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【発明の名称】 放射性廃液の固化方法および固化装置
【発明者】 【氏名】中山 準平

【氏名】岩田 俊雄

【氏名】田中 良明

【氏名】渡辺 敏克

【要約】 【課題】簡単な作業工程でもって短時間で減容化を完了することができと共に、払い出しのタイミングを正確に知ることを可能にする。

【解決手段】ホウ酸もしくはホウ酸塩等の結晶水を取り込む塩を含む放射性廃液を蒸発缶2に投入した後、放射性廃液を撹拌および加熱し、蒸発缶2からガスを引き出すことにより放射性廃液を濃縮する。そして、撹拌時の負荷と、蒸発缶2内の放射性廃液の重量と、ガスから生成される凝縮液の液量とに基づいて放射性廃液が所定濃度に濃縮されたか否かを判定し、所定濃度となったときに放射性廃液を蒸発缶2から固化容器23に移し替えて固化させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ホウ酸もしくはホウ酸塩等の結晶水を取り込む塩を含む放射性廃液を蒸発缶に投入した後、該放射性廃液を撹拌および加熱し、蒸発缶からガスを引き出すことにより放射性廃液を濃縮し、所定濃度となったときに放射性廃液を蒸発缶から固化容器に移し替えて固化させる放射性廃液の固化方法であって、前記撹拌時の負荷と、前記蒸発缶内の放射性廃液の重量と、前記ガスから生成される凝縮液の液量とに基づいて前記放射性廃液が所定濃度に濃縮されたか否かを判定することを特徴とする放射性廃液の固化方法。
【請求項2】 ホウ酸もしくはホウ酸塩等の結晶水を取り込む塩を含む放射性廃液を濃縮し、所定濃度となったときに固化容器に移し替えて固化させる放射性廃液の固化装置であって、前記放射性廃液を収容し、底部に排出口が形成された蒸発缶と、前記蒸発缶の排出口を開閉可能に設けられ、前記固化容器に接続可能な払出し装置と、前記蒸発缶に収容された放射性廃液を任意の蒸発速度で加熱可能な加熱装置と、前記蒸発缶に収容された放射性廃液を撹拌する撹拌装置と、前記蒸発缶からガスを引き出す真空排気装置と、前記ガスを冷却して凝縮液を生成する凝縮器と、前記凝縮液を貯留する凝縮液槽と、前記撹拌装置の負荷を検出する負荷検出器と、前記蒸発缶に収容された放射性廃液の重量を検出する重量検出器と、前記凝縮液槽における凝縮液の貯留量を検出する貯留量検出器と、前記撹拌装置の負荷、放射性廃液の重量および凝縮液の貯留量に基づいて前記放射性廃液が所定濃度に濃縮されたか否かを判定する判定装置とを有することを特徴とする放射性廃液の固化装置。
【請求項3】 前記凝縮液槽における凝縮液の貯留速度を検出する貯留速度検出器と、前記貯留速度が所定値となるように、前記加熱装置による放射性廃液の加熱を制御する第1加熱制御装置とを有することを特徴とする請求項2に記載の放射性廃液の固化装置。
【請求項4】 前記凝縮器でガスの冷却に使用された冷却媒体の消費熱量を検出する消費熱量検出器と、前記消費熱量が所定値となるように、前記加熱装置による放射性廃液の加熱を制御する第2加熱制御装置とを有することを特徴とする請求項2に記載の放射性廃液の固化装置。
【請求項5】 前記真空排気装置によりガスが引き出された前記蒸発缶の内部空間と、前記固化容器の内部空間とを連通可能な連通機構を有することを特徴とする請求項2に記載の放射性廃液の固化装置。
【請求項6】 前記蒸発缶に接続され、該蒸発缶内の放射性廃液を希釈する希釈材を投入可能な希釈材注入ラインを有することを特徴とする請求項2に記載の放射性廃液の固化装置。
【請求項7】 前記凝縮器で生成された凝縮液の電気伝導度を検出する電気伝導度検出器を有することを特徴とする請求項2に記載の放射性廃液の固化装置。
【請求項8】 前記固化容器が、前記払出し装置に接続可能にされた1次蓋と、該1次蓋を密閉状態に覆う2次蓋とを備えた二重蓋構造にされていることを特徴としている請求項2ないし7の何れか1項に記載の放射性廃液の固化装置。
【請求項9】 前記固化容器の容積が、前記蒸発缶で所定濃度に濃縮された放射性廃液の全量を収容可能な程度に設定されていることを特徴とする請求項8に記載の放射性廃液の固化装置。
【請求項10】 前記固化容器が、円筒形状の胴部と、この胴部の内側上方を塞ぐ蓋と、前記胴部の上縁から内周方向に延在する引っ掛け部とを備えていることを特徴とする請求項2ないし7の何れか1項に記載の放射性廃液の固化装置。
【請求項11】 前記引っ掛け部が、前記上縁内周の全周に設けられていることを特徴とする請求項10に記載の放射性廃液の固化装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、蒸発缶から固化容器に払い出すことによる放射性廃液の固化方法および固化装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】原子力発電所等から排出された放射性廃液は、保管場所を有効に利用するため、廃液中から水分を除去して減容化する必要がある。従って、従来から放射性廃液を減容化するための各種の方法が提案および実施されており、例えば特公昭63−67878号公報には、廃液中のホウ酸とPH値との関係に着目して放射性廃液を大幅に減容化する方法が提案されている。
