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【発明の名称】 放射性物質の包装ケース及び放射性溶液注射筒
【発明者】 【氏名】垣見 満

【氏名】加藤 明

【要約】 【課題】放射性溶液を封入した放射性溶液注射筒において、再使用のために分解を容易にする。

【解決手段】
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ケース本体(2)と蓋体(3)とによって内部に放射性物質を収容する空間(11)を形成している包装ケース(1)に於いて、ケース本体(2)及び蓋体(3)は、金属粉末又は金属小粒を混ぜた樹脂にて形成されている放射線シールド層(22)(32)を金属製の外殻(21)(31)で包んで構成している放射性物質の包装ケース。
【請求項2】 ケース本体(2)と蓋体(3)とによって形成される空間(11)に放射性溶液注射筒(4)を収容した包装ケース(1)に於いて、ケース本体(2)及び蓋体(3)は、金属粉末又は金属小粒を混ぜた樹脂にて形成されている放射線シールド層(22)(32)を金属製の外殻(21)(31)で包んでいる放射性物質の包装ケース。
【請求項3】 ケース本体(2)の内底に緩衝部材(25)が配備されている請求項1又は2に記載の放射性物質の包装ケース。
【請求項4】 ケース本体(2)と蓋体(3)に跨って熱収縮性チューブ(82)が収縮状態で被さり、該チューブ(82)にケース本体(2)に収容した放射性物質の情報が示されている請求項1乃至3の何れかに記載の放射性物質の包装ケース。
【請求項5】 放射性溶液を封入したシリンジ(5)を、放射線シールド筒(6)に収容し、注射時の指掛り片(71)を具えた指掛り筒(7)をシールド筒(6)の基端に装着した放射性溶液注射筒に於いて、指掛り筒(7)は基端に内向きフランジ(73)を具え、該内向きフランジ(73)とシールド筒(6)の基端との間に、シリンジ(5)の基端に具えたフランジ(52)を挟み、シールド筒(6)と指掛り筒(7)に跨って熱収縮フィルムチューブ(8)が収縮状態で緊密に被さっていることを特徴とする放射性溶液注射筒。
【請求項6】 放射性溶液注射筒(4)は、請求項5に記載した注射筒である請求項2に記載の放射性物質の包装ケース。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する分野】本発明は、放射性物質を収容する包装ケース及び該ケースに収容される放射性溶液注射筒に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来、図5に示す放射性溶液注射筒(4)及び該注射筒を収容する包装ケース(1)が提案されている(特許第2623313号公報)。放射性溶液注射筒(4)は、放射性溶液を封入したシリンジ(5)を、放射線シールド筒(6)に収容し、注射時の指掛り片(71)を具えた指掛り筒(7)をシールド筒(6)の基端に装着している。
【0003】包装ケース(1)は、夫々鉛を主体とするケース本体(2)と蓋体(3)とによって構成され、ケース本体(2)には発泡樹脂製緩衝材(28)が嵌め込まれて、該発泡樹脂製緩衝材(28)に放射線溶液注射筒(4)の形状に対応する凹部(29)が形成されている。
【0004】上記包装ケース(1)は、発泡樹脂製緩衝材(28)の凹部(29)に放射性溶液注射筒(4)を収容して、外部への放射線の漏れを可及的に防止する。放射性溶液注射筒(4)は、シリンジ(5)をシールド筒(6)に嵌めた状態のままで包装ケース(1)から取り出して、そのまま被験者に放射性溶液を注射できるので、投与者(医者等)への放射線被曝を防止できる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】放射線の防護材料として鉛が使用されることが多いが、鉛は中毒汚染の問題がある。上記従来の包装ケースは、ケース本体(2)の上部内面には発泡樹脂製緩衝材(28)は被さっておらず、ケース本体(2)の内層(26)を形成する鉛及び蓋体(3)の内面の鉛板(36)が露出しているため、中毒汚染の問題を残したままである。
