| 【発明の名称】 |
固化体容器 |
| 【発明者】 |
【氏名】前川 弘道
【氏名】子安 武志
【氏名】手島 秋雄
【氏名】山田 実
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| 【要約】 |
【課題】部材初期温度の計測をせずに同一溶接条件で、蓋体を容器頭部に直接的に且つ容易に溶着させることができる固化体容器を提供する。
【解決手段】容器胴部に連通する流入管2の上端外周縁部にフランジ3を設けた容器頭部4と、フランジ3に内接し得る蓋体5とを備え、蓋体外径及びフランジ内径D8を流入管外径D5よりも大きく設定し、フランジ厚さt3を流入管肉厚t5よりも大きく設定して、蓋体5とフランジ3の境界を流入管2内周面から遠ざけるとともに、溶接作業時の金属の溶け込み代を確保し、流入管2内周面、あるいはフランジ3下面への溶融金属の到達を回避する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 容器胴部に連通する流入管の先端外周縁部にフランジを設けた容器頭部と、フランジに内接し得る蓋体とを備え、蓋体外径及びフランジ内径を流入管外径よりも大きく設定し、フランジ厚さを流入管肉厚よりも大きく設定したことを特徴とする固化体容器。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は固化体容器に関するものである。 【0002】 【従来の技術】近年、原子力施設において発生する放射性をガラス固化処理し、崩壊熱が除去されるまで保管することが計画されている。 【0003】図4及び図5はガラス固化処理に用いる固化体容器の一例を示すもので、この固化体容器は、底部が閉塞した長円筒状の容器胴部1と、該容器胴部1の上部に連なる短筒状の流入管2及びその上端外周縁部に設けたフランジ3からなる容器頭部4と、流入管2上端面に当接し且つフランジ3に内接するように配置される蓋体5とを備えている。 【0004】これらの容器胴部1、容器頭部4及び蓋体5の形成素材には、剛性が高く且つ耐腐蝕性に優れたステンレス鋼が用いられる。 【0005】放射性廃液をガラス固化処理する際には、溶融炉内で液状を呈するように加熱保温されている溶融ガラスに放射性廃液を混入し、この放射性廃液を含んだ溶融ガラスを、流入管2から容器胴部1内へ流下させる。 【0006】更に、容器胴部1内の溶融ガラスが自然風冷によって固化した後、蓋体5下面周縁部が流入管2の上端面に接し且つ蓋体5外周面がフランジ3に内接するように蓋体5を配置したうえ、容器頭部4に対して固着する。 【0007】この固着手段としては、蓋体5と容器頭部4とを溶加材を用いたアーク溶接により相互に溶着させる工法や、あるいは、蓋体5と容器頭部4とを溶加材を用いないアーク溶接により相互に溶着させる工法などが考えられるが、溶接対象物である容器胴部1内から放射線が放出されること、並びに溶接を不活性ガス雰囲気で行なうことを考慮すると、蓋体5と容器頭部4とを単一の溶接パスで直接溶着できれば、溶接設備の構造の単純化や、設備の保守点検の容易化が図られる点で望ましい。 【0008】そこで、流入管2の外径D1、流入管2の内径D2、フランジ3の外径D3、フランジ3の内径(蓋体5の外径)D4、フランジ3の厚さt1、蓋体5の厚さt2、及び流入管2外周面からフランジ3下面へ連なる部分の半径R1を、下記のように設定した蓋体5及び容器頭部4の模擬体を製作し、蓋体5をフランジ3に内接させたうえ、フランジ3の内径D4に応じた半径で溶加材を用いない単一の溶接パスにより、蓋体5と容器頭部4とを溶着させる試験を実施した。 【0009】D1=166mm、D2=142mm、D3=220mm、D4=160mm、t1=10mm、t2=6mm、R1=8.5mm【0010】なお、蓋体5の外径は、フランジ3に対する嵌合を容易にするために、上記の値よりも若干小さくなっている。 【0011】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、溶接開始前のフランジ3の内径D4に応じた半径で同一の溶接電流値で溶接作業を継続すると、蓋体5及び容器頭部4の熱膨張が顕著になり、フランジ3と蓋体5の境界の径方向内側に溶接パスが形成される溶接位置ずれが生じ、また、部材温度の上昇に起因して、母材に対する金属の溶け込みが過大になり、流入管2内周面、あるいはフランジ3の下面にまで溶融金属が到達することがある。 【0012】従って、蓋体5と容器頭部4を直接溶着する場合には、これら部材の熱膨張に対応するように溶接トーチを移動させて、溶接位置ずれを修正する操作や、部材初期温度及び溶接の進捗に伴う部材の温度上昇に対応するように溶接電流値を減少させて、母材への金属の溶け込みを抑制する操作が必要になる。 【0013】本発明は上述した実情に鑑みてなしたもので、蓋体を容器頭部に直接的に且つ容易に溶着可能な固化体容器を提供することを目的としている。 【0014】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、本発明の固化体容器では、容器胴部に連通する流入管の先端外周縁部にフランジを設けた容器頭部と、フランジに内接し得る蓋体とを備え、蓋体外径及びフランジ内径を流入管外径よりも大きく設定し、フランジ厚さを流入管肉厚よりも大きく設定している。 【0015】本発明の固化体容器においては、流入管の外径よりも蓋体の外径を大きくして、蓋体とフランジの境界を流入管内周面から遠ざけ、また、流入管の肉厚よりもフランジの厚さを大きくして、溶接作業時の金属の溶け込み代を確保する。 【0016】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、図示例とともに説明する。 