【0003】即ち、蒸発缶に放射性廃液を投入すると共に水酸化ナトリウム溶液を投入することによって、廃液のPH値を中性状態にする。そして、この中性状態を維持しながら、廃液を加熱し、水分を蒸発させることによって、廃液を濃縮して十分に減容化させる。放射性廃液が高濃度のホウ酸を含む廃液濃縮物になると、この廃液濃縮物を蒸発缶から貯蔵容器に移し替え、貯蔵容器において廃液濃縮物にしゅう酸等を投入してPH値を酸性側に変化させると共に冷却する。そして、廃液濃縮物をホウ酸塩等からなる沈降物と液状体とに分離し、液状体を上述の蒸発缶に戻して再濃縮する一方、沈降物を真空蒸留器に移し替え、真空蒸留器において沈降物を僅かに湿った粉状体となるまで乾燥させる。これにより、従来の方法によれば、蒸発缶と貯蔵容器と真空蒸留器とで放射性廃液を順に減容化していくことによって、最終的には粉状体にまで減容化することが可能になっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従来の方法では、放射性廃液を減容化する過程において蒸発缶、貯蔵容器および真空蒸留器への移し替えが必要であるため、作業工程が複雑化していると共に、移し替えに要する時間により粉状体に減容化するまでに長時間を要し易いという問題がある。
【0005】そこで、このような各機器への移し替えを不要にするため、蒸発缶における放射性廃液の蒸発による濃縮を、溶解しているホウ酸がホウ酸塩として析出する直前まで継続した後、蒸発缶から固化容器に一気に抜き出してホウ酸塩を固化する方法が考えられている。ところが、この方法の場合には、ホウ酸塩として析出する直前の状態を検出する方法が不明であったため、払い出しのタイミングを正確に把握することができず、結果として不十分な濃縮により固化容器内でホウ酸塩を固化することができなかったり、過剰な濃縮により蒸発缶内でホウ酸塩を固化させてしまうことがあるという問題がある。
【0006】従って、本発明は、簡単な作業工程でもって短時間で減容化を完了することができる共に、払い出しのタイミングを正確に知ることができる放射性廃液の固化方法および固化装置を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、請求項1の発明は、ホウ酸もしくはホウ酸塩等の結晶水を取り込む塩を含む放射性廃液を蒸発缶に投入した後、該放射性廃液を撹拌および加熱し、蒸発缶からガスを引き出すことにより放射性廃液を濃縮し、所定濃度となったときに放射性廃液を蒸発缶から固化容器に移し替えて固化させる放射性廃液の固化方法であって、前記撹拌時の負荷と、前記蒸発缶内の放射性廃液の重量と、前記ガスから生成される凝縮液の液量とに基づいて前記放射性廃液が所定濃度に濃縮されたか否かを判定することを特徴としている。
【0008】上記の構成によれば、蒸発缶で十分に放射性廃液を濃縮して減容化した後、蒸発缶から固化容器に払い出すことによって、固化容器内で放射性廃液をホウ酸塩等として固化させることができる。これにより、放射性廃液を減容化する際に各機器に放射性廃液を移し替える必要がないため、簡単な作業工程でもって短時間で大幅な減容化を実現することができる。
【0009】さらに、撹拌時の負荷と放射性廃液の重量と凝縮液の液量という検出の容易なパラメータに基づいてホウ酸塩等として析出する直前の濃縮度を検出し、蒸発缶から放射性廃液を払い出すタイミングを正確に知ることができる。この結果、過剰に濃縮することにより蒸発缶内で放射性廃液を固化させたり、濃縮が不十分で固化容器内で固化させることができないという不具合を確実に防止することができる。
【0010】請求項2の発明は、ホウ酸を含む放射性廃液を中性状態に維持しながら濃縮し、所定濃度となったときに固化容器に移し替えて固化させる放射性廃液の固化装置であって、前記放射性廃液を収容し、底部に排出口が形成された蒸発缶と、前記蒸発缶の排出口を開閉可能に設けられ、前記固化容器に接続可能な払出し装置と、前記蒸発缶に収容された放射性廃液を任意の蒸発速度に加熱可能な加熱装置と、前記蒸発缶に収容された放射性廃液を撹拌する撹拌装置と、前記蒸発缶からガスを引き出す真空排気装置と、前記ガスを冷却して凝縮液を生成する凝縮器と、前記凝縮液を貯留する凝縮液槽と、前記撹拌装置の負荷を検出する負荷検出器と、前記蒸発缶に収容された放射性廃液の重量を検出する重量検出器と、前記凝縮液槽における凝縮液の貯留量を検出する貯留量検出器と、前記撹拌装置の負荷、放射性廃液の重量および凝縮液の貯留量に基づいて前記放射性廃液が所定濃度に濃縮されたか否かを判定する判定装置とを有することを特徴としている。
【0011】上記の構成によれば、簡単な機器構成により請求項1の固化方法を実現することができる。そして、簡単な作業工程でもって短時間で減容化を完了することができると共に、払い出しのタイミングを正確に知ることができる。
【0012】請求項3の発明は、請求項2に記載の放射性廃液の固化装置であって、前記凝縮液槽における凝縮液の貯留速度を検出する貯留速度検出器と、前記貯留速度が所定値となるように、前記加熱装置による放射性廃液の加熱を制御する第1加熱制御装置とを有することを特徴としている。上記の構成によれば、加熱装置が放射性廃液の加熱量(蒸発速度)を間違えることによる除染効率の低下を確実に防止することができる。
【0013】請求項4の発明は、請求項2に記載の放射性廃液の固化装置であって、前記凝縮器でガスの冷却に使用された冷却媒体の消費熱量を検出する消費熱量検出器と、前記消費熱量が所定値となるように、前記加熱装置による放射性廃液の加熱を制御する第2加熱制御装置とを有することを特徴としている。上記の構成によれば、加熱装置が放射性廃液の加熱量(蒸発速度)を間違えることによる除染効率の低下を確実に防止することができる。
【0014】請求項5の発明は、請求項2に記載の放射性廃液の固化装置であって、前記真空排気装置によりガスが引き出された前記蒸発缶の内部空間と、前記固化容器の内部空間とを連通可能な連通機構を有することを特徴としている。上記の構成によれば、固化容器と蒸発缶とを約同圧にすることができるため、蒸発缶から固化容器への放射性廃液の払い出しを確実に瞬間的に行うことができる。
