| 【発明の名称】 |
使用済核燃料の乾式再処理法及び乾式再処理法に用いる誘導加熱装置。 |
| 【発明者】 |
【氏名】林 宏
【氏名】小泉 務
【氏名】鷲谷 忠博
【氏名】小泉 健治
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| 【要約】 |
【課題】乾式再処理法におけるるつぼの耐食性向上や安全性向上等を図る。
【解決手段】使用済核燃料をるつぼ内の溶融塩中に溶融させて核燃料を析出させる乾式再処理法において、るつぼ(2)を誘導加熱するとともに、冷却媒体(5、6)を供給して冷却し、加熱と冷却のバランスにより、塩溶融層(7)を保持しつつ、るつぼ内壁面に塩凝固層(8)を生成するようにしたものである。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 使用済核燃料をるつぼ内の溶融塩中に溶融させて核燃料を析出させる乾式再処理法において、るつぼを誘導加熱するとともに、冷却媒体を供給して冷却し、加熱と冷却のバランスにより、塩溶融層を保持しつつ、るつぼ内壁面に塩凝固層を生成するようにしたことを特徴とする使用済核燃料の乾式再処理法。 【請求項2】 前記冷却媒体として水以外の流体を用いることを特徴とする請求項1記載の乾式再処理法。 【請求項3】 塩の昇温加速用にるつぼ内に補助加熱体を配置することを特徴とする請求項1または2記載の乾式再処理法。 【請求項4】 使用済核燃料をるつぼ内の溶融塩中に溶融させて核燃料を析出させる乾式再処理法に用いる誘導加熱装置において、るつぼを誘導加熱する誘導加熱手段と、るつぼに冷却媒体を供給して冷却する冷却手段とを備えたことを特徴とする乾式再処理法に用いる誘導加熱装置。 【請求項5】 前記るつぼは、円筒型、円環型、平板型、またはこれら形状を組み合わせた形状であることを特徴とする請求項4記載の誘導加熱装置。 【請求項6】 塩の昇温加速用にるつぼ内に補助加熱体を配置したことを特徴とする請求項4または5記載の誘導加熱装置。 【請求項7】 前記冷却媒体として水以外の流体を用いることを特徴とする請求項4記載の誘導加熱装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は原子炉で使用した使用済核燃料の乾式再処理法および乾式再処理で用いる誘導加熱装置に関するものである。 【0002】 【従来の技術】溶融塩を利用した乾式再処理法により使用済核燃料を再処理し、ウランやプルトニウムを回収してリサイクルすることにより、核燃料サイクルの経済性の向上を図るリサイクル方法の研究が日本国内外で行われている。 【0003】酸化物燃料に関する乾式再処理法では、使用済核燃料を溶融塩中に溶融させ、電解によりウランやプルトニウムの酸化物顆粒を析出させて回収する。その主工程例は次の通りである。 ・使用済燃料の塩素化溶解工程 :UO2 +Cl2 →UO2 Cl2 :PuO2+C +Cl2 →PuCl4 +CO2 ・酸化ウラン電析回収工程(陰極) :UO2Cl2→UO2 +Cl2 ・酸化プルトニウム沈殿回収工程 :PuCl4 +O2→PuO2+2Cl2 なお、再処理に使用するるつぼはパイログラファイト製で、電解析出工程で陽極として作用する。 【0004】金属燃料に関する乾式再処理法では、使用済核燃料を溶融塩中に溶融させ、電解により金属ウランや金属プルトニウムを析出させて回収する。その主工程例は次の通りである。 ・使用済燃料の溶解工程 :U →U3+ +3e- 、Pu→Pu3++3e- ・金属ウラン電析回収工程(固体陰極) :U3+ +3e- →U ・酸化ウラン・プルトニウム電析回収工程:U3+ +3e- →U 、 Pu3++3e- →Pu (液体陰極) 【0005】 【発明が解決しようとする課題】■使用済核燃料を溶融塩中に溶融させる際に用いられている従来の抵抗加熱方式では、槽を直接加熱するため、槽本体が伝熱面となり、塩の溶融温度以上の腐食に厳しい環境となる。 ■乾式再処理プロセスで用いられる塩素ガス、酸素ガス等に槽材料が直接暴露され、厳しい腐食環境となる。 ■塩の溶融の際、従来の金属溶融に用いる誘導電流に対して電気伝導度の違いにより必要な周波数が高い。 ■誘導加熱に用いる槽の冷却には水冷却方式を採用することが一般的であるが、万一水と溶融塩が接触すると爆発的現象が生じる。 ■従来の加熱方式では溶融塩の温度分布を均一に保つために攪拌設備を必要とし、装置構造が複雑となる。 ■抵抗加熱方式では溶融塩の均一溶融、均一攪拌とするため一般に円柱状形状を採用しなければならない。 などの問題があった。 