| 【発明の名称】 |
使用済み燃料収納用角パイプ、バスケットおよび使用済み燃料収納容器 |
| 【発明者】 |
【氏名】大園 勝成
【氏名】松岡 寿浩
【氏名】大亀 信二
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| 【要約】 |
【課題】使用済み燃料集合体に使用するバスケットの外径を従来よりも小さくすること。
【解決手段】バスケットを構成する角パイプ300の角部Aは階段状に成形されている。そして、この角パイプ300でバスケットを構成するときには、角パイプ300同士を千鳥状に配置して隅に設けられた段部同士を組み合わせる。すると、角パイプ300の内部および角パイプ300の側面12によって四方を囲まれた空間が、それぞれ燃料棒集合体を収納するセル400および401となる。このバスケット200は複数の角パイプ300を千鳥状に配置したため、セル400等の側面12は一枚の板で構成される。すると、板厚がこの側面12の半分である板を二枚重ねた場合と比較して剛性が高くなるため、従来と同じ剛性であれば側面12の板厚を薄くできる。したがってバスケット200の外径も従来より小さくできる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 複数の角パイプ同士を千鳥状に組み合わせ、当該角パイプ内の空間および当該角パイプの側面で囲まれた空間にそれぞれ使用済み燃料集合体を収納するものであり、前記角パイプの角部を階段状に形成し、その階段面同士を突き合わせて前記パイプ同士が組み合わされることを特徴とする使用済み燃料収納用角パイプ。 【請求項2】 前記角パイプの角部は少なくとも二段の階段状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の使用済み燃料収納用角パイプ。 【請求項3】 さらに、前記角パイプの階段面に、軸に垂直な方向のずれを防止する噛み合い部を設けたことを特徴とする請求項1または2に記載の使用済み燃料収納用角パイプ。 【請求項4】 複数の角パイプ同士を千鳥状に組み合わせ、当該角パイプ内の空間および当該角パイプの側面で囲まれた空間にそれぞれ使用済み燃料集合体を収納するものであり、当該角パイプの四つの角部は斜め隣の角パイプと組み合わせるための連結部を備えており、当該連結部は斜め隣の角パイプの連結部と互いに噛み合う構造であることを特徴とする使用済み燃料収納用角パイプ。 【請求項5】 さらに、前記角パイプの四つの角部に設けられた前記連結部のうち少なくとも隣り合う二つの連結部は、斜め隣の角パイプの連結部と噛み合う方向がそれぞれ略90度づつ異なることを特徴とする請求項4に記載の使用済み燃料収納用角パイプ。 【請求項6】 さらに、前記角パイプの側面内部に当該側面外壁側と内壁側とを隔てる空間を設けフラックストラップとしたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の使用済み燃料収納用角パイプ。 【請求項7】 さらに、前記角パイプの角部内部にも空間を設けフラックストラップとしたことを特徴とする請求項6に記載の使用済み燃料収納用角パイプ。 【請求項8】 複数の角パイプ同士を千鳥状に組み合わせ、当該角パイプ内の空間および当該角パイプの側面で囲まれた空間にそれぞれ使用済み燃料集合体を収納するものであり、前記角パイプの角部を階段状に形成し、その階段面同士を突き合わせて前記パイプ同士が組み合わされ、且つ前記角パイプの側面または階段部分のうち少なくとも一方の内部に前記階段部の形状に合わせたフラックストラップを設けたことを特徴とする使用済み燃料収納用角パイプ。 【請求項9】 さらに、前記階段部分内部に設けたフラックストラップと前記側面内部に設けたフラックストラップとの間の壁は、突き合わせ側に向かって厚くなることを特徴とする請求項7に記載の使用済み燃料収納用角パイプ。 【請求項10】 さらに、階段状に成形された前記角パイプの角部における角部分をシャープエッジに成形し、当該シャープエッジの半径が、前記角パイプの板厚の少なくとも半分以下であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一つに記載の使用済み燃料収納用角パイプ。 【請求項11】 さらに、階段状に成形された前記角パイプの角部における角部分を角部内側よりもシャープエッジに成形したことを特徴とする請求項1〜8のいずれか一つに記載の使用済み燃料収納用角パイプ。 【請求項12】 前記シャープエッジの半径が0.5mm以下であることを特徴とする請求項10または11に記載の使用済み燃料収納用角パイプ。 【請求項13】 前記シャープエッジが面取形状であり、その面取寸法が前記角パイプの板厚の少なくとも半分以下であることを特徴とする請求項10または11に記載の使用済み燃料収納用角パイプ。 【請求項14】 前記シャープエッジが面取形状であり、その面取寸法が0.5mm以下であることを特徴とする請求項10または11に記載の使用済み燃料収納用角パイプ。 【請求項15】 前記角パイプは少なくとも濃縮ボロンを添加したAl合金で構成されていることを特徴とする請求項1〜14のいずれか一つに記載の使用済み燃料収納用角パイプ。 【請求項16】 複数の角パイプ同士を千鳥状に組み合わせ、当該角パイプ内の空間および当該角パイプの側面で囲まれた空間にそれぞれ使用済み燃料集合体を収納すると共に、これらをキャスクあるいはキャニスタ等の使用済み燃料収納容器内または使用済み燃料貯蔵プール内に配置して用いることを特徴とするバスケット。 【請求項17】 上記請求項1〜15のいずれか一つに記載した角パイプ同士を千鳥状に組み合わせて、当該角パイプ内の空間および当該角パイプの側面で囲まれた空間により格子状のセルを構成し、当該セルにそれぞれ使用済み燃料集合体を収納すると共に、これらをキャスクあるいはキャニスタ等の使用済み燃料収納容器内または使用済み燃料貯蔵プール内に配置して用いることを特徴とするバスケット。 【請求項18】 複数の角パイプ同士を千鳥状に組み合わせて、当該角パイプ内の空間および当該角パイプの側面で囲まれた空間にそれぞれ使用済み燃料集合体を収納してキャスクあるいはキャニスタ等の使用済み燃料収納容器内または使用済み燃料貯蔵プール内に配置すると共に、前記角パイプを組み合わせた角パイプ集合体の最外周に存在する隣り合う角パイプ同士の間に角パイプ受けを備えたことを特徴とするバスケット。 【請求項19】 複数の角パイプ同士を千鳥状に組み合わせて、当該角パイプ内の空間および当該角パイプの側面で囲まれた空間にそれぞれ使用済み燃料集合体を収納すると共に、前記角パイプを組み合わせた角パイプ集合体の最外周に存在する角パイプと、外形を使用済み燃料収納容器の内形に合わせたスペーサブロックとを締結具によって組み付け、これらをキャスクもしくはキャニスタ等の使用済み燃料収納容器内または使用済み燃料貯蔵プール内に配置して用いることを特徴とするバスケット。 【請求項20】 複数の角パイプ同士を千鳥状に組み合わせて全体として格子状に構成したバスケットの外形に使用済み燃料収納容器本体のキャビティ内形状を合わせて前記バスケットを挿入し、前記格子内に使用済み燃料集合体を収納することを特徴とする使用済み燃料収納容器。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】この発明は、燃焼を終えた使用済み燃料集合体を収容、貯蔵するものであって、使用済み燃料集合体を格納する角パイプ、バスケットおよび使用済み燃料収納容器に関する。 【0002】 【従来の技術】核燃料サイクルの終期にあって燃焼を終え使用できなくなった核燃料集合体を、使用済み燃料集合体という。使用済み燃料集合体は、FPなど高放射能物質を含むので熱的に冷却する必要があるから、原子力発電所の冷却ピットで所定期間(3〜6ヶ月間)冷却される。その後、遮蔽容器であるキャスクに収納され、トラックまたは船舶で再処理施設に搬送、貯蔵される。使用済み燃料集合体をキャスク内に収容するにあたっては、バスケットと称する格子状断面を有する保持枠を用いる。当該使用済み燃料集合体は、当該バスケットに形成した複数の収納空間であるセルに1体ずつ挿入され、これにより、輸送中の振動などに対する適切な保持力を確保している。 【0003】このようなキャスクの従来例としては、「原子力eye」(平成10年4月1日発行:日刊工業出版プロダクション)や特開昭62−242725号公報などにて様々な種類のものが開示されている。以下にこの発明の開発にあたり、その前提となったキャスクについて説明する。なお、当該キャスクは、説明の便宜のために示すものであり、必ずしも所謂公知、公用に該当するものではない。 【0004】図23は、キャスクの一例を示す斜視図である。図24は、図23に示したキャスクの径方向断面図である。キャスク500は、筒形状の胴本体501と、胴本体501の外周に設けたレジン502と、その外筒503、底部504および蓋部505から構成されている。胴本体501および底部504は、γ線遮蔽体である炭素鋼製の鍛造品である。また、蓋部505は、ステンレス鋼製の一次蓋506および二次蓋507からなる。胴本体501と底部504は、突き合わせ溶接により結合してある。 【0005】一次蓋506および二次蓋507は、胴本体501に対してステンレス製のボルトにより固定されている。蓋部505と胴本体501との間には、アルミニウム被覆等を施した金属製の中空Oリングが介在し、内部の気密を保持している。キャスク本体512の両側には、キャスク500を吊り下げるためのトラニオン513が設けられている(一方は省略)。