| 【発明の名称】 |
電子線照射装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】穐田 啓三
【氏名】菅原 一裕
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| 【要約】 |
【課題】走査器において電子の過走査が生じて当該電子が走査管の走査部管に当たる状態になったことを速やかに検出する。
【解決手段】この電子線照射装置は、走査管10を構成する走査部管10bの電子走査方向Xの両側の下部付近に設けられていて当該下部付近の温度をそれぞれ検出する温度検出器22、24と、これらで検出した検出温度T1 、T2 と設定温度T0 とをそれぞれ比較して前者が後者を超えたときに温度異常検出信号S1 、S2 をそれぞれ出力する比較器26、28とを備えている。更に、少なくとも一方の信号S1 、S2 に応答して、加速器による電子4の加速および電子源による電子4の発生の少なくとも一方を停止させる制御器32を備えている。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 電子を発生する電子源と、この電子源に接続されていて当該電子源からの電子を加速する加速器と、この加速器に接続されていて当該加速器からの電子を走査する走査器と、この走査器の先端部に設けられていて、当該走査器内部の真空雰囲気と外部の照射雰囲気とを分離すると共に電子を透過させる窓箔を有する照射窓とを備えており、しかも前記走査器が、末広がりの形状をしていて上部付近に他よりも耐熱性の高い金属から成る走査部管を有する走査管と、この走査部管の外部に設けられていて電子を走査する走査コイルとを備えている電子線照射装置において、前記走査管を構成する走査部管の電子走査方向の少なくとも一方側に設けられていて当該走査部管の温度を検出する温度検出器と、この温度検出器で検出した温度と所定の設定温度とを比較して前者が後者を超えたときに温度異常検出信号を出力する比較器とを備えることを特徴とする電子線照射装置。 【請求項2】 前記温度検出器を、前記走査部管の下部付近に設けている請求項1記載の電子線照射装置。 【請求項3】 前記比較器からの温度異常検出信号に応答して、前記加速器による電子の加速および前記電子源による電子の発生の少なくとも一方を停止させる制御器を更に備える請求項1または2記載の電子線照射装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】この発明は、電子(電子線)を被照射物に照射して、当該被照射物に架橋、改質、殺菌等の処理を施すことに用いられる電子線照射装置に関し、より具体的には、電子を走査する走査型の電子線照射装置において、電子の過走査が起こった場合の検出手段に関する。 【0002】 【従来の技術】この種の電子線照射装置の従来例を図2に示す。この電子線照射装置は、電子(電子線)4を発生する電子源(例えばフィラメント)2と、この電子源2に接続されていて当該電子源2からの電子4を加速する加速器6と、この加速器6に接続されていて当該加速器6からの電子4を一定方向(この例では図中のX方向)に所定の走査幅で走査する走査器8と、この走査器8の先端部に設けられていて、当該走査器8(およびそれにつながる加速器6等)の内部の真空雰囲気と外部の照射雰囲気(例えば大気中)とを分離すると共に電子4を透過させる窓箔を有する照射窓14とを備えている。 【0003】照射雰囲気中に取り出された電子4は、被照射物(図示省略)に照射される。それによって、当該被照射物に、例えば架橋、改質、硬化、殺菌等の処理を施すことができる。 【0004】走査器8は、全体的に見て末広がりの形状をした走査管10と、この走査管10の上部付近の外部に設けられていて電子4を上記のように走査する走査コイル12とを備えている。 【0005】走査管10は、この例では、図3に示すように、上記加速器6に接続される接続部管10aと、その下部に接続されていて幾分末広がりになった走査部管10bと、その下部に接続されていて末広がりになった拡張部管10cとを備えている。この走査部管10bは非磁性の金属から成り、その外部に(具体的には、当該走査部管10bを紙面の表裏方向から挟むように)上記走査コイル12が設けられている。即ち、走査部管10bおよびその外部の走査コイル12は、走査管10の上部付近に設けられている。 【0006】走査部管10bは、加速された電子4を走査コイル12によって作られる磁界により走査する場所に位置していることから、、他の接続部管10aおよび拡張部管10cよりも磁性を帯びにくくかつ耐熱性の高い金属、例えばインコネルで形成されている。接続部管10aおよび拡張部管10cは、例えばステンレス鋼で形成されている。 【0007】拡張部管10cも、走査部管10bほどではないにしても、電子4が当たって温度が上昇する可能性があるので、通常はこの例のように、その外部に冷却パイプ20を何段かに(例えば3段に)設けて、冷却水等によって冷却するようにしている。 【0008】拡張部管10cには、この例では、走査管10等の内部を真空排気する真空排気装置16が接続されている。走査管10の内部の圧力(真空度)は圧力計18によって計測される。 