| 【発明の名称】 |
電子線照射装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】三尾 圭吾
【氏名】荒井 秀幸
|
| 【要約】 |
【課題】高い電子線出力を得ることができ、しかも信頼性を高められるようにした電子線照射装置を提供する。
【解決手段】基端部13aが閉塞し且つ先端部13bが開口した真空胴13と、真空胴13の内方基端部13a寄りに配置された陰極3と、真空胴13の内方先端部13b寄りに真空胴13に対して略同軸に配置された環状の陽極4と、陰極3及び陽極4に接続された高圧電源5と、真空胴13に接続された真空ポンプ8とを有しており、真空胴13の先端部13bの前側に外筒14を延設し、外筒14の内部に、真空胴13の軸心上に小孔15を備えた仕切板16を軸線方向に所要の間隔を有して設けることにより複数の減圧室17を形成し、減圧室17の夫々に、排気ポンプ18を接続し、排気ポンプ18の作動により前端側の減圧室17から真空胴13側に向けて真空度を順次高める。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 基端部が閉塞し且つ先端部が開口した真空胴と、該真空胴の内方基端部寄りに配置された陰極と、真空胴の内方先端部寄りに真空胴に対して略同軸に配置された環状の陽極と、陰極及び陽極に接続された高圧電源と、真空胴に接続された真空ポンプとを有する電子線照射装置であって、前記真空胴の先端部の前側に外筒を延設し、該外筒の内部に、真空胴の軸心上に小孔を備えた仕切板を軸線方向に所要の間隔を有して設けることにより複数の減圧室を形成し、該減圧室の夫々に、排気ポンプを接続し、排気ポンプの作動により前端側の減圧室から真空胴側に向けて真空度を順次高めるようにしたことを特徴とする電子線照射装置。 【請求項2】 前端の減圧室の前側に、減圧室と同軸の環状の磁石を配置していることを特徴とする請求項1に記載の電子線照射装置。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は電子線照射装置に関するものである。 【0002】 【従来の技術】図4は従来の電子線照射装置の一例を示すもので、この電子線照射装置は、基端部が閉塞し且つ先端部が開口した真空胴1と、該真空胴1の先端部に接続され且つ先端部に向かって徐々に開口断面が拡大するホーン2と、真空胴1の内方基端部寄り部分に配置された陰極3と、真空胴1の内方先端部寄り部分に真空胴1に対して略同軸に配置された環状の陽極4と、陰極3及び陽極4に接続された高圧電源5と、真空胴1の基端部を周方向に取り囲むように配置した磁石6と、ホーン2の先端部を閉塞する窓部材7と、真空胴1に接続された真空ポンプ8とを備えている。 【0003】窓部材7は、ホーン2の先端部周縁に固着された環状の枠体9と、該枠体9に支持するようにしたチタンTiなどからなる厚さ20μm程度の透過箔10とで構成されており、この窓部材7によって、真空胴1及びホーン2の内部と外部とが気密に仕切られている。 【0004】図4に示す電子線照射装置によって、電子線11を対象物12に照射する際には、真空ポンプ8を作動させ、真空胴1、ホーン2及び窓部材7によって囲まれる空間を真空状態に減圧する。 【0005】次いで、対象物12を窓部材7に対峙させ、高圧電源5を作動させると、陰極3から陽極4に向かって放出される電子線11が、陽極4の開口部分を通過したのち、磁石6の磁場によって放射状に拡散されて窓部材7の透過箔10を透過し、大気中の前記対象物12に照射される。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図4に示す電子線照射装置においては、照射を行う電子線11が窓部材7の透過箔10を透過する必要があり、この電子線11の透過によって透過箔10が加熱して劣化し、このために高い出力の電子線11を通過させることができず、電子線照射装置の電子線出力を高めることができなかった。この時、電子線出力を無理に高めようとした場合には、透過箔10の劣化を早め、著しい場合には透過箔10が溶断するという問題がある。 【0007】本発明は上述した実情に鑑みてなしたもので、高い電子線出力を得ることができ、しかも信頼性を高められるようにした電子線照射装置を提供することを目的とするものである。 【0008】 【課題を解決するための手段】本発明は、基端部が閉塞し且つ先端部が開口した真空胴と、該真空胴の内方基端部寄りに配置された陰極と、真空胴の内方先端部寄りに真空胴に対して略同軸に配置された環状の陽極と、陰極及び陽極に接続された高圧電源と、真空胴に接続された真空ポンプとを有する電子線照射装置であって、前記真空胴の先端部の前側に外筒を延設し、該外筒の内部に、真空胴の軸心上に小孔を備えた仕切板を軸線方向に所要の間隔を有して設けることにより複数の減圧室を形成し、該減圧室の夫々に、排気ポンプを接続し、排気ポンプの作動により前端側の減圧室から真空胴側に向けて真空度を順次高めるようにしたことを特徴とする電子線照射装置、に係るものである。 【0009】上記手段において、前端の減圧室の前側に、減圧室と同軸の環状の磁石を配置してもよい。 【0010】上記本発明では、真空胴の前側に、外筒と小孔を備えた仕切板からなる複数の減圧室を形成し、該減圧室の夫々に排気ポンプを接続しているので、排気ポンプの作動により前端側の減圧室から真空胴側に向けて真空度を順次高めることができ、よって電子線を仕切板の小孔を通した状態で真空胴内部を真空に保持することができる。従って、減圧室を形成している仕切板は電子線通過による加熱作用を受けることがなく、よって、高い電子線出力を得ることができる。 