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【発明の名称】 主蒸気隔離弁
【発明者】 【氏名】浅田 和雄

【氏名】鈴田 忠彦

【氏名】吉田 昌浩

【氏名】神農 弘行

【氏名】真鍋 吉久

【氏名】氷見 忠夫

【氏名】川口 昭博

【要約】 【課題】主蒸気隔離弁において、弁体の変形を阻止すると共に装置の大型化及び高コスト化を防止する一方で、緊急時には蒸気通路を確実に遮断して安全性の向上を図る。

【解決手段】主蒸気配管破断事故などの緊急時に、弁体22がその自重及び圧縮コイルばね30の付勢力のみにより弁座17に密着し、蒸気通路14を完全に閉止する完全閉弁位置に移動できるように、弁体22の重量及び圧縮コイルばね30の付勢力を、機械的な抵抗力の2倍以上、特に、2倍の抵抗力に所定の余裕力を加算した値に設定し、この完全閉弁力を弁体22の重量と圧縮コイルばね30の反発力とに振り分ける。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 主蒸気管に設けられて緊急時に蒸気通路を遮断する主蒸気隔離弁において、蒸気通路を有して弁座が形成された弁箱と、該弁箱に回動自在に設けられて上方に回動して前記蒸気通路を開放する開弁位置と下方に回動して該蒸気通路を閉止する閉弁位置とに移動自在な弁体と、該弁体を閉弁方向に付勢するばね部材と、前記弁体をその自重及び前記ばね部材の付勢力に抗して開弁方向に移動する弁駆動機構とを具え、緊急時に前記弁体がその自重及び前記ばね部材の付勢力のみにより前記弁座に密着して該蒸気通路を完全に閉止する完全閉弁位置に移動できるように、前記弁体の重量及び前記ばね部材の付勢力を設定したことを特徴とする主蒸気隔離弁。
【請求項2】 請求項1記載の主蒸気隔離弁において、前記弁体が完全閉弁位置に移動するための閉弁力を、該弁体が完全閉弁位置に移動するときの機械的な抵抗力の2倍以上に設定したことを特徴とする主蒸気隔離弁。
【請求項3】 請求項1記載の主蒸気隔離弁において、前記弁体が完全閉弁位置に移動するための閉弁力を、該弁体が完全閉弁位置に移動するときの機械的な抵抗力の2倍の閉弁力に所定の余裕力を加算して設定したことを特徴とする主蒸気隔離弁。
【請求項4】 請求項1記載の主蒸気隔離弁において、前記弁体の剛性強度と前記弁座の剛性強度とをほぼ同一に設定したことを特徴とする主蒸気隔離弁。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、原子力発電プラントの主蒸気管に設けられ、緊急時に蒸気通路を遮断する主蒸気隔離弁に関する。
【0002】
【従来の技術】原子力発電プラントでは、原子炉の熱を取り出して蒸気発生器で蒸気を発生させる原子力蒸気発生設備、所謂、一次系設備と、タービン発電機を中心とした二次系設備とに分けられ、一次系設備の蒸気発生器で発生した蒸気を主蒸気管を用いて二次系設備のタービンに送給しており、この主蒸気管には主蒸気配管破断事故などの緊急時に蒸気通路を遮断する主蒸気隔離弁が設けられている。
【0003】従来の主蒸気隔離弁は、蒸気通路が形成された弁箱に弁体が回動自在に設けられ、この弁体は蒸気通路を開放する開弁位置と閉止する閉弁位置とに移動自在であり、ばねにより閉弁方向に付勢支持されている。そして、原子力発電プラントの稼働時には、エアシリンダにエアを供給し続けることでこのエアシリンダを作動し、ばねに抗して弁体を開弁位置と移動して蒸気通路を開放する。一方、主蒸気配管破断事故の発生時には、エアシリンダへのエアの供給を停止すると共にエアシリンダ内のエアを排出し、ばねの付勢力により弁体を閉弁位置に移動して蒸気通路を遮断する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上述した従来の主蒸気隔離弁にあって、主蒸気配管破断事故の発生時に、弁体をばねの付勢力により閉弁位置に移動して蒸気通路を遮断しているものの、弁体やばねの支持部などの機械的な抵抗、あるいはパッキンの反発力などにより弁体の閉弁力が不足して確実に蒸気通路を遮断することができない虞がある。そこで、ばねの付勢力を大きくして弁体の十分な閉弁力を確保することが考えられるが、この場合、閉弁力が大きすぎて弁体が弁箱の弁座に当接したときに塑性変形してしまうという問題がある。
