| 【発明の名称】 |
加圧水型原子炉用制御棒 |
| 【発明者】 |
【氏名】新名 茂
【氏名】億田 英三
【氏名】来山 正昭
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| 【要約】 |
【課題】耐摩耗表面処理層が形成された上部領域と下部領域を外観上容易に区別することができる手段を備えた加圧水型原子炉用制御棒の提供。
【解決手段】被覆管内部に中性子吸収体を収容し、その両端が上部端栓および下部端栓で溶接密封され、前記被覆管の外表面上に、予め定められた下部領域上とその上部領域上とで互いに異なる厚みで耐摩耗表面処理層が形成されている加圧水型原子炉用制御棒において、前記下部領域上の表面処理層と前記上部領域上の表面処理層との境界線上に沿って形成され、これら上下領域を外観的に区別できる識別部を備えた。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 被覆管内部に中性子吸収体を収容し、その両端が上部端栓および下部端栓で溶接密封され、前記被覆管の外表面上に、予め定められた下部領域上とその上部領域上とで互いに異なる厚みで耐摩耗表面処理層が形成されている加圧水型原子炉用制御棒において、前記下部領域上の表面処理層と前記上部領域上の表面処理層との境界線上に沿って形成され、これら上下領域を外観的に区別できる識別部を備えたことを特徴とする加圧水型原子炉用制御棒。 【請求項2】 前記識別部は、被覆管表面を露呈するように予め定められた幅で制御棒周上に溝状に設けられた非表面処理領域を含むことを特徴とする請求項1に記載の加圧水型原子炉用制御棒。 【請求項3】 前記識別部は、互いに異なる発色の前記上部領域の表面処理層と前記下部領域の表面処理層との間の境界を含むことを特徴とする請求項1に記載の加圧水型原子炉用制御棒。 【請求項4】 前記識別部は、予め定められた前記境界線に相当する被覆管部位に周上に形成された溝状くぼみと、該くぼみ上を含む被覆管表面上に形成される表面処理層に現れる溝状くぼみとを含むことを特徴とする請求項1に記載の加圧水型原子炉用制御棒。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、加圧水型原子炉燃料集合体に挿入される制御棒に関するものであり、詳しくは、耐摩耗性表面処理層を有する加圧水型原子炉用制御棒に関するものである。 【0002】 【従来の技術】加圧水型原子炉(PWR)の燃料集合体は、複数本の燃料棒が支持格子や上下ノズルによって支持されて正方格子状に構成されるものであるが、燃料集合体中には、ほぼ均一に制御棒案内管が配置されている。制御棒案内管に挿入される制御棒は、内部に中性子吸収体を収納した被覆管の両端部を上部端栓および下部端栓でそれぞれ溶接密封されたものである。 【0003】このような制御棒は、各上部端栓の上端部が、同一スパイダー部から放射状に延びるアームの各フィンガー部にネジ止め固定されることによって制御棒クラスタとして組み立てられている。 【0004】この制御棒クラスタは、制御棒駆動装置の駆動軸に連結され、原子炉通常運転時には炉心の上方に引き上げられており、運転停止時には制御棒クラスタが炉心上方の制御棒クラスタ案内管に沿って下降して炉心に挿入され、各制御棒は燃料集合体中の制御棒案内管内に挿入される構成となっている。 【0005】制御棒クラスタが炉心上方に引き上げられている状態においては、制御棒の上部領域は制御棒クラスタ案内管内に位置し、制御棒先端の下部領域のみが燃料集合体の制御棒案内管内にある。従って、従来は、制御棒クラスタ案内管との干渉による摩耗が認められていたのは制御棒の上部領域であり、この上部領域の制御棒被覆管表面に耐摩耗表面処理層が形成されていた。 【0006】しかしながら、現在では、制御棒クラスタが炉心上方に引き上げられている状態において燃料集合体の制御棒案内管内にある制御棒先端の下部領域では、他の部分に比べて冷却水による振れが大きくなりやすいため、フレッティングによる影響が大きく、摩耗の発生が大きくなる場合もあることが認められ、この制御棒下部領域の被覆管表面上にも耐摩耗表面処理層が形成されるようになった。