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【発明の名称】 容器冷却ジャケット
【発明者】 【氏名】小川 和也

【要約】 【課題】流路形成板と容器或いはジャケット本体との隙間からの冷却水の漏れを確実に防止できる新規な容器冷却ジャケットの提供。

【解決手段】容器Yの表面を一定の間隙を隔てて覆うジャケット本体2と、そのジャケット本体2内に冷却水の流路を区画形成する流路形成板Sとからなる容器冷却ジャケット1において、上記流路形成板3を上記容器Y側に溶接すると共に、そのジャケット本体2側に上記流路形成板3に沿って帯状の弾性シール部材6を設ける。これによって、流路形成板3とジャケット本体2との隙間からの冷却水の漏れを確実に防止でき、設計通りの優れた冷却効果を発揮できる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 容器の表面を一定の間隙を隔てて覆うジャケット本体と、そのジャケット本体で区画された間隙内に冷却水の流路を区画形成する流路形成板とからなる容器冷却ジャケットにおいて、上記流路形成板が上記容器側に溶接されていると共に、そのジャケット本体側に上記流路形成板に沿って帯状の弾性シール部材が設けられていることを特徴とする容器冷却ジャケット。
【請求項2】 容器の表面を一定の間隙を隔てて覆うジャケット本体と、そのジャケット本体で区画された間隙内に冷却水の流路を区画形成する流路形成板とからなる容器冷却ジャケットにおいて、上記流路形成板が上記ジャケット本体側に溶接されていると共に、その容器側に上記流路形成板に沿って帯状の弾性シール部材が設けられていることを特徴とする容器冷却ジャケット。
【請求項3】 容器の表面を一定の間隙を隔てて覆うジャケット本体と、そのジャケット本体で区画された間隙内に冷却水の流路を区画形成する流路形成板とからなる容器冷却ジャケットにおいて、上記流路形成板が上記容器側に溶接されていると共に、そのジャケット本体側に弾性のライニングが形成されていることを特徴とする容器冷却ジャケット。
【請求項4】 容器の表面を一定の間隙を隔てて覆うジャケット本体と、そのジャケット本体で区画された間隙内に冷却水の流路を区画形成する流路形成板とからなる容器冷却ジャケットにおいて、上記流路形成板が上記ジャケット本体側に溶接されていると共に、その流路形成板の端部に沿って紐状の弾性シール部材が設けられていることを特徴とする容器冷却ジャケット。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば崩壊熱を発生する高レベル放射性廃液等を溜める発熱容器の表面に設けられ、その容器表面に冷却水等の冷却媒体を流して強制的に冷却するための容器冷却ジャケットに関するものである。
【0002】
【従来の技術】核燃料再処理施設において発生する高レベル放射性廃液は、施設内の所定のセル内に設置された密閉容器(タンク)内に一時的に貯留・保管され、順次ガラス固化処理されることになるが、この貯留・保管に際して含まれている核分裂生成物の崩壊熱によって多くの熱を発生し、容器全体を高温に加熱する。
【0003】そのため、このような高レベル放射性廃液を溜める容器の表面、特に、発熱源となる核分裂生成物が溜まりやすい容器底部の周囲には、いわゆる容器冷却ジャケットと称される水冷式の冷却手段が設けられ、外部から導入される低温の冷却水によって容器を強制的に冷却し、容器内から発生する崩壊熱を効率的に除去するような工夫が施されている。
【0004】この容器冷却ジャケットとしては、例えば、図6(1)に示すように容器Yの底部を一定の間隙を隔てて覆うジャケット本体aに冷却水流路Sを区画形成する複数の流路形成板b,b…を同心円状に配列したものであり、同図(2)に示すようにこのジャケット本体aの周縁部を容器Yの底部に溶接した構造となっている。
【0005】そして、このジャケット本体a中央部の冷却水入口cから冷却水を連続して流し込み、これを図7の破線矢印に示すようにその流路形成板b,b…で形成された冷却水流路Sに沿って中心部から順次外周部側に流した後、そのジャケット本体2の外周部に形成された冷却水出口dから順次排出することで容器Yをその底部から強制的に冷却するようにしている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、このような構造をした従来の容器冷却ジャケットにあっては、各流路形成板b,b…がジャケット本体a側に溶接されているのに対し、その容器Y側端部は容器Y側に溶接することができず、単に容器Y表面に接触している状態であることから、製作誤差或いは熱変形等によって図8(1)に示すように流路形成板bの端部と容器Yとの間に大きな隙間が生じ、ここから内周側の冷却水流路S1内を流れる冷却水の一部がバイパス流として外周側の冷却水流路S2側へ漏れ出してしまい、所定の冷却効果が得られないといった不都合があった。
