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【発明の名称】 中性子計装案内管の支持機構
【発明者】 【氏名】萩原 剛

【要約】 【課題】中性子計装案内管の流動振動を防止する。

【解決手段】原子炉圧力容器1内で多数本の中性子計装案内管2を上下段インコアスタビライザ3,5により支持するにあたり、炉心シュラウド4の内面に上段インコアスタビライザ3を結合し、下段インコアスタビライザ5の端部を最外周に配置される中性子計装案内管2に結合する。上段インコアスタビライザ3と下段インコアスタビライザ5との間にタイバー8を設けて連結する。下段インコアスタビライザ5の端部がシュラウドサポート6と離れており、両者は接触してないので、シュラウドサポート6からの中性子計装案内管2へ伝わる流動振動を防止できる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 原子炉圧力容器内に配置される多数本の中性子計装案内管を、上段インコアスタビライザおよび下段インコアスタビライザで支持する中性子計装案内管の支持機構において、前記上段インコアスタビライザの端部を前記原子炉圧力容器内に設置されている炉心シュラウドに結合し、前記下段インコアスタビライザの端部を前記多数本の中性子計装案内管のうち、最外周に位置する中性子計装案内管に結合し、かつ前記上段インコアスタビライザと前記下段インコアスタビライザとをタイバーにより連結してなることを特徴とする中性子計装案内管の支持機構。
【請求項2】 原子炉圧力容器内に配置される多数本の中性子計装案内管を、上段インコアスタビライザおよび下段インコアスタビライザで支持する中性子計装案内管の支持機構において、前記上段インコアスタビライザの端部を前記原子炉圧力容器内に設置されている炉心シュラウドの下端部に結合し、前記下段インコアスタビライザの端部を前記多数本の中性子計装案内管のうち最外周より内側に位置する中性子計装案内管に結合し、かつ前記上段インコアスタビライザと前記下段インコアスタビライザとをタイバーにより連結してなることを特徴とする中性子計装案内管の支持機構。
【請求項3】 前記タイバーの代りに、クロスビームを設けてなることを特徴とする請求項1または2記載の中性子計装案内管の支持機構。
【請求項4】 原子炉圧力容器内に配置される多数本の中性子計装案内管をインコアスタビライザで支持し、前記インコアスタビライザの端部を前記原子炉圧力容器内に設置されている炉心シュラウドの下端部に結合し、前記インコアスタビライザから下方で前記原子炉圧力容器の下鏡部近傍に位置する中性子計装案内管間にクロスビームを設けてなることを特徴とする中性子計装案内管の支持機構。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、沸騰水型原子炉において原子炉圧力容器内に設置される中性子計装案内管の支持機構に関する。
【0002】
【従来の技術】図6(a)は従来の沸騰水型原子炉において原子炉圧力容器1内に分散配置されている多数本の中性子計装案内管2,2a,2bを支持するための結合部材としての上段インコアスタビライザ3と下段インコアスタビライザ5の配置関係を概略的縦断面で示している。図6(b)は図6(a)のA−A矢視断面図、図6(c)は図6(a)のB−B矢視断面図である。
【0003】図6(a),(b),(c)において原子炉圧力容器1内に分散配置されている多数本の中性子計装案内管2,2a,2bは上段インコアスタビライザ3と下段インコアスタビライザ5により支持固定され、上段インコアスタビライザ3の端部は炉心シュラウド4に結合し、下段インコアスタビライザ5はシュラウドサポート6に結合している。
【0004】原子炉圧力容器1の下端開口部には下鏡部7が取り付けられ、下鏡部7にシュラウドサポート6が取り付けられ固定している。中性子計装案内管2の下端部は下鏡部7を開口し、中性子検出器が容易に挿入および引き抜きできるようになっている。
【0005】上段インコアスタビライザ3と下段インコアスタビライザ5は、炉心下部プレナム内において、炉心シュラウド4内で格子状に分散配置する多数本の中性子計装案内管2,2a,2b群を一体的に結合するものである。これにより、中性子計装案内管2,2a,2b群全体の固有振動数を高めるとともに、中性子計装案内管2,2a,2bの剛性を高めて冷却材の流動振動による中性子計装案内管2,2a,2bの振動を小さくしている。
