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【発明の名称】 放射線像変換パネルおよび放射線画像情報読取方法
【発明者】 【氏名】細井 雄一

【要約】 【課題】輝尽発光光の集光効率が向上した放射線像変換パネル、および高速かつ高感度であって、高画質の放射線画像が得られる放射線画像情報読取方法を提供する。

【解決手段】支持体上に気相堆積法により形成された蛍光体層を有する放射線像変換パネルであって、蛍光体層が一定方向に配向した蛍光体の柱状結晶からなり、かつ個々の柱状結晶の片側端部が凸型の形状を有していることを特徴とする放射線像変換パネル、並びに、このパネルの蛍光体の柱状結晶の配向方向に略平行に励起光を照射し、かつ配向方向の略延長上で、凸状の端部側にラインセンサを配置して輝尽発光光を受光することを特徴とする放射線画像情報読取方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 支持体上に、気相堆積法により形成された蛍光体層を有する放射線像変換パネルにおいて、該蛍光体層が一定方向に配向した蛍光体の柱状結晶からなり、かつ個々の柱状結晶の片側端部が凸型の形状を有していることを特徴とする放射線像変換パネル。
【請求項2】 柱状結晶の支持体とは反対側の端部が凸型の形状を有している請求項1に記載の放射線像変換パネル。
【請求項3】 支持体が透明支持体であり、そして柱状結晶の支持体側の端部が凸型の形状を有している請求項1に記載の放射線像変換パネル。
【請求項4】 柱状結晶の凸型形状端部が球面状である請求項1乃至3のうちのいずれかの項に記載の放射線像変換パネル。
【請求項5】 蛍光体の柱状結晶が支持体に垂直に配向している請求項1乃至4のうちのいずれかの項に記載の放射線像変換パネル。
【請求項6】 蛍光体層が、支持体上に蛍光体もしくはその原料を電子線により蒸着させ、そして蒸着終了時に該電子線の出力を徐々に小さくすることにより形成されたものである請求項1または2に記載の放射線像変換パネル。
【請求項7】 蛍光体が輝尽性蛍光体である請求項1乃至6のうちのいずれかの項に記載の放射線像変換パネル。
【請求項8】 請求項2に記載の放射線像変換パネルであって放射線画像情報が蓄積記録された放射線像変換パネル、および/または該パネルの蛍光体の柱状結晶の配向方向の略延長上に配置された、複数の光電変換素子を線状に配してなるラインセンサを、ラインセンサの移動が該パネルに対して平面方向となるような方向にて相対的に移動させながら、該パネルの表面の一部に励起光を該移動方向と異なる方向に線状に、かつ該パネルの蛍光体の柱状結晶の配向方向に略平行な方向に照射し、該パネルの励起光照射部分から発せられる輝尽発光光を該ラインセンサを用いて一次元的に受光して光電変換を行い、そして該ラインセンサからの出力を該パネルおよび/またはラインセンサの移動に応じて順次読み取って、放射線画像情報を電気的画像信号として得ることからなる放射線画像情報読取方法。
【請求項9】 放射線像変換パネルが蛍光体の柱状結晶が支持体に垂直に配向した構成をもち、励起光を該パネルに略垂直に照射し、そしてラインセンサを該パネルの励起光照射部分の真上に配置して、該パネルから略垂直方向に出射する輝尽発光光を受光する請求項8に記載の放射線画像情報読取方法。
【請求項10】 請求項3に記載の放射線像変換パネルであって、放射線画像情報が蓄積記録された放射線像変換パネル、および/または該パネルの蛍光体の柱状結晶の配向方向の略延長上に配置された、複数の光電変換素子を線状に配してなるラインセンサを、ラインセンサの移動が該パネルに対して平面方向となるような方向にて相対的に移動させながら、該パネルの表面の一部に励起光を該移動方向と異なる方向に線状に、かつ該パネルの蛍光体の柱状結晶の配向方向に略平行に照射し、該パネルの励起光照射部分の裏面から発せられる輝尽発光光を該ラインセンサを用いて一次元的に受光して光電変換を行い、そして該ラインセンサからの出力を該パネルおよび/またはラインセンサの移動に応じて順次読み取って、放射線画像情報を電気的画像信号として得ることからなる放射線画像情報読取方法。
【請求項11】 放射線像変換パネルが蛍光体の柱状結晶が支持体に垂直に配向した構成を持ち、励起光を該パネルに略垂直に照射し、そしてラインセンサを該パネルの励起光照射部分の真下に配置して、該パネルから略垂直方向に出射する輝尽発光光を受光する請求項10に記載の放射線画像情報読取方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、輝尽性蛍光体の輝尽発光を利用する放射線画像記録再生方法に用いられる放射線像変換パネル及び該放射線像変換パネルを用いる放射線画像情報読取方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】X線などの放射線が照射されると、放射線エネルギーの一部を吸収蓄積し、そののち可視光線や赤外線などの電磁波(励起光)の照射を受けて、蓄積した放射線エネルギーのレベルに応じて輝尽発光を示す性質を有する輝尽性蛍光体(蓄積性蛍光体)を利用して、この輝尽性蛍光体を含有するシート状の放射線像変換パネルに、被写体を透過したあるいは被検体から発せられた放射線を照射して被写体または被検体の放射線画像情報を一旦蓄積記録した後、パネルにレーザ光などの励起光を走査して順次輝尽発光光として放出させ、そしてこの輝尽発光光を光電的に読み取って画像信号を得ることからなる、放射線画像記録再生方法が広く実用に共されている。読み取りを終えたパネルは、残存する放射線エネルギーの消去が行われた後、次の撮影のために備えられて繰り返し使用される。
