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【発明の名称】 燃料集合体
【発明者】 【氏名】黒 木 政 彦

【氏名】後 藤 大 輔

【氏名】佐 伯 潤

【氏名】桝 見 亮 司

【氏名】原 口 裕 子

【要約】 【課題】沸騰水型原子炉に装荷する燃料集合体において、燃料の経済性を悪化させることなく炉停止余裕を改善すること。

【解決手段】軸方向上部に燃料有効長の4/24以上13/24以下の長さの領域を天然ウランの如き燃料を有する低反応度領域12cを設けると共に、その直下の領域を前記低反応度領域より多くの核分裂性物質を含む高反応度領域として燃料棒上部領域の反応度を低くした、上部低反応度燃料棒U2を含むことを特徴とする。また、低反応度燃料棒U2は、燃料集合体最外周に配置され、あるいは燃料集合体最外周のうち十字型制御棒11の挿入しない2つの側面に面する位置、あるいは燃料集合体最外周のうち十字型制御棒11を挿入しないコーナ位置の燃料棒に隣接する位置に2本、あるいは十字型制御棒11を挿入しないコーナ位置に1本配置されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】複数の燃料棒を正方格子状に束ねて構成する沸騰水型原子炉用の燃料集合体において、軸方向上部に燃料有効長の4/24以上13/24以下の長さの低反応度領域を設けると共に、その直下の領域を前記低反応度領域より多くの核分裂性物質を含む高反応度領域として燃料棒上部領域の反応度を低くした、上部低反応度燃料棒を有することを特徴とする燃料集合体。
【請求項2】前記上部低反応度燃料棒は、前記低反応度領域が、冷温時における炉心の軸方向出力分布が最も大きくなる位置を含む領域に形成したことを特徴とする、請求項1記載の燃料集合体。
【請求項3】前記上部低反応度燃料棒の本数は9本以下であることを特徴とする、請求項1または請求項2記載の燃料集合体。
【請求項4】前記上部低反応度燃料棒は、燃料集合体最外周に配置されていることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれかに記載の燃料集合体。
【請求項5】前記上部低反応度燃料棒は、燃料集合体最外周のうち十字型制御棒の挿入しない2つの側面に面する位置に配置されていることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれかに記載の燃料集合体。
【請求項6】前記上部低反応度燃料棒は、燃料集合体最外周のうち十字型制御棒を挿入しないコーナ位置の燃料棒に隣接する位置に2本配置されていることを特徴とする、請求項1または2記載の燃料集合体。
【請求項7】前記上部低反応度燃料棒は、十字型制御棒を挿入しないコーナ位置に1本配置されていることを特徴とする、請求項1または2記載の燃料集合体。
【請求項8】前記上部低反応度燃料棒の前記低反応度領域は、天然ウランであることを特徴とする、請求項1乃至7のいずれかに記載の燃料集合体。
【請求項9】前記上部低反応度燃料棒の前記低反応度領域は、ウラン−235の濃縮度が1wt%程度以下であることを特徴とする、請求項1乃至7のいずれかに記載の燃料集合体。
【請求項10】前記上部低反応度燃料棒の前記低反応度領域は、使用済み燃料の再処理より得られた回収ウランであることを特徴とする、請求項1乃至7のいずれかに記載の燃料集合体。
【請求項11】前記上部低反応度燃料棒の前記低反応度領域は、U−235の濃縮工程における廃棄材より得られた劣化ウランであることを特徴とする、請求項1乃至7のいずれかに記載の燃料集合体。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の技術的分野】本発明は、沸騰水型原子炉に装荷する燃料集合体に係わり、特に燃料経済性を悪化させること無く炉停止余裕を改善した燃料集合体に関する。
【0002】
【従来技術】原子炉の炉心は多数の燃料集合体と、その間に挿抜自在に設けられた十字型制御棒とにより形成されており、十字型制御棒1本の周囲に4体の燃料集合体を配置して構成されている。また、一般に沸騰水型原子炉に用いられる燃料集合体は、燃料被覆管内に酸化ウランなどの燃料ペレットを多数充填した複数の燃料棒から構成されている。
【0003】この燃料集合体の一例を図13(a)の縦断面図と、(b)の(a)におけるB−B矢視断面図、および(c)の(a)におけるC−C矢視断面図に示す。
【0004】燃料集合体1は、それぞれ複数本の長尺燃料棒2と短尺燃料棒3、および1本または2本のウォータロッド4を、軸方向に配置した複数のスペーサ5で正方格子状に束ねている。
【0005】また、この束ねた複数の燃料棒のうちで、長尺燃料棒2は外部スプリング6と共に上部タイプレート7と下部タイプレート8に、また、短尺燃料棒3は下部タイプレート8に固定されていて、この燃料棒の束は、周囲をチャンネルボックス9で包囲されている。
【0006】なお、前記チャンネルボックス9内における長尺燃料棒2と短尺燃料棒3、およびウォータロッド4の長さと本数、さらに形状や配置については、それぞれ原子炉によって異なることから、上記図13に示す燃料集合体1に限定されるものではない。
【0007】
【発明が解決しょうとする課題】ところで、原子炉燃料の設計における設計条件の一つに、運転サイクルを通じて冷温時炉停止余裕を1.0%Δk以上確保するという条件がある。この炉停止余裕とは、最も反応度制御効果の大きい制御棒が引き抜かれ、他の制御棒がすべて挿入された状態における未臨界度を表すもので、原子炉安全性のために炉停止余裕は確保されなければならない。
