| 【発明の名称】 |
冷却材自然循環型原子炉 |
| 【発明者】 |
【氏名】牧原 義明
【氏名】古賀 淳
【氏名】鈴田 忠彦
【氏名】吉田 善一
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| 【要約】 |
【課題】炉心高さの大型化や、ポンプ等の強制循環設備を備えることなく冷却材の流量を増加させ、経済性の向上を図る。
【解決手段】核分裂のエネルギーによって加熱された炉心1を冷却するとともに自身は加熱される冷却材2を、対流により炉心1側からその上方側へと上昇させ、炉心1の上方側に備えられた蒸気発生器3によって冷却材2の熱を奪い、熱が奪われた冷却材2を、対流により蒸気発生器3側から炉心1側へと下降させ、下降した冷却材2を再び炉心1の冷却に供させることによって、冷却材2を原子炉容器4内で自然循環させる冷却材自然循環型原子炉であって、原子炉容器4の内部を、加熱された冷却材2が沸騰しないように加圧するとともに、炉心1側の冷却材2にガス16を供給して気泡17を形成させ、炉心1側からその上方側へと上昇する冷却材2に気泡17を同伴させることによって冷却材2の上昇速度を高める。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 内部に炉心を備えた原子炉容器内で、前記炉心で引き起こる核分裂のエネルギーによって加熱された前記炉心を冷却するとともに自身は加熱される冷却材を、対流により前記炉心側からその上方側へと上昇させ、前記炉心の上方側であって前記冷却材に液浸して備えられた熱交換器によって前記冷却材の熱を奪い、前記熱が奪われた冷却材を、対流により前記熱交換器側から前記炉心側へと下降させ、前記下降した冷却材を再び前記炉心の冷却に供させることによって、前記冷却材を前記原子炉容器内で自然循環させる冷却材自然循環型原子炉であって、前記原子炉容器の内部を、加熱された冷却材が沸騰しないように加圧するとともに、前記炉心側の冷却材にガスを供給して気泡を形成させ、前記炉心側からその上方側へと上昇する前記冷却材に前記気泡を同伴させることによって前記冷却材の上昇速度を高めるようにしたことを特徴とする冷却材自然循環型原子炉。 【請求項2】 内部に炉心を備えた原子炉容器内で、前記炉心で引き起こる核分裂のエネルギーによって加熱された前記炉心を冷却するとともに自身は加熱される冷却材を、対流により前記炉心側からその上方側へと上昇させ、前記炉心の上方側であって前記冷却材に液浸して備えられた熱交換器によって前記冷却材の熱を奪い、前記熱が奪われた冷却材を、対流により前記熱交換器側から前記炉心側へと下降させ、前記下降した冷却材を再び前記炉心の冷却に供させることによって、前記冷却材を前記原子炉容器内で自然循環させる冷却材自然循環型原子炉であって、前記原子炉容器の内部を、加熱された冷却材が沸騰しないように加圧する加圧手段と、前記炉心側の冷却材にガスを供給して気泡を形成させ、前記炉心側からその上方側へと上昇する前記冷却材に前記気泡を同伴させることによって前記冷却材の上昇速度を高めるガス供給手段とを備えたことを特徴とする冷却材自然循環型原子炉。 【請求項3】 請求項2に記載の冷却材自然循環型原子炉において、前記ガス供給手段は、前記冷却材に同伴して前記炉心側から上昇した気泡によって、前記冷却材の液面の上部側である気相部に移送された、前記気泡を形成している前記ガスを回収し、前記回収したガスを前記炉心側の冷却材に供給するようにしたことを特徴とする冷却材自然循環型原子炉。 【請求項4】 請求項2または請求項3に記載の冷却材自然循環型原子炉において、前記加圧手段として加圧器を用いたことを特徴とする冷却材自然循環型原子炉。 【請求項5】 請求項2または請求項3に記載の冷却材自然循環型原子炉において、前記加圧手段は、前記炉心であって、前記炉心で引き起こる核分裂のエネルギーで前記冷却材を加熱することによって前記原子炉容器の内部を加圧するようにしたことを特徴とする冷却材自然循環型原子炉。 