| 【発明の名称】 |
放射性アスファルト固化体の処理方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】鈴木 泰博
【氏名】渋谷 守
【氏名】久保 美和
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| 【要約】 |
【課題】低コストで実施でき、しかも硝酸性または亜硝酸性窒素の環境中への放出を防ぐことができる放射性アスファルト固化体の処理方法を提供する。
【解決手段】放射性アスファルト固化体に溶剤を添加して混合し流動化させる固化体流動化工程1と、得られた混合物中の固形分を分離する固液分離工程2と、分離した固形分を、炭素を含む転換剤の存在下で加熱することによって、固形分中の硝酸塩および/または亜硝酸塩を分解し炭酸塩に転換させる炭酸塩転換工程5とを有する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 放射性アスファルト固化体に溶剤を添加して混合し流動化させる固化体流動化工程と、得られた混合物中の固形分を分離する固液分離工程と、分離した固形分を、炭素を含む転換剤の存在下で加熱することによって、固形分中の硝酸塩および/または亜硝酸塩を分解し炭酸塩に転換させる炭酸塩転換工程とを有することを特徴とする放射性アスファルト固化体の処理方法。 【請求項2】 放射性アスファルト固化体に溶剤を添加して混合し流動化させる固化体流動化工程と、得られた混合物中の固形分を分離する固液分離工程と、固形分を分離除去した液体分から溶剤を回収する溶剤回収工程とを有することを特徴とする放射性アスファルト固化体の処理方法。 【請求項3】 放射性アスファルト固化体に溶剤を添加して混合し流動化させる固化体流動化工程と、得られた混合物中の固形分を分離する固液分離工程と、固形分を分離除去した液体分から溶剤を回収する溶剤回収工程と、溶剤を回収したアスファルト主体の溶剤回収残渣を固化処理する再固化工程または溶剤回収残渣を加熱処理する加熱処理工程とを有することを特徴とする放射性アスファルト固化体の処理方法。 【請求項4】 固液分離工程において、混合物中の固形分を膜分離によって分離することを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか1項記載の放射性アスファルト固化体の処理方法。 【請求項5】 炭酸塩転換工程において発生する排ガス中の窒素酸化物を分解する脱硝工程と、炭酸塩転換工程において生成する炭酸塩を含む残渣をセメント固化するセメント固化工程とを有することを特徴とする請求項1記載の放射性アスファルト固化体の処理方法。 【請求項6】 加熱処理工程において発生する加熱残渣をセメント固化するセメント固化工程を有することを特徴とする請求項3記載の放射性アスファルト固化体の処理方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、原子力発電プロセスなどにおいて排出される廃棄物である放射性アスファルト固化体を処理する方法に関する。 【0002】 【従来の技術】原子力発電プロセスなどにおいて排出される放射性廃棄物は、アスファルトによって固化する方法によって処理される。この方法によって得られたアスファルト固化体は、通常、ドラム缶などの容器に収容して保管施設に保管される。近年では、上記放射性アスファルト固化体の保管施設の収容能力が不足しがちであるが、保管施設の新設は多大なコストを要することから、放射性アスファルト固化体の埋め立て処分が検討されている。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、通常、放射性アスファルト固化体には、微量の放射性核種に加え、環境汚染の原因となり得る硝酸性または亜硝酸性の窒素が多く含まれることから、放射性アスファルト固化体の埋め立て処分を行う処理方法では、硝酸性または亜硝酸性窒素が環境中に放出され、環境に悪影響を及ぼす可能性が指摘されている。このため、硝酸性または亜硝酸性窒素の環境中への放出を防ぐことができる処理方法が要望されていた。本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、低コストで実施でき、しかも硝酸性または亜硝酸性窒素の環境中への放出を防ぐことができる放射性アスファルト固化体の処理方法を提供することを目的とする。 【0004】 【課題を解決するための手段】本発明の放射性アスファルト固化体の処理方法は、放射性アスファルト固化体に溶剤を添加して混合し流動化させる固化体流動化工程と、得られた混合物中の固形分を分離する固液分離工程と、分離した固形分を、炭素を含む転換剤の存在下で加熱することによって、固形分中の硝酸塩および/または亜硝酸塩を分解し炭酸塩に転換させる炭酸塩転換工程とを有することを特徴とする。