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【発明の名称】 放射線遮蔽体および遮蔽壁
【発明者】 【氏名】小西 亨

【氏名】伊佐 純一

【氏名】湯浅 一章

【氏名】清水 智倫

【要約】 【課題】遮蔽体を通じて被遮蔽体を監視できる視覚を確保し、また被遮蔽体の点検・操作を容易にしつつ適正な放射線源から作業者を保護できる構造の放射線遮蔽体および遮蔽壁を提供すること。

【解決手段】放射線シールドとして用いる遮蔽体に開口窓を設け、当該窓部分に鉛入りガラスを着脱可能に装着して被遮蔽体の点検・操作を可能とする。前記遮蔽体同士を平板状に接合する係合手段を設け、複数の遮蔽体から平板状の壁体構造を構成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 放射線シールドとして用いる遮蔽体本体に開口窓を設け、当該窓部分に鉛入りガラスを着脱可能に装着して被遮蔽体の点検・操作を可能としたことを特徴とする放射線遮蔽体。
【請求項2】 前記遮蔽体本体を複数の金属板からなる積層体を袋体に収納したマット構成としたことを特徴とする請求項1に記載の放射線遮蔽体。
【請求項3】 前記遮蔽体本体は鉛板または鉄板から形成されていることを特徴とする請求項1に記載の放射線遮蔽体。
【請求項4】 放射線シールドとして用いる遮蔽体に開口窓を設け、当該窓部分に鉛入りガラスを着脱可能に装着して被遮蔽体の点検・操作を可能とするとともに、前記遮蔽体同士を平板状に接合する係合手段を設けてなり、複数の遮蔽体からなる壁体構造としてなることを特徴とする放射線遮蔽壁。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は放射線遮蔽体および遮蔽壁に係り、特に人体に有害な各種放射線を放出する原子力発電所などの機器や配管からの各種放射線を遮蔽するのに好適な放射線遮蔽体並びにこれを用いた放射線遮蔽壁に関する。
【0002】
【従来の技術】原子力発電所などには、人体に有害な量の各種放射線を放出する機器や配管などが多数存在し、よって、人体の放射線被爆を回避するため、これら機器や配管には放射線遮蔽壁を設けている。これら被遮蔽体としての機器や配管から放出する放射線量が比較的多量の場合は遮蔽に鉛板壁を用いる一方、比較的少量の場合は遮蔽に鉄板壁を用いることもある。
【0003】従来の放射線遮蔽体として用いられているものに鉛板マットがある。これは例えば実開平6−56797号公報や特開平7−229999号公報に開示されているマット構造が知られている。これらの放射線遮蔽マットはベルトや締付具を利用して放射線源となる配管に巻きつけたり、鉛薄板を収納する袋体に設けた鳩目を利用して任意の支持部材の係止することで放射線源となっている施設や機器からシールドするように配設される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、従来の放射線遮蔽体構造のものでは、配管や機器などの被遮蔽体を点検・操作は、その都度鉛板マットを移動したり取り外したりすることが必要となっていた。このことは、被遮蔽体の稼働率を著しく低下させる他に、頻繁な点検、操作を実際上不可能とする不都合をもたらす。
【0005】また、被遮蔽体のなかで、常時、監視や目視を必要とし、遮蔽壁で視界が遮られることを不可とする部品や部分が存在するとき、上述の一面全体を覆う遮蔽壁を使用することができない。そのため、極めて複雑な構造をもつ、高コストの遮蔽壁を用いる不都合が生じる。
