| 【発明の名称】 |
荷電粒子ビーム安定化装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】三田村 茂宏
【氏名】林 広司
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| 【要約】 |
【課題】荷電粒子源の経時変化に対して照射される荷電粒子ビームの変化を減少させ安定した荷電粒子ビームを得る。
【解決手段】荷電粒子源2からの荷電粒子ビームを偏向するビーム偏向器3と、荷電粒子ビームの照射位置の偏移に基づいて荷電粒子ビームの時間的変化を求める測定手段10と、荷電粒子ビームの時間的変化に基づいて、偏向器による荷電粒子ビームの偏移量を時間的に補正する補正量を算出する補正量算出手段12とを備えた構成とし、荷電粒子ビームの時間的変化を予測し、この予測に基づいて偏向器を駆動して荷電粒子ビームを制御することによって、荷電粒子ビームの経時変化による軸ずれを軸調整して安定化させる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 荷電粒子源からの荷電粒子ビームを偏向するビーム偏向器と、荷電粒子ビームの照射位置の偏移に基づいて荷電粒子ビームの時間的変化を求める測定手段と、前記荷電粒子ビームの時間的変化に基づいて、前記偏向器による荷電粒子ビームの偏移量を時間的に補正する補正量を算出する補正量算出手段とを備え、前記ビーム偏向器による荷電粒子ビームの制御は、荷電粒子ビームの時間的変化を求める測定モードと、前記補正量算出手段からの補正量に基づいて荷電粒子ビームを軸調整する軸調整モードとを切換えて行うことによって荷電粒子ビームを安定化させることを特徴とする荷電粒子ビーム安定化装置。 【請求項2】 前記測定モードは、荷電粒子ビームの出射方向を測定する第1の測定モードと、荷電粒子源の軸に対する位置を測定する第2の測定モードとを含み、前記補正量算出手段は、第1の測定モード及び又は第2の測定モードで得られる各測定モードの少なくとも2つの測定値に基づいて、荷電粒子ビームの時間的変化を補償する補正量を算出することを特徴とする、請求項1記載の荷電粒子ビーム安定化装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、電子顕微鏡、電子線マイクロアナライザー、電子線描画装置、イオンビーム加工装置等の半導体製造、バイオ関連装置等の荷電粒子ビームを用いて計測、観察、製造を行う装置に関し、特に、荷電粒子ビームを安定化する装置に関する。 【0002】 【従来の技術】電子顕微鏡、電子線マイクロアナライザー、電子線描画装置、イオンビーム加工装置等の半導体製造、バイオ関連装置等では、電子ビームやイオンビーム等の荷電粒子ビームを試料に照射することによって、試料の分析や観察、あるいは加工を行っている。このような荷電粒子ビームを用いる装置では、分析精度や加工精度を高めるために試料上の所定位置に荷電粒子ビームが照射されることが必要である。 【0003】一般に、荷電粒子源から試料側に向けて照射される荷電粒子ビームは、その出射方向が試料側に正確に向いているとは限らず、また、試料上における照射位置も所定位置に位置合わせされるとは限らない。そのため、荷電粒子ビームを荷電粒子源と試料とを結ぶ軸に対して軸調整することによって、荷電粒子ビームが試料上の所定位置を照射するように調整している。 【0004】従来、この軸調整は、荷電粒子源と試料の間(例えば、荷電粒子源とコンデンサレンズとの間)に設けたビーム軸調整用の偏向器を用いて、荷電粒子源からの荷電粒子ビームの出射方向と荷電粒子ビームの試料上の位置とを、各測定や各加工毎に観察することによって行っている。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】一般に、荷電粒子源は熱ドリフト等の原因によって、荷電粒子源から照射される荷電粒子ビームの照射方向及び照射位置が時間の経過と共に変化するため、安定な荷電粒子ビームが得ることができない。