| 【発明の名称】 |
加速器施設の放射線遮蔽設備 |
| 【発明者】 |
【氏名】高畑 正人
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| 【要約】 |
【課題】日射や外気温の変動によるコンクリ−ト躯体の変形を防止し、且つ、施工費用を削減することを可能とした加速器装置の放射線遮蔽設備を提供する。
【解決手段】コンクリ−ト躯体10における外部に面する部位の外表面から内表面に向かって、コンクリ−ト躯体10の温度による伸縮を抑制しようとする方向、つまり、屋根部分10Aには鉛直方向に、外周壁部分10Bには床面10Cに向かう傾斜を有する方向に、連続するスリット11を形成し、当該スリット11に、コンクリ−ト躯体10における伸縮の吸収を阻害しない材質からなる充填材12を充填する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 加速器から発生する放射線を遮蔽するために、前記加速器をコンクリ−ト躯体で覆ってなる加速器施設の放射線遮蔽設備において、前記コンクリ−ト躯体の外部に面する部位の外表面から内表面に向かって、前記コンクリ−ト躯体の伸縮を抑制しようとする方向と交差する方向に連続するスリットを設けるとともに、当該スリットに、前記コンクリ−ト躯体における伸縮の吸収を阻害しない材質からなる充填材を補充することを特徴とする加速器施設の放射線遮蔽設備。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、加速器から発生する放射線を遮蔽するためにコンクリ−ト躯体で覆ってなる加速器施設の放射線遮蔽設備に関する。 【0002】 【従来の技術】通常、シンクロトロンやサイクロトロン等の加速器から取り出される電子ビ−ムは、癌等の治療及び心臓病等の診断を行うためのPET(Positron EmissionTomograph ・陽電子断層撮影方法)等の検査に使用される医療用、或いは、半導体基板上にマスクパタ−ンを転写する半導体リソグラフィに使用される工業用、さらには、環境汚染や大気汚染の分析に使用される検査用等として様々な分野で広く利用されている。 【0003】加速器を設置する加速器施設には、人体への影響や測定機器への干渉を妨げるために、加速器から発生する電子ビ−ム等の放射線を遮蔽するための遮蔽設備が形成されている。当該遮蔽設備は、かなりの厚さを有するコンクリ−ト躯体等で覆われてなり、該コンクリ−ト躯体の一部は外部に面する部位も有している。ここで、コンクリ−ト躯体がかなりの厚さを有することによって、外部にさらされる外表面と、屋内の内表面との温度差が発生し、そのため、気温差に起因するコンクリ−ト躯体の温度による伸縮の度合いも異なってくる。つまり、コンクリ−ト躯体の外表面は、日射や外気温の変動が激しいため温度による伸縮が大であるのに対して、温度変化がみられないコンクリ−ト躯体の内表面は、温度による伸縮が小であるため、外気温が極端に高い夏期には、コンクリ−ト躯体における外周壁及び屋根部分は外側に円弧を描くように変形し、該変形につれて、床面は内側に円弧を描くように変形する。一方、外気温が極端に低い冬期には、コンクリ−ト躯体における外周壁及び屋根部分は内側に円弧を描くように変形し、該変形につれて、床面は外側に円弧を描くように変形する。よって、加速器を支持するための床面は、一年を通して上下に変位してしまうため、加速器の精度を保持するためには、頻繁に調整を行う必要があった。また、機器の設計や据え付けの際にも、床の変位を考慮して行わなければならなかった。 【0004】そこで、かかる煩わしさを解消するために、遮蔽するためのコンクリ−ト躯体のうち外部に面する部位に外断熱を施し、日射や外気温の変動に影響を受けないようにする手段が取られている。また、コンクリ−ト躯体からなる床面と外周壁とを別個に形成し、床面を地盤に直置きすることによって、外周壁の温度伸縮による床面への影響を妨げようとする手段も容易に考えられる。これらの手段によって、コンクリ−ト躯体からなる遮蔽設備に覆われた加速器の精度を保持することが可能となった。 【0005】 【発明の解決しようとする課題】ところが、前述したコンクリ−ト躯体に外断熱を施すという手段は、外断熱を施すための施工費用が嵩むのみならず、外断熱を施すことによってコンクリ−ト躯体の防水措置が必要となってしまうため、さらに施工費用が高騰してしまうという問題があった。 【0006】また、コンクリ−ト躯体からなる遮蔽設備の床面と外周壁とを別個に形成するという手段は、建物の最下階にしか適用できないという問題があった。本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、日射や外気温の変動によるコンクリ−ト躯体の変形を防止し、且つ、施工費用を削減することを可能とした加速器装置の放射線遮蔽設備を提供することを課題としている。 