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【発明の名称】 拡管装置及びこれを用いた燃料集合体の組立方法
【発明者】 【氏名】大山 潤一

【氏名】吉田 政史

【氏名】山崎 修二

【要約】 【課題】組立後の歪みが少なく、寸法精度が良好な燃料集合体を得る。

【解決手段】拡管装置本体20を、移動テーブル31上に載置されているフローティングテーブル32上に載置する。移動テーブル31の移動を停止させて位置決めした後、フローティングロック33を解除してフローティングテーブル32を制御棒案内管8の軸線方向で移動可能とすることにより、拡管装置本体20を制御棒案内管8の軸線方向で移動可能に支持しつつ拡管操作を行う。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 燃料集合体の組立に際して、支持格子あるいは上部ノズルに予め固定されたスリーブと、このスリーブに嵌合された制御棒案内管とを拡管操作によって結合する拡管装置において、拡管装置本体が、拡管操作中に前記制御棒案内管の軸線方向で移動可能に支持されることを特徴とする拡管装置。
【請求項2】 支持格子あるいは上部ノズルに予め固定されたスリーブに、制御棒案内管を嵌合するとともに、拡管装置本体を前記制御棒案内管の軸線方向で移動可能に支持しつつ拡管操作を行うことを特徴とする燃料集合体の組立方法。
【請求項3】 請求項2に記載の燃料集合体の組立方法において、前記支持格子に予め固定されたスリーブに、前記制御棒案内管を嵌合して拡管操作によって結合する工程で、前記制御棒案内管の片端を固定せずに拡管操作を行うことを特徴とする燃料集合体の組立方法。
【請求項4】 請求項2または請求項3に記載の燃料集合体の組立方法において、前記上部ノズルに予め固定されたスリーブに、前記制御棒案内管を嵌合して拡管操作によって結合する工程で、前記上部ノズルを前記制御棒案内管の軸線方向で移動可能に支持しつつ拡管操作を行うことを特徴とする燃料集合体の組立方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、燃料集合体の組立方法に関するものであり、特に支持格子及び上部ノズルに予め固定されたスリーブと、制御棒案内管とを拡管操作によって結合するために用いられる拡管装置及びこれを用いた燃料集合体の組立方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、この種の燃料集合体として、例えば特開平6−308267号公報に記載のものがある。この燃料集合体10は、図3に示すように、上部ノズル1及び下部ノズル2が所定間隔離間して配置され、これらノズル1,2の間に所定間隔をおいて複数の支持格子3が配設され、上部ノズル1にはスリーブ4が、支持格子3にはスリーブ5が、そして最下部の支持格子3にはインサート6がそれぞれ予め固定されている。そして、各支持格子3の格子空間には多数の燃料棒7が挿通支持されている。また、制御棒案内管8は上部ノズル1及び下部ノズル2に結合されているとともに、支持格子3の格子空間内に挿通されかつ支持格子3に結合されている。例えば、制御棒案内管8は、上部ノズル1のスリーブ4と支持格子3のスリーブ5とに嵌合されて、拡管(バルジ)操作によって固定され、拡管部A,Bが設けられる。
【0003】ところで、このような拡管部A,Bを形成するための拡管操作には、例えば、図4の要部拡大断面図で示すような拡管装置が用いられる。この拡管装置本体20は、略円筒状をなすクリンプダイ21の内周に略円柱状のテーパピン23が挿入させられたものを、平行で同一方向に複数個突出させるようにして備えているものである。クリンプダイ21は、その基端が拡管装置本体20に接続されて固定されるとともに、先端部分が軸線方向に沿って複数に分割されたバネ板状をなしており、この分割された先端部分には径方向外側に突出する凸部が形成されて拡管用ダイ22となっている。また、テーパピン23は、その基端が拡管装置本体20に接続されて固定されるが複動シリンダ等によって軸線方向の移動(クリンプダイ21との相対移動)が可能となっており、先端部分には、先端側に向かうにしたがい滑らかに拡径していくテーパ部24が形成されている。このような拡管装置本体20は、移動テーブルの上に載置され、拡管部を形成する位置の位置決めが、この移動テーブルの移動によって行われる。