【0003】放射線画像記録再生方法に用いられる放射線像変換パネル(蓄積性蛍光体シートともいう)は、基本構造として、支持体とその上に設けられた輝尽性蛍光体層とからなるものである。ただし、輝尽性蛍光体層が自己支持性である場合には必ずしも支持体を必要としない。また、輝尽性蛍光体層の上面(支持体に面していない側の面)には通常、保護層が設けられていて、蛍光体層を化学的な変質あるいは物理的な衝撃から保護している。
【0004】輝尽性蛍光体層は、通常は輝尽性蛍光体とこれを分散状態で含有支持する結合剤とからなる。ただし、蒸着法や焼結法によって形成される結合剤を含まないで輝尽性蛍光体の凝集体のみから構成されるものや、輝尽性蛍光体の凝集体の間隙に高分子物質が含浸されているものも知られている。
【0005】また、上記放射線画像記録再生方法の別法として本出願人による特願平11−372978号明細書には、従来の輝尽性蛍光体における放射線吸収機能とエネルギー蓄積機能とを分離して、少なくとも輝尽性蛍光体(エネルギー蓄積用蛍光体)を含有する放射線像変換パネルと、放射線を吸収して紫外乃至可視領域に発光を示す蛍光体(放射線吸収用蛍光体)を含有する蛍光スクリーンとの組合せを用いる放射線画像形成方法が提案されている。この方法は、被検体を透過などした放射線をまず、該スクリーンまたはパネルの放射線吸収用蛍光体により紫外乃至可視領域の光に変換した後、その光をパネルのエネルギー蓄積用蛍光体にて放射線画像情報として蓄積記録する。次いで、このパネルに励起光を走査して輝尽発光光を放出させ、この輝尽発光光を光電的に読み取って画像信号を得るものである。このような放射線像変換パネルおよび蛍光スクリーンも、本発明に包含される。
【0006】輝尽発光光として放出される放射線画像情報を読み取る方法としては、輝尽発光光の読取時間の短縮や、読取装置のコンパクト化、コストの低減などの観点から、画素分割を二次元固体撮像素子や半導体ラインセンサなどの受光素子により行い、電気回路によって時系列画像信号を形成する方法が提案されている。例えば特公平5−32945号公報には、蛍光灯等から発せられた光をスリットを通して放射線像変換パネルに照射することにより励起光を線状に照射し(ライン励起)、そしてパネルから放出される輝尽発光光を励起光照射部分に対向して配置された多数の光電変換素子からなるラインセンサにより検出する(ライン検出)ための装置が記載されている。
【0007】上記の放射線画像記録再生方法(および放射線画像形成方法)では、得られた画像信号に各種の画像処理を施すことができ、少ない照射線量で情報量の豊富な放射線画像を得ることができるという利点がある。さらに、放射線像変換パネルは繰り返し使用できるので、資源保護、経済効率の面からも有利である。しかしながら、このような放射線像変換パネルにあっても、できる限り高感度であってかつ画質(鮮鋭度、粒状性など)の良好な画像を与えるものであることが望まれている。
【0008】感度および画質を高めることを目的として、例えば特公平7−27078号には、気相堆積法によって形成され、空隙により互いに区画されて独立した柱状ブロック構造からなる輝尽性蛍光体層を有する放射線像変換パネルを用いて、一方の側から励起光の照射および光電変換器による輝尽発光光の検出を行うための放射線画像情報読取装置が提案されている。また、特開昭62−47600号公報には、放射線像変換パネルの輝尽性蛍光体層を気相堆積法の一種である電子線蒸着法により形成する方法が提案されている。この方法は、蒸着源として輝尽性蛍光体または輝尽性蛍光体の原料を用いて、蒸着源に電子銃で電子線を照射して蒸発源を蒸発、飛散させ、支持体表面にその蒸発物を堆積させることにより、輝尽性蛍光体の柱状結晶からなる層を形成するものである。電子線蒸着法などの気相堆積法により形成された蛍光体層は、結合剤を含有することなく、輝尽性蛍光体のみからなり、輝尽性蛍光体の柱状結晶と柱状結晶の間には空隙(クラック)が存在する。このため、励起光の進入効率や発光光の取出し効率を高めることができ、高感度で、高鮮鋭度の画像を得ることができる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】蛍光体層を支持体上に電子線蒸着法などの気相堆積法により形成した場合に、個々の柱状結晶の成長終了側の端部(支持体とは反対側の頂部)は通常、平面状であるか、あるいは平面状、凹状、凸状など各種の形状が入り交じったものとなっている。本発明者は、蛍光体層を柱状結晶からなる柱状構造とすることによって、蛍光体層内部においては励起光および輝尽発光光の広がりを防ぐことができるものの、柱状結晶の端部(頂部)が平面状や凹状であると、輝尽発光光が蛍光体層表面から出射する際に拡散して広がり、集光光学系を通して光電変換素子で受光しても集光効率が低下することを見い出した。この集光効率の低下は、感度を低下させ、引いては鮮鋭度などの画質の低下を招くものである。
【0010】従って、本発明は、輝尽発光光の集光効率の向上した、高感度の放射線像変換パネルを提供することにある。本発明はまた、高速、高感度であって、高画質の放射線画像が得られる放射線画像情報読取方法を提供することにもある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、支持体上に、気相堆積法により形成された蛍光体層を有する放射線像変換パネルにおいて、該蛍光体層が一定方向に配向した蛍光体の柱状結晶からなり、かつ個々の柱状結晶の片側端部が凸型の形状を有していることを特徴とする放射線像変換パネルにある。本発明において個々の柱状結晶の端部が凸型の形状であるとは、95%以上の柱状結晶が凸状の端部を有することを意味する。
【0012】本発明の放射線像変換パネルの好ましい態様は、以下の通りである。
(1)柱状結晶の支持体とは反対側の端部(頂部)が凸型の形状を有しているパネル。
