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【発明の名称】 放射線像変換パネルおよびその製造方法
【発明者】 【氏名】岸波 勝也

【氏名】柳多 貴文

【要約】 【課題】感度、鮮鋭性が共に優れた放射線像変換パネルおよびその製造方法を提供する。

【解決手段】支持体、下引き層、蛍光体層がこの順に積層されてなる放射線像変換パネルで、該下引き層の長さ5cm、幅1cm、乾燥膜厚100μmの単膜を10分間シクロヘキサノン中で浸せきしたときの伸び率が1.8倍(180%)以下であり、該下引き層を乾燥膜厚100μmになるよう25μm厚の透明PETに塗設し、長さ5cm、幅2mmに断裁して、シクロヘキサノン中に浸せきした時のカール度1/rのrが5(cm)≦r≦1000(cm)であることを特徴とする放射線像変換パネル及びその製造方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 支持体、下引き層、蛍光体層がこの順に積層されてなる放射線像変換パネルで、該下引き層の長さ5cm、幅1cm、乾燥膜厚100μmの単膜を10分間シクロヘキサノン中で浸せきしたときの伸び率が1.8倍(180%)以下であることを特徴とする放射線像変換パネル。
【請求項2】 支持体、下引き層、蛍光体層がこの順に積層されてなる放射線像変換パネルで、該下引き層を乾燥膜厚100μmになるよう25μm厚の透明PETに塗設し、長さ5cm、幅2mmに断裁して、シクロヘキサノン中に浸せきした時のカール度1/rのrが5(cm)≦r≦1000(cm)であることを特徴とする放射線像変換パネル。
【請求項3】 蛍光体層の蛍光体層中の樹脂量と蛍光体の質量比が3:97〜10:90であることを特徴とする請求項1又は2記載の放射線像変換パネル。
【請求項4】 下引き層の樹脂が高分子量のポリエステル、ポリウレタンであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の放射線像変換パネル。
【請求項5】 下引き層が硬化剤によって硬化された樹脂からなることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の放射線像変換パネル。
【請求項6】 下引き層の硬化剤がイソシアネートおよびその誘導体であることを特徴とする請求項5記載の放射線像変換パネル。
【請求項7】 下引き層に銅−フタロシアニン色素を含有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項記載の放射線像変換パネル。
【請求項8】 支持体が発泡PETであることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項記載の放放射線像変換パネル。
【請求項9】 蛍光体層の蛍光体が下記一般式(1)で表されるものであることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項記載の放放射線像変換パネル。
一般式(1)
Ba(1-x)2(x)FBr(y)(1-y):aM1,bLn,cO〔式中、M1はLi,Na,K,Rb及びCsから選ばれる少なくとも1種のアルカリ金属、M2はBe,Mg,Sr及びCaから選ばれる少なくとも1種のアルカリ土類金属、LnはCe,Pr,Sm,Eu,Gd,Tb,Tm,Dy,Ho,Nd,Er及びYbから選ばれる少なくとも1種の希土類元素を表し、x,y,a,b及びcは、それぞれ0≦x≦0.3,0<y≦0.3,0≦a≦0.05,0<b≦0.2,0≦c≦0.1である。〕
【請求項10】 蛍光体層の蛍光体が下記一般式(2)で表されるものであることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項記載の放放射線像変換パネル。
一般式(2)
Ba(1-x)2(x)FI:aM1,bLn,cO〔式中、M1はLi,Na,K,Rb及びCsから選ばれる少なくとも1種のアルカリ金属、M2はBe,Mg,Sr及びCaから選ばれる少なくとも1種のアルカリ土類金属、LnはCe,Pr,Sm,Eu,Gd,Tb,Tm,Dy,Ho,Nd,Er及びYbから選ばれる少なくとも1種の希土類元素を表し、x,a,b及びcは、それぞれ0≦x≦0.3,0≦a≦0.05,0<b≦0.2,0≦c≦0.1である。〕
【請求項11】 請求項1〜10のいずれか1項記載の放射線像変換パネルを、乾燥膜厚100μmの下引き層の長さ5cm、幅1cmの単膜を10分間シクロヘキサノン中で浸せきしたときの伸び率が1.8倍(180%)以下である下引き層を支持体上に塗設し、その上に質量で75%以上の高い固形分の蛍光体層を塗設して製造したことを特徴とする放射線像変換パネルの製造方法。
【請求項12】 請求項1〜10のいずれか1項記載の放射線像変換パネルを、下引き層を乾燥膜厚100μmになるよう25μm厚の透明PETに塗設し乾燥した後、長さ5cm、幅2mmに断裁して、シクロヘキサノン中に浸せきした時のカール度1/rのrが5(cm)≦r≦1000(cm)である下引き層を支持体上に塗設し、その上に質量で75%以上の高い固形分の蛍光体層を塗設して製造したことを特徴とする放射線像変換パネルの製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、放射線像変換パネル及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の放射線写真法に代わる方法として、例えば特開昭55−12145号公報に記載されているような輝尽性蛍光体を用いる放射線像記録再生方法が知られている。
【0003】この方法は、輝尽性蛍光体を含有する放射線像変換パネル(蓄積性蛍光体シート)を利用するもので、被写体を透過した、あるいは被検体から発せられた放射線を該パネルの輝尽性蛍光体に吸収させ、その後に輝尽性蛍光体を可視光線、紫外線などの電磁波(励起光)で時系列的に励起することにより、該輝尽性蛍光体中に蓄積されている放射線エネルギーを蛍光(輝尽発光光)として放出させ、この蛍光を光電的に読み取って電気信号を得、次いで得られた電気信号に基づいて被写体あるいは被検体の放射線画像を可視像として再生するものである。読取を終えた該パネルは、残存する画像の消去が行われた後、次の撮影のために備えられる。すなわち、放射線像変換パネルは繰り返し使用することができる。上記の放射線像記録再生方法によれば、従来の放射線写真フィルムと増感紙との組み合わせを用いる放射線写真法による場合に比較して、はるかに少ない被爆線量で情報量の豊富な放射線画像を得ることができるという利点がある。
【0004】さらに、従来の放射線写真法では1回の撮影毎に放射線写真フィルムを消費するのに対して、この放射線像変換方法では放射線像変換パネルを繰り返し使用するので、資源保護、経済効率の面からも有利である。
