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【発明の名称】 ジェットポンプ間隔測定装置
【発明者】 【氏名】松井 芳郎

【要約】 【課題】放射線量の高い原子炉内保全工事の場合でも、作業員の放射線被曝量を低減させ、間隔寸法測定を精度よく行えるようにする。

【解決手段】原子炉圧力容器1の内壁に沿って配置されたジェットポンプライザ管2と、原子炉圧力容器の内壁に設けたジェットポンプパッド3との間隔を測定するジェットポンプ間隔測定装置において、ライザ管に取り付けられた受け台5に固定されて、ジェットポンプパッドに対向してそのジェットポンプパッドとの間隔を測定する距離センサを具備する測定装置本体4と、測定装置本体を制御する制御手段11と、測定装置本体から得られた測定結果を出力する出力手段11と、を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 原子炉圧力容器の内壁に沿って配置されたジェットポンプライザ管と、前記原子炉圧力容器の内壁に設けたジェットポンプパッドとの間隔を測定するジェットポンプ間隔測定装置において、前記ジェットポンプライザ管に取り付けられた受け台に固定されて、前記ジェットポンプパッドに対向してそのジェットポンプパッドとの間隔を測定する距離センサを具備する測定装置本体と、前記測定装置本体を制御する制御手段と、前記測定装置本体から得られた測定結果を出力する出力手段と、を有することを特徴とするジェットポンプ間隔測定装置。
【請求項2】 請求項1に記載のジェットポンプ間隔測定装置において、前記測定装置本体は、前記ジェットポンプパッドに対向して接触可能な接触子と、この接触子を前記ジェットポンプパッドに向けてまたはこれと反対向きに直線的に駆動するエアシリンダと、前記接触子の直線的動きを測定するリニアゲージとを具備し、前記制御手段は、前記エアシリンダの動きを制御するものであり、前記出力手段は、前記リニアゲージの出力を出力するものであること、を特徴とするジェットポンプ間隔測定装置。
【請求項3】 請求項1または2に記載のジェットポンプ間隔測定装置において、前記出力手段は、放射線量の低い位置に配置された表示部を有し、前記接触子が前記ジェットポンプパッドに接触したときに前記リニアゲージの出力を前記表示部に表示するものであること、を特徴とするジェットポンプ間隔測定装置。
【請求項4】 請求項1、2または3に記載のジェットポンプ間隔測定装置において、前記距離センサは、電気抵抗式リニアゲージを具備し、放射線照射に強い材料からなること、を特徴とするジェットポンプ間隔測定装置。
【請求項5】 請求項1ないし4のいずれかに記載のジェットポンプ間隔測定装置において、前記距離センサは前記ジェットポンプパッドに接触可能な接触子を有し、この接触子は交換可能なアダプタを具備していること、を特徴とするジェットポンプ間隔測定装置。
【請求項6】 請求項1に記載のジェットポンプ間隔測定装置において、前記測定装置本体は非接触式のレーザ式距離形を具備すること、を特徴とするジェットポンプ間隔測定装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は原子炉圧力容器内部構造物据付工事(保全を含む)のうちジェットポンプ据付工事において、ジェットポンプライザ管とジェットポンプパッドとの間隔を遠隔で測定する間隔測定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】沸騰水型原子炉の圧力容器内部構造物据付工事のうちのジェットポンプ据付工事において、新設のジェットポンプライザ管(ライザ管と略す)を原子炉圧力容器に固定するために、原子炉圧力容器内壁にあるジェットポンプパッドとライザ管とをジェットポンプライザ・ブレースでつないで溶接固定しなければならない。ここで、新設のライザ管のジェットポンプパッドとの間隔はそれぞれの位置のライザ管でまちまちなので、当該ライザ管毎にジェットポンプパッドとの間隔を実測し、その測定値をもとにジェットポンプライザ・ブレースのアーム部の長さを追加工する必要がある。