【0015】請求項6の発明は、請求項2に記載の放射性廃液の固化装置であって、前記蒸発缶に接続され、該蒸発缶内の放射性廃液を希釈する希釈材を投入可能な希釈材注入ラインを有することを特徴としている。上記の構成によれば、蒸発缶内で放射性廃液の濃縮状態に異常が生じたときに、希釈液を投入することによって、蒸発缶内での放射性廃液の固化を防止することができる。この結果、蒸発缶から固化物を除去したり、固化物を溶解させるという困難な復旧作業を回避することができる。
【0016】請求項7の発明は、請求項2に記載の放射性廃液の固化装置であって、前記凝縮器で生成された凝縮液の電気伝導度を検出する電気伝導度検出器を有することを特徴としている。上記の構成によれば、蒸発缶内における放射性廃液の発泡状態を電気伝導度を介して把握することができるため、放射性廃液の濃縮物が気泡の成長でガスと共に排気されて凝縮液を汚染するという不具合を防止することが可能になる。
【0017】請求項8の発明は、請求項2ないし7の何れか1項に記載の放射性廃液の固化装置であって、前記固化容器が、前記払出し装置に接続可能にされた1次蓋と、該1次蓋を密閉状態に覆う2次蓋とを備えた二重蓋構造にされていることを特徴としている。上記の構成によれば、払出し装置から固化容器に払い出す際に、放射性廃液が1次蓋上に付着することがあっても、この1次蓋を密閉状態に2次蓋により覆うため、固化容器の保管時に1次蓋上の放射性廃液が外部に漏洩することがない。
【0018】請求項9の発明は、請求項8に記載の放射性廃液の固化装置であって、前記固化容器の容積が、前記蒸発缶で所定濃度に濃縮された放射性廃液の全量を収容可能な程度に設定されていることを特徴としている。上記の構成によれば、蒸発缶内の全放射性廃液を大きな流出量で一気に固化容器に排出させることができるため、複数回に分割して払い出しを行う場合のように、放射性廃液が小さな流出量となって蒸発缶内や払出し装置に固化物として残留することがない。
【0019】請求項10の発明は、請求項2ないし7の何れかの1項に記載の放射性廃液の固化装置であって、前記固化容器が、円筒形状の胴部と、この胴部の内側上方を塞ぐ蓋と、前期胴部の上縁から内周方向に延在する引っ掛け部とを備えていることを特徴としている。上記の構成によれば、引っ掛け部に対する内掴みにより固化容器の装脱着およびハンドリングが行える。その結果、固化容器の外径以外に容器吊具がはみ出ることがないため、スペースの制限された搬送ルートでも容器ハンドリングが可能となる。また、吊具の装脱着時に隣接する固化容器との干渉を回避することができる。
【0020】請求項11の発明は、請求項10に記載の放射性廃液の固化装置であって、前記引っ掛け部が前記上縁内周の全周に設けられていることを特徴としている。上記の構成によれば、吊具の把持時における方向性に関係なく、あらゆる方向から引っ掛け部に対して内掴みにより固化容器を把持することができる。その結果、特に遠隔操作等の操作性が制限された状況において有効に操作ができる。
【0021】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を図1ないし図9に基づいて以下に説明する。本実施の形態に係る放射性廃液の固化方法は、図1に示すように、原子力発電所や再処理工場、研究実験施設等から排出される放射性廃液の固化処理施設において実施される。この固化処理施設は、放射性廃液を蒸発させる蒸発装置1を備えている。蒸発装置1は、硝酸ナトリウム等を含む放射性廃液や添加剤を気密状態に収容する蒸発缶2を有している。尚、添加剤は、濃縮物を固化容器に払い出した後、濃縮物中の遊離水を結晶水として取り込んで固化させるためのものである。ホウ酸が高濃度になってもホウ酸塩として析出しないように、放射性廃液を中和して中性状態に維持させるためのものであり、例えば10個の結晶水を持つNa2B4O7 や12個の結晶水を持つNa2SO4等がある。
【0022】上記の蒸発缶2は、円筒形状に形成された側面壁2aと、側面壁2aの上端面を塞ぐように設けられた上面壁2bと、側面壁2aの下縁部から逆円錐形状に形成され、下端を開口された下面壁2cとを有している。蒸発缶2における側面壁2aおよび下面壁2cの周囲には、加熱装置20が設けられており、加熱装置20は、蒸発缶2内に収容された放射性廃液等を所定の蒸発速度で加熱および維持する。また、蒸発缶2は、ロードセル21を介して支持されている。ロードセル21は、放射性廃液等を収容した蒸発缶2の全重量を検出し、この検出値を重量信号として後述の判定装置19に出力する。
【0023】また、蒸発缶2における上面壁2bの中心部には、蒸発缶2内の放射性廃液を撹拌する撹拌装置7が設けられている。撹拌装置7は、上面壁2bの中心部を鉛直方向に回転自在に貫設された回転軸7aと、回転軸7aの下端部に設けられ、蒸発缶2内の放射性廃液を撹拌する図示しない撹拌羽根と、回転軸7aの上端部に連結され、回転軸7aを回転駆動する駆動モータ7bとを有している。撹拌装置7には、負荷検出器8が設けられており、負荷検出器8は、駆動モータ7bの負荷(消費電力)を駆動電流や駆動電圧に基づいて検出し、この検出値を負荷信号として後述の判定装置19に出力する。