【0005】輝尽性蛍光体は放射線を照射した後、励起光を照射すると輝尽発光を示す蛍光体であるが実用上では、波長が400〜900nmの範囲にある励起光によって300〜500nmの波長範囲の輝尽発光を示す蛍光体が一般的に利用される。
【0006】従来、放射線像変換パネルに用いられてきた輝尽性蛍光体の例としては下記のものが一例として挙げられる。
【0007】(1)特開昭55−12145号公報に記載されている(Ba1-x、M2+x)FX:yA(但し、M2+はMg、Ca、Sr、Zn及びCdのうちの少なくとも一種、XはCl、Br及びIのうちの少なくとも一種、AはEu、Tb、Ce、Tm、Dy、Pr、Ho、Nd、Yb及びErのうち少なくとも一種、そしてxは0≦x≦0.6、yは0≦y≦0.2である)の組成式で表わされる希土類元素付活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物蛍光体;また、この蛍光体には以下のような添加物が含まれていてもよい;特開昭56−74175号公報に記載されている、X′、BeX″、M3X″′3(ただし、X′、X″、およびX″′はそれぞれCl、BrおよびIのうち少なくとも一種であり、M3は三価金属である);特開昭55−160078号公報に記載されているBeO、MgO、CaO、SrO、BaO、ZnO、Al23、Y23、La23、In23、SiO2、TlO2、ZrO2、GeO2、SnO2、Nb25、Ta25及びThO2などの金属酸化物;特開昭56−116777号公報に記載されているZr、Sc;特開昭57−23673号公報に記載されているB;特開昭57−23675号公報に記載されているAs、Si;特開昭58−206678号公報に記載されているM・L(ただし、MはLi、Na、K、Rb、およびCsからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属であり;LはSc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Al、Ga、In、およびTlからなる群より選ばれる少なくとも一種の三価金属である);特開昭59−27980号公報に記載されているテトラフルオロホウ酸化合物の焼成物;特開昭59−27289号公報に記載されているヘキサフルオロケイ酸、ヘキサフルオロチタン酸およびヘキサフルオロジルコニム酸の一価もしくは二価金属の塩の焼成物;特開昭59−56479号公報に記載されているNaX′(ただし、X′はCl、BrおよびIのうちの少なくとも一種である);特開昭59−56480号公報に記載されているV、Cr、Mn、Fe、CoおよびNiなどの遷移金属;特開昭59−75200号公報に記載されているM1X′、M2X′′、M3X′′′、A(ただし、M1はLi、Na、K、Rb、およびCsからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属であり、M2はBeおよびMgからなる群より選ばれる少なくとも一種の二価金属であり;M3はAl、Ga、In、およびTlからなる群より選ばれる少なくとも一種の三価金属であり;Aは金属酸化物であり;X′、X′′およびX′′′はそれぞれF、Cl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンである);特開昭60−101173号公報に記載されているM1X′(ただし、M1はRbおよびCsからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属であり;X′はF、Cl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンである);特開昭61−23679号公報に記載されているM2′X′2・M2′X″2(ただし、M2′は、Ba、SrおよびCaからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属であり、X′およびX″はそれぞれCl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであって、かつX′≠X″である);および特開昭61−264084号公報に記載されているLnX″3(ただし、LnはSc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、YbおよびLuからなる群より選ばれる少なくとも一種の希土類元素であり;X″はF、Cl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンである)。
【0008】(2)特開昭60−84381号公報に記載されているM22・aM22:xEu2+(ただし、M2およびM2′はBa、SrおよびCaからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属であり;XはCl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり;そしてaは0.1≦a≦0.0、xは0<x≦0.2である)の組成式で表わされる二価ユーロピウム付活アルカリ土類金属ハロゲン化物蛍光体;また、この蛍光体には以下のような添加物が含まれていてもよい;特開昭60−166379号公報に記載されているM1X′′(ただし、M1はRbおよびCsからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属であり;X′′はF、Cl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンである);特開昭60−221483号公報に記載されているKX′′、MgX′′′2、M3X′′′′3(ただし、M3はSc、Y、La、GdおよびLuからなる群より選ばれる少なくとも一種の三価金属であり;X′′、X′′′およびX′′′′はいずれもF、Cl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンである);特開昭60−228592号公報に記載されているB;特開昭60−228593号公報に記載されているSiO2、P25等の酸化物;特開昭61−120882号公報に記載されているLiX″、NaX″(ただし、X″はF、Cl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンである);特開昭61−120883号公報に記載されているSiO2;特開昭61−120885号公報に記載されているSnX″2(ただし、X″はF、Cl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンである);特開昭61−235486号公報に記載されているCsX″、SnX′′′2(ただし、X″およびX′′′はそれぞれF、Cl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンである);および、特開昭61−235487号公報に記載されているCsX″、Ln3+(ただし、X″はF、Cl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり;LnはSc、Y、Ce、Pr、Nd、Sm、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、YbおよびLuからなる群より選ばれる少なくとも一種の希土類元素である)。