そのため、従来のように観察、分析、加工の初期時に軸調整を行う場合には、観察、分析、或いは加工中に荷電粒子ビームが軸ずれを起こすため、分析精度や加工精度が次第に低下するという問題がある。 【0006】観察、分析、あるいは加工の時間が短い場合には、荷電粒子ビームの軸ずれが大きくなる前に観察、分析、あるいは加工が終了するため、荷電粒子ビームの経時変化の影響はさほどのものとはならない。しかしながら、観察、分析、あるいは加工の時間が長い場合には、観察、分析、あるいは加工の途中で軸調整を行うことができないため、観察、分析、あるいは加工の初期段階において軸調整を行ったとしても、時間の経過と共に荷電粒子ビームが不安定となる。そのため、連続した観察、分析、あるいは加工中にわたって高い精度を維持することは困難となる。 【0007】そこで、本発明は前記した従来の問題点を解決し、安定した荷電粒子ビームを得ることができる荷電粒子ビーム安定化装置を提供することを目的とし、より詳細には、荷電粒子源の経時変化に対して照射される荷電粒子ビームの変化を減少させ安定した荷電粒子ビームとすることができる荷電粒子ビーム安定化装置を提供することを目的とする。 【0008】 【課題を解決するための手段】本発明は、荷電粒子ビームの時間的変化を予測し、この予測に基づいて偏向器を駆動して荷電粒子ビームを制御することによって、荷電粒子ビームの経時変化による軸ずれを軸調整して安定化させるものである。 【0009】本発明の荷電粒子ビーム安定化装置は、上記荷電粒子ビームの安定化のために、荷電粒子源からの荷電粒子ビームを偏向するビーム偏向器と、荷電粒子ビームの照射位置の偏移に基づいて荷電粒子ビームの時間的変化を求める測定手段と、荷電粒子ビームの時間的変化に基づいて、偏向器による荷電粒子ビームの偏移量を時間的に補正する補正量を算出する補正量算出手段とを備えた構成とする。 【0010】偏向器による荷電粒子ビームの制御は、荷電粒子ビームの時間的変化を求める測定モードと、補正量算出手段からの補正量に基づいて荷電粒子ビームを軸調整する軸調整モードとの2つのモードを切換えて行い、測定モードにおいて荷電粒子ビームの時間的変化を求めることにより荷電粒子ビームの時間的変化を予測し、軸調整モードにおいてこの予測した時間的変化を補償する補正量によって荷電粒子ビームを軸調整する。偏向器は、軸方向に配置した2段の偏向器で構成することができ、該各偏向器はコイル等による磁界偏向器あるいは電極による静電偏向器とすることができる。 【0011】補正量算出手段で算出する補正量は、荷電粒子ビームの経時変化を時間的に補償するものであるため、観察、分析、あるいは加工中に荷電粒子ビームが経時変化した場合であっても、該経時変化に応じて軸ずれを調整することができ、長時間の観察、分析、あるいは加工であっても安定した荷電粒子ビームを得ることができる。 【0012】測定モードは、荷電粒子ビームの出射方向による偏移を測定する第1の測定モードと、荷電粒子源の軸に対する位置変化による偏移を測定する第2の測定モードとを含む。第1の測定モードは、荷電粒子源から出射される荷電粒子ビームの出射方向が時間的に変化する状態を測定するものであり、第2の測定モードは、荷電粒子源が出射する荷電粒子ビームの出射位置が正常な軸位置に対して時間的に変化する状態を測定するものである。 【0013】荷電粒子ビームの照射位置の偏移は、走査信号によって偏向器で荷電粒子ビームを走査することで測定することができる。この走査において、偏向器の下流側に設けたコンデンサレンズを短い焦点位置とすることで第1の測定モードを行うことができ、またコンデンサレンズを長い焦点位置とすることで第2の測定モードを行うことができる。 【0014】補正量算出手段は、測定モードで求めた時間的変化を時間的に補償する補正量を算出するものであり、第1の測定モードと第2の測定モードの各測定モードにおいて、所定時間の間隔で求めた少なくとも2つの測定値に基づいて、荷電粒子ビームの時間的変化を補償する補正量を算出する。