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【発明の名称】 ダクト放射線遮蔽構造
【発明者】 【氏名】田中 豊

【氏名】徳永 節男

【氏名】入野 光博

【氏名】祝 一裕

【氏名】森嶋 誠

【氏名】邨沢 憲治

【要約】 【課題】ダクト放射線遮蔽構造に関し、ダクトの放射線遮蔽と冷却空気の圧損抑制の効果を両立してこれら効果を高める。

【解決手段】冷却空気流入通路96、出口ダクト90の空気流れG上下方向に翼板ユニット10,11を1組とし、この組を上下に配置する。翼板1は角度θ=54度で左上がりに傾斜し、ピッチPで多数配列され、翼板2は反対に右上がりで同様に配置される。翼板1と2は上下方向において互いに位置がずれて配置され、各ユニット10と11は高さ方向Hで間隔Dをもって配置される。空気流れは実線Yで示すように、滑らかな曲線で流れるので圧損が少なくなり、空気の対流が増して冷却効果が高まり、放射線は点線X1 ,X2 のように多重反射して減衰し、遮蔽される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 放射性物質を貯蔵する施設に空気入口ダクトから空気を流入させ同放射性物質を冷却し、冷却後の空気を空気出口ダクトより流出させるダクト放射線遮蔽構造であって、前記空気入口及び出口ダクトの途中上下方向に所定の間隔を保って翼板ユニットを多段に配置して構成され、同各翼板ユニットは、空気流れ方向と直交する方向に伸びる翼板を所定のピッチで多数横方向へ配列すると共に、各翼板はそれぞれ面が平行となるように傾斜して配列し、更に上又は下へ隣接する翼板ユニットの翼板は同隣接するユニット同志で互いに逆方向の傾きであり、かつ横方向の位置が互いにずれて配置されていることを特徴とするダクト放射線遮蔽構造。
【請求項2】 前記翼板ユニットの上下方向の高さ、上下の翼板ユニット同志の間隔、及び前記翼板のピッチはそれぞれほぼ等しい寸法であることを特徴とする請求項1記載のダクト放射線遮蔽構造。
【請求項3】 前記翼板の両縁は滑らかな曲面で形成されていることを特徴とする請求項1記載のダクト放射線遮蔽構造。
【請求項4】 前記上下に配置した翼板ユニットは、一方のユニットの翼板の材料が中性子の吸収率の高い材料からなり、他方のユニットの翼板の材料がγ線又はX線の吸収率の高い材料からなることを特徴とする請求項1記載のダクト放射線遮蔽構造。
【請求項5】 前記翼板ユニットの翼板は、横方向に中性子の吸収率の高い材料からなる翼板とγ線又はX線の吸収率の高い材料からなる翼板とを交互に配列して構成したことを特徴とする請求項1記載のダクト放射線遮蔽構造。
【請求項6】 前記翼板ユニットの翼板は、一方の側面を中性子の吸収率の高い材料で形成し、他方の側面をγ線又はX線の吸収率の高い材料で形成する二重構造で構成されることを特徴とする請求項1記載のダクト放射線遮蔽構造。
【請求項7】 前記各翼板ユニットの翼板は横方向に連結バーで連結されると共に、中心で回転可能に両側において前記空気出口ダクト両壁面に取付けられ、前記連結バーを横方向に移動させることにより翼板の傾斜角度を調整可能とすることを特徴とする請求項1記載のダクト放射線遮蔽構造。
【請求項8】 前記翼板の傾斜角度は水平面に対して40〜70度の範囲に設定されていることを特徴とする請求項1記載のダクト放射線遮蔽構造。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】放射性物質貯蔵施設の排気ダクト流路構造に関し、貯蔵施設の空気の自然循環による冷却をするに当り、圧損を抑制することにより、冷却効果を高め、更に放射線の排気ダクトからの外部への流出を防止する構造としたものである。
【0002】
【従来の技術】図10は放射性物質の貯蔵施設の内部構造を示す図であり、現在、本出願人により開発が進められている構造の一例である。図において、放射性物質100を収納する建屋は外周囲を完全に密閉した構造であり、建屋内には基礎面101より下方に容器91が設けられ、容器91内には上下に支持架橋92,93が水平に配置して取付けられ、多数の放射性物質100が垂直に支持されている。放射性物質100は長尺形状のガラス構造として固化されており、その寸法は、例えば直径が400〜500mm、長さが1300mm程度の大きさであり、安全性の面より完全に固定して配置する必要がある。
