するシート状の蓄積性蛍光体シートに、被検体を透過したあるいは被検体から発せられた放射線を照射して被検体の放射線画像情報を一旦蓄積記録した後、シートにレーザ光などの励起光を走査して順次輝尽発光光として放出させ、そしてこの輝尽発光光を光電的に読み取って画像信号(デジタル信号)を得ることからなる、放射線画像記録再生方法が医療用放射線撮影などにおいて広く実用に供されている。読み取りを終えたシートは、残存する放射線エネルギーの消去が行われた後、次の撮影のために備えられて繰り返し使用される。 【0003】放射線画像記録再生方法に用いられる蓄積性蛍光体シート(放射線像変換パネルともいう)は、基本構造として、支持体とその上に設けられた輝尽性蛍光体層とからなるものである。ただし、輝尽性蛍光体層が自己支持性である場合には必ずしも支持体を必要としない。また、輝尽性蛍光体層の上面(支持体に面していない側の面)には通常、保護層が設けられていて、蛍光体層を化学的な変質あるいは物理的な衝撃から保護している。 【0004】輝尽性蛍光体層は、通常は輝尽性蛍光体とこれを分散状態で含有支持する結合剤とからなる。ただし、蒸着法や焼結法によって形成される結合剤を含まないで輝尽性蛍光体の凝集体のみから構成されるものや、輝尽性蛍光体の凝集体の間隙に高分子物質が含浸されているものも知られている。 【0005】また、上記放射線画像記録再生方法の別法として、従来の輝尽性蛍光体における放射線吸収機能とエネルギー蓄積機能とを分離して、少なくとも輝尽性蛍光体(エネルギー蓄積用蛍光体)を含有する放射線像変換パネルと、放射線を吸収して紫外乃至可視領域に発光を示す蛍光体(放射線吸収用蛍光体)を含有する蛍光スクリーンとの組合せを用いる放射線画像形成方法を利用することもできる。この方法は、被検体を透過などした放射線をまず、該スクリーンまたはパネルの放射線吸収用蛍光体により紫外乃至可視領域の光に変換した後、その光をパネルのエネルギー蓄積用蛍光体にて放射線画像情報として蓄積記録する。次いで、このパネルに励起光を走査して輝尽発光光を放出させ、この輝尽発光光を光電的に読み取って画像信号を得るものである。このような放射線像変換パネルおよび蛍光スクリーンも、本発明に包含される。 【0006】上記の蓄積性蛍光体シートを用いる放射線画像記録再生方法を利用して、放射性標識した生物試料や生体高分子を対象とする一般的なオートラジオグラフィーを行うことが知られている。この方法を利用するオートラジオグラフィーは、試料からの放射線量が微量であっても、高感度でその放射線画像を得ることができる、また画像情報がデジタル信号として得られるので画像処理や画像解析、保存が容易となるなど数々の利点があるため、現在では重要なオートラジオグラフィー技術となっている。 【0007】近年、生物学や医学の分野において遺伝子解析を行なうために、マクロアレイおよびマイクロアレイなどと呼ばれる分析用具が広範に用いられている。いずれも生化学的特異的結合反応の一種であるハイブリダイゼーションを利用して、DNA、RNAなどの核酸もしくはその断片あるいはそれらの複製物を検出して解析するための分析用具である。前者のマクロアレイは、ポリアミド樹脂などを材料とする多孔性のシートからなり、それを用いた検出解析は、多数のDNA断片などの核酸断片(プローブ分子)を多孔性シートの細孔に絡ませるようにして固定し、解析対象(ターゲット分子)としてラジオアイソトープ(RI)などの放射性物質で標識した試料核酸断片を用いて行われている。一方、後者のマイクロアレイは、表面処理されたスライドガラスなどの固相担体からなり、その検出解析は通常、固相担体表面にプローブ分子を固定し、ターゲット分子として蛍光物質で標識した試料核酸断片を用いて行なわれる。ただし、マクロアレイとの名称とマイクロアレイとの名称との使い分けは、一般には、必ずしも厳密になされてはいないようである。 【0008】マクロアレイによる遺伝子解析は、従来のオートラジオグラフィー技術を利用して簡便に実施することができるところに利点がある。 【0009】上記マクロアレイを用いるDNAなどの核酸の解析は通常、下記の方法により実施される。 (1)まず、複数種の核酸断片について、多数の一本鎖核酸断片(プローブ分子;通常は、その塩基配列が既知であるものを用いる)を用意し、それぞれを含む水溶液を、スポッタを用いてマクロアレイ上に、高密度かつマトリックス状に順次点着することにより、プローブ分子を多孔性シートの点着位置の細孔に絡ませるように付着固定させて、ドット状の多数のプローブ分子スポットを形成させる。 (2)次に、解析対象の核酸断片試料について放射性同位元素(RI:32P、33Pなど)で標識して調製した放射性標識一本鎖核酸断片試料を、このマクロアレイに液相にて接触させて(例えば、特定の容器を用いて放射性標識核酸断片試料の水溶液中にマクロアレイを浸漬する)、検出対象のターゲット分子をプローブ分子とハイブリダイゼーションさせて結合固定させる。すなわち、核酸断片試料中の、プローブ分子と相補的な塩基配列をもつターゲット分子を、スポットのプローブ分子と相補的に結合(ハイブリダイズ)させる。 (3)次いで、マクロアレイから、ハイブリダイズしなかった放射性標識核酸断片試料を洗浄除去する。 (4)洗浄乾燥したマクロアレイを放射線感受性写真フィルムと重ね合わせ、オートラジオグラフィーを利用して、放射性標識ターゲット分子からの放射線を検出することにより、各プローブ分子についてのハイブリダイゼーションによるターゲット分子の結合情報(結合の有無や強度など)を検出する。 (5)ターゲット分子が結合したプローブ分子の塩基配列が既知であれば、相補性の原理を利用することによりターゲット分子の少なくとも一部の塩基配列が決定される。すなわち、このような技術を利用して、特定の遺伝子の発現、変異、多型性などを多数の遺伝子について同時に解析することができる。 【0010】Human Molecular Genetics, 1999, Vol.8, No.9, 1715-1722には、前記蓄積性蛍光体シートを、放射性標識した核酸断片試料がハイブリダイゼーションにより結合固定された多孔性シートと組み合わせてオートラジオグラフィーを実施することにより、遺伝子解析を行うことが提案されている。 【0011】 【発明が解決しようとする課題】一般に、医療用放射線撮影などのX線露光を目的とする蓄積性蛍光体シートでは、蓄積性蛍光体シートの蓄積性蛍光体層の層厚が約200〜400μmの範囲にある。また、従来のオートラジオグラフィーを目的とする蓄積性蛍光体シートでも、蛍光体層の層厚は50〜200μmの範囲にある。