【0007】 【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、本発明は、加速器から発生する放射線を遮蔽するために、前記加速器をコンクリ−ト躯体で覆ってなる加速器施設の放射線遮蔽設備において、前記コンクリ−ト躯体の外部に面する部位の外表面から内表面に向かって、前記コンクリ−ト躯体の伸縮を抑制しようとする方向と交差する方向に連続したスリットを設けるとともに、当該スリットに、前記コンクリ−ト躯体における伸縮の吸収を阻害しない材質からなる充填材を補充した加速器施設の放射線遮蔽設備としている。 【0008】本発明において、コンクリ−ト躯体の外部に面する部位の外表面から内表面に向かって、コンクリ−ト躯体の伸縮を抑制しようとする方向と交差する方向、つまり、外周壁には略水平方向に、屋根には略鉛直方向に連続したスリットを設けたことによって、日射や外気温の変動によるコンクリ−ト躯体の温度による伸縮を吸収し、応力発生を防止することが可能となる。 【0009】よって、コンクリ−ト躯体の変形を防止するため、加速器を支持する床面が一年を通して上下に変位することを抑制することが可能となる。また、コンクリ−ト躯体の外表面から内表面に向かって連続して形成したスリットに、コンクリ−ト躯体の伸縮吸収を阻害しない材質からなる充填材を補充したことによって、加速器施設の放射線遮蔽設備における遮蔽性能の低下を最小に抑えることができる。 【0010】 【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施の形態について図面を参照して説明する。図1は、本発明における放射線遮蔽設備を示す断面図である。図2は、本発明における遮蔽設備を形成するための型枠における外周壁部分の一部を示す断面図である。 【0011】本発明における放射線遮蔽設備100は、図1に示すように、加速器施設(図示しない)を取り囲むように形成された屋根部分10A、外周壁部分10B、床部分10Cを有する中空状の略矩形箱体のコンクリ−ト躯体10から形成されており、屋根部分10A及び外周壁部分10Bは、床部分10Cの略3倍の厚みから形成されている。 【0012】また、放射線遮蔽設備100を構成しているコンクリ−ト躯体10において、屋根部分10A及び外周壁部分10Bの外部に面する部位の外表面には、温度による伸縮を抑制しようとする方向と交差する方向に連続した複数のスリット11が形成されている。スリット11は、コンクリ−ト躯体10の外表面から内表面に向かって、コンクリ−ト躯体10における屋根部分10Aや外周壁部分10Bが構造強度上有効であるように、コンクリ−ト躯体の2/3までの切り込みが形成されている。本実施の形態においては、屋根部分10Aには、水平方向(図面における左右方向)への伸縮を抑制するために鉛直方向(図面における上下方向)に向かうスリット11を形成し、外周壁部分10Bには、鉛直方向への伸縮を抑制するために床面10Cに向かう傾斜を有するスリット11を形成している。さらに、該スリット11には、コンクリ−ト躯体10における伸縮の吸収を阻害しない材質、例えば、砂や砂鉄等の比較的比重が大きな素材や、伸縮性が高い固形体からなる充填材12が補充されている。この充填材の落下を防止するために、外周壁部分10Bのスリット11には、床面10Cに向かう傾斜が形成されている。 【0013】ここで、放射線の遮蔽性能は、放射線が透過する間に存在する物質の重量が大きくなるほど高くなるため、スリット11に補充される充填材12は比重の重い材質であるほうが好ましい。しかし、傾斜を有するスリット11を形成することによって、スリット11内を通過する放射線の通過距離が長くなるため、比重の小さな充填材12を用いても遮蔽性能の確保が可能となる。 【0014】本発明における放射線遮蔽設備100を形成するためには、図2に示すようにまず、外周壁部分10Bの内表面を形成するコンクリ−ト型枠13側に、補強するための壁鉄筋14をそれぞれ配設する。次に、床面10Cに向かって傾斜を有するスリット11を形成するために、外周壁部分10Bの外表面にあたるコンクリ−ト型枠13に、該スリット11と同一形態を有する伸縮性の高い固形体からなる充填材12を連続して設置する。さらに、コンクリ−トのおさまりを良くするために、スリット11部分にもスリット間鉄筋15を配設している。ここで、同様に、屋根部分10Aには、鉛直方向に向かうスリット11を形成するために、屋根部分10Aの外表面に当たるコンクリ−ト型枠13に連続して充填材12を配置する。また、屋根部分10Aの内表面を形成するコンクリ−ト型枠13側には屋根スラブ鉄筋(図示しない)を、スリット11部分にはスリット間鉄筋15を同様に配設する。その後、上述したコンクリ−ト型枠13にコンクリ−ト(図示しない)を打設し、該コンクリ−トの硬化後、コンクリ−ト型枠13を撤去することで、外周壁部分10B及び屋根部分10Aに充填材12が既に補充されたスリット11を有するコンクリ−ト躯体10を形成することができる。