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【発明の名称】 金属製密閉容器と金属製密閉容器の乾燥方法
【発明者】 【氏名】南 正晴

【氏名】浅田 和雄

【氏名】川上 哲治

【氏名】大園 勝成

【氏名】甫出 秀

【氏名】大崎 勝

【氏名】入野 光博

【要約】 【課題】本発明は、内部に残留する水分が容易に排出される金属製密閉容器と、この金属製密閉容器の内部に残存する水分が許容残存水分量以下まで低減されたことが確認できる金属製密閉容器の乾燥方法を提供する。

【解決手段】一次蓋3と二次蓋4によって開口端2aを密閉するキャスク(金属製密閉容器)1において、一次蓋3に設けられる第1の溝10と容器本体2の内側と連通する第1の連通路14と、一次蓋3の外側と連通する第2の連通路15とを設ける。また、一次蓋締付けボルト9にその軸方向に延びる貫通孔9aを設ける。一次蓋3を密閉して容器本体2の内部を乾燥する第1真空乾燥と、二次蓋4を密閉して一次蓋3と二次蓋4の間を乾燥する第2真空乾燥を実施するときに、圧力変化を計測して、内部が許容残存水分量以下になったことを確認する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】第1の蓋取付部とこの第1の蓋取付部よりも口径が大きい第2の蓋取付部とが開口端に形成された容器本体と、前記第1の蓋取付部に一次蓋締付けボルトで取り付けられる一次蓋と、この一次蓋または前記第1の蓋取付部のいずれか一方に設けた第1の溝と、この第1の溝に取り付けられる第1のシール部材と、前記第2の蓋取付部に二次蓋締付けボルトで取り付けて前記一次蓋を覆う二次蓋と、この二次蓋または前記第2の蓋取付部のいずれか一方に設けた第2の溝と、この第2の溝に取り付けられる第2のシール部材と、前記第1の溝と前記容器本体の内側とを連通する第1の連通路と、前記第1の溝と前記一次蓋の外側とを連通する第2の連通路と、前記一次蓋締付ボルトをこの軸方向に貫通して前記容器本体と前記一次蓋と前記二次蓋とで密閉されたスペースと連通する貫通孔とを具備することを特徴とする金属製密閉容器。
【請求項2】前記第2の連通路を前記一次蓋に設けられる前記一次蓋締付けボルト用のボルト穴と連通して設けたことを特徴とする請求項1に記載の金属製密閉容器。
【請求項3】前記二次蓋の下面に同心円状に複数形成されて前記一次蓋に当接する凸部に、この凸部によって仕切られた前記一次蓋と前記二次蓋の間の隙間と前記スペースとを連通するリークパスを設けたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の金属製密閉容器。
【請求項4】前記第1のシール部材が、同一面内の大小2つの円環状の芯材を被覆材で一体に被覆し、かつ前記被覆材に前記大小の芯材の間に連通する開口部を設けて形成されており、前記一次蓋に前記開口部に連通する連通孔を設け、この連通孔に真空ポンプを接続して、前記大小の芯材の間を真空乾燥することを特徴とする請求項1から請求項3の内のいずれか1項に記載の金属製密閉容器。
【請求項5】請求項1から請求項3の内のいずれか1項に記載の金属製密閉容器を用いて、前記第1の溝に前記第1のシール部材を取り付け、前記一次蓋締付けボルトで前記一次蓋を前記第1の蓋取付部に取り付け、前記容器本体と前記一次蓋とで密閉される内部と連通する第1排水孔に真空ポンプを接続して前記容器本体の内側を真空引きする第1真空乾燥工程と、前記第2の溝に前記第2のシール部材を取り付け、前記二次蓋締付けボルトで前記二次蓋を前記第2の蓋取付部に取り付け、前記スペースと連通する第2排水孔に真空ポンプを接続して前記スペースを真空引きする第2真空乾燥工程とを備え、前記第1真空乾燥工程と前記第2真空乾燥工程の圧力変化を計測することで乾燥具合を評価することを特徴とする金属製密閉容器の乾燥方法。
【請求項6】前記第1真空乾燥工程と前記第2真空乾燥工程で前記金属製密閉容器の温度を測定して乾燥具合を評価することを特徴とする前記請求項5に記載の金属製密閉容器の乾燥方法。