(2)支持体が透明支持体であり、そして柱状結晶の支持体側の端部(基部)が凸型の形状を有しているパネル。
(3)柱状結晶の凸状端部が球面状であるパネル。
(4)蛍光体の柱状結晶が支持体に垂直に配向しているパネル。
(5)蛍光体層が、支持体上に、蛍光体もしくはその原料を電子線により蒸着させ、そして蒸着終了時に該電子線の出力を徐々に小さくすることにより形成されるパネル。
(6)蛍光体が輝尽性蛍光体であるパネル。
【0013】本発明はまた、上記態様(1)の放射線像変換パネルであって放射線画像情報が蓄積記録された放射線像変換パネル、および/または、該パネルの蛍光体の柱状結晶の配向方向の略延長上に配置された、複数の光電変換素子を線状に配してなるラインセンサを、ラインセンサの移動が該パネルに対して平面方向となるような方向にて相対的に移動させながら、該パネルの表面の一部に励起光を該移動方向と異なる方向に線状に、かつ該パネルの蛍光体の柱状結晶の配向方向に略平行に照射し、該パネルの励起光照射部分から発せられる輝尽発光光を該ラインセンサを用いて一次元的に受光して光電変換を行い、そして該ラインセンサからの出力を該パネルおよび/またはラインセンサの移動に応じて順次読み取って、放射線画像情報を電気的画像信号として得ることからなる放射線画像情報読取方法にもある。
【0014】本発明はまた、上記態様(2)の放射線像変換パネルであって放射線画像情報が蓄積記録された放射線像変換パネル、および/または、該パネルの蛍光体の柱状結晶の配向方向の略延長上に配置された、複数の光電変換素子を線状に配してなるラインセンサを、ラインセンサの移動が該パネルに対して平面方向となるような方向にて相対的に移動させながら、該パネルの表面の一部に励起光を該移動方向と異なる方向に線状に、かつ該パネルの蛍光体の柱状結晶の配向方向に略平行に照射し、該パネルの励起光照射部分の裏面から発せられる輝尽発光光を該ラインセンサを用いて一次元的に受光して光電変換を行い、そして該ラインセンサからの出力を該パネルおよび/またはラインセンサの移動に応じて順次読み取って、放射線画像情報を電気的画像信号として得ることからなる放射線画像情報読取方法にもある。
【0015】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の放射線像変換パネルの構成を添付図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の放射線像変換パネルの構成の例を概略的に示す部分断面図である。図1において、放射線像変換パネル10は、支持体11、および蛍光体層12から構成される。蛍光体層12は、蛍光体の多数の柱状結晶13からなる柱状構造を有している。各柱状結晶13の間には空隙14が存在する。各柱状結晶13は、支持体11に対して垂直方向に配向し、その端部(頂部)13aは凸型の形状を有している。
【0016】各柱状結晶13の幅は、一般に1〜数十μmの範囲にある。各柱状結晶13の高さ(すなわち、蛍光体層12の層厚)は、一般には50〜1000μmの範囲にあり、好ましくは200〜700μmの範囲にある。空隙14の幅は、一般に0〜数μmの範囲にある。
【0017】図2は、輝尽発光光が柱状結晶の端部から出射する状態を概略的に示す断面図である。図2の(1)は、図1に示した本発明に係る柱状結晶13の場合であり、(2)は、従来の柱状結晶の場合である。図2の(1)において、本発明に係る支持体11の上に備えられた柱状結晶13の内部の任意に決めた箇所13bから発生した輝尽発光光(m1、m2、m3で例示)は全方向に広がるが、いずれも柱状結晶13の境界面(空隙との界面)および支持体11によって反射されながら次第に端部13aに向かう。端部13aが球面状であるので、輝尽発光光m1、m2、m3は、いずれも端部13aから、支持体11に対して垂直もしくはそれに近い方向に出射する。
【0018】図2の(2)では、従来の支持体15の上に備えられた柱状結晶16内部の、前記13bに相当する箇所16bから発生した輝尽発光光(m1、m2、m3で例示)は全方向に広がり、柱状結晶16の境界面および支持体15によって反射されてながら次第に端部16aに向かう。端部16aが平面状であるために、輝尽発光光m1、m2、m3はそれぞれ、端部16aから様々な方向に出射して拡散する。
【0019】このように、本発明においては柱状結晶の端部を凸状とすることによって、柱状結晶(すなわち蛍光体層)からその配向方向(上記の場合には垂直方向)に出射する輝尽発光光の割合を、従来よりも増加させることができる。
【0020】本発明において柱状結晶13の端部13aの形状は、図2の(1)に示したように球面状であることが好ましいが、凸状である限り、図3に示すように任意の形状をとることができる。図3の(1)〜(5)は、本発明に係る柱状結晶端部の形状の例を示す断面図である。図3において(1)は円錐状であり、(2)〜(4)はそれぞれ径の異なる各種の球面状であり、そして(5)は頂部が平らな球面状である。
【0021】本発明の放射線像変換パネルにおいて、蛍光体の柱状結晶13は、必ずしも図1に示したように支持体に垂直な方向に配向している必要はなく、図4に示すように、垂直方向から一定の角度で傾いて配向していてもよい。この傾きは、垂直方向から±45度以内であることが好ましい。
【0022】図4は、本発明の放射線像変換パネルの構成の別の例を概略的に示す部分断面図である。図4において、放射線像変換パネル20は、支持体21、および蛍光体層22から構成される。蛍光体層22は、蛍光体の多数の柱状結晶23からなる柱状構造を有している。各柱状結晶23の間には空隙24が存在する。各柱状結晶23は、支持体21に対して一定方向に傾いて配向し、その端部23aは凸型の形状を有している。