【0005】従って、従来は、主蒸気隔離弁の安全性を十分に確保する必要から手動増締装置が併設されており、主蒸気配管破断事故の発生時に、弁体がばねの付勢力により閉弁位置に移動した後、作業者がこの手動増締装置を用いて蒸気通路を完全に遮断していた。そのため、手動増締装置の併設により主蒸気隔離弁が大型化すると共にコストが増加してしまい、また、作業性も良くなかった。
【0006】本発明はこのような問題を解決するものであって、弁体の変形を阻止すると共に装置の大型化及び高コスト化を防止する一方で、緊急時には蒸気通路を確実に遮断して安全性の向上を図った主蒸気隔離弁を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するための請求項1の発明の主蒸気隔離弁は、主蒸気管に設けられて緊急時に蒸気通路を遮断する主蒸気隔離弁において、蒸気通路を有して弁座が形成された弁箱と、該弁箱に回動自在に設けられて上方に回動して前記蒸気通路を開放する開弁位置と下方に回動して該蒸気通路を閉止する閉弁位置とに移動自在な弁体と、該弁体を閉弁方向に付勢するばね部材と、前記弁体をその自重及び前記ばね部材の付勢力に抗して開弁方向に移動する弁駆動機構とを具え、緊急時に前記弁体がその自重及び前記ばね部材の付勢力のみにより前記弁座に密着して該蒸気通路を完全に閉止する完全閉弁位置に移動できるように、前記弁体の重量及び前記ばね部材の付勢力を設定したことを特徴とするものである。
【0008】請求項2の発明の主蒸気隔離弁では、前記弁体が完全閉弁位置に移動するための閉弁力を、該弁体が完全閉弁位置に移動するときの機械的な抵抗力の2倍以上に設定したことを特徴としている。
【0009】請求項3の発明の主蒸気隔離弁では、前記弁体が完全閉弁位置に移動するための閉弁力を、該弁体が完全閉弁位置に移動するときの機械的な抵抗力の2倍の閉弁力に所定の余裕力を加算して設定したことを特徴としている。
【0010】請求項4の発明の主蒸気隔離弁では、前記弁体の剛性強度と前記弁座の剛性強度とをほぼ同一に設定したことを特徴としている。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0012】図1に本発明の一実施形態に係る主蒸気隔離弁の正面視、図2に図1のII−II断面、図3に図1のIII−III断面、図4に弁体の閉弁力を設定するためのグラフを示す。
【0013】本実施形態の主蒸気隔離弁は、原子力発電プラントにおける一次系設備(原子力蒸気発生設備)の蒸気発生器で発生した蒸気を、二次系設備のタービン発電機に送給連結する主蒸気管に設けられており、プラント稼働時には蒸気通路を開放し、主蒸気配管破断事故などの緊急時にはこの蒸気通路を遮断するように構成されている。
【0014】この主蒸気隔離弁において、図1乃至図3に示すように、弁箱11は蒸気入口部12と蒸気出口部13とがほぼ直線状をなす蒸気通路14が形成され、この蒸気通路14と交差するように上方に延びた開口部15が形成され、この開口部15は弁蓋16が固定されて閉塞されている。この弁箱11の蒸気通路14には蒸気出口部13側にリング状の弁座17が固定されている。
【0015】この弁箱11の開口部15には蒸気出口部13側に収納凹部18が形成され、この収納凹部18にスピンドル19が水平に貫通し、各端部が弁箱11に固定された軸受20により回動自在に支持されている。そして、このスピンドル19の中間部にはアーム21の基端部が固結される一方、アーム21の先端部には弁体22が固定されている。この弁体22は外径が弁座17とほぼ同一の円盤形状をなし、上方に回動して蒸気通路14を開放する開弁位置(図3にて二点鎖線で表す位置)と、下方に回動して蒸気通路14を閉止する閉弁位置(図3にて実線で表す位置)とに移動自在となっている。この場合、弁箱11の開口部15には蒸気入口部12側に規制突起23が形成されており、弁体22は、開弁位置でこの規制突起23に当接して位置決めがなされる一方、閉弁位置で弁座17に当接して蒸気通路14を完全に閉止することができる。
【0016】また、弁箱11の側方にはスピンドル19を介して弁体22を回動することで、蒸気通路14を開閉する弁駆動機構24が設けられている。即ち、弁箱11の側部外壁には取付フランジ25を介して円筒形状をなすシリンダカバー26が固定され、このシリンダカバー26の下部にはこれより大径の円筒形状をなすシリンダ27が固定されている。そして、このシリンダカバー26にはピストンロッド28が上下方向に沿って貫通し、ピストンロッド28の下端部にはシリンダ27に移動自在に嵌合するピストン29が固結されている。また、シリンダカバー26内にはピストン29との間にばね部材としての圧縮コイルばね30が介装されている。