【0017】図1乃至図3は本発明の固化体容器の実施の形態の一例を示すもので、図中、図4及び図5と同一の符号を付した部分は同一物を表わしている。 【0018】流入管2の外径D5、流入管2の内径D6、フランジ3の外径D7、フランジ3の内径(蓋体5の外径)D8、フランジ3の厚さt3、蓋体5の厚さt4、及び流入管2外周面からフランジ3下面へ連なる部分の半径R2は、下記のように設定されている。 【0019】D5=166mm、D6=142mm、D7=220mm、D8=170mm、t3=15mm、t4=6mm、R2=8.5mm【0020】なお、蓋体5の外径は、フランジ3に対する嵌合を容易にするために、上記の値よりも若干小さくなっている。 【0021】すなわち、この固化体容器では、流入管2の外径D5、流入管2の内径D6、フランジ3の外径D7、蓋体5の厚さt4、及び流入管2外周面からフランジ3下面へ連なる部分の半径R2が、図5における流入管2の外径D1、流入管2の内径D2、フランジ3の外径D3、蓋体5の厚さt2、及び流入管2外周面からフランジ3下面へ連なる部分の半径R1に等しくなっている。 【0022】また、フランジ3の厚さt3が、流入管2の肉厚t5(t5=12mm)及び図5におけるフランジ3の厚さt1よりも大きくなっている。 【0023】更に、フランジ3の内径(蓋体5の外径)D8が、流入管2の外径D5よりも大きくなっているため、流入管2内周面に対する蓋体5とフランジ3の境界位置が、図5に示すものに比べて遠ざかっている。 【0024】容器頭部4及び蓋体5の形成素材には、炭素(C)、珪素(Si)、マンガン(Mn)、燐(P)、硫黄(S)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)の重量%を、下記のように配合したステンレス鋼(SUS304L)を用いている。 【0025】炭素:0.017wt%、珪素:0.47wt%、マンガン:1.16wt%、燐:0.034wt%、硫黄:0.008wt%、ニッケル:10.45wt%、クロム:18.12wt%【0026】図1乃至図3に示すような形状の模擬体を製作し、蓋体5をフランジ3に内接させたうえ、フランジ3の内径D8に応じた半径で溶加材を用いない単一の溶接パスにより蓋体5と容器頭部4とを溶着させる試験を、当該蓋体5及び容器頭部4の温度条件を変えて実施し、両部材を相互に固着する溶接継手部6のビード幅W、溶け込み深さd、外面裕度C1、及び内面裕度C2を、溶接開始点P0を基準として、溶接開始点P0から周方向へ10°移動した計測位置P1、該計測位置P1から周方向へ90°、180°、270°移動した計測位置P2,P3,P4ごとに調査したところ、下記のような結果を得た。 【0027】 【表1】
【0028】このように、図1乃至図3に示す固化体容器においては、流入管2の外径D5よりもフランジ3の内径(蓋体5の外径)D8を大きくして、蓋体5とフランジ3の境界を流入管2内周面から遠ざけ、これに加えて、流入管2の肉厚t5よりもフランジ3の厚さt3を大きくしているので、先に述べたような、溶接トーチの移動によって溶接位置ずれを修正する操作や、部材初期温度及び溶接の進捗に伴う部材温度の上昇に対応するように溶接電流値を減少させて母材への金属の溶け込みを抑制する操作を行なうことなく、外面裕度C1が最少4.5mm、平均6.1mm程度に、内面裕度C2が最少6.0mm、平均7.4mm強程度に保持される。 【0029】よって、流入管2内周面、あるいはフランジ3下面への溶融金属の到達が回避され、蓋体5を容器頭部4に直接的に且つ容易に溶着させることが可能になる。 【0030】更に、図1に二点鎖線で図示するように、フランジ3の上面内縁に当接可能な被覆部7を蓋体5の上縁全周にわたって一体的に設けておけば、当該被覆部7が溶接時に溶加材となり、溶接継手部6の形成に寄与する。 【0031】なお、本発明の固化体容器は上述の実施の形態のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で変更を加え得ることは勿論である。 【0032】 【発明の効果】以上述べたように、本発明の固化体容器によれば、流入管の外径よりも蓋体の外径を大きくして、蓋体とフランジの境界を流入管内周面から遠ざけ、流入管の肉厚よりもフランジの厚さを大きくして、溶接作業時の金属の溶け込み代を確保するので、流入管内周面やフランジ裏面への溶融金属の到達が回避され、部材初期温度の計測を行なわないでも同一溶接条件で蓋体を容器頭部に直接的に且つ容易に溶着できる、という優れた効果を奏し得る。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000000099 【氏名又は名称】石川島播磨重工業株式会社
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| 【出願日】 |
平成12年7月28日(2000.7.28) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100062236 【弁理士】 【氏名又は名称】山田 恒光 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開2002−40194(P2002−40194A) |
| 【公開日】 |
平成14年2月6日(2002.2.6) |
| 【出願番号】 |
特願2000−228985(P2000−228985) |
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