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【発明の名称】 使用済燃料貯蔵容器の組立装置
【発明者】 【氏名】仲澤 辰也

【氏名】相坂 貴司

【要約】 【課題】溶接後の検査を速やかに実施でき、作業員の放射線被ばくを低減する。

【解決手段】貯蔵容器本体1と蓋2の接合部を溶接するため、蓋2上に組立装置本体3を搭載する。組立装置本体3は治具5と、治具5の円筒部5cに取着した環状レール形周回部4と、周回部4に取着した駆動部8とを主体としている。駆動部8にアーム6を取着し、アーム6に溶接トーチ部10を取着する。駆動部8をケーブル21を介して制御盤17に接続する。周回部4には溶接トーチ部10の他に超音波探傷検査部11が取着される。溶接装置部と検査装置部を周回部4に取着して移動することにより、溶接後の検査を速やかに実施でき、作業時間の短縮を図ることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 少なくとも1体の使用済燃料を収納する有底筒状貯蔵容器本体の上端開口部を蓋で覆い、前記貯蔵容器本体と前記蓋との接合面を溶接により密封した後検査して組み立てる使用済燃料貯蔵容器の組立装置において、前記蓋の上面に搭載される環状レール形の周回部と、この周回部に取り付けられてこの周回部に案内されて回動する駆動部と、前記駆動部に取着された伝達機構およびアームと、このアームに交換可能に取り付けられた溶接装置部または検査装置部とを具備したことを特徴とする使用済燃料貯蔵容器の組立装置。
【請求項2】 前記溶接装置部は前記アームに取着した溶接トーチ部と、この溶接トーチ部の前方と後方に配置された前方カメラおよび後方カメラを具備したことを特徴とする請求項1記載の使用済燃料貯蔵容器の組立装置。
【請求項3】 前記駆動部に回転装置を取り付け、この回転装置に前記伝達機構を取り付けてなることを特徴とする請求項1記載の使用済燃料貯蔵容器の組立装置。
【請求項4】 前記周回部はベースとなる治具に支持され、この治具は円板と、この円板の中央部に設けた小径円筒体または前記円板の周縁部に設けた大径円筒体とからなることを特徴とする請求項1記載の使用済燃料貯蔵容器の組立装置。
【請求項5】 前記周回部に自動溶接機と超音波探傷検査装置を相互に異なる位置に移動自在に配置してなることを特徴とする請求項1記載の使用済燃料貯蔵容器の組立装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は原子力発電所などの施設から発生する使用済燃料を貯蔵するための貯蔵容器を溶接により組み立てる使用済燃料貯蔵容器の組立装置に関する。
【0002】
【従来の技術】使用済燃料を収納し貯蔵保管する使用済燃料貯蔵容器の組立は、貯蔵容器本体の上端開口部に蓋を被せ、貯蔵容器本体と蓋との接合部を自動溶接機により溶接し密封した後、溶接部を超音波探傷検査装置により検査している。これら溶接と検査作業は個々の装置により別々に行っている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来の使用済燃料貯蔵容器を溶接によって密封する際には専用の溶接設備を使用して溶接施工を行うが、その後、密封部の健全性確認のため超音波探傷検査を行うに当たっては専用の検査設備を準備する必要がある。そのために取替え作業に多くの時間を費やすこと、また貯蔵容器付近で長時間作業を行うため、作業員の放射線被ばく量が多くなるなどの課題がある。
【0004】本発明は上記課題を解決するためになされたもので、溶接と検査を同時に行うことができ、取替え作業を簡単にし、遠隔作業により作業時間の短縮と同時に作業員の放射線被ばく量の低減を図り、溶接部を精度よく検査することができる使用済燃料貯蔵容器の組立装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る発明は、少なくとも1体の使用済燃料を収納する有底筒状貯蔵容器本体の上端開口部を蓋で覆い、前記貯蔵容器本体と前記蓋との接合面を溶接により密封した後検査して組み立てる使用済燃料貯蔵容器の組立装置において、前記蓋の上面に搭載される環状レール形の周回部と、この周回部に取り付けられてこの周回部に案内されて回動する駆動部と、前記駆動部に取着された伝達機構およびアームと、このアームに交換可能に取り付けられた溶接装置部または検査装置部とを具備したことを特徴とする。