【0003】建屋内の放射性物質100の上方へは、貯蔵時のアクセスを行うクレーン用走行ビーム95が配置され、走行クレーン94が走行する構成である。又、建屋の一方の側には空気流入通路96が設けられ、空気取入口98から流入する空気をスクリーン97を通して取り入れ、翼板ユニット85により内部との放射能の遮蔽を行い空気流入口99より容器91内へ冷却用の空気として流入させる。
【0004】他方の側には冷却空気出口ダクト90が設けられており、出口ダクト90は容器91とは空気流出口81と連通し、出口ダクト90の四側面の壁80には放射線の外部への流出を防止するための翼板ユニット86が多層に所定の間隙を保って配置されている。冷却空気出口ダクト90の先端部には出口筒83が設けられ、空気がスクリーン82を通って出口筒に流れ外部へ放出される。
【0005】上記構成の貯蔵施設において、放射性物質100は自然発熱作用により温度が上昇し、その温度が500℃以上となるとガラス固化体が溶けて放射能閉じこめ性能が低下するため、その温度が常時500℃以下に抑える必要がある。そのために、空気取入口98から空気を取り入れて自然対流により容器91内部に流通させ、放射性物質100を冷却し、昇温した空気は冷却空気出口ダクト90より外部へ放出する構造となっている。
【0006】空気は空気取入口98よりスクリーン97を通って建屋内へ流入し、空気流入通路96から翼板ユニット85を通過して空気流入口99から容器91内へ入り、放射性物質100の熱を吸収して昇温し、空気流出口81から冷却空気出口ダクト90に流出する。ダクト90に流出した空気は、翼板ユニット86を通過して上昇し、ダクト出口のスクリーン82を通り、出口筒83より外部へ流出する。このように空気の自然対流による換気により放射性物質100から発生する熱を冷却し、内部の温度を500℃以下に抑えている。
【0007】図9は上記に説明した放射性物質貯蔵施設の冷却空気出口ダクト90に設けられた翼板ユニットの各種形状を示す断面図である。(a)の例では、出口ダクト90の壁80の対向する面から出口ダクト開口部の幅よりも短い翼板60を所定の間隔で交互に垂直方向に配置した例である。この例においては放射線は図中2点鎖線で示すように反射しながらその間隔を通り、上下の翼板60で多重反射して減衰して反射線の外部への流出量を許容される基準値以下に抑えることができるが、流れが大きく蛇行するので圧損が大きくなり、自然換気の対流が悪くなってしまう。又、翼板60の枚数が少ないと放射能の遮蔽性能が低下してしまう。
【0008】又、(b)の例では、翼板ユニット61に上下方向でくの字状の通路61aを多数形成した例であり、又、(c)の例では、ジグザグ状の通路62aを多数形成した翼板ユニット62としたものである。これらの例においては、空気は通路61a、又は62aを通過する際には左右へ急激に流れの方向を変えるので、いずれも圧損が大きくなってしまい、又、構造的にも大きな構造体となり、設置面積が大となる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】前述のように現在の放射性物質の貯蔵設備においては、内部の放射性物質が発生する熱を空気の自然対流による換気で冷却することが行われており、この場合には空気を排出するダクト、即ち、図10の例では冷却空気出口ダクト90において圧損抑制と放射線遮蔽の両立が求められる。現状では出口ダクト90に図9(a)に示すようにじゃま板となる翼板60を配置したり、(b),(c)に示すように迷路方式の構造が採用されている。しかし、いずれの方式も空気の流れの圧損が大きく、放射能の遮蔽性能も充分ではない、等の問題があった。
