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【発明の名称】 放射線像変換パネル及びその製造方法
【発明者】 【氏名】前澤 明弘

【氏名】三科 紀之

【要約】 【課題】輝度や鮮鋭性、X線撮影管電圧特性に優れた放射線像変換パネルおよびその製造方法を提供する。

【解決手段】支持体上に、希土類元素のNd,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Ybから選ばれる少なくとも一つ以上の希土類元素を含有する結晶子サイズ100〜1000Åの蛍光体粒子で形成された蛍光体層を有することを特徴とする放射線像変換パネル。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 支持体上に、希土類元素のNd,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Ybから選ばれる少なくとも一つ以上の希土類元素を含有する結晶子サイズ100〜1000Åの蛍光体粒子で形成された蛍光体層を有することを特徴とする放射線像変換パネル。
【請求項2】 希土類元素Euを2質量%〜20質量%含有する結晶子サイズ100〜1000Åの蛍光体粒子で形成された蛍光体層を有することを特徴とする放射線像変換パネル。
【請求項3】 希土類元素Gdを40質量%〜80質量%含有する結晶子サイズ100〜1000Åの蛍光体粒子で形成された蛍光体層を有することを特徴とする放射線像変換パネル。
【請求項4】 希土類元素Yを5質量%〜20質量%含有する結晶子サイズ100〜1000Åの蛍光体粒子で形成された蛍光体層を有することを特徴とする放射線像変換パネル。
【請求項5】 請求項1〜4のいずれか1項記載の放射線像変換パネルの製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、放射線像変換パネルおよび蛍光体に関し、特に輝度や鮮鋭性、X線撮影管電圧特性に優れた放射線像変換パネルおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】希土類金属化合物を主とした蛍光体は放射線像変換パネルを構成する主要な材料である。従来、蛍光体としてはGd22S:Tbなどが主として利用されてきたがその製造方法は希土類酸化物と硫黄化合物を混合し、融剤を加えて焼成し、解砕する工程を繰り返すことによって作製されていた。
【0003】このため、前記製造方法にて作製された蛍光体では粒子形状が揃わない上、結晶は、粉砕時に発生したり冷却時発生するクラックにより粒子構造が崩れたものとなっていた。
【0004】このような、粒子構造が崩れた蛍光体を用いて放射線像変換パネルを作製すると粒度分布が広くなり、パネル内の蛍光体存在状態が不規則になる。
【0005】本発明者は、前記放射線像変換パネルをX線撮影にて画像形成するとその粒子分布、粒子構造により入射するX線がパネル膜内にて散乱し、画像をボケさせる原因となっていること見出した。
【0006】X線の膜内散乱の影響はX線撮影管電圧にて特に顕著に現れ、鮮鋭性特性では6lp/mm以上の高周波数側で影響が大きいことを見出した。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、輝度や鮮鋭性、X線撮影管電圧特性に優れた放射線像変換パネルおよびその製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は、結晶子サイズ100〜1000Åである特徴を持つX線散乱に対して等方性をもつ蛍光体粒子を用いることにより、以下の構成によって達成された。
【0009】1.支持体上に、希土類元素のNd,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Ybから選ばれる少なくとも一つ以上の希土類元素を含有する結晶子サイズ100〜1000Åの蛍光体粒子で形成された蛍光体層を有することを特徴とする放射線像変換パネル。