【請求項6】 内部に炉心を備えた原子炉容器内で、前記炉心で引き起こる核分裂のエネルギーによって加熱された前記炉心を冷却するとともに自身は加熱されその一部から蒸気が発生する冷却材を、前記蒸気によって形成される気泡と共に対流により前記炉心側からその上方側へと上昇させ、前記炉心の上方側であって前記冷却材の液面をその一部に含むように配置された熱交換器によって、前記液面以下の液相部で前記冷却材の熱を奪うと共に、前記液面以上の気相部で前記気泡によって前記気相部に移送された前記蒸気の熱を奪ってこの蒸気を液体の前記冷却材に戻し、前記液相部で熱が奪われた冷却材を、対流により前記熱交換器側から前記炉心側へと下降させ、前記下降した冷却材を再び前記炉心の冷却に供させることによって、前記冷却材を前記原子炉容器内で自然循環させる冷却材自然循環型原子炉であって、前記炉心側の冷却材にガスを供給して気泡を形成させ、前記炉心側からその上方側へと上昇する冷却材にこの気泡を同伴させることによって、前記蒸気によって形成される気泡と共に上昇する冷却材の上昇速度を高め、前記冷却材に同伴して前記炉心側から上昇した気泡によって前記気相部に移送された、前記気泡を形成している前記ガスおよび前記蒸気を回収し、前記回収したガスおよび蒸気を、前記炉心側の冷却材に供給して気泡を形成させるようにしたことを特徴とする冷却材自然循環型原子炉。 【請求項7】 請求項1乃至6のうちいずれか1項に記載の冷却材自然循環型原子炉において、前記熱交換器として、前記冷却材から奪った熱を用いて蒸気を発生させる蒸気発生器を適用したことを特徴とする冷却材自然循環型原子炉。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、炉心を冷却する冷却系統を原子炉容器内に一体化して収納し、冷却系統内で冷却材を自然循環させることによって炉心から熱出力を取り出す冷却材自然循環型原子炉に関するものである。 【0002】 【従来の技術】図7に示すように、炉心1を冷却する冷却材2、および冷却材2の熱を用いて蒸気を発生させる蒸気発生器3からなる炉心冷却系を原子炉容器4内に一体化して収納するタイプの原子炉においては、冷却材2を、炉心1と蒸気発生器3との間で自然循環させる冷却材自然循環型原子炉が一般的である。 【0003】この種の冷却材自然循環型原子炉では、原子炉容器4内に炉心1と蒸気発生器3とが設けられており、更に、炉心1で引き起こる核分裂のエネルギーによって加熱された炉心1を冷却するとともに自身は加熱される冷却材2によって炉心1と蒸気発生器3とが液浸されている。このような冷却材自然循環型原子炉は、軽水炉であっても、高速増殖炉であっても適用可能であり、軽水炉の場合には冷却材2として軽水が、高速増殖炉の場合には冷却材2としてナトリウム(Na)が一般的に用いられている。 【0004】炉心1近傍の冷却材2は、炉心1で引き起こる核分裂のエネルギーによって加熱されると密度が小さくなり、図中矢印W1に示すように、対流により炉心1側からその上方側へと上昇する。そして、炉心1の上方側に設けられた蒸気発生器3の伝熱管5内を流れる2次冷却水6によって冷却されその熱が奪われるとともに、蒸気発生器3の伝熱管5内を流れる2次冷却水6は沸騰し、蒸気7として取り出される。 【0005】冷却材2は、このようにして蒸気発生器3において冷却されることによって密度が大きくなるので、図中矢印W2に示すように対流により蒸気発生器3側から炉心1側へと下降する。この下降した冷却材2が炉心1を冷却することによって、冷却材2自身は加熱されて密度が小さくなり、対流により再び炉心1側からその上方側へと上昇する。 【0006】上述したようなメカニズムを繰り返すことによって、冷却材2は原子炉容器4内において図中矢印W1および図中矢印W2に示すように自然循環するとともに、炉心1において発生した核分裂エネルギーによって蒸気7が生成される。この蒸気がタービンの回転に用いられることによって電力エネルギーとして、あるいはこの蒸気が熱源に用いられることによって熱エネルギーとして利用される。 【0007】なお、制御棒9は、炉心1で発生する核分裂反応を制御することにより、原子炉の出力調整を行うものであって、内部に硼素(B)など中性子を吸収する物質が含まれている。そして、炉心1に挿入されることによって核分裂反応を抑制し、逆に炉心1に挿入されている状態から炉心1の上部側へと引き抜かれることによって核分裂反応が促進される。