【0024】さらに、蒸発缶2の上面壁2bには、予め添加剤が添加された放射性廃液を蒸発缶2に流入させる廃液用配管4と、水や蒸気等の希釈材を蒸発缶2に流入させる希釈材用配管42と、蒸発缶2から空気や蒸気等のガスを流出させる排気用配管6とが接続されている。排気用配管6には、凝縮器9が接続されている。凝縮器9は、ガスを流通させる胴体部9aと、胴体部9aの周囲に巻回された冷却水路9bとを有しており、胴体部9aを流通するガスを冷却することにより凝縮液を生成する。そして、胴体部9aの後段側には、ガスを排出する排気配管10aが上面に接続されている一方、滴下した凝縮液を排出する排水配管10bが下面に接続されている。
【0025】上記の排気配管10aは、真空排気装置11に接続されている。真空排気装置11は、ファン12と真空槽13とを備えた構成にされている。ファン12は、真空槽13を介して上述の排気配管10aが接続されており、凝縮器9からのガスを吸引し、オフガス系に排出する。凝縮液槽15には、凝縮器9の排水配管10bが接続されている。そして、凝縮液槽15は、凝縮器9からの凝縮液を貯留し、蒸発缶2における1バッチ分の固化処理が完了したときに凝縮液貯槽に排出する。また、この凝縮液槽15には、液面計17が設けられており、液面計17は、凝縮液の液面の高さ位置を検出し、この検出値を液面信号として判定装置19および加熱制御装置43に出力する。
【0026】上記の加熱制御装置43は、液面信号に基づいて凝縮液槽15における凝縮液の液面の上昇速度を求め、この上昇速度が所定値となるように加熱装置20からの加熱蒸気供給量を制御するようになっている。一方、判定装置19は、液面計17からの液面信号と、上述のロードセル21からの重量信号と、負荷検出器8からの負荷信号とを取り込み、これらの信号に基づいて蒸発缶2内の放射性廃液の濃縮状態を求め、所定の濃縮状態となったときに開栓情報をオペレータに報知する。即ち、判定装置19は、重量信号で示される重量を第1比較値と比較する第1比較部と、負荷信号で示される負荷値を第2比較値と比較する第2比較部と、液面信号で示される液面高さを第3比較値と比較する第3比較部と、第1〜第3比較部からの比較信号をそれぞれ受け取り、第1比較部の比較信号が第1比較値未満の重量を示し、第2比較部の比較信号が第2比較値以上の負荷値を示し、第3判定部の比較信号が第3比較値以上の液面高さを示したときに、払出し装置22の開栓タイミングであると判定する開栓判定部と、この開栓タイミングを音や光でオペレータに報知する報知部とを有している。
【0027】上記の判定装置19により開栓タイミングが報知される払出し装置22は、蒸発缶2の下面壁2cの下端部に設けられている。払出し装置22は、蒸発缶2の開口部を開閉可能なバルブ部と、固化容器23に密閉状態に接続可能な接続部とを有している。さらに、払出し装置22には、連通配管40の一端部が接続されている。連通配管40は、他端部が蒸発缶2における上側の内部空間に接続されており、バルブ41により流路が開閉可能にされている。そして、連通配管40およびバルブ41は、払出し装置22とで蒸発缶2の内部空間と固化容器23の内部空間とを連通する連通機構を構成しており、固化容器23を蒸発缶2と同圧に減圧させるようになっている。
【0028】上記の固化容器23は、図2(a)・(b)に示すように、払出し時の放射性廃液の全量を収容可能な程度の容積を有し、円筒形状の胴部24と、胴部24の下端面から所定の距離を隔てて設けられた底面部25とを備えたドラム缶形状に形成されている。胴部24の上部には、胴部24の上面を塞ぐための1次蓋26が上端面から所定の距離を隔てて設けられている。1次蓋26は、胴部24の内壁面に外周端が接合された円環形状の第1環状板26aと、第1環状板26aの内周端に設けられ、中心部に払出し口26cが形成された第2環状板26bと、第2環状板26bの下面に突設された複数の螺合部26dと、払出し口26cに嵌合する凸状部を有し、第2環状板26bの上面に接合される封止板26eと、螺合部26dに螺合することにより封止板26eと第2環状板26bとを締結するボルト部材26fと、封止板26eの上面中心部に形成された把手部26gとを備えている。第1環状板26aと第2環状板26bは一体として製作した構造としてもよい。
【0029】また、胴部24の上縁には、引っ掛け部24aが内周方向全周に曲折されて形成されていると共に、リング部材27が外周面に設けられている。そして、胴部24の上縁には、図3(a)・(b)に示すように、1次蓋26上に付着した放射性廃液の濃縮物を外部に漏洩させないための2次蓋28が取付け可能にされている。2次蓋28は、必要に応じて遠隔操作により取付けることが可能である。2次蓋28は、胴部24の上面全体を覆うように形成された平板部28aと、平板部28aの外周端から下方に湾曲された湾曲部28bと、湾曲部28bの下面に貼設され、胴部24の引っ掛け部24aおよびリング部材27に対して密接可能なパッキン29と、1次蓋26に当接するように平板部28aの下面外周側に等間隔で設けられた支持部28cとを有している。
【0030】上記の2次蓋28は、常用バンド30または積重ね用バンド31により胴部24に取付け可能にされている。常用バンド30は、図4および図5に示すように、円環状の一端部を切り離された断面U字形状のバンド部材35と、バンド部材35の上部に接合された平板部材36とを有している。平板部材36は、バンド部材35の取付け時に2次蓋28の平板部28aに当接するように、バンド部材35の複数箇所に等間隔で配置されている。さらに、常用バンド部材30は、切り離された一端部に締付部材32が設けられている。締付部材32は、図6(a)・(b)に示すように、バンド部材35の上面に接合された後、垂下されて下端部に挿通穴32bが形成された挿通部材32aを有している。この挿通部材32aは、バンド部材35の各端部にそれぞれ設けられている。そして、これらの挿通部材32a・32aが設けられた常用バンド30は、ボルト部材33が一方の挿通穴32bに挿通され、他方の挿通部材32aに螺合されることによって、2次蓋28と胴部24との強固な接合を可能にしている。