【0006】この発明によれば、使用済燃料を収納し貯蔵保管する貯蔵容器本体に蓋を取り付け溶接により密封する。溶接は上方から円形状に行う場合と、横方向から周面に沿って行う場合とがあるが、この溶接作業を行った後、溶接部の超音波探傷検査作業を溶接と同様の要領で行う。この溶接と検査の一連の作業は交互に行う。溶接トーチ部と超音波探傷検査部は駆動部により伝達機構、アームの角度や長さ、位置等を変え溶接部に沿って任意自在に位置を変えることができる。
【0007】また、溶接装置部と検査装置部を制御盤から駆動部を介して遠隔操作することにより、縦方向または横方向の溶接と検査を行うことができ、作業員の放射線被ばく量を低減できる。
【0008】請求項2に係る発明は、前記溶接装置部は前記アームに取着した溶接トーチ部と、この溶接トーチ部の前方と後方に配置された前方カメラおよび後方カメラを具備したことを特徴とする。
【0009】この発明によれば、アームに溶接トーチを取り付け、溶接トーチの前後にカメラを設けることにより、アームの動きに伴ってカメラで溶接トーチを監視しながら、溶接トーチを溶接個所に的確に移動することができ、溶接作業を効率よく行うことができる。また、溶接部に対して1つの超音波探傷検査部であらゆる角度から検査を行うことができ、数回検査できるので、検査精度を高めることができる。
【0010】請求項3に係る発明は、前記駆動部に回転装置を取り付け、この回転装置に前記伝達機構を取り付けてなることを特徴とする。この発明によれば、回転装置により90°半時計回りに回転させると、溶接トーチ部と超音波探傷検査部を遠隔操作で交換でき、交換時間を短縮できる。また、遠隔操作により作業員の放射線被ばくを低減できる。
【0011】請求項4に係る発明は、前記周回部はベースとなる治具に支持され、この治具は円板と、この円板の中央部に設けた小径円筒体または前記円板の周縁部に設けた大径円筒体とからなることを特徴とする。この発明によれば、蓋の上面または周縁部に治具を速やかに取着し、治具自身を回転できるので、溶接および検査作業時間を短縮できる。
【0012】請求項5に係る発明は、前記周回部に自動溶接機と超音波探傷検査装置を相互に異なる位置に移動自在に配置してなることを特徴とする。この発明によれば、遠隔操作で自動溶接機と超音波探傷検査装置を操作できるので、貯蔵容器本体に近付くことなく、溶接から検査までの一連の作業を行うことができ、作業時間の短縮を図ることができる。
【0013】また、溶接部を検査しながら、他の個所の溶接作業を効率よく行うことができ、さらに遠隔操作で全ての操作を行うことができるので、作業員の放射線被ばくを低減できる。
【0014】
【発明の実施の形態】図1から図4により本発明に係る使用済燃料貯蔵容器の組立装置の第1の実施の形態を説明する。図1は本実施の形態に係る使用済燃料貯蔵容器の組立装置を貯蔵容器本体1の蓋2に搭載して溶接作業を実施している状態を示し、図2は図1の溶接装置部を一部断面で示す平面図、図3は図1において溶接作業の代りに検査作業を実施している状態を示し、図4は図3の検査装置部を一部断面で示す立面図である。
【0015】すなわち、図1において符号1は円筒状貯蔵容器本体で、下部を省略して上部のみを部分的に縦断面で示している。貯蔵容器本体1の上端開口部は周縁部が環状に突出した凹字状蓋2で覆われ、貯蔵容器本体1と蓋2との接合部は溶接トーチ部10で溶接される。この溶接部20は図3および図4に示すように溶接トーチ10と交換して取り付けられた超音波探傷検査部11で検査される。なお、符号3は組立装置本体で、環状レール形周回部4と、この周回部4を取着したベースである治具5および駆動部8を主体としている。
【0016】蓋2上には円板と、この円板に小径円筒部5cを有したベースとなる治具5が搭載される。治具5は蓋の上面と同様の形状を有する円板5aと、この円板5aに短尺小径円筒部5cが立設したものからなっている。円板5aは蓋2の上面内に沿って回転できる形状となっている。円筒部5cには水平方向に突出したモノレール形環状の周回部4が取着されている。