【0006】上記放射性溶液注射筒(4)は、指掛り筒(7)にシールド筒(6)の基端を嵌め、これをシリンジ(5)に嵌めている。包装ケース(1)の蓋体(3)内面にはフランジキャップ(9)が設けられていて、シールド筒(6)の基端側からフランジキャップ(9)を指掛り筒(7)に被せ、該フランジキャップ(9)の脚爪(91)を指掛り筒(7)の段部(75)に引掛けて、指掛り筒(7)を保持している。
【0007】シールド筒(6)は高価であるために再使用される。このため、シリンジ(5)とシールド筒(6)との嵌合には両者が容易に外れる様にクリアランスが設けられている。シールド筒(6)は、基端部が指掛り筒(7)に嵌合しているだけであり、放射性溶液注射筒(4)を包装ケース(1)から取り出す際に、シールド筒(6)と緩衝材(28)との摩擦抵抗が、指掛り筒(7)とシールド筒(6)の嵌合力より大きいときは、シールド筒(6)が包装ケース(1)内に残ってしまう虞れがあった。シリンジ(5)がシールド筒(6)から抜け出ると、放射線防護の役割は失われてしまう。
【0008】又、放射性溶液を被験者に注射した使用後のシールド筒(6)を再使用するために、シリンジ(5)をシールド筒(6)から抜き外すには、フランジキャップ(9)を外さねばならない。フランジキャップ(9)は複数の脚爪(91)が、指掛り筒(7)の段部(75)に係合しているため、この係合を同時に解除して、フランジキャップ(9)を指掛り筒(7)から外さねばならないが、この作業は手間が掛かり、作業を困難にする問題があった。又、上記シールド筒(6)は、再使用に耐える様に、表面に銀メッキやラスミン処理等の防錆処理の必要があり、この点でもコスト高を招来する。
【0009】前記包装ケース(1)は、外層(27)が樹脂であるから強度が小さく、輸送中に破損する虞れがある。本発明は、上記問題を解決できる放射性溶液注射筒及びその包装ケースを明らかにするものである。
【0010】
【課題を解決する手段】本発明の放射性溶液注射筒は、放射性溶液を封入したシリンジ(5)を、放射線シールド筒(6)に収容し、注射時の指掛り片(71)を具えた指掛り筒(7)をシールド筒(6)の基端に装着した放射性溶液注射筒に於いて、指掛り筒(7)は基端に内向きフランジ(73)を具え、該内向きフランジ(73)とシールド筒(6)の基端とによって、シリンジ(5)の基端から突出しているフランジ(52)を挟み、シールド筒(6)と指掛り筒(7)に跨って熱収縮フィルムチューブ(8)が収縮状態で緊密に被さっている。
【0011】本発明の放射性物質包装ケースは、ケース本体(2)と蓋体(3)とによって構成され、ケース本体(2)と蓋体(3)との間に放射性物質を収容する空間(11)を形成している包装ケース(1)に於いて、ケース本体(2)及び蓋体(3)は、金属粉末又は金属小粒を混ぜた樹脂にて形成されている放射線シールド層(22)(32)と、該シールド層(22)(32)の外側を包んでいる金属製の外殻(21)(31)とによって構成されている。
【0012】
【作用及び効果】本発明の包装ケース(1)及び放射性溶液注射筒(4)は、鉛製の遮蔽壁を用いずとも放射線を遮蔽できる。仮に包装ケース(1)の放射線シールド層(22)(32)の充填物として鉛の小粒を用いた場合でも、溶融樹脂と鉛の小粒を混練して成形するから、鉛の小粒は樹脂内に埋没しており、放射線シールド層(22)(32)の表面に直接に鉛の小粒が露出することはないため、鉛中毒の汚染の問題は軽減される。
【0013】包装ケース(1)は、外殻(21)(31)が金属製であるため、従来の外層が樹脂製である包装ケースに較べて、衝撃力や火災に強く、輸送中や保管中のこれらの事故によって放射線が漏出するほどにケース(1)や放射性溶液注射筒(4)が破損することは防止できる。従って、包装ケース(1)の再使用率を高めることができる。
【0014】包装ケース(1)の放射線シールド層(22)(32)は、金属粉末又は金属小粒を混練した樹脂にて形成されているため、放射線防護の役割と同時に緩衝作用も有しており、従来の様に、発泡樹脂製の緩衝材を内層に用いる必要はなく、収容した放射性溶液注射筒(4)を運搬中の衝撃から効果的に保護できる。
【0015】放射性溶液注射筒(4)にあっては、指掛り筒(7)とシールド筒(6)に跨って熱収縮フィルムチューブ(8)を被せ、該熱収縮性フィルムチューブ(8)を熱収縮させて両者を固定状態に保持しているため、不用意に両者の嵌合が外れることはない。又、熱収縮性フィルムチューブ(8)がシールド筒(6)の表面に美観を与え且つ保護する膜の役割を成すため、シールド筒(6)の表面に銀メッキやラスミン処理等を施す必要がなく、これらの加工のためのコストを削減できる。