【0007】そのため、先ずこの流路形成板bを容器Y側に溶接し、その後、この流路形成板bを覆うようにジャケット本体aを容器Y側に取り付けることも考えられるが、そうすると反対に同図(2)に示すように、流路形成板bとジャケット本体aとの間に隙間が発生し、ここから冷却水が漏れ出して上記と同様に良好な冷却効果が得られない。
【0008】そこで、本発明はこのような課題を有効に解決するために案出されたものであり、その目的は、流路形成板と容器或いはジャケット本体との隙間からの冷却水の漏れを確実に防止できる新規な容器冷却ジャケットを提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために本発明は、請求項1に示すように、容器の表面を一定の間隙を隔てて覆うジャケット本体と、そのジャケット本体で区画された間隙内に冷却水の流路を区画形成する流路形成板とからなる容器冷却ジャケットにおいて、上記流路形成板が上記容器側に溶接されていると共に、そのジャケット本体側に上記流路形成板に沿って帯状の弾性シール部材が設けられているものである。
【0010】これによって、ジャケット本体を容器側に取り付けた際にその弾性のシール部材が流路形成板側に密着するように変形するため、製作誤差や熱変形等によってジャケット本体と流路形成板との間に隙間が生じてもこの隙間が弾性のシール部材で完全に塞がれて冷却水のバイパス流が防止される。
【0011】また、請求項2に示すように、上記流路形成板を上記ジャケット本体側に溶接すると共に、その容器側に上記流路形成板に沿って帯状の弾性シール部材を設ければ、その弾性のシール部材が流路形成板側に密着するように変形するため、流路形成板と容器との隙間を効果的にシールすることができる。
【0012】また、請求項3に示すように、上記流路形成板を上記容器側に溶接すると共に、そのジャケット本体側に弾性のライニングを形成すれば、請求項1と同様に、流路形成板とジャケット本体との隙間を効果的にシールすることができる。
【0013】さらに、請求項4に示すように、上記流路形成板の端部に沿って紐状の弾性シール部材を設ければ、流路形成板と容器との隙間を効果的にシールすることができると同時に、シール部材による断熱効果を抑制することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】次に、本発明を実施する好適一形態を添付図面を参照しながら説明する。
【0015】図1及び図2は本発明に係る容器冷却ジャケット1の実施の形態を示したものである。
【0016】図示するように、この容器冷却ジャケット1は、下方に膨らんだ容器Y底面を覆う半球面状のジャケット本体2と、このジャケット本体2と容器Y底面との間隙に設けられる流路形成板3とから主に構成されている。
【0017】このジャケット本体2は、従来と同様に容器Y底面に沿って半球面状に加工された金属板の上縁部を容器Yの側面下部に溶接して取り付けられるようになっており、容器Y底部に一定の空隙を区画形成するようになっている。そして、その中央部には、冷却水を導入する冷却水入口4が形成されると共にその外周部には導入された冷却水を排出する冷却水出口5が形成された構造となっている。
【0018】一方、流路形成板3は、この冷却水入口4を中心として同心円状に配列された複数の環状区画板3a,3a…(本実施の形態にあっては5つ)とその中心部から径方向に延びる縦区画板3bとからなっており、図示するように環状区画板3a,3a…の縦区画板3bと交差する部分を交互に切り欠いて連続した一つの冷却水流路Sが区画形成されるようになっている。
【0019】従って、図3(1)に示すようにこの流路形成板3を容器Yの底面に同心円状に溶接して取り付けると共に、図3(2)に示すようにこの流路形成板3を覆い隠すようにその容器Yの底面にジャケット本体2を取り付けた後、そのジャケット本体2の中央部の冷却水入口4からその内部に冷却水を流し込むと、これが流路形成板3で区画形成された冷却水流路Sに沿って流れ、その冷却水出口5から順次排水されることでその容器Yがその底面から強制的に冷却されることになる。
【0020】そして、本発明の容器冷却ジャケット1にあっては、さらに図2に示すように、そのジャケット本体2の内面、すなわち流路形成板3と接触する面に、その流路形成板3に沿って帯状の弾性シール部材6が予め貼り付けられた構造となっている。