【0006】 【課題を解決するための手段】本発明は乾式再処理法におけるるつぼの耐食性向上や安全性向上などを含む上記課題を解決するものである。そのために本発明は、使用済核燃料をるつぼ内の溶融塩中に溶融させて核燃料を析出させる乾式再処理法において、るつぼを誘導加熱するとともに、冷却媒体を供給して冷却し、加熱と冷却のバランスにより、塩溶融層を保持しつつ、るつぼ内壁面に塩凝固層を生成するようにしたことを特徴とする。また、本発明は、使用済核燃料をるつぼ内の溶融塩中に溶融させて核燃料を析出させる乾式再処理法に用いる誘導加熱装置において、るつぼを誘導加熱する誘導加熱手段と、るつぼに冷却媒体を供給して冷却する冷却手段とを備えたことを特徴とする。 【0007】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は誘導加熱装置の概略構成を示す図であり、図1(a)は一部裁断した斜視図、図1(b)は断面図である。セグメント1に分割されたるつぼ2を高周波誘導コイル3内に配置し、るつぼ内部の被溶融物である塩に直接磁場を作用させる。塩の溶融に際しては、必要により電導体製の補助加熱体4を付加する。るつぼ2は冷却媒体5、6により内部を冷却する構造を有しており、AC電源13から高周波誘導コイル3への印加電力と冷却とのバランスにより、るつぼ2と溶融塩7との境界に塩の凝固層8が生成される。 【0008】冷却媒体5、6としては、流体(液体や気体)を用いる。るつぼの冷却には、一般的には、水冷却方式が採用されているが、万一水と溶融塩が接触すると爆発的現象が生じるため、これを回避しようとする場合、沸点が溶融塩温度以上、或いは冷却媒体使用温度以下の冷却媒体を用いることとなる。沸点が溶融塩温度以上の冷却媒体としては、例えば、カリウム(沸点765.5℃)、ナトリウム(沸点881.1℃)等が挙げられ、沸点が使用温度以下である冷却媒体としては、窒素(沸点−195.8℃)、ヘリウム(沸点−268.9℃)等が挙げられる。 【0009】本発明においては、誘導加熱方式を用いて冷却とのバランスにより、るつぼと溶融塩との境界に塩の凝固層を生成するのが1つの特徴である。なお、図中、9は塩素ガスまたは酸素ガス等の作用ガス用のガス吹込管で、10はオフガス排気管であり、また、陰極11と陽極12には直流電源14から所定の電圧が印加されて陰極11で電析回収される。 【0010】図2は誘導加熱装置の構成例を示す図である。るつぼ2を高周波誘導コイル3内に配し、このコイルに対してAC電源13の高周波発生装置から高周波電力を供給してるつぼ2内部の塩を溶融させる。るつぼ2は冷却媒体再冷・循環装置15から冷却媒体が供給され、加熱用高周波電力とのバランスにより、るつぼと溶融塩境界に塩の凝固層を生成する。 【0011】るつぼの冷却は上記したように液体や気体が使用される。また、使用する塩は、CsCl、NaCl、KClなどの塩、またはそれらの混合塩である。使用する塩の一例であるKCl−NaCl等モル塩の融点は約660℃であり、この塩が溶融している状態でるつぼ内表面温度が試験の一例で約50℃であり、その温度勾配が塩の凝固層8中において生じる。 【0012】このように、凝固層を生成することでこの中で温度勾配が生ずるため、凝固層を除いた溶融対象を冷却させることなく(溶融状態を維持しつつ)、るつぼ温度を低下させることが可能となり、るつぼの腐食環境を緩和させることができる。また、凝固層を生成させることで、るつぼ内面が塩素ガス、または酸素ガス等に曝される環境を緩和させることができる。以上より、るつぼ材料、すなわち加熱装置材料の長寿命化を図ることが可能となる。 【0013】次に、いろいろなるつぼ形状を図3〜図5に示す。なお、以下では冷却装置については省略するが、加熱供給電力と冷却とのバランスで凝固層を形成することは上記と同様である。図3はるつぼ形状を円筒型にした例を示す図で、図3(a)は横断面図、図3(b)は縦断面図である。円筒型コイル21の内側に円筒型るつぼ22を配置した構造であり、るつぼ内側壁面に塩凝固層23を生成させながら塩溶融層24を維持する。昇温を加速する際には、電導体製の補助加熱体25をるつぼ内に配置する。 【0014】図4はるつぼ形状を円環型にした例を示す図で、図4(a)は横断面図、図4(b)は縦断面図である。外環コイル31と内環コイル32の間に外環るつぼ33と内環るつぼ34を配置し、環状の両るつぼ壁間に被溶融塩を入れる構造であり、外環と内環の両るつぼ内側壁面に塩凝固層35を生成させながら塩溶融層36を維持する。昇温を加速する際には、電導体製の補助加熱体37をるつぼ内に配置する。 【0015】図5はるつぼ形状を平板型(矩形状)にした例を示す図で、図5(a)は横断面図、図5(b)は縦断面図である。