【0010】そこで本発明は、放射性物質の発生する熱を空気の自然対流により冷却する際に、圧損をできるだけ小さくすると共に、放射能の遮蔽効果も向上させる構造のダクト放射線遮蔽構造を提供することを課題としてなされたものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は前述の課題を解決するために、次の(1)〜(8)の手段を提供する。
【0012】(1)放射性物質を貯蔵する施設に空気入口ダクトから空気を流入させ同放射性物質を冷却し、冷却後の空気を空気出口ダクトより流出させるダクト放射線遮蔽構造であって、前記空気入口及び出口ダクトの途中上下方向に所定の間隔を保って翼板ユニットを多段に配置して構成され、同各翼板ユニットは、空気流れ方向と直交する方向に伸びる翼板を所定のピッチで多数横方向へ配列すると共に、各翼板はそれぞれ面が平行となるように傾斜して配列し、更に上又は下へ隣接する翼板ユニットの翼板は同隣接するユニット同志で互いに逆方向の傾きであり、かつ横方向の位置が互いにずれて配置されていることを特徴とするダクト放射線遮蔽構造。
【0013】(2)前記翼板ユニットの上下方向の高さ、上下の翼板ユニット同志の間隔、及び前記翼板のピッチはそれぞれほぼ等しい寸法であることを特徴とする(1)記載のダクト放射線遮蔽構造。
【0014】(3)前記翼板の両縁は滑らかな曲面で形成されていることを特徴とする(1)記載のダクト放射線遮蔽構造。
【0015】(4)前記上下に配置した翼板ユニットは、一方のユニットの翼板の材料が中性子の吸収率の高い材料からなり、他方のユニットの翼板の材料がγ線又はX線の吸収率の高い材料からなることを特徴とする(1)記載のダクト放射線遮蔽構造。
【0016】(5)前記翼板ユニットの翼板は、横方向に中性子の吸収率の高い材料からなる翼板とγ線又はX線の吸収率の高い材料からなる翼板とを交互に配列して構成したことを特徴とする(1)記載のダクト放射線遮蔽構造。
【0017】(6)前記翼板ユニットの翼板は、一方の側面を中性子の吸収率の高い材料で形成し、他方の側面をγ線又はX線の吸収率の高い材料で形成する二重構造で構成されることを特徴とする請求項1記載のダクト放射線遮蔽構造。
【0018】(7)前記各翼板ユニットの翼板は横方向に連結バーで連結されると共に、中心で回転可能に両側において前記空気出口ダクト両壁面に取付けられ、前記連結バーを横方向に移動させることにより翼板の傾斜角度を調整可能とすることを特徴とする(1)記載のダクト放射線遮蔽構造。
【0019】(8)前記翼板の傾斜角度は水平面に対して40〜70度の範囲に設定されていることを特徴とする(1)記載のダクト放射線遮蔽構造。
【0020】本発明の(1)においては、空気入口及び出口ダクトには多段に翼板ユニットが所定の間隔で配置されているので、空気入口から多段に設けた翼板ユニットを通過した空気は放射性物質を冷却し、冷却後の空気は、下段の翼板ユニットの傾斜した翼板間の隙間から順次上の翼板ユニットの翼板間の隙間へ流れ、滑らかな曲線でスムーズに上昇し空気出口ダクトの先端から流出する。従って従来のように急激な流出方向の変化がなく流れの圧損を最小限に抑えることができる。又、空気中に含まれる放射性の粒子は、各段でのユニットの翼板が傾斜し、更にその傾斜も上下に隣接するユニットにおいて逆方向に傾斜し、これに加え上下のユニットでは翼板の位置が横方向でずれて配置されているので、直進して流入して翼板に衝突して一部が吸収され、残りは上段の翼板に衝突し、一部が吸収され、順次多重反射して衝突/吸収を繰り返して流出する。従って空気出口ダクトから空気が流出する位置では放射能のレベルは基準の制限値以下となる。
【0021】本発明の(2)では、翼板ユニットの高さ、間隔、翼板のピッチがそれぞれほぼ等しい寸法で構成され、このような構成では圧損の抑制と放射能の遮蔽効果の両方が満足され、両方の効果が高い構成とすることができる。又、本発明の(3)では翼板の両縁部が滑らかな曲面で形成されるので、空気の流れ抵抗が小さくなり、圧損低減の効果が向上する。
【0022】本発明の(4)では上下の翼板ユニットにおいて、一方のユニットは中性子の吸収率が高い翼板であり、他方のユニットの翼板はγ線又はX線の吸収率が高い翼板であるので、中性子やγ線、X線が混在した放射線の場合には特に有効となるものである。