本発明者は、生化学特異的結合を利用して生体に起因する物質あるいはその複製物をを検出する多孔性シートを用いるオートラジオグラフィーについて検討した結果、該検出操作に用いられる放射性物質が32P、33P、35Sなどの放射性同位元素(RI)であり、これらRIが極めて微量であって、かつRIから放射される電子線のエネルギーが弱いために、RIからの電子線の90%以上がシートの蛍光体層の深さ約50μmまでの領域において吸収されてしまうことを見いだした。そして、これ以上蛍光体層を厚くしても、感度が殆ど上がらないばかりか、かえって放射線画像の分解能が低下し、画質の劣化を招くことを見い出した。 【0012】従って、本発明は、放射性物質標識生体起因物質を検出するために有用な、分解能の高い放射線画像を与えるオートラジオグラフィー用蓄積性蛍光体シートを提供するものである。さらに、本発明は、精度の高いオートラジオグラフィーによる生体起因物質の検出方法を提供するものである。 【0013】 【課題を解決するための手段】本発明は、所定位置にプローブ分子を結合固定させた多孔性シートに生化学的特異的結合により固定された放射性物質標識を持つ生体起因物質もしくはその複製物をオートラジオグラフィーにより検出するための蓄積性蛍光体シートであって、輝尽性蛍光体の重量が10〜140g/m2の範囲にある蛍光体層を有することを特徴とする蓄積性蛍光体シートにある。本発明はまた、所定位置に結合固定されたプローブ分子に生化学的特異的結合により固定された放射性物質標識を持つ生体起因物質もしくはその複製物を有する多孔性シートと輝尽性蛍光体の重量が10〜140g/m2の範囲にある蛍光体層を有する蓄積性蛍光体シートとの積層体にもある。 【0014】本発明はさらに、所定位置にプローブ分子を付着固定した多孔性シートに、放射性物質で標識した試料の生体起因物質もしくはその複製物を液相にて接触させて、該プローブ分子に該放射性標識試料を生化学的特異的結合により固定する工程;該多孔性シートから未固定の放射性標識試料を除去処理する工程;該処理を施した多孔性シートを、輝尽性蛍光体の重量が10〜140g/m2の範囲にある蛍光体層を有する蓄積性蛍光体シートに重ね合わせて、多孔性シートに結合固定された放射性標識試料から発せられる放射線エネルギーを蓄積性蛍光体シートの蛍光体層に吸収蓄積させる工程;放射線エネルギーを吸収蓄積した蓄積性蛍光体シートに励起光を照射して該蛍光体層から放出される輝尽発光光を集光し、光電変換して電気的画像信号を得る工程;そして、該電気的画像信号を処理して、多孔性シート上の放射性標識試料の結合固定情報を検出する工程を含むことを特徴とするオートラジオグラフィーによる放射性標識された生体起因物質もしくはその複製物の結合情報の検出方法にもある。 【0015】本発明はまた、所定位置に一群の一本鎖核酸断片プローブを付着固定した多孔性シートに、放射性物質で標識した一本鎖核酸試料を液相にて接触させて、該核酸試料をハイブリダイゼーションにより該プローブに結合固定する工程;該多孔性シートから未固定の核酸試料を除去処理する工程;該処理を施した多孔性シートを、輝尽性蛍光体の重量が10〜140g/m2の範囲にある蛍光体層を有する蓄積性蛍光体シートに重ね合わせて、多孔性シートに結合固定された放射性標識核酸試料から発せられる放射線エネルギーを蓄積性蛍光体シートの蛍光体層に吸収蓄積させる工程;放射線エネルギーを吸収蓄積した蓄積性蛍光体シートに励起光を照射して該蛍光体層から放出される輝尽発光光を集光し、光電変換して電気的画像信号を得る工程;そして、該電気的画像信号を処理して、核酸試料を検出する工程を含むことを特徴とするオートラジオグラフィーによる放射線標識された相補性核酸試料の結合情報の検出方法にもある。 【0016】本発明はまた、シート平面を二次元方向に細分区画する隔壁と、該隔壁により区画された各領域に配置された多孔性構造体とから構成され、該隔壁の平均密度が0.6g/cm3以上であって、該多孔性構造体の平均密度が1.0g/cm3以下(但し、隔壁の平均密度>多孔性構造体の平均密度の関係を満たす)である複合材料シートの該多孔性構造体にプローブ分子を結合固定させた検出用シートに生化学的特異的結合により固定された放射性物質標識を持つ生体起因物質もしくはその複製物をオートラジオグラフィーにより検出するための蓄積性蛍光体シートであって、輝尽性蛍光体の重量が10〜140g/m2の範囲にある蛍光体層を有することを特徴とする蓄積性蛍光体シートにもある。そして、本発明はまた、シート平面を二次元方向に細分区画する隔壁と、該隔壁により区画された各領域に配置された多孔性構造体とから構成され、該隔壁の平均密度が0.6g/cm3以上であって、該多孔性構造体の平均密度が1.0g/cm3以下(但し、隔壁の平均密度>多孔性構造体の平均密度の関係を満たす)である複合材料シートの該多孔性構造体に結合固定させたプローブ分子に生化学的特異的結合により固定された放射性物質標識を持つ生体起因物質もしくはその複製物を有する検出用シートと輝尽性蛍光体の重量が10〜140g/m2の範囲にある蛍光体層を有する蓄積性蛍光体シートとの積層体にもある。 【0017】本発明はまた、シート平面を二次元方向に細分区画する隔壁と、該隔壁により区画された各領域に配置された多孔性構造体とから構成され、該隔壁の平均密度が0.6g/cm3以上であって、該多孔性構造体の平均密度が1.0g/cm3以下(但し、隔壁の平均密度>多孔性構造体の平均密度の関係を満たす)である複合材料シートの該多孔性構造体に結合固定させたプローブ分子を有する検出用シートに、放射性物質で標識した試料の生体起因物質もしくはその複製物を液相にて接触させて、該プローブ分子に該放射性標識試料を生化学的特異的結合により固定する工程;該検出用シートから未固定の放射性標識試料を除去処理する工程;該処理を施した検出用シートを、輝尽性蛍光体の重量が10〜140g/m2の範囲にある蛍光体層を有する蓄積性蛍光体シートに重ね合わせて、検出用シートに結合固定された放射性標識試料から発せられる放射線エネルギーを蓄積性蛍光体シートの蛍光体層に吸収蓄積させる工程;放射線エネルギーを吸収蓄積した蓄積性蛍光体シートに励起光を照射して該蛍光体層から放出される輝尽発光光を集光し、光電変換して電気的画像信号を得る工程;そして、該電気的画像信号を処理して、検出用シート上の放射性標識試料の結合固定情報を検出する工程を含むことを特徴とするオートラジオグラフィーによる放射性標識された生体起因物質もしくはその複製物の結合情報の検出方法にもある。 