また、キャスク本体512の両端部には、内部に緩衝材として木材などを封入した緩衝体514が取り付けられている(一方は省略)。 【0006】胴本体501と外筒503との間には、熱伝導を行う複数の内部フィン508が設けられている。内部フィン508は、熱伝導効率を高めるためその材料には銅を用いる。レジン502は、この内部フィン508により形成される空間に流動状態で注入され、熱硬化反応等で固化形成する。バスケット509は、69本の角パイプ510を図23のような束状に集合させた構造であり、胴本体501のキャビティ511内に拘束状態で挿入してある。角パイプ510は、挿入した使用済み燃料集合体が臨界に達しないように中性子吸収材(ホウ素:B)を混合したアルミニウム合金からなる。また、それぞれの角パイプ510により形成される収容空間がセル515と呼ばれ、一つのセル515に対して1本の使用済み燃料集合体を収容することができる。なお、キャスク本体512の両側には、キャスク500を吊り下げるためのトラニオン513が設けられている(一方は省略)。また、キャスク本体512の両端部には、内部に緩衝材として木材などを組み込んだ緩衝体514が取り付けられている(一方は省略)。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】ところで、従来のキャスクやキャニスタ等の放射性物質格納容器に使用されていたバスケットは、複数の角パイプの側面同士を組み合わせて構成されていたので、落下時における強度を確保するためには、角パイプの板厚を大きくする必要がある。例えば、キャスクが水平落下した場合には、使用済み燃料集合体の荷重が角パイプの面端部に集中するため、この衝撃力に耐えるだけの厚さが必要になる。また、バスケットは挿入した使用済み燃料集合体が臨界に達することを防止する機能が必要であるため、バスケットに使用する角パイプは中性子吸収材としてホウ素(B)を混合したアルミニウム合金からなる。この臨界防止機能を持たせるためにも、バスケット用の角パイプにはある程度の肉厚を要する。このため、バスケット全体の外形寸法が大きくなり、バスケット全体の質量も大きくなるという問題があった。 【0008】また、キャスクの輸送中には落下等の事故からキャスク本体を保護するため、キャスクの両端には緩衝体514(一方は省略)が取り付けられている(図23参照)。キャスクが落下したときの衝撃は、緩衝体514がつぶれることによって緩衝される。ここで、水平落下時における衝撃を緩衝する径方向のつぶれ代は、緩衝体514の径を大きくすることで確保できるが、陸上輸送を想定すると緩衝体514の径を無闇に大きくすることはできない。このとき、キャスク本体の外径を小さくすることができれば、その分を緩衝体514のつぶれ代として使用できるため、緩衝体514の外径を小さくすることができる。 【0009】そこで、この発明は、上記に鑑みてなされたものであって、従来よりも薄い肉厚のパイプでバスケットを構成し、使用済み核燃料収納容器の径を小さく抑えることのできるバスケットを提供すること、バスケットを構成する角パイプのずれを抑えて組み立てやすいバスケットおよび使用済み燃料収納用角パイプを提供すること、角パイプの特定部分に対する応力集中を緩和して性能劣化を抑制する使用済み燃料収納用角パイプおよびバスケットを提供することのうち、少なくとも一つを達成することを目的とする。 【0010】 【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するために、請求項1に係る使用済み燃料収納用角パイプは、複数の角パイプ同士を千鳥状に組み合わせ、当該角パイプ内の空間および当該角パイプの側面で囲まれた空間にそれぞれ使用済み燃料集合体を収納するものであり、前記角パイプの角部を階段状に形成し、その階段面同士を突き合わせて前記パイプ同士が組み合わされることを特徴とする。 【0011】この角パイプは、複数の角パイプ同士を千鳥状に組み合わせてバスケットを構成するため、角パイプの側面同士を合わせて構成するバスケットと比較して角パイプ側面の肉厚を薄くできる。これは、角パイプ側面の板厚が従来の二枚分であれば、剛性は従来の略二倍になるためである。したがって、板厚が従来の二枚分と同じ大きさであれば、それだけ大きな衝撃に耐えることができる。また、角部が階段状に形成されており、その階段面同士を突き合わせて組み合わせるため、軸方向に対して垂直な方向のずれを防止できる。 【0012】なお、この使用済み燃料収納用角パイプは角部を階段状に形成してあるため、厳密には角パイプとはいえない。しかし、このパイプの軸方向に垂直な断面内形状は四角形であり、外形も全体的に見ると略四角形であるため本発明においては角パイプの概念に含めるものとする。また、「角パイプ同士を千鳥状に組み合わせて」とは、「角パイプ同士を互いに斜めに組み合わせる」ことをいい、例えば図1に示すような配列をいう。以下同様である。 【0013】なお本発明に係る角パイプは、千鳥状に組み合わせてバスケットを構成し、キャスク、キャニスタ等の放射性物質格納容器内へ配置して使用するのみならず、使用済み燃料を一定期間貯蔵する使用済み燃料貯蔵プールのラックとしても使用できる。この場合は本発明に係る角パイプをそのままラックとすることもできるが、本発明に係る角パイプを組み合わせ、バスケットの形で使用することが望ましい。このようにすると、一定期間の貯蔵後、複数の使用済み燃料集合体をそのままバスケットごとキャスクやキャニスタ内に移し替えて輸送・貯蔵できるため、使用済み燃料集合体それぞれを一体づつキャスク等に詰め替える手間が省ける。以下同様である。 【0014】また、請求項2に係る使用済み燃料収納用角パイプは、上記角パイプにおいて、さらに前記角パイプの角部は少なくとも二段の階段状に形成されていることを特徴とする。この角パイプは角部の階段を多段にしたため、角部における肉厚を角パイプの側面における肉厚の半分以上確保できる。したがって、一段の階段状に成形したパイプと比較して、応力集中の影響を小さくできる。なお、角部の段数は二段に限られるものではなく、角パイプの大きさや肉厚等によって適宜段数を選択できる。 【0015】また、請求項3に係る使用済み燃料収納用角パイプは、上記角パイプにおいて、さらに前記角パイプの階段面に、軸に垂直な方向のずれを防止する噛み合い部を設けたことを特徴とする。この角パイプは、階段面に設けられた噛み合い部によって軸方向に対して垂直な方向の動きが規制されるので、角パイプ同士を組み合わせたときにずれにくくなる。したがって、バスケットの組立てが容易となり、また、万一の落下事故においてもバスケットの形状をより堅牢に保つことができる。 【0016】また、請求項4に係る使用済み燃料収納用角パイプは、複数の角パイプ同士を千鳥状に組み合わせ、当該角パイプ内の空間および当該角パイプの側面で囲まれた空間にそれぞれ使用済み燃料集合体を収納するものであり、当該角パイプの四つの角部は斜め隣の角パイプと組み合わせるための連結部を備えており、当該連結部は斜め隣の角パイプの連結部と互いに噛み合う構造であることを特徴とする。 【0017】この使用済み燃料収納用角パイプは、斜め隣の角パイプの連結部と噛み合う構造で連結するため、角パイプ同士を組み合わせても外れにくくなり、バスケットの組立てが容易になる。また、パイプ同士にガタも生じなくなるため、万一の落下事故においてもバスケットの形状をより堅牢に保つことができる。なお、噛み合う構造には図11に示す構造の他、あり溝とあり継手による構造も含まれる。 【0018】また、請求項5に係る使用済み燃料収納用角パイプは、上記角パイプにおいて、さらに前記角パイプの四つの角部に設けられた前記連結部のうち少なくとも隣り合う二つの連結部は、斜め隣の角パイプの連結部と噛み合う方向がそれぞれ略90度づつ異なることを特徴とする。この使用済み燃料収納用角パイプにおける隣合う二つの連結部は、斜め隣の角パイプの連結部と噛み合う方向がそれぞれ略90度づつ異なっているので、あらゆる方向の動きに対しても角パイプのずれを抑制できる。このため、バスケットの組立てが容易になり、また、万一の落下事故においてもバスケットの形状をより堅牢に保つことができる【0019】また、請求項6に係る使用済み燃料収納用角パイプは、上記角パイプにおいて、さらに前記角パイプの側面内部に当該側面外壁側と内壁側とを隔てる空間を設けフラックストラップとしたことを特徴とする。この使用済み燃料収納用角パイプはPWR用の使用済み燃料を格納するバスケットを構成するものである。PWRは燃焼度が高いため、フラックストラップを角パイプ内部に設けて見かけの厚さを大きくしてある。このため、この角パイプはパイプ同士の角部を広い面積で組み合わせることができるので、ずれに対して強く組立ても容易になる。また接合部の伝熱面積も大きくできるので、使用済み燃料集合体から発生する熱を効率よくキャスクの胴本体へ伝えることができる。 【0020】また、請求項7に係る使用済み燃料収納用角パイプは、上記角パイプにおいて、さらに前記角パイプの角部内部にも空間を設けフラックストラップとしたことを特徴とする。この使用済み燃料収納用角パイプは、角部内部にもフラックストラップを設けたので、上記角パイプの奏する作用に加え、使用済み燃料集合体を収納したセルを斜め方向に透過する中性子を減速・吸収する作用もある。また、角パイプ自体をさらに軽くする作用もある。 【0021】また、請求項8に係る使用済み燃料収納用角パイプは、複数の角パイプ同士を千鳥状に組み合わせ、当該角パイプ内の空間および当該角パイプの側面で囲まれた空間にそれぞれ使用済み燃料集合体を収納するものであり、前記角パイプの角部を階段状に形成し、その階段面同士を突き合わせて前記パイプ同士が組み合わされ、且つ前記角パイプの側面または階段部分のうち少なくとも一方の内部に前記階段部の形状に合わせたフラックストラップを設けたことを特徴とする。 