【0003】したがって、ライザ管とジェットポンプパッドとの間隔寸法測定が重要であり、測定を誤ると、ジェットポンプパッドとジェットポンプライザ・ブレースとライザ管の位置関係が不良となり互いの溶接施工ができない状態となってしまう。
【0004】従来、ライザ管とジェットポンプパッドとの間隔寸法を測定するためには、作業者が機械的計測器具を使って測定していた。図4は従来の機械的計測器具の構成図で、図2はジェットポンプライザ・ブレースが原子炉圧力容器内でライザ管とジェットポンプパッドを溶接固定している完成状態の構造図である。
【0005】図4において、機械的計測器具18は、図2におけるジェットポンプライザ・ブレース12の形状を模擬しており、ジェットポンプライザ・ブレース12のアーム13に該当する部分、すなわち図4における自在板19の4枚を自在に動かすことができる構造となっている。
【0006】図4において、機械的計測器具18を、測定のために、ライザ管2に取り付けてある受け台5の上に設置する。ライザ管2と機械的計測器具18の凹部は隙間なく接触していなければならない。次に機械的計測器具18に備わっている4本のスライド棒20に沿って自在板19を作業者の手で伸ばしてゆき、ジェットポンプパッド3に4枚ともすき間なく接触させる。その状態で4枚の自在板19を付属ボルトを締めて固定する。
【0007】その後、この機械的計測器具18をライザ管2から取り外して、機械的計測器具18の凹部中央を基準として4枚の自在板19の両先端までの距離をスケール、ノギス等で測定することにより、ライザ管2とジェットポンプパッド3との間隔寸法がわかり、ジェットポンプライザ・ブレース12のアーム13の長さ寸法を加工するデータとなる。このようにしてジェットポンプライザ・ブレース12のアーム13の長さ決め加工を行っていた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の技術の場合、放射線被曝のない原子力プラント建設工事では、機械的計測器具を受け台から取り外して、さらに機械的計測器具の必要部分を寸法測定しなければならないという課題があった。
【0009】また、放射線被曝のある原子炉内保全工事の場合は、ジェットポンプパッド付近で0.3S/h程度(炉内化学除染後)と放射線量が著しく大きく、作業員の手作業による測定では放射線被曝が過大になってしまい適用できないという課題があった。
【0010】そこで、本発明は放射線量の高い原子炉内保全工事の場合でも、作業員の放射線被曝量を低減させ、間隔寸法測定を精度よく行える間隔測定装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成するものであって、請求項1の発明は、原子炉圧力容器の内壁に沿って配置されたジェットポンプライザ管と、前記原子炉圧力容器の内壁に設けたジェットポンプパッドとの間隔を測定するジェットポンプ間隔測定装置において、前記ライザ管に取り付けられた受け台に固定されて、前記ジェットポンプパッドに対向してそのジェットポンプパッドとの間隔を測定する距離センサを具備する測定装置本体と、前記測定装置本体を制御する制御手段と、前記測定装置本体から得られた測定結果を出力する出力手段と、を有することを特徴とする。請求項1の発明によれば、ライザ管とジェットポンプパッドとの間隔を遠隔で短時間で測定でき、作業者の放射線被曝低減が可能になる。
【0012】また、請求項2の発明は、請求項1に記載のジェットポンプ間隔測定装置において、前記測定装置本体は、前記ジェットポンプパッドに対向して接触可能な接触子と、この接触子を前記ジェットポンプパッドに向けてまたはこれと反対向きに直線的に駆動するエアシリンダと、前記接触子の直線的動きを測定するリニアゲージとを具備し、前記制御手段は、前記エアシリンダの動きを制御するものであり、前記出力手段は、前記リニアゲージの出力を出力するものであること、を特徴とする。