このような制御棒9の上下方向への駆動は制御棒駆動機構10によってなされる。 【0008】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このような従来の冷却材自然循環型原子炉では、以下のような問題がある。 【0009】すなわち、上述したような従来の冷却材自然循環型原子炉では、炉心1で発生した核分裂エネルギーを用いて蒸気発生器3において蒸気を生成することによってエネルギーを転換している。このような原子炉において、出力を高めて経済性を高めようとした場合、冷却材2の流量を増加させる必要がある。つまり、冷却材2の流量を増加して、単位時間あたりの熱輸送量を高め、単位時間あたりの蒸気の生成量を高める必要がある。 【0010】従来の冷却材自然循環型原子炉において冷却材2の流量を高めるための第1の方法として、原子炉容器4の高さをより高くする方法がある。これによって、炉心1近傍の高温の冷却材2と、原子炉容器4の上部側の低温の冷却材2との密度差を高め、この密度差を駆動力として流量を増加させるものである。しかしながら、この方法では、原子炉容器4をある程度高くしなくては効果が得られない。原子炉容器4の高さを増加させることは、コスト的にも不利であり、また、原子炉容器4の製造性の観点からも限界であるという問題がある。 【0011】一方、第2の方法として、ポンプ等の強制循環設備を原子炉容器内4に備え、この強制循環設備を用いて冷却材2を原子炉容器4内で強制的に循環させることによって冷却材2の流量を高めることも考えられる。しかしながら、ポンプ等の強制循環設備を原子炉容器4内に備えると、原子炉容器4内の構造の複雑化をもたらしてしまうのみならず、強制循環設備のメンテナンスや、あるいは故障時の対応等も必要となり、冷却材自然循環型原子炉が本来備えている固有の安全性、およびメンテナンスの簡素化といったメリットが失われてしまうという問題がある。 【0012】本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、炉心近傍の冷却材にガスを注入して気泡を形成し、炉心側からその上方側へと上昇する冷却材に、気泡を同伴させることによって、炉心高さの大型化や、ポンプ等の強制循環設備を備えることなく冷却材の流量を増加させ、もって、経済性の向上を図ることが可能な冷却材自然循環型原子炉を提供することを目的とする。 【0013】 【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するために、本発明では、以下のような手段を講じる。 【0014】すなわち、請求項1の発明では、内部に炉心を備えた原子炉容器内で、炉心で引き起こる核分裂のエネルギーによって加熱された炉心を冷却するとともに自身は加熱される冷却材を、対流により炉心側からその上方側へと上昇させ、炉心の上方側であって冷却材に液浸して備えられた熱交換器によって冷却材の熱を奪い、熱が奪われた冷却材を、対流により熱交換器側から炉心側へと下降させ、下降した冷却材を再び炉心の冷却に供させることによって、冷却材を原子炉容器内で自然循環させる冷却材自然循環型原子炉であって、原子炉容器の内部を、加熱された冷却材が沸騰しないように加圧する。 【0015】更に、炉心側の冷却材にガスを供給して気泡を形成させ、炉心側からその上方側へと上昇する冷却材に気泡を同伴させることによって冷却材の上昇速度を高める。 【0016】請求項2の発明では、内部に炉心を備えた原子炉容器内で、炉心で引き起こる核分裂のエネルギーによって加熱された炉心を冷却するとともに自身は加熱される冷却材を、対流により炉心側からその上方側へと上昇させ、炉心の上方側であって冷却材に液浸して備えられた熱交換器によって冷却材の熱を奪い、熱が奪われた冷却材を、対流により熱交換器側から炉心側へと下降させ、下降した冷却材を再び炉心の冷却に供させることによって、冷却材を原子炉容器内で自然循環させる冷却材自然循環型原子炉であって、加圧手段とガス供給手段とを備える。 【0017】この加圧手段は、原子炉容器の内部を、加熱された冷却材が沸騰しないように加圧する。