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】一方、上記の如く制御棒の上部領域と下部領域に形成される耐摩耗表面処理層は、制御棒クラスタの挿入特性に悪影響を与えないように、互いに異なる層厚に調整されている。 【0008】しかしながら、この耐摩耗表面処理層は、同一工程で両領域に亘って連続的に形成されていたため、厚さの違いはあっても、表面状態は両領域とも互いに同等であるため、外観上は区別することが困難であった。従ってこれら上部領域と下部領域の範囲をそれぞれ別個に検査する必要がある場合、両者の境界が不明瞭であるため、耐摩耗表面処理層の厚みを測定しながら2つの領域の境界を確認して行うという手間のかかる方法しかなかった。 【0009】本発明の目的は、上記問題点に鑑み、耐摩耗表面処理層が形成された上部領域と下部領域を外観上容易に区別することができる手段を備えた加圧水型原子炉用制御棒を提供することにある。 【0010】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明に係る加圧水型原子炉用制御棒は、被覆管内部に中性子吸収体を収容し、その両端が上部端栓および下部端栓で溶接密封され、前記被覆管の外表面上に、予め定められた下部領域上とその上部領域上とで互いに異なる厚みで耐摩耗表面処理層が形成されている加圧水型原子炉用制御棒において、前記下部領域上の表面処理層と前記上部領域上の表面処理層との境界線上に沿って形成され、これら上下領域を外観的に区別できる識別部を備えたものである。 【0011】また請求項2に記載の発明に係る加圧水型原子炉用制御棒は、請求項1に記載の加圧水型原子炉用制御棒において、前記識別部は、被覆管表面を露呈するように予め定められた幅で制御棒周上に溝状に設けられた非表面処理領域を含むものである。 【0012】また、請求項3に記載の発明に係る加圧水型原子炉用制御棒は、請求項1に記載の加圧水型原子炉用制御棒において、前記識別部は、互いに異なる発色の前記上部領域の表面処理層と前記下部領域の表面処理層との間の境界を含むものである。 【0013】さらに請求項4に記載の発明に係る加圧水型原子炉用制御棒は、請求項1に記載の加圧水型原子炉用制御棒において、前記識別部は、予め定められた前記境界線に相当する被覆管部位に周上に形成された溝状くぼみと、該くぼみ上を含む被覆管表面上に形成される表面処理層に現れる溝状くぼみとを含むものである。 【0014】本発明においては、被覆管の外表面上に、互いに異なる厚みで耐摩耗表面処理層が形成されている予め定められた下部領域上とその上部領域上との境界線上に沿って、これら上下領域を外観的に区別できる識別部が形成されたものであるため、上下領域の範囲をそれぞれ別個に検査したい場合にも、表面処理層の厚みを測りながら確認することなく両者を識別部によって容易に区別できるので、検査作業が非常に簡単になる。 【0015】この本発明の識別部は、光学的装置による認識や目視による認識など、外観上の確認が容易に行えるものであれば種々のものが採用可能である。耐摩耗表面処理層は、被覆管に応じてその表面への付着性が良く、しかも原子炉運転中においてもその付着性が維持されるものが適宜選択されるが、クロムメッキや、ニッケルメッキ、チッ化処理、ショットブラスト等、従来から用いられている一般的な表面処理層でその表面状態に明らかな相違が見られるものが好ましい。 【0016】例えば、請求項2に記載したように、被覆管表面を露呈するように予め定められた幅で制御棒周上に溝状に設けらた非表面処理領域を含む識別部であれば、この溝状の被覆管表面露呈部と表面処理層の表面状態との外観上の相違から容易に識別部を確認できる。 【0017】この場合、例えば被覆管表面と異なる金属メッキ層を表面処理層とすれば、両者の相違は溝状の明暗境界も含めて目視を含む光学的手法により容易に確認できる。