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【発明の名称】 原子燃料集合体の制御棒案内シンブル管と最下部支持格子との連結加工方法とその連結加工用具
【発明者】 【氏名】小濱 正和

【要約】 【課題】原子燃料集合体の組立作業において、制御棒案内シンブル管を最下部支持格子に突設のスリーブに連結加工する方法で、当該加工による制御棒案内シンブル管の縮長補正を不要とし、加工用具の小形化と操作性の飛躍的改善を図る。

【解決手段】下部ノズルプレート5に上設の最下部支持格子3Aから下向きに所要数のスリーブ7を突設し、下部端栓1bに周溝条1dの凹設された制御棒案内シンブル管1を最下部支持格子3Aの上面部開口3dからスリーブ7内に嵌装して、周溝条1dをスリーブ7内に配装する。この状態で短尺ですむ連結加工用具をスリーブ7に下位側から嵌装操作して、スリーブ7の周壁を下部端栓1bの周溝条1d内に押し込む変形接合加工(カシメ)により係嵌する。これにより下部端栓1bの不本意な縮長が回避され、加工作業終了後にカシメ部分の目視確認も可能となる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 原子燃料集合体における下部ノズルプレートの上位に配設される最下部支持格子の下面部にあって、直交状にて所要数だけ突設されたスリーブに、制御棒案内シンブル管の下部端栓を上記最下部支持格子の上面部開口側から内嵌することによって、当該下部端栓に凹設した周溝条を前記の突設されたスリーブ内に配装し、当該配装状態下にあってスリーブの周壁を、上記した下部端栓の周溝条内に押し込む変形接合加工により係嵌させるようにしたことを特徴とする原子燃料集合体の制御棒案内シンブル管と最下部支持格子との連結加工方法。
【請求項2】 外筒部の突設された駆動源と、当該駆動源の稼動により上記外筒部内にあって軸線方向へ突出自在であり、かつ先端側には先細りテーパ頭部の形成されている駆動ピンと、上記外筒部の先端側にあって複数に分割されて回動支点により回動自在なるよう枢支されたカシメ加工用割体とを具備し、上記駆動源の稼動による突出した駆動ピンと、上記駆動源の稼動により突出した駆動ピンの前記先細りテーパ頭部が、上記のカシメ加工用割体の基端側テーパ摺接面に摺動することにより、当該カシメ加工用割体が前記回動支点によって先端側縮径方向へ回動自在であり、これによりカシメ加工用割体の先端側内周面に突設された突周爪が、下部端栓に凹設された周溝条内へ、この下部端栓に被嵌されたスリーブの周壁が押し込みカシメ加工により係嵌されるようにしたことを特徴とする請求項1に記載した原子燃料集合体の制御棒案内シンブル管と最下部支持格子との連結加工方法の実施に使用される一ないし二以上を併装状態に装設した連結加工用具。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は既知の通り原子燃料集合体を組み付ける際にあって、下部ノズルプレートの上側に配送された最下部支持格子に対して所要複数本のスリーブを固設しておき、当該スリーブに上位側から制御棒案内シンブル管を内嵌し、この状態下にあって当該制御棒案内シンブル管が抜け止めとなるように外力を加えて変形加工を行い、かくして当該制御棒案内シンブル管を最下部支持格子に結合させるための連結加工方法と、この方法の実施に使用することのできる連結加工用具に関する。
【0002】
【従来の技術】既知の通り原子燃料集合体Aは、図2に例示する如く上位側から複数本の制御棒案内シンブル管1を垂設した上部ノズル2、所要数の支持格子3で縦装保持される燃料棒4、そして最下部支持格子3Aの下位に配設した下部ノズルプレート5等である構成部材を備えて、一体に結合されたものである。このような原子燃料集合体Aを組み上げる際には、前記の通り最下部支持格子3Aに制御棒案内シンブル管1の下端部を結合する必要があるが、そのための結合加工方法としては図3と図4とによって理解される以下の如き手段が実施されて来ている。すなわち、上記の最下部支持格子3Aには、その上面部3aから突出するように上向きスリーブ3bを溶接手段等により接合しておき、当該上向きスリーブ3bには上位側から制御棒案内シンブル管1を内嵌するのであり、図3(A)にあって1a、1bはその管部1cの上下に溶接された夫々既知のカラーと下部端栓を示している。