また、このガス供給手段は、炉心側の冷却材にガスを供給して気泡を形成させ、炉心側からその上方側へと上昇する冷却材に気泡を同伴させることによって冷却材の上昇速度を高める。 【0018】請求項3の発明では、請求項2の発明の冷却材自然循環型原子炉において、ガス供給手段は、冷却材に同伴して炉心側から上昇した気泡によって、冷却材の液面の上部側である気相部に移送されたガス、すなわち、気泡を形成しているガスを回収し、回収したガスを炉心側の冷却材に供給する。 【0019】請求項4の発明では、請求項2または請求項3の発明の冷却材自然循環型原子炉において、加圧手段として加圧器を用いる。 【0020】請求項5の発明では、請求項2または請求項3の発明の冷却材自然循環型原子炉において、加圧手段は、炉心であって、炉心で引き起こる核分裂のエネルギーで冷却材を加熱することによって原子炉容器の内部を加圧する。 【0021】請求項6の発明では、内部に炉心を備えた原子炉容器内で、炉心で引き起こる核分裂のエネルギーによって加熱された炉心を冷却するとともに自身は加熱されその一部から蒸気が発生する冷却材を、蒸気によって形成される気泡と共に対流により炉心側からその上方側へと上昇させ、炉心の上方側であって冷却材の液面をその一部に含むように配置された熱交換器によって、液面以下の液相部で冷却材の熱を奪うと共に、液面以上の気相部で気泡によって気相部に移送された蒸気の熱を奪ってこの蒸気を液体の冷却材に戻し、液相部で熱が奪われた冷却材を、対流により熱交換器側から炉心側へと下降させ、下降した冷却材を再び炉心の冷却に供させることによって、冷却材を原子炉容器内で自然循環させる冷却材自然循環型原子炉であって、炉心側の冷却材にガスを供給して気泡を形成させる。そして、炉心側からその上方側へと上昇する冷却材に、この気泡を同伴させることによって、蒸気によって形成される気泡と共に上昇する冷却材の上昇速度を高める。 【0022】また、冷却材に同伴して炉心側から上昇した気泡によって気相部に移送されたガスおよび蒸気、すなわち、気泡を形成しているガスおよび蒸気を回収する。そして、回収したガスおよび蒸気を、炉心側の冷却材に供給して気泡を形成させる。 【0023】請求項7の発明では、請求項1乃至6のうちいずれか1項の発明の冷却材自然循環型原子炉において、熱交換器として、冷却材から奪った熱を用いて蒸気を発生させる蒸気発生器を適用する。 【0024】 【発明の実施の形態】以下に、本発明の各実施の形態について図面を参照しながら説明する。 【0025】なお、以下の各実施の形態の説明に用いる図中の符号は、図7と同一部分については同一符号を付して示すことにする。 【0026】(第1の実施の形態)第1の実施の形態を図1から図4を用いて説明する。 【0027】図1は、第1の実施の形態に係る冷却材自然循環型原子炉の一例を示す立断面構成図である。 【0028】すなわち、本実施の形態に係る冷却材自然循環型原子炉は、図7に示す従来技術の冷却材自然循環型原子炉にブロア12と、ガス注入管13とを付加した構成としている。 【0029】ブロア12は、冷却材2の液面より上部側の空間である気相部11に存在するガス18を取り込むガス取込口を備えており、ガス注入管13と接続している。そして、このガス取込口から取り込んだガス18を、気泡17を形成するためのガス16としてガス注入管13に送風する。 【0030】ガス注入管13は、一端(ガス16の上流側)がブロア12と接続しており、ブロア12から送風されたガス16を受け、このガス16を炉心1近傍の上部側に導く。ガス16の下流側であるガス注入管13の他端は、炉心1近傍の上部側に配置するようにしており、更に、多数のガス噴出穴14を穿孔して備えている。 【0031】図2および図3は、それぞれガス注入管13の構成例を示すものである。図2は、リング状の端部に多数のガス噴出穴14を穿孔して備えた例を示している。また、図3は、同心円状からなる2つのリング上に多数のガス噴出穴14を穿孔して備えた例を示している。なお、ガス噴出穴14の構成はこれらに限るものではなく、実質的に気泡17を形成するようにガス16を噴出できればその構成は何れであっても良い。 