このとき、第1の測定モードと第2の測定モードの両測定モードで得た測定値を組み合わせて算出することも、あるいは何れか一方の測定モードで得た測定値を用いて算出することもできる。第1の測定モードと第2の測定モードの測定値を用いる場合には、例えば、各測定モードによる算出した補正量を加算することで偏向器を制御する補正量を求めることができる。また、補正量は、少なくとも2つの測定値を用いて直線近似により求めることも、あるいは少なくとも3つの測定値を用いて曲線近似により求めることもできる。 【0015】偏向器は、補正量算出手段で算出した補正量を用い、軸調整モードにおいて荷電粒子ビームを制御して軸調整を行う。 【0016】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、図を参照しながら詳細に説明する。図1は本発明の荷電粒子ビーム安定化装置の概要を説明するための概略図である。図1に示す荷電粒子ビーム安定化装置1は、軸9の一方側に荷電粒子源2を他方側に測定検出電極8とを備え、荷電粒子源2から測定検出電極8に向かって軸9に沿って荷電粒子ビームを偏向させるビーム偏向器3、荷電粒子ビームを収束させるコンデンサレンズ4及び収束アパーチャ6、荷電粒子ビームを通す対物レンズ5及び対物アパーチャ7を順に配置し、荷電粒子源2から出射された荷電粒子ビームの内で前記各部分を通過し荷電粒子ビームは、測定検出電極8において荷電粒子ビームの照射位置が検出される。なお、ビーム偏向器3は、軸9に沿って第1偏向器31と第2偏向器32の二段の偏向器で構成することができる。 【0017】また、荷電粒子ビーム安定化装置1は、前記符号2から符号8の各構成要素の他に、ビーム偏向器3による荷電粒子ビームの偏向量を制御する偏向器制御手段13、測定検出電極8からの検出電流等の測定値に基づいて荷電粒子ビームの位置ずれの程度を測定する測定手段10、該測定手段10で得た位置ずれ量に基づいてビーム偏向器3による偏向を補正するための補正量を算出する補正量算出手段12、荷電粒子ビームの位置ずれの程度を測定するために荷電粒子ビームを走査させる走査信号を形成する走査信号形成手段11、コンデンサレンズ4等の焦点距離を制御するレンズ制御手段14、及び測定手段10,走査信号形成手段11,補正量算出手段12,レンズ制御手段14を切換え制御する制御手段15を備える。 【0018】制御手段15は、測定モードと軸調整モードの2つのモード切換えを行う。測定モードでは、制御手段15は測定手段10、走査信号形成手段11、及びレンズ制御手段14を制御して測定動作を行わせる。走査信号形成手段11は走査信号を偏向器制御手段13に送り、ビーム偏向器3によって荷電粒子ビームをx、y方向に振らせると共に、レンズ制御手段14を制御してコンデンサレンズ4の焦点位置を制御する。これによって、荷電粒子ビームは測定検出電極8上を走査し、測定検出電極8からは荷電粒子ビームの位置ずれに応じた像信号が出力される。測定手段10は、この像信号に基づいて荷電粒子ビームの偏移を測定する。測定手段10は、この荷電粒子ビームの偏移を所定時間をあけて少なくとも2回測定することによって、荷電粒子ビームの偏移量の時間的変化を求める。 【0019】一方、軸調整モードでは、制御手段15は、測定モードで制御した測定手段10、走査信号形成手段11、及びレンズ制御手段14に代えて補正量算出手段12を制御し、軸調整動作を行わせる。補正量算出手段12は、測定手段10で測定した荷電粒子ビームの偏移量の時間的変化に基づき、この偏移を補償するために偏向器の制御に要する補正量を算出する。ビーム偏向器3の制御をビーム偏向器3に印加する電圧値で行う場合には、補正量を電圧値に変換して行う。したがって、補正量算出手段12は、偏移量の時間的変化から将来の偏移量の予想、該予想偏移量を補償する補償量を算出し、該補償量に対応する補正量の算出等の各算出処理を行う。