【0016】シリンジ(5)は、その基端のフランジ(52)が指掛り筒(7)の内向きフランジ(73)とシールド筒(6)の基端に挟まれて、シールド筒(6)からの抜出しが確実に防止されるため、従来の様に、シールド筒(6)からシリンジ(5)が不用意に抜け出して、周囲を放射線被爆させる虞れはない。
【0017】シリンジ(5)内の放射性溶液を被験者に注射した後の使用済み注射筒(4)は、シールド筒(6)を再使用するために、シールド筒(6)からシリンジ(5)が外される。先ず熱収縮フィルムチューブ(8)を破って、シールド筒(6)と指掛り筒(7)の保持を解除する。シールド筒(6)から指掛り筒(7)を外し、次いでシールド筒(6)からシリンジ(5)を抜き外す。シールド筒(6)とシリンジ(5)との間には、抵抗なく抜き外しができるクリアランスを設けておくことができ、放射性溶液注射筒(4)の分解に手間取ることはない。
【0018】
【実施の形態】図1は、放射性溶液注射筒(4)を包装ケース(1)に収容した状態を示している。放射性溶液注射筒(4)は、塩化タリウム注射液、クエン酸ガリウム注射液等の放射性溶液を充填したシリンジ(5)と、該シリンジ(5)の外側に嵌まり放射線を防護するためのシールド筒(6)と、注射時の指掛り片(71)を具えシールド筒(6)の基端に嵌まった指掛り筒(7)と、指掛り筒(7)とシールド筒(6)とに跨って装着された熱収縮フィルムチューブ(8)とによって構成される。
【0019】シリンジ(5)は、ガラス又は合成樹脂にて形成された透明筒体であり、先端に細口の注出口(51)を突設し、該注出口(51)にプラスチックチップ(55)を被せ、該プラスチックチップ(55)にゴムキャップ(56)を装着している。シリンジ(5)の基端には外向きに短く突出したフランジ(52)を有している。シリンジ(5)に充填した放射性溶液は、シリンジ(5)の注出口(51)を塞ぐパッキン(54)とシリンジ(5)の基端側に嵌まったピストン(53)によって封入されている。ピストン(53)には、プランジャ(58)取付け用のネジ穴(53a)が開設されている。
【0020】シールド筒(6)は、タングステン又はタングステン合金等の密度の大きい金属にて前記シリンジ(5)を抵抗なく嵌めることのできる筒体に形成され、先端にはシリンジ(5)の注出口(51)に向けて円錐状に屈曲した内向き片(62)を有している。
【0021】シールド筒(6)には、先端側の肩部(57)から後端側に長孔状の窓部(63)が開設され該窓部(63)に鉛ガラス(64)が嵌め込まれている。鉛ガラス(64)の厚みはシールド筒(6)の厚みよりも大きく、鉛ガラス(64)はシールド筒(6)の外表面から外側に突出している。図1に示す如く、シールド筒(6)の内向き片(62)は、シールド筒(6)の基端がシリンジ(5)のフランジ(52)の下面に当たった状態のとき、シリンジ(5)の先端側肩部(57)に対して少し余裕が出来る位置に形成されている。
【0022】指掛り筒(7)は、ポリプロピレン、ポリエチレン、ABS樹脂等の合成樹脂にて形成され、シールド筒(6)の基端にガタつきのない様に着脱可能に嵌まる筒部の基端にシリンジ(5)基端内径に略等しい長さまで延び、シリンジ(5)のフランジ(52)に被さる内向きフランジ(73)を有し、先端外周には全周に亘って突条(72)を有している。指掛り筒(7)は、内向きフランジ(73)と突条(72)との間にて鍔状の指掛り片(71)を突設している。指掛り片(71)は、シリンジ(5)内の放射性溶液を注射する際の指掛りとなるものである。
【0023】指掛り筒(7)は、シールド筒(6)の基端に嵌まって内向きフランジ(73)がシリンジ(5)のフランジ(52)に被さっている。即ち、シールド筒(6)の基端と指掛り筒(7)の内向きフランジ(73)とによってシールド筒(6)に対するシリンジ(5)の軸方向の動きを拘束している。