【請求項7】前記第1真空乾燥工程及び前記第2真空乾燥工程で前記金属製密閉容器から排出された水分を計量して残存水量を評価することを特徴とする前記請求項5または請求項6に記載の金属製密閉容器の乾燥方法。
【請求項8】前記隙間または前記スペースの少なくとも一方に乾燥剤を入れて前記第2真空乾燥工程を行うことを特徴とする請求項5から請求項7の内のいずれか1項に記載の金属製密閉容器の乾燥方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、容器本体の内部を密閉する一次蓋、およびこの一次蓋を密閉する二次蓋を備えた金属製密閉容器と、この金属製密閉容器の乾燥方法に関する。
【0002】
【従来の技術】金属製のシール部材で容器本体と蓋体との間を密閉する金属製密閉容器は、密閉性が極めて高いため、長期間にわたって内容物を外界と遮断して保管する容器として適している。代表されるものに、原子力発電所で使用される燃料を輸送保管するための燃料輸送用キャスクがある。この燃料輸送用キャスクは、放射線を外部に対して遮蔽した状態で燃料を輸送することができるように造られており、放射性物質である燃料を輸送・運搬する際に使用される。
【0003】特に、原子力発電で使用した後の使用済燃料は、強い放射線を長期間に渡って放出し続けるため、長期間にわたる厳重な管理と保管を必要とする。したがって、このような使用済燃料を収納する燃料輸送用キャスクは、長期間にわたる保管においても密閉性が低下しないように造る必要がある。
【0004】また、使用済燃料などの高濃度放射性物質から放射されるα線や中性子線など一部の放射線は、水分子と衝突させて散乱させることで減衰するため、水による遮蔽が可能である。したがって、原子力発電所で燃料を取替えるときや、燃料再処理施設で燃料を出し入れするときなど、燃料輸送用キャスクの開閉及び燃料の出し入れは、純水を貯水したピットの中で行われる。
【0005】この燃料輸送用キャスクは、燃料集合体を格子配列して収納可能に造られた容器本体と、任意の燃料集合体を出し入れできるように開口された容器本体の開口部を覆う一次蓋及び二次蓋を備えている。一次蓋及び二次蓋は、それぞれ容器本体の開口部外周端と一体に設けられた蓋取付部に、それぞれ金属製のシール部材を挟んでボルトで取り付けられる。
【0006】使用済の燃料集合体を入れるときは、一次蓋と二次蓋を取外して開口端を上にした状態の燃料輸送用キャスクを、使用済燃料が一時保管されている純水が張られたピット、いわゆる使用済燃料ピットに降ろす。このピットには、燃料集合体を燃料輸送用キャスクに入れるために吊り上げてもその燃料集合体が水面より露出しない水深まで純水が張られている。燃料集合体を入れた後、ピット内で一次蓋を取り付けてピット外に搬出する。
【0007】燃料輸送用キャスクの中には、燃料集合体とともに純水が封入されているので、その純水を一次蓋に設けられた専用の穴から排水装置を挿入して排水する。また、燃料集合体の表面など狭隘部には若干の水分が残留するため、さらに真空排気することで乾燥させる、いわゆる真空乾燥を行う。さらに、二次蓋を取り付けた後、一次蓋と二次蓋の間を同じく真空乾燥することで、残留水分の除去が行われている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】前述のように金属製ガスケットを挟み高い締結力で密閉された金属製密閉容器の内部を真空乾燥する場合であっても、水分が通過するリークパスが特に狭い部分、例えば金属製のシール部材とその取り付け溝の隙間や一次蓋締付けボルト用のねじ穴の底などに入り込んだ水分については、想定される残留水分を除去するために必要とされる予定時間よりも長い時間をかけなければならない。
【0009】また、万が一、このような狭隘部に水分が残留した場合、入りこんだ水分が時間とともに金属製密閉容器内部に蒸発し、内部の別の場所で凝縮して水滴となる可能性がある。そして、水滴となり得る残留水分が凝縮と蒸発を長期間にわたって繰り返すと、水分中に含まれるわずかな不純物を濃縮し、腐食の原因となることがある。特に、シール部材が取り付けられている周辺部は、形状が複雑であるため、水分が残留する可能性が高い。金属製のシール部材が腐食しないようにするために、金属製密閉容器の中の水分量が許容される残留水分量以下になったことが確認できるまで真空乾燥を長時間継続する必要がある。その結果、作業計画が大幅に狂う可能性がある。