【0009】(3)特開昭55−12144号に記載されているLnOX:xA、(式中、LnはLa、Y、Gd、およびLuのうち少なくとも一つ;XはCl、Br、およびIのうち少なくとも一つ;AはCeおよびTbのうち少なくとも一つ;xは、0<x<0.1である)の組成式で表される希土類元素付活希土類オキシハライド蛍光体。
【0010】(4)特開昭58−69281号に記載されているM(II)OX:xCe、(式中、M(II)はPr、Nd、Pm、Sm、Eu、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、およびBiからなる群より選ばれる少なくとも一種の酸化金属であり;XはCl、Br、およびIのうち少なくとも一つであり;xは0<x<0.1である)の組成式で表されるセリウム付活三価金属オキシハライド蛍光体。
【0011】(5)特開昭62−25189号明細書に記載されているM(I)X:xBi、(式中、M(I)はRbおよびCsからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属であり;XはCl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり;そしてxは0<x≦0.2の範囲の数値である)の組成式で表されるビスマス付活アルカリ金属ハロゲン化物蛍光体。
【0012】(6)特開昭60−141783号に記載されているM(II)5(PO43X:xEu2+、(式中、M(II)はCa、SrおよびBaからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属であり;XはF、Cl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり;xは0<x≦0.2の範囲の数値である)の組成式で表される二価ユーロピウム付活アルカリ土類金属ハロリン酸塩蛍光体。
【0013】(7)特開昭60−157099号に記載されているM(II)2BO3X:xEu2+、(式中、M(II)はCa、SrおよびBaからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属であり;XはCl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり;xは0<x≦0.2の範囲の数値である)の組成式で表される二価ユーロピウム付活アルカリ土類金属ハロホウ酸塩蛍光体。
【0014】(8)特開昭60−157100号に記載されているM(II)2(PO43X:xEu2+、(式中、M(II)はCa、SrおよびBaからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属であり;XはCl、Br及びIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり;xは0<x≦0.2の範囲の数値である)の組成式で表される二価ユーロピウム付活アルカリ土類金属ハロリン酸塩蛍光体。
【0015】(9)特開昭60−217354号に記載されているM(II)HX:xEu2+、(式中、M(II)はCa、SrおよびBaからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属であり;XはCl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり;xは0<x≦0.2の範囲の数値である)の組成式で表される二価ユーロピウム付活アルカリ土類金属水素化ハロゲン化物蛍光体。
【0016】(10)特開昭61−21173号に記載されているLnX3・aLn′X′3:xCe3+、(式中、LnおよびLn′はそれぞれY、La、GdおよびLuからなる群より選ばれる少なくとも一種の希土類元素であり;XおよびX′はそれぞれF、Cl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであって、かつX≠X′であり;そしてaは0.1<a≦10.0の範囲の数値であり、xは0<x≦0.2の範囲の数値である)の組成式で表されるセリウム付活希土類複合ハロゲン化物蛍光体。
【0017】(11)特開昭61−21182号に記載されているLnX3・aM(I)X′3:xCe3+、(式中、LnはY、La、GdおよびLuからなる群より選ばれる少なくとも一種の希土類元素であり;M(I)はLi、Na、K、CsおよびRbからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属であり;XおよびX′はそれぞれCl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり;そしてaは0<a≦10.0の範囲の数値であり、xは0<x≦0.2の範囲の数値である)の組成式で表されるセリウム付活希土類複合ハロゲン化物系蛍光体。
【0018】(12)特開昭61−40390号に記載されているLnPO4・aLnX3:xCe3+、(式中、LnはY、La、GdおよびLuからなる群より選ばれる少なくとも一種の希土類元素であり;XはF、Cl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり;そしてaは0.1≦a≦10.0の範囲の数値であり、xは0<x≦0.2の範囲の数値である)の組成式で表されるセリウム付活希土類ハロ燐酸塩蛍光体。
【0019】(13)特開昭61−236888号明細書に記載されているCsX:aRbX′:xEu2+、(式中、XおよびX′はそれぞれCl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり;そしてaは0<a≦10.0の範囲の数値であり、xは0<x≦0.2の範囲の数値である)の組成式で表される二価ユーロピウム付活ハロゲン化セシウム・ルビジウム蛍光体。