本発明では、放射性アスファルト固化体に溶剤を添加して混合し流動化させる固化体流動化工程と、得られた混合物中の固形分を分離する固液分離工程と、固形分を分離除去した液体分から溶剤を回収する溶剤回収工程とを有する方法を採ることもできる。本発明では、放射性アスファルト固化体に溶剤を添加して混合し流動化させる固化体流動化工程と、得られた混合物中の固形分を分離する固液分離工程と、固形分を分離除去した液体分から溶剤を回収する溶剤回収工程と、溶剤を回収したアスファルト主体の溶剤回収残渣を固化処理する再固化工程または溶剤回収残渣を加熱処理する加熱処理工程とを有する方法を採ることもできる。固液分離工程においては、混合物中の固形分を膜分離によって分離するのが好ましい。本発明では、炭酸塩転換工程において発生する排ガス中の窒素酸化物を分解する脱硝工程と、炭酸塩転換工程において生成する炭酸塩を含む残渣をセメント固化するセメント固化工程とを実施することもできる。本発明では、加熱処理工程において発生する加熱残渣をセメント固化するセメント固化工程を実施することもできる。 【0005】 【発明の実施の形態】図1は、本発明の放射性アスファルト固化体の処理方法の一実施形態を示す流れ図である。図2は、本実施形態の処理方法を実施するのに好適に用いることができる処理装置を示す概略構成図である。以下、これらの図を参照しつつ、本実施形態の処理方法について説明する。本発明の処理方法において処理対象となる放射性アスファルト固化体は、原子力発電プロセスなどにおいて排出される129Iなどの放射性物質を含む放射性廃棄物(放射性廃液等)を、アスファルトによって固化することによって得られたものであり、通常、ドラム缶などの容器に収容されて保管される。放射性アスファルト固化体は、通常、50〜70重量%のアスファルトを含む。 【0006】図2に示すように、本実施形態の処理方法では、放射性アスファルト固化体を、供給経路11を通して混合槽12に供給するとともに、この放射性アスファルト固化体に、溶剤添加経路13を通して溶剤を添加し、これらを攪拌機を用いて混合する(図1における固化体流動化工程1)。この溶剤としては、汎用の有機溶媒を用いることができ、キシレン、ヘキサン、トルエン等が使用可能である。なかでも特に、アスファルトに対する親和性に優れたキシレンを使用するのが好ましい。溶剤の添加量は、過剰となると溶剤コストが嵩む。またこの添加量は、不足するとアスファルト固化体の流動化が不十分となり、後述する固液分離工程における分離効率が低下しやすくなる。このため、溶剤の添加量は、放射性アスファルト固化体に対し、5〜15m3/180L(すなわち27.8〜83.3m3/m3放射性アスファルト固化体)とするのが好ましい。この添加量は、50〜80m3/m3とするのがより望ましい。溶剤をアスファルト固化体に添加し混合することによって、固化体中のアスファルトの少なくとも一部は溶剤に溶解し、この放射性アスファルト固化体は流動化する。 【0007】次いで、溶剤添加により流動化した混合物を、膜分離装置14に供給する(図1における固液分離工程2)。この工程では、混合物中の固形分が分離膜14aにより分離される。この分離膜14aとしては、平均孔径が0.3μm以下であるものを用いるのが好ましい。この平均孔径が上記範囲を越えると、混合物中の硝酸塩や亜硝酸塩からの窒素除去率が低下する。またこの平均孔径は、処理効率の点から0.05μm以上とするのが好ましい。 【0008】通常、放射性アスファルト固化体に含まれる硝酸塩や亜硝酸塩などの塩は、アスファルトに溶解しにくいため、固形分として放射性アスファルト固化体中に存在する。このため、この工程では、膜分離装置14において、硝酸塩および亜硝酸塩が固形分として膜分離される。また、放射性アスファルト固化体に含まれる放射性物質(129I等)の大部分は固形分として放射性アスファルト固化体中に存在するため、固液分離工程2においては、放射性物質の大部分も分離される。 【0009】次いで、固形分を分離除去した溶剤とアスファルトとの混合物(液体分)を、溶剤回収塔15に供給する(図1における溶剤回収工程3)。溶剤回収塔15では、混合物を加熱したり減圧下におくことなどによって、混合物中の溶剤を蒸散させて回収する。回収した溶剤は、溶剤返送経路16を通して混合槽12に供給し、固化体流動化工程1において用いられる溶剤として再利用することができる。 【0010】溶剤を分離除去したアスファルト主体の混合物(溶剤回収残渣)は、必要に応じてドラム缶などの容器に収容した後、冷却してアスファルトを再び固化させ、処理済アスファルト固化体とすることができる(図1における再固化工程4)。 