【0010】そこで、本発明は、内部に残存する水分が容易に排出される金属製密閉容器と、この金属製密閉容器の内部に残存する水分が許容残存水分量以下まで低減されたことが確認できる金属製密閉容器の乾燥方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】第1の蓋取付部とこの第1の蓋取付部よりも口径が大きい第2の蓋取付部とが開口端に形成された容器本体と、第1の蓋取付部に一次蓋締付けボルトで取り付けられる一次蓋と、この一次蓋または第1の蓋取付部のいずれか一方に設けた第1の溝と、この第1の溝に取り付けられる第1のシール部材と、第2の蓋取付部に二次蓋締付けボルトで取り付けられて一次蓋を覆う二次蓋と、この二次蓋または第2の蓋取付部のいずれか一方に設けた第2の溝と、この第2の溝に取り付けられる第2のシール部材と、第1の溝と容器本体の内側とを連通する第1の連通路と、第1の溝と一次蓋の外側とを連通する第2の連通路と、一次蓋締付ボルトをこの軸方向に貫通して前記容器本体と前記一次蓋と前記二次蓋とで密閉されたスペースとを連通する貫通孔とを具備した金属製密閉容器とする。
【0012】また、一次蓋に設けられた一次蓋締付けボルト用のボルト穴と連通させて第2の連通路を設けるとよい。
【0013】また、二次蓋の下面に同心円状に複数形成されて一次蓋に当接する凸部に、この凸部によって仕切られた一次蓋と二次蓋との間の隙間にスペースと連通するリークパスを設ける。
【0014】また、第1のシール部材が、同一面内の大小2つの円環状の芯材を被覆材で一体に被覆し、かつ被覆材に大小の芯材の間に連通する開口部が設けられて形成されており、開口部に連通する連通孔を一次蓋に設け、この連通孔に真空ポンプを接続して、大小の芯材の間を真空乾燥するとよい。
【0015】上記の金属製密閉容器を用いて、第1の溝に第1のシール部材を取り付け、一次蓋締付けボルトで一次蓋を第1の蓋取付部に取り付け、容器本体と一次蓋とで密閉される内側と外側を連通する第1排水孔に真空ポンプを接続して容器本体の内側を真空引きする第1真空乾燥工程と、第2の溝に第2のシール部材を取り付け、二次蓋締付けボルトで二次蓋を第2の蓋取付部に取り付け、スペースと連通する第2排水孔に真空ポンプを接続して容器本体と一次蓋と二次蓋とで密閉されたスペースを真空引きする第2真空乾燥工程とを備え、第1真空乾燥工程と第2真空乾燥工程の圧力変化を計測することで乾燥具合を評価する。
【0016】また、第1真空乾燥工程及び第2真空乾燥工程で金属製密閉容器の温度や排出された水分を計量して乾燥具合を評価するとよい。
【0017】また、一次蓋と二次蓋の間の隙間、または容器本体と一次蓋と二次蓋とで密閉されるスペースの少なくとも一方に乾燥剤を入れて第2真空乾燥工程を行うとよい。
【0018】
【発明の実施の形態】本発明の一実施形態の金属製密閉容器について、特に原子力発電所の使用済燃料を専用の場所まで搬送し、そのまま長期間にわたって保管する使用済燃料輸送用キャスク(以下、キャスク)を例に図1から図9を参照して説明する。
【0019】図1に示すキャスク1は、底板と一体に設けられた縦型円筒形状の容器本体2と、この容器本体2の上部開口端2aを密閉する一次蓋3及び二次蓋4を備えている。容器本体2の開口端2aには、途切れることなく環状に連続する第1の蓋取付部5とこの第1の蓋取付部5よりも口径の大きい第2の蓋取付部6が形成されている。また、容器本体2の内部には、使用済燃料集合体7を格子配列でそれぞれ支持する数枚のバッフル板8を備えたバスケットが取り付けられている。
【0020】図2に示すように第1の蓋取付部5には、等間隔で配置された一次蓋締付けボルト9用のねじ穴5aが設けられている。また、一次蓋3は、ねじ穴5aに対応する位置にボルト穴3aが設けられており、第1の蓋取付部5に一次蓋締付けボルト9で取り付けられている。この一次蓋締付けボルト9には、軸線方向に貫通する貫通孔9aが設けられている。