【0006】すなわち、図6(a)〜(c)に示したように上下2段のインコアスタビライザ3,5により中性子計装案内管2,2a,2の水平方向を拘束して中性子計装案内管2,2a,2が流動振動および地震動により振動することを防止し、中性子計装案内管2,2a,2同士を水平方向に接続する中性子計装案内管の支持機構としている。
【0007】大出力型の沸騰水型原子炉においては、中性子計装案内管2,2a,2bの全長が長くなっている。そのため、前述した図6(a),(b),(c)に示したとほぼ同じようにインコアスタビライザを上段インコアスタビライザ3と下段インコアスタビライザ5の二段に分けて設けている。また、インコアスタビライザの剛性を高めるために上段インコアスタビライザ3の端部を炉心シュラウド4の内面に結合し、下段インコアスタビライザ5の端部をシュラウドサポート6の内面に結合している。
【0008】また、炉心シュラウド4の構成部材にステンレス鋼を使用し、シュラウドサポート6の構成部材に応力腐食割れ防止の目的でインコネル合金を使用している。また、上段インコアスタビライザ3と下段インコアスタビライザ5との熱膨張差により発生する応力を避けるため、上段インコアスタビライザ3の構成部材にステンレス鋼を使用し、下段インコアスタビライザ5の構成部材にインコネル合金を使用している。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、下段インコアスタビライザ5をシュラウドサポート6に直結しているため、シュラウドサポート6に生じる流動振動が下段インコアスタビライザ5を介して伝わり中性子計装案内管6が振動する課題がある。
【0010】また、下段インコアスタビライザ5の構成部材に高価なインコネル合金が使用されているので、中性子計装案内管の支持機構全体がコストアップにつながる課題がある。
【0011】本発明は上記課題を解決するためになされたもので、シュラウドサポートから中性子計装案内管に伝わる流動振動を防止し、また、コストダウンできる中性子計装案内管の支持機構を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る発明は、原子炉圧力容器内に配置される多数本の中性子計装案内管を、上段インコアスタビライザおよび下段インコアスタビライザで支持する中性子計装案内管の支持機構において、前記上段インコアスタビライザの端部を前記原子炉圧力容器内に設置されている炉心シュラウドに結合し、前記下段インコアスタビライザの端部を前記多数本の中性子計装案内管のうち、最外周に位置する中性子計装案内管に結合し、かつ前記上段インコアスタビライザと前記下段インコアスタビライザとをタイバーにより連結してなることを特徴とする。
【0013】この発明によれば、下段インコアスタビライザはシュラウドサポートと離れて接触していないので、シュラウドサポートを通して伝わる中性子計装案内管への流動振動を防止することができる。また、タイバーにより下段インコアスタビライザの水平方向の剛性を増加させることができる。さらに、下段インコアスタビライザの構成部材を高価なインコネル合金から安価なステンレス鋼に代えることによりコストダウンできる。
【0014】請求項2に係る発明は、原子炉圧力容器内に配置される多数本の中性子計装案内管を、上段インコアスタビライザおよび下段インコアスタビライザで支持する中性子計装案内管の支持機構において、前記上段インコアスタビライザの端部を前記原子炉圧力容器内に設置されている炉心シュラウドの下端部に結合し、前記下段インコアスタビライザの端部を前記多数本の中性子計装案内管のうち最外周より内側に位置する中性子計装案内管に結合し、かつ前記上段インコアスタビライザと前記下段インコアスタビライザとをタイバーにより連結してなることを特徴とする。
【0015】この発明によれば、上段インコアスタビライザの高さを炉心シュラウドの下端部まで下げることにより、中性子計装案内管の下鏡部と上段インコアスタビライザとの間のスパンを短くして剛性を大きくできる。また、内周部位の中性子計装案内管に、下段インコアスタビライザを結合することで内周部の中性子計装案内管の剛性も大きくできる。
【0016】さらに、下段インコアスタビライザを上段インコアスタビライザにクロスビームにより垂直方向に結合することにより、水平方向の剛性も大きくなり、下段インコアスタビライザをシュラウドサポートから分離してシュラウドサポートから中性子計装案内管への振動を防止できる。