【0013】請求項2の発明によれば、請求項1の発明による作用・効果を得られるほかに、エアシリンダとリニアゲージの組合せにより、測定装置本体を的確に操作して迅速な測定を実施できる。
【0014】また、請求項3の発明は、請求項1または2に記載のジェットポンプ間隔測定装置において、前記出力手段は、放射線量の低い位置に配置された表示部を有し、前記接触子が前記ジェットポンプパッドに接触したときに前記リニアゲージの出力を前記表示部に表示するものであること、を特徴とする。
【0015】請求項3の発明によれば、請求項1または2の発明による作用・効果を得られるほかに、さらに確実でかつ迅速な測定を行うことができ、また、作業者は放射線量の低い場所にいて表示部を監視することができる。
【0016】また、請求項4の発明は、請求項1、2または3に記載のジェットポンプ間隔測定装置において、前記距離センサは、電気抵抗式リニアゲージを具備し、放射線照射に強い材料からなること、を特徴とする。
【0017】請求項4の発明によれば、請求項1、2または3の発明による作用・効果を得られるほかに、放射線レベルの高い測定現場でも、確実に測定を行うことができる。
【0018】また、請求項5の発明は、請求項1ないし4のいずれかに記載のジェットポンプ間隔測定装置において、前記距離センサは前記ジェットポンプパッドに接触可能な接触子を有し、この接触子は交換可能なアダプタを具備していること、を特徴とする。
【0019】請求項5の発明によれば、請求項1ないし4のいずれかの発明による作用・効果を得られるほかに、アダプタを交換することにより、ジェットポンプパッドとの接触部の放射線汚染や損傷等に対して簡単に対処することができる。
【0020】また、請求項6の発明は、請求項1に記載のジェットポンプ間隔測定装置において、前記測定装置本体は非接触式のレーザ式距離形を具備すること、を特徴とする。
【0021】請求項6の発明によれば、請求項1の発明による作用・効果を得られるほかに、エアシリンダとリニアゲージ等の機械的駆動部をなくすことができ、また、ジェットポンプパッドとの接触部もなくすことができるので、測定作業のさらなる迅速化、保守の容易化が可能である。
【0022】
【発明の実施の形態】[第1の実施の形態](請求項1〜5対応)
図1は本発明の第1の実施の形態のジェットポンプ間隔測定装置の構成図である。原子炉圧力容器1内では図2のようにジェットポンプライザ管2がすでに原子炉圧力容器ノズル14で溶接組立されている。
【0023】図1において、原子炉圧力容器1の内壁に設置されているジェットポンプパッド3とライザ管2の間隔を測定するため、ジェットポンプ間隔測定装置本体4が受け台5の上に設置されている。ここで、受け台5に固定した押え治具6によりジェットポンプ間隔測定装置本体4はジェットポンプパッド3の方向に押え付けられ、ライザ管2と接触した状態で受け台5の上に固定されている。また、受け台5は事前にライザ管2に仮固定されており、ジェットポンプパッド3と高さが合っている。
【0024】ジェットポンプ間隔測定装置本体4のジェットポンプパッド3側先端にはリニアゲージ7がライザ管2の左右両側に4個ずつ合計8個設置され、それらを駆動させるエアシリンダ8が複数個設置されている。リニアゲージ7の先端には取り外し交換可能なアダプタ9が取り付いていて、ジェットポンプパッド3に接触する。
【0025】ジェットポンプ間隔測定装置本体4は放射線量の高い場所に置かれる(特に、保全工事の場合)ので、放射線照射に強い部品を採用する。エアシリンダ8はジェットポンプ間隔測定装置本体4からエアホース・ケーブル10を介して放射線量の低い場所に置かれている制御・表示器11につながれている。また、リニアゲージ7はエアホース・ケーブル10を介して制御・表示器11に電気的につながっている。
【0026】受け台5の上のジェットポンプ間隔測定装置本体4が押え治具6により十分ジェットポンプパッド3の方向に押え付けられ、ライザ管2とジェットポンプ間隔測定装置本体4がすき間なく接触していることを目視で確認する。