なお、偏移量に対応する電圧値を求めた後に、予想、補償、補正量の各算出処理を行うこともできる。 【0020】本発明の荷電粒子ビーム安定化装置1を用いて試料を観察、分析、あるいは加工を行う場合には、図示しない偏向コイル(例えば、コンデンサレンズ4と対物レンズ5との間に配置した偏向コイル)を制御して荷電粒子ビームを偏向させ、図示しない観察手段で観察したり、検出器21からの検出信号を分析手段22で分析したり、あるいは、加工手段23によって加工を行う。 【0021】次に、本発明の荷電粒子ビーム安定化装置1による測定モードについて説明する。荷電粒子ビームは、荷電粒子源の経時変化に伴って、出射方向変化と荷電粒子源の軸に対する位置変化が生じる。 【0022】図2は、荷電粒子ビームの出射方向変化と荷電粒子源の軸に対する位置変化を説明するための概略図である。図2(a)は荷電粒子ビームの出射方向が変化した状態を示し、図2(b)は荷電粒子ビームの出射方向変化を補正した状態を示している。図2(a)に示すように、荷電粒子源から出射される荷電粒子ビームの出射方向(破線方向)が軸方向(一点鎖線)に正確に向いていない場合には、試料位置における荷電粒子ビームの照射位置に位置ずれが生じる。そこで、図2(b)に示すように、ビーム偏向器3によって荷電粒子源2から出射された荷電粒子ビームを偏向して補正することによって荷電粒子ビームの軸調整を行うことができる。 【0023】また、図2(c)は荷電粒子源の出射位置が変化した状態を示し、図2(d)は軸位置変化を補正した状態を示している。図2(c)に示すように、荷電粒子源から出射される荷電粒子ビームの出射位置(破線方向)が本来の軸方向(一点鎖線)から位置ずれしている場合には、試料位置における荷電粒子ビームの照射位置に位置ずれが生じる。そこで、図2(d)に示すように、ビーム偏向器3によって荷電粒子源2から出射された荷電粒子ビームを偏向して補正することによって荷電粒子ビームの軸調整を行うことができる。 【0024】ビーム偏向器3による荷電粒子ビームの補正は、偏向器31と偏向器32の2段の偏向器によって行うことができる。偏向器31による荷電粒子ビームの偏向量と偏向器32による荷電粒子ビームの偏向量の比率は、荷電粒子源2と偏向器31と偏向器32とコンデンサレンズ4における各距離によって定まる値であり、各偏向器31,32による荷電粒子ビームの偏向量は各偏向器に加える制御信号(例えば、各偏向器に印加する電圧値)に依存する。したがって、荷電粒子ビームの出射方向や荷電粒子源の出射位置のずれによって位置ずれが生じた荷電粒子ビームを補正する場合には、各偏向器31,32の偏向量を位置ずれ量に応じて設定することによって位置ずれを補償することができる。 【0025】次に、本発明の荷電粒子ビーム安定化装置の動作について、図3のフローチャート、図4の荷電粒子ビームの出射方向の偏移量を説明するための概略図、図5の荷電粒子ビームの出射位置の偏移量を説明するための概略図、及び図6の本発明の荷電粒子ビーム安定化装置による軸調整を説明するための概略図である。荷電粒子ビーム安定化装置は、荷電粒子ビームの位置ずれを測定する測定モードと、測定した位置ずれの時間的変化から算出した補正量を用いて補正を行う軸調整モードを備え、この軸調整を行うことによって荷電粒子源の経時変化による荷電粒子ビームの位置ずれを補正ながら、観察、分析、あるいは加工を行う。 【0026】測定モードは、この荷電粒子ビームの時間的変化を求めるものであり、荷電粒子源から出射される荷電粒子ビームの出射方向が時間的に変化する状態を測定する第1の測定モードと、荷電粒子源が出射する荷電粒子ビームの出射位置が正常な軸位置に対して時間的に変化する状態を測定する第2の測定モードを備える。 【0027】そこで、本発明の荷電粒子ビーム安定化装置は、図3のフローチャートに示すように、はじめに測定モードにおいて荷電粒子ビームの時間的変化を求めた後(ステップS1,2,3)、軸調整モードにおいて求めた荷電粒子ビームの時間的変化を用いて位置ずれの時間的変化を補正しながら(ステップS4,6,7)、観察、分析、あるいは加工を行う(ステップS5)。 