【0010】2.希土類元素Euを2質量%〜20質量%含有する結晶子サイズ100〜1000Åの蛍光体粒子で形成された蛍光体層を有することを特徴とする放射線像変換パネル。
【0011】3.希土類元素Gdを40質量%〜80質量%含有する結晶子サイズ100〜1000Åの蛍光体粒子で形成された蛍光体層を有することを特徴とする放射線像変換パネル。
【0012】4.希土類元素Yを5質量%〜20質量%含有する結晶子サイズ100〜1000Åの蛍光体粒子で形成された蛍光体層を有することを特徴とする放射線像変換パネル。
【0013】5.前記1〜4のいずれか1項記載の放射線像変換パネルの製造方法。本発明を更に詳しく説明する。本発明は、希土類元素を含む水溶液に尿素を添加して塩基性炭酸塩を析出させ、得られた沈殿を固液分離し、500℃以上で焼成し得られた結晶子サイズ100〜1000Åの微粒子を用いることを特徴とする。
【0014】まず希土類元素を含む水溶液を80℃以上、0.5〜5時間加熱し、過酸化水素と尿素を添加してさらに加熱する事により、希土類元素の塩基性炭酸塩の粒子を析出する。
【0015】析出した希土類元素の塩基性炭酸塩を固液分離することで希土類元素の塩基性炭酸塩の結晶子サイズ100〜1000Åの蛍光体前駆体粒子が得られる。この塩基性炭酸塩の粒子をさらに空気中もしくは酸化性雰囲気中で焼成することで希土類元素酸化物で結晶子サイズ100〜1000Åの蛍光体粒子を得ることができる。尚、結晶子サイズは、X線回折で得られた回折ピークの測定可能なピークを10〜15選択して測定する「ウィルソン法」を用い算出した。
【0016】希土類元素の塩基性炭酸塩の析出反応条件についてさらに詳しく説明する。水溶性の希土類元素の塩としては硝酸塩が好ましい。
【0017】過酸化水素の添加量は希土類イオンの濃度に対して1/100〜30/100で添加することが好ましく、尿素の添加量は希土類の3〜5倍程度の濃度になることが好ましい。
【0018】得られた希土類塩基性炭酸塩を500℃以上で焼成すると塩基性炭酸塩の形状を保った結晶子サイズ100〜1000Åの希土類元素の酸化物微粒子が得られる。
【0019】放射線像変換パネルは、支持体とその表面に設けられた蛍光体層又は自己支持性の蛍光体層からなり、蛍光体層は通常蛍光体とこれを分散支持する結合剤からなるものと、蒸着法や焼結法によって形成される蛍光体の凝集体のみから構成されるものがある。また、該凝集体の間隙に高分子物質が含浸されているものも知られている。さらに、蛍光体層の支持体側とは反対側の表面には通常、ポリマーフィルムや無機物の蒸着膜からなる保護層膜が設けられる。
【0020】蛍光体としては、波長400〜900nmの範囲に発光波長のあるものが一般的に使用される。
【0021】X線捕捉効率を上げるには、蛍光体の粒径を5μm以下の小さいものとするか、蛍光体の結晶形状を充填効率の高いものとする必要がある。蛍光体の結晶形状は、平板より立方体、立方体より14面体、14面体より球体の順番で充填効率が上がる。また後述する蛍光体の分散性が高い結合剤を選択する等によっても充填効率を高くすることが可能である。
【0022】本発明の放射線像変換パネルに用いられる支持体としては、各種高分子材料、ガラス、金属等が用いられる。特に情報記録材料としての取り扱い上から可撓性のあるシートあるいはウェブに加工できるものが好適であり、この点からいえばセルロースアセテートフィルム、ポリエステルフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリアミドフィルム、ポリイミドフィルム、トリアセテートフィルム、ポリカーボネートフィルム等のプラスチックフィルム、アルミニウム、鉄、銅、クロム等の金属シートあるいは該金属酸化物の被覆層を有する金属シートが好ましい。
【0023】また、これら支持体の層厚は用いる支持体の材質等によって異なるが、一般的には3μm〜1000μmであり、取り扱い上の点から、さらに好ましくは80μm〜500μmである。
【0024】これらの支持体の表面は滑面であってもよいし、蛍光体層との接着性を向上させる目的でマット面としてもよい。
【0025】さらに、これら支持体は、蛍光体層との接着性を向上させる目的で蛍光体層が設けられる面に下引層を設けることが好ましい。