【0023】あるいは、本発明の放射線像変換パネルは、図5に示すような構成であってもよい。図5は、本発明の放射線像変換パネルの構成の別の例を概略的に示す部分断面図である。図5において、放射線像変換パネル30は、透明支持体31、接着層35および蛍光体層32から構成される。蛍光体層32は、蛍光体の多数の柱状結晶33からなる柱状構造を有している。各柱状結晶33の間には空隙34が存在する。各柱状結晶33は、透明支持体31に対して垂直方向に配向し、その支持体側端部33aは凸型の形状を有している。一方、支持体とは反対側の端部33cは平面状である。
【0024】図5の放射線像変換パネルを用いた放射線画像情報の読み取りは、後述するように、蛍光体層32の表面側から励起光を照射し、支持体31の裏面側から輝尽発光光の検出を行う。この場合に、柱状結晶33は、励起光照射側の端部33cが平面状であるので、励起光が入射する際に端部表面で散乱することが少なく、かつ輝尽発光光検出側の端部33aが凸状であるので、発光光が端部表面で出射する際に拡散するのを抑えることができる。これにより、発光光の集光効率のみならず、励起光の入射効率も高めることができるので、より一層高感度、高画質とすることができる。
【0025】次に、本発明の放射線像変換パネルを製造する方法について、蛍光体が輝尽性蛍光体である場合を例にとって詳細に述べる。支持体の材料としては、従来の放射線像変換パネルの支持体として公知の材料から任意に選ぶことができるが、気相堆積法により蛍光体層を形成する際の基板となる場合には、石英ガラスシート、アルミニウム、鉄、スズ、クロムなどからなる金属シート、およびアラミドなどからなる樹脂シートであることが好ましい。公知の放射線像変換パネルにおいて、パネルとしての感度もしくは画質(鮮鋭度、粒状性)を向上させるために、二酸化チタンなどの光反射性物質からなる光反射層、もしくはカーボンブラックなどの光吸収性物質からなる光吸収層などを設けることが知られている。本発明で用いられる支持体についても、これらの各種の層を設けることができ、それらの構成は所望の放射線像変換パネルの目的、用途などに応じて任意に選択することができる。さらに特開昭58−200200号公報に記載されているように、得られる画像の鮮鋭度を向上させる目的で、支持体の蛍光体層側の表面(支持体の蛍光体層側の表面に下塗層(接着性付与層)、光反射層あるいは光吸収層などの補助層が設けられている場合には、それらの補助層の表面であってもよい)には微小な凹凸が形成されていてもよい。
【0026】この支持体上には気相堆積法により蛍光体層が設けられる。輝尽性蛍光体としては、波長が400〜900nmの範囲の励起光の照射により、300〜500nmの波長範囲に輝尽発光を示す輝尽性蛍光体が好ましい。そのような輝尽性蛍光体の例は、特公平7−84588号、特開平2−193100号および特開平4−310900号の各公報に詳しく記載されている。
【0027】これらのうちでも、基本組成式(I):IX・aMIIX’2・bMIIIX”3:zA ‥‥(I)
で代表されるアルカリ金属ハロゲン化物系輝尽性蛍光体は特に好ましい。ただし、MIはLi、Na、K、Rb及びCsからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属を表し、MIIはBe、Mg、Ca、Sr、Ba、Ni、Cu、Zn及びCdからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属又は二価金属を表し、MIIIはSc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Al、Ga及びInからなる群より選ばれる少なくとも一種の希土類元素又は三価金属を表し、そしてAはY、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Na、Mg、Cu、Ag、Tl及びBiからなる群より選ばれる少なくとも一種の希土類元素又は金属を表す。X、X’およびX”はそれぞれ、F、Cl、Br及びIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンを表す。a、bおよびzはそれぞれ、0≦a<0.5、0≦b<0.5、0≦z<0.2の範囲内の数値を表す。
【0028】上記基本組成式(I)中のMIとしては少なくともCsを含んでいることが好ましい。Xとしては少なくともBrを含んでいることが好ましい。Aとしては特にEu又はBiであることが好ましい。また、基本組成式(I)には、必要に応じて、酸化アルミニウム、二酸化珪素、酸化ジルコニウムなどの金属酸化物を添加物として、MI1モルに対して、0.5モル以下の量で加えてもよい。
【0029】また、基本組成式(II):IIFX:zLn ‥‥(II)
で代表される希土類付活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系輝尽性蛍光体も好ましい。ただし、MIIはBa、Sr及びCaからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属を表し、LnはCe、Pr、Sm、Eu、Tb、Dy、Ho、Nd、Er、Tm及びYbからなる群より選ばれる少なくとも一種の希土類元素を表す。Xは、Cl、Br及びIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンを表す。zは、0<z≦0.2の範囲内の数値を表す。
