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【発明の名称】 H形ベリリウム枠部材の製造方法
【発明者】 【氏名】坂本 直樹

【要約】 【課題】平面加工や孔開け加工時に欠けが発生することなしに、H形ベリリウム枠部材を所定形状に安定して成形する。

【解決手段】ベリリウムのホットプレスブロックから素材取りを行ったのち、この素材に対し、粗加工、中仕上げ1次加工、中仕上げ2次加工および最終仕上げ加工からなる4段階の加工を施す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ベリリウムのホットプレスブロックから素材取りを行ったのち、この素材に対し、粗加工、中仕上げ1次加工、中仕上げ2次加工および最終仕上げ加工からなる4段階の加工を施して、所定の形状に仕上げることを特徴とするH形ベリリウム枠部材の製造方法。
【請求項2】 請求項1において、ホットプレスブロックからプレス方向と同一方向で素材取りを行うことを特徴とするH形ベリリウム枠部材の製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、材料試験炉に用いられるH形ベリリウム枠の各種部材の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ベリリウムは、中性子吸収断面積が小さく、しかも中性子の反射能が大きいために、高い中性子密度を必要とする材料試験炉の中性子反射体として最適な材料といわれている。このため、従来から、材料試験炉の炉内に設置される燃料要素や反射体要素等を固定するための枠であるH形枠の素材としても使用されている。
【0003】ところで、このH形ベリリウム枠は、その使用期間が長期に及ぶと次第に曲がり大きくなってくる。この曲がり現象は、燃料領域側と反射体領域側における高速中性子照射量に差があるため、中性子照射によって発生するヘリウム量に差が生じ、これに起因した体積膨張(スエリング)差によって生じるものである。
【0004】このため、ベリリウム枠照射孔内に装荷されたキャプセルの冷却条件が悪化したり、炉心内の各要素のハンドリングに支障をきたすことになる。従って、現在では、出力量で約 30000 MWd毎に定期的に交換することになっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、かようなH形ベリリウム枠を製造しようとする場合、素材であるベリリウムは延性の足りない、いわゆる脆性材料であることから、設計及び製作の面で多くの問題を抱えている。中でも、ベリリウムは、衝撃に弱く、平面加工や孔開け加工時に欠けが発生し易いことから、平面粗度を良好にして切り欠き鋭敏性に対処しなければならないという大きな問題があった。
【0006】本発明は、上記の問題を有利に克服し、入念な製作技術によって所定形状への成形を容易ならしめたH形ベリリウム枠部材の有利な製造方法を提案することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、ベリリウムのホットプレスブロックから素材取りを行ったのち、この素材に対し、粗加工、中仕上げ1次加工、中仕上げ2次加工および最終仕上げ加工からなる4段階の加工を施して、所定の形状に仕上げることを特徴とするH形ベリリウム枠部材の製造方法である。
【0008】本発明において、ホットプレスブロックからの素材取りに際しては、プレス方向と同一方向で素材取りを行うことが望ましい。
【0009】なお、本発明におけるH形枠の部材とは、図1に示す受台1、H形の両側(東枠、西枠ともいう)2,3とそれら両者間に差し渡した中間材(北枠ともいう)4および東枠2、西枠3と北枠4とを接合するジョイント5を意味する。なお、東枠2、西枠3および北枠4はいずれも、上下に多分割された構造になっている。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明を具体的に説明する。本発明では、H形ベリリウム枠部材用の素材として、ホットプレスにより製造したベリリウムブロックを使用する。というのは、このホットプレスブロックは、ヘリウムバブル形成を誘起し易い酸化物(B2O)や鉄不純物(BeFe化合物)が少ないので、スエリングが少なく、また放射化した場合に非常に長い半減期を有する不純物(CoやSc等)の含有も少ないからである。なお、ホットプレスブロックからの素材取りに際しては、ホットプレス材の機械的特性に異方性が有ることを考慮し、プレス方向と同一方向で素材取りを行い、使用時に受ける負荷に備える配慮をしておくことが好ましい。
【0011】次に、製作上での改善として、加工時に欠けが生じないように、切削加工を幾つかのプロセスに細分化し、各プロセスで最適の切削方法を採用することとした。というのは、ベリリウムは、切削加工を施した場合、その結晶粒が大きいことから、表面粗さが十分小さな仕上げ加工をすることが難しいからである。すなわち、切欠鋭敏性を有するベリリウムの場合、良好な表面性状を得られないと、衝撃や応力に対して非常に弱くなるからである。
【0012】そこで、ベリリウムの加工中に発生し易い欠けを生じさせないために、粗加工、中仕上げ1次加工、中仕上げ2次加工及び最終仕上げ加工という4段階のプロセスを採用することにしたのである。ここに、粗加工とは、最終形状に対して余肉を1mm程度設けた形状への加工であり、外周平面6面の平面切削加工及び孔開け加工を行う。この時の加工手段としては、フライス盤、マシニングセンタ等を用いる。次に、中仕上げ1加工として、平面間の角部及び平面/孔間の角部に大き目のC面加工を施す。その後、中仕上げ2次加工として、仕上げ加工前の寸法まで切削加工を施す。そして、最後に、最終仕上げ加工にて製品図面どおりの寸法公差に仕上げるのである。
【0013】
【発明の効果】かくして、本発明によれば、入念な製作技術により、平面加工や孔開け加工時に欠けが発生することなしに、H形ベリリウム枠部材を所定形状に安定して成形することができる。
【出願人】 【識別番号】000004064
【氏名又は名称】日本碍子株式会社
【出願日】 平成13年4月2日(2001.4.2)
【代理人】 【識別番号】100072051
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 興作 (外1名)
【公開番号】 特開2002−296387(P2002−296387A)
【公開日】 平成14年10月9日(2002.10.9)
【出願番号】 特願2001−102816(P2001−102816)