【0018】本発明はさらに、シート平面を二次元方向に細分区画する隔壁と、該隔壁により区画された各領域に配置された多孔性構造体とから構成され、該隔壁の平均密度が0.6g/cm3以上であって、該多孔性構造体の平均密度が1.0g/cm3以下(但し、隔壁の平均密度>多孔性構造体の平均密度の関係を満たす)である複合材料シートの該多孔性構造体に結合固定させた一本鎖核酸断片プローブを持つ検出用シートに、放射性物質で標識した一本鎖核酸試料を液相にて接触させて、該核酸試料をハイブリダイゼーションにより該プローブに結合固定する工程;該検出用シートから未固定の核酸試料を除去処理する工程;該処理を施した検出用シートを、輝尽性蛍光体の重量が10〜140g/m2の範囲にある蛍光体層を有する蓄積性蛍光体シートに重ね合わせて、検出用シートに結合固定された放射性標識核酸試料から発せられる放射線エネルギーを蓄積性蛍光体シートの蛍光体層に吸収蓄積させる工程;放射線エネルギーを吸収蓄積した蓄積性蛍光体シートに励起光を照射して該蛍光体層から放出される輝尽発光光を集光し、光電変換して電気的画像信号を得る工程;そして、該電気的画像信号を処理して、放射生標識核酸試料の結合情報を検出する工程を含むことを特徴とするオートラジオグラフィーによる放射性標識された相補性核酸試料の結合情報の検出方法にもある。 【0019】本発明の検出方法で検出対象となる生体に起因する物質及びその複製物には、生体から抽出、単離などにより直接採取されたもの、これに更に化学的処理や化学修飾などが施されたもの、およびこれら生体由来の物質にPCR法などの複製技術を施して得られた複製物が含まれ、その代表的な例としては、ポリヌクレオチド(DNA、RNA)、ペプチド核酸(PNA)などの核酸もしくはその断片;抗原、抗体、腫瘍マーカ、酵素、アブザイム、ホルモン類およびその他の蛋白質を挙げることができる。 【0020】また、本発明の検出方法で利用できる生化学的特異的結合には、前述した塩基配列の相補性によって生じるハイブリダイゼーション、および抗原−抗体反応などの免疫特異的結合が含まれ、更に特定の蛋白質間における立体構造などに基づく蛋白質特異的結合も含まれる。 【0021】本発明の蓄積性蛍光体シートおよび検出用シートの好ましい態様は、以下の通りである。 (1)蓄積性蛍光体シートの蛍光体層の層厚が5〜50μmの範囲にある。 (2)蓄積性蛍光体シートが、32P、33Pおよび35Sからなる群より選ばれる少なくとも一種の放射性同位元素から放出される電子線のエネルギーを吸収蓄積するものである。 (3)検出用シートが、シート平面を二次元方向に細分区画する隔壁と、該隔壁により区画された複数の領域に配置された多孔性構造体とから構成されている複合材料シートであって、該複合材料シートが、多孔性構造体のシートの表側の表面そして裏側の表面の内の少なくとも一方が、当該表面に接する隔壁の表面よりもシート内部側に後退している。 【0022】 【発明の実施の形態】本発明のオートラジオグラフィーに用いられる蓄積性蛍光体シート、および蓄積性蛍光体シートと多孔性シート(多孔性構造体領域を有する複合材料シートをも含む)とからなる積層体について、添付図面を参照しながら説明する。 【0023】図1は、本発明の蓄積性蛍光体シートの一例を概略的に示す断面図である。図1において、蓄積性蛍光体シート11は、順に支持体12、輝尽性蛍光体を含有する蛍光体層13、および保護層14から構成される。本発明において、蛍光体層13における輝尽性蛍光体の重量は、一般に10〜140g/m2の範囲にあり、好ましくは15〜70g/m2の範囲にある。また、蛍光体層13の層厚は一般には5〜50μmの範囲にある。 【0024】試料中の放射性物質が、下記のような一般的な放射性同位元素(RI):32P(最大エネルギー:1.709MeV) 33P(最大エネルギー:0.249MeV) 35S(最大エネルギー:0.167MeV) であれば、RIからの電子線の90%以上が少なくとも蛍光体層の厚さ50μmまでの領域に吸収されるため、蛍光体層の層厚を上記範囲とすることにより、放射線画像の分解能を低下させずに、試料からの電子線エネルギーを有効に蛍光体層に吸収蓄積することができる。 【0025】なお、本発明の蓄積性蛍光体シートは図1に示した構成に限定されるものではなく、蛍光体層が自己支持性であれば必ずしも支持体を付設する必要はない。また、必ずしも保護層を付設する必要もなく、その場合には、後述するオートラジオグラフィー操作の際に蛍光体層に直接多孔性シートが重ね合わされるので、より精度の高い放射線画像を得ることができる。 【0026】あるいは、本発明の蓄積性蛍光体シートの蛍光体層は、図2および図3に示すように、海島構造を有していてもよい。図2は、本発明の蓄積性蛍光体シートの別の構造の例を概略的に示す斜視図であり、図3は、図2におけるI−I線に沿った断面図である。図2および図3において、蓄積性蛍光体シート15は、支持体12、海島状に互いに分離された輝尽性蛍光体領域17(斜線部分)の集合体である蛍光体層16、および保護層から構成される。海島状の輝尽性蛍光体領域17は、これに組み合わせて使用する多孔性シートに結合固定(付着による結合も含む)されるプローブ分子の位置に対応させて設けられている。例えば下記図4および図5に示すように、多孔性シートにおけるプローブ分子の固定位置が構造的に決められている場合には(すなわち、多孔性構造体領域23)、その多孔性構造体領域23に対応させて設けられる。 【0027】海島状の輝尽性蛍光体領域17のそれぞれの島部分における輝尽性蛍光体の重量は、島部分における面積当りの重量として、一般には10〜140g/m2の範囲にあり、好ましくは15〜70g/m2の範囲にある。また、各輝尽性蛍光体領域17の厚みは一般には5〜50μm(島部分、すなわち蛍光体存在領域の厚さ)の範囲にある。蓄積性蛍光体シートをこのような構成とすることにより、より一層分解能の向上した放射線画像を得ることができる。 【0028】本発明の多孔性シートと蓄積性蛍光体シートとの組合わせは例えば、上述した蓄積性蛍光体シートと、図4および図5に示すような複合材料シートとから構成される。図4は、本発明の蓄積性蛍光体シートと組合わせて有利に用いることができる複合材料シート一例を概略的に示す斜視図であり、図5は、図4におけるI−I線に沿った拡大部分断面図である。 【0029】図4および図5において、複合材料シート21は、シート21を平面方向に沿って細分区画する隔壁22と、隔壁22により区画された多孔性構造体領域23(斜線部分)とから構成される。多孔性構造体領域23は微小な貫通孔であり、その開口部の面積は、一般には5mm2未満であり、好ましくは1mm2未満、より好ましくは0.5mm2未満、更に好ましくは0.1mm2未満である。