【0030】上記基本組成式(II)中のMIIとしては、Baが半分以上を占めることが好ましい。Lnとしては、特にEu又はCeであることが好ましい。また、基本組成式(II)では表記上F:X=1:1のように見えるが、これはBaFX型の結晶構造を持つことを示すものであり、最終的な組成物の化学量論的組成を示すものではない。一般に、BaFX結晶においてX-イオンの空格子点であるF+(X-)中心が多く生成された状態が、600〜700nmの光に対する輝尽効率を高める上で好ましい。このとき、FはXよりもやや過剰にあることが多い。
【0031】なお、基本組成式(II)では省略されているが、必要に応じて下記のような添加物を一種もしくは二種以上を基本組成式(II)に加えてもよい。
bA, wNI, xNII, yNIIIただし、AはAl23、SiO2及びZrO2などの金属酸化物を表す。MIIFX粒子同士の焼結を防止する上では、一次粒子の平均粒径が0.1μm以下の超微粒子でMIIFXとの反応性が低いものを用いることが好ましい。NIは、Li、Na、K、Rb及びCsからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属の化合物を表し、NIIは、Mg及び/又はBeからなるアルカリ土類金属の化合物を表し、NIIIは、Al、Ga、In、Tl、Sc、Y、La、Gd及びLuからなる群より選ばれる少なくとも一種の三価金属の化合物を表す。これらの金属化合物としては、特開昭59−75200号公報に記載のようなハロゲン化物を用いることが好ましいが、それらに限定されるものではない。
【0032】また、b、w、x及びyはそれぞれ、MIIFXのモル数を1としたときの仕込み添加量であり、0≦b≦0.5、0≦w≦2、0≦x≦0.3、0≦y≦0.3の各範囲内の数値を表す。これらの数値は、焼成やその後の洗浄処理によって減量する添加物に関しては最終的な組成物に含まれる元素比を表しているわけではない。また、上記化合物には最終的な組成物において添加されたままの化合物として残留するものもあれば、MIIFXと反応する、あるいは取り込まれてしまうものもある。
【0033】その他、上記基本組成式(II)には更に必要に応じて、特開昭55−12145号公報に記載のZn及びCd化合物;特開昭55−160078号公報に記載の金属酸化物であるTiO2、BeO、MgO、CaO、SrO、BaO、ZnO、Y23、La23、In23、GeO2、SnO2、Nb25、Ta25、ThO2;特開昭56−116777号公報に記載のZr及びSc化合物;特開昭57−23673号公報に記載のB化合物;特開昭57−23675号公報に記載のAs及びSi化合物;特開昭59−27980号公報に記載のテトラフルオロホウ酸化合物;特開昭59−47289号公報に記載のヘキサフルオロケイ酸、ヘキサフルオロチタン酸、及びヘキサフルオロジルコニウム酸の1価もしくは2価の塩からなるヘキサフルオロ化合物;特開昭59−56480号公報に記載のV、Cr、Mn、Fe、Co及びNiなどの遷移金属の化合物などを添加してもよい。さらに、本発明においては上述した添加物を含む蛍光体に限らず、基本的に希土類付活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系輝尽性蛍光体とみなされる組成を有するものであれば如何なるものであってもよい。
【0034】ただし、本発明において蛍光体は輝尽性蛍光体に限定されるものではなく、X線などの放射線を吸収して紫外乃至可視領域に(瞬時)発光を示す蛍光体であってもよい。そのような蛍光体の例としては、LnTaO4:(Nb,Gd)系、Ln2SiO5:Ce系、LnOX:Tm系(Lnは希土類元素である)、CsX系(Xはハロゲンである)、Gd22S:Tb、Gd22S:Pr,Ce、ZnWO4、LuAlO3:Ce、Gd3Ga512:Cr,Ce、HfO2等を挙げることができる。
【0035】本発明において蛍光体層は、例えば気相堆積法の一種である電子線蒸着法により、以下のようにして支持体上に形成することができる。電子線蒸着法では、形状が良好で配列の整った柱状結晶が得られると同時に、蒸着源を局所的に加熱して瞬時に蒸発させるので、蒸着源のうち蒸気圧の高い物質が優先的に蒸発して(例えば、付活剤が蛍光体母体よりも先行して蒸発する)、蒸発源として仕込んだ蛍光体の組成と形成された蛍光体層中の蛍光体の組成とが不一致となるようなことが殆どない。
【0036】まず、蒸発源である輝尽性蛍光体、および被蒸着物である基板を蒸着装置内に設置し、装置内を排気して3×10-10〜3×10-12kg/cm2程度の真空度とする。このとき、基板が蒸発源の飛散方向に対して垂直になるように基板を設置する。また、真空度をこの程度に保持しながら、Arガス、Neガスなどの不活性ガスを導入してもよい。
【0037】輝尽性蛍光体は、加圧圧縮により錠剤(ペレット)の形状に加工しておくことが好ましい。加圧圧縮は、一般に800〜1000kg/cm2の範囲の圧力を掛けて行う。圧縮の際に、50〜200℃の範囲の温度に加温してもよく、また圧縮後、得られた錠剤に脱ガス処理を施してもよい。これにより、蒸発源の相対密度を高めることができる。蒸発源の相対密度が低いと、蛍光体が均一に蒸発しないで蒸着膜の膜厚が不均一となったり、突沸物が基板に付着したり、更には蛍光体自体が不均一に蒸発して蒸着膜中に蛍光体の付活剤や添加物が偏析したりする。さらに、輝尽性蛍光体の代わりにその原料もしくは原料混合物を用いることも可能である。
【0038】次に、電子銃から電子線を発生させて、蒸発源に照射する。このとき、電子線の加速電圧を1.5kV以上で、5.0kV以下に設定することが望ましい。加速電圧が1.5kVより低いと、電圧が不安定になって、電子線のビームポジションが変動してしまったり、蒸発源の電子線による走査面の形状が変化して蒸発面を平坦に保つことが困難となる。反対に、加速電圧が5.0kVより高い場合には、蒸発により気相成長する蛍光体の柱状結晶が不揃いとなる。