【0008】また、BWRにおける反応度制御は、制御棒による反応度抑制効果に加えて、燃料棒にガドリニア等の可燃性毒物を混入することによる反応度抑制効果が使用されている。この可燃性毒物は中性子を吸収する能力を備えていることから、燃焼初期の無限増倍率を低下させる効果がある。燃焼が進行すると可燃性毒物が燃え尽きることから無限増倍率抑制効果もなくなるが、燃焼に伴い燃料中に含まれる核分裂性物質であるウラン−235の含有量も低下することから、この可燃性毒物の含有量を適切に調整することにより、燃焼初期から可燃性毒物が燃え尽きる期間での冷温時における制御棒挿入状態および引抜き状態の無限増倍率を抑制し、サイクルを通じて必要な炉停止余裕を確保することができる。一般には、可燃性毒物の含有量は、原子炉の運転サイクル末期において炉心の反応度を最大限確保するという観点から、サイクル末期でほぼ燃え尽きるように調整されている。
【0009】一方、燃料の経済性向上のため、燃料の高燃焼度化を図るというニーズがあり、高燃焼度化に伴い、燃料のウラン濃縮度が増加すると燃料の反応度が増大するため、反応度を抑制するために可燃性毒物を混入する燃料棒の本数や可燃性毒物濃度が増加する傾向になる。可燃性毒物を混入する燃料棒の本数や可燃性毒物濃度を過剰に増加した場合には、原子炉運転サイクルの末期において可燃性毒物が残存することから、反応度を損失してしまうために、結果的に燃料経済性を低下させることになる。また、炉心の周辺部では炉心の中央部近辺に比べ原子炉の出力が低いために、含有させた可燃性毒物の燃焼が中心部に比較して進まず、炉心の中央部近辺で炉停止余裕を確保するのに適した可燃性毒物量を含有させると炉心の周辺部ではサイクル末期に可燃性毒物が残存して反応度を損失する。
【0010】本発明は、このような点に鑑み、燃料の経済性を悪化させること無く炉停止余裕を改善した燃料集合体を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る発明は、複数の燃料棒を正方格子状に束ねて構成する沸騰水型原子炉用の燃料集合体において、軸方向上部に燃料有効長の4/24以上13/24以下の長さの低反応度領域を設けると共に、その直下の領域を前記低反応度領域より多くの核分裂性物質を含む高反応度領域として燃料棒上部領域の反応度を低くした、上部低反応度燃料棒を含むことを特徴とする。
【0012】上部低反応度燃料棒を設けることにより、燃焼を通じて冷温時における制御棒挿入時の無限増倍率を低く抑制することができ、炉停止余裕を改善することができる。また、炉停止余裕を改善するために可燃性毒物の含有量を増加する必要は無いことから、燃料経済性を損なうことなく炉停止余裕を改善することができる。あるいは、過剰な炉停止余裕がある場合には、炉停止余裕を満足できる範囲で可燃性毒物の含有量を少なくすることができることから、可燃性毒物残存によるサイクル末期での反応度損失を無くすることができ、燃料経済性が向上する。
【0013】請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において、上部低反応度燃料棒は、その低反応度領域が、冷温時における炉心の軸方向出力分布が最も大きくなる位置を含む領域に形成されていることを特徴とする。しかして、炉心で低温時に軸方向出力分布が最も大きくなる領域に低反応度領域を配置することから、冷温時における制御棒挿入時の無限増倍率を効率的に抑制して炉停止余裕を改善することができる。
【0014】請求項3に係る発明は、請求項1または2に係る発明において、上部低反応度燃料棒の本数を9本以下としたことを特徴とする。すなわち、上部低反応度燃料棒の本数を最小限とすることにより、サイクル末期の反応度を低下させることなく、炉停止余裕を改善することができる。
【0015】請求項4に係る発明は、請求項1乃至3のいずれかに係る発明において、上部低反応度燃料棒が、燃料集合体最外周に配置されていることを特徴とする。すなわち、上部低反応度燃料棒を、燃料集合体最外周に配置することにより、冷温時における制御棒挿入時の無限増倍率を効率的に抑制して炉停止余裕を改善することができる。
【0016】請求項5に係る発明は、請求項1乃至3のいずれかに係る発明において、上部低反応度燃料棒を、燃料集合体最外周のうち十字型制御棒を挿入しない2つの側面に面する位置に配置することを特徴とする。このように、上部低反応度燃料棒を、燃料集合体最外周のうち十字型制御棒の挿入しない2つの側面に面する位置に配置することにより、冷温時における制御棒挿入時の無限増倍率を効率的に抑制して炉停止余裕を改善することができる。
【0017】請求項6に係る発明は、請求項1または2に係る発明において、上部低反応度燃料棒を、燃料集合体最外周のうち十字型制御棒を挿入しないコーナ位置の燃料棒に隣接する位置に2本配置することを特徴とする。このように、上部低反応度燃料棒を、燃料集合体最外周のうち十字型制御棒を挿入しないコーナ位置の燃料棒に隣接する位置に2本配置することにより、冷温時における制御棒挿入時の無限増倍率を効率的に抑制して炉停止余裕を改善することができる。
【0018】請求項7に係る発明は、請求項1または2に係る発明において、上部低反応度燃料棒を、十字型制御棒を挿入しないコーナ位置に1本配置することを特徴とする。このように、上部低反応度燃料棒を、十字型制御棒を挿入しないコーナ位置に1本配置することにより、冷温時における制御棒挿入時の無限増倍率を効率的に抑制して炉停止余裕を改善することができる。
【0019】請求項8に係る発明は、請求項1乃至7に係る発明において、上部低反応度燃料棒の低反応度領域を天然ウランとしたことを特徴とする。
【0020】請求項9に係る発明は、請求項1乃至7に係る発明において、上部低反応度燃料棒の低反応度領域のウラン−235の濃縮度を1wt%程度以下としたことを特徴とする。上部低反応度燃料棒の低反応度領域を、天然ウラン或いはウラン−235の濃縮度を1wt%程度以下としたものとすることによって、燃焼を通じて冷温時における制御棒挿入時の無限増倍率を抑制し、炉停止余裕を改善することができる。
