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【発明の名称】 インバータ式核破砕ターゲットシステム
【発明者】 【氏名】三浦 邦明

【氏名】山村 千明

【氏名】照山 雄三

【氏名】菊地 賢司

【氏名】佐々 敏信

【氏名】池田 裕二郎

【氏名】大井川 宏之

【要約】 【課題】核破砕ターゲットシステムの1次系システムを構成するターゲットキャプセルの構造に関するものであり、そのキャプセルの交換作業が放射性物質の漏洩なく容易に行えるものである。

【解決手段】ターゲットシステムの放射化したターゲット用液体金属が流れる領域を1次系とし、その1次系において液体金属を駆動する電磁ポンプとその流量を計測する電磁流量計が設置された部分が2重配管系になっており、液体金属がターゲット入射部において折り返し、ダンプタンク兼熱交換器に戻り、液体金属を冷却後循環される核破砕ターゲットシステム。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 核破砕ターゲットシステムの放射化したターゲット液体金属が流れる領域を1次系とし、その1次系において液体金属を駆動する電磁ポンプとその流量を計測する電磁流量計が設置された部分が二重配管系になっており、液体金属がターゲット照射窓部において折り返し、ダンプタンク兼熱交換器に戻り、そこで液体金属が冷却後に循環されるキャプセル型の核破砕ターゲットシステム。
【請求項2】 1次系の構成を配管ループ系でなくアンプル状のキャプセル型ユニットにすることによりコンパクトで交換作業が容易に行えることを特徴とする請求項1記載のターゲットシステム。
【請求項3】 核破砕ターゲットとして液体金属が選定使用されることを特徴とする請求項1記載のターゲットシステム。
【請求項4】 1次系において、液体金属を駆動する電磁ポンプ、その流量を計測する電磁流量計が、1次系を交換する際に独立して切り離すことが出来、そのまま再使用できることを特徴とする請求項1記載のターゲットシステム。
【請求項5】 (1) 陽子ビームが入射される窓部、液体金属用のポンプ及びその流量計を有する二重管(a)、並びに一端が前記窓部に隣接し、その他端がダンプタンク兼熱交換器の底部に達している前記二重管内に設けられた断熱性内管(b)を備えたアンプル状キャプセル型の1次系破砕ターゲットシステムと、(2) 前記ダンプタンク兼熱交換器の下部を冷却するための冷却液を収容し、その冷却液を循環して冷却するための循環管を有する冷却タンクを備えた2次系冷却システムとから構成され、前記ポンプにより、陽子ビームの入射により加熱された液体金属を、前記断熱性内管を経てダンプタンク兼熱交換器底部に供給して前記冷却タンクにおいて冷却後に前記窓部に循環することからなる核破砕ターゲットシステム装置。
【請求項6】 二重管の内管が、真空部を構成するか又は断熱材を充填するための二重壁を有する請求項5記載の装置。
【請求項7】 1次系ターゲットシステム内に液体金属ターゲットが空隙なく満たされている請求項5記載の装置。
【請求項8】 ダンプタンク兼熱交換器内の液体金属ターゲットの液面が、タンク内に挿入された二重管の下端部の上に位置し、液体金属が二重管の外管と内管との間を上昇して循環する請求項7記載の装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、核破砕ターゲットシステムの1次系冷却システムに関するものである。特に、本発明は、核破砕ターゲットの1次系システムを構成するターゲットの構造に関するものであり、そのターゲット窓部の交換作業が他の配管の切断なしに容易に行えるものである。
【0002】
【従来の技術】従来の核破砕ターゲットシステムの1次系冷却システムにおいては、配管系で循環ループを構成し、その配管に様々な機器を取り付けるシステムであった。