【0039】電子線の照射により、蒸発源である輝尽性蛍光体は加熱されて蒸発、飛散し、基板表面に堆積する。蛍光体の堆積する速度、すなわち蒸着速度は一般には0.1〜1000μm/分の範囲にあり、好ましくは1〜100μm/分の範囲にある。そして、蒸着を終了する際に、電子線の出力を徐々に小さくすることにより、柱状結晶の成長した端部を所望の凸状とすることができる。
【0040】なお、電子線の照射を複数回に分けて行って二層以上の蛍光体層を形成してもよいし、あるいは複数の電子銃を用いて異なる蛍光体を共蒸着させてもよい。また、蛍光体の原料を用いて基板上で蛍光体を合成すると同時に蛍光体層を形成することも可能である。さらに、蒸着の際に必要に応じて被蒸着物(基板)を冷却または加熱してもよいし、あるいは蒸着終了後に蛍光体層を加熱処理(アニール処理)してもよい。さらに、本発明に用いられる気相堆積法は上記の電子腺蒸着法に限定されるものではなく、抵抗加熱法等の他の蒸着法あるいはスパッタ法など公知の各種の方法を利用することができる。
【0041】このようにして、図1に示したような輝尽性蛍光体の柱状結晶が基板(支持体)に対してほぼ垂直な方向に成長した蛍光体層が得られる。蛍光体層は、結合剤を含有せず、輝尽性蛍光体のみからなり、輝尽性蛍光体の柱状結晶と柱状結晶の間には空隙(クラック)が存在する。
【0042】図2に例示したような蛍光体の柱状結晶が傾いて配向した蛍光体層は、電子線蒸着に際して、基板を蒸発源の飛散方向に対して垂直な方向から0〜45度の範囲内で(例えば、45度)、傾けて配置することにより得ることができる。
【0043】図4に示した構成の蛍光体層を支持体上に形成する場合にはまず、ガラス板、金属板、プラスチックシートなどの基板上に上記と同様にして輝尽性蛍光体を気相成長させて蛍光体層を形成する。次いで、基板から蛍光体層を引き剥がした後、その上下を逆にして接着剤を用いるなどして別の透明な支持体上に接合する。この場合に透明支持体の材料としては、気相堆積の条件に左右されることなく、パネルの使用目的に応じて機械的特性や光学的特性を考慮して選択することができる。好ましい支持体材料は、石英ガラスシート、およびポリエチレンテレフタレートなどからなる樹脂シートである。
【0044】この蛍光体層の表面には、放射線像変換パネルの搬送および取扱い上の便宜や特性変化の回避のために、保護層を設けることが望ましい。保護層は、励起光の入射や輝尽発光光の出射に殆ど影響を与えないように、透明であることが望ましく、また外部から与えられる物理的衝撃や化学的影響から放射線像変換パネルを充分に保護することができるように、化学的に安定で防湿性が高く、かつ高い物理的強度を持つことが望ましい。
【0045】保護層としては、セルロース誘導体、ポリメチルメタクリレート、有機溶媒可溶性フッ素系樹脂などのような透明な有機高分子物質を適当な溶媒に溶解して調製した溶液を輝尽性蛍光体層の上に塗布することで形成されたもの、あるいはポリエチレンテレフタレートなどの有機高分子フィルムや透明なガラス板などの保護層形成用シートを別に形成して蛍光体層の表面に適当な接着剤を用いて設けたもの、あるいは無機化合物を蒸着などによって蛍光体層上に成膜したものなどが用いられる。また、保護層中には酸化マグネシウム、酸化亜鉛、二酸化チタン、アルミナ等の光散乱性微粒子、パーフルオロオレフィン樹脂粉末、シリコーン樹脂粉末等の滑り剤、およびポリイソシアネート等の架橋剤など各種の添加剤が分散含有されていてもよい。保護層の層厚は一般に、高分子物質からなる場合には約0.1〜20μmの範囲にあり、ガラス等の無機化合物からなる場合には100〜1000μmの範囲にある。
【0046】保護層の表面にはさらに、保護層の耐汚染性を高めるためにフッ素樹脂塗布層を設けてもよい。フッ素樹脂塗布層は、フッ素樹脂を有機溶媒に溶解(または分散)させて調製したフッ素樹脂溶液を保護層の表面に塗布し、乾燥することにより形成することができる。フッ素樹脂は単独で使用してもよいが、通常はフッ素樹脂と膜形成性の高い樹脂との混合物として使用する。また、ポリシロキサン骨格を持つオリゴマーあるいはパーフルオロアルキル基を持つオリゴマーを併用することもできる。フッ素樹脂塗布層には、干渉むらを低減させて更に放射線画像の画質を向上させるために、微粒子フィラーを充填することもできる。フッ素樹脂塗布層の層厚は通常は0.5μm乃至20μmの範囲にある。フッ素樹脂塗布層の形成に際しては、架橋剤、硬膜剤、黄変防止剤などのような添加成分を用いることができる。特に架橋剤の添加は、フッ素樹脂塗布層の耐久性の向上に有利である。
【0047】上述のようにして本発明の放射線像変換パネルが得られるが、本発明のパネルの構成は、公知の各種のバリエーションを含むものであってもよい。たとえば、得られる画像の鮮鋭度を向上させることを目的として、上記の少なくともいずれかの層を、励起光を吸収し輝尽発光光は吸収しないような着色剤によって着色してもよい(特公昭59−23400号公報参照)。
【0048】次に、上記の放射線像変換パネルを用いる本発明の放射線画像情報読取方法について図面を参照しながら説明する。図6は、本発明の方法に用いる放射線画像情報読取装置の例を示す構成図であり、図7は、図6のI−I線に沿った断面図である。
【0049】図6および図7において、放射線像変換パネル10は、図1に示したように、支持体11と、片側端部13aが凸状の多数の輝尽性蛍光体の柱状結晶13が垂直方向に配向した蛍光体層12とから構成され、そして被写体を透過したX線等の放射線が照射されるなどして被写体の放射線画像情報が蓄積記録されている。なお、放射線エネルギーの蓄積効率の観点から、放射線画像情報を蓄積記録する際に、X線等の放射線がパネル10に対してほぼ垂直な方向に照射されて、その入射方向が蛍光体の柱状結晶13の配向方向にほぼ平行となるようにされることが望ましい。走査ベルト40上に蛍光体層12側を上にして載置された放射線像変換パネル10は、走査ベルト40が矢印Y方向に移動することにより矢印Y方向に搬送される。パネル10の搬送速度はベルト40の移動速度に等しく、ベルト40の移動速度は画像読取手段50に入力される。