【0031】また、積重ね用バンド31は、図7および図8に示すように、上述の常用バンド30の構成に加えてガイド金具37を有している。ガイド金具37は、バンド部材35の上面に接合された後、バンド部材35の外周方向に傾斜されながら立ち上げられた形状に形成されている。そして、このガイド金具37は、バンド部材35の複数箇所に配置されており、図2(b)の固化容器23を積み重ねるときに、上下の固化容器23・23の中心軸を一致させるようになっている。
【0032】固化容器123の好ましい他の形態例を図9および図10により説明する。胴部124の上縁には、リング部材127が外周方向に曲折されて形成されるとともに、引っ掛け部124aがアングルを内周面の全長に固設して設けられている。一次蓋126の外周端は、胴部124の内壁面に接合され、中心部に払い出し口126cが形成された環状板126aと、払い出し口126cを封止する封止板126eとを備えている。1次蓋126は、図9および図10に示すように、環状板126aの内側周縁部に、遠隔操作で固化容器123を封止板126eで閉じる際に位置決めをするために、長さ及び径を異にする大小二種のガイドピン139を設ける。環状板126aには、ガイド孔143が六つ設けられており、この対応位置下面に螺合部141が突設されている。この螺合部141にはねじ穴141aが設けられている。ガイド孔143はねじ穴141aより径が大きく形成されている。
【0033】上記の封止板126eには、ボルト部材140を挿通させるねじ孔141aが設けられている。このボルト部材は、略円錐状に突出したボルト頭部140aと、中間部の軸部140bと、ねじ部140cとを有する。ボルト部材140をねじ孔141aにねじ込んで、ねじ部140cがねじ孔141aを抜けると軸部140bが自由に貫通し、頭部140aとねじ部140cとでねじ孔141aから抜け止めされる。このボルト部材140は環状板126aのガイド孔143を自由に貫通して螺合部141内に至りねじ穴141aに螺合して固定される。また、封止板126eにおけるガイドピン139の対応位置にはこれらを貫通させる大小二種の位置決め孔142が設けられている。
【0034】上記の構成において、固化処理施設の動作を通じて放射性廃液の固化方法について説明する。
【0035】先ず、図1に示すように、添加剤を添加された所定量の放射性廃液が廃液用配管4を介して蒸発缶2に投入される。この後、放射性廃液および添加剤を収容した蒸発缶2の重量がロードセル21により一定時間毎に検出され、重量信号として判定装置19に出力される。
【0036】次に、撹拌装置7により蒸発缶2内の放射性廃液が撹拌されながら加熱装置20により所定温度に加熱される。そして、撹拌装置7の駆動モータ7bの負荷(消費電力)が負荷検出器8により検出され、負荷信号として判定装置19に出力される。また、放射性廃液の加熱および撹拌が開始されると、真空排気装置11が作動することによって、蒸発缶2内の空気や放射性廃液の蒸気が排気ガスとして引き出される。このガスは、排気用配管6を介して凝縮器9に流入し、凝縮器9において冷却される。この結果、ガス中の大部分の蒸気が凝縮し、滴下した凝縮液が排水配管10bを介して凝縮液槽15に排出される。一方、非凝縮性の気体成分は、真空排気装置11に吸引され、オフガス系に排出される。そして、凝縮液槽15において、凝縮器9からの凝縮液が貯留される。
【0037】凝縮液槽15に貯留された凝縮液は、液面計17により液面の高さ位置が検出される。この検出値は、液面信号として判定装置19および加熱制御装置43に出力される。加熱制御装置43においては、液面信号が微分されて液面の上昇速度が求められ、この上昇速度が所定値となるように、加熱装置20からの加熱蒸気供給量が制御される。これにより、加熱装置20による蒸発缶2内の放射性廃液の蒸発速度が所望の蒸発速度に維持されることによって、例えば加熱装置20の故障や設定ミス等が生じていても、過剰な加熱による除染効率の低下が防止される。
【0038】一方、判定装置19においては、上述のロードセル21の重量信号と負荷検出器8の負荷信号とで開栓信号の出力タイミングが判定される。即ち、重量信号は、蒸発缶2で蒸発しながら濃度を上昇させた放射性廃液の重量(残留量)を示すものとして取り込まれ、第1比較部において第1比較値と比較される。また、負荷信号は、濃度上昇に伴って上昇した放射性廃液の粘度を示すものとして取り込まれ、第2判定部において第2比較値と比較される。また、液面信号は、放射性廃液から取り除かれた水分量を示すものとして取り込まれ、第3判定部において第3比較値と比較される。
【0039】第1〜第3判定部での判定結果は、比較信号として開栓タイミング判定部に出力される。そして、開栓タイミング判定部において、重量(残留量)が第1比較値以下、負荷値(粘度)が第2比較値以上、および液面高さ(水分量)が第3比較値以上となったときに、払出し装置22の開栓タイミングであると判定され、その旨を示す開栓情報が音や光によりオペレータに報知される。また、上記の判定結果が得られると、凝縮液槽15の凝縮液が凝縮液保管庫に排出され、次のロット分の濃縮のための準備が行われる。尚、信号状態が運転の異常を示すものであれば、異常情報がオペレータに報知され、希釈材用配管42から蒸発缶2に希釈材が投入されることによって、蒸発缶2内での放射性廃液の固化が阻止される。