【0006】従って、この発明は、上記従来の問題点に着目し、遮蔽体を通じて被遮蔽体を監視できる視覚を確保し、また被遮蔽体の点検・操作を容易にしつつ適正な放射線源から作業者を保護できる構造とした放射線遮蔽体および遮蔽壁を提供することを目的とする。また、遮蔽壁を移動せずに、被遮蔽体の所定部品や所定部分を常時点検可能とし、かつ、これら所定部品や所定部分を短時間で容易に操作することが可能な、簡単構造で低コストの放射線遮蔽体および遮蔽壁を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明に係る放射線遮蔽体は、放射線シールドとして用いる遮蔽体本体部分に開口窓を設け、当該窓部分に鉛入りガラスを着脱可能に装着して被遮蔽体の点検・操作を可能とした。この場合において、前記遮蔽体本体を複数の金属板からなる積層体を袋体に収納したマット構成とすることができる。また、前記遮蔽体は鉛板または鉄板から形成してもよい。
【0008】本発明に係る放射線遮蔽壁は、放射線シールドとして用いる遮蔽体に開口窓を設け、当該窓部分に鉛入りガラスを着脱可能に装着して被遮蔽体の点検・操作を可能とするとともに、前記遮蔽体同士を平板状に接合する係止手段を設けてなり、複数の遮蔽体からなる壁体構造としてなることを特徴としている。
【0009】上記構成によれば、放射線遮蔽壁を移動させることなく、固定状態で被遮蔽体の所定部品や所定部分が常時点検可能となり、遮蔽壁はこれを構成する遮蔽体に窓を設けるのみで済むため、構造が簡単で低コストを実現することができる。また、遮蔽体として鉛板単体あるいは鉄板単体によって構成できるが、鉛板マットを適用することにより、被遮蔽体のいかなる構造、形状、放射線量にも対応可能となる。特に、鉛板マットは、その形状を容易に自在とする上で優位である。前記鉛入りガラス板を、遮蔽壁に用いる金属板と同等の放射線遮断性能を有する厚さとすればよい。鉛入りガラス板を金属板と同等の放射線遮断性能を有する厚さとすることで、人体に対する放射線被爆からシールドすることができる。
【0010】また、鉛入りガラス板の窓を前記遮蔽体本体に対して着脱自在に装着することで、必要に応じて短時間内で窓を取外し、窓を取外した空間からの被遮蔽体の操作を可能とすることができる。前記鉛ガラス板の窓と互換性を有する金属板片を着脱自在に設けと、必要に応じて金属板片を取外し、そこに窓を取付けて被遮蔽体の点検箇所を随意に増加させ変更させることが可能となり、さらに、必要に応じて金属板片の取外し状態で被遮蔽体の操作を可能とする効果を発揮する。
【0011】また窓を、鉛入りガラス板と、該ガラス板を保持する緩衝材付きの金属枠と、該金属枠を前記金属板に着脱自在に固定する固定手段とにより構成することにより、低コストで放射線漏れがない安全な遮蔽体を提供することができる。
【0012】更に、上述した遮蔽体を平板状に連接することにより遮蔽面積を任意に設定することができる。これにより、必要な箇所での視覚を確保することができると同時に、照明を遮らないので、保全管理が容易になる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態を図1〜図9に示す例に基づき説明する。図1は、この発明による放射線遮蔽壁の斜視図であり、図2は、図1に示す遮蔽壁を構成する遮蔽体を示し、特に鉛入りガラス窓を有する鉛板マットを示す正面図である。また、 図3〜6は、図2の遮蔽体の側面図、鉛入りガラス窓部分の断面図、図2に示す鉛ガラス板窓の製造方法の説明図であり、図2に示す遮蔽体の金属窓部分の断面図である。
【0014】図1において、放射線遮蔽壁(以下遮蔽壁という)1は、1枚以上の遮蔽体2を連接することにより1個の壁として構成する。図示例は10枚の遮蔽体2を縦横に連結して1個の壁を構成している。放射線を放出する機器類や配管(図示省略)などの被遮蔽体は、図示する遮蔽壁1の背面側(内側)に位置する。なお、被遮蔽体が比較的小型の場合は1枚の金属板2で遮蔽壁1を構成することもできる。また、図示の遮蔽体2は四角形(矩形)の平板構造であり、これも、被遮蔽体の構造や形状に最適に対応する形状とすることができる。