【0020】(14)特開昭61−236890号に記載されているM(II)X2・aM(I)X′:xEu2+、(式中、M(II)はBa、SrおよびCaからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属であり;M(I)はLi、RbおよびCsからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属であり;XおよびX′はそれぞれCl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり;そしてaは0.1≦a≦20.0の範囲の数値であり、xは0<x≦0.2の範囲の数値である)の組成式で表される二価ユーロピウム付活複合ハロゲン化物蛍光体。
【0021】上記の輝尽性蛍光体のうちで、ヨウ素を含有する二価ユーロピウム付活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系蛍光体、ヨウ素を含有する二価ユーロピウム付活アルカリ土類金属ハロゲン化物系蛍光体、ヨウ素を含有する希土類元素付活希土類オキシハロゲン化物系蛍光体、およびヨウ素を含有するビスマス付活アルカリ金属ハロゲン化物系蛍光体は高輝度の輝尽発光を示す。
【0022】放射線像記録再生方法に用いられる放射線像変換パネルは、従来基本構造として、支持体とその表面に設けられた輝尽性蛍光体層からなるものである。このときの支持体は蛍光体層中の蛍光体が吸収しない余分な励起光を吸収するよう、励起光を吸収するような黒色支持体を使用してきた。しかし最近の検討で、輝度、鮮鋭度両方ともに改良しようとしたところ発泡PETなどの白色支持体を使用して、輝尽光を反射させる必要があることがわかった。
【0023】ところが、ただ発泡PETに蛍光体層を塗設するだけでは、鮮鋭度が低下することがわかった。そこで蛍光体層と支持体の間に輝尽光は吸収せず、励起光のみを吸収する下引き層を設けた。しかしこの下引き層はトルエンなどの溶剤によって膨潤する層であるため、伸びたり、収縮するという難点があった。
【0024】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、感度、鮮鋭性で表される画像特性が共に優れた放射線像変換パネルおよびその製造方法を提供することにある。
【0025】
【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は、以下の構成によって達成された。
【0026】1.支持体、下引き層、蛍光体層がこの順に積層されてなる放射線像変換パネルで、該下引き層の長さ5cm、幅1cm、乾燥膜厚100μmの単膜を10分間シクロヘキサノン中で浸せきしたときの伸び率が1.8倍(180%)以下であることを特徴とする放射線像変換パネル。
【0027】2.支持体、下引き層、蛍光体層がこの順に積層されてなる放射線像変換パネルで、該下引き層を乾燥膜厚100μmになるよう25μm厚の透明PETに塗設し、長さ5cm、幅2mmに断裁して、シクロヘキサノン中に浸せきした時のカール度1/rのrが5(cm)≦r≦1000(cm)であることを特徴とする放射線像変換パネル。
【0028】3.蛍光体層の蛍光体層中の樹脂量と蛍光体の質量比が3:97〜10:90であることを特徴とする前記1又は2記載の放射線像変換パネル。
【0029】4.下引き層の樹脂が高分子量のポリエステル、ポリウレタンであることを特徴とする前記1〜3のいずれか1項記載の放射線像変換パネル。
【0030】5.下引き層が硬化剤によって硬化された樹脂からなることを特徴とする前記1〜4のいずれか1項記載の放射線像変換パネル。
【0031】6.下引き層の硬化剤がイソシアネートおよびその誘導体であることを特徴とする前記5記載の放射線像変換パネル。
【0032】7.下引き層に銅−フタロシアニン色素を含有することを特徴とする前記1〜6のいずれか1項記載の放射線像変換パネル。
【0033】8.支持体が発泡PETであることを特徴とする前記1〜7のいずれか1項記載の放放射線像変換パネル。
【0034】9.蛍光体層の蛍光体が下記一般式(1)で表されるものであることを特徴とする前記1〜8のいずれか1項記載の放放射線像変換パネル。
【0035】一般式(1)
Ba(1-x)2(x)FBr(y)(1-y):aM1,bLn,cO〔式中、M1はLi,Na,K,Rb及びCsから選ばれる少なくとも1種のアルカリ金属、M2はBe,Mg,Sr及びCaから選ばれる少なくとも1種のアルカリ土類金属、LnはCe,Pr,Sm,Eu,Gd,Tb,Tm,Dy,Ho,Nd,Er及びYbから選ばれる少なくとも1種の希土類元素を表し、x,y,a,b及びcは、それぞれ0≦x≦0.3,0<y≦0.3,0≦a≦0.05,0<b≦0.2,0≦c≦0.1である。〕
10.蛍光体層の蛍光体が下記一般式(2)で表されるものであることを特徴とする前記1〜8のいずれか1項記載の放放射線像変換パネル。
【0036】一般式(2)
Ba(1-x)2(x)FI:aM1,bLn,cO〔式中、M1はLi,Na,K,Rb及びCsから選ばれる少なくとも1種のアルカリ金属、M2はBe,Mg,Sr及びCaから選ばれる少なくとも1種のアルカリ土類金属、LnはCe,Pr,Sm,Eu,Gd,Tb,Tm,Dy,Ho,Nd,Er及びYbから選ばれる少なくとも1種の希土類元素を表し、x,a,b及びcは、それぞれ0≦x≦0.3,0≦a≦0.05,0<b≦0.2,0≦c≦0.1である。〕
11.前記1〜10のいずれか1項記載の放射線像変換パネルの製造方法において、乾燥膜厚100μmの下引き層の長さ5cm、幅1cmの単膜を10分間シクロヘキサノン中で浸せきしたときの伸び率が1.8倍(180%)以下である下引き層を支持体上に塗設し、その上に質量で75%以上の高い固形分の蛍光体層を塗設して製造したことを特徴とする放射線像変換パネルの製造方法。
【0037】12.前記1〜10のいずれか1項記載の放射線像変換パネルの製造方法において、下引き層を乾燥膜厚100μmになるよう25μm厚の透明PETに塗設し乾燥した後、長さ5cm、幅2mmに断裁して、シクロヘキサノン中に浸せきした時のカール度1/rのrが5(cm)≦r≦1000(cm)である下引き層を支持体上に塗設し、その上に質量で75%以上の高い固形分の蛍光体層を塗設して製造したことを特徴とする放射線像変換パネルの製造方法。
【0038】本発明を更に詳しく説明する。上記の問題は前記記載の方法で解決される。即ち、前記1又は2のように下引き層の伸び率と収縮量を制御し、また前記11又は12のようにその上に塗設される蛍光体層の固形分をできるだけ高くし、また前記3のように特性を落とさない範囲で樹脂量を多くすることで解決された。下引き層の伸び率と収縮量は樹脂の分子量とTgを選択することで制御可能だが、前記5又は6のように硬化剤を使用することで制御してもよい。