【0023】本発明の(5)では、翼板ユニットの翼板は中性子の吸収率が高い翼板とγ線、X線の吸収率の高い翼板とが交互に横方向に配列しており、又、本発明の(6)では、翼板ユニットの翼板は、一方の側面が中性子の吸収率の高い材料、他方の側面がγ線又はX線の吸収率の高い材料の二重構造であるので、上記(4)の発明と同様に、中性子、γ線、X線が混在している場合に適用すると放射線の吸収効率が高まるものである。
【0024】本発明の(7)では、翼板ユニットの各翼板は連結バーを横方向に動かすことにより、連動してその傾斜角を変化させることができるので、放射線量、空気流量が変動した時に対応が可能となる。特に、放射線の漏れ等の事故時にはダクト流路を全閉にできるので有効な手段となる。
【0025】本発明の(8)では、翼板の傾斜角度を水平面に対して40〜70度に設定するので、この範囲では空気の流れが滑らかになり圧損を抑えることができると共に、放射能の遮蔽効果が良好となり、両者の効果を両立させ冷却効果を生かして放射能の漏れを規制値以下に抑えることができる。
【0026】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態について図面に基づいて具体的に説明する。図1は本発明の実施の第1形態に係るダクト放射線遮蔽構造を示し、(a)は縦断面図、(b)は(a)におけるA−A断面図である。両図において、1,2は翼板ユニットであり、ユニット1,2で1組を構成し、本実施の第1形態ではユニット1,2の組を上下に2つ配置した例である。これら翼板ユニット1,2は図10に示した従来の放射性物質貯蔵施設の空気流入通路96の入口部及び冷却空気出口ダクト90の下部入口部に配置され、従来の翼板ユニット85及び86に代わるものであが、以下、説明の都合上空気出口ダクト90に適用した例で説明する。
【0027】翼板ユニット10の翼板1は左上がりに角度θで傾斜し、所定のピッチPで複数枚(図では5枚)を面が平行になるように配置され、両端は対向する壁80に固定されている。翼板1の厚さはtで、その傾斜は放射線を吸収効率の高い材料からなり、例えば、厚さt=100〜500mmのコンクリート板からなる。
【0028】翼板ユニット11の翼板2は翼板1とは逆に角度θで右上がりの傾斜を有してピッチPで複数枚配列し、互いにその面が平行で両端は同じく対向する壁80に固定されている。翼板2の厚さは、同じくtで、翼板1と同じ寸法、材料から構成される。
【0029】又、翼板ユニット11,12の上下方向の幅はHとし、それぞれ上下方向に間隔Dで配置される。これら翼板ユニット11,12の組は、同じくペアで上下に配置され、図示の例では上から下へ翼板ユニット10,11、10,11の順で4段が間隔Dで配置されている。もちろん、必要に応じてこれらを4段以上に配置しても良い。この時の翼板1,2の傾斜角度θは40〜70度、好ましくは54度に設定され、又、HとD及びPの関係はほぼ等しい寸法(H≒D≒P)にすることが好ましい。更に翼板1と2との位置関係は、図示のように翼板1の下端の位置P1 、その1つ前方の翼板1の位置をP2 とすれば、翼板2の上端位置はP1 とP2 のほぼ中間のP3 となるように(P2 >P3 >P1 )配置する。
【0030】上記構成の排気ダクト流路構造において、冷却空気出口ダクト90の下方から流れてくる空気Gは翼板2がピッチPで配列している空間を実線Yで示すように斜め右上がりに流入し、その後翼板1がピッチPで配列している空間を左上がりに斜めに上昇し、図示のように滑らかな曲線で流れるので、流れの圧損が抑制される。又、空気中に含まれる放射線は図中X1 ,X2 で示すように1列目の翼板2に当り、吸収されると共に、残りの放射性の粒子は反射して隣接する翼板2に当たるか、又は2列目の翼板1に当り、順次翼板1から2へと多重反射しながら翼板1,2へ吸収され、上部から流出する際には基準の放射線の量以下となり、放射線の外部への遮蔽がなされるものである。
