| 【発明の名称】 |
電子ビーム処理装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】山口 真典
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| 【要約】 |
【課題】複数の電子ビーム管から照射される電子ビームを良好に重なり合わせて、被処理物の処理領域全体の吸収線量が所定の分布状態になるようにすることにより、被処理物を動かさなくても、被処理物の処理領域全体を一括処理することができる電子ビーム処理装置を提供することにある。
【解決手段】本発明の電子ビーム処理装置は、複数の電子ビーム管1が、被処理物Wを処理するための処理室2に、電子ビーム出射窓15が露出するように配置された電子ビーム処理装置であって、各々の電子ビーム管1は、被処理物Wの処理領域全体の吸収線量が所定の分布状態になるように配置されていることを特徴とする。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 真空容器の内部に電子ビーム発生器が設けられ前面に電子ビーム発生器より発生した電子ビームが透過する電子ビーム出射窓が形成された複数の電子ビーム管が、被処理物を処理するための処理室に、電子ビーム出射窓が露出するように配置された電子ビーム処理装置であって、前記各々の電子ビーム管は、被処理物の処理領域全体の吸収線量が所定の分布状態になるように配置されていることを特徴とする電子ビーム処理装置。 【請求項2】 前記処理室が圧力調整機構によって減圧されていることを特徴とする請求項1に記載の電子ビーム処理装置。 【請求項3】 前記処理室には被処理物を載置するための載置台が設けられており、当該載置台は、前記電子ビーム出射窓との離間距離を可変することができることを特徴とする請求項1または請求項2のいずれか一項に記載の電子ビーム処理装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明が属する技術分野】本発明は、表面改質、薄膜形成、電子線硬化、ドライ洗浄等のプロセスに利用される電子ビーム処理装置に関するものである。 【0002】 【従来の技術】例えば、電子線照射技術は、その高い電子エネルギーを利用し、比較的被処理物の深いところまで電子を侵入させて処理を行なうことができ、この特徴を活かした薄膜硬化技術が知られている。例えば、特表平8−510864号では、電子ビーム管を直線状あるいは千鳥状に配列し、複数の電子ビーム管から照射される電子ビームは全体的に直線状になるように重なり合っており、この直線状の電子ビームによって被処理物を電子ビームによって処理するものである。 【0003】このような装置の場合、電子ビーム全体が直線状であるために、被処理物の処理領域全体を処理するためには、被処理物を電子ビーム管に対して移動させる必要がある。特表平8−510864号では、被処理物は搬送系である回転ローラを用いて移動させられるものである。 【0004】また、搬送系が電子ビーム管の直下にあるため、電子ビームの照射雰囲気の制御が非常に困難なものであり、通常は空気中(大気中)で、被処理物に対して電子ビームが照射されるものである。 【0005】近年、SOG膜硬化技術が発達してきており、この技術により形成した膜を半導体等の層間絶縁膜として利用するようになってきている。従来、SOG膜の製造方法は、スピンコータでシリコンウエハ上に膜となる膜用液体物質を塗布し、400〜450℃で約1時間加熱することにより膜を生成するものであった。 【発明が解決しようとする課題】 【0006】しかし、加熱だけでは膜の硬化に1時間程度もかかり、スループットの向上には、硬化時間を短くする必要があった。そこで、高いエネルギーを有する電子ビームを、シリコンウエハ上の膜用液体物質、又は、予め約200℃で加熱された膜用液体物質に照射し、内部から膜用液体物質を硬化させると短時間で膜が硬化し、所望の膜質が得られることを発見した。 【0007】しかし、前述したように、複数の電子ビーム管を直線的または千鳥状に配列した装置では、電子ビームが全体的に広がらず直線状になるので、膜用液体物質を塗布したシリコンウエハを電子ビーム管に対して移動させなければならず、移動の際、搬送系から汚染粒子が発生すると膜用液体物質が汚染され、SOG膜に不良が発生する問題があった。 【0008】さらに、電子ビーム照射と同時に膜用液体物質を塗布したシリコンウエハを加熱すると、相乗効果が顕著に現れ、極めて短時間で膜を硬化することができることを発見した。