【0017】一方、ピストンロッド28の上端部には連結レバー31の下端部が連結され、この連結レバー31における湾曲した上端部はスピンドル19の一端部に連結されている。また、スピンドル19の他端部の軸受20にはこのスピンドル19の回動角度から弁体22の開弁位置及び閉弁位置を検出する位置センサ32が装着されている。そして、シリンダ27内はピストン29により空気室33が形成されており、この空気室33には配管34を介して給気弁35と排気弁36が並列に接続され、給気弁35にはアキュムレータ37とコンプレッサ38が接続されている。
【0018】従って、給気弁35を開放して排気弁36を閉止した状態で、コンプレッサ38を駆動して配管34を通して空気室33にエアを供給すると、ピストン29が圧縮コイルばね30の付勢力に抗して押し上げられ、ピストンロッド28を上方に移動する。すると、連結レバー31を介してスピンドル19が図3にて時計回り方向に回動し、アーム21を介して弁体22を上方に回動することで、蒸気通路14を開放する開弁位置に移動することができる。
【0019】一方、給気弁35を閉止して排気弁36を開放すると、圧縮コイルばね30の付勢力によりピストン29が押し上げられて空気室33内のエアが配管34を通して排出され、ピストンロッド28を下方に移動する。すると、連結レバー31を介してスピンドル19が図3にて反時計回り方向に回動し、アーム21を介して弁体22を下方に回動することで、蒸気通路14を閉止開放する閉弁位置に移動することができる。
【0020】また、シリンダ27の下端部にはこれより小径の円筒形状をなす油圧シリンダ39が固定され、下部にはヘッドカバー40が固定されている。シリンダ27内のピストン29の下面には連結ロッド41が連結され、下端部がこの油圧シリンダ39内に貫通し、移動自在に嵌合するピストン42に固結されている。このピストン42は油圧シリンダ39内を2つの油室43,44に区画し、油室43,44同志がピストン42に形成されたオリフィス孔45により連通している。ヘッドカバー40には中央部には貫通孔46が形成され、この貫通孔46を塞ぐようにラプチャーディスク47が位置し、ホルダ48により固定されており、ホルダ48に貫通孔46に対向して貫通孔49が形成されている。
【0021】従って、空気室33に対するエアの給排や圧縮コイルばね30の付勢力によりピストン29、ピストンロッド28、連結レバー31、スピンドル19等を介して弁体22が開弁位置と閉弁位置との間で回動するとき、ピストン42が油圧シリンダ39内で移動し、潤滑油がオリフィス孔45を介して各油室43,44を流動することとなり、弁体の開閉動作を減衰することができる。そして、ラプチャーディスク47は所定の圧力を受けたときに破裂するようにその強度が設定されており、弁体22の閉止動作に油室44の内圧が上昇してこの内圧が所定圧を越えるとラプチャーディスク47が破裂し、油室44の潤滑油が貫通孔46,49を通して排出され、弁体22を適正に閉止動作させることができる。
【0022】このように構成された本実施形態の主蒸気隔離弁では、主蒸気配管破断事故などの緊急時に、弁体22がその自重及び圧縮コイルばね30の付勢力のみにより弁座17に密着し、蒸気通路14を完全に閉止する完全閉弁位置に移動できるように、この弁体22の重量及び圧縮コイルばね30の付勢力が設定されている。この場合、弁体22が開弁位置から完全閉弁位置に回動するとき、弁体22の支持部、つまり、スピンドル19の軸受20や弁駆動機構24、あるいはシールやパッキンの反発力などの機械的な抵抗力に打ち勝つ完全閉弁力が必要となる。
【0023】この機械的に抵抗力は主蒸気隔離弁の構造や材料などを検討することで設定される。本実施形態では、図4に示すように、機械的な抵抗力に打ち勝つ閉弁力をこの抵抗力の2倍以上に設定している。但し、長期の使用による各摺動部分での汚染やシールの劣化などによって抵抗力が増大する虞があるため、この閉弁力を抵抗力の2倍に所定の余裕力を加算して設定することが望ましく、このときの完全閉弁力は抵抗力の3倍弱となる。従って、このように設定された完全閉弁力を弁体22の重量と圧縮コイルばね30の反発力とに振り分ければよい。