【0021】一次蓋3のボルト穴3aよりも内径寄りで第1の蓋取付部5に対向する下面には、途切れることなく環状に連続する第1の溝10が設けられている。この第1の溝10には、第1のシール部材11が取り付けられ、一次蓋3と第1の蓋取付部5の間を密閉する。また、一次蓋3には、その板厚方向に貫通する第1排水孔12と、第1の溝10の幅方向の中央部分から一次蓋3の板厚方向に貫通する連通孔13とが形成されている。
【0022】この第1のシール部材11は、長期間にわたる密閉性を維持可能な金属製のシール部材である。具体的には図3に示すようにOリング状にニッケル−クロム−鉄合金で形成された大小2つの芯材、つまり、周長の異なる内リング11aと外リング11bを一体にアルミニウム合金製被覆材11eで被覆した形状、すなわち眼鏡形の断面形状に形成されている。内外のリング11a,11bの間に位置するシール部材11の接続部11cの一部には、第1のシール部材11の周方向に沿って開口部11dが複数箇所設けられており、この開口部11dを利用して、脱落しないように一次蓋3へねじで固定される。
【0023】図4に示すように一次蓋3には、第1の蓋取付部5と当接する部分に、第1の溝10と容器本体2の内側を連通する第1の連通路14と、第1の溝10と一次蓋3の外側を連通する第2の連通路15とが、それぞれ複数箇所に設けられている。この第2の連通路15を図5に示すようにボルト穴3aを横切って設けると、ボルト穴3aに残留した水分も排出されやすくなるのでより好ましい。なお、第2の連通路15は、一次蓋3の外周に設けられるボルト穴3aの間を通るように設け、ボルト穴3aと一次蓋3の外側とを連通する孔や連通路を別途設けてもよい。
【0024】また、図2に示すように第2の蓋取付部6には、二次蓋締付けボルト16用のねじ穴6aが設けられている。二次蓋4には、それぞれのねじ穴6aに対応してボルト穴4aが形成されている。また、二次蓋4は、一次蓋3を覆って二次蓋締付けボルト16で第2蓋取付部6に取り付けられる。この第2の蓋取付部6と対向する二次蓋4の周部下面には、途切れることなく環状に連続するリング状の第2の溝17が設けられている。この第2の溝17には、二次蓋4と第2の蓋取付部6との間を密閉する第2のシール部材18が取り付けられる。この第2のシール部材18は、第1のシール部材11と同様の金属製のシール部材であるので、その詳細については省略する。
【0025】また、二次蓋4には、二次蓋4の板厚方向に貫通する第2排水穴19が設けられており、真空引き配管などを接続可能に上面寄りの位置にテーパねじが形成されている。一次蓋3の上面に臨む二次蓋4の下面は、同心円状に複数の凸部4bが形成されており、この凸部4bの先端面が一次蓋3の上面に当接する。
【0026】次に、以上のように形成されたキャスク1の乾燥方法について説明する。図6で示すように、純水が張られて使用済燃料集合体7が一時保管されているピット21に、キャスク1を水没させ、ピット21の上方に設けられたクレーン22により燃料集合体7が収納される。
【0027】さらに、第1のシール部材11が取り付けられた一次蓋3が、一次蓋締付けボルト9によってキャスク1の第1の蓋取付部5に純水中で取り付けられる。したがって、容器本体2の内部及び第1のシール部材11は、純水で濡れた状態である。このキャスク1は、ピット21から取り出されると、除染ピット23に移されて容器本体2の外面および一次蓋3の上面に残留する水滴などを除去する除染作業が行われる。
【0028】キャスク1の内部の純水は、一次蓋3に開口されている第1排水孔12に排水装置24を接続して抜き取られる。この排水装置24は、キャスク1の底まで届く排水配管24aに接続された純水回収槽24bと、一次蓋3の内側近傍で開口する送気配管24cに接続された圧搾ガス、好ましくはヘリウムのガスボンベ24dを具備しており、キャスク1内にヘリウムガスを送気し、その圧力で内部の純水を排水する。排水装置24で排水した後、燃料集合体7の外表面や第1の溝10などに残留する水分は、第1真空乾燥工程によって真空引きすることで乾燥させて取り除く。