また、好ましくは0.001mm2以上、そして特に好ましくは0.01mm2以上である。複合材料シートとして、このような構成とすることにより、プローブ分子溶液の点着時におけるプローブ分子の拡散を防ぐとともに、分析作業時における放射性標識試料の拡散も防いで、得られる放射線画像のノイズを低減することができる。 【0030】多孔性構造体領域23のシートの表側表面と裏側表面の少なくとも一方は、図5に示されているように、その表面に隣接する隔壁表面よりもシート内部に向けて後退していることが望ましい。このような構成により、多孔性構造体領域23へのプローブ分子溶液の点着が容易となり、また一旦点着されたプローブ分子溶液の、隔壁表面への流出、そしてさらに、他の多孔性構造体領域への流出を効果的に防ぐことができる。 【0031】多孔性構造体領域23の数は、一般には50個/cm2以上であり、好ましくは100個/cm2以上、より好ましくは500個/cm2以上、更に好ましくは1000個/cm2以上であり、そして好ましくは100000個/cm2以下、そして特に好ましくは10000個/cm2以下である。これらは全て、必ずしも、図4に示したように等間隔で設けられている必要はなく、幾つかのブロックに別れてブロック毎に複数の多孔性構造体領域が形成されていてもよい。 【0032】また、放射性標識した試料からの電子線などの放射線を効果的に遮蔽するためには、隔壁22の平均密度は0.6g/cm3以上であることが好ましく、より好ましくは1〜20g/cm3の範囲にあり、特に好ましくは2〜10g/cm3の範囲にある。電子線の透過距離は密度に反比例するので、放射性物質が32P、33P、35S、14CなどのようなRIであれば、隔壁の平均密度をこの範囲とすることにより、各領域内の試料のRIからの電子線を隔壁で遮蔽して、電子線の透過、散乱による放射線画像の分解能の低下を防ぐことができる。 【0033】本発明において、核酸もしくはその断片、あるいは合成オリゴヌクレオチドなどのプローブ分子を有効に固定するためには、領域23に充填される多孔性構造体の平均密度は0.5g/cm3以下であることが好ましく、より好ましくは0.1g/cm3以上である。多孔性構造体は一般に、空隙率(体積比)が10〜90%の範囲にあり、その空隙を構成する微細孔の平均孔径は0.1〜50μmの範囲にある。 【0034】本発明において、多孔性構造体領域23の配列および開口部の形状は、図4に示したような格子状の配列と円形の開口部に限定されるものではなく、領域23の配列や形状などを適宜変更することができる。 【0035】図6は、多孔性構造体領域の配列のバリエーションの例を示す上面図である。図6では、多孔性構造体領域23が隣接する列で互いに位置をずらして配置されている。 【0036】図7は、多孔性構造体領域の開口部の形状のバリエーションの例を示す上面図である。図7では、多孔性構造体領域23の開口部は四角形である。 【0037】この他にも、多孔性構造体領域はランダムに配置されていてもよいし、その開口部は三角形、楕円形、または六角形などの多角形であってもよい。さらに、細長い長方形の多孔性構造体領域をストライプ状に設けて、隔壁により一次元方向にのみ区画化することも可能である。 【0038】なお、検出用の多孔性シートは、上述した構成に限定されるものではなく、実質的にポリアミド樹脂などの多孔性構造体のみから構成される従来より公知の多孔性シート(メンブレン)を用いることも勿論可能である。 【0039】次に、本発明の蓄積性蛍光体シートの製造方法を、図1に示した構成を例にとって、蛍光体層が蓄積性蛍光体粒子とこれを分散状態で含有支持する結合剤とからなる場合について説明する。 【0040】支持体は通常、柔軟な樹脂材料からなる厚みが50μm乃至1mmのシートあるいはフィルムである。支持体は透明であってもよく、あるいは支持体に、励起光もしくは輝尽発光光を反射させるための光反射性材料(例、アルミナ粒子、二酸化チタン粒子、硫酸バリウム粒子)を充填してもよく、あるいは空隙を設けてもよい。または、支持体に励起光もしくは輝尽発光光を吸収させるため光吸収性材料(例、カーボンブラック)を充填してもよい。支持体の形成に用いることのできる樹脂材料の例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、アラミド樹脂、ポリイミド樹脂などの各種樹脂材料を挙げることができる。必要に応じて、支持体は金属シート、セラミックシート、ガラスシート、石英シートなどであってもよい。なお、支持体が透明である場合には輝尽発光光の取り出しを蓄積性蛍光体シートの両側から行う両面集光方式による読取方法に適している。 【0041】蓄積性蛍光体としては、波長が400〜900nmの範囲の励起光の照射により、300〜500nmの波長範囲に輝尽発光を示す輝尽性蛍光体が好ましい。そのような輝尽性蛍光体の例は、特開平2−193100号公報および特開平4−310900号公報に詳しく記載されている。好ましい輝尽性蛍光体としては、ユーロピウムあるいはセリウムによって付活されているアルカリ土類金属ハロゲン化物系蛍光体(例、BaFBr:Eu、およびBaF(Br,I):Eu)、そしてセリウム付活希土類オキシハロゲン化物系輝尽性蛍光体を挙げることができる。 【0042】これらのうちでも、 基本組成式: MIIFX:zLn ‥‥(I) で代表される希土類付活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系輝尽性蛍光体は特に好ましい。ただし、MIIはBa、Sr及びCaからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属を表し、LnはCe、Pr、Sm、Eu、Tb、Dy、Ho、Nd、Er、Tm及びYbからなる群より選ばれる少なくとも一種の希土類元素を表す。XはCl、Br及びIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンを表す。zは0<z≦0.2の範囲内の数値を表す。 【0043】上記基本組成式(I)中のMIIとしては、Baが半分以上を占めることが好ましい。Lnとしては、特にEu又はCeであることが好ましい。また、基本組成式(I)では表記上F:X=1:1のように見えるが、これはBaFX型の結晶構造を持つことを示すものであり、最終的な組成物の化学量論的組成を示すものではない。一般に、BaFX結晶においてX-イオンの空格子点であるF+(X-)中心が多く生成された状態が、600〜700nmの光に対する輝尽効率を高める上で好ましい。