【0039】本発明において、乾燥膜厚100μmの下引き層の単膜を長さ5cm、幅1cmに断裁し、10分間シクロヘキサノン中で浸せきしたときの伸び率は1.8倍(シクロヘキサノンに浸せきする前を100%とし、1.8倍になった場合を180%の伸び率として算出する)以下である。また、下引き層を乾燥膜厚100μmになるよう25μm厚の透明PETに塗設し、長さ5cm、幅2mmに断裁して、シクロヘキサノン中に浸せきした時のカール度1/rのrは5(cm)≦r≦1000(cm)であるが、6(cm)≦r≦100(cm)が好ましい。尚、カール度1/rのrは上記サンプルのカールしたものの両端をつないで円にしたときの半径(cm)を言う。
【0040】本発明において、下引き層に用いられる樹脂の例としては、ゼラチン等の蛋白質、デキストラン等のポリサッカライド、またはアラビアゴムのような天然高分子物質;及びポリビニルブチラール、ポリ酢酸ビニル、ニトロセルロース、エチルセルロース、塩化ビニリデン、塩化ビニルコポリマー、ポリアクリル(メタ)アクリレート、塩化ビニル・酢酸ビニルコポリマー、ポリウレタン、セルロースアセテートブチレート、ポリビニルアルコール、線上ポリエステル等のような合成高分子物質等により代表される樹脂を挙げることができる。樹脂で特に好ましいものは、(線状)ポリエステル、ポリウレタンなどで数平均分子量は1万5000以上のものが好ましい。
【0041】これらの樹脂は架橋剤によって架橋されたものであってもよい。架橋剤としてはイソシアネートおよびその誘導体が好ましい。
【0042】下引き層には余分な励起光を吸収するために色素を含むのが好ましいが、そのなかでも輝尽光を殆ど吸収しない銅−フタロシアニン色素が最も好ましい。添加量としては樹脂:色素が89.99:0.01〜85:5(質量部)が好ましく、89.95:0.03〜87:3がさらにこのましい。
【0043】下引き層の塗布液の固形分としては75質量%以上が好ましい。さらに好ましくは77質量%以上である。
【0044】上記のような素材で調製した塗布液を、支持体の表面に均一に塗布することにより塗布液の塗膜を形成する。この塗布操作は通常の塗布手段、例えばドクターブレード、ロールコーター、ナイフコーター等を用いて行うことができる。次いで、形成された塗膜を徐々に加熱することにより乾燥し、支持体上への下引き層の形成を完了する。
【0045】下引き層用塗布液の調製は、ボールミル、サンドミル、アトライター、三本ロールミル、高速インペラー分散機、Kadyミル、及び超音波分散機などの分散装置を用いて行われる。調製された塗布液をドクターブレード、ロールコーター、ナイフコーター等の塗布装置を用いて支持体上に塗布し、乾燥することにより下引き層が形成される。
【0046】下引き層の層厚としては、1μm〜100μmが好ましく、最も好ましくは3μm〜50μmである。
【0047】本発明の希土類付活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系輝尽性蛍光体の製造方法の代表的な態様を以下に詳しく説明する。
【0048】液相法による輝尽性蛍光体前駆体製造については、公知の前駆体製造方法及び装置が好ましく利用できる。ここで輝尽性蛍光体前駆体とは、前記一般式(1)の物質が600℃以上の高温を経ていない状態を示し、輝尽性蛍光体前駆体は、輝尽発光性や瞬時発光性を殆ど示さない。
【0049】本発明では以下の液相合成法により前駆体を得ることが好ましい。前記一般式(1)で示される希土類付活アルカリ土類金属弗化沃化物系輝尽性蛍光体の製造は、粒子形状の制御が難しい固相法ではなく、粒径の制御が容易である液相法により行うことが好ましい。特に、下記の液相合成法により輝尽性蛍光体を得ることが好ましい。
【0050】(製造法)BaI2とLnのハロゲン化物を含み、前記一般式(1)のxが0でない場合には、更にM2のハロゲン化物を、yが0でない場合はBaBr2を、そしてM1のハロゲン化物を含み、それらが溶解した後、BaI2濃度が3.3mol/L以上、好ましくは3.5mol/L以上の溶液を調製する工程;上記溶液を50℃以上、好ましくは80℃以上の温度に維持しながら、これに濃度5mol/L以上、好ましくは8mol/L以上の無機弗化物(弗化アンモニウム又はアルカリ金属の弗化物)の溶液を添加して、希土類付活アルカリ土類金属弗化沃化物系輝尽性蛍光体前駆体結晶の沈澱物を得る工程;上記無機弗化物を添加しつつ、又は添加終了後、反応液から溶媒を除去する工程;上記前駆体結晶沈澱物を反応液から分離する工程;そして、分離した前駆体結晶沈澱物を焼結を避けながら焼成する工程を含む製造方法である。
【0051】尚、本発明に係る粒子(結晶)は、平均粒径が1〜10μmで、かつ単分散性のものが好ましく、平均粒径が1〜5μm、平均粒径の分布(%)が20%以下のものがより好ましく、特に平均粒径が1〜3μm、平均粒径の分布が15%以下のものが良い。
【0052】本発明における平均粒径とは、粒子(結晶)の電子顕微鏡写真より無作為に粒子200個を選び、球換算の体積粒子径で平均を求めたものである。
【0053】以下に輝尽性蛍光体の製造法の詳細について説明する。
(前駆体結晶の沈澱物の作製、輝尽性蛍光体の作製)最初に、水系媒体中を用いて弗素化合物以外の原料化合物を溶解させる。即ち、BaI2とLnのハロゲン化物、そして必要により更にM2のハロゲン化物、そして更にM1のハロゲン化物を水系媒体中に入れ、充分に混合し、溶解させて、それらが溶解した水溶液を調製する。ただし、BaI2濃度が3.3mol/L以上、好ましくは3.5mol/L以上となるように、BaI2濃度と水系溶媒との量比を調整しておく。この時、バリウム濃度が低いと、所望の組成の前駆体が得られないか、得られても粒子が肥大化する。よって、バリウム濃度は適切に選択する必要があり、本発明者らの検討の結果、3.3mol/L以上で微細な前駆体粒子を形成することができることが判った。この時、所望により少量の酸、アンモニア、アルコール、水溶性高分子ポリマー、水不溶性金属酸化物微粒子粉体などを添加してもよい。BaI2の溶解度が著しく低下しない範囲で低級アルコール(メタノール、エタノール等)を適当量添加しておくのも好ましい態様である。この水溶液(反応母液)は50℃に維持される。
【0054】次に、この50℃に維持され、撹拌されている水溶液に、無機弗化物(弗化アンモニウム、アルカリ金属の弗化物など)の水溶液をポンプ付きのパイプ等を用いて注入する。この注入は、撹拌が特に激しく実施されている領域部分に行うのが好ましい。この無機弗化物水溶液の反応母液への注入によって、前記一般式(1)に該当する希土類付活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系蛍光体前駆体結晶が沈澱する。