【0028】ステップS1は、出射方向が時間的に変化する状態を測定する第1の測定モード(ステップS1a,1b)と、荷電粒子源が出射する荷電粒子ビームの出射位置が正常な軸位置に対して時間的に変化する状態を測定する第2の測定モード(ステップS1c,1d)を含み、所定時間をあけて複数回ステップS1を繰り返して(ステップS2,3)、第1,第2の測定モードの各測定モードにおいて荷電粒子ビームの時間的経過を求めるに十分な複数時刻のデータを求める。 【0029】第1の測定モードは、偏向器によって荷電粒子ビームを走査する工程(ステップS1a)と、出射方向の偏移量を測定する工程(ステップS1b)を含む。図4(a)は、出射方向がずれた状態を示しており、この状態の荷電粒子ビームに対して、偏向器31のx方向側に走査電圧V1x(図4(b))を印加しy方向側に走査電圧V1y(図4(c))を印加し、偏向器32のx方向側に走査電圧V2x(図4(d))を印加しy方向側に走査電圧V2y(図4(e))を印加する。ここで、走査電圧V1x,V1yの添字1は1段目の偏向器31に対する印加電圧であることを示し、走査電圧V2x,V2yの添字2は2段目の偏向器32に対する印加電圧であることを示している。なお、走査電圧V1x,V1yの波高値と走査電圧V2x,V2yの波高値との比率は、荷電粒子ビームが中心軸に戻るように、荷電粒子源2,偏向器31,偏向器32,コンデンサレンズ4の距離に応じて定める値である。 【0030】なお、図4(b)〜図4(e)では、y方向に走査する走査信号の周期をx方向に走査する走査信号の周期よりも長周期とし、x方向の一走査毎にy方向にずらして走査を繰り返すことによって、荷電粒子ビームの試料上での二次元的な位置ずれを測定している。 【0031】図4(f),図4(g)は、第1の測定モードにおいて所定時間の時間差で得られた荷電粒子ビームの位置ずれを示し、所定時間の間に生じた荷電粒子ビームの位置ずれの変化を示している。図4(f)は時刻aにおいてステップS1aの走査で得られる画像を模式的に示し、図4(g)は時刻aから所定時間経過後の時刻bにおいてステップS1aの走査で得られる画像を模式的に示している。各走査画像において、荷電粒子ビームの照射位置は領域で示される(図4(f),(g)では円形の領域で示している)。 【0032】そこで、ステップS1bの出射方向の偏移量を測定する工程では、走査画像に示される領域に基づいて荷電粒子ビームの照射位置を特定し、基準位置(例えば、走査画像の原点o)に対する照射位置の位置Pa(xa,ya),Pb(xb,yb)を求め、この位置Pa,Pbによって出射方向の偏移量を測定する。照射位置の位置Pa,Pbは、走査画像を画像処理することによって求めることも、あるいは、表示装置に表示した走査画像を観察することによって求めることもできる。 【0033】時刻aでの照射位置Pa(xa,ya)と時刻bでの照射位置,Pb(xb,yb)の位置の時間変化から、出射方向の偏移量の時間的変化Δx,Δyを求めることができる。Δx,Δyは、例えばそれぞれΔx=(xb−xa)/T …(1) Δy=(yb−ya)/T …(2) で表すことができる。なお、Tは所定の時間間隔である。 【0034】また、第2の測定モードは、偏向器によって荷電粒子ビームを走査する工程(ステップS1c)と、出射位置の偏移量を測定する工程(ステップS1d)を含む。図5(a)は、出射位置がずれた状態を示しており、この状態の荷電粒子ビームに対して、偏向器31のx方向側に走査電圧V1x´(図5(b))を印加しy方向側に走査電圧V1y´(図5(c))を印加し、偏向器32のx方向側に走査電圧V2x´(図5(d))を印加しy方向側に走査電圧V2y´(図5(e))を印加する。ここで、走査電圧V1x´,V1y´の添字1は1段目の偏向器31に対する印加電圧であることを示し、走査電圧V2x´,V2y´の添字2は2段目の偏向器32に対する印加電圧であることを示し、第2の測定モードであることを示している。