【0024】熱収縮性フィルムチューブ(8)は、塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等にて形成された透明又は一部か全部を着色したチューブであって、収縮前の熱収縮性フィルムチューブ(8)の径は、シールド筒(6)、該シールド筒(6)に嵌めた鉛ガラス(64)の突出部及び指掛り筒(7)の突条(72)に余裕のある状態に嵌まる大きさであり、熱収縮性フィルムチューブ(8)は収縮した状態でシールド筒(6)の先端内向き片(62)から指掛り筒(7)の指掛り片(71)下端に触れるまでの長さが被さる長さである。図3に示す如く、熱収縮性フィルムチューブ(8)には、軸方向の全長に亘って接近して平行に延びる2本の断続的な切込み(81)(81)が施されている。
【0025】熱収縮性フィルムチューブ(8)を指掛り筒(7)とシールド筒(6)に跨って嵌め、加熱して熱収縮性フィルムチューブ(8)を主に周方向に収縮させて、指掛り筒(7)とシールド筒(6)に密着させる。これによって、シリンジ(5)上でシールド筒(6)と指掛り筒(7)は一体的に保持される。
【0026】包装ケース(1)は、深底の上面開口のケース本体(2)と、該開口に被さる蓋体(3)とによって構成され、上記放射性溶液注射筒(4)を収容できる空間(11)を有している。ケース本体(2)及び蓋体(3)は、何れも放射線シールド層(22)(32)を金属製の外殻(21)(31)で包んで形成されており、一旦使用した後でも使い棄てではなく、再使用される。
【0027】ケース本体(2)の外殻(21)は有底筒体に形成され、ケース本体(2)の放射線シールド層(22)は、外殻(21)と同じく有底筒体に形成され外殻(21)の内面に密着して嵌め込みできる。放射線シールド層(22)の上端は、外殻(21)の上端から少し突出している。ケース本体(2)の外面には、放射性溶液注射筒(4)の放射性溶液の情報を印刷したラベル(図示せず)が貼り付けられる。
【0028】蓋体(3)の外殻(31)は、円板状の被せ板(31a)の外周から下向きに周壁(31b)を突設し、該周壁(31b)の下部は前記ケース本体(2)の外殻(21)の上端部外周に嵌まる様に直径を拡大した嵌込み短筒部(31c)となっている。蓋体(3)の放射線シールド層(32)は、外殻(31)の被せ板(31a)及び周壁(31b)の夫々内面に密着して嵌まる厚板状に形成されている。
【0029】ケース本体(2)及び蓋体(3)の外殻(21)(31)の材質は、鉄、ステンレス鋼、真鍮等の銅合金、タングステン、タングステン合金等、金属であればよく種類は限定されない。但し、本発明は外殻(21)(31)自体によっても放射線防護の効果を得ることができるものであり、放射線防護の効果は、外殻(21)(31)に用いる物質の密度に関係する。従って、金属の中でも密度の大きいタングステンやタングステン合金で外殻(21)(31)を形成することにより、同じ放射線防護効果を得る場合、外殻(21)(31)の厚みを薄くできる。放射線防護の必要性の低いものについては外殻の厚みは0.5mm以下にすることも可能である。
【0030】ケース本体(2)と蓋体(3)の放射線シールド層(22)(32)は、溶融樹脂に金属粉末又は金属小粒を混練したものを成形して、外殻(21)(31)に嵌まる様に且つ、前記放射性溶液注射筒(4)を収容する空間(11)が得られる形状に形成されている。
【0031】放射線シールド層(22)(32)に用いられる金属粉末又は金属小粒の材質は、前述の如く、放射線防護の効果からは、タングステン、タングステン合金、鉛等の密度の大きい金属が望ましい。又、金属粉末、金属小粒は放射線シールド層(22)(32)の表面に露出することを防止するために球状に近い形状が望ましい。実施例では、金属粉末とは粒径が1mm以下、金属小粒とはそれ以上5mm以下を言う。金属粉末でも、樹脂との混練作業前の粉末の飛散防止を考慮すれば粒径が0.5mm以上とするのが望ましい。
【0032】放射線シールド層(22)(32)が高い放射線防護効果を得るには、金属粉末や金属小粒を大量に混入することが必要であり、容積比率で50〜80%としてもよい。放射線シールド層(22)(32)の均質化のためには、射出成形の際に、溶融樹脂に密度の大きい金属粉末、金属小粒を該層に均一に分散させなければならない。このためには、ポリアミド、ABS樹脂等の粘性の高い樹脂を用いるか、ポリエチレン、ポリプロピレン等の粘度の高い条件下で成形可能な樹脂を用いれば可い。