この場合、シリコンウエハを加熱しながら移動させる機構は極めて複雑であり、また、加熱源からの汚染粒子の発生もあり、SOG膜の不良率が上がってしまうという問題があった。 【0009】本発明の目的は、上記の種々の問題に鑑みて、複数の電子ビーム管から照射される電子ビームを良好に重なり合わせて、被処理物の処理領域全体の吸収線量が所定の分布状態になるようにすることにより、被処理物を動かさなくても、被処理物の処理領域全体を一括処理することができる電子ビーム処理装置を提供することにある。 【0010】 【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、請求項1に記載の電子ビーム処理装置は、真空容器の内部に電子ビーム発生器が設けられ前面に電子ビーム発生器より発生した電子ビームが透過する電子ビーム出射窓が形成された複数の電子ビーム管が、被処理物を処理するための処理室に、電子ビーム出射窓が露出するように配置された電子ビーム処理装置であって、前記各々の電子ビーム管は、被処理物の処理領域全体の吸収線量が所定の分布状態になるように配置されていることを特徴とする。 【0011】請求項2に記載の電子ビーム処理装置は、請求項1に記載の電子ビーム処理装置であって、特に、前記処理室が圧力調整機構によって減圧されていることを特徴とする。 【0012】請求項3に記載の電子ビーム処理装置は、請求項1または請求項2のいずれか一項に記載の電子ビーム処理装置であって、特に、前記処理室には被処理物を載置するための載置台が設けられており、当該載置台は、前記電子ビーム出射窓との離間距離を可変することができることを特徴とする。 【0013】 【発明の実施の形態】図1は、本発明の電子ビーム処理装置に用いられる電子ビーム管の説明図である。電子ビーム管1は、ガラスよりなる真空容器11と、この真空容器11内に設けられた電子ビーム発生器12を有するものである。 【0014】電子ビーム発生器12は、フィラメント121とグリッド122を有し、フィラメント121とグリッド122には、端子13を介して直流高電圧電源から例えば5〜70kVの高電圧が印加されている。また、フィラメント121には端子13を介して、別のフィラメント電源から電流が供給されることによりフィラメントが加熱され、熱電子を放出する。放出された電子はグリッド122によって生じる電界によりビーム形状に整えられる。 【0015】真空容器11の一端側にはシリコン製の蓋部材14が設けられており、この蓋部材14は、電子ビームが通過するスリット141が形成されている。このスリット141前方には、スリット141を気密に覆うようにシリコンよりなる薄膜状の電子ビーム出射窓15が形成されており、電子ビーム発生器12から発生した電子ビームが、この電子ビーム出射窓15を透過し、電子ビーム管1の外に照射される。 【0016】図2は、蓋部材14の正面図である、蓋部材14には直線状にスリット141が5個設けられており、それぞれのスリット141の間には橋部141aが形成されている。そして、全てのスリット141を覆うように、便宜上点線で示す外径長方形状の電子ビーム出射窓15が形成されている。 【0017】この電子ビーム出射窓15は、シリコン又はシリコン化合物を主としたものよりなり、電子ビーム発生器12から発生した電子ビームを良好に透過するように厚みが0.3〜3μmである。このように電子ビーム出射窓15は、厚みが0.3〜3μmと非常に薄いためスリット141の面積が大きくなると電子ビーム照射窓15が電子線の通過或いは電子ビーム出射窓15に加わる応力のために破れる可能性があり、これを防止するために、前述したようにと各スリット141の面積を小さくし、それぞれのスリット141の間には橋部141aを設け、電子ビーム出射窓15の破れを防止するものである。なお、スリット141が直線状に並んでいる理由は、電子ビームが略均一にそれぞれのスリット141にかかるようにするためである。 【0018】図3は、本発明の電子ビーム処理装置の説明図である。電子ビーム管1は、前述した真空容器11の一端側に形成された蓋部材14が処理室2の上壁21に密閉固定され、電子ビーム出射窓15が処理室2に露出している。被処理物Wは、処理室2内に設けられた載置台3に載置され、電子ビーム出射窓15と対向するように配置されている。なお、載置台3は、電子ビーム管1の電子ビーム出射窓15と被処理物Wとの離間距離を変えることができるものである。 