【0031】図2は本発明の実施の第2形態に係るダクト放射線遮蔽構造の翼板の形状を示す図である。本実施の第2形態における翼板12は翼の端面が滑らかな曲面、又は円形状の面とし端面での鋭部をなくし、気流が滑らかに沿って流れるような形状としたものである。その他の構成、作用は図1で説明した実施の第1形態のものと同じであるので説明は省略する。
【0032】図3は本発明の実施の第3形態に係るダクト放射線遮蔽構造の1部断面図である。図において、上段の翼板ユニットの翼板は中性子遮蔽材からなる翼板21であり、その材料は水素含有量が多い物質、即ちポリエチレン、パラフィン、レジン、B(ボロン)元素を含む物質、等からなり中性子が放射線の大部分を占める場合に中性子の吸収効率が高い材料である。又、下段の翼板ユニットの翼板はγ線、X線の吸収効率が高い材料からなる翼板22からなり、その材料は重元素、重密度物質(W,Pb,Ta,Fe,コンクリート,等)からなり、γ線やX線が放射線の大部分を占める場合にγ線やX線の吸収効率が高いものである。又、これら翼板21,22は、いずれの遮蔽材も放射線のエネルギーが小さい程吸収効率が高いものである。その他の配置、位置、傾斜角、寸法、等の構成は図1に示す実施の第1形態と同じである。
【0033】上記の実施の第3形態に係るダクト放射線遮蔽構造においては、中性子やγ線、X線が混在する場合に適用されるものである。放射性物質がγ線、X線が多く、これらが問題となる時には、まず下段の翼板22が配列する翼板ユニットでγ線、X線を吸収し、残りの粒子を翼板21が配列する上段の翼板ユニットに流し、中性子を吸収する。又、高エネルギーの中性子が問題の時にも、まず下段の翼板22で中性子を非弾性散乱でエネルギーを低下させ、上段の翼板21で中性子を吸収する。なお、図示の例ではユニットが2段の例であるが、もちろん、これら翼板21からなる上段、翼板22からなる下段の翼板ユニットを複数組上下に配置しても良い。
【0034】又、これら翼板22を中性子用ではなく翼板21と同じ材料のγ線、X線を吸収する材料とし、上段、下段の翼板21,22の材料をすべてγ線、X線吸収用のみとしても良く、又、これら翼板21,22をすべて中性子吸収用の材料で構成しても良いものであり、貯蔵する放射性物質に応じて適宜選択すれば良いものである。
【0035】図4は本発明の実施の第4形態に係るダクト放射線遮蔽構造の1部断面図である。図において、上段の翼板ユニットはγ線やX線吸収用の材料からなる翼板31と中性子吸収用の材料からなる翼板41とを交互に配列して構成する。下段の翼板ユニットも同様にγ線やX線吸収用の材料からなる翼板32と中性子吸収用の材料からなる翼板42を交互に配置する。その他の配置、寸法、傾斜角、等の構成や位置関係は図1に示す実施の第1形態と同じである。
【0036】上記の実施の第4形態においても、放射線に中性子、γ線、X線が混在する場合に有効なもので、これら中性子、γ線、X線を平均して吸収でき、上記実施の第3形態と同様の効果が得られる。もちろん、これら翼板ユニットを2段以上の複数段に配置しても良いものである。
【0037】図5は本発明の実施の第5形態に係るダクト放射線遮蔽構造の1部断面図である。図において、本実施の第5形態の翼板52は一方の面が中性子吸収用の材料52aからなり、他方の面がγ線、X線吸収用の材料52bからなり、これら52a,52bを重ね合わせて1枚の翼板52とした構造である。その他の翼板の配置、傾斜角、寸法、位置、傾斜、等は図1に示す実施の第1形態と同じである。
【0038】なお、図示の例では、翼板52の右側の面が中性子吸収用の材料52a、左側がγ線、X線吸収用の材料52bの翼板を配列した例で示しているが、これを逆にして右側の面を52b、左側の面を52aとしても良く、又は、右側の面が52aで左側の面が52bの翼板と、この面を逆にした翼板とを混在して配置しても良いものである。
【0039】上記構成の実施の第5形態においては、中性子吸収用の材料52aとγ線とX線吸収用の材料52bとの二重構造の翼板52を配列した翼板ユニットを1段のみ配置し、中性子、γ線、X線が混在する放射線の遮蔽を行う場合に、これらを平均的にむらなく吸収するものである。1段では放射線の遮蔽が不充分の場合には、次の図6で説明する多段構成の実施の第6形態のものを適用する。
