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【発明の名称】 放射性廃棄物処分施設
【発明者】 【氏名】小西 一寛

【要約】 【課題】廃棄物から発生するガスを利用してコンクリート構造物のひび割れや、外周充填材の噴発および攪乱を防止できるようにすることである。

【解決手段】地盤E中の地下水位WLより低位置に構築されたコンクリート構造物1と、構造物1周囲に充填された低透水性充填材料ないしは高透水性充填材料からなる外周材2とを備え、構造物1の内部に、放射性廃棄物を収納した金属製の廃棄体3を順次収容するとともに、廃棄体3間に中詰材4を充填する作業を繰り返して構造物1の内部を満杯とし、この状態で構造物1の上部開口を閉塞し、その上部に外周材2を充填した上で埋め戻すことにより、施設を閉鎖するようにした放射性廃棄物処分施設において、予め構造物1の底部に、底面側外周材2に連通するガス抜き孔12を形成した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 地盤中の地下水位より低位置に構築されたコンクリート構造物と、構造物周囲に充填された外周材とを備えた施設にして、前記構造物の内部に、放射性廃棄物を収納した廃棄体を順次収容するとともに、該廃棄体間に中詰材を充填する作業を繰り返した後、当該施設を閉鎖するようにした放射性廃棄物処分施設において、前記構造物の底版または側壁に前記外周材に連通するガス抜き孔を形成したことを特徴とする放射性廃棄物処分施設。
【請求項2】 前記外周材が、高透気性充填材料からなることを特徴とする請求項1に記載の放射性廃棄物処分施設。
【請求項3】 前記コンクリート構造物の内面にシール材をライニングしたことを特徴とする請求項1または2に記載の放射性廃棄物処分施設。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、放射性廃棄物処分施設に関し、特に、放射性廃棄物処分施設から発生するガスを利用したガスバリアシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】放射性廃棄物の処分施設として、地下水の動水勾配により核種が移行することを防止するために、複数の低透水性材料で廃棄物を覆うことが行われる。具体的には、放射性廃棄物を金属製廃棄体内に収納し、この廃棄体を地下コンクリート構造物内に設置しつつ、廃棄体間の隙間にセメント系材料等の中詰材を充填することで貯蔵する。また、構造物の周囲に低透水性材料からなる外周材を充填し、周囲地盤から隔離することが行われる。
【0003】図2は、従来の放射性廃棄物処分施設の縦断面を示すもので、1は地盤E中の地下水位WLより低位置に構築された底版、側壁および頂版からなるコンクリート構造物、2は構造物1の周囲に充填されたセメント系、ベントナイト系等により構成される低透水性の外周充填材である。この構造においては、例えば、当初構造物1の底版および側壁を構築した後、放射性廃棄物を収容した金属製廃棄体3をその内部に順次設置するとともに、各廃棄体3間に中詰材4を充填する作業を底部から順に繰り返すことで、構造物1の内部を廃棄物で満たし、その後、構造物1の頂版を構築し、その上部に外周材2を充填した上で埋め戻しを行うことで、施設が閉鎖される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、以上の貯蔵方法においては、経年により地下水等が構造物1の内部に浸透し、廃棄体3の金属が腐食および放射線分解し、また有機物が分解することにより、ガスが発生するのは避け難いものとなっている。そして、ガスの発生量に比較して構造物1のガス透過量が少ない場合には、構造物1内にガスが滞留し、構造物1の内側ガス圧が外側の地下水圧より大きくなり、コンクリート構造物1が引張限界に達すると、打継目が剥離したりひび割れが発生し、図2に矢印で示すごとく破損個所から、一気にガスが放出され、外周充填材2が噴発するおそれがあるため、このような事態を確実に避けるため、コンクリート構造物1の頂版に予めガス抜き孔を形成することによって、ガス圧の上昇を未然に防ぐことも考えられている。
【0005】しかしながら、コンクリート構造物1の頂版にガス抜き孔を形成した場合にあっては、当該ガス抜き孔が内部発生ガスの透気経路となり、ガス抜き孔からガスが徐々に廃棄されるが、面的な拘束を受けていない透気経路に位置する上部側外周材2が攪乱されてダメージを受ける可能性があることから、核種移行の抑制に対して、十分な照査や他の確実な手段を講じる必要があった。
【0006】本発明は、以上の課題を解決するものであって、その目的は、廃棄物から発生するガスを利用してコンクリート構造物のひび割れや、外周充填材の噴発および攪乱を防止できるようにした放射性廃棄物処分施設を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため、本発明は、地盤中の地下水位より低位置に構築されたコンクリート構造物と、構造物周囲に充填された外周材とを備えた施設にして、前記構造物の内部に、放射性廃棄物を収納した廃棄体を順次収容するとともに、該廃棄体間に中詰材を充填する作業を繰り返した後、当該施設を閉鎖するようにした放射性廃棄物処分施設において、前記構造物の底部である底版または側壁に(好ましくは底版に)前記外周材に連通するガス抜き孔を形成したことを特徴とするものである。従って、本発明によれば、構造物の内圧が地下水圧より大きくなると、構造物の底部側からガスが抜けるため、構造物に作用する内圧は、構造物高さの水圧以下の差圧に制限される。そして、ガスが抜ける際、コンクリート構造物の底部側外周材は、構造物底版によって面的拘束を受けるため、ガス抜き孔をガスが通過してもこの部分が攪乱を受けることがない。また、外周材内に放出したガスは、地下水圧と拮抗し、地下水の浸入を抑制するための低動水勾配帯、ないしはガスの不飽和帯を形成し、地下水の浸入を防止するためのガスバリアとして機能する。