【0019】また、処理室2には、処理室2内を減圧にするための排気口40とこの排気口40に続く排気管41が設けられ、これらからなる排気系4を備えている。排気系4を設ける理由は、電子ビーム出射窓15を透過した電子ビームは、処理室2内の空間を通過して被処理物Wに照射される。この時、処理室2内の圧力によって、電子ビームの広がりや到達距離が決まり、所望の電子ビームの広がりや到達距離を出すために排気管41を通して処理室2内の内圧を制御するものである。 【0020】また、処理室2には、処理室2内に被処理物Wの所望の反応以外の反応が起こらないようにするための窒素などの抑制ガスや、処理室2内で紫外線を発生させるなどの所望の反応を起こさせるためのアルゴンなどのガスを導入するするガス導入口50と、このガス導入口50に続く導入管51が設けられ、これからなるガス導入系5を備えている。例えば、排気系4により、処理室2内を所望の減圧状態にして、次に、ガス導入系5により、窒素ガスを処理室2内に導入し、処理室2内を窒素ガス充填し、減圧状態にするものである。つまり、処理室2には排気系4とガス導入系5からなる圧力調整機構Kが設けられ、この圧力調整機構Kにより、処理室2内のガス種や減圧状態を決定し、電子ビームの広がりや到達距離を調整するものである。 【0021】図4は、本発明の電子ビーム処理装置の電子ビーム管の配置状態を説明する説明図であり、図3の被処理物W側から各々の電子ビーム管の配置状態を示すものであり、それぞれの電子ビーム管1の蓋部材14と電子ビーム出射窓15が描かれており電子ビーム管の配置状態と円形の被処理物との関係がわかるように被処理部物Wも合わせて描いた説明図である。 【0022】図4では、各電子ビーム管の蓋部材14は、中心の電子ビーム管aの電子ビーム出射窓15の中心点P1を中心に、60°の間隔をもって他の電子ビーム管の電子ビーム出射窓15の中心点P2、P3、P4が同心円上に位置するように配置されており、隣り合う電子ビーム出射窓15の中心点P1、P2、P3、P4との離間距離が全て60mmになるように配置されている。 【0023】具体的に、各電子ビーム管1は、中心の電子ビーム管aの電子ビーム出射窓15の中心点P1を中心として、この中心点P1から電子ビーム出射窓15の中心P2が60mm離間し、かつ、中心点P1を中心に60°の間隔を保った位置に電子ビーム出射窓15の中心P2が位置する6つの電子ビーム管bと、中心の電子ビーム管aの電子ビーム出射窓15の中心点P1を中心として、この中心点P1から電子ビーム出射窓15の中心P3が104mm離間し、かつ、中心点P1を中心に60°の間隔を保った位置に電子ビーム出射窓15の中心P3が位置する6つの電子ビーム管cと、中心の電子ビーム管aの電子ビーム出射窓15の中心点P1を中心として、この中心点P1から電子ビーム出射窓15の中心P4が120mm離間し、かつ、中心点P1を中心に60°の間隔を保った位置に電子ビーム出射窓15の中心P4が位置する6つの電子ビーム管dとなるように、合計19個の電子ビーム管1が配置されている。 【0024】このように、電子ビーム管aを中心として、同心円状に、電子ビーム管b、c、dが配置されている。そして、電子ビーム管aの出力は45μAであり、電子ビーム管bの出力は50μAであり、電子ビーム管cの出力は60μAであり、電子ビーム管dの出力は65μAであり、中心の電子ビーム管aから離れるにしたがって、それぞれの電子ビーム管の出力が大きくなっている。 【0025】つまり、中心の電子ビーム管aの周りには複数の電子ビーム管が存在することになり、この電子ビーム管aの直下の被処理物上には周囲の電子ビーム管b、電子ビーム管c、電子ビーム管dからの電子ビームの一部が照射されるので、電子ビーム管aの出力を抑え、反対に、最外位置に存在する電子ビーム管dの周りには一部他の電子ビーム管が存在し、一部他の電子ビーム管が存在していないので、図4中、一番上方の電子ビーム管dは、図中、下方には電子ビーム管b、cが存在し、上方には電子ビーム管が存在していないでの、電子ビーム管dの直下の被処理物上では電子ビーム管aの直下の電子ビームの量に比べ少なくなるので電子ビーム管dの出力を上げている。 【0026】つまり、この実施例においては、全ての電子ビーム管の離間距離が等しいという条件下において、電子ビーム管aの出力を45μA、電子ビーム管bの出力を50μA、電子ビーム管cの出力を60μA、電子ビーム管dの出力を65μAというように被処理物の処理領域全体の吸収線量が均一になるように、各電子ビーム管から照射される照射電子線量を規定するものである。 