矩形コイル41の内側に矩形るつぼ42を配置した構造であり、るつぼ内側壁面に塩凝固層43を生成させながら塩溶融層44を維持する。昇温を加速する際には電導体製の補助加熱体45をるつぼ内に配置する。 【0016】図6はるつぼと誘導加熱コイルとを一体化した例を示す図で、図6(a)は横断面図、図6(b)は縦断面図、図6(c)は部分拡大詳細図である。本実施例はるつぼと誘導加熱コイルとを一体化し、加熱効率を高くしたものであり、矩形コイル51の隙間および内側表面にコーティング材をコートしたものをるつぼ52とし、るつぼ内側壁面に塩凝固層53を生成させなから塩溶融層54を維持する。昇温を加速する際には、電導体製の補助加熱体55をるつぼ内に配置する。るつぼコイルの形状については図3〜図5に示す形状、およびこれらを基本とする変形形状、例えば矩形状で図4のような二重構造とするなどを採ることが可能である。 【0017】 【発明の効果】本発明によれば以下のような効果が達成可能である。 ■るつぼ内表面温度の低温化の達成が可能表1はKCl−NaCl等モル塩を使用した場合の直接加熱(例えば、抵抗加熱)と誘導加熱によるるつぼ内壁面表面温度の比較例を示している。 【0018】
表1から分かるように、従来の直接加熱方式に比して誘導加熱方式においては、冷却装置により、塩溶融層を保持しながら、るつぼ内表面を冷却することが可能である。このため、従来の腐食環境を飛躍的に緩和することができ、材料の長寿命化が可能である。 ■塩凝固層による腐食因子直接接触の回避塩の凝固層生成の一例を図7に示す。図7において横軸はるつぼ壁面からの距離(mm)、縦軸は温度(℃)であり、この例ではるつぼ壁面から8〜9mmの付近に生成された凝固層と溶融層の界面があることが分かる。塩の凝固層部分により、るつぼ壁面と塩素ガス、または酸素ガス等の腐食因子との直接的な接触を回避することが可能である。このため、従来の腐食環境を飛躍的に緩和することができ、材料の長寿命化が可能である。 ■補助加熱体を用いることによる昇温の加速塩の溶融の際、従来の金属溶融に用いる誘電電流に対して電気電導度の違いにより高い周波数を必要とするが、電導体製の補助加熱体をるつぼ内に配置することにより、従来の金属溶融に用いる誘電電流による塩の昇温に対して昇温の加速が可能である。 ■水以外の冷却媒体採用による溶融塩と冷却媒体の爆発的現象の防止誘導加熱に用いる槽の冷却には水冷却方式を採用することが一般的であるが万一水と溶融塩が接触すると爆発的現象が生じることから、水以外の冷却媒体を用いた冷却方式を採用することにより万一の爆発等の危険を回避することが可能である。 ■誘導加熱によって生じる電磁気力の攪拌効果図8に誘導加熱による磁場の発生によって生じる攪拌効果の有無を数値解析によって求めた一例を示し、るつぼ中心からるつぼ壁面間での溶融塩の自由表面形状と電磁気力の分布(電気力線と磁力線の分布)を示したもので、電磁気力はるつぼ壁に近いところで密集して強い傾向となる結果が得られた。この電磁気力の不均一に起因して電磁攪拌が発生し、攪拌効果を得ることが可能である。 ■るつぼ形状の多様化抵抗加熱方式では溶融塩の均一溶融、均一攪拌とするため一般に円柱形状を採っているが、上記■の攪拌効果により均一溶融、均一攪拌が期待できるため、図3〜図5に示するつぼ形状、およびこれらを基本とする変形形状の採用が可能である。 ■溶融るつぼ以外の装置への適用可能誘導加熱方式の特徴の一つである非接触加熱であることを利用して、カソードプロセッサー、使用済塩の蒸留洗浄等の加熱方式として採用することが可能である。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000224754 【氏名又は名称】核燃料サイクル開発機構
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| 【出願日】 |
平成13年5月25日(2001.5.25) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100092495 【弁理士】 【氏名又は名称】蛭川 昌信 (外7名)
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| 【公開番号】 |
特開2002−350584(P2002−350584A) |
| 【公開日】 |
平成14年12月4日(2002.12.4) |
| 【出願番号】 |
特願2001−157410(P2001−157410) |
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