【0021】従って、流路形成板3を容器Yの底面に取り付けた後、ジャケット本体2を容器Yの底面に取り付けると、図4に示すようにその流路形成板3の端部(下部)がこの弾性シール部材6を押し潰すように強く密着されることになるため、製作誤差や熱変形によって仮に流路形成板3の端部とジャケット本体2間隙間が大きくなった場合でもこの弾性シール部材6がその隙間量に応じて変形することによりその隙間を確実にシールすることができる。
【0022】これによって、従来のように内周側冷却水流路S1から外周側冷却水流路S2へ冷却水がバイパスして漏れ出すことがなくなり、所定の冷却効果を確実に得ることができる。尚、この弾性シール部材6としては、耐放射線性に優れ、かつその隙間量に応じて適当に変形するものであれば特に限定されるものでなく、例えば軟質の金属や金属Oリング,無機質材等を用いることができる。
【0023】次に、図5(1)〜(3)は、本発明の他の実施の形態を示したものである。先ず、図5(1)の実施の形態は、上述したように流路形成板3に沿って形成された弾性シール部材6に代えて、ジャケット本体2の容器Y側内面全体に亘って弾性のライニング7を施したものである。すなわち、上記実施の形態の場合では、帯状の弾性シール部材6を予めジャケット本体2の容器Y側内面に流路形成板3に沿って貼り付けるようにしたため、その貼り付け位置が流路形成板3と精度良く一致していなかったり、あるいは熱変形が大きくてその位置がずれてしまった場合等には、その十分なシール効果を発揮できなくなってしまうおそれがあるが、本実施の形態のようにジャケット本体2の容器Y側内面全体に亘って弾性のライニング7を施せば、熱変形等に拘わらず常に流路形成板3をジャケット本体2側に密着させることが可能となり、より確実にその隙間をシールすることが可能となる。
【0024】次に、図5(2)の実施の形態は、流路形成板3の取付位置を上記実施の形態と反対にした場合、すなわち、予めジャケット本体2側に取り付けた場合を示したものであり、この場合には、流路形成板3と容器Yとの間に隙間が形成されるため、上述した帯状の弾性シール部材6を容器Y側に取り付ければ、上記実施の形態と同様に流路形成板3と容器Yとの隙間を確実にシールすることが可能となる。しかも、このように流路形成板3を予めジャケット本体2側に取り付けておけば、容器冷却ジャケット1と容器Yとを並行して製作することができるため、工期の短縮にも寄与することが可能となる。
【0025】ところで、このように流路形成板3を予めジャケット本体2側に取り付けた場合に、さらに図5(1)の如く、容器Y底面全体にライニング7を施すことも考えられるが、そうするとこのライニング7が容器Y底面の断熱材として機能してしまい、冷却水側への熱伝達率が大幅に減少してしまうため、この構造は得策ではない。また、同様の理由により、図5(2)の実施の形態の場合には、容器Y側の帯状の弾性シール部材6が多分に断熱材として機能するおそれがあることから、このような場合には、その弾性シール部材6をできるだけ細く、例えば図3に示すように紐状のシール部材8とし、これを流路形成板3の端部に形成された溝9に嵌め込むような構造とすることが望ましい。
【0026】尚、上記各実施の形態では、容器Yの底面に設ける冷却ジャケットの場合で説明したが、容器周面あるいはその全体に亘って設ける場合にも同様に適用することができ、また、冷却水に代えて高温水やガス等の熱媒を流す保温ジャケットにも同様に適用できることは勿論である。
【0027】
【発明の効果】以上要するに本発明によれば、設計誤差や熱変形等によってジャケット本体と流路形成板との間、あるいは流路形成板と容器との間に隙間が発生した場合であっても、この隙間を確実にシールすることができる。従って、冷却水の一部がその隙間から外側の冷却水通路側にバイパスして漏れ出すことがなくなり、設計通りの優れた冷却効果を発揮することができる。また、ある程度の製作誤差を許容することができるため、製作コスト及び取付けコストの低廉化に寄与することができる等といった優れた効果を発揮する。
【出願人】 【識別番号】000000099
【氏名又は名称】石川島播磨重工業株式会社
【出願日】 平成13年1月18日(2001.1.18)
【代理人】 【識別番号】100068021
【弁理士】
【氏名又は名称】絹谷 信雄
【公開番号】 特開2002−214388(P2002−214388A)
【公開日】 平成14年7月31日(2002.7.31)
【出願番号】 特願2001−10434(P2001−10434)