【0021】請求項10に係る発明は、請求項1乃至7のいずれかに係る発明において、上部低反応度燃料棒の低反応度領域を、使用済み燃料の再処理より得られた回収ウランとしたことを特徴とする。上部低反応度燃料棒の低反応度領域を、回収ウランとすることによっても、当該領域を天然ウランとした場合と同様の効果が得られ、燃焼を通じて冷温時における制御棒挿入時の無限増倍率を抑制し、炉停止余裕を改善することができる。
【0022】請求項11に係る発明は、請求項1乃至7のいずれかに係る発明において、上部低反応度燃料棒の低反応度領域を、U−235の濃縮工程における廃棄材より得られた劣化ウランとしたことを特徴とする。すなわち、上部低反応度燃料棒の低反応度領域を、劣化ウランとすることによっても、当該領域を天然ウランとした場合の同様の効果が得られ、燃焼を通じて冷温時における制御棒挿入時の無限増倍率を抑制し、炉停止余裕を改善することができる。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、上記した従来技術と同じ構成部分については、同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0024】(第1の実施の形態)図1は、本発明の第1実施の形態を示す図であって、(a)は高燃焼度燃料集合体における燃料棒配置を示す横断面図で、(b)は燃料棒の燃料および可燃性毒物の軸方向分布図を示す。
【0025】なお、燃料集合体内では、軸方向や径方向に燃料である核分裂性物質の濃縮度や、可燃性毒物の濃度について分布がつけられているが、ここでは詳細な分布については省略して説明する。また、本第1の実施の形態については、上記図13に示した燃料集合体1に適用した場合と同様に、燃料棒配列は9行9列にしている。さらに、この燃料集合体では、燃料棒として、一般的な長尺燃料棒2より約2/3短くした短尺燃料棒3を使用している。
【0026】すなわち、図1(a)に示す燃料集合体10は、炉心内に挿抜自在で断面が十字状の制御棒11の周囲に配置して、ウラン燃料の燃料棒を9行9列の正方格子配列とし、66本の長尺燃料棒として長尺燃料棒U1を41本、長尺燃料棒U2を9本、および可燃性毒物であるガドリニア(以下、Gdと略称する)を含有した長尺Gd燃料棒Gの16本がある。
【0027】さらに、8本の短尺燃料棒U3と、2本の太径ウォータロッド4(W)の配置により構成している。
【0028】また、一般的に高燃焼度燃料集合体では、軸方向の中性子の漏れを少なくして経済性を上げるために、軸方向の上下端部に天然ウランブランケット部を設けているが、図1(b)に示すように、長尺燃料棒U1とU2、長尺Gd燃料棒Gには、下端部で燃料有効長の1/24の長さの領域に、下部天然ウランブランケット部12aを、また長尺燃料棒U1と長尺Gd燃料棒Gには、上端部で2/24の長さの領域に、上部天然ウランブランケット12bを形成している。
【0029】さらに、長尺燃料棒U2については、燃料棒上端より5/24の長さの領域を天然ウランとした低反応度領域12cを設けると共に、低反応度領域12cの直下より下部天然ウランブランケット12a直上の領域を、天然ウランより核分裂性物質を多く含む高反応度領域として、長尺燃料棒U2の上部領域の反応度を低くした、上部低反応度燃料棒U2としてある。
【0030】前記燃料集合体10における集合体平均の核分裂性物質の濃縮度は、高燃焼度を達成するために、通常燃料より高い4.2%の高濃縮度としている。
【0031】また、燃料集合体10における上記低反応度燃料棒U2の本数は9本とし、燃料集合体最外周の、十字型制御棒を挿入しない2つの側面に面する位置に配置している。
【0032】このように構成された燃料集合体10を装荷した炉心における、典型的な冷温時炉停止余裕の燃焼変化を、図2の冷温時炉停止余裕特性図に示す。
【0033】ここで、曲線13(実線)は、長尺燃料棒U2の上部に低反応度領域12cを設けた燃料集合体10の場合で、曲線14a(2点鎖線)は、燃料集合体10の長尺燃料棒U2の上部に低反応度領域を設けず、上部天然ウランブランケット12bを上端部2/24の長さの領域に設け、上部天然ウランブランケットの直下の領域は濃縮ウランとした通常の長尺燃料棒U1と同様の軸方向領域構成とした場合、さらに曲線14b(点線)は、平均濃縮度約3.7%とした従来設計の燃料集合体を装荷した場合を表す。
【0034】この図2に示すように、一般に炉停止余裕の設計目標は、冷温時停止余裕が1.0%Δk以上であり、平均濃縮度約3.7%の従来設計の燃料集合体を装荷した場合には、曲線14bで示すように、設計目標を達成することができる。しかしながら、高燃焼度化のためさらに濃縮度を高くした場合、一般に濃縮度4%程度以上にすると炉停止余裕が設計目標を満足することが困難となる。約4.2%まで上げた場合には、曲線14aに示すように、サイクル中期以外は冷温時炉停止余裕の設計目標である1.0%Δkを割り込み、設計目標が達成できていないことがわかる。
【0035】一方、長尺燃料棒U2の上部に低反応度領域12cを設けた燃料集合体10の場合の曲線13では、長尺燃料棒U2の上部に低反応度領域を設けず長尺燃料棒U1と同様の軸方向領域構成とした場合(曲線14a)と比較して、冷温時炉停止余裕が0.3〜0.4%Δk増加し、十分に設計目標を達成している。
【0036】次に、長尺燃料棒U2の上部に低反応度領域12cを設けた燃料集合体10の場合、曲線13のように冷温時炉停止余裕が改善する理由について述べる。
【0037】冷温時における無限増倍率の、制御棒引抜状態と制御棒挿入状態の差の燃焼変化を、図3の無限増倍率特性図に示す。すなわち、図3は冷温時における制御棒による反応度の抑制効果を示し、図3の曲線の値が大きいほど、冷温時において制御棒引抜状態での無限増倍率が同じであっても、制御棒を挿入した場合に反応度が抑えられることを意味する。