【0003】さて上掲従来の結合加工方法は、スウェージ加工を採用したもので図3(B)に示す如きスウェージ加工用具6を用いるが、これは用具主筒6aと先端嵌入部6bとの間に、ウレタンゴムによる押し潰し体6cを挟装しておき、上記先端嵌入部6bの連結杆6dを、図示されていない油圧機器により矢印Y方向へ牽引することで、押し潰し体6cを拡径状態に変形自在としたものである。さらに図4を参照して上記の拡径変形結合加工状態につき説示すると、上記のスウェージ加工用具6は、上向きスリーブ3bに内嵌した制御棒案内シンブル管1の最上位に設けられたカラー1aより、管部1c内へ嵌入することになることから、当然可成り長尺のものを使用しなければならず、従ってその操作性に関し望ましい結果を得ることが出来ない。そして前記のようにして押し潰し体6cの膨出により図4におけるスウェージ加工による拡管結合加工部Pが形成されることになるため、管部1cと上向きスリーブ3bが同時拡管されることで、当該両者1c、3bに僅かな長手方向の縮みが生じ、この縮みは制御棒案内シンブル管1毎に差異を生ずるため、各縮み長さのばらつきを補正しなければならない。
【0004】このため上記従来手段にあっては、図4のように下部端栓1bの直下にあって下部ノズルプレート5にブッシュ5aなる部材を螺嵌介装させておき、これを螺回操作することで、制御棒案内シンブル管1の長さを、すべて均一となるように整合させる必要がある。また上記した拡管結合加工部Pは、最下部支持格子3Aの上位に形成されることになるから、当該スウェージ加工完了後にあって、当該拡管結合加工部Pの膨出状態につき、その良否を目視により直接確認することが困難となる。
【0005】しかも当該スウェージ加工によるときは、前記の如くウレタンゴムによる押し潰し体6cを用いるため、通常のウラン燃料のように発熱を起こさない燃料集合体の組立作業であれば、ウレタンゴムに対する熱影響はないため支障はないが、MOX燃料のように組立作業を行っている状態にあって発熱を伴うような場合には、ウレタンゴムによる押し潰し体6c自体の採択が不能となり、この種の従来手段によっての組立作業はできないことになる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の如きスウェージ加工手段の有する難点に鑑み検討されたもので、請求項1によるときは最下部支持格子の上面部ではなしに、下面部にあってスリーブを突設するようにし、制御棒案内シンブル管は上位側から上記のスリーブに内嵌するが、当該制御棒案内シンブル管の下部端栓には周溝条を穿設しておき、この際請求項2によって明示されるような連結用加工用具等を用いることで、これに設けられた突周爪によりスリーブの周壁が上記の周溝条内に押し込むカシメ加工(変形接合加工)により係嵌されるようにするのである。そしてこのような加工作業は最下部支持格子の下位側から容易に施工し得るようになるのはもちろん、このことにより前記従来例の如く長尺な加工用具の使用を不要となし、かつ、当該変形接合加工箇所を目視により確認することができ、しかも、上記の如くスリーブが変形加工されるだけで、制御棒案内シンブル管の縮みは生じないことから、縮みの補正に伴う構造部材も不要となり、補正作業の問題を完全に解消しようとしている。しかも当該発明に係る方法では、従来例の如きウレタンゴムによる押し潰し体の使用がないことから、MOX燃料のようにそれ自体が発熱するような場合にあっても、全く支障なく施工できるようにするのが、その目的である。