【0033】金属粉末又は金属小粒を溶融樹脂と混練して成形した場合、成形品の表面に金属粉末、金属小粒が直接に露出することはなく、従って、放射線シールド層(22)(32)に鉛の小粒を充填しても、鉛と接触することがないため、鉛中毒の問題は生じない。
【0034】上記ケース本体(2)の放射線シールド層(22)は、一体成形できるのは勿論であるが、前記放射性溶液注射筒(4)の鉛ガラス(64)部分の放射線防護力が弱い場合、放射線シールド層(22)の鉛ガラス(64)との対応部分を放射線防護効果が高い材料で形成した遮蔽部(24)となし、放射線シールド層(22)に形成した切欠部(23)に該遮蔽部(24)を嵌め込むこともできる。
【0035】ケース本体(2)の放射線シールド層(22)の内底には、吸取り紙等の吸水性及び緩衝作用のある材料で形成した吸水部材(25)が敷かれ、該吸水部材の中央には、前記放射性溶液注射筒(4)のゴムキャップ(56)が嵌まる凹み部(25a)が形成されている。
【0036】放射性溶液注射筒(4)をゴムキャップ(56)側を下にしてケース本体(2)に収容し、該ゴムキャップ(56)を吸水部材(25)の凹み部(25a)に嵌めた状態で包装ケース(1)に蓋体(3)を被せる。放射性溶液注射筒(4)は、包装ケース(1)の放射線シールド層(22)(32)及び吸水部材(25)によって動き得る余裕のない程度に拘束される。
【0037】ケース本体(2)と蓋体(3)に跨って熱収縮性フィルムチューブ(82)を嵌め、熱収縮させて密封する。熱収縮性フィルムチューブ(82)には、前記放射性溶液注射筒(4)の熱収縮性フィルムチューブ(8)と同様にして、チューブの軸方向に互いに接近して平行に延びる開封用の2本の断続的な切込みが施されている。又、熱収縮性フィルムチューブ(82)には、放射性溶液注射筒(4)の放射性溶液に関する製品名、内容量等の情報の全部又は一部を印刷しておくことができる。又、フィルムのチューブ(82)の色によって放射性溶液の情報の一部を表すことができる。
【0038】然して、包装ケース(1)は、ケース本体(2)及び蓋体(3)の夫々外殻(21)(31)が金属製であるため、従来の樹脂製外層の包装ケースに較べて、衝撃に強く、輸送中や保管中の破損事故、火災による焼損事故による放射線の漏出を防止できる。上記外殻(21)(31)で包囲された放射線シールド層(22)(32)は、金属粉末又は金属小粒を混ぜた樹脂にて形成されているため、放射線防護の役割と同時に緩衝作用をも有し、従来の様に、発泡樹脂製の緩衝材を内層に用いる必要はなく、収容した放射性溶液注射筒(4)を運搬中の衝撃から効果的に保護できる。
【0039】蓋体(3)を密閉している熱収縮性フィルムチューブ(82)に、放射性溶液注射筒(4)の放射性溶液に関する製品名、内容量等の情報の全部又は一部を印刷し、或いはフィルムチューブ(82)の色が該情報の一部を表す様にしておくことにより、見る方向によってはケース本体(2)に貼った情報ラベルが隠れている場合でも、フィルムチューブ(82)から放射性溶液の情報を確認できる。
【0040】熱収縮性フィルムチューブ(82)を破って蓋体(3)を外し、放射性溶液注射筒(4)を取り出す。熱収縮性フィルムチューブ(82)が破られることによって、開封か否か、即ち、放射性溶液注射筒(4)が未使用か否かを判別できる。
【0041】放射性溶液注射筒(4)は、指掛り筒(7)とシールド筒(6)に跨って熱収縮したフィルムチューブ(8)が被さり、指掛り筒(7)とシールド筒(6)を固定状態に保持しているため、不用意に両者の嵌合が外れることはない。又、熱収縮性フィルムチューブ(8)は、シールド筒(6)の表面に美観を与え且つ保護する膜の役割を成すため、シールド筒(6)の表面に銀メッキやラスミン処理等を施す必要がなく、これらの加工のためのコストを削減できる。
【0042】更に、熱収縮性フィルムチューブ(8)は、放射線シールド層(22)の切欠部(23)に嵌め込んだ鉛ガラス(64)にも被さっているから、シールド筒(6)において最も破損し易く、又、外れる虞れのある鉛ガラス(64)を熱収縮性フィルムチューブ(8)で保護して破損と外れ止めを画ることができる。又、鉛ガラス(64)の脱落を防止できるため、鉛ガラスを含むシールド筒(6)の再使用率の向上に貢献できる。