【0038】ここで、曲線15は、長尺燃料棒U2の上部に低反応度領域12cを設けた燃料集合体10の、低反応度領域12cを設けた断面(下端より燃料有効長20/24から22/24までの断面)における、冷温時での制御棒引抜状態における無限増倍率から、冷温時での制御棒挿入状態における無限増倍率を引いたものの燃焼変化を示し、曲線16は、燃料集合体10の長尺燃料棒U2の上部に低反応度領域を設けず、上部天然ウランブランケット12bを上端部2/24の長さの領域に設け、上部天然ウランブランケットの直下の領域は濃縮ウランとして通常の長尺燃料棒U1と同様の軸方向領域構成とした場合の、下端より燃料有効長20/24から22/24までの断面における同様の燃焼変化を示す。
【0039】燃料集合体10の、低反応度領域12cを設けた断面(下端より燃料有効長20/24から22/24までの断面)においては、制御棒引抜時における反制御棒側の燃料棒周辺の中性子束が、低反応度領域12cの天然ウランにより抑えられ、相対的に、十字型制御棒を挿入する2つの側面(制御棒側)周辺の中性子束が高くなる。その結果、冷温時において制御棒引抜状態での無限増倍率が同じであっても、制御棒を挿入した場合の無限増倍率は、反制御棒側に天然ウランを配置しない場合に比べ燃焼を通じて低くなり、図3に示すように、曲線15の方が曲線16より燃焼初期において2%Δk程度、燃焼度20GWd/tにおいても1%Δk程度高くなっている。
【0040】冷温時炉停止余裕は、炉心のすべての制御棒が挿入された状態で、最も反応度制御効果の大きい制御棒が1本引き抜かれた場合の未臨界度を表すものであるが、図3の曲線15のように、冷温時における制御棒による反応度抑制効果の大きい燃料においては、炉心の全ての制御棒が挿入された状態での炉心の実効増倍率が低くなるため、最も反応度制御効果の大きい制御棒が1本引き抜かれた場合においても未臨界度は大きくなり、炉停止余裕は改善する。なお、図3の曲線は低反応度領域12cを設けた断面の特性を表すものであり、低反応度領域12cを設けた断面以外の断面においては冷温時における制御棒引抜状態と制御棒挿入状態の無限増倍率の差は改善しないため、図3において曲線15の方が曲線16より1〜2%Δk高くなっていても、炉心の冷温時炉停止余裕は1〜2%Δkまで改善することは無く、図2に示したごとく、0.3〜0.4%Δkの改善となっている。
【0041】以上のような理由により、長尺燃料棒U2の上部に低反応度領域12cを設けた燃料集合体10の場合、図2の曲線13のように冷温時炉停止余裕が改善する。なお、低反応度領域12cを設ける軸方向位置を長尺燃料棒U2の上部とする理由は、冷温時においては炉心の上部において出力分布が高くなるため、制御棒による反応度抑制効果が、より効果的に炉心の炉停止余裕改善に寄与することになるためである。
【0042】なお、図1に示した例では、上部低反応度燃料棒U2は、燃料集合体の反制御棒側最外周に配置しているが、上部低反応度燃料棒U2の配置としては反制御棒側最外周とは限らない。反制御棒側最外周近辺の燃料棒位置に配置すれば、制御棒引抜時における制御棒側の中性子束は高くなり、図3の曲線15と同様の効果が得られる。図1においては、最も効果的に制御棒引抜時における制御棒側の中性子束を高くし、炉停止余裕が改善できる一例として、反制御棒側最外周位置に上部低反応度燃料棒U2を配置した例を示している。
【0043】また、燃料集合体10における上部低反応度燃料棒U2の本数は、本数を多くするほど制御棒引抜時における制御棒側の中性子束は高くなり、炉停止余裕の改善効果は大きくなるが、高燃焼度化の面からは、上部低反応度燃料棒U2の本数が多くなるほど燃料集合体平均濃縮度が低くなり、好ましくない。従って、上部低反応度燃料棒U2の本数は必要以上に多くしないほうが良く、図1の例では、上部低反応度燃料棒U2の本数を9本としている。
【0044】以上に示した通り、上部低反応度燃料棒U2を配置した燃料集合体10を装荷した炉心においては、炉停止余裕を改善するために可燃性毒物の含有量を増加する必要は無いことから、燃料経済性を損なうことなく炉停止余裕が改善される。あるいは、上部低反応度燃料棒U2を配置することにより過剰な炉停止余裕が得られた場合には、炉停止余裕を満足できる範囲で可燃性毒物の含有量を少なくすることができることから、可燃性毒物残存によるサイクル末期での反応度損失を無くすることができ、燃料経済性が向上する。
【0045】なお、燃料集合体10は、高燃焼度を達成するために設計された高燃焼度燃料集合体の一例であり、従って、前記長尺燃料棒U1、長尺Gd燃料棒Gおよびウォータロッド4の長さと本数や形状および配置位置と、短尺燃料棒U3や天然ウランブランケット部12a、12bの有無や長さは設計によって異なる。
【0046】また、本第1の実施の形態は、燃料棒配列が9行9列で短尺燃料棒U3があり、天然ウランブランケット部12a、12bを設置した燃料に適用した例であるが、上記の特性は、これに限定されるものではなく、燃料棒配列が8行8列や10行10列などの他の設計においても、上部低反応度燃料棒U2を配置すれば同様の効果が得られる。
【0047】(第2の実施の形態)図4は本発明の第2の実施の形態を示す図であって、(a)は高燃焼度燃料集合体における燃料棒配置を示す横断面図、(b)は燃料棒の燃料および含有可燃性毒物の軸方向分布図を示す。なお、前記第1の実施の形態と同様の構成部分については詳細な説明を省略し、異なる部分について説明する。
【0048】燃料集合体17は、前記図13に示した燃料集合体1に適用した例で、66本の長尺燃料棒として長尺燃料棒U1を41本、長尺燃料棒U4を9本、および可燃性毒物であるGdを含有した長尺Gd燃料棒Gの16本がある。
【0049】さらに、8本の短尺燃料棒U3と、2本の太径ウォータロッド4(W)の配置により構成している。