【0004】拡管操作を行うには、まず、移動テーブルを移動させることによって、拡管装置本体20の各クリンプダイ21及びテーパピン23を、各制御棒案内管8の内部に挿入してゆき、クリンプダイ21の拡管用ダイ22が、拡管部B(A)を形成すべき位置に位置決めされる。そして、テーパピン23を複動シリンダ等によって後退させることにより、テーパピン23のテーパ部分24が、拡管用ダイ22を径方向外側に押し出し、これによって、支持格子3のスリーブ5(上部ノズル1のスリーブ4)と制御棒案内管8との嵌合部分が局所的に径方向外側に押し出され、拡管部B(A)が形成される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ここで、従来の拡管装置では、移動テーブルによる拡管装置本体20の位置決めが終了してからの拡管操作中においては、移動テーブルに載置させられた拡管装置本体20が定位置に固定されている、すなわち、拡管用ダイ22の位置が位置決めされた地点からズレることがない。これに加えて、制御棒案内管8の両端や、支持格子3及び上部ノズル1も基台等に固定された状態となっている。それゆえ、この固定状態のまま拡管操作を行った場合には、支持格子3のスリーブ5(上部ノズル1のスリーブ4)と制御棒案内管8との嵌合部分における拡管部B(A)に、図5の模式図で示すように、制御棒案内管8の軸線O方向に沿って過大な応力Rがかかってしまう。しかして、このような過大な応力Rが加えられつつ、組み立てられた燃料集合体10においては、その支持格子3及び上部ノズル1の位置ズレが生じて取付精度が悪化し、燃料集合体10に歪みが生じたり、寸法精度の狂いが生じてしまうという問題があった。一方、拡管装置本体20の方にも、過大な引っ張り応力がかかってしまうこととなり、これによって、クリンプダイ21の変形やひどい場合にはクリンプダイ21の破断が生じてしまうこともあった。
【0006】本発明は、上記課題に鑑みてなされたもので、組立後の歪みが少なく、寸法精度が良い燃料集合体を組み立てることができる拡管装置及びこれを用いた燃料集合体の組立方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決して、このような目的を達成するために、本発明の拡管装置は、燃料集合体の組立に際して、支持格子あるいは上部ノズルに予め固定されたスリーブと、このスリーブに嵌合された制御棒案内管とを拡管操作によって結合する拡管装置において、拡管装置本体が、拡管操作中に前記制御棒案内管の軸線方向で移動可能に支持されることを特徴とする。また、本発明の燃料集合体の組立方法は、支持格子あるいは上部ノズルに予め固定されたスリーブに、制御棒案内管を嵌合するとともに、拡管装置本体を前記制御棒案内管の軸線方向で移動可能に支持しつつ拡管操作を行うことを特徴とする。このような本発明によれば、拡管操作中に、拡管装置本体が制御棒案内管の軸線方向で移動可能に支持されることで、拡管部にかかる応力を逃がすことが可能となり、拡管操作が終了した組立後の燃料集合体における歪みを減少させ、寸法精度を良好に保つことができる。また、従来のように、拡管装置本体に過大な引っ張り応力がかかることがない。
【0008】また、本発明の燃料集合体の組立方法は、前記支持格子に予め固定されたスリーブに、前記制御棒案内管を嵌合して拡管操作によって結合する工程で、前記制御棒案内管の片端を固定せずに拡管操作を行うことを特徴とする。このような本発明によれば、制御棒案内管の片端が解放されていることになり、支持格子のスリーブと制御棒案内管との嵌合部分に拡管部が形成されていくにつれて、制御棒案内管が収縮してゆくことができるので、拡管部における肉厚が薄くなってしまうことがない。
【0009】また、本発明の燃料集合体の組立方法は、前記上部ノズルに予め固定されたスリーブに、前記制御棒案内管を嵌合して拡管操作によって結合する工程で、前記上部ノズルを前記制御棒案内管の軸線方向で移動可能に支持しつつ拡管操作を行うことを特徴とする。このような本発明によれば、とくに、上部ノズルのスリーブと制御棒案内管との嵌合部分における拡管部を形成する際に、この拡管部にかかる応力を上部ノズル及び拡管装置本体が移動しつつ確実に逃がすことが可能となり、より歪みが少なく、より寸法精度の良い燃料集合体を得ることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を添付した図面を参照しながら説明するが、上述の先行技術と同一または同様の部分には同一の符号を用いてその説明を省略する。図1は本実施形態による拡管装置を用いて支持格子のスリーブと制御棒案内管とを結合する際の説明図、図2は同拡管装置を用いて上部ノズルのスリーブと制御棒案内管とを結合する際の説明図である。