【0026】本発明において蛍光体層に用いられる結合剤の例としては、ゼラチン等の蛋白質、デキストラン等のポリサッカライド、またはアラビアゴムのような天然高分子物質;および、ポリビニルブチラール、ポリ酢酸ビニル、ニトロセルロース、エチルセルロース、塩化ビニリデン−塩化ビニルコポリマー、ポリアルキル(メタ)アクリレート、塩化ビニル−酢酸ビニルコポリマー、ポリウレタン、セルロースアセテートブチレート、ポリビニルアルコール、線状ポリエステルなどのような合成高分子物質などにより代表される結合剤を挙げることができる。
【0027】このような結合剤の中で好ましいものは、ニトロセルロース、線状ポリエステル、ポリアルキル(メタ)アクリレート、ニトロセルロースと線状ポリエステルとの混合物、ニトロセルロースとポリアルキル(メタ)アクリレートとの混合物およびポリウレタンとポリビニルブチラールとの混合物である。なお、これらの結合剤は架橋剤によって架橋されたものであってもよい。
【0028】また、蛍光体の分散性を高め、充填率を高めることが出来る結合剤として好ましく用いられるものは、スルホン酸基を有するポリエステル樹脂若しくはポリウレタン樹脂である。
【0029】蛍光体層は、上述した支持体上に下引層を施し、その上に蛍光体層塗布液を塗布、乾燥して形成する。
【0030】蛍光体層に使用される結合剤量は、蛍光体1質量部に対して0.01乃至1質量部の範囲が好ましい。しかしながら、得られる放射線画像変換パネルの感度と鮮鋭性の点では結合剤は少ない方が好ましく、塗布の容易さとの兼合いから0.03乃至0.2質量部の範囲がより好ましい。
【0031】蛍光体層塗布液に使用される溶剤の例としては、メタノール、エノタール、1−プロパノール、2−プロパノール、n−ブタノールなどの低級アルコール;メチレンクロライド、エチレンクロライドなどの塩素原子含有炭化水素;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサンなどのケトン;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなどの低級脂肪酸と低級アルコールとのエステル;ジオキサン、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテル;トルエン;トリオール、キシロールなどの芳香族化合物、そして、それらの混合物を挙げることができる。これら蛍光体層塗布液の溶剤は、少ない方が蛍光体層の比重を高める上で好ましい。具体的には、塗布液中の溶剤量は25質量%以下、より好ましくは20質量%以下である。また、塗布後の乾燥をゆっくり行い、緻密な膜とするには、シクロヘキサンのような高沸点溶媒を塗布液の溶剤として用いることが好ましく、溶剤を混合系溶剤とする場合は、高沸点溶媒の比率を40質量%以上、好ましくは50%質量以上とすることである。
【0032】塗布液には、該塗布液中における蛍光体の分散性を向上させるための分散剤、また、形成後の蛍光体層中における結合剤と蛍光体との間の結合力を向上させるための可塑剤などの種々の添加剤が混合されていてもよい。そのような目的に用いられる分散剤の例としては、フタル酸、ステアリン酸、カプロン酸、親油性界面活性剤などを挙げることができる。そして可塑剤の例としては、燐酸トリフェニル、燐酸トリクレジル、燐酸ジフェニルなどの燐酸エステル;フタル酸ジエチル、フタル酸ジメトキシエチル等のフタル酸エステル;グリコール酸エチルフタリルエチル、グリコール酸ブチルフタリルブチルなどのグリコール酸エステル;そして、トリエチレングリコールとアジピン酸とのポリエステル、ジエチレングリコールとコハク酸とのポリエステルなどのポリエチレングリコールと脂肪族二塩基酸とのポリエステルなどを挙げることができる。
【0033】上記のようにして調製された塗布液を、次に支持体上の下塗層の表面に均一に塗布することにより塗布液の塗膜を形成する。この塗布操作は、通常の塗布手段、例えば、ドクターブレード、ロールコーター、ナイフコーターなどを用いることにより行なうことができる。次いで、形成された塗膜を徐々に加熱することにより乾燥して、下塗層上への蛍光体層の形成を完了する。