このとき、FはXよりもやや過剰にあることが多い。 【0044】なお、基本組成式(I)では省略されているが、必要に応じて下記のような添加物を基本組成式(I)に加えてもよい。 bA, wNI, xNII, yNIIIただし、AはAl2O3、SiO2及びZrO2などの金属酸化物を表す。MIIFX粒子同士の焼結を防止する上では、一次粒子の平均粒径が0.1μm以下の超微粒子でMIIFXとの反応性が低いものを用いることが好ましい。NIは、Li、Na、K、Rb及びCsからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属の化合物を表し、NIIは、Mg及び/又はBeからなるアルカリ土類金属の化合物を表し、NIIIは、Al、Ga、In、Tl、Sc、Y、La、Gd及びLuからなる群より選ばれる少なくとも一種の三価金属の化合物を表す。これらの金属化合物としては、特開昭59−75200号公報に記載のようなハロゲン化物を用いることが好ましいが、それらに限定されるものではない。 【0045】また、b、w、x及びyはそれぞれ、MIIFXのモル数を1としたときの仕込み添加量であり、0≦b≦0.5、0≦w≦2、0≦x≦0.3、0≦y≦0.3の各範囲内の数値を表す。これらの数値は、焼成やその後の洗浄処理によって減量する添加物に関しては最終的な組成物に含まれる元素比を表しているわけではない。また、上記化合物には最終的な組成物において添加されたままの化合物として残留するものもあれば、MIIFXと反応する、あるいは取り込まれてしまうものもある。 【0046】その他、上記基本組成式(I)には更に必要に応じて、特開昭55−12145号公報に記載のZn及びCd化合物;特開昭55−160078号公報に記載の金属酸化物であるTiO2、BeO、MgO、CaO、SrO、BaO、ZnO、Y2O3、La2O3、In2O3、GeO2、SnO2、Nb2O5、Ta2O5、ThO2;特開昭56−116777号公報に記載のZr及びSc化合物;特開昭57−23673号公報に記載のB化合物;特開昭57−23675号公報に記載のAs及びSi化合物;特開昭59−27980号公報に記載のテトラフルオロホウ酸化合物;特開昭59−47289号公報に記載のヘキサフルオロケイ酸、ヘキサフルオロチタン酸、及びヘキサフルオロジルコニウム酸の1価もしくは2価の塩からなるヘキサフルオロ化合物;特開昭59−56480号公報に記載のV、Cr、Mn、Fe、Co及びNiなどの遷移金属の化合物などを添加してもよい。さらに、本発明においては上述した添加物を含む蛍光体に限らず、基本的に希土類付活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系輝尽性蛍光体とみなされる組成を有するものであれば如何なるものであってもよい。 【0047】上記基本組成式(I)で表される希土類付活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系輝尽性蛍光体は、通常は、アスペクト比が1/1〜5/1の範囲にある。そして、粒子サイズのメジアン径(Dm)が0.5〜30μm(好ましくは、1〜10μm)の範囲にあり、粒子サイズ分布の標準偏差をσとしたときのσ/Dmが50%以下(好ましくは、40%以下)のものである。また、粒子の形状としては直方体型、八面体型、14面体型およびこれらの中間多面体型などがあるが、それらのうちでも14面体型が好ましい。 【0048】アスペクト比が2/1以上の柱状または針状の輝尽性蛍光体粒子は、たとえば上記の希土類付活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系蛍光体については特開平7−233369号公報に詳細に記載されているように、ハロゲン化アンモニウムおよび希土類ハロゲン化物等を含む水溶液に無機弗化物の水溶液とハロゲン化バリウムの水溶液を添加して蛍光体前駆体結晶を沈殿させた後、沈殿物を水溶液から分離し、次いで焼結を避けながら焼成することにより、製造することができる。 【0049】まず、上記の輝尽性蛍光体粒子と結合剤とを溶剤に加え、これを十分に混合して、結合剤溶液中に輝尽性蛍光体粒子が均一に分散した塗布液を調製する。蛍光体粒子を分散支持する結合剤については様々な種類の樹脂材料が知られており、本発明の蓄積性蛍光体シートの製造においても、それらの公知の結合剤樹脂を中心とした任意の樹脂材料から適宜選択して用いることができる。塗布液における結合剤と蛍光体との混合比は、目的とする蓄積性蛍光体シートの特性、蛍光体の種類などによって異なるが、一般には結合剤と蛍光体との混合比は、1:1乃至1:100(重量比)の範囲から選ばれ、そして特に1:8乃至1:40(重量比)の範囲から選ぶのが好ましい。なお、塗布液にはさらに、塗布液中における蛍光体の分散性を向上させるための分散剤、形成後の蛍光体層中における結合剤と蛍光体との間の結合力を向上させるための可塑剤、蛍光体層の変色を防止するための黄変防止剤、硬化剤、架橋剤など各種の添加剤が任意に混合されていてもよい。 【0050】このようにして調製された塗布液を次に、支持体の表面に均一に塗布することにより塗膜を形成する。塗布操作は、通常の塗布手段、たとえばドクターブレード、ロールコータ、ナイフコータなどを用いる方法により行なうことができる。この塗膜を乾燥して、支持体上への放射線吸収性蛍光体層の形成を完了する。なお、蛍光体層は、必ずしも上記のように支持体上に塗布液を直接塗布して形成する必要はなく、例えば、別にガラス板、金属板、プラスチックシートなどの仮支持体上に塗布液を塗布し乾燥することにより蛍光体層を形成した後、これを支持体上に押圧するか、あるいは接着剤を用いるなどして支持体上に蛍光体層を接合する方法を利用してもよい。蛍光体の密度を更に高めるために、得られた蛍光体層をカレンダー処理によって加熱圧縮することが好ましい。このようにして形成された蛍光体層は、輝尽性蛍光体の重量が一般には10〜140g/m2の範囲にあり、好ましくは15〜70g/m2の範囲にあり、またその層厚は一般には5〜50μmの範囲にある。 【0051】蛍光体層は、輝尽性蛍光体とこれを分散状態で含有支持する結合剤とからなるのものばかりでなく、結合剤を含まないで蛍光体の凝集体のみから構成されるもの、あるいは蛍光体の凝集体の間隙に高分子物質が含浸されている蛍光体層などでもよい。 【0052】例えば、蛍光体層は蒸着法などの気相堆積法により形成してもよい。蛍光体層を気相堆積法により形成する場合に、特に好ましい輝尽性蛍光体は、下記基本組成式(I)で代表されるアルカリ金属ハロゲン化物系輝尽性蛍光体である。 