【0032】ブロア12から送風されたガス16は、ガス注入管13を介して炉心1近傍の上部側に導かれ、上述したような構成のガス噴出穴14から噴出され気泡17を形成するようにしている。 【0033】ガス噴出穴14から噴出したガス16によって形成された気泡17は、その密度が冷却材2の密度よりも十分小さいことから、炉心1近傍からその上方側へと、冷却材2の上昇速度よりも速い速度で上昇する。この気泡17の上昇は、炉心1近傍にある冷却材2をも同伴することから、冷却材2の上昇速度を高める。これによって、冷却材2の流量を増加させる。 【0034】炉心1近傍からその上方側へと上昇した気泡17は、冷却材2の液面を介して気相部11に移行し、気泡17を形成していたガス16が気相部11に移送されるようにしている。このようにして気相部11に移送されたガス16は、気相部11に存在しているガス18とともにブロア12のガス取込口からブロア12に取り込まれ、再びガス注入管13に送風されるようにしている。 【0035】なお、原子炉容器4内の圧力は、冷却材2が沸騰しないように、例えば130気圧程度に加圧する。この加圧には、図示しない加圧手段を別途備え、この加圧手段を用いて行っても良く、また、特別な加圧手段を備えることなくても、炉心1の核分裂反応によってもたらされる熱エネルギーを原子炉容器4内に蓄えることによって加圧するようにしても良い。 【0036】また、図1では、蒸気発生器3を、原子炉容器4内に備えた構成を示しているが、炉心1で発生した熱エネルギーによる蒸気の生成は、原子炉容器4に備えられた蒸気発生器3によってなされる場合に限るものではない。例えば、図4に示すように、蒸気発生器3の代わりに熱交換器19を備え、この熱交換器19において冷却材2によって加熱された2次冷却水6を熱源とし、蒸気発生器21において3次冷却水22から蒸気23を生成するような構成としても良い。 【0037】次に、以上のように構成した本実施の形態に係る冷却材自然循環型原子炉の作用について説明する。 【0038】本実施の形態に係る冷却材自然循環型原子炉では、ブロア12およびガス注入管13によって炉心1の上部側の冷却材2にガス16が吹き込まれ、炉心1近傍の上部側に気泡17が形成される。気泡17の密度は、冷却材2の密度よりも十分小さいことから、気泡17は、冷却材2が上昇する上流側である炉心1近傍からその上方側へと、冷却材2の上昇速度よりも速い速度で上昇する。この気泡17の上昇は、炉心1近傍にある冷却材2をも同伴することから、冷却材2の上昇速度もまた高められる。これによって、冷却材2の流量が増加される。 【0039】一方、炉心1近傍からその上方側へと上昇した気泡17は、冷却材2の液面を介して気相部11に移行し、気泡17を形成していたガス16が気相部11に移送される。気相部11に移送されたガス16は、気相部11に存在しているガス18とともにブロア12のガス取込口からブロア12に取り込まれ、再びガス注入管13に送風されることによって気相部11の圧力バランスが保たれるとともに、炉心1近辺の上部側に気泡17を生成するためのガス16として再利用される。 【0040】上述したように、本実施の形態に係る冷却材自然循環型原子炉においては、上記のような作用により、原子炉容器4の高さを高くすることもなく、また、冷却材2を強制的に循環させるポンプ等を備えることもなく、自然循環流量を増加することができ、その結果、出力を高めて経済性を高めることが可能となる。 【0041】(第2の実施の形態)本発明の第2の実施の形態を図5を用いて説明する。 【0042】図5は、第2の実施の形態に係る冷却材自然循環型原子炉の一例を示す立断面構成図であり、図1と同一部分には同一符号を付してその説明を省略し、ここでは異なる部分についてのみ述べる。 【0043】すなわち、本実施の形態に係る冷却材自然循環型原子炉は、図1に示す第1の実施の形態に係る冷却材自然循環型原子炉における蒸気発生器3を、炉心1の上方側であって、冷却材2の液面をその一部に含むように配置している。そして、原子炉容器4を加圧しても良いが、第1の実施の形態ほどは加圧せず、炉心1の核分裂反応によってもたらされる熱エネルギーによって、冷却材2の一部が原子炉容器4内で沸騰するようにしている。 