【0050】一方、ブロードエリアレーザ(以下、BLDという)41から、パネル10表面に対して略平行に発せられた線状の励起光Lは、その光路上に設けられたコリメータレンズとトーリックレンズとからなる光学系42により平行ビームとされ、パネル10に対して45度の角度で傾けて配された、励起光を反射し輝尽発光光を透過するように設定されてなるダイクロイックミラー44により、反射されてパネル10表面に対して垂直に入射する方向に進行し、屈折率分布形レンズアレイ(多数の屈折率分布形レンズが配列されてなるレンズであり、以下、第一のセルフォックレンズアレイという)45により、パネル10上に矢印X方向に沿って延びる線状に集光される。
【0051】パネル10に垂直に入射した線状の励起光Lの励起により、パネル10の集光域およびその近傍から、蓄積記録されている放射線画像情報に応じた強度の輝尽発光光Mが発せられる。このとき、図2に示したようにパネル10の蛍光体層12を構成する柱状結晶13の端部13aが球面状であるので、輝尽発光光Mはその大部分が、蛍光体層12(すなわちパネル10)表面から垂直もしくはそれに近い方向に出射する。
【0052】この輝尽発光光Mは、第一のセルフォックレンズアレイ45により平行光束とされ、ダイクロイックミラー44を透過し、第二のセルフォックレンズアレイ46により、励起光Lの集光域の真上に配置されたラインセンサ48を構成する各光電変換素子49の受光面に集光される。ラインセンサ48は、少なくとも上記線状の励起光照射部分の長さに整列配置された多数の光電変換素子49を有するものであり、各素子が1画素に対応している。ラインセンサ48を励起光Lの集光域の真上に配置することにより、ほぼ垂直方向に出射する輝尽発光光を効率良く集光することができる。光電変換素子49は受光面積が小さいので、とりわけ集光効率の向上が著しい。
【0053】なおこの際、第二のセルフォックレンズアレイ46を透過した輝尽発光光Mに僅かに混在する、パネル10表面で反射した励起光Lは、励起光をカットし輝尽発光光を透過する励起光カットフィルタ47によりカットされる。
【0054】各光電変換素子49により受光された輝尽発光光Mは光電変換され、そして光電変換して得られた各信号Sは、画像情報読取手段50に入力される。画像情報読取手段50にて各信号Sは、走査ベルト40の移動速度に基づいてパネル10の部位に対応して演算処理され、画像データとして画像処理装置(図示なし)に出力される。
【0055】なお、本発明に用いる放射線画像情報読取装置は、図6および図7に示した態様に限定されるものではなく、光源、光源とパネルとの間の集光光学系、パネルとラインセンサとの間の光学系、およびラインセンサはそれぞれ、公知の種々の構成を採用することができる。
【0056】例えば、上記態様においては放射線像変換パネルの輝尽性蛍光体の柱状結晶の配向方向が垂直方向であったので、励起光の入射および輝尽発光光の受光方向がパネルに対して垂直となるように各光学系が配置されているが、これらの光学系は必ずしも柱状結晶の配向方向に厳密に平行である必要はない。また、パネルの柱状結晶の配向方向が一定方向に傾いている場合には、励起光の入射および輝尽発光光の受光方向がその配向方向に平行またはそれに近くなるように配置された光学系を採用することができる。
【0057】ライン光源は、光源自体がライン状であってもよく、蛍光灯、冷陰極蛍光灯、LED(発光ダイオード)アレイなども用いることができる。ライン光源から発せられる励起光は、連続的に出射するものであってもよいし、あるいは出射と停止を繰り返すパルス光であってもよい。ノイズ低減の観点からは、高出力のパルス光であることが好ましい。
【0058】ラインセンサとしては、アモルファスシリコンセンサ、CCDセンサ、バックイルミネータ付きのCCD、MOSイメージセンサなどを用いることができる。また、ラインセンサは光電変換素子が1列で配置されたもののみならず、2、3列で配置されたものであってもよい。
【0059】放射線像変換パネルを移動させる方向は、ライン光源およびラインセンサの長さ方向に略直交する方向であることが望ましいが、例えばパネルの略全面に渡って均一に励起光を照射することができる範囲内で、長さ方向から外れた斜め方向やジグザグ状に方向を変化させて移動させてもよい。
【0060】上記態様においては説明を簡単化するために、パネルとラインセンサとの間の光学系を1:1結像系に設定したが、拡大縮小光学系を利用してもよい。ただし、集光効率を高めるためには等倍または拡大光学系を用いることが好ましい。
【0061】また、上記態様では励起光Lの光路と輝尽発光光Mの光路とが一部分重複するような構成として、装置のコンパクト化を図ったが、励起光Lの光路と輝尽発光光Mの光路が全く異なる構成を採用してもよい。
【0062】さらに、上記の態様では放射線像変換パネルを移動させて読み取りを行う構成であったが、パネルを静置してラインセンサをパネル表面に沿って移動させる構成あるいは双方を相対的な位置関係を変えるような方法で移動させる方法を採用してもよい。
【0063】あるいはまた、画像情報読取手段から出力された画像データ信号に対して種々の信号処理を施す画像処理装置を更に備えた構成や、読み取り終了後のパネルになお残存する放射線エネルギーを適切に放出させるための消去手段を更に備えた構成を採用することもできる。