【0027】制御・表示器11に付属しているレバーを操作することにより、エアホース・ケーブル10を介してジェットポンプ間隔測定装置本体4の先端にある複数個のエアシリンダ8にエア圧力が供給され、リニアゲージ7がジェットポンプパッド3の方向にスライドしジェットポンプパッド3とアダプタ9が接触した後、エアシリンダ8のストローク一杯の位置またはストッパで制限された位置で停止する。
【0028】その状態でのリニアゲージ7の8種類の測定データは電気的出力としてエアホース・ケーブル10を介して制御・表示器11に伝わり、測定値として表示される。測定後は制御・表示器11のレバーを戻してエアシリンダ8へのエア圧力の供給を停止させて、リニアゲージ7が元の位置まで戻る。
【0029】また、ジェットポンプパッド3と接触するリニアゲージ7の先端の接触子は、交換式アダプタ9になっていて、ネジで固定されているが、容易に取り外しができ交換可能である。上記の方法で測定したライザ管2とジェットポンプパッド3の8箇所の位置ごとの間隔寸法をもとにして、図2のようにライザ管2とジェットポンプパッド3をジェットポンプライザ・ブレース12で溶接固定できるよう、ジェットポンプライザ・ブレース12のアーム13の長さを寸法調整加工する。そして、ジェットポンプ間隔測定装置本体4と同じ形状をしているので、図1における受け台5の上に設置し押え治具6で固定してそのまま溶接施工を行う。
【0030】本実施の形態によれば、間隔測定装置を設置したあとは遠隔で瞬時の測定ができ、また、低放射線量雰囲気の場所からの遠隔測定により、測定時の放射線被曝を十分に低減できる。また、溶接施工の前のジェットポンプライザ・ブレースの位置決めが容易となり、さらに放射能汚染に対応した装置となっている。
【0031】[第2の実施の形態](請求項6等対応)
図3は本発明の第2の実施の形態のジェットポンプ間隔測定装置の構成図である。前述の第1の実施の形態と同様にジェットポンプ間隔測定装置本体4を設置するが、その先端にはレーザ式距離計15が8箇所取り付けられており、それらはケーブル16を介して放射線量の低い場所に置かれている表示器17に電気的につながれている。
【0032】受け台5の上のジェットポンプ間隔測定装置本体4が押え治具6により十分ジェットポンプパッド3の方向に押え付けられ、ライザ管2とジェットポンプ間隔測定装置本体4がすき間なく接触していることを目視で確認する。
【0033】その状態で表示器17を動作させることにより、高放射能汚染しているジェットポンプパッド3に対し非接触の状態で、レーザ式距離計15の8種類の測定データは電気的出力としてケーブル16を介して表示器17に伝わり測定値として表示される。他の作用は前述の第1の実施の形態と同様である。
【0034】本実施の形態によれば、間隔測定装置を設置したあとは遠隔で瞬時の測定ができ、また、低放射線量雰囲気の場所からの遠隔測定により、測定時の放射線被曝を十分に低減できる。また、溶接施工の前のジェットポンプライザ・ブレースの位置決めが容易となり、さらに放射能汚染に対応した装置となっている。
【0035】
【発明の効果】本発明によれば、ライザ管とジェットポンプパッドとの間隔を遠隔で短時間で測定でき、作業者の放射線被曝低減が可能になる。また、ジェットポンプライザ・ブレースと同形状の間隔測定装置を使用すれば、溶接施工前のジェットポンプライザ・ブレースの位置決め作業が容易になり、据付工程の短縮に寄与できる。
【出願人】 【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
【出願日】 平成13年5月14日(2001.5.14)
【代理人】 【識別番号】100087332
【弁理士】
【氏名又は名称】猪股 祥晃 (外2名)
【公開番号】 特開2002−341084(P2002−341084A)
【公開日】 平成14年11月27日(2002.11.27)
【出願番号】 特願2001−143366(P2001−143366)