【0053】 MIX・aMIIX’2・bMIIIX”3:zA ‥‥(I) ただし、MIはLi、Na、K、Rb及びCsからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属を表し、MIIはBe、Mg、Ca、Sr、Ba、Ni、Cu、Zn及びCdからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属又は二価金属を表し、MIIIはSc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Al、Ga及びInからなる群より選ばれる少なくとも一種の希土類元素又は三価金属を表し、そしてAはY、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Na、Mg、Cu、Ag、Tl及びBiからなる群より選ばれる少なくとも一種の希土類元素又は金属を表す。X、X’およびX”はそれぞれ、F、Cl、Br及びIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンを表す。a、bおよびzはそれぞれ、0≦a<0.5、0≦b<0.5、0≦z<0.2の範囲内の数値を表す。 【0054】上記基本組成式(I)中のMIとしては少なくともCsを含んでいることが好ましい。Xとしては少なくともBrを含んでいることが好ましい。Aとしては特にEu又はBiであることが好ましい。また、基本組成式(I)には、必要に応じて、酸化アルミニウム、二酸化珪素、酸化ジルコニウムなどの金属酸化物を添加物として、MI1モルに対して、0.5モル以下の量で加えてもよい。 【0055】気相堆積法の代表的な方法である電子線蒸着法による場合には、以下のようにして蛍光体層を形成することができる。まず、上記の輝尽性蛍光体からなる蒸発源、および被蒸着物である支持体を蒸着装置内に設置し、装置内を排気して3×10-10〜3×10-12kg/cm2程度の真空度とする。蒸発源は、加圧圧縮により錠剤の形状とすることが好ましい。このとき、真空度をこの程度に保持しながら、Arガス、Neガスなどの不活性ガスを導入してもよい。次に、電子銃から電子線を加速電圧1.5〜5.0kVの範囲で発生させて、蒸発源に照射する。蒸発源である輝尽性蛍光体は加熱されて蒸発、飛散し、支持体表面に堆積する。蒸着速度は一般には0.1〜1000μm/分の範囲にあり、好ましくは1〜100μm/分の範囲にある。なお、電子線の照射を複数回に分けて行ってもよいし、あるいは複数の電子銃を用いて異なる蛍光体を共蒸着させてもよい。また、蛍光体の原料を用いて支持体上で蛍光体を合成すると同時に蛍光体層を形成することも可能である。さらに、蒸着の際に必要に応じて被蒸着物(支持体)を冷却または加熱してもよいし、あるいは蒸着終了後に蛍光体層を加熱処理(アニール処理)してもよい。このようにして、輝尽性蛍光体のみからなり、輝尽性蛍光体の柱状結晶と柱状結晶の間に空隙(クラック)が存在する蛍光体層が得られる。 【0056】蛍光体層が図2および図3に示したような海島構造を有する場合には、支持体表面に上記塗布液をスクリーン印刷などによって海島状に印刷した後、印刷した塗布液を乾燥する方法、あるいは表面に凹部が形成された支持体を用意し、その支持体表面に塗布液を塗布した後、凹部にのみ塗布液が残るように支持体表面を拭き取り、次いで塗布液を乾燥する方法、あるいは多数の透孔を有するシートの透孔に輝尽性蛍光体を埋め込み、これを支持体に貼り付ける方法などにより、蛍光体層を形成することができる。 【0057】この蛍光体層の上には保護層が設けられる。保護層は、励起光の入射や輝尽発光光の出射に殆ど影響を与えないように、透明であることが望ましく、また外部から与えられる物理的衝撃や化学的影響から蓄積性蛍光体シートを充分に保護することができるように、化学的に安定でかつ高い物理的強度を持つことが望ましい。保護層としては、セルロース誘導体、ポリメチルメタクリレート、有機溶媒可溶性フッ素系樹脂などのような透明な有機高分子物質を適当な溶媒に溶解して調製した溶液を蛍光体層の上に塗布することで形成されたもの、あるいはポリエチレンテレフタレートなどの有機高分子フィルムや透明なガラス板などの保護層形成用シートを別に形成して、蛍光体層の表面に適当な接着剤を用いて設けたもの、あるいは無機化合物を蒸着などによって蛍光体層上に成膜したものなどが用いられる。また、保護層中には酸化マグネシウム、酸化亜鉛、二酸化チタン、アルミナ等の光散乱性微粒子、パーフルオロオレフィン樹脂粉末、シリコーン樹脂粉末等の滑り剤、およびポリイソシアネート等の架橋剤など各種の添加剤が分散含有されていてもよい。 【0058】保護層の表面にはさらに、保護層の耐汚染性を高めるためにフッ素樹脂塗布層を設けてもよい。フッ素樹脂塗布層は、フッ素樹脂を有機溶媒に溶解(または分散)させて調製したフッ素樹脂溶液を保護層の表面に塗布し、乾燥することにより形成することができる。フッ素樹脂は単独で使用してもよいが、通常はフッ素樹脂と膜形成性の高い樹脂との混合物として使用する。また、ポリシロキサン骨格を持つオリゴマーあるいはパーフルオロアルキル基を持つオリゴマーを併用することもできる。フッ素樹脂塗布層には、干渉むらを低減させて更に放射線画像の画質を向上させるために、微粒子フィラーを充填することもできる。フッ素樹脂塗布層の層厚は通常は0.5μm乃至20μmの範囲にある。フッ素樹脂塗布層の形成に際しては、架橋剤、硬膜剤、黄変防止剤などのような添加成分を用いることができる。特に架橋剤の添加は、フッ素樹脂塗布層の耐久性の向上に有利である。 【0059】蓄積性蛍光体シートの構成としてはこれまでに多様な構成が知られており、例えば、接着層、着色層、帯電防止層、励起光反射層、輝尽発光光反射層などの補助層を設ける構成も知られている。本発明の蓄積性蛍光体シートにも、必要に応じてそれらの補助層を付設してもよい。 【0060】なお、上記においては、支持体および保護層を有する蓄積性蛍光体シートについて説明したが、蛍光体層が自己支持性である場合には、本発明の蓄積性蛍光体シートは必ずしも支持体や保護層を備えている必要はない。 【0061】本発明に係る複合材料シートは、図4および図5に示したように隔壁と多孔性構造体領域とから構成される場合には、例えば次のようにして製造することができる。 