【0022】この使用済み燃料収納用角パイプは、当該角パイプ内部に設けられたフラックストラップの軸方向に垂直な断面形状を、階段状に形成した角部の軸方向に垂直な断面形状に合わせてある。このため、側面内部に設けたフラックストラップは角部の近傍まで広げることができる。また、階段部分内部に設けたフラックストラップは外壁までの肉厚を略均等にできるため、応力集中の影響を緩和できる。なお、角パイプの側面または階段部分に設けたフラックストラップのうち少なくとも一方の軸方向に垂直な断面形状を、階段状に形成した角部の軸方向に垂直な断面形状に合わせてあればよい。 【0023】また、請求項9に係る使用済み燃料収納用角パイプは、上記角パイプにおいて、さらに前記階段部分内部に設けたフラックストラップと前記側面内部に設けたフラックストラップとの間の壁は、突き合わせ側に向かって厚くなることを特徴とする。この使用済み燃料収納用角パイプは、階段部分内部に設けたフラックストラップと前記側面内部に設けたフラックストラップとの間の壁が、突き合わせ側に向かって厚くなるようにしたため、上記角パイプの奏する作用の他に、さらに角パイプの角部近傍における肉厚を確保して剛性を保つという作用が得られる。その結果、角パイプの角部近傍における応力集中を緩和できる。 【0024】また、請求項10に係る使用済み燃料収納用角パイプは、上記角パイプにおいて、さらに階段状に成形された前記角パイプの角部における角部分をシャープエッジに成形し、当該シャープエッジの半径が、前記角パイプの板厚の少なくとも半分以下であることを特徴とする。 【0025】角パイプの角部における角部分が適当な半径Rを有する場合、階段状に形成された角部における突合せ面の接触面積が小さくなる結果、キャスクが落下したり転倒したりしたときに発生する荷重によって突合せ面に応力集中が発生してしまう。そこで、角パイプの角部分をシャープエッジにすることで前記突合せ面の接触面積を広くして応力集中を緩和するようにした。これにより、隣接する前記突合せ面の範囲が板厚の半分より大きくなるから、応力集中を緩和できる。 【0026】ここで、角パイプの角部分をマクロ的に見るとシャープエッジであるといえるが、ミクロ的に見ると一般的にはシャープエッジであるとはいえない。したがって、ここでいうシャープエッジとは、マクロ的に見れば2面が交差した理論的な縁であり、ミクロ的に見れば先端が小さな半径Rや面取(C)を持つ現実的な縁であるものとする。以下同様である。 【0027】また、請求項11に係る使用済み燃料収納用角パイプは、上記角パイプにおいて、さらに階段状に成形された前記角パイプの角部における角部分を角部内側よりもシャープエッジに成形したことを特徴とする。これにより、角パイプの角部における突合せ面の接触面積が確保できるので、突合せ面の応力集中を緩和できる。 【0028】また、請求項12に係る使用済み燃料収納用角パイプは、上記角パイプにおいて、さらに前記シャープエッジの半径が0.5mm以下であることを特徴とする。これにより、角パイプの角部における突合せ面の接触面積が確保できるので、突合せ面の応力集中を緩和できる。また、角パイプの寸法は、使用済み燃料集合体の寸法からおおよそ想定することができるが、その場合のシャープエッジの半径は、0.5mm以下とするのが好ましい。 【0029】また、請求項13に係る使用済み燃料収納用角パイプは、上記角パイプにおいて、さらに前記シャープエッジが面取形状であり、その面取寸法が前記角パイプの板厚の少なくとも半分以下であることを特徴とする。 【0030】また、請求項14に係る使用済み燃料収納用角パイプは、上記角パイプにおいて、さらに前記シャープエッジが面取形状であり、その面取寸法が0.5mm以下であることを特徴とする。 【0031】これにより、上記同様、隣接する前記突合せ面の範囲が板厚の半分より大きくなるから、応力集中を緩和できる(請求項13)。また、前記シャープエッジの面取寸法は、0.5mm以下とするのが好ましい(請求項14)。 【0032】また、請求項15に係る使用済み燃料収納用角パイプは、上記角パイプにおいて、さらに前記パイプは少なくとも濃縮ボロンを添加したAl合金で構成されていることを特徴とする。 【0033】この使用済み燃料収納用角パイプは、材料として濃縮ボロンを添加したAl材を使用しているので、中性子吸収材として使用できるB10の量を多くできる。したがって、濃縮ボロンを使用すれば、これを使用しない場合と比較してより薄い板厚で同じ中性子吸収能を得ることができる。 【0034】また、請求項16に係るバスケットは、複数の角パイプ同士を千鳥状に組み合わせ、当該角パイプ内の空間および当該角パイプの側面で囲まれた空間にそれぞれ使用済み燃料集合体を収納すると共に、これらをキャスクあるいはキャニスタ等の使用済み燃料収納容器内または使用済み燃料貯蔵プール内に配置して用いることを特徴とする。 【0035】このバスケットは、複数の角パイプ同士を千鳥状に組み合わせて構成したため、角パイプの側面同士を合わせて構成するバスケットと比較して角パイプ側面の肉厚を薄くできる。これは、角パイプ側面の板厚が従来の二枚分であれば、剛性は従来の略二倍になるためである。したがって、バスケットの外径を小さくでき、また外径がそのままであれば、収納できる使用済み燃料集合体の体数を多くできる。さらに、使用済み燃料貯蔵プール等の収納ラックに適用すると使用済み燃料集合体をより稠密に収納できるとともに、ボロン−ステンレス製品と比較して軽量化されるので、異常時においてはラックを支持する構造物にかかる荷重を軽減できる。 【0036】図22は、本発明に係るバスケットの例を示した径方向断面図である。同図に示すように、本発明に係るバスケットには、例えば角パイプの突合せ面181を曲線で構成してパイプ同士を千鳥状に組み合わせたものや(同図(a))、突合せ面182に突起721と溝701とを設けて溝に突起をはめ込むもの(同図(b))、あるいは突合せ面182に溝701を設けて、この溝に棒725等を挿入してずれを防止するもの(同図(c))等が含まれる。 【0037】図22(a)に示した例は、突合せ面181が曲線で構成されているため荷重Fが図の矢印方向にかかっても、突合せ面181で大きな応力集中は生じない。同図(b)および(c)に示した例は、突起721と溝701、あるいは棒725と溝701とが噛み合うことによって、軸方向に垂直な方向へのずれを防止できる。なおこれらは例示であって、角パイプの組み合わせはこれらに限定されるものではなく、当業者が容易に想定し得る態様も含まれるものとする。 【0038】また、請求項17に係るバスケットは、上記の角パイプ同士を千鳥状に組み合わせて、当該角パイプ内の空間および当該角パイプの側面で囲まれた空間により格子状のセルを構成し、当該セルにそれぞれ使用済み燃料集合体を収納すると共に、これらをキャスクあるいはキャニスタ等の使用済み燃料収納容器内または使用済み燃料貯蔵プール内に配置して用いることを特徴とする。 【0039】このバスケットは、角パイプの角部を、例えば階段状に形成した角パイプを組み合わせて構成しているので、上記バスケットで奏される作用に加え、軸方向に垂直な方向に対するずれを抑制できるという作用がある。したがって、バスケットの組立てが容易となり、また、万一の落下事故においてもバスケットの形状をより堅牢に保つことができる。 【0040】また、請求項18に係るバスケットは、複数の角パイプ同士を千鳥状に組み合わせて、当該角パイプ内の空間および当該角パイプの側面で囲まれた空間にそれぞれ使用済み燃料集合体を収納してキャスクあるいはキャニスタ等の使用済み燃料収納容器内または使用済み燃料貯蔵プール内に配置すると共に、前記角パイプを組み合わせた角パイプ集合体の最外周に存在する隣り合う角パイプ同士の間に角パイプ受けを備えたことを特徴とする。 【0041】このバスケットは、バスケットを構成する角パイプのうち最外周に存在する隣り合う角パイプ同士の間に角パイプ受けを備えてある。この角パイプ受けによってバスケット外周のセルに挿入された燃料棒集合体からの崩壊熱は、効率よくキャスク外部へ伝わる。またキャスクが水平落下したときの衝撃は、この角パイプ受けによって支えられるので、キャスクの落下時にはバスケットの崩壊を防止できる。 【0042】また、請求項19に係るバスケットは、複数の角パイプ同士を千鳥状に組み合わせて、当該角パイプ内の空間および当該角パイプの側面で囲まれた空間にそれぞれ使用済み燃料集合体を収納すると共に、前記角パイプを組み合わせた角パイプ集合体の最外周に存在する角パイプと、外形を使用済み燃料収納容器の内形に合わせたスペーサブロックとを締結具によって組み付け、これらをキャスクもしくはキャニスタ等の使用済み燃料収納容器内または使用済み燃料貯蔵プール内に配置して用いることを特徴とする。このバスケットは、角パイプとスペーサブロックとを予めボルト等の締結具で固定しているため、キャニスタやキャスクのキャビティ内に取付け穴等の加工が不要になるため、組立てに手間を要さない。 【0043】また、請求項20に係る使用済み燃料収納容器は、複数の角パイプ同士を千鳥状に組み合わせて全体として格子状に構成したバスケットの外形に使用済燃料収納容器本体のキャビティ内の形状を合わせて前記バスケットを挿入し、当該バスケットの各セル内に使用済み燃料集合体を収納することを特徴とする。 