【0040】図6は本発明の実施の第6形態に係るダクト放射線遮蔽構造の断面図である。図において、本実施の第6形態では図5に示す実施の第5形態の翼板ユニットを図1に示す実施の第1形態の配置のように多段構成としたものである。図において、上段の翼板ユニットは中性子吸収用の材料53aとγ線、X線吸収用の材料53bとの二重構造の翼板53を傾斜させて配列し、下段の翼板ユニットは図5の例と同じく、中性子吸収用材料52aとγ線、X線吸収用の材料52bとの二重構造の翼板52を配列した構成である。翼板の配列、位置、傾斜角、ピッチ、ユニット間隔、等は図1に示した実施の第1形態のものと同じである。
【0041】上記の実施の第6形態においては、中性子、γ線、X線が混在する放射線の場合には、図中実線で示す中性子と図中点線で示すγ線、X線は下段から流入し、翼板52の材料52bではγ線、X線を吸収し、材料52aでは中性子を吸収しながら多重反射して上段のユニットへ入り、順次放射能を吸収して基準以下に放射能を抑えることができる。又、この場合に、中性子が高エネルギーの時には下段に入射した中性子は、まず翼板52の材料52bに衝突して非弾性散乱でエネルギーが低下し、上段の翼板ユニットへ流入すると材料53aからなる翼板53に衝突し、中性子が吸収される。
【0042】図7は本発明の実施の第7形態に係るダクト放射線遮蔽構造を示し、(a)は翼板ユニットの側面図、(b)〜(d)はそれぞれ翼板を可動させて傾斜角を変えた場合の側面図である。(a)において、14は翼板ユニット全体であり、15は翼板でピッチPで互いに平行に配列し各翼板15は中心において回転自在に固定用軸16で冷却空気ダクトの両壁面に取付けられている。18は連結用ピンで各翼板15の両端に設けられ、連結バー17a,17bに翼板15が左右に固定用軸16を中心として回動自在に取付けられている。
【0043】(b)は連結バー17a,17bを操作して各翼板15を回動させ、各翼板15が空気流れRに平行に配置させた例である。この場合には空気の流れの抵抗が最も小さくでき、圧損を最小にすることができるが、反面放射線の遮蔽効果が小さくなる。(c)は連結バー17aを左方向へ押し、連結バー17bを右方向へ引くことにより各翼板15を左上がりに傾斜させた例であり、各翼板を実施の第1〜第6形態で示すように傾斜させ、圧損を抑制し、かつ放射線遮蔽の効果を最大にするような最適な角度に調整し、設定することができる。(d)は更に各翼板15を傾斜させ、隣接する翼板同志の間隔を小さくし、又は完全に閉じることができる。
【0044】図8は上記の実施の第7形態の翼板ユニットの駆動を示し、(a)は全体の側面図、(b)は(a)におけるB−B矢視図である。(a)において、各翼板15は固定用軸16で回転自在に冷却空気入口及び出口ダクトの両壁面に取付けられ、各翼板15の両端は連結用ピン18でそれぞれ連結用バー17a,17bに連結され、連結用バー17a,17bの端は結合バー19でモータ65の回転軸へ取付けられ、モータ65が回転することにより結合バーを左右に回動させ、連結用バー17a,17bを交互に反対方向に移動させることにより、各翼板15の傾斜角を変化させることができる。
【0045】(b)は駆動部の詳細を示し、モータ65は冷却空気入口及び出口ダクトの壁面に取付けられており、連結用バー17aは連結用ピン18でそれぞれ翼板15に連結され、モータ65が回転して連結用バー17aが左右に移動すると、翼板15は連動して固定用軸16を中心として回転し、その傾斜角が変わる構成である。もちろん、モータ65を用いずに手動で連結用バー17a,17bを操作するようにしても良い。
【0046】上記に説明の実施の第7形態の構造は、図1〜図6に示す実施の第1〜第6形態に示すダクト放射線遮蔽構造に適用して各翼板を回転させることができるもので、各翼板の傾斜角を変化させて開口部の流路の角度を調節し、放射線や空気流量の変動に対応して調節できるものである。特に放射線の漏れ等の事故時にはダクト流路を全閉にできるので有効な手段となる。