【0003】従来の核破砕ターゲットシステムは、図6に示されるように、鉄遮蔽体内に設けられたヘリウムガス雰囲気の室中にターゲット容器が収納され、この容器内に入れられた被照射試験片に陽子ビームが容器壁を透過して照射されるが、この容器は循環使用される鉛ビスマスターゲットで冷却されている。この鉛ビスマス冷却系では、ダンプタンクからの冷媒が、ターゲット容器を冷却後、冷却器で冷却され、膨張タンク、流量計及びポンプを備えた配管構造を経てターゲット容器の冷却に循環使用される。このような従来の冷却システムにおいては配管により冷却材の循環ループを構成するためにその配管構造が複雑であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】核破砕ターゲットシステムの窓部は、破損を防ぐために定期的に交換される必要がある。この際に従来のシステム装置のように配管系でループを構成した場合は、その配管の切り離しを数カ所で行わなければならず、そのシステム装置で使用される放射性物質の漏洩の危険性を持っていた。又そのシステム装置の運転中においても、配管を簡単に切り離すための接合部を有しているため、その接合部からの放射性物質の漏洩の危険性も多い。更に又、そのシステム装置の1次系システムの交換作業においては、システムが大きいために時間とコストがかかることになる。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記問題点に鑑み、核破砕ターゲットシステムの1次系システムの構成を、窓部を交換する際に切り離しのために必要となる接続部を1カ所に限定したコンパクトなユニットとすることにより問題を解決するものである。
【0006】即ち、本発明においては、流体(液体金属)を流す配管を二重管とし、窓部でセンターリターンする流路構成にすることにより、外観上は1本の配管で構成されたものとなる。そして、この外観上一本に見える部分(二重配管部)に流体駆動用電磁ポンプと流量測定用の電磁流量計を備えて、この電磁ポンプ及び電磁流量計を備えたダクト(二重配管部)がこれらの装置から抜き差しが出来る様にすることによって問題を解決できる。
【0007】具体的には、本発明の核破砕ターゲットシステムは、(1) 陽子ビームが入射される窓部、液体金属用のポンプ及びその流量計を有する二重管(a)、並びに一端が前記窓部に隣接し、その他端がダンプタンク兼熱交換器の底部に達している前記二重管内に設けられた断熱性内管(b)を備えたアンプル状キャプセル型の1次系の破砕ターゲットシステムと、(2) 前記ダンプタンク兼熱交換器の下部を冷却するための冷却液を収容し、その冷却液を循環して冷却するための循環管を有する冷却タンクを備えた2次系システムとから構成され、前記ポンプにより、陽子ビームの入射により加熱された液体金属を、前記断熱性内管を経てダンプタンク兼熱交換器底部に供給して前記冷却タンクにおいて冷却後に前記窓部に循環することからなるものである。
【0008】
【発明の実施の形態】ターゲットシステムの1次系システムにおいては、陽子がターゲット用液体金属に入射されると、この部分で大きな発熱がある。この熱を除熱しないと液体金属の温度が上昇して、耐熱温度を超えてしまう。そこで、ターゲットの液体金属が流れる流路を二重管とし、低温側を外にして、液体がターゲット部で折り返して中心部を流れて行けば、材料の耐食上、耐圧上有利に働き、高温になった液体が2重管の中心側を流れて行くことになる。又、二重管の内管を断熱構造にしておけば、内管を通じて内側の熱が二重管の外管側の流体に熱交換されずに、ダンプタンク兼熱交換器の伝熱面へと導かれることになる。そこで、一次系の除熱を確保する為、ダンプタンク兼熱交換容器が大きくなっている。
【0009】本発明におけるターゲットシステムの1次系システム(液体金属ターゲットシステム)及び2次系システム(液体金属ターゲットの冷却システム)からなるターゲットキャプセルの基本的条件と基本的コンセプトは、次のとおりである。