【0055】次に反応液から溶媒を除去する。溶媒を除去する時期は特に問わない。無機弗化物溶液の添加開始から、固液分離する迄の間であれば何時でもよい。最も好ましいのは無機弗化物溶液を添加し終えた直後から除去を始める態様である。
【0056】溶媒の除去量は、除去前と除去後の質量比で2%以上が好ましい。これ以下では結晶が好ましい組成に成りきらない場合がある。そのため除去量は2%以上が好ましく、5%以上がより好ましい。又、除去し過ぎても、反応溶液の粘度が過剰に上昇するなど、ハンドリングの面で不都合が生じる場合がある。そのため、溶媒の除去量は、除去前と除去後の質量比で50%以下が好ましい。
【0057】溶媒の除去に要する時間は、生産性に大きく影響するばかりでなく、粒子の形状、粒径分布も溶媒の除去方法に影響されるので、除去方法は適切に選択する必要がある。一般的に、溶媒の除去に際しては、溶液を加熱し、溶媒を蒸発する方法が選択される。本発明においても、この方法は有用である。溶媒の除去により、意図した組成の前駆体を得ることができる。
【0058】更に、生産性を上げるため、又、粒子形状を適切に保つため、他の溶媒除去方法を併用することが好ましい。併用する溶媒の除去方法は特に問わない。逆浸透膜などの分離膜を用いる方法を選択することも可能である。本発明では生産性の面から、以下の除去方法を選択することが好ましい。
【0059】1.乾燥気体を通気反応容器を密閉型とし、少なくとも2箇所以上の気体が通過できる孔を設け、そこから乾燥気体を通気する。気体の種類は任意に選ぶことができる。安全性の面から、空気、窒素が好ましい。通気する気体の飽和水蒸気量に依存して溶媒が気体に同伴、除去される。反応容器の空隙部分に通気する方法の他、液相中に気体を気泡として噴出させ、気泡中に溶媒を吸収させる方法も、又、有効である。
【0060】2.減圧よく知られるように、減圧にすることで溶媒の蒸気圧は低下する。蒸気圧降下により効率的に溶媒を除去することができる。減圧度としては溶媒の種類により適宜選択することができる。溶媒が水の場合、86,450Pa以下が好ましい。
【0061】3.液膜蒸発面積を拡大することにより溶媒の除去を効率的に行うことができる。本発明のように、一定容積の反応容器を用いて加熱、攪拌し、反応を行わせる場合、加熱方法としては、加熱手段を液体中に浸漬するか、容器の外側に加熱手段を装着する方法が一般的である。該方法によると、伝熱面積は液体と加熱手段が接触する部分に限定され、溶媒除去に伴い伝熱面積が減少し、よって、溶媒除去に要する時間が長くなる。これを防ぐため、ポンプ又は攪拌機を用いて反応容器の壁面に散布し、伝熱面積を増大させる方法が有効である。
【0062】このように反応容器壁面に液体を散布し、液膜を形成する方法は“濡れ壁”として知られている。濡れ壁の形成方法としては、ポンプを用いる方法の他、特開平6−335627号、同11−235522号に記載の攪拌機を用いる方法が挙げられる。
【0063】これらの方法は単独のみならず、組み合わせて用いても構わない。液膜を形成する方法と容器内を減圧にする方法の組合せ、液膜を形成する方法と乾燥気体を通気する方法の組合せ等が有効である。特に前者が好ましく、特開平6−335627号に記載の方法が好ましく用いられる。
【0064】次に、上記の蛍光体前駆体結晶を、濾過、遠心分離などにより溶液から分離し、メタノール等で充分に洗浄し、乾燥する。この乾燥蛍光体前駆体結晶に、アルミナ微粉末、シリカ微粉末などの焼結防止剤を添加、混合し、結晶表面に焼結防止剤微粉末を均一に付着させる。尚、焼成条件を選ぶことにより焼結防止剤の添加を省略することも可能である。
【0065】次に、蛍光体前駆体の結晶を、石英ポート、アルミナ坩堝、石英坩堝などの耐熱性容器に充填し、電気炉の炉心に入れて焼結を避けながら焼成を行う。焼成温度は400〜1,300℃の範囲が適当であり、500〜1,000℃の範囲が好ましい。焼成時間は、蛍光体原料混合物の充填量、焼成温度及び炉からの取出し温度などによっても異なるが、一般には0.5〜12時間が適当である。
【0066】焼成雰囲気としては、窒素ガス雰囲気、アルゴンガス雰囲気等の中性雰囲気、あるいは少量の水素ガスを含有する窒素ガス雰囲気、一酸化炭素を含有する二酸化炭素雰囲気などの弱還元性雰囲気、あるいは微量酸素導入雰囲気が利用される。焼成方法については、特開2000−8034号に記載の方法が好ましく用いられる。
【0067】上記の焼成によって目的の希土類付活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系輝尽性蛍光体が得られる。
【0068】(放射線像変換パネルの作製)本発明の放射線像変換パネルに用いられる支持体としては、各種高分子材料、ガラス、金属等が用いられる。特に情報記録材料としての取扱い上、可撓性のあるシート又はウェブに加工できるものが好適であり、この点から言えばセルロースアセテート、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリイミド、トリアセテート、ポリカーボネートフィルム等のプラスチックフィルム;アルミニウム、鉄、銅、クロム等の金属シート又は該金属酸化物の被覆層を有する金属シート等が好ましい。
【0069】これら支持体の層厚は、用いる支持体の材質等によって異なるが、一般的には80〜1000μmであり、取扱い上の点から、更に好ましくは80〜500μmである。
【0070】これら支持体は、蛍光体層との接着性を向上させる目的で、蛍光体層が設けられる面に上述した下引層を設ける。
【0071】蛍光体層に用いられる結合剤の例としては、ゼラチン等の蛋白質、デキストラン等のポリサッカライド、又はアラビアゴムのような天然高分子物質;ポリビニルブチラール、ポリ酢酸ビニル、ニトロセルロース、エチルセルロース、塩化ビニリデン・塩化ビニルコポリマー、ポリアルキル(メタ)アクリレート、塩化ビニル・酢酸ビニルコポリマー、ポリウレタン、セルロースアセテートブチレート、ポリビニルアルコール、線状ポリエステル等のような合成高分子物質などにより代表される結合剤を挙げることができる。これらの中で特に好ましいものは、ニトロセルロース、線状ポリエステル、ポリアルキル(メタ)アクリレート、ニトロセルロースと線状ポリエステルとの混合物、ニトロセルロースとポリアルキル(メタ)アクリレートとの混合物及びポリウレタンとポリビニルブチラールとの混合物である。尚、これらの結合剤は、架橋剤によって架橋されたものでもよい。
【0072】蛍光体層は、例えば次のような方法により下引き層上に形成することができる。
【0073】まず、沃素含有輝尽性蛍光体、黄変防止のための亜燐酸エステル等の化合物及び結合剤を適当な溶剤に添加し、これらを充分に混合して結合剤溶液中に蛍光体粒子及び該化合物の粒子が均一に分散した塗布液を調製する。