【0011】本実施形態による拡管装置は、図1に示すように、上述した先行技術と同様の構成をなす拡管装置本体20がフローティングテーブル32の上に載置され、さらに、この拡管装置本体20及びフローティングテーブル32が移動テーブル31の上に載置されているものである。移動テーブル31は、従来と同様に、拡管操作を行う場合の位置決め用に用いられるものであり、各クリンプダイ21及びテーパピン23が突出させられている方向と同じ方向の移動が自在となるように制御される、すなわち、拡管装置が初期位置に配置されたときに制御棒案内管8の軸線O方向(図1における左右方向)での移動が自在となる。また、フローティングテーブル32は、移動テーブル31上で、上記軸線O方向で移動可能となるように設置されているものであり、これにより、フローティングテーブル32上に載置された拡管装置本体20が、移動テーブル31上において制御棒案内管8の軸線O方向で移動可能に支持されている。なお、拡管操作中を除いては、フローティングロック33によって、移動テーブル31に対して固定されている。
【0012】このような構成を有する拡管装置を用いて、支持格子3に予め固定されたスリーブと制御棒案内管8とを拡管操作によって結合する場合について説明する。まず、図1に示すように、所定間隔で配列された複数の支持格子3の各スリーブ5に対して挿通されて嵌合された各制御棒案内管8の一方の端部(片端X)に対して、拡管装置本体20の各クリンプダイ21及びテーパピン23が、制御棒案内管8の軸線O方向で対向するように拡管装置が配置される。このとき、移動テーブルによる拡管装置本体20の移動方向は、制御棒案内管8の軸線O方向と一致している。ここで、各制御棒案内管8は、一方の端部(片端X)が固定されずに自由端とされているとともに、他方の端部(片端Y)が固定されて動かないようになっている。また、各支持格子3は基台に対して固定されている。
【0013】次に、移動テーブル31を移動させ、拡管装置本体20の各クリンプダイ21及びテーパピン23を、支持格子3の各スリーブ5に嵌合されている各制御棒案内管8の内部に挿入してゆき、拡管部Bを形成すべき位置に拡管用ダイ22を位置決めした後、移動テーブル31を停止させて拡管装置本体20を固定する。そして、フローティングロック33を解除することによって、フローティングテーブル32の軸線O方向の移動が可能になり、拡管装置本体20が軸線O方向で移動可能に支持される。
【0014】この状態で、テーパピン23を後退させることにより拡管操作が行われ、支持格子3のスリーブ5と制御棒案内管8との嵌合部分に拡管部Bが形成されていく。このとき、制御棒案内管8の一方の端部(片端X)が固定されておらず、解放されているので、拡管部Bが形成されていくにつれ、制御棒案内管8はその長さが収縮していく。その後、テーパピン23を前進させて、テーパ部24による拡管用ダイ22の押し出しを解除して拡管操作が終了し、再びフローティングロック33によってフローティングテーブル32が移動テーブル31上で移動できないように固定する。このような操作を繰り返し、支持格子3のスリーブ5と制御棒案内管8との嵌合部分を、固定された制御棒案内管8の片端Y側から順次拡管操作によって結合していくことで、常に、制御棒案内管8の片端Xが固定されていない状態で、支持格子3のスリーブ5と制御棒案内管8とを結合していくことができる。
【0015】次に、上部ノズル1に予め固定されたスリーブ4と制御棒案内管8とを拡管操作によって結合する場合について説明する。まず、上部ノズル1の各スリーブ4が各制御棒案内管8の先端部に嵌合された状態で基台に載置されている燃料集合体10に対して、図2(a)に示すように、拡管装置本体20のクリンプダイ21及びテーパピン23が、制御棒案内管8の軸線O方向(図2における左右方向)で対向するように拡管装置が配置される。このとき、移動テーブルによる拡管装置本体20の移動方向は、制御棒案内管8の軸線O方向と一致している。
【0016】ここで、上部ノズル1は、拡管装置本体20と同じくフローティングテーブル41に載置されており、これにより、上部ノズル1は制御棒案内管8の軸線O方向での移動が自在となるように支持されている。なお、この上部ノズル1が載置されているフローティングテーブル41も、拡管操作中を除いてフローティングロック42によって固定されている。