【0044】この使用済み燃料収納容器は、複数の角パイプ同士を千鳥状に組み合わせて全体として格子状に構成したバスケットをキャビティ内に備えているため、角パイプの側面同士を合わせて構成するバスケットと比較して角パイプ側面の肉厚を薄くできる。これは、角パイプ側面の板厚が従来の二枚分であれば、剛性は従来の略二倍になるためである。したがって、バスケットの外径を小さくできるので、使用済み燃料収納容器の外径を従来よりも小さくできる。その結果、使用済み燃料収納容器に取り付ける緩衝体の外径を小さく抑えることができる。また使用済み燃料収納容器の外径がそのままであれば、収納できる使用済み燃料集合体の体数を多くできる。 【0045】 【発明の実施の形態】以下、この発明につき添付図面を参照して詳細に説明する。なお、実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施の形態の構成要素には、当業者が容易に想定できるものが含まれるものとする。 【0046】(実施の形態1)図1は、この発明の実施の形態1に係る角パイプを組んだバスケットの一部を示す径方向断面図である。同図中、斜線で表した部分に注目して説明する。なお、この角パイプはBWR(Boiling Water Reactor:沸騰水型原子炉)の使用済み燃料集合体を収納するバスケットを構成するものである。図1に示すように、この角パイプ300の角部(図中Aで示す領域)は階段状に成形されている点に特徴がある。そして、この角パイプ300でバスケット200を構成するときには、角パイプ300同士を千鳥状に配置して角部に設けられた段部同士を組み合わせる。すると、角パイプ300の内部および角パイプ300の側面12によって四方を囲まれた空間が、燃料棒集合体を収納するセル400および401となる。 【0047】図25は従来の角パイプを組んだバスケット201の一部を示す径方向断面図である。同図に示すように、従来は、複数の角パイプ301を使用し、その側面同士を組み合わせてバスケット201を構成していたので、セル402とセル402との境界は二枚の板を重ねた構造となっていた。実施の形態1に係るバスケット200は複数の角パイプ300を千鳥状に配置したため、セル400とセル401との境界は一枚の板で構成される。このため、この境界が従来の二枚分の厚みを持っていれば剛性は従来よりも高くなるので、従来と同じ剛性であれば、その分だけ角パイプ300の板厚を薄くすることができる。したがって、実施の形態1に係る角パイプ300でバスケット200を構成した場合には、従来のように角パイプ301の側面同士を組み合わせた構成よりもバスケット全体の外径を小さくできるので、その分キャスクの外径を小さくできる。その結果、キャスクの総重量も従来より軽くできるので、緩衝体に要求される緩衝能力も従来より小さくて済む。 【0048】また外径が小さくなった分だけ緩衝体の径方向におけるつぶれ代を大きくできるため、この分緩衝体の外径を小さくできる。一方、キャスクの外径がそのままであれば、使用済み燃料集合体の収納体数を増やすことができる。さらに、使用済み燃料貯蔵プール等の収納ラックに適用すると使用済み燃料集合体をより稠密に収納できるとともに、ボロン−ステンレス製品と比較して軽量化されるので、異常時においてはラックを支持する構造物にかかる荷重を軽減できる。 【0049】図2は実施の形態1に係る角パイプ300の角部における応力の伝わり方を示す説明図である。同図(a)に示すように、階段状に成形された角パイプ300の角部における角部分13のRが大きいと、荷重Fを受ける面が小さくなり、面荷重が過大となるおそれが大きくなる。また、当該Rが大きいと十分な伝熱面積を確保できない。その結果、角パイプ300に損傷その他の性能劣化を生じさせることになる。そして、斜め方向からの荷重の場合であっても、応力集中に起因する角パイプ300の性能劣化をもたらすおそれがある。 【0050】上記の問題を避けるため、同図(b)に示すように、階段状に成形された角パイプ300の角部における角部分13をシャープエッジに成形することが望ましい。このようにすると、隣り合うパイプ同士が階段面の略全体にわたって突き合わされるため、上記面荷重が軽減すると共に十分な伝熱面積も得ることができる。これらの作用によって角パイプ300の性能劣化を抑制できる。ここで、落下試験の結果を説明する。まず、角パイプ300の寸法は、収容する使用済み燃料集合体の寸法に基づいて決定されるため、角パイプ300の板厚tに対する半径Rから評価した。この評価結果を表1に示す。 【表1】
この結果、半径R=0.8t〜1.5tのときは、角パイプ300の特定部分(図2のBで示す領域)に好ましくない応力集中が生じた。半径R=0.6tになると、応力集中の程度が緩和されたが、未だ好ましい状態にはならなかった。つぎに、半径R=0.4tでは、応力集中の程度がある程度緩和されて、比較的許容できる範囲内に収まった。半径R=0.05t〜0.2tでは、応力集中が相当程度緩和され、好ましい状態になった。特に、R=0.1t、0.05tの場合に良好な結果が得られ、応力集中は問題にならない程度に低減された。 【0051】また、角パイプ300の角部分13に形成するシャープエッジは、面取形状であってもよい。図3は、この発明の実施の形態1に係る角パイプ300の変形例を示す径方向断面図である。この面取りCの寸法は、上記同様に1.0mm以下(寸法C=0.2t以下)とするのが好ましい。このような構成であっても、バスケットに対し図中矢印F方向に荷重が加わった場合、隣り合う角パイプ300同士が階段面の略全体にわたって突き合わされるので角パイプ300の特定部分に対する応力集中は軽減する。そして十分な伝熱面積も確保できるので、バスケットの性能劣化を抑制できる。 【0052】なお、バスケットは挿入した使用済み燃料集合体が臨界に達することを防止する機能が必要であるため、角パイプは中性子吸収材としてボロン(B:ホウ素)を混合したアルミニウム合金からなる。ここで、天然ボロンには中性子の吸収に寄与するB10と中性子の吸収には寄与しないB11がある。したがって、中性子吸収能を有するB10を濃縮したものを使用すると、同じボロンの添加量であれば天然ボロンをそのまま使用した場合と比較してB10が多くなる分だけ中性子吸収能は高くできる。したがって濃縮ボロンを使用すると、同じ中性子吸収能であれば、天然ボロンをそのまま使用した場合よりも薄い板厚の角パイプで済む。このような観点から、実施の形態1に係る角パイプの板厚を、従来の角パイプの板厚二枚分よりも薄くする場合は、濃縮ボロンを添加したアルミニウム材料を使用することが望ましい。以下の実施の形態でも同様である。 【0053】図4は、実施の形態1に係るパイプの第一の変形例を示す径方向断面図である。上記の角パイプでは、角部(図中Aで示す領域)が一段の階段状に成形されていたが、このパイプ302は、前記階段の段数を増やしてパイプ302の角部を多段の階段状に成形した点に特徴がある。一段の階段状に成形した角パイプにおいては、同図(b)に示すように、応力が集中する部分(図4(b)中Dで示す部分)の板厚が角パイプ300の側面板厚の半分になる。しかし多段の階段状においては、同図(c)に示すように応力が集中する部分(図4(c)中Dで示す部分)の板厚は角パイプ302の側面板厚の半分以上確保できる。このため、角部を一段の階段状に成形した角パイプ300と比較して剛性を高くでき、また応力集中の影響も小さくできる。さらに、この角パイプは熱間押出し法によって成形するが、多段の階段状に成形したほうが角パイプ全体の肉厚を均等にできるため、成形が容易になる。 【0054】図5は、実施の形態1に係るパイプの第二の変形例を示す径方向断面図である。上記の角パイプでは、その角部は階段状に成形されていたが、このパイプ303は、角パイプ同士の角部(図中Aで示す領域)に設けられたあり溝700およびあり継手720によって連結されている点に特徴がある。バスケット203を構成するときには、一方の角パイプ303に設けられたあり溝700にもう一方の角パイプ303に設けられたあり継手720をはめ込んで角パイプ303同士を組み合わせる。このように、角パイプ303同士はあり溝700とあり継手720によって連結されるため、組み合わせた角パイプ303同士が外れることはなく、また角パイプ303の位置ずれも生じない。このため、この変形例に係る角パイプ303は容易にバスケット203に組み立てることができ、また、キャスクを縦にした状態でキャビティ内に組込んでバスケット203を構成することもできる。なお、この第二の変形例に係る角パイプ303はBWR用であるが、例えば図12に示すようにパイプの側部内に外壁と内壁とを隔てる空間を設けてフラックストラップとし、次に説明するPWR用の使用済み燃料集合体を格納してもよい。 【0055】(実施の形態2)図6は、この発明の実施の形態2に係る角パイプを組んだバスケットの一部を示す径方向断面図である。図6に示すように、この角パイプ304は径方向の断面内形状が略正方形であり、パイプの角部(図中Aで示す領域)は階段状に成形されている点に特徴がある。なお、この角パイプ304はPWR(PressurizedWater Reactor:加圧水型原子炉)の使用済み燃料集合体を収納するバスケットを構成するものである。PWRでは核燃料の燃焼度が高くなるため、中性子の放出量はBWRの使用済み核燃料と比較して多くなる。したがって、図6に示すように、パイプの側面内部には空間が設けられフラックストラップ170を形成し、プール内で使用済み燃料集合体を収納する際には、このフラックストラップ170内に水が満たされ隣のセルへ透過する中性子(図中矢印Jで示す方向)を減速する。そして、中性子吸収材として角パイプ304に含まれているボロンに吸収されやすくする。 