【0062】隔壁の構成材料としては、例えばニッケル、ニッケル合金などの金属、ポリアミド樹脂、アラミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリオレフィン樹脂(例、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂)などのプラスチック材料、およびアルミナ、ジルコニア、マグネシア、石英などのセラミック材料を挙げることができる。 【0063】まず、上記の隔壁材料を用いて、所望の隔壁形状を有する基板を作製する。例えば、隔壁材料が金属である場合には、電鋳法により鋳型に金属を電着させて多数の孔の開いた基板を作製することができる。隔壁材料がプラスチックである場合には、プラスチック原料を溶解した塗布液の塗布乾燥などによりプラスチックシートを作製した後、これをドライエッチング等のリソグラフィー、あるいはLIGAプロセス、エキシマレーザ等を用いるレーザ加工法を利用してエッチング処理することにより、多数の孔を所望の形状で形成することができる。隔壁材料がセラミックである場合には、セラミック原料のスラリーをシート状の成形体に加圧成形した後、この成形体にレーザ加工法などのエッチング処理により多数の孔を形成することができる。 【0064】多孔性構造体を形成しうる材料としては、酢酸セルロース、ニトロセルロースなどのセルロース誘導体;6−ナイロン、6,6−ナイロンなどのポリアミド(ナイロン);ポリテトラフルオロエチレン、ポリ弗化ビニリデンなどの弗素系ポリマー;およびポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホンからなる有機高分子材料;並びにセラミックなどの無機材料を挙げることができる。また、所望により、これらの材料を併用することもできる。 【0065】上記の多孔性構造体形成用材料を適当な溶媒に溶解または分散して、該材料の溶液または分散液を調製した後、これを上記基板の各孔に注入し、乾燥することにより、乾燥膜の形中に微細孔を形成して多孔性とすることができる。なお、ナイロンの場合には水によってポリマーが収縮するので、非水系の溶液を孔に注入、乾燥して膜を形成した後、シートを水溶液に浸漬して膜中に微細孔を形成する。セラミックの場合には、予め所望の微細孔が形成されたセラミック原料を用いて分散液を調製する。このようにして、微細孔を持つ基板の各孔部に多孔性構造体が充填された複合材料シートを製造することができる。 【0066】上述した複合材料シートおよび蓄積性蛍光体シートを用いる、本発明のオートラジオグラフィーによる生体起因物質の検出方法について、以下に説明する。 【0067】本発明に係る多孔性シート(多孔性構造体領域を有する複合材料シートをも包含する)に固定されるプローブ分子としては、例えば、従来よりマクロアレイのプローブ分子として使用可能な各種のポリヌクレオチドおよびオリゴヌクレオチドを用いることができる。例えば、cDNA(mRNAを鋳型にして合成した相補的DNA)、cDNAの一部、ESTなどのPCR法によって増幅して調製したポリヌクレオチド(「PCR産物」)、および合成したオリゴヌクレオチドを挙げることができる。また、DNAのホスホジエステル結合をペプチド結合に変換した人工核酸、すなわちペプチド核酸(PNA)、もしくはそれらの誘導体であってもよい。さらに、抗原、抗体など生化学的特異的結合を生じうる蛋白質も用いることが可能である。 【0068】プローブ分子とターゲット分子(試料)との具体的な組合せの例としては、DNA(DNA、もしくはその断片、またはオリゴDNA)とDNA、DNAとRNA、PNAとDNAまたはRNA、PNAとPNA、抗原と抗体、アビジンとビオチンなどを挙げることができる。 【0069】以下に、プローブ分子およびターゲット分子がDNA、RNAなどの核酸の断片であり、そして図1および図4、5に示した複合材料シートと蓄積性蛍光体シートの組合せを用いる場合を例にとって具体的に述べる。 【0070】まず、多数の一本鎖核酸断片(通常は、その塩基配列が既知であるものを用いる)を含む水溶液を複数種、スポッタなどを用いて、図4および図5の複合材料シート21の多孔性構造体領域23にそれぞれ点着することにより、一本鎖核酸断片を領域23の多孔性構造体の細孔に絡ませるようにして固定する。 【0071】次に、ハイブリダイゼーション用の容器などを用いて、試料の一本鎖核酸断片をRI(例えば32P、33P)で標識して調製した放射性標識試料核酸断片の水溶液中にこの複合材料シートに浸漬することにより、放射性標識した試料核酸断片を複合材料シート中の一本鎖核酸断片にハイブリダイゼーションにより結合固定する。その後、複合材料シートから、ハイブリダイズしなかった放射性標識試料核酸断片を洗浄などにより除去する。 【0072】次いで、図8に示すように、この複合材料シート21を蓄積性蛍光体シート11に積層して、オートラジオグラフィーを行う。図8は、複合材料シート21と蓄積性蛍光体シート11とが積層されて積層体を形成している状態を示す断面図である。図8において、複合材料シート21の各多孔性構造体領域23には異なる種類の一本鎖核酸断片が付着固定され、その一本鎖核酸断片にはそれに相補的な塩基配列をもつ放射性標識試料核酸断片がハイブリダイズしている。複合材料シート21は、蓄積性蛍光体シート11の保護層14上に積層される。 【0073】オートラジオグラフィーは、この積層体の状態を、例えば0〜30℃にて一定時間(例、1時間〜120時間)維持することにより行なう。蓄積性蛍光体シート11の蛍光体層13には、複合材料シート中の放射性標識試料から発せられた放射線エネルギーが吸収蓄積される。このようなオートラジオグラフィー操作により、蓄積性蛍光体シートには、放射性標識試料の存在する位置および量に関する情報が放射線画像情報として蓄積記録される。 【0074】次いで、放射線画像情報が蓄積記録された蓄積性蛍光体シートには、図9に示すように画像情報の読取操作を行う。図9は、蓄積性蛍光体シートから放射線画像情報を読み取る操作を説明するための概略図である。 【0075】まず、図8に示した蓄積性蛍光体シート11と複合材料シート21との積層体から蓄積性蛍光体シート11を引き離し、これを図9に示す放射線画像情報読取装置に装填する。 【0076】図9において、蓄積性蛍光体シート11は、二組のニップローラからなる移送手段31、32により矢印の方向に移送される。一方、レーザビーム等の励起光33は、シート11の保護層側表面より照射される。励起光33の照射を受けたシート11の蛍光体層からは、蓄積されたエネルギーレベルに応じた(すなわち、蓄積記録された放射線エネルギーの分布情報を持った)輝尽発光光34が発せられる。