なお、走査電圧V1x´,V1y´の波高値と走査電圧V2x´,V2y´の波高値との比率は、荷電粒子ビームが中心軸に戻るように、荷電粒子源2,偏向器31,偏向器32,コンデンサレンズ4の距離に応じて定める値である。 【0035】なお、図5(b)〜図5(e)では、y方向に走査する走査信号の周期をx方向に走査する走査信号の周期よりも長周期とし、x方向の一走査毎にy方向にずらして走査を繰り返すことによって、荷電粒子ビームの試料上での二次元的な位置ずれを測定している。 【0036】図5(f),図5(g)は、第2の測定モードにおいて所定時間の時間差で得られた荷電粒子ビームの位置ずれを示し、所定時間の間に生じた荷電粒子ビームの位置ずれの変化を示している。図5(f)は時刻aにおいてステップS1cの走査で得られる画像を模式的に示し、図5(g)は時刻aから所定時間経過後の時刻bにおいてステップS1cの走査で得られる画像を模式的に示している。各走査画像において、荷電粒子ビームの照射位置は領域で示される(図5(f),(g)では円形の領域で示している)。 【0037】そこで、ステップS1cの出射位置の偏移量を測定する工程では、走査画像に示される領域に基づいて荷電粒子ビームの照射位置を特定し、基準位置(例えば、走査画像の原点o)に対する照射位置の位置Pa´(xa´,ya´),Pb´(xb´,yb´)を求め、この位置Pa´,Pb´によって出射位置の偏移量を測定する。照射位置の位置Pa´,Pb´は、走査画像を画像処理することによって求めることも、あるいは、表示装置に表示した走査画像を観察することによって求めることもできる。 【0038】時刻aでの照射位置Pa´(xa´,ya´)と時刻bでの照射位置,Pb´(xb´,yb´)の位置の時間変化から、出射方向の偏移量の時間的変化Δx´,Δy´を求めることができる。Δx´,Δy´は、例えばそれぞれΔx´=(xb´−xa´)/T …(3) Δy´=(yb´−ya´)/T …(4) で表すことができる。なお、Tは所定の時間間隔である。 【0039】次の軸調整モードでは、前記測定モードで求めた出射方向の偏移量及び出射位置の偏移量の時間的変化に基づいて補正量を求め(ステップS4a)、この補正量を用いて偏向器による荷電粒子ビームの偏向量を補正する(ステップS4b)。 【0040】ステップS4aにおいて、補正量は偏移量の時間的変化から推定することで求めることができる。偏移量の時間的変化は、偏移量の時間的変化を直線近似、あるいは曲線近似によって推定することができ、図6(a)は直線近似によって推定する場合を示し、図6(b)は曲線近似によって推定することができる。なお、図6(a),(b)では、x方向の偏移量の時間的変化について示しているが、y方向の偏移量の時間的変化についても同様である。 【0041】図6(a)に示す直線近似では、少なくとも測定時刻(図の例では時間間隔Tとする)を異にする2測定点での偏移量x1,x2から、前記式(1),(3)と同様にして求めた時間的変化Δx/T(=(x2−x1)/T)を求め、時間的変化Δx/Tからx方向の偏移量を推定する直線近似関数fx(t)(図中の一点鎖線) fx(t)=(Δx/T)t …(5) を得ることができる。なお、測定点は2点に限らず、3点以上の測定点を用い直線近似することもできる。 【0042】また、図6(b)に示す曲線線近似では、少なくとも測定時刻(図の例では時間間隔Tとする)を異にする3測定点での偏移量x1,x2,x3を用いてx方向の偏移量を推定する曲線近似関数gx(t)(図中の一点鎖線)を得ることができる。なお、y方向の偏移量を推定する直線近似関数fy(t),曲線近似関数gy(t)についても同様にして求めることができる。 【0043】ステップS4bでは、ステップS4aで求めた時間的変化(Δx,Δy,Δx´,Δy´)あるいは近似関数f,gに基づいて、荷電粒子ビームの時間的変化を補償する補正量を求め、この補正量に基づいて偏向器による荷電粒子ビームの偏向量を制御する。