【0050】また、図4(b)に示すように、長尺燃料棒U1、U4と長尺Gd燃料棒Gには、下端部で燃料有効長の1/24の長さの領域に下部天然ウランブランケット部12aを、また上端部で1/24の長さの領域に上部天然ウランブランケット12bを形成している。
【0051】さらに、長尺燃料棒U4については、燃料棒下端からの燃料有効長22/24から19/24までの4/24の長さの領域を天然ウランとした低反応度領域12cを設けると共に、低反応度領域12cの直下より下部天然ウランブランケット12a直上の領域を、天然ウランより核分裂性物質を多く含む高反応度領域として、長尺燃料棒U4の上部領域の反応度を低くした、上部低反応度燃料棒U4としている。
【0052】前記燃料集合体17における集合体平均の核分裂性物質の濃縮度は、高燃焼度を達成するために、通常燃料より高い4.2%の高濃縮度としている。また、燃料集合体17における上記上部低反応度燃料棒U4の本数は9本とし、燃料集合体最外周の、十字型制御棒を挿入しない2つの側面に面する位置に配置している。ここで、燃料集合体17における上部低反応度燃料棒U4の低反応度領域12cは、冷温時における炉心の軸方向出力分布が最も大きくなる位置を含む領域に形成している。
【0053】図5は、軸方向出力分布図であり、曲線18は、冷温時における炉心の軸方向出力分布を示している。曲線18が示すとおり、冷温時においては炉心の上部において出力分布が高くなり、この例では下端より燃料有効長22/24の位置において最大となっている。沸騰水型原子炉では出力運転中に炉心において冷却材である水中にボイドが形成されているが、このボイドは上部ほどボイド率が大きく、従って、形成されたボイドによる負の反応度効果により、相対的に上部より下部の出力が大きくなる傾向がある。そこで、出力運転中の軸方向出力分布を平坦化するように、軸方向の濃縮度及び可燃性毒物分布を最適化した設計がされているが、このことは逆にボイドがなくなる冷温時には、上部において出力分布が大きくなることを招いている。
【0054】このように構成した燃料集合体17でも、燃料集合体10と同様に、上部低反応度燃料棒U4の低反応度領域12cを設けた断面における冷温時の制御棒による反応度抑制効果は、上部低反応度燃料棒U4に低反応度領域12cを設けない場合に比べ大きくなるため、炉停止余裕は改善する。また、上部低反応度燃料棒U4の低反応度領域12cの長さは、長くなるほど炉停止余裕の改善効果は大きくなるが、高燃焼度化の面からは、低反応度領域12cの長さが長くなるほど燃料集合体平均濃縮度が低くなり、好ましくない。このためには、図4(b)における上部低反応度燃料棒U4のように、低反応度領域12cを冷温時に最も出力分布が大きくなる領域のみに設けることによって、燃料経済性を損なうことなく効果的に炉停止余裕を改善することができる。
【0055】以上に示した通り、上部低反応度燃料棒U4を配置した燃料集合体17を装荷した炉心においては、炉停止余裕を改善するために可燃性毒物の含有量を増加する必要は無いことから、燃料経済性を損なうことなく炉停止余裕が改善する。あるいは、上部低反応度燃料棒U4を配置することにより過剰な炉停止余裕が得られた場合には、炉停止余裕を満足できる範囲で可燃性毒物の含有量を少なくすることができることから、可燃性毒物残存によるサイクル末期での反応度損失を無くすることができ、燃料経済性が向上する。
【0056】なお、燃料集合体17は、高燃焼度を達成するために設計された高燃焼度燃料集合体の一例であり、従って、前記長尺燃料棒U1、長尺Gd燃料棒Gおよびウォータロッド4の長さと本数や形状および配置位置と、短尺燃料棒U3や天然ウランブランケット部12a、12bの有無や長さは設計によって異なる。
【0057】また、本第2の実施の形態は、燃料棒配列が9行9列で短尺燃料棒U3があり、天然ウランブランケット部12a、12bを設置した燃料に適用した例であるが、上記の特性は、これに限定されるものではなく、燃料棒配列が8行8列や10行10列などの他の設計においても、上部低反応度燃料棒U4を配置すれば同様の効果が得られる。
【0058】(第3の実施の形態)図6は、第3の実施の形態を示す図であり、(a)は高燃焼度燃料集合体における燃料棒配置を示す横断面図、(b)は燃料棒の燃料および含有可燃性毒物の軸方向分布図を示す。なお、前記第1の実施の形態と同様の構成部分については詳細な説明を省略し、異なる部分について説明する。
【0059】燃料集合体19は、66本の長尺燃料棒として長尺燃料棒U1を48本、長尺燃料棒U5を2本、可燃性毒物であるGdを含有した長尺Gd燃料棒Gを16本、短尺燃料棒U3を8本、および2本の太径ウォータロッド4(W)の配置により構成している。
【0060】また、図6(b)に示すように、長尺燃料棒U1、U5と長尺Gd燃料棒Gには、下端部で燃料有効長の1/24の長さの領域に、下部天然ウランブランケット部12aを、また長尺燃料棒U1と長尺Gd燃料棒Gには、上端部で1/24の長さの領域に、上部天然ウランブランケット12bを形成している。
【0061】さらに、長尺燃料棒U5については、燃料棒上端より13/24の長さの領域を天然ウランとした低反応度領域12cを設けると共に、低反応度領域12cの直下より下部天然ウランブランケット12a直上の領域を、天然ウランより核分裂性物質を多く含む高反応度領域として、長尺燃料棒U5の上部領域の反応度を低くした、上部低反応度燃料棒U5としている。
【0062】前記燃料集合体19における集合体平均の核分裂性物質の濃縮度は、高燃焼度を達成するために、通常燃料より高い4.2%の高濃縮度としている。また、燃料集合体19における上記上部低反応度燃料棒U5の本数は2本とし、燃料集合体最外周のうち、十字型制御棒を挿入しないコーナ位置の燃料棒に隣接する位置に配置している。