【0015】ここに、遮蔽壁1を構成する遮蔽体2の少なくとも1枚に窓3を設けるものとし、窓3には鉛ガラス板4を取付けるものとしている。図1では、5枚の金属板2に窓3を設け、残余の5枚の金属板2には窓3を設けていない組合わせに係る複数の遮蔽体2にて構成する遮蔽壁1を示す。鉛ガラス板4は、可視光線が透過可能な透明度を有するものとし、窓3の大部分を占める寸法とする。また、含有する鉛は鉛ガラス板4内で均一に分散させる。また、図示の窓3は正方形の形状を有し、これも、被遮蔽体の点検内容、操作内容に応じて長方形窓3又は円形窓3とすることもできる。
【0016】このように、少なくとも1枚の遮蔽体2に鉛ガラス板4の窓3を設けることにより、遮蔽壁1を移動することなく高稼働率を保持した状態で、遮蔽壁1にて隔絶する被遮蔽体を、放射線被爆からシールドすることができ、常時、目視或いはビデオカメラで点検することが可能となる。また、従来の遮蔽壁に鉛ガラス板4の窓3を設けるのみであるから、極めて簡単な構造で低コストの遮蔽壁1を実現することが可能である。
【0017】また、この実施形態に係る遮蔽体2は、複数枚の金属薄板からなる金属積層体を袋体に収納したマット構成とされている。金属積層体は被遮蔽体の放出放射線量に応じ、また、被遮蔽体の構造、形状に応じて、鉛板又は鉄板のいずれかを適用することができる。鉄板は構造用鋼板が適合する。鉛板の金属積層体2Aは、放射線遮蔽効果が高いこと、形状を容易に変化させることが可能であるから、ここでは、主として金属積層体2Aに鉛板を用いる場合につき述べる。図1に示す遮蔽壁1は平板状であるが、金属積層体2Aに鉛板を用いれば、遮蔽壁1を曲面形状とすること(図示省略)が容易であり、形状の多様化に有利だからである。もちろん、遮蔽体2事態を金属板単体によって構成することができる。
【0018】図2〜図4において、遮蔽体2には鉛薄板を袋体5に収納したマット構成とされている。金属積層体2Aは、鉛板を厚さ方向に複数枚、図示例は4枚の鉛薄板に分割して積層し、この鉛薄板積層体2Aを袋体5に収納して鉛板マットとし、この鉛板マットを遮蔽体2に適用する例を示す。この鉛板マットは上述の形状多様化に最適である。
【0019】図2〜図4において、窓3の鉛ガラス板4は、遮蔽壁1に用いる遮蔽体2と同等の放射線遮断性能を有する厚さtgとするのが好ましい。すなわち、厚さtgは、金属板2に鉛板を用いる場合、この鉛板と同等の放射線遮断性能を有する値とする。例えば、遮蔽能力として、鉛入りガラスの厚さ25mmで鉛板5.0mm相当を確保することができることが判明している。したがって、例えば、鉛板の合計厚さに対して5倍の厚さの鉛入りガラスを用いるようにすればよい。また、金属板2に鉄板を用いる場合、厚さtg は、この鉄板と同等の放射線遮断性能を有する値を確認して設定すればよい。これらにより、窓3を通じて放射線を被爆することが回避できる。
【0020】また、図2〜図4において、窓3は、鉛ガラス板4と、鉛ガラス板4を周囲から固定する金属枠6、例えば構造用鋼材の枠6と、金属枠6から外方に延びるフランジ7とを有する。フランジ7は、窓3を遮蔽体2(鉛板マット)に固定する役に供する。
【0021】すなわち、図示例では、遮蔽体2に頭部を埋設し、ねじ部を外方に突出させるボルト8に、フランジ7の4隅に設けた貫通穴7h を通し、ナット9の締結でフランジ7を金属板2、図示例では鉛板マットに固定するものである。ナット9は、蝶ナットとするのが短時間内での窓3の固定及び固定解除に有効である。なお、窓3は固定手段としてのフランジ7、貫通穴7h 及びナット9を含めた構成とする。この構成により、窓3を遮蔽体2に着脱自在に固定し、必要に応じて窓3を遮蔽体2から容易に取外すことができ、この窓3の取外し空間から人手乃至器具を挿入し、これらにより被遮蔽体の操作やメンテナンスを実行することができる。