【0011】又、仕切板は電子線を通す必要がないために厚い金属材料で高強度に形成することができ、よって装置の信頼性を高めることができる。 【0012】又、前端の減圧室の前側に、減圧室と同軸の環状を有する磁石を配置すると、磁石の磁場によって電子線を放射状に拡散して、拡散した電子線を対象物に照射できる。 【0013】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、図示例と共に説明する。 【0014】図1、図2は本発明の電子線照射装置の実施の形態の一例を示すものであり、図中、図4と同一の符号を付した部分は同一物を表している。 【0015】この電子線照射装置は、基端部13aが閉塞し且つ先端部13bが開口した真空胴13と、前記真空胴13の内方基端部13a寄り部分に配置された陰極3と、真空胴13の内方先端部13b寄り部分に真空胴13に対して略同軸に配置された環状の陽極4と、陰極3及び陽極4に接続された高圧電源5と、真空胴13内部に接続された真空ポンプ8とを備えている。 【0016】前記真空胴13の先端部13bの前側に、外筒14を延設し、該外筒14の内部に、真空胴13の軸心上に小孔15を備えた仕切板16を軸線方向に所要の間隔を有して複数設けることにより複数の減圧室17を形成する。図1では4個の減圧室17a,17b,17c,17dを形成した場合を示している。又、前記仕切板16に形成する小孔15は、口径をできるだけ小さくしている。 【0017】更に、前記減圧室17の夫々には、減圧室17の内部を独自に減圧するようにした排気ポンプ18を吸引ダクト19により接続している。 【0018】以下、図1、図2に示す電子線照射装置の作動について説明する。 【0019】図1の電子線照射装置において、まず真空ポンプ8を作動して真空胴13の内部を吸引し、更に、各減圧室17に接続した排気ポンプ18の夫々を作動して、各減圧室17の内部を独自に吸引する。 【0020】この時、最前側の減圧室17dは、排気ポンプ18により吸引されるが、吸引を行っても、減圧室17dは小孔15により大気と連通しているために、真空度はあまり高められない。 【0021】一方、最前側から2番目の減圧室17cは、排気ポンプ18により吸引されるが、この時、小孔15は前記減圧された最前部の前記減圧室17dを吸引することになるので、減圧室17cは前記減圧室17dに比して真空度が高められる。 【0022】上記と同様にして、最前側から3番目の減圧室17bは前記減圧室17cより更に真空度が高められ、又、最前側から4番目の減圧室17aは前記減圧室17bより更に真空度が高められ、これにより、真空胴13の内部は高い真空度に保持される。 【0023】この状態で、高圧電源5を作動させると、陰極3から陽極4に向かって放出される電子線11が、陽極4の開口部分を通過し、続いて、各減圧室17を形成している仕切板16の小孔15を通って最前端の減圧室17から外部に射出される。 【0024】この時、前記したように、電子線11は、仕切板16の小孔15を通るようになるために、仕切板16は電子線11の通過による加熱作用を受けることがなく、よって、電子線出力を高めて出力させることができる。 【0025】又、仕切板16は、電子線11を通す必要がないために、厚い金属材料で高強度に形成することができる。従って、装置上の信頼性を高めることができる。 【0026】図3は、本発明の電子線照射装置の実施の形態の他の例を示したものであり、前端の減圧室17dの前側に、前記減圧室17と同軸の環状を有する磁石20を配置している。 【0027】図3のように、前端の減圧室17dの前側に、減圧室17と同軸の環状を有する磁石20を配置すると、磁石20の磁場によって電子線11が放射状に拡散され、従って、対向配置した対象物12に、拡散した電子線11を照射することができる。 【0028】なお、本発明の電子線照射装置は上述した実施の形態にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。 【0029】 【発明の効果】以上述べたように、本発明の電子線照射装置によれば、真空胴の前側に、外筒と小孔を備えた仕切板からなる複数の減圧室を形成し、該減圧室の夫々に排気ポンプを接続しているので、排気ポンプの作動により前端側の減圧室から真空胴側に向けて真空度を順次高めることができ、よって電子線を仕切板の小孔を通した状態で真空胴内部を真空に保持することができる。従って、減圧室を形成している仕切板は電子線通過による加熱作用を受けることがなく、よって、高い電子線出力を得ることができる効果がある。 【0030】又、仕切板は電子線を通す必要がないために厚い金属材料で高強度に形成することができ、よって装置の信頼性を高めることができる効果がある。 【0031】又、前端の減圧室の前側に、減圧室と同軸の環状を有する磁石を配置すると、磁石の磁場によって電子線を放射状に拡散して、拡散した電子線を対象物に照射できる効果がある。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000000099 【氏名又は名称】石川島播磨重工業株式会社
|
| 【出願日】 |
平成13年5月21日(2001.5.21) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100062236 【弁理士】 【氏名又は名称】山田 恒光 (外1名)
|
| 【公開番号】 |
特開2002−341098(P2002−341098A) |
| 【公開日】 |
平成14年11月27日(2002.11.27) |
| 【出願番号】 |
特願2001−151468(P2001−151468) |
|