【0011】再固化工程4で得られた処理済アスファルト固化体は、燃焼炉24において加熱処理してアスファルトを分解させることができる(図1における加熱処理工程6)。処理済アスファルト固化体を加熱する際には、液中燃焼を採用するのが好ましい。処理済アスファルト固化体を加熱処理することにより、アスファルトを加熱分解させ、固化体の減容化を図ることができる。加熱処理により得られた加熱残渣は、セメント固化処理装置25において、セメントで固化するなどの方法で処分することができる(図1におけるセメント固化工程8)。この残渣は、再固化工程4において処理済アスファルト固化体中に混入させてもよい。 【0012】また本発明では、溶剤を分離除去したアスファルト主体の混合物(溶剤回収残渣)を、再固化させることなくそのまま加熱処理工程6に供することもできる。 【0013】上記膜分離装置14において分離した固形分は、固形分供給経路17を通してか焼炉18に供給するとともに、この固形分に、転換剤添加経路19を通して転換剤を添加する。この転換剤は、炭素を含み、硝酸塩または亜硝酸塩を炭酸塩に転換させ得るものであればよい。この転換剤としては還元糖などの糖を用いることができる。還元糖としては、グルコース、フルクトース、マルトースなどを挙げることができる。また転換剤としてはショ糖を用いることもできる。転換剤の添加量は、固形分100重量部に対し、600〜1400重量部(好ましくは1000〜1400重量部)とするのが好ましい。この添加量が上記範囲未満であると、硝酸塩または亜硝酸塩を炭酸塩に転換させる際の転換効率が低下し、上記範囲を越えると、転換剤のコストが嵩むようになる。 【0014】転換剤を添加した固形分は、か焼炉18において加熱され、か焼される。この加熱処理を行う際の処理条件は、固形分中の硝酸塩または亜硝酸塩が分解し、分解物である窒素酸化物(以下、NOxという)が揮散し得るように設定する。加熱温度は、300〜500℃とするのが好適である。この温度が上記範囲未満であると、硝酸性窒素および亜硝酸性窒素の転換効率が低下する。またこの温度が上記範囲を越えると、加熱コスト高騰を招く。 【0015】この工程においては、固形分中の硝酸塩および/または亜硝酸塩が分解し、転換剤に由来するCH2OH基との反応により炭酸塩に転換するとともに、分解物であるNOxが揮散し、排ガスとして分離する(図1における炭酸塩転換工程5)。放出されたNOxを含む排ガスは、NOx導出経路20を通してか焼炉18から排出される。この炭酸塩転換工程5は、気相中に酸素が存在しない条件で行うと、硝酸性窒素および亜硝酸性窒素の転換効率を高めることができるため好ましい。 【0016】NOx導出経路20を通してか焼炉18から導出されたNOxを含む排ガスは、触媒反応器21に導入される。触媒反応器21に用いられる触媒としては、アルミナなどの坦体に、バナジウム、ニッケル、コバルト、モリブデン、白金、クロム、タングステン、鉄、パラジウムなどを担持させたものが使用できる。触媒反応器21に導入された排ガス中のNOxは、アンモニア導入経路22からのアンモニアと反応して還元され、無害な窒素ガスと水が生成する(図1における脱硝工程7)。これら窒素ガスおよび水は、導出経路23を通して系外に導出される。 【0017】炭酸塩転換工程5で生成した炭酸塩などの加熱残渣は、セメント固化処理装置25においてセメントで固化するなどの方法で処分することができる(図1におけるセメント固化工程8)。またこの炭酸塩などの加熱残渣は、再固化工程4において処理済アスファルト固化体中に混入させてもよい。 【0018】本実施形態の処理方法では、放射性アスファルト固化体に溶剤を添加して混合し流動化させた後(固化体流動化工程1)、得られた混合物中の固形分を、固液分離により分離する(固液分離工程2)ので、固形分として存在する硝酸性または亜硝酸性の窒素を、容易に分離除去することができる。このため、処理済みの混合物を埋め立て処分した場合でも、環境中に硝酸性または亜硝酸性窒素が放出されるのを防ぐことができる。よって、放射性アスファルト固化体を、容易に埋め立て処分可能な状態とすることができる。従って、放射性アスファルト固化体を中間貯蔵廃棄物として保管する必要がなくなり、中間貯蔵管理コストを削減することができる。また分離した固形分を、転換剤の存在下で加熱し、固形分中の硝酸塩、亜硝酸塩を分解し、無害な炭酸塩に転換させる(炭酸塩転換工程5)ので、固形分を無害化し、容易に処理可能な形態にすることができる。従って、処理コストをさらに抑えることができる。 【0019】また前記固形分離によって固形分を分離除去した混合物(液体分)から溶剤を除去し回収する(溶剤回収工程3)ことによって、回収した溶剤を固化体流動化工程1に再利用することができる。よって、固化体流動化工程1に必要な溶剤の量を抑え、処理コスト削減を図ることができる。