【0024】また、緊急時には、弁体22が直ちに完全閉弁位置に移動することが必要であり、この弁体22は大きな力で弁座17に当接することとなる。そのため、本実施形態では、弁体22の剛性強度と弁座17の剛性強度とをほぼ同一の剛性強度となるように設定することで、弁体22が弁座17に当接するときの互いの塑性変形を抑制するようにしている。具体的には、弁体22を厚肉化して重量を増加することで、剛性強度を弁座17の剛性強度まで向上し、圧縮コイルばね30の線径及びコイル径を大きくしてばね力を向上させている。なお、圧縮コイルばね30のサイズアップによりシリンダ27の内径が大きくなるが、閉弁時間が長くならないように排気ラインを複数設けることが望ましい。
【0025】このように本実施形態の主蒸気隔離弁にあっては、弁体22がその自重及び圧縮コイルばね30の付勢力のみにより弁座17に密着し、蒸気通路14を完全に閉止する完全閉弁位置に移動できるように、弁体22の重量及び圧縮コイルばね30の付勢力を設定しており、この場合、閉弁力を弁体22が閉弁位置に回動するときの機械的な抵抗力の2倍以上、特に、2倍の抵抗力に所定の余裕力を加算した値に設定するようにし、この完全閉弁力を弁体22の重量と圧縮コイルばね30の反発力とに振り分けている。
【0026】従って、主蒸気配管破断事故などの緊急時には、弁体22がその自重及び圧縮コイルばね30の付勢力のみにより適正に弁座17に密着うる完全閉弁位置に移動することとなり、弁体22は蒸気通路14を確実に閉止することができ、安全性を向上することができる。
【0027】そして、この弁体22の剛性強度を弁座17の剛性強度とほぼ同一となるように設定しており、弁体22が完全閉弁位置に移動したときに、この弁体22が弁座17に当接するが、剛性強度がほぼ同一であるために両者の塑性変形を抑制することができ、装置の大型化及び高コスト化を防止することができる。
【0028】なお、上述の実施形態では、弁体22を閉弁方向に付勢する圧縮コイルばね30を、弁体22を開弁方向に移動する弁駆動機構24内に設けたが、圧縮コイルばね30をねじりコイルばねとしてアーム21に設けてもよい。
【0029】
【発明の効果】以上、実施形態において詳細に説明したように請求項1の発明の主蒸気隔離弁によれば、蒸気通路を有かる弁箱に上方に回動してこの蒸気通路を開放する開弁位置と下方に回動して蒸気通路を閉止する閉弁位置とに移動自在な弁体を設け、この弁体を閉弁方向に付勢するばね部材と、弁体を開弁方向に移動する弁駆動機構とを設け、緊急時にこの弁体がその自重及びばね部材の付勢力のみにより弁座に密着して蒸気通路を完全に閉止する完全閉弁位置に移動できるように、弁体の重量及びばね部材の付勢力を設定したので、弁体の変形を阻止すると共に装置の大型化及び高コスト化を防止する一方で、緊急時には蒸気通路を確実に遮断して安全性の向上を図ることができる。
【0030】請求項2の発明の主蒸気隔離弁によれば、弁体が完全閉弁位置に移動するための閉弁力を弁体の機械的な抵抗力の2倍以上に設定したので、緊急時には弁体を適正に閉弁位置に移動して蒸気通路を確実に遮断することができる。
【0031】請求項3の発明の主蒸気隔離弁によれば、弁体が完全閉弁位置に移動するための閉弁力を弁体の機械的な抵抗力の2倍の閉弁力に所定の余裕力を加算して設定したので、長期の使用による各摺動部分での汚染やシールの劣化などにより抵抗力が増大した場合であっても、弁体を適正に閉弁位置に移動して蒸気通路を確実に遮断することができる。
【0032】請求項4の発明の主蒸気隔離弁によれば、弁体の剛性強度と弁座の剛性強度とをほぼ同一に設定したので、弁体が閉弁位置に移動して弁座に当接したときの両者の塑性変形を抑制することができ、装置の大型化及び高コスト化を防止することができる。
【出願人】 【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
【識別番号】000219369
【氏名又は名称】東亜バルブ株式会社
【出願日】 平成13年3月30日(2001.3.30)
【代理人】 【識別番号】100078499
【弁理士】
【氏名又は名称】光石 俊郎 (外2名)
【公開番号】 特開2002−296388(P2002−296388A)
【公開日】 平成14年10月9日(2002.10.9)
【出願番号】 特願2001−98510(P2001−98510)