【0017】次に、図2(b)に示すように、移動テーブル31を移動させることによって、拡管装置本体20の各クリンプダイ21及びテーパピン23を、上部ノズル1のスリーブ4に嵌合されている制御棒案内管8の内部に挿入してゆき、拡管部Aを形成すべき位置に、拡管用ダイ22を位置決めした後、移動テーブル31を停止させて拡管装置本体20を固定する。そして、フローティングロック33,42を解除することによって、移動テーブル31上でのフローティングテーブル32の移動が可能になるとともに、フローティングテーブル41の移動が可能になり、拡管装置本体20及び上部ノズル1が軸線O方向で移動可能に支持される。
【0018】この状態で、図2(c)に示すように、テーパピン23を後退させることにより拡管操作が行われ、上部ノズル1のスリーブ4と制御棒案内管8との嵌合部分に拡管部Aが形成される。その後、図2(d)に示すように、テーパピン23を前進させて、テーパ部24による拡管用ダイ22の押し出しを解除して拡管操作が終了し、再びフローティングロック33によって拡管装置本体20が載置されたフローティングテーブル32が移動テーブル31上を移動できないように固定し、かつフローティングロック42によって上部ノズル1が載置されたフローティングテーブル41が移動できないように固定する。こうして、支持格子3及び上部ノズル1に予め固定されたスリーブ5,4と制御棒案内管8とが拡管操作によって結合された燃料集合体10が完成する。
【0019】なお、上部ノズル1のスリーブ4と制御棒案内管8との嵌合部分に、拡管操作によって拡管部Aを形成する際には、上部ノズル1側に最も近い位置にある支持格子3と上部ノズル1との距離が縮んでしまうことになるが、これは前もってその縮みの距離を計測し、その分だけ離間させておくことによって対処が可能である。
【0020】以上説明したように、本実施形態によれば、支持格子3のスリーブ5及び上部ノズル1のスリーブ4と、制御棒案内管8との嵌合部分に拡管操作を行うときに、制御棒案内管8の軸線O方向に移動可能に支持されていることから、形成される拡管部B,Aに無理な応力が加わることがなく、これら拡管部B,Aにかかる応力を逃がすことができるので、拡管操作が終了した組立後の燃料集合体10における歪みを減少させ、寸法精度を良好に保つことができる。また、拡管装置本体に過大な引っ張り応力がかかることもなく、拡管装置本体20のクリンプダイ21の変形や破断のおそれをなくすことができる。
【0021】さらに、支持格子3に固定されたスリーブ5に、制御棒案内管8を嵌合して拡管操作によって結合する工程では、制御棒案内管8の片端が解放されていることにより、拡管部Bが形成されていくにつれて、制御棒案内管が収縮していくことができるので、拡管部Bにおける肉厚が薄くなってしまうことがない。また、拡管操作が終了した後に制御棒案内管8の収縮が生じることがないので、従来のように拡管操作終了後に御棒案内管8の収縮による各支持格子3間の寸法精度の低下を招いてしまうこともない。
【0022】また、上部ノズル1に固定されたスリーブ4に、制御棒案内管8を嵌合して拡管操作によって結合する工程では、上部ノズル1も拡管装置本体20と同じく、制御棒案内管8の軸線方向に移動可能に支持されているから、とくに、この拡管部Aにかかる応力を確実に逃がすことが可能となり、より歪みが少なく、より寸法精度の良い燃料集合体を得ることができる。
【0023】
【発明の効果】このような本発明によれば、拡管操作中に、拡管装置本体が制御棒案内管の軸線方向で移動可能に支持されることで、拡管部にかかる応力を逃がすことが可能となり、拡管操作が終了した組立後の燃料集合体における歪みを減少させ、寸法精度を良好に保つことができる。また、従来のように、拡管装置本体に過大な引っ張り応力がかかることもない。
【出願人】 【識別番号】000176796
【氏名又は名称】三菱原子燃料株式会社
【出願日】 平成13年5月24日(2001.5.24)
【代理人】 【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武 (外6名)
【公開番号】 特開2002−350586(P2002−350586A)
【公開日】 平成14年12月4日(2002.12.4)
【出願番号】 特願2001−155686(P2001−155686)