【0040】オペレータにより開栓タイミングが認識されると、真空排気装置11による吸引を停止し、弱負圧にされる。図3(a)・(b)の2次蓋28および図2(a)・(b)の1次蓋26の封止板26eが取り除かれることによって、上面が開口された固化容器23が払出し装置22に接続される。この後、バルブ41が開栓状態に切り換えられ、固化容器23内の空気が蒸発缶2を介してオフガス系に吸引される。そして、固化容器23の圧力が蒸発缶2と同圧の程度にまで均圧されたときに、払出し装置22が開栓され、蒸発缶2内の高濃度の放射性廃液の全量が自重により固化容器23に一気(瞬間的)に排出される。この結果、極めて高濃度に濃縮された放射性廃液が固化容器23内で急激に冷却および固化されることによって、大きな強度を有した固形物が生成される。この後、固化容器23が払出し装置22から切り離され、作業場所に運搬される。一方、蒸発缶2においては、次ロット分の放射性廃液に対して上述の一連の投入や加熱、撹拌、排気等の処理が行われる。
【0041】作業場所への運搬は、固化容器23に対する内掴み用吊具201のハンドリングにより行われる。図11に示すように、吊具201は、ホイスト等の揚重設備に取り付けられ、固化容器23の上部に位置して昇降自在である。この吊具201は、吊環202の上下動作により自動ストッパ用フック203がロックと解除を交互に繰り返すことにより、吊具ピン204及びリンク支持板205で構成されるカム機構によって、固化容器23の胴部24の上縁から内周方向に延在する引っ掛け部24aに容器ガイド206を拡縮させ、固化容器23の装着を行うものである。その後、固化容器23の吊上げおよび運搬はホイスト等の揚重設備を用いて行なわれる。引っ掛け部24aに対して内掴みが可能であり、固化容器23の外径以上に吊具201の掴み具部分がはみ出ることがないため、スペースの制限された搬送ルートでも容器ハンドリングが可能となる。固化容器23の脱着は、容器の装着時と同様の操作により固化容器23上部の引っ掛け部24aから容器ガイド206が開放される。
【0042】固化容器23が作業場所に運搬されると、遠隔操作により固化容器23の第2環状板26bに封止板26eが載置され、ボルト部材26fにより封止板26eと第2環状板26bとが締結されることにより1次蓋26による封止が行われる。図9、10に示すように、他の形態の固化容器を使用する場合、封止板126eは遠隔作業用の工具に把手部126gを把持されて、ガイドピン139をガイド孔143に合致させることにより環状板126aに対して位置決めされる。そしてガイドピン139を位置決め孔142に通して封止板126eを環状板126aに接近させていくと、ボルト部材140がガイド孔143を貫通し、さらに螺合部141のねじ穴141aに達する。この位置でボルト部材140を回転させれば、ねじ部140cがねじ穴141aに螺合していき封止板126eが環状板126aに固定される。この後、固化容器23の上端には必要に応じて遠隔操作により図3(a)・(b)の2次蓋28が固定される。
【0043】2次蓋28が固化容器23のリング部材27にあてて載置された後、固化容器23が最上段で保管されるものであれば、図4の常用バンド30が2次蓋28の周囲に取り付けられる。一方、固化容器23が最上段以外で保管されるものであれば、図7の積重ね用バンド31が2次蓋28の周囲に取り付けられる。
【0044】常用バンド30や積重ね用バンド31が取り付けられると、図6(a)・(b)の締付部材32がボルト部材33とナット部材34とで締結されることによって、2次蓋28が固化容器23に固定される。この結果、蒸発缶2から固化容器23を切り離したときに、蒸発缶2から1次蓋26の第1環状板26a等に放射性廃液が付着した場合であっても、この放射性廃液の外部への漏洩が2次蓋28による二重蓋構造により確実に防止される。また、ボルト部材26fは抜け止めピン33cで挿通部材32a、32aかあら抜け止めされて離脱せず、特別な位置決めを必要としないため、遠隔操作が可能である。そして、このようにして1次蓋26と2次蓋28とで二重に封止された固化容器23が固化物貯蔵場所に搬送されて段積みされる。この搬送に際して、固化容器23はリング部材27に対する外掴みの吊具を用いて把持される。
【0045】以上のように、本実施形態の放射性廃液の固化方法は、図1に示すように、ホウ酸もしくはホウ酸塩等の結晶水を取り込む塩を含む放射性廃液を蒸発缶2に投入した後、放射性廃液を撹拌および加熱し、蒸発缶2からガスを引き出すことにより放射性廃液を濃縮し、撹拌時の負荷と、蒸発缶2内の放射性廃液の重量と、ガスから生成される凝縮液の液量とに基づいて放射性廃液が所定濃度に濃縮されたか否かを判定し、所定濃度となったときに放射性廃液を蒸発缶2から固化容器23に移し替えて固化させるものである。そして、この固化方法は、下記の構成を有した固化装置により実施されている。
【0046】即ち、放射性廃液を収容し、底部に排出口が形成された蒸発缶2と、蒸発缶2の排出口を開閉可能に設けられ、固化容器23に接続可能な払出し装置22と、蒸発缶2に収容された放射性廃液を任意の温度に加熱可能な加熱装置20と、蒸発缶2に収容された放射性廃液を撹拌する撹拌装置7と、蒸発缶2からガスを引き出す真空排気装置11と、ガスを冷却して凝縮液を生成する凝縮器9と、凝縮液を貯留する凝縮液槽15と、撹拌装置7の負荷を検出する負荷検出器8と、蒸発缶2に収容された放射性廃液の重量を検出するロードセル21(重量検出器)と、凝縮液槽15における凝縮液の貯留量を検出する液面計17(貯留量検出器)と、撹拌装置7の負荷、放射性廃液の重量および凝縮液の貯留量に基づいて放射性廃液が所定濃度に濃縮されたか否かを判定する判定装置19とを有した構成にされている。