またこのような識別部は、被覆管の予め定められた境界線上を所定幅でマスキングしながら表面処理層を形成するなど、同一工程における連続的な表面処理層の形成方法であっても簡単に識別部が得られる。 【0018】なお、この非表面処理層を含む識別部の場合、その幅は、露呈する被覆管表面を上下の表面処理層による耐摩耗性能で補える充分小さい範囲に抑えるものとする。 【0019】あるいは、請求項3に記載したように、予め上部領域と下部領域の表面処理層とで互いに発色の異なるものを用いれば、その境界は識別部として非常に明確なものとなる。 【0020】このような発色の違いによる識別部は、例えば、金属メッキによる表面処理層の形成の場合、上部領域用と下部領域用とで用いるメッキ液を互いに異なる組成としたり異なる色成分を含有させておいたり、また異なる素材を用いて前記境界線で切り替えれば、容易に発色の異なる表面処理層を形成することができる。 【0021】または、上記のように表面処理層に直接的に設けられた識別部に限らず、請求項4に記載したように、被覆管側の構成に基づいて形成された識別部も可能である。即ち、被覆管表面の前記境界線上に溝状くぼみを形成しておけば、該くぼみを含む被覆管表面に表面処理層を連続的に形成すれば、前記被覆管表面のくぼみに重なって表面処理層にも溝状のくぼみが現れ、これを識別部として用いることができる。この識別部は、被覆管加工に寄らないで表面処理層の層厚差のみによって形成される溝状くぼみよりも深く形成できて識別し易いものであると同時に形成が容易である。 【0022】 【発明の実施の形態】本発明の第1の実施形態として、所定幅の非処理表面領域からなる識別部を備えた加圧水型原子炉用制御棒を図1に示す。図1(a)は制御棒の概略全体図、(b)は識別部付近の概略縦断面図であり、被覆管内部の詳細は省いたものである。 【0023】本実施形態による制御棒1は、内部に中性子吸収体3を収容した被覆管2の下端を下部端栓6で、上端をコイルバネ4を介して上部端栓5でそれぞれ溶接密封して構成されるものであるが、さらに被覆管2の外表面上に耐摩耗表面処理層9を形成するものである。 【0024】本実施形態においては、制御棒1の図中Xで示した上部領域の耐摩耗表面処理層9は、前述のように制御棒クラスタ案内管および燃料集合体中の制御棒案内管内での挿脱による接触、干渉に対する耐摩耗性から、図中Yで示した下部領域、即ち、原子炉通常運転時に制御棒案内管内にある制御棒先端部に生じ得るフッレッティングの影響に対する耐摩耗性に必要な表面処理層より厚く調整されている。 【0025】さらに、本実施形態の制御棒1では、これら上部領域Xと下部領域Yとの境界が外観上容易に確認されるように、その境界線上に沿って、約0.5mm幅の非表面処理領域からなる識別部10が設けられている。 【0026】この識別部10では、その幅領域に亘って表面処理層9が形成されておらず、被覆管2の表面が露呈するものである。従って、この識別部10は画像モニターや明暗境界の検知等の光学的手法だけでなく目視確認によっても容易に識別できるため、上下の両領域を簡単に区別できるので、両領域のそれぞれの検査作業は、従来のような表面処理層の厚みを測定しながら両領域の境界を確認しつつ行う必要はなくなり、非常に簡単となる。 【0027】なお、この識別部10は、例えば耐摩耗表面処理層9をクロム等の金属メッキにより形成する場合、上下両領域に亘って同一工程で連続的に形成していく場合でも、被覆管2表面上の予め定められた境界線上に沿って所定幅でマスキングを行ってメッキ施工すれば、容易に形成することができる。 【0028】また、本発明の第2の実施形態として、図1とは異なる構成で識別される識別部を備えた加圧水型原子炉用制御棒を図2の概略縦断面図(被覆管内の詳細な省略)に示す。 【0029】本実施形態の制御棒11は、被覆管2の構成は図1の制御棒と同様であるが、耐摩耗表面処理層として、上部領域Xと下部領域Yとで互いに異なる発色の表面処理層(19x、19y)としたものである。この両処理層の発色の境界が即ち識別部20として作用し、容易に両領域を区別することができる。 