【0017】下段インコアスタビライザは上段インコアスタビライザより小型になるため材料費および加工費を低減することができる。下段インコアスタビライザを高価なインコネル合金から安価なステンレス鋼に代えることができる。
【0018】請求項3に係る発明は、前記タイバーの代りに、クロスビームを設けてなることを特徴とする。この発明によれば、上下段インコアスタビライザを垂直方向に拘束するタイバーを、垂直方向と水平方向の両方向に拘束するクロスビームに代えることにより、下段インコアスタビライザの水平方向の剛性を請求項1または2に係る発明よりもさらに大きくすることができる。
【0019】請求項4に係る発明は、原子炉圧力容器内に配置される多数本の中性子計装案内管をインコアスタビライザで支持し、前記インコアスタビライザの端部を前記原子炉圧力容器内に設置されている炉心シュラウドの下端部に結合し、前記インコアスタビライザから下方で前記原子炉圧力容器の下鏡部近傍に位置する中性子計装案内管間にクロスビームを設けてなることを特徴とする。
【0020】この発明によれば、上段インコアスタビライザの高さを炉心シュラウドの下端部近傍まで下げることにより、下鏡部と上段インコアスタビライザの間のスパンが短くなり中性子計装案内管の剛性を大きくできる。また、多数配置される中性子計装案内管のうち、外周部に配置される中性子計装案内管に比較して、前記スパンが長く剛性が小さい内周部の中性子計装案内管に対して垂直方向と水平方向を拘束するクロスビームによって支持することで、内周部位の中性子計装案内管の剛性を大きくすることができる。
【0021】さらに、下段インコアスタビライザの代りに設けたクロスビームは剛性がさらに大きな下鏡部に近い高さで中性子計装案内管同士を結合するため、水平方向の剛性をさらに大きくできる。下段インコアスタビライザを設ける必要がなく、構造が簡素化されコストダウンができる。
【0022】
【発明の実施の形態】図1により本発明に係る中性子計装案内管の支持機構の第1の実施の形態を説明する。なお、図1中、図6と同一部分には同一符号を付して重複する部分の説明は省略する。
【0023】本実施の形態では、多数本の中性子計装案内管2,2a,2bの水平方向を拘束する水平支持部材としての上段インコアスタビライザ3の端部をシュラウド4の内面に結合し、下段インコアスタビライザ5aの端部を、シュラウドサポート6に結合することなく、多数本の中性子計装案内管2,2a,2bのうち、最外周の中性子計装案内管2に結合する。
【0024】また、上段インコアスタビライザ3と下段インコアスタビライザ5aとの間に垂直方向に拘束するタイバー8を設けて両者を連結する。なお、下段インコアスタビライザ5aは従来の下段インコアスタビライザ5より長さが短いので、その両端部はシュラウドサポート6と離れており、接触していない。
【0025】本実施の形態によれば、シュラウドサポート6からの流動振動が中性子計装案内管2,2a,2bに伝わることがないので、中性子計装案内管2,2a,2bの流動振動を防止することができる。また、シュラウド4に結合して水平方向の剛性が大きい上段スタビライザ3と下段インコアスタビライザ5aとをタイバー8により連結することによって垂直方向が拘束され、下段インコアスタビライザ5aの水平方向の剛性を増加させることができる。さらに、下段インコアスタビライザ5aを高価なインコネル合金から安価なステンレス鋼に代替することができるので、材料費を低減でき、コストダウンを図ることができる。
【0026】なお、本実施の形態では上段インコアスタビライザ3と下段インコアスタビライザ5aとをタイバー8により連結した例で説明したが、タイバー8の代りに垂直方向と水平方向に拘束するクロスビームを設けることができる。このクロスビームにより下段インコアスタビライザ5aの水平方向の剛性をさらに増加させることができる。
【0027】つぎに図2により本発明に係る中性子計装案内管の支持機構の第2の実施の形態を説明する。図2中、図1と同一部分は同一符号を付して重複する部分の説明は省略する。
【0028】本実施の形態が第1の実施の形態と異なる点は下段インコアスタビライザ5bを短尺として多数本の中性子計装案内管2,2a,2bのうち最外周より内周の中性子計装案内管2a側に結合したこと、および上段インコアスタビライザ3の端部をシュラウド4の下端部に結合したことにある。