【0007】次に請求項2に係る連結加工用具は、駆動源によって突出される駆動ピンに形成された先細りテーパ頭部により、外筒部に回動支点にて枢支されたカシメ加工用割体を、その基端側テーパ摺動面との摺動により先端側が縮径状態となるよう開閉動自在に構成しておく。そして上記のカシメ加工用割体における先端側内周面にあって突周爪を突設しておくことで、当該突周爪により前記したスリーブの周壁を軸心側へ変形し、これによって制御棒案内シンブル管の周溝条に対する変形接合加工が可能となるよう構成してあり、かくしてスリーブに最下部支持格子の下位側からカシメ加工用割体を被嵌装入して、周溝条と突周爪との位置合わせを行い、駆動源を稼動するだけで簡易迅速に当該カシメ加工を実施し得るようにするのが、その目的である。
【0008】
【課題を解決するための手段】本願請求項1は上記の目的を達成するため原子燃料集合体における下部ノズルプレートの上位に配設される最下部支持格子の下面部にあって、直交状にて所要数だけ突設されたスリーブに、制御棒案内シンブル管の下部端栓を上記最下部支持格子の上面部開口側から内嵌することによって、当該下部端栓に凹設した周溝条を前記の突設されたスリーブ内に配装し、当該配装状態下にあってスリーブの周壁を、上記した下部端栓の周溝条内に押し込む変形接合加工により係嵌させるようにしたことを特徴とする原子燃料集合体の制御棒案内シンブル管と最下部支持格子との連結加工方法を提供しようとしている。
【0009】次に請求項2にあっては、上記請求項1に係る連結加工方法の実施に使用される一ないし二以上を併装状態に装設した連結加工用具に関し、外筒部の突設された駆動源と、当該駆動源の稼動により上記外筒部内にあって軸線方向へ突出自在であり、かつ先端側には先細りテーパ頭部の形成されている駆動ピンと、上記外筒部の先端側にあって複数に分割されて回動支点により回動自在なるよう枢支されたカシメ加工用割体とを具備し、上記駆動源の稼動による突出した駆動ピンと、上記駆動源の稼動による突出した駆動ピンの前記先細りテーパ頭部が、上記のカシメ加工用割体の基端側テーパ摺接面に摺動することにより、当該カシメ加工用割体が前記回動支点によって先端側縮径方向へ回動自在であり、これによりカシメ加工用割体の先端側内周面に突設された突周爪が、下部端栓に凹設された周溝条内へ、この下部端栓に被嵌されたスリーブの周壁が押し込みカシメ加工により係嵌されるようにしたことを特徴としている。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明につき以下詳記すると請求項1に係る連結加工方法は、まず図1によって理解される通り既設の原子燃料集合体Aにあって、その下部ノズルプレート5の上位に配設されている最下部支持格子3Aの下面部3cから直交状にて、既知の如く所要数だけのスリーブ7を同上図(C)の如く下向きに突設し、当該スリーブ7を嵌合した貫通口8に対して、その上面部3aにおける上面部開口3d側から、図1(A)の制御棒案内シンブル管1を矢印X1方向へ進入し、その下部端栓1bをスリーブ7に内嵌することによって、この際予め当該下部端栓1bに凹設しておいた周溝条1dを、前記の下方へ突出させたスリーブ7内に配装するのである。
【0011】次に上記の如き配装状態下にあって、上記の下面部3cから下突されたスリーブ7の周壁を上記した下部端栓1bの周溝条1d内へ適宜の手段により押し込むことにより、スリーブ7の周溝条1dに対するカシメ加工すなわち変形接合加工を行い、当該スリーブ7を下部端栓1bに係嵌させるのである。従ってもちろん下部端栓1b自体の変形はなく、このため制御棒案内シンブル管1に関しては、その長さに縮みが生ずることなしに両者1、1bの連結加工がなされることになる。
【0012】次に請求項2に係る連結加工につき図1(B)を参照して以下説示すると、空圧シリンダとか油圧シリンダによる駆動源9と、これより突設された外筒部10と、駆動部9の稼動によって外筒部10の軸線方向X2へ突出自在なるよう嵌入された駆動ピン9aが具備されており、この駆動ピン9aにおける先端側には先細りテーパ頭部9bが形成されている。さらに、上記した外筒部10における先端側にあって、図示例では二個に分割されて回動支点9c、9cによって矢印X3、X3方向へ回動自在なるようカシメ加工用分割体9d、9dが枢着されていると共に、このカシメ加工用分割体9d、9dの先端側内周面9eからは、図示例にあって角状とした突周爪9fが突設されている。