【0027】この結果、被処理物W上の処理領域全体の吸収線量を均一にでき被処理物Wを移動させることなく均一に一括処理することができる。なお、処理室2内の圧力状態或いは被処理物Wと電子ビーム管1の電子ビーム出射窓15との離間距離によっては、各々の電子ビーム管1から照射される照射線量が全て等しい場合もある。このような電子ビーム管の配置状態は、被処理物の処理領域が円形のものに適している。また、各々の電子ビーム管から照射される照射電子線量は、周囲の他の電子ビーム管から照射される照射電子線量及び周囲の他の電子ビーム管との離間距離や電子ビーム管の個数、あるいは処理室内壁との間隔などを考慮して、被処理物の処理領域全体の吸収線量が所定の分布状態になるように設定されている。 【0028】図5は、図4と同様に、それぞれの電子ビーム管1の蓋部材14と電子ビーム出射窓15が描かれており電子ビーム管の配置状態と四角形の被処理物との関係がわかるように被処理部物Wも合わせて描いた説明図である。図5では、電子ビーム管aは、電子ビーム出射窓15の中心点P1を中心にこの電子ビーム管aを囲むように60°の間隔をもって隣接するように他の電子ビーム管(b,c,d)が6つ配置されている。電子ビーム管bは、電子ビーム出射窓15の中心P2を中心にこの電子ビーム管bを囲むように60°の間隔をもって隣接するように他の電子ビーム管(a,d)が5つ配置されている。電子ビーム管cは、電子ビーム出射窓15の中心P3を中心にこの電子ビーム管cを囲むように60°の間隔をもって隣接するように他の電子ビーム管(a,d)が4つ配置されている。電子ビーム管dは、配置されている場所によって異なるが電子ビーム出射窓15の中心P4を中心にこの電子ビーム管dを囲むように60°の間隔をもって隣接するように他の電子ビーム管(a,b,c,d)が3つ配置されている。また、隣り合う電子ビーム出射窓15の中心点P1、P2、P3、P4との離間距離が全て60mmになるように配置されている。 【0029】そして、電子ビーム管aの出力は50μAであり、電子ビーム管bの出力は55μAであり、電子ビーム管cの出力は60μAであり、電子ビーム管dの出力は65μAである。 【0030】つまり、電子ビーム管は、その電子ビーム管の周りに隣接する他の電子ビーム管から照射される照射電子線量や他の電子ビーム管との離間距離を考慮して、出力が調整され、具体的には、電子ビーム管aは、その電子ビーム管aの周りに6つ存在することにより、電子ビーム管aの直下の被処理物上には周りの電子ビーム管からの電子ビームの一部が照射されるので電子ビーム管aの出力を抑え、電子ビーム管dは、その電子ビーム管dの周りに隣接する電子ビーム管が3つしか存在しないで、電子ビーム管dの直下の被処理物上では電子ビーム管aの直下の電子ビーム量に比べ少なくなるので電子ビーム管dの出力を上げている。 【0031】つまり、この実施例においては、全ての電子ビーム管の離間距離が等しいという条件下において、電子ビーム管aの出力を50μA、電子ビーム管bの出力を55μA、電子ビーム管cの出力を60μA、電子ビーム管dの出力を65μAというように被処理物の処理領域全体の吸収線量が均一になるように、各電子ビーム管から照射される照射電子線量を規定するものである。 【0032】この結果、被処理物W上の処理領域全体の吸収線量が均一になり被処理物Wを移動させることなく均一に一括処理することができる。なお、処理室2内の圧力状態或いは被処理物Wと電子ビーム管1の電子ビーム出射窓15との離間距離によっては、各々の電子ビーム管1から照射される照射線量が全て等しい場合もある。このような電子ビーム管の配置状態は、被処理物の処理領域が四角形のものに適している。また、各々の電子ビーム管から照射される照射電子線量は、周囲の他の電子ビーム管から照射される照射電子線量及び周囲の他の電子ビーム管との離間距離や電子ビーム管の個数、あるいは処理室内壁との間隔などを考慮して、被処理物の処理領域全体の吸収線量が所定の分布状態になるように設定されている。 【0033】次に、図3に示す本発明の電子ビーム処理装置を用いて電子処理を行う技術について説明する。なお、この装置の電子ビーム管の配置状態は、図4で示す電子ビーム管の配置状態と同じである。処理室2内は、十分に排気系4により排気した後、ガス導入系5より窒素ガスを導入し、内圧が5Torrとなるようにした。