【0034】蛍光体層の層厚は、目的とする放射線像変換パネルの特性、蛍光体の種類、結合剤と蛍光体との混合比などによって異なるが、通常は10μm乃至1mmとする(乾燥後の層厚)。特に、マンモグラフィーに用いる場合には、充填率を高めた塗布膜であって、その層厚を200μm以下、より好ましくは100μm以下とすることが好ましい。
【0035】蛍光体層塗布液の調製は、ボールミル、サンドミル、アトライター、三本ロールミル、高速インペラー分散機、Kadyミル、および超音波分散機などの分散装置を用いて行なわれる。調製された塗布液をドクターブレード、ロールコーター、ナイフコーターなどの塗布液を用いて支持体上に塗布し、乾燥することにより蛍光体層が形成される。前記塗布液を保護層上に塗布し、乾燥した後に蛍光体層と支持体とを接着してもよい。
【0036】本発明を実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明の実施態様はこれらに限定されるものではない。
【0037】
【実施例】実施例1イットリウムイオン、ガドリニウムイオン、ユーロピウム濃度合計が0.05モル/リットル(Y/Gd/Euの水溶液中イオン存在比を20/70/10)とした水溶液10lを95℃に加熱した。この水溶液に過酸化水素濃度が0.01モル/リットルとなるように過酸化水素を添加し、尿素を0.6モル/リットルとなるように添加し、95℃で1h加熱し、塩基性炭酸イットリウムが得られた。
【0038】析出した固体をメンブランフィルタにて分離し、700℃で2h焼成し、粒径1ミクロンの球状粒子が得られた。
【0039】前記粒子を98.5質量%、東洋紡製ポリエステル樹脂バイロン630を1.5質量%有機溶媒シクロヘキサノンを25.0質量%にて顔料スラリーを作製した。
【0040】作製した顔料スラリーを200ミクロンのギャップのあるナイフコーターにて支持体PET(東レ製188X−30)上に塗設し、この支持体PET上の塗膜を100℃にて30min乾燥した後、2ミクロンのPETフィルムを塗膜上にラミネートした後所定の大きさに断裁して放射線像変換パネルNo.1を作製した。イオン濃度比率を表1に記載したように変化させた以外はNo.1と同様にしてNo.2〜13を作製した。更に、粒子形状とイオン濃度比率を表1に記載したように変化させた粒子を用いて、比較パネルNo.14及び15をNo.1同様に作製した。
【0041】評価方法相対輝度放射線像変換パネルに管電圧80kVp、50mAのX線を照射する。照射中に放射線像変換パネルより発光された発光光を光電子増倍管(浜松ホトニクス製、光電子増倍管R1305)を用い受光し、その強度を、放射線像変換パネルNo.1を1.00として相対輝度とした。結果は表1に示す。
【0042】10lp/mmでの分解能放射線像変換パネルとハロゲン化銀写真感光材料(コニカ製、LP633)を張り合わせ撮影カセッテ(コニカ製、MOカセッテ)に入れ、カセッテ表面にX線MTFチャート(極光製No.1)を貼り付け、管電圧80kVp、50mAのX線を照射する。照射後のハロゲン化銀写真感光材料を自動現像機(コニカ製、TCX701)にて現像し、得られた画像をマイクロデンシトメータ(コニカ製、PDM5)により透過光を受光し、その空間周波数10lp/mmでの放射線像変換パネルNo.1の強度を100として分解能とし相対評価した。結果は表1に示す。
【0043】
【表1】

【0044】表1から、本発明の放射線像変換パネルは、輝度や鮮鋭性、X線撮影管電圧特性に優れていることが判る。
【0045】
【発明の効果】本発明により、輝度や鮮鋭性、X線撮影管電圧特性に優れた放射線像変換パネルおよびその製造方法を提供することができた。
【出願人】 【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカ株式会社
【出願日】 平成13年5月11日(2001.5.11)
【代理人】
【公開番号】 特開2002−341095(P2002−341095A)
【公開日】 平成14年11月27日(2002.11.27)
【出願番号】 特願2001−141419(P2001−141419)