【0056】この角パイプ304でバスケット204を構成するときには、図6に示すように、角パイプ304同士を千鳥状に配置して角部に設けられた段部同士を組み合わせる。すると、角パイプ304の内部および角パイプ304の側面12によって四方を囲まれた空間が、それぞれ燃料棒集合体を収納するセル400および401となる。 【0057】この角パイプ304はフラックストラップ170が側面12内に設けられているため、実施の形態1の角パイプと比較して側面12の板厚が大きい。したがって、角パイプ304同士の角部をより広い面積で組み合わせることができるので、ずれに対して強く組立ても容易になる。また突合せ面180の伝熱面積も大きくできるので、使用済み燃料集合体から発生する熱を効率よくキャスクの胴本体へ伝えることができる。さらに、使用済み燃料貯蔵プール等の収納ラックに適用すると使用済み燃料集合体をより稠密に収納できるとともに、ボロン−ステンレス製品と比較して軽量化されるので、異常時においてはラックを支持する構造物にかかる荷重を軽減できる。 【0058】図7は、実施の形態2に係る角パイプの第一の変形例を示す径方向断面図である。上記の角パイプではその角部は一段の階段状に成形されていたが、この角パイプは、前記階段の段数を増やして角パイプ305の角部(図中Aで示す領域)を多段の階段状に成形した点に特徴がある。一段の階段状に成形した角パイプにおいては、上述したように、応力が集中する角部の板厚が壁面部の半分になる(図4(b)参照)。しかし角部を多段の階段状に形成すると、角部の板厚として角パイプの側面における板厚の半分以上を確保できる(図4(c)参照)。このため、角部を一段の階段状に成形した角パイプと比較して、応力集中の影響を小さくできる。 【0059】図8は、実施の形態2に係る角パイプの第二の変形例を示す径方向断面図である。この変形例に係る角パイプは、角部(図中Aで示す領域)を階段状に形成した上記パイプにおいて、突合せ面180の一方に突起721を設け、もう一方の面にはその突起721がはめ込まれる溝701を設けて噛み合い部とした点に特徴がある。この角パイプ306同士を組み合わせてバスケット206を構成すると、突起721が溝701にはめ込まれるためずれにくくなる。したがってバスケット206の組立てが容易となり、また、万一の落下事故においてもバスケット206の形状をより堅牢に保つことができる。なお、組み合わされる角パイプ306の突合せ面180の双方に溝を設け、この溝で形成される空間に例えば棒状の部材を装入して噛み合い部として、軸方向に垂直な方向に対するずれを防止してもよい。 【0060】図9は、実施の形態2に係る角パイプの第三の変形例を示す径方向断面図である。この変形例に係る角パイプ307は、角部(図中Aで示す領域)を階段状に形成した上記角パイプにおいて、角部にもフラックストラップ171を設けた点に特徴がある。このため、角パイプ307の側面に対して垂直に透過する中性子量のみならず、角パイプ307の角部を通って斜めに透過する中性子の量も低く抑えることができる。また、このフラックストラップ171を設けることによって、角パイプ307の質量を軽くできるので、キャスク全体の質量も軽くなり、その分緩衝体の寸法も小さくできる。 【0061】図10は、実施の形態2に係る角パイプの第四の変形例を示す径方向断面図である。この変形例に係る角パイプ308は、角部(図中Aで示す領域)にもフラックストラップ171を設けた上記角パイプにおいて、側面12内部に設けたフラックストラップ172の軸方向に垂直な断面形状を、角部に形成した階段部の形状に合わせた点に特徴がある。なお、「階段部の形状に合わせた」とは、階段状に合わせるのみならず、図10に示すように、斜めに合わせることも含む。このようにすることで、上記第三の変形例が奏する効果に加え、側面内部に設けたフラックストラップ172を角部の近傍まで広げることができるので、中性子を減速する領域がより広がる。さらに角部近傍における肉厚を確保して剛性を確保し、応力集中を抑制できるという効果もある。 【0062】図11は、実施の形態2に係る角パイプの第五の変形例を示す径方向断面図である。この変形例に係る角パイプ309は、四つの角部(図中Aで示す領域)に設けられた連結部のうち少なくとも隣り合う二つの連結部は、斜め隣の角パイプ309の連結部と噛み合う方向がそれぞれ略90度づつ異なる。そして、それぞれの角部は突起部722とその突起部がはめ合わされる溝部702とで構成することで、噛み合い構造としている点に特徴がある。この突起部722と溝部702とによって角パイプ309同士が連結されるので、角パイプ309同士を組み合わせても外れることはなく、バスケット209の組立てが容易になる。また、角パイプ309同士にガタも生じなくなるため、万一の落下事故においてもバスケット209の形状をより堅牢に保つことができる。また、伝熱面積を広くとることができるので、使用済み燃料集合体から発生する崩壊熱を効率よく伝えることができる。なお、本変形例においても角部にフラックストラップを設けてもよい。 【0063】この変形例に係る角パイプは、角部に噛み合い構造を持っているため、見かけの側面板厚が大きいPWR用のバスケットを構成する場合に適しているが、BWR用のバスケットに適用してもよい。その場合には、側面の肉厚を通常のBWR用角パイプよりも厚めにすることが好ましい。 【0064】図12は、実施の形態2に係るパイプの第六の変形例を示す径方向断面図である。上記の角パイプでは、角部(図中Aで示す領域)に噛み合い構造を持つ連結部を備えていたが、この角パイプ310は、四つの角部に設けられた連結部のうち少なくとも隣り合う二つの連結部は、斜め隣の角パイプ310の連結部と噛み合う方向がそれぞれ略90度づつ異なる。そして、角パイプ同士310の角部に設けられたあり溝700およびあり継手720によって連結される。 【0065】バスケット210を構成するときには、一方の角パイプ310に設けられたあり溝700にもう一方の角パイプ310に設けられたあり継手720をはめ込んで角パイプ310同士を組み合わせる。このように、角パイプ310同士はあり溝700とあり継手720によって連結されるため、組み合わせた角パイプ310同士が外れることはなく、また角パイプ310の位置ずれも生じない。このため、この変形例に係る角パイプ310はバスケット210の組立てが容易であり、また、組立てに際しては角パイプ310を縦にした状態で組立て、バスケット210を構成することもできる。 【0066】図13は、実施の形態2に係るバスケットの構成例を示す径方向断面図である。このバスケット211および212は、上記角パイプを複数の要素に分解して構成しバスケットとした点に特徴がある。同図(a)は、角パイプを断面がコの字型状の要素350と直線状の要素351とに分割して構成した例である。また同図(b)は、角パイプをL字状の要素352および353に分割して構成した例である。このようにすると、押出し成形機が成形できる寸法以上のセルも構成することができ、また、プレス圧力が小さい押出し成形機でも成形できる。なお、このバスケットはフラックストラップによって見かけの側面厚さが厚いPWR用のバスケットに適しているが、フラックストラップを有していないBWR用のバスケットに適用することもできる。 【0067】(実施の形態3)つぎに、上記角パイプ300を用いて構成したバスケットを、キャスク全体と共に説明する。なお、角パイプ300に限らず、上記実施の形態1および2で提示した他の角パイプを用いても、バスケットは構成できる。図14は、この発明の実施の形態3に係るキャスクを示す斜視図である。図15は、図14に示したキャスクの軸方向断面図である。図16は、図14に示したキャスクの径方向断面図である。なお、図16は全体の1/4のみ示している。このキャスク100は、上記図23に示したキャスク500と略同様の構成であるが、胴本体101のキャビティ102内をバスケット130の外形に合わせた形状にした点に特徴がある。キャビティ102の内面形状は、後述する専用の加工装置によりフライス加工を施すことで形成する。なお、フライス加工の他、シェーパー加工により形成するようにしてもよい。また、後述する加工装置は容器を横に設置して加工する、いわゆる横型の加工装置であるがこれに限られるものではなく、容器を縦にして加工する縦型の加工装置を使用してもよい。 【0068】同図に示すキャスク100において、胴本体101および底板104は、γ線遮蔽機能を有する炭素鋼製のローラ鍛造品である。なお、炭素鋼の代わりにステンレス鋼を用いることもできる。前記胴本体101と底板104は、溶接等により結合する。また、耐圧容器としての密閉性能を確保するため、蓋部109と胴本体101との間には金属ガスケットを設けておく。なお、胴本体101と底板104とは熱間拡張成形等の加工法によって一体として成形してもよい。このときには溶接工程および溶接後の熱処理工程を省略できるため、製造が容易になる。 【0069】胴本体101と外筒105との間には、水素を多く含有する高分子材料であって中性子遮蔽機能を有するレジンやシリコーンゴム等の中性子遮蔽材106が充填されている。また、胴本体101と外筒105との間には熱伝導を行う複数の内部フィン107が溶接されており、中性子遮蔽材106は、この内部フィン107によって形成される空間に流動状態で注入され、熱硬化反応等で固化される。なお、内部フィン107にはCuやAlといった熱の良導体を使用すると共に、放熱を均一に行うため、熱量の多い部分に高い密度で設けるようにするのが好ましい。また、中性子遮蔽材106と外筒105との間には、数mmの熱膨張しろ108が設けられる。