例えば、偏移量の時間的変化が前記式(1)〜(4)で示される場合には、時刻tでの出射方向を補正する補正量αx,αyは、αx=−Δx・t …(6) αy=−Δy・t …(7) とすることができ、また、時刻tでの出射位置を補正する補正量αx´,αy´は、αx´=−Δx´・t …(8) αy´=−Δy´・t …(9) とすることができる。 【0044】また、偏移量の時間的変化が近似関数f,g(f´,g´)で表される場合には、この偏移量を補正する補正関数F,G(F´,G´)を求め、この補正関数F,G(F´,G´)を用いて、時刻tでの補正量αx,αyはαx=F(t) …(10) αy=G(t) …(11) とすることができる。なお、補正関数F,G(F´,G´)は、出射方向の時間的変化を直線近似あるいは曲線近似するx,y方向の関数fx,fy,gx,gy、出射位置の時間的変化を直線近似(あるいは曲線近似する)x,y方向の関数fx´,fy´(gx´,gy´)の各関数に対応して、補正関数Fx,Fy,Fx´,Fy´(Gx,Gy,Gx´,Gy´)を定めることができる。なお、補正関数は、偏移量の時間的変化の近似関数を求めることなく、偏移量から直接求めることもできる。 【0045】ステップS4bの工程において、ステップS4aで求めた補正量あるいは補正関数に基づいて偏向器を制御し、荷電粒子ビームの時間的変化を補償し、荷電粒子ビームによる観察、分析、あるいは加工を行う(ステップS5)。 【0046】補正量あるいは補正関数が変更し更新されるまでは(ステップS7)、ステップS4b,5を繰り返し、補正量あるいは補正関数が変更し更新する場合には(ステップS7)、ステップS1に戻って新たな偏移量の測定及び補正量あるいは補正関数の算出を行い、新たな補正量あるいは補正関数によって偏向器の偏向量を制御する。図6(c)は、偏移量の測定と該測定で求めた補正量に基づく偏向器制御を繰り返す例を示している。図6(c)に示す例では、時間間隔a1の測定と次の時間間隔A1の補正関数h1(t)による補正を行い、次に時間間隔a2と次の時間間隔A2の補正関数h2(t)による補正を行い、以下、同様に測定と補正を繰り返す。補正量の更新は、所定間隔毎に行うことも、あるいは各更新時の変化量の変化から所定変化量を超える時間間隔を推定して行うこともできる。 【0047】本発明の実施態様によれば、偏向器による荷電粒子ビームの調整を、荷電粒子ビームの時間的変化から推定して行うため、観察中、分析中、あるいは加工中における荷電粒子ビームの時間的変化による誤差を補正することができる。 【0048】 【発明の効果】以上説明したように、本発明の荷電粒子ビーム安定化装置によれば、安定した荷電粒子ビームを得ることができ、また、荷電粒子源の経時変化に対して照射される荷電粒子ビームの変化を減少させ安定した荷電粒子ビームとすることができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000001993 【氏名又は名称】株式会社島津製作所
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| 【出願日】 |
平成13年3月1日(2001.3.1) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100101915 【弁理士】 【氏名又は名称】塩野入 章夫
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| 【公開番号】 |
特開2002−257997(P2002−257997A) |
| 【公開日】 |
平成14年9月11日(2002.9.11) |
| 【出願番号】 |
特願2001−56560(P2001−56560) |
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