【0029】下段インコアスタビライザ5bは内周部の中性子計装案内管2aのみを拘束し、上下段インコアスタビライザ3,5bは垂直方向に複数のタイバー8により拘束されている。また、下段インコアスタビライザ5bの両端はシュラウドサポートと離れており、分離している。
【0030】本実施の形態によれば、上段インコアスタビライザ3の炉心シュラウド4への結合位置を第1の実施の形態よりも下げることにより下鏡部7と上段インコアスタビライザ3の間のスパンを短くして中性子計装案内管2,2a,2bの剛性を大きくできる。また、外周部に比較してこのスパンが長く剛性が小さい内周部の中性子計装案内管2aに対してのみ下段インコアスタビライザ5bを構成することで内周部の中性子計装案内管2aの剛性も大きくできる。
【0031】これにより、下段インコアスタビライザ5bは上段インコアスタビライザ3に比較して小型になり、材料費と加工費を低減することができる。その他の作用効果は第1の実施の形態と同様である。
【0032】つぎに図3により本発明に係る中性子計装案内管の支持機構の第3の実施の形態を説明する。本実施の形態では、第2の実施の形態におけるタイバー8をクロスビーム9に置き換えたことにあり、その他の部分は第2の実施の形態と同様なので、重複する部分の説明は省略する。クロスビーム9は一対の骨材を交差させて組み合せ一体化したものである。
【0033】本実施の形態によれば、タイバー8を設けた第2の実施の形態に比較して、クロスビーム9を設けることで、垂直方向のみを拘束するにとどまらず、下段インコアスタビライザ5bの水平方向の剛性を増加させることができる。その他の作用効果は第2の実施の形態と同様である。
【0034】つぎに図4により本発明に係る中性子計装案内管の支持機構の第4の実施の形態を説明する。本実施の形態は、第3の実施の形態において、中央部に設けたクロスビーム9から両側の位置に複数のクロスビーム9を設けたことにある。その他の部分は第3の実施の形態と同様である。すなわち、内周の中性子計装案内管2aと最内周の中性子計装案内管2bとの間にそれぞれクロスビーム9を設け、クロスビームにより上段インコアスタビライザ3と下段インコアスタビライザ5bを連結する。
【0035】本実施の形態によれば、水平方向にも拘束するクロスビーム9を複数設けることで、第3の実施の形態に比較して、下段インコアスタビライザ5の水平方向の剛性を増加させることができる。その他の作用効果は第3の実施の形態と同様である。
【0036】つぎに図5により本発明に係る中性子計装案内管の支持機構の第5の実施の形態を説明する。本実施の形態は第2から第4の実施の形態における下段インコアスタビライザ5bを設けることなく、複数のクロスビーム9を下鏡部7に直接設け、この複数のクロスビーム9の上端部と多数の中性計装案内管2,2a,2bのうち内周の中性子計装案内管2a,2bとを結合したことにある。なお、クロスビーム9の下端部は下鏡部7の内面に接続し固定している。
【0037】本実施の形態では、第2から第4の実施の形態と同様に上段インコアスタビライザ3を炉心シュラウド4の下端部に結合してその高さを従来例よりも下げることにより下鏡部7と上段スタビライザ3の間のスパンを短くして中性子計装案内管2,2a,2bの剛性を大きくしている。また、外周部の中性子計装案内管2に比較してスパンが長く剛性が小さい内周部の中性子計装案内管2a,2bに対してのみクロスビーム9により支持している。
【0038】本実施の形態によれば、内周部の中性子計装案内管2a,2bの剛性を大きくすることができる。また、シュラウドサポート6からの流動振動が中性子計装案内管に伝達されることはない。さらに、下段インコアスタビライザを設ける必要がなく簡素化されるとともに、材料費と加工費が低減し、コストダウンできる。
【0039】
【発明の効果】本発明によれば、シュラウドサポートから中性子計装案内管へ伝わる流動振動を防止できる。
【出願人】 【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
【出願日】 平成13年5月17日(2001.5.17)
【代理人】 【識別番号】100087332
【弁理士】
【氏名又は名称】猪股 祥晃 (外2名)
【公開番号】 特開2002−341082(P2002−341082A)
【公開日】 平成14年11月27日(2002.11.27)
【出願番号】 特願2001−147619(P2001−147619)