【0044】したがって、図5中に示す気泡17は、ガス注入管13から注入されたガス16によって形成されるものと、冷却材2が沸騰して発生した蒸気25によって形成されるものとの両方に相当する。このように、ガス16および蒸気25により形成されてなる気泡17は、原子炉容器4内を上昇し、冷却材2の液面を介して気相部11に移行し、ガス16および蒸気25を気相部11に移送する。 【0045】蒸気発生器3は、冷却材2の液面以下の部分では、伝熱管5内を流れる2次冷却水6によって冷却材2を冷却し、この冷却材2の熱を奪う。また、冷却材2の液面以上の気相部11では、同様に伝熱管内を流れる2次冷却水6によって、気相部11に移行した蒸気25を冷却し、この蒸気25の熱を奪う。このように、蒸気発生器3は、冷却材2の液面以下の部分では、冷却材2から熱を奪うことによって、また、冷却材2の液面以上の気相部11では、蒸気25から熱を奪うことによって2次冷却水6を蒸気7に転換する。 【0046】このようにして熱を奪われた冷却材2は、密度が大きくなるので、図中矢印W2に示すように、対流により蒸気発生器3側から炉心1側へと下降する。また、このようにして熱を奪われた蒸気25は、蒸気発生器3の伝熱管5の表面によって凝縮され、液体の冷却材2に戻り、自重によって冷却材の液面に落下するようにしている。 【0047】なお、蒸気発生器3によって熱が奪われず、液体の冷却材2に戻らなかった蒸気25は、気相部11に存在しているガス18とともにブロア12によって取り込まれ、このブロア12によってガス注入管13に送風されるようにしている。 【0048】その他の構成については、第1の実施の形態で説明したものと同様であるので重複説明を避ける。 【0049】次に、以上のように構成した本実施の形態に係る冷却材自然循環型原子炉の作用について説明する。 【0050】本実施の形態に係る冷却材自然循環型原子炉は、炉心1の核分裂反応によってもたらされる熱エネルギーによって、冷却材2の一部が原子炉容器4内で沸騰する原子炉であって、蒸気発生器3が冷却材2の液面をその一部に含むように配置されている。 【0051】これによって、ブロア12およびガス注入管13によって吹き込まれるガス16と、炉心1の近傍における冷却材2が沸騰することによって生成した蒸気との両方によって気泡17が形成されることから、原子炉容器4内における冷却材2の上昇速度が高められ、冷却材2の流量が増加される。 【0052】このようにガス18および蒸気25からなる気泡17は、炉心1近傍からその上方側へと上昇し、冷却材2の液面を介して気相部11に移行し、ガス16および蒸気25が気相部11に移送される。気相部11に移送されたガス16は、気相部11に存在しているガス18とともにブロア12のガス取込口からブロア12に取り込まれる。また、気相部11に移送された蒸気25は、蒸気発生器3の伝熱管5の表面によって熱が奪われ凝縮されることによって液体の冷却材2に戻り、自重によって冷却材2の液面に落下し、冷却材2と合流する。 【0053】なお、気相部11において液体の冷却材2に戻らなかった蒸気25もまた、気相部11に存在しているガス18や、気相部11に移送されたガス16とともにブロア12によって取り込まれる。このようにしてブロア12に取り込まれたガス16、ガス18、および蒸気25は、気泡17を形成するためのガスとして、ブロア12によってガス注入管13に再び送風される。 【0054】蒸気発生器3では、冷却材2の液面以下の部分において、伝熱管5を介して冷却材2の熱が2次冷却水6に伝達される。これによってこの冷却材2は、自身は熱を奪われ密度が大きくなるので、図中矢印W2に示すように、対流により蒸気発生器3側から炉心1側へと下降し、炉心1の冷却に再び供される。また、冷却材2の液面以上の部分である気相部11においては、伝熱管5を介して蒸気25の熱が2次冷却水6に伝達される。この蒸気25は、自身は熱を奪われ凝縮することによって液体の冷却材2に戻り、自重によって冷却材2の液面に落下し、冷却材2と合流する。 【0055】すなわち、蒸気発生器3では、冷却材2の液面以下の部分では液体の冷却材2の熱が、また、冷却材2の液面以上の部分である気相部11では蒸気25の熱がそれぞれ、2次冷却水6から蒸気7を発生するために用いられる。