【0063】このように構成された燃料集合体19を装荷した炉心における、典型的な冷温時炉停止余裕の燃焼変化を、図7の冷温時停止余裕特性図に示す。ここで、曲線20は、上部低反応度燃料棒U5を、燃料集合体最外周のうち、十字型制御棒を挿入しないコーナ位置の燃料棒に隣接する位置に2本配置した場合で、曲線14aは、図2における曲線14aと同じで燃料集合体19の上部低反応度燃料棒U5は設けず、通常の長尺燃料棒U1とした場合を表す。
【0064】この図7に示すように、上部低反応度燃料棒U5を設けないで高燃焼度化のため濃縮度を高くし、約4.2%まで上げた曲線14aの場合には、冷温時炉停止余裕の設計目標である1.0%を割り込み、設計目標が達成できていないが、上部低反応度燃料棒U5を、燃料集合体最外周のうち、十字型制御棒を挿入しないコーナ位置の燃料棒に隣接する位置に2本配置した場合の曲線20では、曲線14aと比較して、冷温時炉停止余裕が約0.4%増加し、十分に設計目標を達成している。
【0065】燃料集合体19では、十字型制御棒を挿入しないコーナ位置の燃料棒に隣接する位置の2本を上部低反応度燃料棒U5とすることで、低反応度領域12cを設けた軸方向断面においては、制御棒挿入位置より最も離れた反制御棒側燃料棒2本に天然ウランが配置されており、制御棒引抜状態における制御棒側周辺の中性子束が2本の上部低反応度燃料棒U5により効果的に高くなる。その結果、冷温時において制御棒引抜状態での無限増倍率が同じであっても、制御棒を挿入した場合の無限増倍率は、反制御棒側に天然ウランを配置しない場合に比べ低くなり、炉停止余裕は改善される。
【0066】また、燃料集合体19の上部低反応度燃料棒U5における低反応度領域12cの長さは、燃料有効長の13/24とし、第1の実施の形態における図1の上部低反応度燃料棒U2および第2の実施の形態における図4の上部低反応度燃料棒U4での低反応度領域12cより長くしているが、これは上部低反応度燃料棒U5の本数を2本とし、第1の実施の形態および第2の実施の形態における9本より少なくしていることによるものである。燃料集合体19の、低反応度領域12cを設けた断面(下端より燃料有効長12/24から23/24までの断面)における冷温時無限増倍率の、制御棒引抜状態と制御棒挿入状態の差の燃焼変化を、図8の無限増倍率特性図に示す。図8において、曲線21は当該断面の特性であり、曲線16は図3における曲線16と同じである。図8に示すとおり、燃料集合体19においては上部低反応度燃料棒U5の本数を2本としているため、曲線21と曲線16の差は少なくなっている。しかし上部低反応度燃料棒U5の本数が少なくても、低反応度領域12cの長さを長くすることにより、炉心の炉停止余裕としては第1の実施の形態および第2の実施の形態と同様の効果を得ることができる。上部低反応度燃料棒U5の低反応度領域12cの長さをさらに長くすれば、炉停止余裕の改善効果は大きくなるが、冷温時における出力分布は炉心の下部では低いため、炉心の下部にまで低反応度領域12cを伸ばしても炉停止余裕に対する改善効果は上部において当該領域の長さを伸ばすほどには改善せず、また、高燃焼度化の面からは、低反応度領域12cの長さが長くなるほど燃料集合体平均濃縮度が低くなり、好ましくない。
【0067】以上に示した通り、上部低反応度燃料棒U5を配置した燃料集合体19を装荷した炉心においては、炉停止余裕を改善するために可燃性毒物の含有量を増加する必要は無いことから、燃料経済性を損なうことなく炉停止余裕が改善する。あるいは、上部低反応度燃料棒U5を配置することにより過剰な炉停止余裕が得られた場合には、炉停止余裕を満足できる範囲で可燃性毒物の含有量を少なくすることができることから、可燃性毒物残存によるサイクル末期での反応度損失を無くすることができ、燃料経済性が向上する。
【0068】なお、燃料集合体19は、高燃焼度を達成するために設計された高燃焼度燃料集合体の一例であり、従って、前記長尺燃料棒U1、長尺Gd燃料棒Gおよびウォータロッド4の長さと本数や形状および配置位置と、短尺燃料棒U3や天然ウランブランケット部12a、12bの有無や長さは設計によって異なる。
【0069】また、本第3の実施の形態は、燃料棒配列が9行9列で短尺燃料棒U3があり、天然ウランブランケット部12a、12bを設置した燃料に適用した例であるが、上記の特性は、これに限定されるものではなく、燃料棒配列が8行8列や10行10列などの他の設計においても、上部低反応度燃料棒U5を配置すれば同様の効果が得られる。
【0070】(第4の実施の形態)図9は、本発明の第4の実施の形態を示す図であり、(a)は高燃焼度燃料集合体における燃料棒配置を示す横断面図、(b)は燃料棒の燃料および含有可燃性毒物の軸方向分布図を示す。なお、前記第1の実施の形態と同様の構成部分については詳細な説明を省略し、異なる部分について説明する。
【0071】燃料集合体22は、66本の長尺燃料棒として長尺燃料棒U1を49本、長尺燃料棒U6を1本、可燃性毒物であるGdを含有した長尺Gd燃料棒Gを16本、短尺燃料棒U3を8本、および2本の太径ウォータロッド4(W)の配置により構成している。
【0072】また、図9(b)に示すように、長尺燃料棒U1、U6と長尺Gd燃料棒Gには、下端部で燃料有効長の1/24の長さの領域に下部天然ウランブランケット部12aを、また長尺燃料棒U1と長尺Gd燃料棒Gには、上端部で1/24の長さの領域に上部天然ウランブランケット12bを形成している。
【0073】さらに、長尺燃料棒U6については、燃料棒上端より13/24の長さの領域を天然ウランとした低反応度領域12cを設けると共に、低反応度領域12cの直下より下部天然ウランブランケット12a直上の領域を、天然ウランより核分裂性物質を多く含む高反応度領域として、長尺燃料棒U6の上部領域の反応度を低くした、上部低反応度燃料棒U6としている。
【0074】前記燃料集合体22における集合体平均の核分裂性物質の濃縮度は、高燃焼度を達成するために、通常燃料より高い4.2%の高濃縮度としている。また、燃料集合体22における上記上部低反応度燃料棒U6の本数は1本とし、燃料集合体最外周のうち、十字型制御棒を挿入しないコーナ位置に配置している。