そして、図3に示す各電子ビーム管1の電子ビーム出射窓15と載置台3のシリコンウエハである被処理物Wとの離間距離を60mmに設定した。 【0034】電子ビーム管は、図4に示すようにそれぞれの電子ビーム管の離間距離が60mmであり、電子ビーム管a、電子ビーム管b、電子ビーム管c、電子ビーム管dは、全て電子ビーム出射窓15が厚み3μmのシリコンで、加速電圧が25kVで、50μAの出力を有するものである。 【0035】そして、被処理物W上に厚み20μm、直径200mmの円形の電子線量測定シートであるEB感光フィルムを貼り、このEB感光フィルムに向けてすべての電子ビーム管から電子ビームを70秒照射した。この時の、EB感光フィルム上での吸収線量は14μC/cm2であった。 【0036】そして、EB感光フィルムの感光度合いから処理領域全領体の最大吸収線量値と最小吸収線量値を実測し、以下の評価式を用いて処理領域全体の吸収線量の振幅度を判定し、この振幅度を用いて均一性を評価した。なお、下記の評価式より、振幅度が0に近づくほど均一性が高くなるものである。 【0037】 【数1】
【0038】均一性を表す振幅度は、7%であり、被処理物にほぼ均一に電子ビームが照射されていることがわかる。 【0039】一方、上記の電子ビーム処理装置において、処理室2内の圧力のみ大気圧状態にした場合、電子ビームは、電子ビーム出射窓15の前方6mmまでしか到達せず、電子ビーム照射窓15から60mm離れた被処理物Wまでは電子が到達せず、被処理物を処理することができなかった。 【0040】従って、処理室2内を5Torrの窒素減圧状態にし、電子ビーム管1の電子ビーム出射窓15と被処理物Wの離間距離を60mmとし、各電子ビーム管の配置状態と出力を前述した通りにすることにより、被処理物W上の処理領域全体の吸収線量が均一になり被処理物Wを均一に一括処理することができる。 【0041】次に、図3に示す本発明の電子ビーム処理装置を用いて電子処理を行う他の例について説明する。なお、この装置の電子ビーム管の配置状態は、図4に示すようにそれぞれの電子ビーム管の離間距離が60mmであり、電子ビーム管a、電子ビーム管b、電子ビーム管c、電子ビーム管dは、全て電子ビーム出射窓15が厚み3μmのシリコンで、加速電圧が40kVで、50μAの出力を有するものである。処理室2内は、十分に排気系4により排気した後、ガス導入系5より窒素ガスを導入し、内圧が5Torrとなるようにした。そして、図3に示す各電子ビーム管1の電子ビーム出射窓15と載置台3との距離を2通りに設定した。つまり、シリコンウエハである被処理物Wとの離間距離を60mmと75mmに設定した。 【0042】そして、被処理物W上に厚み20μm、直径200mmの円形の電子線量測定シートであるEB感光フィルムを貼り、このEB感光フィルムに向けてすべての電子ビーム管から電子ビームを25秒照射した。この時の吸収線量は、電子ビーム出射窓15と被処理物Wとの離間距離が60mmの場合EB感光フィルム上で26μC/cm2であり、電子ビーム出射窓15と被処理物Wとの離間距離が75mmの場合EB感光フィルム上で20μC/cm2であった。 【0043】そして、前述した測定方法によって、EB感光フィルムの感度度合いを測定することにより被処理物上での電子ビームの振幅度を測定した。結果は、電子ビーム出射窓と被処理物との離間距離が60mmの場合、均一性を示す振幅度は10%であり、電子ビーム出射窓と被処理物との離間距離が75mmの場合、均一性を示す振幅度は6.5%であった。 【0044】この結果から、加速電圧が40kVという高い加速電圧では、電子ビーム出射窓から照射される電子ビームの広がりが狭く、電子ビーム出射窓と被処理物との離間距離が60mmと接近している場合は、他の電子ビーム管から照射される電子ビームの重なりが不十分であるため被処理物上の処理領域全体の吸収線量が均一にならず、電子ビーム出射窓と被処理物との離間距離を75mmと離した場合には、他の電子ビーム管から照射される電子ビームの重なりが最適状態となるため被処理物上の処理領域全体の吸収線量が均一になることがわかる。 【0045】この結果からわかるように、処理室内の圧力や加速電圧の大きさなど電子ビームの照射条件によって、電子ビーム管の電子ビーム出射窓と被処理物との離間距離を変えることにより、被処理物上の処理領域全体の吸収線量の均一性を高めることができる。 