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【発明の名称】 ウラン鉱さいを安定化する方法
【発明者】 【氏名】大貫 敏彦

【氏名】香西 直文

【要約】 【課題】ウラン精錬等により生じた鉱さいの処分に関し、長期間安定に処分場内に閉じこめ、環境保全に資する方法であり、これにより酸性雨などの雨水のpH低下に対しても充分に閉じこめることができ、また、ウランに汚染された土壌中のウランをも安定化し、環境への漏出を防ぐ方法。

【解決手段】鉱さい中のウランを弱酸性溶液中でリン酸塩を含む材料と接触させ、ウラニルリン酸塩鉱物化させる、鉱物化の際にウランの壊変により生じたラジウムも取り込み、安定化する。鉱さいの覆土中にリン酸を含む材料を混合させ、酸性雨に対する漏出濃度を低減させる。リン酸を含む材料としては、熔リン、アパタイトやリン酸肥料生成過程で発生する廃棄物などを用いる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ウラン鉱さい中のウランを弱酸性溶液中でリン酸塩を含む材料と接触させてウランをリン酸塩鉱物化することにより、ウラン鉱さいに含まれるウラン及びその娘核種を含む元素の環境への漏出を低減することを特徴とするウラン鉱さいを安定化する方法。
【請求項2】 ウラン鉱さい層とリン酸塩を含む材料とを積層配置させ、酸性雨などのpHの低い水と接触した際にウラン鉱さい中のウランをリン酸塩鉱物化することにより、ウラン鉱さいに含まれるウラン及びその娘核種を含む元素の環境への漏出を低減させることを特徴とするウラン鉱さいを安定化する方法。
【請求項3】 リン酸塩を含む材料が、リン酸塩鉱物、熔リン、アパタイト及び/又はリン酸肥料生成過程で発生する廃棄物である請求項1又は請求項2記載の方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、これまで確立されていないウラン精錬等により生じた鉱さいの処分方法に関し、長期間安定に処分場内に閉じこめ、環境保全に資する方法を提供する。さらに、酸性雨など将来の雨水のpH低下に対しても充分に閉じこめる方法を提供する。また、ウランに汚染された土壌中のウランを安定化し、環境への漏出を防ぐ方法を提供する。
【0002】
【従来の技術】鉱さいは、製錬過程における不要部分の集まりを指す。ウラン鉱石の精錬においても鉱さいが発生する。製錬からの主要な廃棄物は、鉱さいと浸出廃液である。これらは中和されて鉱さいダムに送られる。中和によって生じた固体と鉱さいは沈降堆積し、液は上澄液となる。固体廃棄物は、主として鉱さいと浸出廃液を中和した際に生じる沈殿物で、鉱さいダムに堆積貯留される。堆積物には、微量のラジウム、ウラン、未浸出のウラン鉱物の他に鉱石中に不純物として含有していた金属元素やラジウム崩壊の際に発生するラドンなど種々の物質が含まれている。
【0003】鉱さいや廃液を堆積貯蔵する鉱さいダムは、底部や側面から漏水しないように施工してある。上澄液については、放流または再使用のために、廃液中のウラン量をさらに少なくする必要がある時には、重燐酸ナトリウム添加法とキレート樹脂法によりウランなどの濃度を減少させている。重燐酸ナトリウム添加法は、添加された重燐酸ナトリウムが廃水中のカルシウムイオンと反応して燐酸カルシウムが作られ沈澱するが、その際にウランが共沈して、廃液中のウラン濃度は0.1ppm以下となる。
【0004】キレート樹脂法は、アミドオキシム系キレート樹脂にウランを吸着させると、廃液中のウランは0.03ppm以下に減少する。吸着したウランは回収される。
【0005】米国では、主として第2次大戦中に操業していて既に閉鎖した製錬プラントで、鉱さい施設が周辺を汚染させる問題をおこしている。これら問題地区では、鉱さい表面を土壌で3m以上の厚さで覆うこと、鉱さいを安全な処理地区まで運搬すること、および再製錬して有害成分を取り除くことなどを行っている。
【0006】鉱さいダムに保管されたウラン鉱さいは、ある一定期間を経た後処分される予定である。しかし、その方法は確立されていない。一方、ウランに汚染された土壌の処理方法については未確立である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】鉱さいダムに保管されたウラン鉱さいは、ある一定期間を経た後処分される予定である。しかし、その方法は確立されていない。また、汚染土壌の処理方法についても具体的な方法は確立されていない。鉱さいの処分及び汚染土壌の処理を行う方法としては、以下の点が必要不可欠である。