つまり、コンクリ−ト躯体10に形成したそれぞれのスリット11に、伸縮性の高い固形体からなる充填材12が補充されることによって、放射線遮蔽性能の低下を最小に抑え、コンクリ−ト躯体10の温度による伸縮を防止することを可能とした加速器施設の放射線遮蔽設備100を形成することができる。 【0015】上記構造の加速器施設の放射線遮蔽設備100において、外部に面する部位のコンクリ−ト躯体10の外表面から内表面にかけて、コンクリ−ト躯体10の温度による伸縮を阻害する方向と交差する方向にスリット11を形成したことによって、日射や外気温の変動によってコンクリ−ト躯体10が変形することを防止することが可能となった。よって、放射線遮蔽設備100における床面10Cが、一年を通して変形することがなくなるため、加速器(図示しない)の精度を保持するために頻繁に機器の調整を行う必要がなくなった。 【0016】また、外周壁部分10Bや屋根部分10Aに形成したスリット11に、コンクリ−ト躯体10の温度による伸縮吸収を阻害しない材質からなる充填材12を補充したことによって、コンクリ−ト躯体10にスリット11を形成したとしても放射線の遮蔽性能を確保することができる。さらに、外周壁部分10Bに形成したスリット11に、床面10Cに向かう傾斜を設けたことによって、スリット11に補充した充填材12の落下を防止するばかりでなく、スリット11内を通過する放射線の通過距離を長くするため、遮蔽性能の低下を最小に抑えることができる。また、放射線の指向性を考慮して、スリットの傾斜を向きを放射線方向と交差する方向に形成することで放射線遮蔽性能の低下をさらに小さくおさえることが可能となる。 【0017】さらに、伸縮性の高い固形体からなる充填材12をコンクリ−ト型枠13に配置したのち、コンクリ−ト打設を行うことで、コンクリ−ト躯体10にスリット11と充填材12を同時に設置することができるため、施工効率が良好である。なお、本実施の形態において、加速器の放射線遮蔽設備100を形成するコンクリ−ト躯体10における外周壁部分10B及び屋根部分10Aの厚さを床面10Cの厚さの3倍としたが、これに限らず、放射線の遮蔽性能を確保でき、且つ、遮蔽設備100設計上の敷地面積に見合うものであれば、いずれの厚さとしても構わない。 【0018】また、スリットの形態は本実施の形態にかぎらず、コンクリ−ト躯体10の温度による伸縮を吸収し、さらに、コンクリ−ト躯体10の構造強度上有効であれば、スリット11を設ける位置や本数、及び方向はいずれも変更可能である。さらに、本実施の形態においては、コンクリ−ト打設前に固形体の充填材12を配置することによって、スリット11と充填材12を同時に設置可能としたが、スリット11の形成方法はこれに限らない。例えば、スリット11を形成するための形態型枠を外表面を形成するためのコンクリ−ト型枠13に形成し、コンクリ−ト打設後にコンクリ−ト型枠13と形態型枠とを同時に取り外すことによって、スリット11を形成する方法としても構わない。 【0019】さらに、充填材12としては、コンクリ−ト躯体10の伸縮吸収を阻害しないような材質のものであれば、いずれの材質の充填材12としてもよく、伸縮性の高い固形体に限らず、砂や砂鉄等の粉体や粒体を補充しても構わない。 【0020】 【発明の効果】以上説明したように、本発明によると、コンクリ−ト躯体に形成したスリットによって、日射や外気温の変動によるコンクリ−ト躯体の温度による伸縮を吸収し、応力発生を防止することが可能となる。よって、コンクリ−ト躯体の変形を防止するため、加速器を支持する床面が一年を通して上下に変位することを抑制することが可能となる。 【0021】また、コンクリ−ト躯体に形成したスリットに充填材を補充することによって、放射線遮蔽設備における遮蔽性能の低下を小さく抑えることができる。すなわち、遮蔽設備を形成するコンクリ−ト躯体の日射や外気温の変化による変形を防止することができ、安価な施工費用で形成することを可能とした加速器装置の放射線遮蔽設備を提供することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000206211 【氏名又は名称】大成建設株式会社
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| 【出願日】 |
平成12年12月12日(2000.12.12) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100066980 【弁理士】 【氏名又は名称】森 哲也 (外2名)
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| 【公開番号】 |
特開2002−181990(P2002−181990A) |
| 【公開日】 |
平成14年6月26日(2002.6.26) |
| 【出願番号】 |
特願2000−377909(P2000−377909) |
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