また混合物(液体分)から溶剤を除去することによって、この混合物(溶剤回収残渣)を再固化しやすい状態とすることができる。 【0020】溶剤を除去した溶剤回収残渣を固化処理する(再固化工程4)ことによって、この残渣を容易に処分可能な形態とすることができる。従って、処理作業を容易にするとともに、処理コスト削減を図ることができる。 【0021】また溶剤回収残渣を加熱処理する(加熱処理工程6)ことによって、アスファルトを加熱分解させ、混合物の減容化を図ることができる。従って、処理コスト低減が可能となる。 【0022】また固形分を加熱処理する際に排出される排ガスを、脱硝装置に導入し排ガス中のNOxを分解する(脱硝工程7)ことによって、このNOxを無害な窒素と水とに変換し、環境への悪影響を防ぐことができる。またNOx処理を不要として処理コスト削減を図ることができる。 【0023】また固形分を加熱処理することにより得られた炭酸塩を含む加熱残渣をセメントなどにより固化する(セメント固化工程8)ことによって、この残渣を容易に処分可能な形態とすることができる。 【0024】加熱処理工程6において発生する加熱残渣をセメントを用いて固化することによって、この残渣を容易に処分可能な形態とすることができる。 【0025】なお、本発明では、固液分離工程において混合物中の固形分を分離する方法として、沈降分離を用いることもできる。 【0026】 【実施例】(実施例1)アスファルト360gを180℃に加熱し、このアスファルトに、硝酸ナトリウム水溶液(29.5wt%)1Lを混練して模擬アスファルト固化体を作製した。この模擬アスファルト固化体10gに、キシレン1.5Lを添加し十分に混合し、流動化した混合物を得た。この混合物中の固形分を、分離膜(平均孔径0.05μm)を用いて分離した。硝酸性窒素濃度測定の結果、固形分を分離除去した混合物中には、硝酸性窒素が含まれていないことが確認された。分離した固形分(ろ過残渣)1gをるつぼに入れ、ショ糖10gを転換剤として添加し、電気炉で400℃に加熱した。加熱残渣を塩酸に溶解し溶液の硝酸性窒素濃度を測定した結果、硝酸性窒素は検出されなかった。 【0027】この結果より、固形分の膜分離によって、混合物から硝酸塩を除去することができたことがわかる。 【0028】(実施例2〜5)混合物から分離した固形分に転換剤を添加して加熱する際の加熱温度を変えたこと以外は実施例1と同様にして模擬アスファルト固化体を処理した。加熱残渣中の硝酸性窒素含有量を測定した結果を表1に示す。 【0029】 【表1】
【0030】表1より、炭酸塩転換工程5における加熱温度を300℃以上とすることによって、硝酸性窒素除去効率をより高めることができることがわかる。 【0031】 【発明の効果】以上説明したように、本発明の放射性アスファルト固化体の処理方法では、放射性アスファルト固化体に溶剤を添加して混合し流動化させる固化体流動化工程と、得られた混合物中の固形分を分離する固液分離工程とを有するので、固形分として存在する硝酸性または亜硝酸性の窒素を、容易に分離除去することができる。このため、処理済みの混合物を埋め立て処分した場合でも、環境中に硝酸性または亜硝酸性窒素が放出されるのを防ぐことができる。よって、放射性アスファルト固化体を、容易に埋め立て処分可能な状態とすることができる。従って、放射性アスファルト固化体を中間貯蔵廃棄物として保管する必要がなくなり、中間貯蔵管理コストを削減することができる。また分離した固形分を、炭素を含む転換剤の存在下で加熱することによって、固形分中の硝酸塩および/または亜硝酸塩を分解し炭酸塩に転換させる炭酸塩転換工程とを有するので、固形分を無害化し、容易に処理可能な形態にすることができる。従って、処理コストをさらに抑えることができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000004411 【氏名又は名称】日揮株式会社
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| 【出願日】 |
平成12年12月11日(2000.12.11) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100064908 【弁理士】 【氏名又は名称】志賀 正武 (外6名)
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| 【公開番号】 |
特開2002−181993(P2002−181993A) |
| 【公開日】 |
平成14年6月26日(2002.6.26) |
| 【出願番号】 |
特願2000−375794(P2000−375794) |
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