【0022】図4を参照し、遮蔽体2として鉛板マットを用いる場合、窓3を嵌め込む穴空間の縁面を含む両端部面には窓縁布11を張合わせ、この布11を縫い込み養生を施すのがよい。布11は少なくともフランジ7と当接する領域までを覆う。
【0023】また、図5を参照し、窓3は、断面U字形の金属枠6を二つ割りとし、これらU字面に緩衝材12、例えばフェルト材12(図4参照)を敷きつめ、鉛ガラス板4に、その両側から各金属枠6を挿入して相互に突き合わせ、鉛ガラス板4を、緩衝材を介して合体し、金属枠6に固着する。二つ割り金属枠6それぞれは、フランジ7を備える。この方法に従い製造する窓3は、その形状如何を問わず安価に仕上がる。
【0024】ここで、図2及び図6において、遮蔽体2に、窓3の取付けが可能な切り取り空間に遮蔽体2と同じ材質の金属板片13を、窓3とは別個に設けることができる。金属板片13は、窓3と互換性を有し、窓3のフランジ7及び貫通穴7hと同じ位置に金属フランジ17とその貫通穴(図示省略)とを有する。切り取り空間の周囲には窓3の場合と同様にねじ部を外方に突出させるボルト18(線図で示す)を埋設し、窓3のナット9と同様なナット19(線図で示す)により、切り取り空間に金属板片13を着脱自在に固定する。
【0025】この金属板片13を金属板2に設けることにより、必要に応じて短時間で金属板片13を取外し、この位置に窓3を短時間で装着して1枚の遮蔽体2に複数個の窓3を設け被遮蔽体の複数位置の点検を実施したり点検位置を入替え、また、必要に応じて金属板片13を取外した状態で被遮蔽体の操作やメンテナンスを実行することができる。このように、別途の金属板片13を設けることで、遮蔽壁1の有効性を更に一層高めることができる。なお、切り取り空間の周囲に布11を設けておく。この金属板片13は、以下の図7〜図9に示す遮蔽壁1にも適用する。
【0026】図1に示す遮蔽壁1は固定式であるのに対し、図7に示す遮蔽壁1は可動式である。いずれの遮蔽壁1も鉛板マット形式の各遮蔽体2を垂直に懸垂させるタイプである。図2を参照し、この種の懸垂タイプの金属板2は、上部に1個以上、図示例は2個の懸垂用係止部材20を有し、係止部材20は、バー21乃至フック22に係止する長穴付き丸穴23を備える。バー21に長穴付き丸穴23を係止させて遮蔽体板2の縦列を形成させる。また、支持部材24のバー21乃至フック22に長穴付き丸穴23を係止させて遮蔽体2の横列を形成させると共に支持部材24に遮蔽壁1を固定する。図7に示す可動式遮蔽壁1は、支持部材24を移動させるタイプである。
【0027】これに対し、図8及び図9に示す遮蔽壁1は、遮蔽体本体を鉄板単体構造によって形成した実施形態である。図8に示す遮蔽壁1は固定式であり、図9に示す遮蔽壁1は可動式であり、後者の可動式とは、それぞれの遮蔽体2が矢印方向(図で左右方向)に開閉可能なタイプを指す。いずれの方式であれ、窓3は採光の役を果たし、被遮蔽体を明るい明視状態で点検し操作することに寄与する。
【0028】
【発明の効果】この発明によれば、移動させることなく固定状態で、かつ、放射線被爆のおそれなく、明るい明視状態で被遮蔽体の点検と、短時間内での被遮蔽体の各種操作とが可能な、簡単構造で低コストの放射線遮蔽壁を提供することができる。
【出願人】 【識別番号】000005452
【氏名又は名称】日立プラント建設株式会社
【出願日】 平成13年5月29日(2001.5.29)
【代理人】
【公開番号】 特開2002−350587(P2002−350587A)
【公開日】 平成14年12月4日(2002.12.4)
【出願番号】 特願2001−160228(P2001−160228)