このように、本実施の形態に係る冷却材自然循環型原子炉では、原子炉容器4内における気相部11、および冷却材2の液面以下である液相部の両相において熱交換がなされることから高い熱効率が実現される。 【0056】上述したように、本実施の形態に係る冷却材自然循環型原子炉においては、上記のような作用により、炉心1近傍の上部に注入したガス16のみならず、冷却材2の沸騰により発生した蒸気25によっても気泡17が形成されることから、効率的に気泡17を炉心1近傍の上部の冷却材2中に形成することができる。その結果、原子炉容器4の高さを高くすることもなく、また、冷却材2を強制的に循環させるポンプ等を備えることもなく、自然循環流量を増加することができ、もって、出力を高めて経済性を高めることが可能となる。 【0057】また、蒸気発生器3は、冷却材2の液面以下において液体の冷却材2からのみならず、気相部11において蒸気25からも熱を奪うことから、熱利用を効率的に行うことが可能となる。 【0058】(第3の実施の形態)本発明の第3の実施の形態を図6を用いて説明する。 【0059】図6は、第3の実施の形態に係る冷却材自然循環型原子炉の一例を示す立断面構成図であり、図1と同一部分には同一符号を付してその説明を省略し、ここでは異なる部分についてのみ述べる。 【0060】すなわち、本実施の形態に係る冷却材自然循環型原子炉は、図1に示す第1の実施の形態に係る冷却材自然循環型原子炉におけるガス注入管13の先端のガス噴出穴14が設けられた部位を、炉心1の下方側に配置している。 【0061】このような構成とすることによって、炉心1内でも気泡17に冷却材2が同伴されて上昇するため、冷却材2の上昇流量が増大する。これによって、ガス注入管13の先端のガス噴出穴14が設けられた部位を、炉心1の上方側に配置する場合に比べて、自然循環流量を増加することができる。その結果、出力を更に高めることが可能となる。 【0062】なお、本実施の形態で示したような、ガス注入管13の先端のガス噴出穴14が設けられた部位を炉心1の下方側に配置するような構成を、図5に示すような構成の冷却材自然循環型原子炉に適用しても同様な作用効果を奏することができる。 【0063】以上、本発明の好適な実施の形態について、添付図面を参照しながら説明したが、本発明はかかる構成に限定されない。特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の技術的範囲に属するものと了解される。 【0064】 【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、炉心近傍の冷却材にガスを注入して気泡を形成し、炉心側からその上方側へと上昇する冷却材に、気泡を同伴させることによって、炉心高さの大型化や、ポンプ等の強制循環設備を備えることなく冷却材の流量を増加させることができる。 【0065】以上により、経済性の向上を図ることが可能な冷却材自然循環型原子炉を実現することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000006208 【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
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| 【出願日】 |
平成13年5月23日(2001.5.23) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100058479 【弁理士】 【氏名又は名称】鈴江 武彦 (外5名)
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| 【公開番号】 |
特開2002−350583(P2002−350583A) |
| 【公開日】 |
平成14年12月4日(2002.12.4) |
| 【出願番号】 |
特願2001−153786(P2001−153786) |
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