【0074】本発明に用いられる結着剤としては、例えばゼラチンの如き蛋白質、デキストランの如きポリサッカライド又はアラビアゴム、ポリビニルブチラール、ポリ酢酸ビニル、ニトロセルロース、エチルセルロース、塩化ビニルデン・塩化ビニルコポリマー、ポリメチルメタクリレート、塩化ビニル・酢酸ビニルコポリマー、ポリウレタン、セルロースアセテートブチレート、ポリビニルアルコール等のような、通常、層構成に用いられる造膜性の結着剤が使用される。
【0075】一般に、結着剤は輝尽性蛍光体99質量部に対して1乃至99質量部の範囲で使用される。しかしながら得られる放射線変換パネルの感度、鮮鋭性と下引き層との相性から輝尽性蛍光体と結合剤の比は97:3〜90:10(質量部)の範囲が好ましい。
【0076】蛍光体層用塗布液の調製に用いられる溶剤の例としては、メタノール、エノタール、1−プロパノール、2−プロパノール、ブタノール等の低級アルコール;メチレンクロライド、エチレンクロライド等の塩素原子含有炭化水素;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等の低級脂肪酸と低級アルコールとのエステル;ジオキサン、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル;トルエン;そして、それらの混合物を挙げることができる。
【0077】尚、塗布液には、該塗布液中における蛍光体の分散性を向上させるための分散剤、又、形成後の蛍光体層中における結合剤と蛍光体との結合力を向上させるための可塑剤など、種々の添加剤が混合されてもよい。そのような目的に用いられる分散剤の例としては、フタル酸、ステアリン酸、カプロン酸、親油性界面活性剤などを挙げることができる。又、可塑剤の例としては、燐酸トリフェニル、燐酸トリクレジル、燐酸ジフェニルなどの燐酸エステル;フタル酸ジエチル、フタル酸ジメトキシエチル等のフタル酸エステル;グリコール酸エチルフタリルエチル、グリコール酸ブチルフタリルブチルなどのグリコール酸エステル;トリエチレングリコールとアジピン酸とのポリエステル、ジエチレングリコールとコハク酸とのポリエステル等のポリエチレングリコールと脂肪族二塩基酸とのポリエステル等を挙げることができる。
【0078】蛍光体層の塗布液の固形分としては75質量%以上が好ましい。さらに好ましくは77質量%以上である。
【0079】上記のような素材で調製した塗布液を、下引き層の表面に均一に塗布することにより塗布液の塗膜を形成する。この塗布操作は通常の塗布手段、例えばドクターブレード、ロールコーター、ナイフコーター等を用いて行うことができる。次いで、形成された塗膜を徐々に加熱することにより乾燥し、下引き層上への蛍光体層の形成を完了する。
【0080】蛍光体層用塗布液の調製は、ボールミル、サンドミル、アトライター、三本ロールミル、高速インペラー分散機、Kadyミル、及び超音波分散機などの分散装置を用いて行われる。調製された塗布液をドクターブレード、ロールコーター、ナイフコーター等の塗布装置を用いて下引き層上に塗布し、乾燥することにより蛍光体層が形成される。
【0081】放射線像変換パネルの蛍光体層の膜厚は、目的とする放射線像変換パネルの特性、輝尽性蛍光体の種類、結着剤と輝尽性蛍光体との混合比等によって異なるが、10〜1,000μmの範囲から選ばれるのが好ましく、10〜500μmの範囲から選ばれるのがより好ましい。
【0082】
【実施例】実施例1まず下引き層塗布液を次のようにして調製した。ポリエステル樹脂溶解品(東洋紡バイロン30SS:固形分30%)299.8gにβ−銅フタロシアニン分散品0.16g(固形分30%)を混ぜ、プロペラミキサーで分散して用意した。
【0083】この下引き層塗布液を発泡PET、188E60L(東レ)に塗布、100℃で5分乾燥し、30μm厚の下引き層を形成した。
【0084】次にユウロピウム付活弗化沃化バリウムの輝尽性蛍光体前駆体を合成するために、BaI2水溶液(4.0mol/l)2500mlとEuBr3水溶液(0.2mol/l)125mlを反応器に入れた。この反応器中の反応母液を撹拌しながら70度で保温した。弗化アンモニウム水溶液(8mol/l)250mlを反応母液中にローラーポンプを用いて注入し、沈殿物を生成させた。注入終了後も保温と撹拌を2時間続けて沈殿物の熟成を行った。
【0085】次に沈殿物を濾別後、エタノールにより洗浄した後、真空乾燥させてユーロピウム付活弗化沃化バリウムの結晶を得た。
【0086】焼成時の焼結により粒子形状の変化、粒子間融着による粒子サイズ分布の変化を防止するためにアルミナの超微粒子粉体を0.1質量%添加し、ミキサーで充分撹拌して結晶表面にアルミナの超微粒子粉体を均一に付着させた。
【0087】これを石英ボートに充填してチューブ炉を用いて水素ガス雰囲気中、850℃で2時間焼成してユーロピウム付活弗化沃化バリウム蛍光体粒子を得た。
【0088】次に上記蛍光体粒子を分級することにより平均粒径3μmの粒子を得た。蛍光体層形成材料として上記で得たユウロピウム付活弗化沃化バリウム蛍光体427g、ポリエステル樹脂(東洋紡バイロン530)18gをメチルエチルケトンとトルエン、シクロヘキサノンの混合溶媒に添加、プロペラミキサーによって分散し、固形分80%の塗布液を調製した。
【0089】この塗布液をドクターブレードを用いて、上記下引き層上に塗布した後、100℃で15分間乾燥させて、240μmの蛍光体層を形成させた。蛍光体層は下引き層上にむらなく塗布され、膜厚分布は良好であった。
【0090】次に保護膜形成材料としてフッ素樹脂:フルオロオレフィン−ビニルエーテル共重合体(旭硝子社製ルミフロンF100)70g架橋剤:イソシアネート(日本ポリウレタンc−3041)25gをトルエン−イソプロピルアルコール(1:1)混合溶媒に添加し、塗布液を作った。
【0091】この塗布液を上記のようにして予め形成しておいた蛍光体層上にドクターブレードを用いて塗布し、次に120℃で30分間熱処理をして熱硬化させると共に乾燥し、厚さ10μmの保護膜を設けた。以上の方法により輝尽性蛍光体層を有する放射線像変換パネルを得た。
【0092】上記特放射線像変換パネルの特性評価(感度、鮮鋭性)の結果は表1に示す。このときの下引き層の長さ5cm、幅1cm、乾燥膜厚100μmの単膜を10分間シクロヘキサノン中で浸せきしたときの伸び率は178%であった。
【0093】また乾燥膜厚100μmになるよう25μm厚の透明PETに塗設し、長さ5cm、幅2mmに断裁して、シクロヘキサノン中に浸せきした時のカール量は下引き層100μm厚で半径r=7cmであった。
【0094】実施例2実施例1の下引き層塗布液を以下のように調製した以外は、実施例1と同様に放射線像変換パネルを作製した。