【0075】燃料集合体22では、上部低反応度燃料棒U6の本数を前記第3の実施の形態(図6)における場合の2本よりさらに少なくし、1本としているが、その位置を十字型制御棒を挿入しないコーナ位置の1本とすることで、低反応度領域12cを設けた軸方向断面においては、制御棒挿入位置より最も離れた反制御棒側燃料棒1本に天然ウランが配置されており、上部低反応度燃料棒U6の本数を2本とした場合と同様の効果が得られる。すなわち、制御棒引抜状態における制御棒側周辺の中性子束が1本の上部低反応度燃料棒U6により最も効果的に高くなり、その結果、冷温時において制御棒引抜状態での無限増倍率が同じであっても、制御棒を挿入した場合の無限増倍率は、反制御棒側に天然ウランを配置しない場合に比べ低くなり、前記第3の実施の形態と同様に炉停止余裕は改善する。また、上部低反応度燃料棒U6の本数は最小限の1本であるため、高燃焼度化の面からは、燃料集合体の平均濃縮度を極力高めることができ、燃料経済性の向上に有効である。
【0076】以上に示した通り、上部低反応度燃料棒U6を配置した燃料集合体22を装荷した炉心においては、炉停止余裕を改善するために可燃性毒物の含有量を増加する必要は無いことから、燃料経済性を損なうことなく炉停止余裕が改善する。あるいは、上部低反応度燃料棒U6を配置することにより過剰な炉停止余裕が得られた場合には、炉停止余裕を満足できる範囲で可燃性毒物の含有量を少なくすることができることから、可燃性毒物残存によるサイクル末期での反応度損失を無くすることができ、燃料経済性が向上する。
【0077】なお、燃料集合体21は、高燃焼度を達成するために設計された高燃焼度燃料集合体の一例であり、従って、前記長尺燃料棒U1、長尺Gd燃料棒Gおよびウォータロッド4の長さと本数や形状および配置位置と、短尺燃料棒U3や天然ウランブランケット部12a、12bの有無や長さは設計によって異なる。
【0078】また、本第4の実施の形態は、燃料棒配列が9行9列で短尺燃料棒U3があり、天然ウランブランケット部12a、12bを設置した燃料に適用した例であるが、上記の特性は、これに限定されるものではなく、燃料棒配列が8行8列や10行10列などの他の設計においても、上部低反応度燃料棒U6を配置すれば同様の効果が得られる。
【0079】(第5の実施の形態)図10は、本発明の第5の実施の形態を示す図であり、(a)は高燃焼度燃料集合体における燃料棒配置を示す横断面図、(b)は燃料棒の燃料および含有可燃性毒物の軸方向分布図を示す。なお、前記第1の実施の形態と同様の構成部分については詳細な説明を省略し、異なる部分について説明する。
【0080】燃料集合体23は、66本の長尺燃料棒として長尺燃料棒U1を49本、長尺燃料棒U7を1本、可燃性毒物であるGdを含有した長尺Gd燃料棒Gを16本、短尺燃料棒U3を8本、および2本の太径ウォータロッド4(W)の配置により構成している。
【0081】また、図10(b)に示すように、長尺燃料棒U1、U7と長尺Gd燃料棒Gには、下端部で燃料有効長の1/24の長さの領域に下部天然ウランブランケット部12aを、また長尺燃料棒U1と長尺Gd燃料棒Gには、上端部で1/24の長さの領域に上部天然ウランブランケット12bを形成している。
【0082】さらに、長尺燃料棒U7については、燃料棒上端より13/24の長さの領域をウラン−235の濃縮度が1.0wt%とした低反応度領域12cを設けると共に、低反応度領域12cの直下より下部天然ウランブランケット12a直上の領域のウラン−235の濃縮度を1.0wt%より高くし、より核分裂性物質を多く含む高反応度領域として、長尺燃料棒U7の上部領域の反応度を低くした、上部低反応度燃料棒U7としている。
【0083】前記燃料集合体23における集合体平均の核分裂性物質の濃縮度は、高燃焼度を達成するために、通常燃料より高い4.2%の高濃縮度としている。また、燃料集合体23における上記上部低反応度燃料棒U7の本数は1本とし、燃料集合体最外周のうち、十字型制御棒を挿入しないコーナ位置に配置している。
【0084】燃料集合体23の上部低濃縮度燃料棒U7の低反応度領域12cは、ウラン−235の濃縮度を1.0wt%としており、濃縮度1wt%程度以下であれば当該領域を天然ウランとした場合と同様の効果により、炉停止余裕を改善できる。
【0085】なお、燃料集合体23は、高燃焼度を達成するために設計された高燃焼度燃料集合体の一例であり、従って、前記長尺燃料棒U1、長尺Gd燃料棒Gおよびウォータロッド4の長さと本数や形状および配置位置と、短尺燃料棒U3や天然ウランブランケット部12a、12bの有無や長さは設計によって異なる。
【0086】また、本第5の実施の形態は、燃料棒配列が9行9列で短尺燃料棒U3があり、天然ウランブランケット部12a、12bを設置した燃料に適用した例であるが、上記の特性は、これに限定されるものではなく、燃料棒配列が8行8列や10行10列などの他の設計においても、上部低反応度燃料棒U7を配置すれば同様の効果が得られる。
【0087】(第6の実施の形態)図11は、本発明の第6の実施の形態を示す図であり、(a)は高燃焼度燃料集合体における燃料棒配置を示す横断面図、(b)は燃料棒の燃料および含有可燃性毒物の軸方向分布図を示す。なお、前記第1の実施の形態と同様の構成部分については詳細な説明を省略し、異なる部分について説明する。
【0088】燃料集合体24は、66本の長尺燃料棒として長尺燃料棒U1を49本、長尺燃料棒U8を1本、可燃性毒物であるGdを含有した長尺Gd燃料棒Gを16本、短尺燃料棒U3を8本、および2本の太径ウォータロッド4(W)の配置により構成している。