【0010】1.基本的条件(1)液体金属ターゲットは原子数密度の大きいPbをベースにした合金が選定され、その中で第一候補はPb−Biである。
【0011】(2)陽子ビームによるPb−Biへの入熱は60%〜70%である。
(3)液体金属ターゲットの流速は1m/s程度とする。
(4)Pb−BiのBiは放射化し、210Po(放射性毒物)を発生するので、Pb−Biを最小容積にする。
【0012】(5)ループの接合は誘導放射場のため、困難であり、簡易に交換できる構造とする。
(6)Fe遮蔽体の厚さは3m程度で、その後ろはコンクリートによる遮蔽とする。
【0013】(7)Pb−Biの予熱系、電磁ポンプの動力ケーブル、センサーケーブル等のフィードスルーは、最小限にする。
2.基本的コンセプトターゲットキャプセルは簡易に交換できる構造にするため、1次系と2次系を分けて、1次系をアンプル型とし、ターゲット照射位置に抜き差しができる構造とし、1次系の熱を2次系のプールで冷却する方式とする。1次系の液体金属ターゲットは、電磁ポンプにより循環させ、電磁流量計と熱電対で流量と温度管理をする。2次系のプールは、オーバーフローをしないようにレベル計でモニターし、2次系の冷却ループは、電磁ポンプ、電磁流量計、ドレンタンク、冷却器等で構成する。液体金属が接する構造材は、基本的にはCr−Mo鋼とするが、電磁ポンプと電磁流量計周りの材質は非磁性体のステンレス鋼とする。以下、実施例に基づいてターゲットキャプセルの基本的な構造を示す。
【0014】
【実施例】(実施例1)図1に示されるとおり、核破砕ターゲットシステム装置は、液体金属ターゲットを有する1次系システム1(ターゲットキャプセル)とこの系の液体金属を冷却する2次系システム2とから構成される。液体金属は、タンク3内に収容され、電磁ポンプ4により、二重管13の真空又は断熱材により断熱された内管5の先端部の陽子ビーム6が照射される窓部から二重管内に吐出され、二重管のタンク底面に向けて開口した他端部からタンク内に放出されて循環流を形成する。この二重管内を流れる液体金属の流速は電磁電流計7によって測定される。
【0015】液体金属ターゲットを収容したタンク3の下部は、冷却タンク8内に収容された冷却液(Pb−Bi)内に浸漬されて冷却される。この冷却タンク8に収容された冷却液は、循環管9により除熱ループ10に循環されて冷却後にタンク3の底部の外壁面に放出されてタンク3内の液体金属を冷却する。この除熱ループは放射線防護用の遮蔽体で囲まれており、又タンク8内の冷却液の液面はレベル計11により測定される。
【0016】上記装置の長所としては、(1)1次系ターゲットキャプセルは簡単に抜き差しが可能、(2)運転前作業が少ない、(3)電磁ポンプが1台で済む、(4)1次系容器内にガス系(加減圧)が要らない、及び(5)二重配管がL字型に曲がって、タンク3が除熱伝熱する下部にのみあるので、よりリーク量が少ない点である。
【0017】(実施例2)図2に示されるとおり、核破砕ターゲットシステム装置は、液体金属ターゲットを有する1次系システム1(ターゲットキャプセル)とこの系の液体金属を冷却する2次系システム2とから構成される。液体金属は、タンク3内に収容され、電磁ポンプ4により、二重管13の真空又は断熱材により断熱された内管5先端部の陽子ビーム6が照射される窓部から二重管内に吐出され、二重管のタンク底面に向けて開口した他端部からタンク内に放出されて循環流を形成する。この二重管内を流れる液体金属の流速は電磁電流計7によって測定される。タンク内の圧力は液体金属をタンク内に充填後にHeガスにより加圧され、その圧力はバッファータンクにより適宜調整される。