【0017】周回部4の一部にはカップリング7を介してモータ等の駆動部8が摺動自在に取着され、駆動部8に歯車群を有する伝達機構9を介してアーム6が取着され、アーム6に溶接装置部の溶接トーチ部10が取着されている。カップリング7には端子箱22が設置され、端子箱22はケーブル21を介して制御盤17に接続し、制御盤17からの信号を端子箱22に送り、端子箱22から駆動部8へ信号を供給する。駆動部8は伝達機構9とアーム6に指令操作を付与する。
【0018】溶接装置部は図2に示したように溶接トーチ部10に前方カメラ13と後方カメラ14がカメラ取付脚12(図示せず)を介して設けられている。溶接トーチ部10には溶接棒供給リール15が設けられている。
【0019】ここで、制御盤17から発する指令信号により遠隔操作で、駆動部8と溶接トーチ部10および前方カメラ13と後方カメラ14を操作できる。また、アーム6と伝達機構9により溶接トーチ部10を操作し下向き溶接することができる。周回部4を駆動部8が移動し、前方カメラ13および後方カメラ14を使用することで開先合わせの確認ができる。
【0020】また、周回部4上を駆動部8が移動することで貯蔵容器本体1と蓋2との接合部を上方から溶接することができる。溶接後、前方カメラ13および後方カメラ14を使用することで溶接部の外観を目視により確認できる。その後、アーム6に取り付けられている溶接トーチ部10を取り外して、図3および図4に示したように超音波探傷検査部11をアーム6に取り付ける。
【0021】溶接トーチ部10と超音波探傷検査部11の交換後、図3および図4に示す実線のように超音波探傷検査部11を溶接部20に近接配置して斜角による超音波探傷検査を実施することで、溶接部20内の欠陥を検出することができる。
【0022】さらに、アーム6は伸縮自在の構造になっており、図3および図4に示した破線のように超音波探傷検査部11を貯蔵容器本体1の外側に移動して配置し、溶接部20に対して斜角による超音波探傷検査を実施することで溶接部20内の欠陥を検出できる。超音波探傷検査を溶接部20に対して左右両側から実施することで超音波探傷検査の精度を高めることができる。
【0023】本実施の形態によれば、溶接作業および検査作業を遠隔操作で行うことができるので、作業時間を短縮化できる。また、アーム6の着脱による取替え作業であるので、貯蔵容器本体1の付近に長時間居る必要がなく、しかも取替え作業による作業時間の短縮化と相俟って作業員の放射線被ばくを低減することができる。さらに、前記超音波探傷検査を溶接部20の両側から実施することで超音波探傷検査の精度を高めることができる。
【0024】つぎに図5から図8により本発明に係る使用済燃料貯蔵容器の組立装置の第2の実施の形態を説明する。第1の実施の形態が縦方向下向きの溶接と検査であるのに対して、本実施の形態は貯蔵容器本体1と蓋2の横方向の接合部を横方向から溶接して使用済燃料貯蔵容器本体1を組み立てる場合に生じる横方向の溶接と超音波探傷検査である。つまり、貯蔵容器本体1の外周面の溶接作業と検査作業を横方向から交互に行うことができるように構成したことにある。
【0025】すなわち、蓋2上に搭載して取着する治具5’を、蓋2の外側を包囲し回転できるよ環状円板5bと、この環状円板5bの外周に取り付けられた大径円筒部5dとから構成する。この大径円筒部5dに周回部4を取着し、周回部4にカップリング7を介して駆動部8を取着し、駆動部8にアーム6を介して溶接トーチ部10を取着する。なお、大径円筒部5dの下端部は蓋2の外側面に接して嵌め合うための突出部が形成されている。
【0026】溶接トーチ部10の向きはアーム6を操作して貯蔵容器本体1と蓋2との側方向の溶接部20に対向した位置とし、図6に示したように溶接トーチ部10の両側に前方カメラ13と後方カメラ14が設置される。
【0027】図7および図8は図5および図6における溶接トーチ部10の代りに超音波探傷検査部11をアーム6に取り付けたものであり、図5および図6と同一部分には同一符号を付して重複する部分の説明は省略する。本実施例では溶接部20に沿って超音波探傷検査部11を回転させて検査する。