【0029】この第1真空乾燥工程は、図7に示すように真空ポンプ25へと続く真空引き配管26を一次蓋3の第1排水孔12および連通孔13にそれぞれバルブ12a,13aを介して接続して実施する。また、真空引き配管26には、圧力ゲージ28と、真空引きした後の容器本体2の内部に充填するガス、具体的にはヘリウムのボンベ29とが、バルブ28a,29aを介して接続されている。圧力ゲージ28は、真空引きのときには大気圧より低い圧力が表示可能な空気用の圧力ゲージを取り付け、ヘリウムを充填するときにはヘリウム用圧力ゲージを取り付ける。なお、これらのゲージはその都度取り換えてもよいし、必要に応じてバルブを切り換えて使用するようにしてもよい。また、配管26の途中には、容器本体2の内部から吸い出した気体の水分を凍らせて集積するいわゆるコールドトラップ30が設けられている。このコールドトラップ30は、連続して真空ポンプ25を作動させるために、少なくとも2つ並列に設けるとよい。
【0030】真空ポンプ25を作動させると、容器本体2の内側が減圧され、飽和蒸気圧より低下すると、残留する液状の水分は蒸発して第1排水穴から排出される。このとき、第1の溝10と第1のシール部材11の内リング11aとの間(図4の10a)に残留する水分は、リークパスとなる第1の連通路14を通って容器本体2の内部に吸い出される。また、第1のシール部材11の内リング11aと外リング11bの間(図4の10b)に残留する水分は、第1の溝から連通孔13を通って排出される。したがって、第1真空乾燥工程を実施することで、第1のシール部材11の外リング11bより内側の水分が除去される。なお、連通孔13に真空ポンプ25を接続して第1の溝10に残留する水分を除去する作業は、第1真空乾燥工程と前後して実施してもよい。
【0031】上記の作業により水分が除去されていることを確認するために、第1真空乾燥工程において、圧力ゲージ28で単位時間当たりの圧力の変化を計測する。容器本体2の内部に液状の水分が残留している場合、真空ポンプ25を作動させて容器本体2の内部の圧力が低下して水の飽和蒸気圧よりも低くなると、液状の水分の蒸発が始まり、圧力低下が一次的に遅くなる。
【0032】さらに、真空引きを続けて水の飽和蒸気圧よりも低い圧力になるまで真空引きをした後、図8に示すように真空ポンプ25を一端停止させる(T)。容器本体2の内部に液状の水分がまだ残留している場合、水分が蒸発することにより圧力が上昇する。このときの単位時間あたりの圧力の上昇率ΔPは、容器本体2の内部に残存する液状の水分量Qに比例する。したがって、この単位時間あたりの圧力の上昇率を圧力ゲージ28で計測することで、残存する水分量Qを推定することができる。そこで、真空ポンプ25の作動と停止を数回繰り返すと、残存する水分量Qが減るにつれて、真空引きによる容器本体2の内部の圧力の変化は、真空ポンプ25を停止した後Tの圧力の上昇率ΔPが小さくなる。
【0033】そして、容器本体2の内部に残存する水分量Qが、キャスク1の保管環境において再凝縮して水滴とならない量、すなわち許容残存水分量Qσになるまで第1真空乾燥工程を繰り返す(Tσ、ΔPσ)。
【0034】このとき、例えば熱電対などを利用して容器本体2または一次蓋3の温度を計測し、水分が蒸発するときの蒸発潜熱で容器本体2の内部の温度が低下して水滴が凝固していないことを確認すると、より正確に残留する水分量Qを把握することができるのでよい。また、コールドトラップ30で単位時間当たりに凝縮または凝固して集積される水分の重さを計量し、その集積量の変化を評価することで、残存する水分量Qがさらに正確に分かるのでよい。
【0035】第1真空乾燥工程が完了したら、配管26に接続されているボンベ29から容器本体2の内部および第1のシール部材11の内リング11aと外リング11bの間の空間にヘリウムガスを充填する。そして、配管26を外して第1排水孔12と連通孔13をプラグ12b,13b(図9を参照)で塞ぐ。