【0013】そして前記した駆動源9の稼動により突出した駆動ピン9aにおける先細りテーパ頭部9bが、上記したカシメ加工用分割体9d、9dに形成されている基端側テーパ摺接面9gに対して摺動することになり、このことでカシメ加工用分割体9dが回動支点9c、9cによって先端側縮径方向へ回動し、この結果前説の突周爪9fが下部端栓1bに予め形成の前記周溝条1dへ、下部端栓1bに被嵌されたスリーブ7の周壁が、押し込みカシメ加工によって係嵌されるよう構成されている。従って上記の連結加工具を用いれば、原子燃料集合体Aにあってその最下部支持格子3Aにおける下位側から、突設されているスリーブ7に対し、カシメ加工用分割体9d、9dを被嵌するが、この際図1(B)の如くスリーブ7側に着脱自在なるよう取着された組立用プレート11に押当するといった任意の手段で、係止爪9fが丁度、制御棒案内シンブル管1に設けた周溝条1dと合致するようにし、前記駆動源9を稼動すれば、前記した連結加工方法を迅速かつ容易に実施することができる。
【0014】このようにしてカシメ加工が終われば駆動源9の軸動ピン9aを復動することで、当該連結用加工用具をスリーブ7から取り外せばよく、この際スリーブ7は最下部支持格子3Aの下方に突設されているから、カシメ加工により形成されたカシメ加工部の状態を目視により容易に確認することができる。なお、図1(B)の12は、カシメ加工用割体9dを前記の矢印X3と反対方向に回動させるための復帰用スプリングである。さらに請求項2にあっては上記した連結加工用具を、任意に制御棒案内シンブル管1の数だけ併設して、一度に一つの油圧シリンダ等の稼動で、効率的な連結加工方法を実施することも当然可能となる。
【0015】
【発明の効果】本発明は以上のようにして実施し得るものであるから請求項1による連結加工方法は、最下部支持格子から下突のスリーブに制御棒案内シンブル管を嵌装し、しかも、その下部端栓に周溝条を凹設しておき、最下部支持格子の下端に配した連結用加工用具によって、カシメ加工を行うようにしたものであるから、従来の如き長尺の連結加工用具が不要となり、コンパクトな用具によって簡易迅速な加工を行うことができ、しかも連結加工箇所の確認を容易に行うことができる。
【0016】しかも重要なことは周溝条に対するスリーブのカシメ加工によって連結加工を行い得ることから、当該加工時に制御棒案内シンブル管の縮みが生ぜず、従ってこれまでのスウェージ加工によるものに比し、複数本の制御棒案内シンブル管につき、その縮みを整合させるといった作業に労力と時間をかける必要がなくなり、また当該整合のための補正作業に、別途補正部材を配設しておくといったことも不要とすることができる。また従来法のようにウラン燃料の原子燃料集合体でなく作業中にも発熱するMOX燃料による場合であっても、ウレタンゴム等を使用せずに施工できることから、全く心配なしに連結加工を実施することができる。
【0017】そして請求項2に係る連結加工用具に関しても、前掲スリーブに被嵌して駆動源を稼動することで、スリーブを制御棒案内シンブル管の周溝条に対してカシメ加工することが簡易迅速に実施でき、当然のことながら複数の連結加工用具を併設することで一度に制御棒案内シンブル管と各スリーブとの連結作業を完結でき、このようにすることで原子燃料集合体の組立作業に要する時間を大幅に短縮することも可能となる。
【出願人】 【識別番号】000165697
【氏名又は名称】原子燃料工業株式会社
【出願日】 平成13年3月29日(2001.3.29)
【代理人】 【識別番号】100090435
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 義雄
【公開番号】 特開2002−296381(P2002−296381A)
【公開日】 平成14年10月9日(2002.10.9)
【出願番号】 特願2001−96732(P2001−96732)