この熱膨張しろ108は、ホットメルト接着剤にヒーターを埋め込んだ消失型を外筒105内面に配し、中性子遮蔽材106を注入固化した後、ヒーターを加熱して溶融排出することにより形成する(図示省略)。また、この熱膨張しろ108内に所定の強度を有したハニカム材を設けて、中性子遮蔽材の熱膨張に伴いこのハニカム材が圧縮されるようにしてもよい。 【0070】蓋部109は、一次蓋110と二次蓋111により構成される。この一次蓋110は、γ線を遮蔽するステンレス鋼や炭素鋼等からなる円盤形状である。また、二次蓋111もステンレス鋼製等の円盤形状であるが、その上面には中性子遮蔽体としてレジン112が封入されている。一次蓋110および二次蓋111は、ステンレス製のボルト113によって胴本体101に取り付けられている。さらに、一次蓋110および二次蓋111と胴本体101との間にはそれぞれ金属ガスケットが設けられ、内部の密封性を保持している。また、蓋部109の周囲には、レジン114を封入した補助遮蔽体115が設けられている。 【0071】キャスク本体116の両側には、キャスク100を吊り下げるためのトラニオン117が設けられている。なお、図14では、補助遮蔽体115を設けたものを示したが、キャスク100の搬送時には補助遮蔽材115を取り外して緩衝体118を取り付ける(図15参照)。緩衝体118は、ステンレス鋼材により作成した外筒120内にレッドウッド材などの緩衝材119を封入した構造である。また、遮蔽機能を高めて当初から補助遮蔽体115を使用しないようにしてもよい。この場合には、緩衝体118の着脱にともなって補助遮蔽体115を着脱する必要がなくなるため、作業の手間が軽減する。 【0072】図16からは明らかではないが、バスケット130は、使用済み燃料集合体を収容する69個のセル131を構成する21本の角パイプ300からなる。角パイプ300には、AlまたはAl合金粉末に中性子吸収性能を持つBまたはB化合物の粉末を添加したアルミニウム複合材を用いる。また、中性子吸収材としては、ボロンの他にカドミウムを用いることができる。なお、角パイプ300の本数はこの例に限られるものではなく、バスケットやキャスク等の設計によって増減できる。 【0073】図17は、上記角パイプの製造方法を示すフローチャートである。まず、アトマイズ法などの急冷凝固法によりAlまたはAl合金粉末を作製すると共に(ステップS401)、BまたはB化合物の粉末を用意し(ステップS402)、これら両粒子をクロスロータリーミキサー等によって10〜15分間混合する(ステップS403)。 【0074】前記AlまたはAl合金には、純アルミニウム地金、Al−Cu系アルミニウム合金、Al−Mg系アルミニウム合金、Al−Mg−Si系アルミニウム合金、Al−Zn−Mg系アルミニウム合金、Al−Fe系アルミニウム合金などを用いることができる。また、前記BまたはB化合物には、B4 C、B2 O3 などを用いることができる。ここで、アルミニウムに対するボロンの添加量は、B量換算で1.5重量%以上、9重量%以下とするのが好ましい。より好ましくは、B量換算で2.0重量%以上、5.0重量%以下とするのがよい。1.5重量%以下では十分な中性子吸収能が得られず、9重量%より多くなると成形が困難になるのみならず、得られた材料の延性が低下するためである。ここで、アルミニウムに対するボロンの添加量が同じであれば、B10を濃縮した濃縮ボロンを使用すると、天然ボロンと比較して中性子吸収能は高くなる。例えば一般に天然のB4 CにおけるB10の割合は19%程度であるが、B10を98%にまで濃縮したB4 Cを使用すれば、同じB4 Cの添加量で中性子吸収能はおよそ5倍となる。したがって、濃縮ボロンを使用した場合には、天然ボロンを使用した場合と比較して薄い板厚で同等の中性子吸収能を持たせることができる。また、板厚と中性子吸収能が同じであればボロンの添加量を少なくできる。 【0075】つぎに、混合粉末をラバーケース内に封入し、CIP(Cold Isostatic Press)により常温で全方向から均一に高圧をかけ、粉末成形を行う(ステップS404)。CIPの成形条件は、成形圧力を200MPaとし、成形品の直径が600mm、長さが1500mmになるようにする。CIPによって全方向から均一に圧力を加えることにより、成形密度のばらつきが少ない高密度な成形品を得ることができる。 【0076】続いて、前記粉末成形品を缶に真空封入し、300℃まで昇温する(ステップS405)。この脱ガス工程にて缶内のガス成分および水分を除去する。つぎの工程では、真空脱ガスした成形品をHIP(Hot Isostatic Press )により再成形する(ステップS406)。HIPの成形条件は、温度400℃〜450℃、時間30sec、圧力6000tonとし、成形品の直径が400mmになるようにする。続いて、缶を除去するために外面削、端面削を施し(ステップS407)、ポートホール押出機を用いて当該ビレットを熱間押出しする(ステップS408)。この場合の押出条件として、加熱温度を500℃〜520℃、押出速度を5m/minとする。この押出加工に用いるダイスは、上記実施の形態で説明したパイプを成形できるように、その断面形状を成形するパイプの外形と同一の形状にしてある。 【0077】なお、ステップS405においてCIPによる成形品を缶封入することなく、HIP容器内で真空脱ガスした後、HIPによって再成形してもよい。このようにすると、缶を除去するための外削が不要となるから、工程が省略できる。また、HIP工程に代えて真空焼結や真空ホットプレス等を用いるようにしてもよい。この場合も缶を除去するための外削が不要となるので製造に手間を要しない。 【0078】つぎに、押出成形後、引張矯正を施すと共に(ステップS409)、非定常部および評価部を切断し、製品とする(ステップS410)。完成した角パイプ300は、図1に示すように、断面の一辺が162mm、内側が151mmの四角形状となる。また、角パイプ300の角部分は、押出工程にて半径R=1.0mm以下のシャープエッジに成形する。寸法公差は、要求される規格の関係でマイナス公差を0にとる。なお、この角パイプ300の他の製造方法として、本願出願人により平成11年5月27日付け(「バスケット及びキャスク」)で既に出願済みのものがあるから、そちらを参照して製造してもよい。 【0079】上記工程により製造した角パイプ300は、キャビティ102内の加工形状に沿って順次挿入される。ここで、角パイプ300に曲げとねじれが生じていること、寸法のマイナス公差が0であることから、角パイプ300を適当に挿入しようとすると、公差の累積や曲げの影響を受けて挿入しにくくなり、無理に挿入すると角パイプ300に過剰な応力が加わることになる。そこで、製造した全部または一部の角パイプ300の曲げ及びねじれをレーザ測定器などにより予め測定し、コンピュータを用いることで、当該測定データに基づき最適な挿入位置を割り出すようにする。このようにすれば、キャビティ102内に角パイプ300を容易に挿入することができるし、それぞれの角パイプ300にかかる応力を均一にすることができる。 【0080】また、図16に示すように、キャビティ102のうちセル数が5個または7個となる角パイプ列の両側には、それぞれダミーパイプ133が挿入されている。このダミーパイプ133は、胴本体101の重量を軽減すると共に胴本体101の厚みを均一化すること、角パイプ300を確実に固定することを目的とする。このダミーパイプ133にもボロン入りアルミニウム合金を用い、上記同様の工程による製作する。なお、このダミーパイプ133は、単なるアルミニウム材であってもよいし、重量軽減等の必要がなければ省略することもできる。 【0081】つぎに、胴本体101のキャビティ102を、横型の加工機を使用して加工する場合について説明する。図18はキャビティ102の加工装置を示す概略斜視図である。この加工装置140は、胴本体101内を貫通すると共にキャビティ102内に載置固定される固定テーブル141と、固定テーブル141上を軸方向に摺動する可動テーブル142と、可動テーブル142上にて位置決め固定されているサドル143と、サドル143上に設けられスピンドル144および駆動モータ145からなるスピンドルユニット146と、スピンドル軸に設けたフェースミル147とから構成されている。 【0082】また、スピンドルユニット146上には、キャビティ102内形状に従って当接部を成形した反力受け148が設けられている。この反力受け148は、着脱自在であってあり溝(図示省略)に沿って図中矢印方向にスライドする。また、反力受け148は、スピンドルユニット146に対するクランプ装置149を有しており、所定位置にて固定することができる。 【0083】さらに、固定テーブル141の下部溝内には、複数のクランプ装置150が取り付けられている。このクランプ装置150は、油圧シリンダ151と、油圧シリンダ151の軸に設けたくさび状の移動ブロック152と、当該移動ブロック152と傾斜面で当接する固定ブロック153とから構成されており、図中斜線部側を固定テーブル141の溝内面に取り付けるようにする。油圧シリンダ151の軸を駆動すると、移動ブロック152が固定ブロック153に当接し、くさびの効果により移動ブロック152が多少下方に移動する(図中点線で示す)。これにより、移動ブロック152の下面がキャビティ102内面に押し当てられるから、固定テーブル141をキャビティ102内で固定することができる。 【0084】また、胴本体101はローラからなる回転支持台154上に載せられており、径方向に回転自在となる。