【0095】ポリエステル樹脂溶解品(東洋紡バイロン30SS:Mn23,000,固形分30%)287gにイソシアネート9.6g(日本ポリウレタン社製コロネートHX)、β−銅フタロシアニン分散品0.167g(固形分30%)、メチルエチルケトン、トルエンを混ぜ、プロペラミキサーで分散して下引き層塗布液を用意した。
【0096】作製した放射線像変換パネルの特性評価(感度、鮮鋭性)の結果は表1に示す。このときの下引き層の長さ5cm、幅1cm、乾燥膜厚100μmの単膜を10分間シクロヘキサノン中で浸せきしたときの伸び率および乾燥膜厚100μmになるよう25μm厚の透明PETに塗設し、長さ5cm、幅2mmに断裁して、シクロヘキサノン中に浸せきした時のカール量も表1に示す。
【0097】比較例1実施例1の下引き層塗布液を以下のように調製した以外は、実施例1と同様に放射線像変換パネルを作製した。
【0098】ポリエステル樹脂溶解品(東洋紡バイロン96CS:Mn11,000,固形分40%)292gにβ−銅フタロシアニン分散品0.21g(固形分30%)、メチルエチルケトン、トルエンを混ぜ、プロペラミキサーで分散して下引き層塗布液を用意した。
【0099】作製した放射線像変換パネルの特性評価(感度、鮮鋭性)の結果は表1に示す。このときの下引き層の長さ5cm、幅1cm、乾燥膜厚100μmの単膜を10分間シクロヘキサノン中で浸せきしたときの伸び率および乾燥膜厚100μmになるよう25μm厚の透明PETに塗設し、長さ5cm、幅2mmに断裁して、シクロヘキサノン中に浸せきした時のカール量も表1に示す。
【0100】比較例2実施例1の蛍光体層塗布液を以下のように調製した以外は、実施例1と同様に放射線像変換パネルを作製した。
【0101】蛍光体層形成材料として実施例1と同じユウロピウム付活弗化沃化バリウム蛍光体427g、ポリエステル樹脂(東洋紡バイロン30SS)18gをメチルエチルケトンとトルエン、シクロヘキサノンの混合溶媒に添加、プロペラミキサーによって分散し、固形分70%の塗布液を調製した。
【0102】作製した放射線像変換パネルの特性評価(感度、鮮鋭性)の結果は表1に示す。このときの下引き層の長さ5cm、幅1cm、乾燥膜厚100μmの単膜を10分間シクロヘキサノン中で浸せきしたときの伸び率および乾燥膜厚100μmになるよう25μm厚の透明PETに塗設し、長さ5cm、幅2mmに断裁して、シクロヘキサノン中に浸せきした時のカール量も表1に示す。
【0103】比較例3実施例1の蛍光体層塗布液を以下のように調製した以外は、実施例1と同様に放射線像変換パネルを作製した。
【0104】蛍光体層形成材料として実施例1と同じユウロピウム付活弗化沃化バリウム蛍光体200g、ポリエステル樹脂(東洋紡バイロン530)25gをメチルエチルケトンとトルエン、シクロヘキサノンの混合溶媒に添加、プロペラミキサーによって分散し、固形分75%の塗布液を調製した。
【0105】作製した放射線像変換パネルの特性評価(感度、鮮鋭性)の結果は表1に示す。このときの下引き層の長さ5cm、幅1cm、乾燥膜厚100μmの単膜を10分間シクロヘキサノン中で浸せきしたときの伸び率および乾燥膜厚100μmになるよう25μm厚の透明PETに塗設し、長さ5cm、幅2mmに断裁して、シクロヘキサノン中に浸せきした時のカール量も表1に示す。
【0106】比較例4実施例1の下引き層塗布液を以下のように調製した以外は、実施例1と同様に放射線像変換パネルを作製した。
【0107】ポリエステル樹脂溶解品(東洋紡バイロン30SS:固形分30%)300gにメチルエチルケトン、トルエンを混ぜ、プロペラミキサーで分散して用意した。この下引き層塗布液を発泡PET、188E60L(東レ)に塗布、100℃で5分乾燥し、30μm厚の下引き層を形成した。
【0108】作製した放射線像変換パネルの特性評価(感度、鮮鋭性)の結果は表1に示す。このときの下引き層の長さ5cm、幅1cm、乾燥膜厚100μmの単膜を10分間シクロヘキサノン中で浸せきしたときの伸び率および乾燥膜厚100μmになるよう25μm厚の透明PETに塗設し、長さ5cm、幅2mmに断裁して、シクロヘキサノン中に浸せきした時のカール量も表1に示す。
【0109】比較例5実施例1の支持体に188X30(東レ)を用いた以外は、実施例1と同様に放射線像変換パネルを作製した。
【0110】ポリエステル樹脂溶解品(東洋紡バイロン30SS:固形分30%)300gにメチルエチルケトン、トルエンを混ぜ、プロペラミキサーで分散して用意した。この下引き層塗布液を発泡PET、188E60L(東レ)に塗布、100℃で5分乾燥し、30μm厚の下引き層を形成した。
【0111】作製した放射線像変換パネルの特性評価(感度、鮮鋭性)の結果は表1に示す。このときの下引き層の長さ5cm、幅1cm、乾燥膜厚100μmの単膜を10分間シクロヘキサノン中で浸せきしたときの伸び率および乾燥膜厚100μmになるよう25μm厚の透明PETに塗設し、長さ5cm、幅2mmに断裁して、シクロヘキサノン中に浸せきした時のカール量も表1に示す。
【0112】(放射線像変換パネルの特性評価)
感度の評価感度の測定は放射線像変換パネルに管電圧80kVpのX線を照射した後、パネルをHe−Neレーザー光(633nm)で操作して励起し、蛍光体層から放射される輝尽発光を受光器(分光感度S−5の光電子像倍管)で受光してその強度を測定することで行った。表中の感度は蛍光体面全体の平均値であり、試料1の感度を1とした場合の相対感度である。
【0113】鮮鋭性の評価鮮鋭性については、放射線像変換パネルに鉛製のMTFチャートを通して管電圧80kVpのX線を照射した後パネルHe−Neレーザー光で操作して励起し、蛍光体層から放射される輝尽発光を上記と同じ受光器で受光して電気信号に変換し、これをアナログ/デジタル変換して磁気テープに記録し、磁気テープをコンピューターで分析して磁気テープに記録されているX線像の変調伝達関数(MTF)を調べた。下記の表1には空間周波数2サイクル/mmにおけるMTF値(%)が示されている。この場合MTF値が高いほど鮮鋭性がよい。
【0114】
【表1】

【0115】表1から、本発明の放射線像変換パネルは、感度、鮮鋭性が優れていることが判る。
【0116】
【発明の効果】本発明により、感度、鮮鋭性が共に優れた放射線像変換パネルおよびその製造方法を提供することができた。
【出願人】 【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカ株式会社
【出願日】 平成13年3月16日(2001.3.16)
【代理人】
【公開番号】 特開2002−277590(P2002−277590A)
【公開日】 平成14年9月25日(2002.9.25)
【出願番号】 特願2001−75924(P2001−75924)