【0009】 【発明が解決しようとする課題】上記電子線照射装置においては、装置の運転中(即ち電子4の発生中)に、何らかの原因で、例えば電子流のフィードバック制御系や走査コイル12の制御系等に予期せぬ異常が生じて、電子4の過走査(オーバースキャン)が生じて、図3中に2点鎖線で示すように、加速された電子4が走査管10の走査部管10bに当たることが起こり得る。 【0010】このような、電子4が走査部管10bに当たっている状態が2〜3秒続くと、たとえ走査部管10bを他よりも耐熱性の高い金属で形成していても、電子4が当たった部分が過熱され、破損や溶損することがある。 【0011】電子4が走査部管10b等に当たり続けると、そこからガスや蒸気が放出されて走査管10内の真空度が悪化する(即ち圧力が上昇する)ので、それを圧力計18で検出することは可能であるけれども、この方法による検出には比較的長い時間を要するので、この検出後に電子4の発生を止める等のインターロック動作に入っても、走査部管10bは既にかなり損傷を受けている場合が多いので、それでは遅過ぎる。 【0012】そこでこの発明は、走査器において電子の過走査が生じて当該電子が走査管の走査部管に当たる状態になったことを速やかに検出することを主たる目的とする。 【0013】 【課題を解決するための手段】この発明の電子線照射装置は、前記走査管を構成する走査部管の電子走査方向の少なくとも一方側に設けられていて当該走査部管の温度を検出する温度検出器と、この温度検出器で検出した温度と所定の設定温度とを比較して前者が後者を超えたときに温度異常検出信号を出力する比較器とを備えることを特徴としている。 【0014】走査器において電子の過走査が生じて当該電子が走査管の走査部管に当たる状態になると、当該走査部管が加熱されるため、その温度が急上昇する。前述したように走査管内の圧力上昇よりも、この走査部管の温度上昇の方が遙かに早い。この温度上昇が温度検出器によって検出され、その検出温度が設定温度を超えると、比較器から温度異常検出信号が出力される。 【0015】このようにして、走査器において電子の過走査が生じて当該電子が走査管の走査部管に当たる状態になったことを速やかに検出することができる。 【0016】 【発明の実施の形態】図1は、この発明に係る電子線照射装置の走査器周りの一例を示す図である。この部分以外の構成は、例えば図2に示したものと同様であるので当該図2およびその前記説明を参照するものとし、ここでは重複説明を省略する。また、図3に示した従来例と同一または相当する部分には同一符号を付し、以下においては当該従来例との相違点を主に説明する。 【0017】この電子線照射装置は、前記走査管10を構成する走査部管10bの電子線走査方向(この例では図中のX方向)の両側に設けられていて、当該走査部管10bの温度をそれぞれ検出する温度検出器22および24を備えている。両温度検出器22および24は、この例のように、走査部管10bの外部(大気側)に取り付けるのが簡単で良い。 【0018】走査器8において電子4の過走査が起こる場合は、左右対称に過走査が起こる場合が多いと想定されるので、温度検出器は電子走査方向の少なくとも一方側に(例えば温度検出器22または24の少なくとも一方を)設ければ良い。しかし、過走査が必ずしも左右対称に起こらない場合もあり得ることを想定して、この例のように両側に設けておく方がより好ましい。そのようにすれば、電子4の過走査をより確実にかつより速やかに検出することができる。 【0019】上記温度検出器22および24は、走査部管10bの内でも、この例のように当該走査部管10bの下部付近に設けるのがより好ましい。これは、走査器8において電子4の過走査が起こるとしても、電子4が真横に(90度近く)曲げられるような極端な過走査が起こる可能性は殆どなく、正常な走査よりも幾分大きな走査になる場合が多いと想定される。その場合は、電子4は走査部管10bの下部付近に当たり、その部分の温度が急上昇するので、当該下部付近に温度検出器22および24を設けておくことによって、当該温度上昇を、ひいては電子4の過走査発生を、近くでより速やかに検出することができる。 【0020】この電子線照射装置は、更に、上記各温度検出器22、24で検出した検出温度T1 、T2 と所定の設定温度T0 とをそれぞれ比較して、各検出温度T1 、T2 が設定温度T0 を超えたときに温度異常検出信号S1 、S2 をそれぞれ出力する比較器26および28を備えている。もちろん、上記のように温度検出器22、24をどちらか一方だけにする場合は、比較器26、28も対応するどちらか一方だけを設ければ良い。 【0021】上記設定温度T0 は、正常運転時の検出温度T1 、T2 の最大値よりも幾分高めに設定すれば良い。例えば、正常運転時の検出温度T1 、T2 は室温〜35℃程度であるので、上記設定温度T0 は、それよりも例えば5℃高めの40℃程度に設定すれば良い。 【0022】走査器8において電子4の過走査が生じて当該電子4が走査管10の走査部管10bに当たる状態になると、当該走査部管10bが加熱されるため、その温度が急上昇する。前述したように走査管10内の圧力上昇よりも、この走査部管10bの温度上昇の方が遙かに早い。この温度上昇がこの例では少なくとも一方の温度検出器22、24によって検出され、その少なくとも一方の検出温度T1 、T2 が設定温度T0 を超えると、少なくとも一方の比較器26、28から少なくとも一方の温度異常検出信号S1 、S2 が出力される。 