また、スピンドルユニット146とサドル143との間にスペーサ155をかますことにより、固定テーブル141上のフェースミル147の高さを調整することができる。スペーサ155の厚さは、上記角パイプ300の一辺の寸法と同じである。サドル143は、可動テーブル142に設けたハンドル156を回転させることにより胴本体101の径方向に移動する。可動テーブル142は、固定テーブル141の端部に設けたサーボモータ157とボールネジ158により移動制御される。なお、加工が進むにつれてキャビティ102内の形状が変わるので、反力受け148やクランプ装置150の移動ブロック152を適当な形状のものに変更する必要がある。 【0085】図19は、キャビティの加工方法を示す概略説明図である。まず、クランプ装置150および反力受け148により固定テーブル141をキャビティ102内の所定位置にて固定する。つぎに、同図(a)に示すように、固定テーブル141に沿ってスピンドルユニット146を所定の切削速度にて移動させ、フェースミル147によるキャビティ102内の切削を行う。当該位置での切削が完了すると、クランプ装置150を外して固定テーブル141を解放する。 【0086】つぎに、同図(b)に示すように、回転支持台154上で胴本体101を90度回転させ、クランプ装置150にて固定テーブル141を固定する。そして、上記同様にフェースミル147にて切削を行う。以降、前記同様の工程をさらに2回繰り返す。 【0087】つぎに、スピンドルユニット146を180度回転させ、同図(c)に示すように、順次、キャビティ102内の切削を行う。この場合も、上記同様に胴本体101を90度回転させながら加工を繰り返す。つぎに、同図(d)に示すように、スピンドルユニット146にスペーサ155をかませることで当該スピンドルユニットの位置を高くする。そして、当該位置にてフェースミル147を軸方向に送り、キャビティ102内の切削を行う。これを90度回転させながら繰り返すことで、角パイプ300を挿入するのに必要な形状がほぼ完成する。なお、ダミーパイプ133を挿入する部分の切削も、同図(d)に示すのと同様にして行えばよい。但し、スピンドルユニット146の高さを調整するスペーサ厚は、ダミーパイプ133の一辺と同じにする。上記説明では胴本体101を横にしてキャビティ102内を切削したが、縦型の工作機械を用いることによって、胴本体101を縦にして回転テーブルの上に載せてキャビティ102内を切削することもできる。 【0088】キャスク100に収容する使用済み燃料集合体は、核分裂性物質および核分裂生成物などを含み、放射線を発生すると共に崩壊熱を伴うため、キャスク100の除熱機能、遮蔽機能および臨界防止機能を貯蔵期間中(約60年)、確実に維持する必要がある。この実施の形態1に係るキャスク100では、胴本体101のキャビティ102内を機械加工して角パイプ300で構成したバスケット130の外側を密着状態か、それに近い状態(空間領域なし)で挿入するようにしているので、角パイプ300と胴本体101との伝熱面を広大にできる。さらに、胴本体101と外筒105との間に内部フィン107を設けているので、燃料棒からの熱は、角パイプ300或いは充填したヘリウムガスを通じて胴本体101に伝導し、主に内部フィン107を通じて外筒105から放出されることになる。以上から、崩壊熱の除熱を効率的に行うことができるので、崩壊熱量が同じであればキャビティ102内の温度を従来よりも低く保つことができる。 【0089】また、使用済み燃料集合体から発生するγ線は、炭素鋼あるいはステンレス鋼からなる胴本体101、外筒105、蓋部109などにおいて遮蔽される。また、中性子は中性子遮蔽材106によって遮蔽され、放射線業務従事者に対する被ばく上の影響をなくすようにしている。具体的には、表面線当量率が2mSv/h以下、表面から1mの線量当量率が100μSv/h以下になるような遮蔽機能が得られるように設計する。さらに、セル131を構成する角パイプ300には、ボロン入りのアルミニウム合金を用いているので、中性子を吸収して使用済み燃料集合体が臨界に達するのを防止することができる。 【0090】以上、この実施の形態3に係るキャスク100によれば、胴本体101のキャビティ102内を機械加工しバスケット130の外周を構成する角パイプ300を密着状態で挿入するようにしたので、角パイプ300からの熱伝導率を向上させることができる。また、キャビティ102内の空間領域をなくすことができるから、胴本体101をコンパクト且つ軽量にすることができる。なお、この場合であっても、角パイプ300の収容数が減少することはない。逆に、胴本体101の外径を図23に示すキャスクと同じにすれば、それだけセル数を確保できるから、使用済み燃料集合体の収納数を増加することができる。具体的に当該キャスク100では、使用済み燃料集合体の収容数を69体にでき且つキャスク本体116の外径を例えば2560mm、重量を120tonに抑えることができる。 【0091】また、角パイプ300を千鳥状に配列したので、従来と比較して角パイプ300の肉厚を薄くできる。したがって、バスケットの外径を従来よりも小さくすることができ、これにともない、キャスクの外形も従来より小さくできる。また、角パイプ300の肉厚を従来の二枚分と同じ寸法にすれば、剛性は従来よりも高くなるため、バスケット130がより堅牢になり、キャスク100の信頼性も向上する。 【0092】(実施の形態4)図20は、本発明に係るバスケットをキャスクのキャビティ内に収納した例を示す周方向断面図である。本発明に係るバスケットは複数の角パイプを千鳥状に配置して構成されているため、バスケットの外周においては側面の存在しない箇所が生ずる。この部分をそのままにして、このバスケットをキャスクのキャビティ内に挿入すると、キャビティの内壁とセルに挿入される燃料棒集合体との間に隙間が生じ、燃料棒集合体から発生する崩壊熱がキャスク外部へ逃げ難くなる。また、側面が存在しない箇所があるため、キャスクが水平落下したときの衝撃力を支えることができず、キャスクの落下時にはバスケットが崩壊するおそれもある。 【0093】上記の問題を解決するため、図20(a)に示すようにバスケット213の外周において側面が存在しない箇所には側板で構成した角パイプ受け30を設け、バスケット213をキャビティ102内に挿入する。この角パイプ受け30が角パイプ300の角部と突き合う部分(図中Aで示した領域)は、前記角パイプ300の角部における形状に合わせておく。ここで、角パイプ受け30をバスケット213に取り付けてからキャビティ102内にバスケット213を挿入してもよいし、角パイプ受け30をボルト等の締結具によって予めキャビティ102の内壁に取り付けておいてからキャビティ102内にバスケット213を挿入してもよい。また、角パイプ受け30が角パイプ300の角部と突き合う部分(図中Aで示した領域)を溶接によって固定して、バスケット213を構成してもよい。 【0094】この角パイプ受け30によって、バスケット213外周のセル401に挿入された燃料棒集合体からの崩壊熱は、効率よくキャスク外部へ伝わる。またこの角パイプ受け30によって、キャスクが水平落下したときの衝撃を支えることができるため、キャスクの落下時にはバスケット213の崩壊を防止できる。なお、図20(b)に示すようにキャビティ102の内壁を凸形に成形して角パイプ受け30としてもよい。このようにすると、側板で角パイプ受け30を構成した場合と比較して、側板をキャビティ内壁等に固定する手間を省略できる。 【0095】(実施の形態5)図21は、本発明に係るバスケットをキャニスタに収納した例を示す周方向断面図である。キャニスタに使用される収納容器は、キャスクに使用される収納容器よりも肉厚が薄いため、径方向断面内形状をバスケットの外形に合わせて成形することは困難である。したがって、本発明に係る角パイプ300によって構成されたバスケット215をキャニスタ胴900内に挿入する際には、同図に示すようにバスケット215の外周にキャニスタ胴900の内形に合わせたスペーサブロック35を取り付けて、バスケット215の外形をキャニスタ胴900の径方向断面内形状に合わせる。なお、キャスクの場合には内面加工を最小限にしたい場合等にこの方法を適用すると有効である。 【0096】スペーサブロック35は締結具であるボルト36によって角パイプ300および実施の形態4で説明した角パイプ受け30に固定される。なお、締結具としてボルト36の代わりにリベットを使用してもよい。このようにしてバスケット215の外周全体にスペーサブロック35を取り付けた後、キャニスタ胴900内にバスケット215を挿入する。このようにすることで、本発明に係るバスケットをキャニスタにも適用でき、またキャニスタのキャビティ内に取付け穴等を加工することが不要になるため、組立てに手間を要さない。なお、実施の形態4で説明したように、スペーサブロック35の角パイプ300と接する側に凸部を設けて角パイプ受け30としてもよい。また、スペーサブロック35と角パイプ300とは締結具で取り付けてあるが、締結具の代わりに溶接やろう付け、あるいは接着等によっても両者を取り付けることができる。 【0097】 【発明の効果】以上説明したように、この発明に係る使用済み燃料収納用角パイプ(請求項1)は、角部を階段状に形成してその階段面同士を突き合わせることで、複数の角パイプ同士を千鳥状に組み合わせるようにした。このため、角パイプの側面同士を合わせて構成するバスケットと比較して剛性が高くなるので、その分角パイプ側面の肉厚を薄くできる。したがって、バスケットの外径寸法を小さくすることができる。