【0028】本実施の形態によれば、貯蔵容器本体1に蓋2を載せた場合に生じる横方向の接合部に対して横方向の溶接および超音波探傷検査を段取り良く行うことができ、もって使用済燃料貯蔵容器を速やかに組み立てることができる。
【0029】つぎに図9から図12により本発明に係る使用済燃料貯蔵容器の組立装置の第3の実施の形態を説明する。図9は本実施の形態に係る組立装置の縦断面図で、図10は図9の溶接機操作時の上面図、図11は図9の超音波探傷検査部操作時の上面図で、図12は側面図を示している。
【0030】本実施の形態は第1および第2の実施の形態において、図9から図11に示したように駆動部8に回転装置16を取り付け、この回転装置16に90°の角度に一対の伝達機構9を取り付けたものである。一方の伝達機構9にはアーム6を介して溶接トーチ部10または超音波探傷検査部11が取着されている。また、他方の伝達機構9にはアーム6を介して超音波探傷検査部11が取着されている。その他の部分は第1および第2の実施の形態と同様であり、各図中、図1から図4と同一部分には同一符号を付して重複する部分の説明は省略する。
【0031】本実施の形態によれば、図10に示す状態から回転装置16により90°反時計回りに回転させると溶接トーチ部10と超音波探傷検査部11の位置を図11に示すように変えることができる。これを正面から見ると、図12の左側の状態から右側の状態へ変化する。すなわち、制御盤17から駆動部8を介して回転装置16に指令信号が入力されると、遠隔操作で溶接トーチ部10と超音波探傷検査部11を交換することができ、取替え作業による時間の短縮化を図ることができる。また、貯蔵容器本体1に近付くことなく交換作業ができるので、作業員の放射線被ばくを低減できる。
【0032】つぎに図13および図14により本発明に係る使用済燃料貯蔵容器の組立装置の第4の実施の形態を説明する。本実施の形態が第1の実施の形態と異なる点は、小径円筒部5cの左側に自動溶接機18を取着し、右側の180°対向した位置に超音波探傷検査装置19を取着したことにある。自動溶接機18は図14に示したように、駆動部8と、駆動部8に取着された溶接棒供給リール15、溶接トーチ部10、前方カメラ13および後方カメラ14を備えたものからなっている。
【0033】超音波探傷検査装置19は駆動部8と超音波探傷検査部11とで構成されている。自動溶接機18と超音波探傷検査装置19は周回部4に相互に180°対向した位置に配置されている。自動溶接機18が周回部4上を移動することにより、円周面の溶接部20は回転しながら連続的に溶接される。また、超音波探傷検査装置19も同様に周回部4上を移動することにより連続的に溶接部20は検査される。なお、図13および図14中、図1から図4と同一部分には同一符号を付して重複する部分の説明は省略する。
【0034】本実施の形態によれば、遠隔操作で自動溶接機18と超音波探傷検査装置19を操作できるので、貯蔵容器本体1に近付くことなく溶接から検査までの一連の作業を実施することができ、作業時間の短縮を図ることができる。また、自動溶接機18と超音波探傷検査装置19を個々に操作できるので、溶接部20の検査を実施しながら他の個所では溶接施工を実施できて作業の効率を良くすることができる。さらに、遠隔で全ての操作を行うため、作業員の放射線被ばく量を低減することができる。
【0035】
【発明の効果】本発明によれば、溶接装置と検査装置の取替え作業を簡単にし、また遠隔操作による取替え作業を実施することによって、作業時間の短縮化を図ることができる。このため、作業員の放射線被ばくを低減することができる。
【出願人】 【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
【出願日】 平成13年3月30日(2001.3.30)
【代理人】 【識別番号】100087332
【弁理士】
【氏名又は名称】猪股 祥晃 (外2名)
【公開番号】 特開2002−296383(P2002−296383A)
【公開日】 平成14年10月9日(2002.10.9)
【出願番号】 特願2001−100089(P2001−100089)