【0018】液体金属ターゲットを収容したタンク3の下部は、冷却タンク8内に収容された冷却液(Pb−Bi)内に浸漬されて冷却される。この冷却タンク8に収容された冷却液は、循環管9により除熱ループ10に循環されて冷却後にタンク3の底部の外壁面に放出されてタンク3内の液体金属を冷却する。この除熱ループは放射線防護用の遮蔽体で囲まれており、又タンク8内の冷却液の液面はレベル計11により測定される。
【0019】上記装置の長所としては、(1)1次系ターゲットキャプセルは簡単に抜き差しが可能、(2)電磁ポンプが1台で済む、(3)リーク量が非常に少ない。リークが発生した場合、電磁ポンプ4を停止か逆運転させ(電磁ポンプ用駆動電源の3相交流の相を逆転させて流れ方向を変える)、合わせてバッファータンクを開放し、1次系タンク部He圧力を下げることによって、1次系配管部の液体金属をタンク部に戻す。
【0020】(実施例3)図3に示されるとおり、核破砕ターゲットシステム装置は、液体金属ターゲットを有する1次系システム1(ターゲットキャプセル)とこの系の液体金属を冷却する2次系システム2とから構成される。液体金属は、タンク3内に収容され、電磁ポンプ4により、二重管13の真空又は断熱材により断熱された内管5の先端部の陽子ビーム6が照射される窓部から二重管内に吐出され、二重管のタンク底面に向けて開口した他端部からタンク内に放出されて循環流を形成する。この二重管内を流れる液体金属の流速は電磁電流計7によって測定される。タンク3内に液体金属を充填する際にはタンク内は減圧にされ、充填後に電磁ポンプ16の起動によりタンク内の液面が上下に適宜調整される。
【0021】液体金属ターゲットを収容したタンク3の下部は、冷却タンク8内に収容された冷却液(Pb−Bi)内に浸漬されて冷却される。この冷却タンク8に収容された冷却液は、循環管9により除熱ループ10に循環されて冷却後にタンク3の底部の外壁面に放出されてタンク3内の液体金属を冷却する。この除熱ループは放射線防護用の遮蔽体で囲まれており、又タンク8内の冷却液の液面はレベル計11により測定される。
【0022】上記装置の長所としては、(1)1次系ターゲットキャプセルは簡単に抜き差しが可能、(2)リーク量が非常に少ない。リークが発生した場合、電磁ポンプ4を停止か逆運転させることによって、1次系配管部の液体金属をタンク部に戻す。(3)電磁ポンプ16がある為にタンク3内を加圧して溶融金属を押し上げる圧力を最小にすることができる。これによってタンク3内の加圧を大気圧以下に設計できる。こうすればリークが生じても流体のリークを防止できる。
【0023】なお、1次系システムを冷却する2次系システムとしては、図4に示されるようなミスト(水)+ガスによる冷却方式と図5に示されるようなコイル状熱交換器による冷却方式のものがあるが、1次系システムのターゲットキャプセル構造と2次系システムの冷却構造の分離が困難なこととそれらの構造が多少複雑になっている。
【0024】図4の装置においては、1次系システムの液体金属ターゲット用のタンク3が2次系システムの冷却用タンク8の内部に配置され、冷媒は、ガス状で入口17から供給され、タンク3内の液体金属を冷却後に凝縮して液化し、出口18から排出される。
【0025】又、図5の装置においては、1次系システムの液体金属ターゲット用のタンク3内に2次系システムの冷却用コイル19が配置され、冷却液は、タンク8から移送ポンプによりコイル内に供給され、タンク3内の液体金属を冷却後にタンク8に戻される。
【出願人】 【識別番号】000183945
【氏名又は名称】助川電気工業株式会社
【識別番号】000004097
【氏名又は名称】日本原子力研究所
【出願日】 平成12年11月15日(2000.11.15)
【代理人】 【識別番号】100089705
【弁理士】
【氏名又は名称】社本 一夫 (外5名)
【公開番号】 特開2002−148400(P2002−148400A)
【公開日】 平成14年5月22日(2002.5.22)
【出願番号】 特願2000−348058(P2000−348058)