また、角部が階段状に形成されており、その階段面同士を突き合わせて組み合わせるため、軸方向に対して垂直な方向のずれを防止できるので、バスケットを組み立てやすい。 【0098】また、この発明に係る使用済み燃料収納用角パイプ(請求項2)は、上記角パイプにおいて、さらに前記角パイプの角部は少なくとも二段の階段状に形成した。このため、角部における肉厚を角パイプの側面における肉厚の半分以上確保できる。したがって、一段の階段状に成形したパイプと比較して、応力集中の影響を小さくできる。 【0099】また、この発明に係る使用済み燃料収納用角パイプ(請求項3)は、上記角パイプにおいて、さらに前記角パイプの階段面に、軸に垂直な方向のずれを防止する噛み合い部を設けた。この角パイプは、階段面に設けられた噛み合い部によって軸方向に対して垂直な方向の動きが規制されるので、角パイプ同士を組み合わせたときにずれにくくなる。したがって、バスケットの組立てが容易となり、また、万一の落下事故においてもバスケットの形状をより堅牢に保つことができる。 【0100】また、この発明に係る使用済み燃料収納用角パイプ(請求項4)は、斜め隣の角パイプの連結部と噛み合う構造で連結するようにしたため、角パイプ同士を組み合わせても外れにくくなり、バスケットの組立てが容易になる。また、パイプ同士にガタも生じなくなるため、万一の落下事故においてもバスケットの形状をより堅牢に保つことができる。 【0101】また、この発明に係る使用済み燃料収納用角パイプ(請求項5)は、上記角パイプにおいて、連結部の斜め隣の角パイプと噛み合う方向はそれぞれ略90度づつ異なるようにしたので、特定の方向の動きに対してずれることがなくなり、あらゆる方向の動きに対しても角パイプのずれを抑制できる。このため、バスケットの組立てが容易になり、また、万一の落下事故においてもバスケットの形状をより堅牢に保つことができる。 【0102】また、この発明に係る使用済み燃料収納用角パイプ(請求項6)は、上記角パイプにおいて、さらに前記角パイプの側面内部にフラックストラップを設けるようにした。このフラックストラップによって角パイプの見かけの厚さが大きくなるので、角パイプ同士の角部を広い面積で組み合わせることができる。したがって、ずれに対して強く組立ても容易になる。また接合部の伝熱面積も大きくできるので、使用済み燃料集合体から発生する熱を効率よくキャスクの胴本体へ伝えることができる。 【0103】また、この発明に係る使用済み燃料収納用角パイプ(請求項7)は、上記角パイプにおいてさらに角部内部にもフラックストラップを設けたので、上記角パイプの奏する作用に加え、使用済み燃料集合体を収納したセルを斜め方向に透過する中性子を減速・吸収できる。また、角パイプ自体をさらに軽くできるので、落下時における衝撃エネルギーを小さくできる。 【0104】また、この発明に係る使用済み燃料収納用角パイプ(請求項8)は、角パイプ内部に設けられたフラックストラップの軸方向に垂直な断面形状を、階段状に形成した角部の軸方向に垂直な断面形状に合わせた。このため、側面内部に設けたフラックストラップは角部の近傍まで広げることができる。また、階段部分内部に設けたフラックストラップは外壁までの肉厚を略均等にできるため、局所的に弱い部分が生ずることを防止し、応力集中の影響を緩和できる。したがって、角パイプの性能を維持してバスケットの性能劣化を抑制できる。 【0105】また、この発明に係る使用済み燃料収納用角パイプ(請求項9)は、上記角パイプにおいて、階段部分内部に設けたフラックストラップと前記側面内部に設けたフラックストラップとの間の壁が、突き合わせ側に向かって厚くなるようにした。このため、さらに角パイプの角部近傍における肉厚を確保して剛性を保つことができるので、角パイプの角部近傍における応力集中を緩和できる。したがって、角パイプの性能を維持してバスケットの性能劣化を抑制できる。 【0106】また、この発明に係る使用済み燃料収納用角パイプ(請求項10)は、上記角パイプにおいて、さらに階段状に成形された前記角パイプの角部における角部分をシャープエッジに成形し、当該シャープエッジの半径が、前記角パイプの板厚の少なくとも半分以下とした。また、この発明に係る使用済み燃料収納用角パイプ(請求項13)は、上記角パイプにおいて、さらに前記シャープエッジが面取形状であり、その面取寸法が前記角パイプの板厚の少なくとも半分以下とした。このため、隣接する角パイプ同士の突合せ面における接触範囲が板厚の半分より大きくなるから、突合せ面における応力集中を緩和でき、角パイプの性能劣化を抑制できる。 【0107】また、この発明に係る使用済み燃料収納用角パイプ(請求項11)は、上記角パイプにおいて、さらに階段状に成形された前記角パイプの角部における角部分を角部内側よりもシャープエッジに成形した。このため、角パイプの角部における突合せ面の接触面積が確保できるので、突合せ面の応力集中を緩和できる。したがって、角パイプの性能劣化を抑制でき、バスケットの信頼性を高めることができる。 【0108】また、この発明に係る使用済み燃料収納用角パイプ(請求項12)は、上記角パイプにおいて、さらに前記シャープエッジの半径が0.5mm以下とした。また、この発明に係る使用済み燃料収納用角パイプ(請求項14)は、上記角パイプにおいて、さらに前記シャープエッジが面取形状であり、その面取寸法が0.5mm以下とした。これにより、角パイプの角部における突合せ面の接触面積をさらに確保できるので、突合せ面の応力集中より緩和できる。 【0109】また、この発明に係る使用済み燃料収納用角パイプ(請求項15)は、材料として濃縮ボロンを添加したAl材を使用しているので、中性子吸収材として使用できるB10の総量は多くできる。したがって、濃縮ボロンを使用すれば、これを使用しない場合よりも薄い板厚で同じ中性吸収能を得ることができるので、バスケットの軽量化や外径の寸法を小さく抑えるのに有利である。 【0110】また、この発明に係るバスケット(請求項16)は、複数の角パイプ同士を千鳥状に組み合わせて構成したため、従来における角パイプの側面同士を合わせて構成するバスケットと比較して個々の角パイプの剛性を高くできるので、その分角パイプ側面の肉厚を薄くできる。角パイプ側面の肉厚を薄くできる。したがって、バスケットの外径を小さくでき、またキャスク等の外径がそのままであれば、収納できる使用済み燃料集合体の体数を多くできる。さらに、使用済み燃料貯蔵プール等の収納ラックに適用すると使用済み燃料集合体をより稠密に収納できるとともに、ボロン−ステンレス製品と比較して軽量化されるので、異常時においてはラックを支持する構造物にかかる荷重を軽減できる。 【0111】また、この発明に係るバスケット(請求項17)は、上記角パイプの角部を、例えば階段状に形成した角パイプを組み合わせて構成しているので、上記バスケットで奏される作用に加え、軸方向に垂直な方向に対するずれを抑制できるという作用がある。したがって、バスケットの組立てが容易となり、また、万一の落下事故においてもバスケットの形状をより堅牢に保つことができる。 【0112】また、この発明に係るバスケット(請求項18)は、バスケットを構成する角パイプのうち最外周に存在する隣り合う角パイプ同士の間に、角パイプ受けを備えた。この角パイプ受けによってバスケット外周のセルに挿入された使用済み燃棒集合体からの崩壊熱は、効率よくキャスク外部へ伝えられる。またキャスクが水平落下したときの衝撃は、この角パイプ受けによって支えられるので、キャスクの落下時にはバスケットの崩壊を防止できるので、バスケットの健全性を維持できる。 【0113】また、この発明に係るバスケット(請求項19)は、角パイプとスペーサブロックとを予めボルト等の締結具で固定しているため、キャニスタやキャスクといった使用済み燃料集合容器のキャビティ内に取付け穴等を加工する工程が不要となるため、組立てに手間を要さない。 【0114】また、この発明に係る使用済み燃料収納容器(請求項20)は、複数の角パイプ同士を千鳥状に組み合わせて全体として格子状に構成したバスケットをキャビティ内に備えるようにした。このため、角パイプの側面同士を合わせて構成するバスケットと比較して剛性が高くなるので、角パイプ側面の肉厚を薄くできる。したがって、バスケットの外径を小さくできるので、使用済み燃料収納容器の外径を従来よりも小さくできる。その結果、使用済み燃料収納容器に取り付ける緩衝体の外径を小さく抑えることができる。また使用済み燃料収納容器の外径がそのままであれば、収納できる使用済み燃料集合体の体数を多くできる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000006208 【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
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| 【出願日】 |
平成13年3月29日(2001.3.29) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100089118 【弁理士】 【氏名又は名称】酒井 宏明 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開2002−296384(P2002−296384A) |
| 【公開日】 |
平成14年10月9日(2002.10.9) |
| 【出願番号】 |
特願2001−97584(P2001−97584) |
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