【0089】また、図11(b)に示すように、長尺燃料棒U1、U8と長尺Gd燃料棒Gには、下端部で燃料有効長の1/24の長さの領域に下部天然ウランブランケット部12aを、また長尺燃料棒U1と長尺Gd燃料棒Gには、上端部で1/24の長さの領域に上部天然ウランブランケット12bを形成している。
【0090】さらに、長尺燃料棒U8については、燃料棒上端より13/24の長さの領域を回収ウランとした低反応度領域12cを設けると共に、低反応度領域12cの直下より下部天然ウランブランケット12a直上の領域を、通常の濃縮ウラン領域として、長尺燃料棒U8の上部領域の反応度を低くした、上部低反応度燃料棒U8としている。
【0091】前記燃料集合体24における集合体平均の核分裂性物質の濃縮度は、高燃焼度を達成するために、通常燃料より高い4.2%の高濃縮度としている。また、燃料集合体24における上記上部低反応度燃料棒U8の本数は1本とし、燃料集合体最外周のうち、十字型制御棒を挿入しないコーナ位置に配置している。
【0092】燃料集合体24の上部低濃縮度燃料棒U8の低反応度領域12cは、回収ウランとしており、回収ウランの反応度は天然ウランと同様に低いため、当該領域を天然ウランとした場合と同様の効果により、炉停止余裕を改善できる。
【0093】なお、燃料集合体24は、高燃焼度を達成するために設計された高燃焼度燃料集合体の一例であり、従って、前記長尺燃料棒U1、長尺Gd燃料棒Gおよびウォータロッド4の長さと本数や形状および配置位置と、短尺燃料棒U3や天然ウランブランケット部12a、12bの有無や長さは設計によって異なる。
【0094】また、本第6の実施の形態は、燃料棒配列が9行9列で短尺燃料棒U3があり、天然ウランブランケット部12a、12bを設置した燃料に適用した例であるが、上記の特性は、これに限定されるものではなく、燃料棒配列が8行8列や10行10列などの他の設計においても、上部低反応度燃料棒U8を配置すれば同様の効果が得られる。
【0095】(第7の実施の形態)図12は、本発明の第7の実施の形態を示す図であり、(a)は高燃焼度燃料集合体における燃料棒配置を示す横断面図、(b)は燃料棒の燃料および含有可燃性毒物の軸方向分布図を示す。なお、前記第1の実施の形態と同様の構成部分については詳細な説明を省略し、異なる部分について説明する。
【0096】燃料集合体25は、66本の長尺燃料棒として長尺燃料棒U1を49本、長尺燃料棒U9を1本、可燃性毒物であるGdを含有した長尺Gd燃料棒Gを16本、短尺燃料棒U3を8本、および2本の太径ウォータロッド4(W)の配置により構成している。
【0097】また、図12(b)に示すように、長尺燃料棒U1、U9と長尺Gd燃料棒Gには、下端部で燃料有効長の1/24の長さの領域に、下部天然ウランブランケット部12aを、また長尺燃料棒U1と長尺Gd燃料棒Gには、上端部で1/24の長さの領域に、上部天然ウランブランケット12bを形成している。
【0098】さらに、長尺燃料棒U9については、燃料棒上端より13/24の長さの領域を劣化ウランとした低反応度領域12cを設けると共に、低反応度領域12cの直下より下部天然ウランブランケット12a直上の領域を、通常の濃縮ウラン領域として、長尺燃料棒U9の上部領域の反応度を低くした、上部低反応度燃料棒U9としている。
【0099】前記燃料集合体25における集合体平均の核分裂性物質の濃縮度は、高燃焼度を達成するために、通常燃料より高い4.2%の高濃縮度としている。また、燃料集合体25における上記上部低反応度燃料棒U9の本数は1本とし、燃料集合体最外周のうち、十字型制御棒を挿入しないコーナ位置に配置している。
【0100】燃料集合体25の上部低濃縮度燃料棒U9の低反応度領域12cは、劣化ウランとしており、劣化ウランの反応度は天然ウランより低いため、当該領域を天然ウランとした場合よりさらに効果的に、炉停止余裕を改善できる。
【0101】なお、燃料集合体25は、高燃焼度を達成するために設計された高燃焼度燃料集合体の一例であり、従って、前記長尺燃料棒U1、長尺Gd燃料棒Gおよびウォータロッド4の長さと本数や形状および配置位置と、短尺燃料棒U3や天然ウランブランケット部12a、12bの有無や長さは設計によって異なる。
【0102】また、本第7実施の形態は、燃料棒配列が9行9列で短尺燃料棒U3があり、天然ウランブランケット部12a、12bを設置した燃料に適用した例であるが、上記の特性は、これに限定されるものではなく、燃料棒配列が8行8列や10行10列などの他の設計においても、上部低反応度燃料棒U9を配置すれば同様の効果が得られる。
【0103】
【発明の効果】以上説明したように、本発明は、複数の燃料棒を正方格子状に束ねて構成する沸騰水型原子炉用の燃料集合体において、軸方向上部に燃料有効長の4/24以上13/24以下の長さの低反応度領域を設けると共に、その直下の領域を前記低反応度領域より多くの核分裂性物質を含む高反応度領域として燃料棒上部領域の反応度を低くした上部低反応度燃料棒を有するようにしたので、高燃焼度を達成すると共に、燃料棒上部の反応度を低くした上部低反応度燃料棒により、燃料経済性を損なうことなく冷温時炉停止余裕を改善する。また、上部低反応度燃料棒を配置することにより過剰な炉停止余裕が得られた場合には、炉停止余裕を満足できる範囲で可燃性毒物の含有量を少なくすることができることから、可燃性毒物残存によるサイクル末期での反応度損失を無くすることができ、燃料経済性が向上することができる。
【出願人】 【識別番号】000229461
【氏名又は名称】株式会社グローバル・ニュークリア・フュエル・ジャパン
【出願日】 平成13年5月29日(2001.5.29)
【代理人】 【識別番号】100075812
【弁理士】
【氏名又は名称】吉武 賢次 (外6名)
【公開番号】 特開2002−350579(P2002−350579A)
【公開日】 平成14年12月4日(2002.12.4)
【出願番号】 特願2001−160190(P2001−160190)