【0047】以上説明の実施の第1〜第7形態のダクト放射線遮蔽構造によれば、放射線遮蔽と圧損の抑制の効果を両立させることができ、冷却空気出口ダクト90の流路の簡略化と、圧損が低減するために自然循環による空気の流通が良くなり、冷却効果も増すものである。
【0048】
【発明の効果】本発明の放射性物質貯蔵施設の排気ダクト流路構造は、(1)放射性物質を貯蔵する施設に空気入口ダクトから空気を流入させ同放射性物質を冷却し、冷却後の空気を空気出口ダクトより流出させるダクト放射線遮蔽構造であって、前記空気入口及び出口ダクトの途中上下方向に所定の間隔を保って翼板ユニットを多段に配置して構成され、同各翼板ユニットは、空気流れ方向と直交する方向に伸びる翼板を所定のピッチで多数横方向へ配列すると共に、各翼板はそれぞれ面が平行となるように傾斜して配列し、更に上又は下へ隣接する翼板ユニットの翼板は同隣接するユニット同志で互いに逆方向の傾きであり、かつ横方向の位置が互いにずれて配置されていることを特徴としている。
【0049】上記構成により、従来のように急激な流出方向の変化がなく流れの圧損を最小限に抑えることができる。又、空気中に含まれる放射性の粒子は、各段でのユニットの翼板が傾斜し、更にその傾斜も上下に隣接するユニットにおいて逆方向に傾斜し、これに加え上下のユニットでは翼板の位置が横方向でずれて配置されているので、直進して流入して翼板に衝突して一部が吸収され、残りは上段の翼板に衝突し、一部が吸収され、順次多重反射して衝突/吸収を繰り返して流出する。従って空気出口ダクトから空気が流出する位置では放射能のレベルは基準の制限値以下となる。
【0050】本発明の(2)では、翼板ユニットの高さ、間隔、翼板のピッチがそれぞれほぼ等しい寸法で構成され、このような構成では圧損の抑制と放射能の遮蔽効果の両方が満足され、両方の効果が高い構成とすることができる。又、本発明の(3)では翼板の両縁部が滑らかな曲面で形成されるので、空気の流れ抵抗が小さくなり、圧損低減の効果が向上する。
【0051】本発明の(4)では上下の翼板ユニットにおいて、一方のユニットは中性子の吸収率が高い翼板であり、他方のユニットの翼板はγ線又はX線の吸収率が高い翼板であるので、中性子やγ線、X線が混在した放射線の場合には特に有効となるものである。
【0052】本発明の(5)では、翼板ユニットの翼板は中性子の吸収率が高い翼板とγ線、X線の吸収率の高い翼板とが交互に横方向に配列しており、又、本発明の(6)では、翼板ユニットの翼板は、一方の側面が中性子の吸収率の高い材料、他方の側面がγ線又はX線の吸収率の高い材料の二重構造であるので、上記(4)の発明と同様に、中性子、γ線、X線が混在している場合に適用すると放射線の吸収効率が高まるものである。
【0053】本発明の(7)では、翼板ユニットの各翼板は連結バーを横方向に動かすことにより、連動してその傾斜角を変化させることができるので、放射線量、空気流量が変動した時に対応が可能となる。特に、放射線の漏れ等の事故時にはダクト流路を全閉にできるので有効な手段となる。
【0054】本発明の(8)では、翼板の傾斜角度を水平面に対して40〜70度に設定するので、この範囲では空気の流れが滑らかになり圧損を抑えることができると共に、放射能の遮蔽効果が良好となり、両者の効果を両立させ冷却効果を生かして放射能の漏れを規制値以下に抑えることができる。
【出願人】 【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
【出願日】 平成12年7月27日(2000.7.27)
【代理人】 【識別番号】100069246
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 新 (外1名)
【公開番号】 特開2002−40191(P2002−40191A)
【公開日】 平成14年2月6日(2002.2.6)
【出願番号】 特願2000−227422(P2000−227422)