【0030】このような互いに発色の異なる表面処理層(19x,19y)の形成は、例えば、耐摩耗表面処理層を金属メッキ層で構成する場合、それぞれの領域用のメッキ液を発色が異なる組成とすれば良い。この場合、上下部領域(X,Y)に亘って連続的に同一工程で表面処理層を形成することはできないが、用いるメッキ液を境界位置から切り替えるだけであるので、作業は簡単である。 【0031】また、このようにメッキ液を切り替える方法であれば、メッキ液を互いに異なる組成とする以外にも互いに全く異なる材質とすることによっても識別部を形成することができる。この場合、選択される材質は、表面処理層形成後の表面状態が色調や質感の明確に異なるもの同士とすれば良い。 【0032】また、以上のような耐摩耗表面処理層を形成する過程において設けられる識別部に限らず、被覆管側の形状に基づいて現れる識別部も考えられる。 【0033】このような被覆管側に所定の加工を施すことによって形成される識別部の例を本発明の第3の実施形態による加圧水型原子炉用制御棒として、図3の概略縦断面図(被覆管内部の詳細は省略)に示す。 【0034】本実施形態の制御棒21は、被覆管22の、予め定められた上部領域Xと下部領域Yとの境界線上に0.5mm幅で周上に溝状くぼみ31が形成されたものである。この被覆管22の表面上の上下部領域に亘って、従来と同様に同一工程で連続的に耐摩耗表面処理層29を形成すれば、被覆管22の溝状くぼみ31に応じて表面処理層29にも溝状くぼみ30が現れる。 【0035】この溝状くぼみ30は外観上容易に確認できるので、上部領域Xと下部領域Yとを区別する識別部として利用することができる。このような被覆管22側の加工形状に基づいて構成される識別部(溝状くぼみ)30は、被覆管22の製造の際に一工程増えるだけで、耐摩耗表面処理層29の形成工程には何ら影響はなく、簡単に得られるものである。 【0036】また、このような被覆管23の溝状くぼみ31上に形成される識別部30は、上部領域Xと下部領域Yとで表面処理層29の厚さが同じに設定された場合でも明確に現れる。 【0037】なお、本発明の制御棒における識別部は、以上の実施形態に示したものに限らず、外観上容易に識別できるものであれば、広く採用可能である。 【0038】また、本発明の制御棒において下部領域Yに形成する耐摩耗表面処理層9の下限は、通常求められるフレッティングの影響に対する耐摩耗性能の必要からは、図4(a)に示すように被覆管2の下端と下部端栓6との溶接部7の直上までで充分であるが、溶接部7を越えて下部端栓6表面上まで延在して設ければ、溶接部7が耐摩耗表面処理層9に覆われるため、この溶接部7における端栓封着部の部分的開口や、端栓脱落による制御材リークの可能性をも防ぐことができる。 【0039】 【発明の効果】以上説明したとおり、本発明によれば、外観上簡単に確認できる識別部によって、制御棒の耐摩耗表面処理層の上部領域と下部領域との境界を容易に区別できるため、上下部領域の範囲をそれぞれ区別して検査する場合の作業を容易にするという効果がある。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000165697 【氏名又は名称】原子燃料工業株式会社
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| 【出願日】 |
平成13年3月30日(2001.3.30) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100092082 【弁理士】 【氏名又は名称】佐藤 正年 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開2002−296382(P2002−296382A) |
| 【公開日】 |
平成14年10月9日(2002.10.9) |
| 【出願番号】 |
特願2001−99636(P2001−99636) |
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