【0043】シリンジ(5)は、その基端のフランジ(52)が指掛り筒(7)の内向きフランジ(73)とシールド筒(6)の基端に挟まれて、シールド筒(6)からの抜出しは確実に防止されるため、従来の様に、シールド筒(6)からシリンジ(5)が不用意に抜け出して、周囲を放射線被爆させる虞れはない。
【0044】万一、包装ケース(1)内でシリンジ(5)が割れて放射性溶液注射筒(4)から放射性溶液が漏れ出すことがあっても、吸水部材(25)によって吸収されるため、後処理が簡単である。
【0045】取り出した放射性溶液注射筒(4)のピストン(53)にプランジャ(58)を連結し、ゴムキャップ(56)を外して両刀針(両頭針)(図示せず)をパッキン(54)を貫通して差し込み、被験者に放射性溶液を注射する。放射性溶液注射筒(4)のシールド筒(6)によって投与者(医者等)が放射線被爆することを防止される。シールド筒(6)上の鉛ガラス(64)を透して、投与中の注射液の残量を目視できる。
【0046】使用後の包装ケース(1)は、洗浄して再使用に備える。包装ケース(1)のケース本体(2)は、全体に有底筒状の単純な形状であり、蓋体(3)の形状も複雑ではないため、簡単に洗浄できる。
【0047】使用後の放射性溶液注射筒(4)は、シールド筒(6)を再使用するために、シールド筒(6)からシリンジ(5)を外す。これには、先ず熱収縮フィルムチューブ(8)を破って外し、シールド筒(6)と指掛り筒(7)の保持を解除する。熱収縮性フィルムチューブ(8)には、チューブの全長に亘って平行に延びる断続的な切込み(81)(81)が施されているから、簡単にフィルムチューブを破ることができる。
【0048】シールド筒(6)から指掛り筒(7)を外してシリンジ(5)の拘束を解き、シールド筒(6)からシリンジ(5)を外す。シールド筒(6)を洗浄して、再使用に備える。
【0049】本発明の実施に際し、ケース本体(2)に蓋体(3)を密封するには、前記熱収縮性フィルムチューブ(82)に代えて、蓋体(3)とケース本体(2)に跨って粘着テープを巻き付けても可い。この場合でも、テープの色によって内容物の情報の一部を表す様にできる。
【0050】本発明の包装ケース(1)及び放射性溶液注射筒(4)では、仮に包装ケース(1)の放射線シールド層(22)(32)の充填物として鉛の小球を用いた場合でも、該小球は樹脂との混練により必ず表面に樹脂が付着するため、放射線シールド層(22)(32)の表面に直接に鉛が露出することはないため、鉛中毒の汚染の問題は生じない。
【0051】図4は、指掛り筒(7)の内向きフランジ(73a)を、指掛り筒(7)とは分離して形成した他の実施例を示している。内向きフランジ(73a)は指掛り筒(7)に対してネジ螺合により取り外し可能である。この場合、シールド筒(6)に指掛り筒(7)を嵌めたまま、内向きフランジ(73a)を外すだけで、シールド筒(6)からシリンジ(5)を抜き外すことができる。
【0052】尚、本発明の包装ケース(1)は、放射性溶液注射筒(4)を収容することに限定されることはなく、放射性溶液注射筒(4)以外の放射性物質、例えばバイアル瓶の保管、運搬等の包装ケースに実施できるのは勿論である。
【0053】尚、本発明の放射性溶液注射筒及びその包装ケースの、長さ、肉厚等は、放射線の漏れを防止できる最小厚みで可く、一例を挙げれば、注射筒のシールド筒(6)は、外径18mmに対して厚みは、材質がタングステンの場合2〜5mm、鉛ガラスの厚みは5〜6mmの範囲とすることができる。又、包装ケースの外殻(21)(31)は材料が鉄の場合、厚みは0.5〜5mm、放射線シールド層(22)(32)は、厚み2〜10mmである。
【0054】本発明は、上記実施例の構成に限定されることはなく、特許請求の範囲に記載の範囲で種々の変形が可能である。
【出願人】 【識別番号】300049958
【氏名又は名称】シエーリング アクチエンゲゼルシャフト
【出願日】 平成13年3月9日(2001.3.9)
【代理人】 【識別番号】100066728
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 敏之 (外2名)
【公開番号】 特開2002−277588(P2002−277588A)
【公開日】 平成14年9月25日(2002.9.25)
【出願番号】 特願2001−66513(P2001−66513)