【0047】尚、本実施形態においては、凝縮液槽15における凝縮液の貯留量を検出する液面計17を貯留量検出器として例示しているが、これに限定されるものではなく、凝縮液の液面に近接や接触したときに、検出信号を出力する液面検出器であっても良い。この場合には、液面検出器による液面の検出位置を所定位置に調整することによって、検出信号を判定装置19で判定する処理を省略することができる。
【0048】上記の放射性廃液の固化方法や固化装置によれば、蒸発缶2で十分に放射性廃液を濃縮して減容化した後、蒸発缶2から固化容器23に払い出すことによって、固化容器23内で放射性廃液を、溶解している塩の結晶として固化させることができる。これにより、放射性廃液を減容化する際に各機器に放射性廃液を移し替える必要がないため、簡単な作業工程でもって短時間で大幅な減容化を実現することができる。さらに、撹拌時の負荷と放射性廃液の重量と凝縮液の液量という検出の容易なパラメータに基づいて溶解している塩の結晶が析出する直前の濃縮度を検出し、蒸発缶2から放射性廃液を払い出すタイミングを正確に知ることができる。この結果、過剰に濃縮することにより蒸発缶2内で放射性廃液を固化させたり、濃縮が不十分で固化容器23内で固化させることができないという不具合を確実に防止することができる。
【0049】また、本実施形態における固化装置は、凝縮液槽15における凝縮液の貯留速度を検出する貯留速度検出器(液面計17および加熱制御装置43)と、貯留速度が所定値となるように、加熱装置20による放射性廃液の加熱を制御する第1加熱制御装置(加熱制御装置43)とを有した構成にされることによって、放射性廃液を過剰に加熱することによる凝縮液の汚染を防止することが可能になっている。
【0050】尚、本実施形態においては、凝縮液槽15の貯留速度を液面の上昇速度に基づいて求めているが、これに限定されるものではなく、凝縮液槽15にロードセルを設け、このロードセルから得られる凝縮液槽15の重量の変化速度に基づいて求めるようになっていても良い。さらに、本実施形態における固化装置は、凝縮液槽15の貯留速度を求めて加熱装置20を制御する構成の代わりに下記のように構成されていても良い。
【0051】即ち、図9に示すように、凝縮器9の冷却水路の入口側および出口側にそれぞれ温度検出器45a・45bを設けると共に、冷却水路を流動する冷却水の流量を検出する流量検出器44を設け、これら流量検出器44および温度検出器45a・45bの検出信号に基づいて凝縮器9でガスの冷却に使用された冷却水の消費熱量を検出する(消費熱量検出器)。そして、消費熱量が所定値(第2設定値)となるように、加熱制御装置46により加熱装置20による放射性廃液の加熱を制御するように構成されていても良い。
【0052】さらに、本実施形態の固化装置は、凝縮器9で生成された凝縮液の電気伝導度を検出する図示しない電気伝導度検出器を備えていることが望ましい。これは、以下の理由による。即ち、放射性廃液に有機物が混入すると、沸騰による気泡の影響も加わって蒸発缶2内で発泡する。そして、この泡が成長して泡自身が蒸発缶2からガスと共に排気される結果、後段の凝縮器9や凝縮液槽15における凝縮液を汚染することになる。従って、蒸発缶2内における放射性廃液の発泡状態を監視することが望ましいが、直接的に監視することが困難である。そこで、放射性廃液の濃縮物粒子に含まれる塩分の濃度上昇が凝縮液の電気伝導度を上昇させるという性質に着目し、電気伝導度検出器により凝縮液の電気伝導度を検出すれば、間接的に蒸発缶2内の発泡状態を監視することができるからである。
【0053】
【発明の効果】請求項1の発明は、ホウ酸もしくはホウ酸塩等の結晶水を取り込む塩を含む放射性廃液を蒸発缶に投入した後、該放射性廃液を撹拌および加熱し、蒸発缶からガスを引き出すことにより放射性廃液を濃縮し、所定濃度となったときに放射性廃液を蒸発缶から固化容器に移し替えて固化させる放射性廃液の固化方法であって、前記撹拌時の負荷と、前記蒸発缶内の放射性廃液の重量と、前記ガスから生成される凝縮液の液量とに基づいて前記放射性廃液が所定濃度に濃縮されたか否かを判定する構成である。
【0054】上記の構成によれば、蒸発缶で十分に放射性廃液を濃縮して減容化した後、蒸発缶から固化容器に払い出すことによって、固化容器内で放射性廃液を、溶解している塩の結晶として固化させることができる。これにより、放射性廃液を減容化する際に各機器に放射性廃液を移し替える必要がないため、簡単な作業工程でもって短時間で大幅な減容化を実現することができる。
【0055】さらに、撹拌時の負荷と放射性廃液の重量と凝縮液の液量という検出の容易なパラメータに基づいて溶解している塩の結晶が析出する直前の濃縮度を検出し、蒸発缶から放射性廃液を払い出すタイミングを正確に知ることができる。この結果、過剰に濃縮することにより蒸発缶内で放射性廃液を固化させたり、濃縮が不十分で固化容器内で固化させることができないという不具合を確実に防止することができるという効果を奏する。
【0056】請求項2の発明は、ホウ酸もしくはホウ酸塩等の結晶水を取り込む塩を含む放射性廃液を濃縮し、所定濃度となったときに固化容器に移し替えて固化させる放射性廃液の固化装置であって、前記放射性廃液を収容し、底部に排出口が形成された蒸発缶と、前記蒸発缶の排出口を開閉可能に設けられ、前記固化容器に接続可能な払出し装置と、前記蒸発缶に収容された放射性廃液を任意の蒸発速度で加熱可能な加熱装置と、前記蒸発缶に収容された放射性廃液を撹拌する撹拌装置と、前記蒸発缶からガスを引き出す真空排気装置と、前記ガスを冷却して凝縮液を生成する凝縮器と、前記凝縮液を貯留する凝縮液槽と、前記撹拌装置の負荷を検出する負荷検出器と、前記蒸発缶に収容された放射性廃液の重量を検出する重量検出器と、前記凝縮液槽における凝縮液の貯留量を検出する貯留量検出器と、前記撹拌装置の負荷、放射性廃液の重量および凝縮液の貯留量に基づいて前記放射性廃液が所定濃度に濃縮されたか否かを判定する判定装置とを有する構成である。