【0023】このようにして、走査器8において電子4の過走査が生じて当該電子4が走査管10の走査部管10bに当たる状態になったことを速やかに検出することができる。これによって、走査部管10bの過熱による破損、溶損、真空漏れ等の事故発生を未然に防止することが可能になる。 【0024】更にこの例のように、上記比較器26または28からの温度異常検出信号S1またはS2 に応答して、即ち少なくとも一方の温度異常検出信号S1 、S2 が与えられたときにそれに応答して、前記加速器6による電子4の加速および電子源2による電子4の発生の少なくとも一方を停止させる制御器32を設けておくのが好ましい。この停止制御のために、制御器32はこの例ではインターロック信号Sを出力する。この制御器32を設けておけば、電子4の過走査が起こったときに、それの検出だけでなく当該電子4が走査部管10bに当たることを自動的に停止させることができるので、走査部管10bの過熱による破損、溶損、真空漏れ等の事故発生を未然にしかも自動で防止することができる。 【0025】上記制御器32によって加速器6による電子4の加速を停止させるためには、例えば、上記インターロック信号Sによって、加速器6に加速電圧を印加する加速電源(図示省略)を制御して当該加速電圧の出力を停止すれば良い。 【0026】また、制御器32によって電子源2による電子4の発生を停止させるためには、例えば、上記インターロック信号Sによって、電子源2を構成するフィラメントを加熱するフィラメント電源(図示省略)を制御して当該フィラメントの加熱を停止すれば良い。 【0027】加速器6による電子4の加速を停止させることと、電子源2による電子4の発生を停止させることの両方を行うのが好ましいけれども、勿論、どちらか一方のみを停止させても良い。 【0028】更にこの例のように、前述した圧力計18で検出した検出圧力P1 と所定の設定圧力P0 とを比較して、検出圧力P1 が設定圧力P0 を超えたときに圧力異常検出信号S3 を出力する比較器30を設けておいても良い。その場合は、この圧力異常検出信号S3 が与えられたときにも、上記制御器32から上記インターロック信号Sを出力して上記停止制御を行うようにしておくのが好ましい。 【0029】上記設定圧力P0 は、正常運転時の検出圧力P1 の最大値よりも幾分高めに設定すれば良い。例えば、正常運転時の検出圧力P1 は(1〜5)×10-6Pa程度であるので、上記設定圧力P0 は、それよりも高めの2×10-4Pa程度に設定すれば良い。 【0030】電子4の上記のような過走査が起こった場合は、通常は上記温度検出の方が速いけれども、上記のような比較器30系を更に設けておくと、電子4の過走査発生を、走査部管10bの温度上昇と走査管10内の圧力上昇の両方から検出することが可能になるので、過走査発生の検出および走査部管10bの保護がより確実になる。即ち、二重の検出および保護が可能になる。 【0031】また、過走査が小さくて電子4が走査部管10b以外の走査管10に、例えば拡張部管10cに当たって、そこからガス等が発生して走査管10内の圧力が上昇した場合にもそれを検出することができるので、過走査発生の検出および走査管10等の装置の保護がより確実になる。 【0032】 【発明の効果】この発明は、上記のとおり構成されているので、次のような効果を奏する。 【0033】請求項1記載の発明によれば、上記のような温度検出器および比較器を備えているので、走査器において電子の過走査が生じて当該電子が走査管の走査部管に当たる状態になったことを、当該走査部管の温度上昇によって速やかに検出することができる。 【0034】請求項2記載の発明によれば、温度検出器を、過走査による電子の当たる可能性の高い所付近に設けているので、電子の過走査発生をより近くでより速やかに検出することができる。 【0035】請求項3記載の発明によれば、電子の過走査が起こったときに、それの検出だけでなく、当該電子が走査部管に当たることを自動的に停止させることができるので、走査部管の過熱による破損等の事故発生を未然にしかも自動で防止することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000226688 【氏名又は名称】日新ハイボルテージ株式会社
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| 【出願日】 |
平成12年9月18日(2000.9.18) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100088661 【弁理士】 【氏名又は名称】山本 惠二
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| 【公開番号】 |
特開2002−90499(P2002−90499A) |
| 【公開日】 |
平成14年3月27日(2002.3.27) |
| 【出願番号】 |
特願2000−282013(P2000−282013) |
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