【0046】なお、均一性に一定の許容範囲がある場合は、被処理物を電子ビームで処理する時に、電子ビーム管の電子ビーム出射窓と被処理物との離間距離を変えて、被処理物に浸透する電子ビームの深さを調整することができる。具体的には、SOG膜の硬化処理工程において、始めは、シリコンウエハ上に塗布されたSOG膜用液体物質の表面を硬化させるために、電子ビーム出射窓と被処理物との離間距離を一定に保っておき、SOG膜用液体物質の表面が硬化した段階で、電子ビーム出射窓と被処理物との離間距離を縮め電子ビームがSOG膜用液体物質の内部深くまで到達するようにして内部を硬化させることもできる。 【0047】次に、図3に示す本発明の電子ビーム処理装置を用いて電子処理を行う他の例について説明する。なお、この装置の電子ビーム管の配置状態は、図4に示すようにそれぞれの電子ビーム管の離間距離が60mmであり、電子ビーム管aの出力は45μA、電子ビーム管bの出力は50μA、電子ビーム管cの出力は60μA、電子ビーム管dの出力は65μAであり、全て電子ビーム出射窓15が厚み3μmのシリコンで、加速電圧が25kVである。処理室2内は、十分に排気系4により排気した後、ガス導入系5より窒素ガスを導入し、内圧が5Torrとなるようにした。そして、図3に示す各電子ビーム管1の電子ビーム出射窓15と載置台3のシリコンウエハである被処理物Wとの離間距離を60mmに設定した。 【0048】そして、前述した測定方法によって、EB感光フィルムの感光度合いを測定することにより処理領域全体の吸収線量の振幅度を測定した。均一性を表す振幅度は、5.5%であり、処理室内で極めて良好に電子ビームが重なり合っており、被処理物W上の処理領域全体の吸収線量が極めて均一になり、被処理物を電子ビームによって均一処理できることがわかる。 【0049】つまり、図4に示すように、被処理物上の処理領域全体の吸収線量が極めて均一になるように、各電子ビーム管の離間距離を一定にし、電子ビーム管aを中心として、同心円状に、電子ビーム管b、その外側に電子ビーム管c、その外側に電子ビーム管dとなるように各電子ビーム管を配置し、外側の電子ビーム管にいくにつれて電子ビーム管からの出力値を上げることにより、処理室内で極めて良好に電子ビームが重なり合って被処理物を電子ビームによって均一処理できることがわかる。なお、被処理物の種類、処理方法によっては、被処理物上の処理領域全体の吸収線量の振幅度の許容範囲は変化するものであり、この振幅度の許容範囲を超えないように電子ビーム出射窓15と載置台3上の被処理物Wとの離間距離を小さくすることによって、最大の照射速度を得て、最適な照射条件を得ることができるものである。なお、被処理物が小さい場合においては、載置台3上に複数並べて一括処理することもできる。 【0050】 【発明の効果】以上説明したように、本発明の電子ビーム照射装置によれば、各々の電子ビーム管から照射される照射電子線量は、周囲の他の電子ビーム管から照射される照射電子線量及び周囲の他の電子ビーム管との離間距離を考慮して、被処理物の処理領域全体の吸収線量が所定の分布状態になるように配置されているので、所定の分布状態が均一な状態の場合、被処理物の処理領域全体の吸収線量が均一になり、被処理物を動かさなくても、被処理物の処理領域全体を均一に一括処理することができる。 【0051】さらに、処理室が圧力調整機構によって減圧されているので、複数の電子ビーム管から照射される電子ビームを最適に重ね合わせて、電子ビーム全体をより均一に面状にすることができる。 【0052】さらに、電子ビーム管の電子ビーム出射窓と被処理物との離間距離を変えて、被処理物に浸透する電子ビームの深さや、被処理物上での電子ビームの均一度を調整することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000102212 【氏名又は名称】ウシオ電機株式会社
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| 【出願日】 |
平成12年12月14日(2000.12.14) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2002−182000(P2002−182000A) |
| 【公開日】 |
平成14年6月26日(2002.6.26) |
| 【出願番号】 |
特願2000−379679(P2000−379679) |
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