【0057】上記の構成によれば、簡単な機器構成により請求項1の固化方法を実現することができる。そして、簡単な作業工程でもって短時間で減容化を完了することができると共に、払い出しのタイミングを正確に知ることができる。
【0058】請求項3の発明は、請求項2に記載の放射性廃液の固化装置であって、前記凝縮液槽における凝縮液の貯留速度を検出する貯留速度検出器と、前記貯留速度が所定値となるように、前記加熱装置による放射性廃液の加熱を制御する第1加熱制御装置とを有する構成である。上記の構成によれば、加熱装置が放射性廃液の加熱量(蒸発速度)を間違えることによる除染効率の低下を確実に防止することができるという効果を奏する。
【0059】請求項4の発明は、請求項2に記載の放射性廃液の固化装置であって、前記凝縮器でガスの冷却に使用された冷却媒体の消費熱量を検出する消費熱量検出器と、前記消費熱量が所定値となるように、前記加熱装置による放射性廃液の加熱を制御する第2加熱制御装置とを有する構成である。上記の構成によれば、加熱装置が放射性廃液の加熱量(蒸発速度)を間違えることによる除染効率の低下を確実に防止することができるという効果を奏する。
【0060】請求項5の発明は、請求項2に記載の放射性廃液の固化装置であって、前記真空排気装置によりガスが引き出された前記蒸発缶の内部空間と、前記固化容器の内部空間とを連通可能な連通機構を有する構成である。上記の構成によれば、固化容器と蒸発缶とを略同圧にすることができるため、蒸発缶から固化容器への放射性廃液の払い出しを確実に瞬間的に行うことができるという効果を奏する。
【0061】請求項6の発明は、請求項2に記載の放射性廃液の固化装置であって、前記蒸発缶に接続され、該蒸発缶内の放射性廃液を希釈する希釈材を投入可能な希釈材注入ラインを有する構成である。上記の構成によれば、蒸発缶内で放射性廃液の濃縮状態に異常が生じたときに、希釈液を投入することによって、蒸発缶内での放射性廃液の固化を防止することができる。この結果、蒸発缶から固化物を除去したり、固化物を溶解させるという困難な復旧作業を回避することができるという効果を奏する。
【0062】請求項7の発明は、請求項2に記載の放射性廃液の固化装置であって、前記凝縮器で生成された凝縮液の電気伝導度を検出する電気伝導度検出器を有する構成である。上記の構成によれば、蒸発缶内における放射性廃液の発泡状態を電気伝導度を介して把握することができるため、放射性廃液の濃縮物が気泡の成長でガスと共に排気されて凝縮液を汚染するという不具合を防止することが可能になるという効果を奏する。
【0063】請求項8の発明は、請求項2ないし7の何れか1項に記載の放射性廃液の固化装置に使用される固化容器であって、前記払出し装置に接続可能にされた1次蓋と、該1次蓋を密閉状態に覆う2次蓋とを備えた二重蓋構造にされている構成である。上記の構成によれば、払出し装置から固化容器に払い出す際に、放射性廃液が1次蓋上に付着することがあっても、この1次蓋を密閉状態に2次蓋により覆うため、固化容器の保管時に1次蓋上の放射性廃液が外部に漏洩することがないという効果を奏する。
【0064】請求項9の発明は、請求項8に記載の放射性廃液の固化装置であって、前記固化容器の容積が、前記蒸発缶で所定濃度に濃縮された放射性廃液の全量を収容可能な程度に設定されている構成である。上記の構成によれば、蒸発缶内の全放射性廃液を大きな流出量で一気に固化容器に排出させることができるため、複数回に分割して払い出しを行う場合のように、放射性廃液が小さな流出量となって蒸発缶内や払出し装置に固化物として残留することがないという効果を奏する。
【0065】請求項10の発明は、請求項2ないし7の何れかの1項に記載の放射性廃液の固化装置であって、前記固化容器が、円筒形状の胴部と、この胴部の内側上方を塞ぐ蓋と、前期胴部の上縁から内周方向に延在する引っ掛け部とを備えている構成である。上記の構成によれば、リング部材に対する外掴みだけでなく引っ掛け部に対する内掴みにより固化容器の装脱着およびハンドリングが行える。その結果、固化容器の外形以外に容器吊具がはみ出ることがないため、スペースの制限された搬送ルートでも容器ハンドリングが可能となる。また、吊具の装脱着時に隣接する固化容器との干渉を回避することができるという効果を奏する。
【0066】請求項11の発明は、請求項10に記載の放射性廃液の固化装置であって、前記引っ掛け部が前記上縁内周の全周に設けられている構造である。上記の構成によれば、吊具の把持時における方向性に関係なく、あらゆる方向から引っ掛け部に対して内掴みにより固化容器を把持することができる。その結果、特に遠隔操作等の操作性が制限された状況において有効に操作ができるという効果を奏する。
【出願人】 【識別番号】000001199
【氏名又は名称】株式会社神戸製鋼所
【出願日】 平成13年9月3日(2001.9.3)
【代理人】 【識別番号】100089196
【弁理士】
【氏名又は名称】梶 良之 (外1名)
【公開番号】 特開2002−148389(P2002−148389A)
【公開日】 平成14年5月22日(2002.5.22)
【出願番号】 特願2001−265290(P2001−265290)