【0008】1)長期間安定に閉じこめることが可能であること。
2)酸性雨などによる雨水のpH減少に伴う漏出性の増加を防ぐこと。
【0009】3)安価な材料により実施できること。
4)管理を簡略化すること。
【0010】
【問題を解決するための手段】1)鉱さい中のウランを弱酸性溶液中でリン酸塩を含む材料と接触させ、ウラニルリン酸塩鉱物化させる。鉱物化の際にはウランの壊変により生じたラジウムも取り込み、安定化する。
【0011】2)鉱さいの覆土中にリン酸塩を含む材料を混合させ、酸性雨に対する漏出濃度を低減させる。
【0012】3)リン酸塩を含む材料、例えば、熔リン、アパタイトやリン酸肥料生成過程で発生する廃棄物などを用いる。また、覆土材料中に数重量%混合することにより、1)の機能を充分発揮させるよう施工する。
【0013】4)処分場施工時にリン酸塩を含む材料を処分場に供給することにより、ウラン等の環境への漏出を低減でき、その後の管理を省くことが可能である。以下、本発明を実施例に基づいて説明する。
【0014】
【実施例】図1に、100ppmウラン溶液とリン酸塩鉱物を0.01モルの硝酸溶液中で接触させた際に、溶液中に生成した鉱物の電子顕微鏡写真を示す。接触の温度は25℃、接触時間は10日である。図のA点の元素組成はウラン:2、リン:2、カルシウム:1であり、ウラニルリン酸塩鉱物の一つである、オーチナイト(Ca(PO2 2 (UO2 2 )である。リン酸の供給源として熔リン及びリン酸溶液を用いた場合においても同様な鉱物が観察された。また、ウランを含む捨石を0.01モル硝酸塩溶液と熔リン、リン酸塩鉱物と上記条件と同じ条件で接触させた場合にも、上記鉱物が生成することを確認した。
【0015】図2に、直径2.5cmのカラム内にウラン捨石1gを導入し、その上部に石英粉末3gと0.1gのリン酸塩鉱物を混合した層を形成させ、カラム上部からpH3.1の水溶液を滴下させた際の流出液中のウラン濃度と積算流出液量との関係を示す。比較のために、リン酸塩鉱物を混合させない場合の流出液中におけるウラン濃度と積算流出液量との関係も示す。図から、リン酸塩鉱物を混合させた場合には流出液中のウラン濃度が1/10以下に減少した。さらに、流入液のpHを2.9にした場合においてもウラン濃度は上昇しなかった。
【0016】図3に、ウラン鉱床付近で採取した岩石試料中のリン酸塩鉱物に濃集したウランが鉱物化し、10万年以上ウランを保持している写真を示す。白い部分Aにはウランが濃集しておりウラニルリン酸塩鉱物である。灰色の部分Bはカルシウムリン酸塩鉱物である。保持期間は周辺の地質調査から岩石の風化が起こってから数十万年以上経過していることから判断した。
【0017】これらの結果により、リン酸塩を含む材料とウランを接触させることによりウランは速やかに安定なウラン鉱物に変わること、リン酸塩鉱物を含む覆土を用いることにより、酸性雨などによる雨水のpH減少の際にも環境へのウラン及びその娘核種を含む元素の漏出を低減できることが確認できた。さらに、鉱物化したウランは10万年という長期間安定であることを確認できた。
【0018】
【発明の効果】本発明によって以下の効果が発生する。
【0019】1.リン酸塩を含む材料とウランを接触させることによりウランは速やかに安定なウラン鉱物に変わり、環境中に漏出しにくい形態となる。
【0020】2.リン酸塩鉱物を含む覆土を用いることにより、酸性雨などによる雨水のpH減少の際にも環境へのウラン及びその娘核種を含む元素の漏出を低減できる。
【0021】3. 鉱物化したウランは10万年という長期間安定である。
【出願人】 【識別番号】000004097
【氏名又は名称】日本原子力研究所
【出願日】 平成12年6月20日(2000.6.20)
【代理人】 【識別番号】100089705
【弁理士】
【氏名又は名称】社本 一夫 (外5名)
【公開番号】 特開2002−6087(P2002−6087A)
【公開日】 平成14年1月9日(2002.1.9)
【出願番号】 特願2000−184027(P2000−184027)