【0008】また、請求項2に記載の発明は、前記外周材が、高透気性充填材料からなることを特徴とする。従って、本発明によれば、外周材中に供給されたガスは、外周充填材各部に均一にゆきわたるため、ガスバリアとしての機能が大となる。
【0009】さらに、請求項3に記載の発明は、前記コンクリート構造物の内面にシール材をライニングすることを特徴とする。従って、本発明では、ガス抜き箇所がガス抜き孔の形成位置のみに確実に特定される。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好ましい実施の形態につき、添付図面を参照して詳細に説明する。なお、従来と同一箇所には同一符号を付し、異なる箇所にのみ異なる符号を用いて説明する。図1は、本発明に係る、放射性廃棄物処分施設から発生するガスを利用したガスバリアシステムを実施した放射性廃棄物処分施設を示すものである。
【0011】このものは、従来と同じく、地下水位WLより低位置に構築された底版、側壁、頂版からなる地下コンクリート構造物1と、その周囲に充填された低透水性材料からなる外周充填材2とからなっている。構造物1の底版と側壁の構築後、その底面から順に、放射性廃棄物が収容された金属製筒体からなる廃棄体3をその内部に順次設置するとともに、各廃棄体3間の隙間にセメント系材料等の中詰材4を充填する作業を底部から順に繰り返すことで、構造物1の内部を廃棄物で満たした後、構造物1の頂版を構築し、その上部に外周材2を充填した上で埋め戻しを行うことで、施設が閉鎖される。
【0012】以上に加え、本実施の形態では、コンクリート構造物1の内面にシール材10をライニングし、構造物1の気密性を高め、構造物1の底版1aには内外を貫通するガス抜き孔12を形成し、この孔12の部分に底部側外周材2が底版1aの上面と面一に入り込んだ構成となっている。なお、同図では、一つのガス抜き孔12のみが描かれているが、規模に応じて複数箇所形成することができる。また、各ガス抜き孔12の径は、予測される内圧上昇に適合してガス抜きが可能な寸法に設定される。さらには、ガス抜き孔12に安全弁ないしは一方向弁等を設置し、構造物1の内圧が一定圧以上となった場合にのみ、弁を開いてガスを外部に逃す構造とすることも可能である。
【0013】また、前記外周材2は、ベントナイト、ベントナイトと砂の混合材、セメント系充填材料等の低透水性の充填材料から構成されている。なお、低透水性の充填材料に換えて、砂礫と砂の混合材、ポーラスコンクリートなどの透気性の充填材料により外周材2を構成することも可能である。
【0014】以上の構成において、閉鎖中に、廃棄体3の金属が腐食および放射線分解し、また有機物が分解することにより、コンクリート構造物1内でガスが発生し、構造物1内にガスが滞留し、構造物1の内側ガス圧が外側の地下水圧より大きくなり、この圧力が構造物1の底部での水圧に相当する圧力以上となると、矢印に示すごとく、ガスが徐々にガス抜き孔12を通って外周材2側に抜け、構造物1に作用する内圧は、構造物1の高さに相当する水圧以下の差圧に制限されるため、構造物に対するダメージが小さなものとなる。結局、本発明においては、廃棄体3から発生するガスをコンクリート構造物1内に貯留させ、ガス圧を外側地下水圧以上、構造物1躯体のひび割れ発生圧力以下に制御することができるのである。
【0015】そして、ガスが抜ける際、構造物1の底部側外周材2は、構造物1の底版により面的拘束を受けるため、ガス抜き孔12をガスが通過してもこの部分が攪乱を受けることがなく、低透水層としての機能を保持できる。また、外周材2内に放出したガスは、地下水圧と拮抗し、地下水の浸入を抑制する低動水勾配帯、ないしはガス不飽和帯を形成し、地下水の浸入を防止するためのガスバリアとして機能し、構造物1に対する地下水の浸入を抑制する。さらに、地下水の浸入抑制効果によって、金属の腐蝕や、有機物の分解も抑制されるため、ガス発生そのものも抑制できるといった相乗効果も得られる。
【0016】なお、以上の実施形態では、構造物1の内面全体にシール材10を設けた。これは、構造物1そのものの漏気防止効果を高めるためのものであるが、構造物1自体の透気性が十分低い場合には、必ずしも必要ではない。
【0017】以上の実施形態では、コンクリート構造物1の外周を覆う外周充填材2が低透水性材料からなっていたが、外周充填材2として透気性ないしは高透気性充填材料を用いた場合には、ガスは徐々にガス抜き孔12から放出され、外周充填材2の各部に均一にゆきわたり、コンクリート構造物1の外周に不飽和体が形成されて、地下水と隔離されたガスバリアとなる。
【0018】
【発明の効果】以上の説明により明らかなように、本発明による放射性廃棄物処分施設にあっては、構造物内部で発生するガスはガス抜き孔を通じて徐々に放出されるため、内圧上昇による構造物のひび割れや、外周材の噴発現象を未然に防止できる。また、地下水の構造物内部への浸入も抑制でき、これによりガス発生そのものも抑制できるとともに、鉄筋コンクリートを劣化させる鉄筋腐食や水和物の溶解も抑制される。
【出願人】 【識別番号】000000549
【氏名又は名称】株式会社大林組
【出願日】 平成13年1月12日(2001.1.12)
【代理人】 【識別番号】100071283
【弁理士】
【氏名又は名称】一色 健輔 (外3名)
【公開番号】 特開2002−214393(P2002−214393A)
【公開日】 平成14年7月31日(2002.7.31)
【出願番号】 特願2001−5191(P2001−5191)