輝尽発光光34は、直接あるいはミラー39で反射されて、上方に設けられた集光ガイド35により集光され、その集光ガイド35の基部に備えられた光電変換装置(フォトマルチプライヤ)36にて電気信号に変換され、増幅器37で増幅され信号処理装置38に送られる。 【0077】信号処理装置38では、増幅器37から送られてきた電気信号について、目的とする放射線画像の種類や蓄積性蛍光体シートの特性に基づいて予め決められている加算、減算などの適当な演算処理を行い、処理後の信号を画像信号として送り出す。 【0078】送り出された画像信号は画像再生装置(図示なし)にて可視画像として再生され、これにより複合材料シートに関する放射線の空間的エネルギー分布に対応した画像が再構成される。あるいは、画像信号に更に適当な信号処理を行うことにより、デジタルデータとして再生することもできる。再生装置は、CRT等のディスプレイ手段であってもよいし、感光フィルムに光走査記録を行う記録装置であってもよいし、あるいはまた、そのために画像信号を一旦光ディスク、磁気ディスク等の画像ファイルに記憶させる装置に置き換えられてもよい。 【0079】一方、蓄積性蛍光体シート11は、ニップローラ31、32により矢印の方向に更に移送されて、読取工程に供されたシート11の領域は次いで、ナトリウムランプ、蛍光灯、赤外線ランプ等の消去光源(図示なし)を利用する消去工程に供される。これにより、読取工程の後なおシート11に残存している放射線エネルギーが放出除去され、次回の放射線画像の記録(オートラジオグラフィー)操作において、残存エネルギーによる悪影響が及ぶことがないようにされる。 【0080】可視画像またはデジタルデータとして得られた放射線画像情報に基づいて、放射線標識試料が相補的に結合している一本鎖核酸断片を検出して、同定することにより、試料の一本鎖核酸断片の塩基配列を決定することができる。さらには、特定の遺伝子の発現、変異、多型性などを多数の試料について同時に解析することができる。 【0081】なお、本発明の検出方法において蓄積性蛍光体シートから放射線画像情報を読み取る操作は、上記の光電変換装置を用いる操作(いわゆる「点検出」)に限定されるものではなく、蓄積性蛍光体シートをその平面方向に移動させながら、シートの表面に励起光を移動方向と異なる方向に線状に照射し、シートの励起光照射部分から放出される輝尽発光光を、多数の固体光電変換素子を線状に配置してなるラインセンサを用いて一次元的に受光して光電変換を行い、そしてラインセンサからの出力をシートの移動に応じて順次読み取って、放射線画像情報を電気的画像信号として得ることからなる操作(いわゆる「線検出」)であってもよい。 【0082】 【実施例】[実施例1] (1)微細開口部を持つ基板の作製ニッケルを電鋳法により鋳型に電着させて多数の孔が形成された基板を作製した。基板は、その大きさが40mm×60mm、厚みが0.2mmであり、孔の総数は2400個であり、孔の密度は100個/cm2であった。各孔の開口部は円形であり、その面積は0.07mm2であった。基板(隔壁部分)の平均密度は8.8g/cm3であった。 【0083】(2)多孔性構造体の形成15重量%のナイロン6を83重量%のギ酸と2重量%の水に加え、室温で3時間混合し、次いで50℃で1時間混合溶解した後、室温まで冷却してポリマー溶液を調製した。このポリマー溶液を孔開き基板の各孔に注入した後、乾燥して各孔に膜を形成した。次いで、基板をギ酸水溶液(ギ酸20重量%)に浸漬して膜中に多数の微細孔を形成して多孔性とした。このようにして、ニッケル隔壁と多孔性のナイロン6充填領域とからなる、図1と2に模式的に示した構成の複合材料シートを得た。 【0084】(3)複合材料シートの評価複合材料シートのナイロン6多孔性構造体領域に、常法に従って一本鎖核酸断片(プローブ分子)を点着により付着固定させた後、この複合材料シートを、該プローブ分子に相補性を示す一本鎖核酸断片試料(ターゲット分子)に放射性標識を付けた試料分子の水溶液に浸漬し、ハイブリダイゼーションを行なった。次いで、複合材料シートを該水溶液から取り出し、水洗し、乾燥させ、次に、図1の構成を有する蓄積性蛍光体シート(蓄積性蛍光体:BaFBr:Eu、支持体厚さ:100μm、蓄積性蛍光体層厚さ:10μm、保護膜厚さ:3μm)と重ねあわせて、室温でのオートラジオグラフィー操作を行なった。オートラジオグラフィー操作後の蓄積性蛍光体シートについて、図9に示す放射線像再生装置を用いて放射線像再生処理を施したところ、複合材料シートの多孔性構造体領域(プローブ分子に放射性標識ターゲット分子がハイブリダイゼーションにより結合固定された領域)の放射線画像が、高感度かつ高精度にて得られた。 【0085】 【発明の効果】本発明によれば、蓄積性蛍光体シートの蓄積性蛍光体層における輝尽性蛍光体の重量、そして層厚を特定の範囲とすることにより、多孔性シートを用いる生体関連物質のオートラジオグラフィーに最適な蓄積性蛍光体シートを提供することができる。すなわち、生体関連物質に標識された放射性物質が微量であって、かつその放射線エネルギーが弱いものであっても、本発明の蓄積性蛍光体シートは分解能の高い放射線画像を与えることができる。 【0086】さらに、この蓄積性蛍光体シートと、隔壁により区画された多数の多孔性構造体領域から構成された複合材料シートの組合せからなるオートラジオグラフィー用キットを用いることにより、より高分解能の放射線画像を得ることができ、DNAなどの生体起因物質もしくはその複製物の検出解析をより高精度で行うことが可能となる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000005201 【氏名又は名称】富士写真フイルム株式会社
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| 【出願日】 |
平成13年5月25日(2001.5.25) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100074675 【弁理士】 【氏名又は名称】柳川 泰男
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| 【公開番号】 |
特開2002−350595(P2002−350595A) |
| 【公開日】 |
平成14年12月4日(2002.12.4) |
| 【出願番号】 |
特願2001−157462(P2001−157462) |
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