【0064】図8は、本発明の方法に用いる放射線画像情報読取装置の別の例を示す構成図である。図8において、放射線像変換パネル30は、図5に示したように、透明支持体31と、支持体側端部33aが凸状の多数の輝尽性蛍光体の柱状結晶33が垂直方向に配向した蛍光体層32とから構成され、そして被写体を透過したX線等の放射線が照射されるなどして被写体の放射線画像情報が蓄積記録されている。走査ベルト40’上に蛍光体層32側を上にして載置された放射線像変換パネル30は、走査ベルト40’が矢印Y方向に移動することにより矢印Y方向に搬送される。パネル30の搬送速度はベルト40’の移動速度に等しく、ベルト40’の移動速度は画像読取手段50に入力される。
【0065】一方、BLD41から、パネル30表面に対して略垂直に発せられた線状の励起光Lは、その光路上に設けられたコリメータレンズとトーリックレンズとからなる光学系42により、パネル30表面に対して垂直に入射する方向に進行するとともに、パネル30上に矢印X方向に沿って延びる線状に集光される。
【0066】パネル30に垂直に入射した線状の励起光Lの励起により、パネル30の集光域およびその近傍から、蓄積記録されている放射線画像情報に応じた強度の輝尽発光光が発せられる。同時に、パネル30の裏面側の部分からもパネル30の透明支持体31を透過した輝尽発光光M’が出射する。このとき、蛍光体層32を構成する柱状結晶33の支持体側端部33aが球面状であるので前述と同様に、輝尽発光光M’はその大部分が、蛍光体層32(そして透明支持体31)裏面から垂直もしくはそれに近い方向に出射する。
【0067】この輝尽発光光M’は、セルフォックレンズアレイ46により、励起光Lの集光域の真下に配置されたラインセンサ48を構成する各光電変換素子49の受光面に集光される。この際に、輝尽発光光M’に僅かに混在する、パネル30を透過した励起光Lは、励起光カットフィルタ47によりカットされる。
【0068】各光電変換素子49により受光された輝尽発光光M’は光電変換され、そして光電変換して得られた各信号Sは、画像情報読取手段50に入力される。画像情報読取手段50にて各信号Sは、走査ベルト40’の移動速度に基づいてパネル30の部位に対応して演算処理され、画像データとして画像処理装置(図示なし)に出力される。
【0069】
【実施例】[実施例1]
(1)蒸着源の作製臭化セシウム100g(CsBr、0.47モル)と臭化ユーロピウム1.8404g(EuBr3、4.7×10-3モル)とを乳鉢で粉砕混合した後、更に撹拌振動器で15分間撹拌混合した。得られた混合物を炉内に置いて、3分間排気した後、窒素雰囲気下、温度525℃にて2時間焼成した。焼成後、炉内を15分間排気して焼成物を冷却した。次いで、得られたユーロピウム付活臭化セシウム(CsBr:0.01Eu)輝尽性蛍光体を乳鉢で粉砕した後、圧力800kg/cm2にて加圧圧縮して、蒸着用の錠剤を作製した。錠剤に、更に温度150℃で2時間排気して脱ガス処理を施した。
【0070】(2)蛍光体層の形成上記の蒸発源を蒸着装置内の所定位置に置き、アルミニウム基板(支持体)を装置内の所定位置に蒸発源の飛散方向に対して垂直となるように配置した後、装置内を排気して4.0×10-9kg/cm2の真空度とした。次いで、蒸着源に電子銃で加速電圧4.0kV、60Wの電子線を照射して、支持体上に輝尽性蛍光体を25μm/分の速度で堆積させた。その後、電子線の出力を徐々に小さくし、3分間かけて出力0まで下げた。装置内を大気圧に戻し、装置から支持体を取り出した。支持体上には、幅が約8μm、長さが約200μmの蛍光体の柱状結晶がほぼ垂直方向に密に林立した構造の蒸着膜(膜厚:200μm)が形成されていた。また、蒸着膜の表面を電子顕微鏡(SEM)により写真撮影したところ、図9に示すような写真が得られ、柱状結晶の成長側端部が球面状であることが確認された。
【0071】
【発明の効果】本発明によれば、一定方向に配向した蛍光体の柱状結晶の片側(輝尽発光光検出側)端部を凸型の形状とすることによって、輝尽発光光がその結晶端部から出射する際に様々な方向に拡散するのを防いで、配向方向にほぼ平行に出射する輝尽発光光の割合を増加させることができ、結果として発光光の集光効率の向上した、高感度の放射線像変換パネルが得られる。特に、柱状結晶の支持体側(輝尽発光光検出側)端部を凸状とし、蛍光体層表面側(励起光照射側)端部を平面状とすることにより、発光光の集光効率とともに励起光の入射効率も向上させることができ、より一層高感度であって高画質の放射線画像を与えるパネルが得られる。
【0072】また、本発明の放射線画像情報読取方法によれば、上記の放射線像変換パネルに対して、その蛍光体の柱状結晶の配向方向にほぼ平行に励起光を照射し、かつ配向方向のほぼ延長上であって凸状の端部側にラインセンサを配置して輝尽発光光を受光することにより、励起光を効率良く蛍光体層の柱状結晶に入射させることが可能になる、その凸状端部から高い割合で配向方向に出射する発光光を効率良く受光することができる。従って、本発明の読取方法では、高速読み取りが可能となり、さらに高感度で、高画質の放射線再生画像を得ることができる。このため、本発明の放射線像変換パネルおよび読取方法は、医療診断用ラジオグラフィーや工業用ラジオグラフィー、並びにフルオロスコピーに利用した場合に特に有利となる。
【出願人】 【識別番号】000005201
【氏名又は名称】富士写真フイルム株式会社
【出願日】 平成12年12月14日(2000.12.14)
【代理人】 【識別番号】100074675
【弁理士】
【氏名又は名称】柳川 泰男
【公開番号】 特開2002−181997(P2002−181997A)
【公開日】 平成14年6月26日(2002.6.26)
【出願番号】 特願2000−379650(P2000−379650)