【0036】次に、一次蓋3と二次蓋4の間の隙間31を真空乾燥する第2真空乾燥工程を実施する。まず、第2の蓋取付部6に二次蓋4を二次蓋締付けボルト16で取り付け、二次蓋4に設けられた第2排水孔19に第1真空乾燥のときと同様に、バルブ19aを介して真空引き配管26を接続する。真空ポンプ25を作動させると、一次蓋締付けボルト9のねじ穴5aの底部に残留している水分は、ボルト貫通孔9aを通って容器本体2と一次蓋3と二次蓋4とで密閉されたスペースSに排出される。また、一次蓋3のボルト穴3aと一次蓋締付けボルト9の間の水分は、第1の溝10と第1のシール部材11の外リング11bとの間(図4の10c)に残留した水分とともに、第2の連通路15を通って一次蓋の外側、すなわちスペースSへと排出される。第2真空乾燥工程においても、第1真空乾燥工程と同様に圧力の変化を計測しながら実施することで、水分が排出されたことを確認することができる。なお、第1真空乾燥工程と第2真空乾燥工程で真空引きされるそれぞれの容積は異なるので、許容される残存水分量に対する圧力の上昇率もそれぞれ異なる。
【0037】同じ形状のキャスク1であれば、許容残存水分量Qσ及び、そのときの圧力上昇率ΔPσ は同じであるので、圧力上昇率ΔPσが確認されることで、キャスク1内部の残存水分量が許容残存水分量Qσ以下になったことが分かる。したがって、圧力上昇率ΔPσのときの残存水分量Qσを事前に実物に相当するモデルで実際に計量して確認すると、圧力上昇率ΔPσと残存水分量Qσの関係がより明確になるのでよい。
【0038】また、使用済燃料ピット21からキャスク1を引き上げた際に一次蓋3の上面に残留していた水分は、除染作業で除去されるので、二次蓋4の下面に設けられた同心円状の凸部4bと一次蓋3で仕切られる隙間に水分が残ることは無いが、万が一、水分が残留したことを想定して、この同心円状の凸部4bの一部にこれを二次蓋4の径方向に横切る切り欠きなどのリークパス4cを設けておくとよい。このリークパス4cは凸部4bによって仕切られた両蓋3,4間の隙間と、容器本体2及び両蓋3,4で密閉されたスペースSに連通し、かつ、このスペースSは第2排水孔19及び第2連通路15に連通している。
【0039】また、隙間31に乾燥剤を挿入すると、第2真空乾燥工程が短縮されるのでよい。乾燥剤は、吸水後の乾燥剤の除去を簡単にするためにシート状に固めたものを使用するとよい。この場合、二次蓋4を取外さずに乾燥剤を取り除けるようにしておいてもよいし、真空乾燥を実施した後二次蓋4を一度取外して乾燥剤を除去し、再び真空引きを行ってもよい。
【0040】第2真空乾燥工程によって、隙間31の水分が除去されたことを確認した後、第1真空乾燥工程と同様に、配管に接続されているボンベからヘリウムガスを充填する。このとき、封入圧力が大気圧よりも高い圧力となるようにする。このようにすることで、万が一、第2のガスケット取り付け溝に水分が残留していても、一次蓋側に出てくることがない。
【0041】なお、第1真空乾燥工程および第2真空乾燥工程において、真空引き配管の途中に設けられるコールドトラップ30は、排出された気体の湿度を測定する露点測定装置であってもよい。また、第2の溝17と二次蓋4の内側を連通する第3の連通路を設けると、第2のシール部材18の内径側と第2の溝17との間に残留する水分も確実に除去できるので良い。
【0042】また、本実施形態では、第1の溝10を一次蓋3に、第2の溝17を二次蓋4にそれぞれ設けたが、第1の溝10を第1の蓋取付部5に、第2の溝17を第2の蓋取付部6にそれぞれ設けてもよい。また、この場合、第1の連通路14および第2の連通路15を容器本体2の側にそれぞれ設けてもよいし、一次蓋3および二次蓋4にそれぞれ設けてもよい。さらに、一次蓋3のボルト穴3aと一次蓋3の外側のスペースSとの連通は、一次蓋3の板厚方向のどの位置に設けてもよい。
【0043】
【発明の効果】本発明の金属製密閉容器によれば、第1の蓋取付部とこの第1の蓋取付部よりも口径が大きい第2の蓋取付部とが開口端に形成された容器本体と、第1の蓋取付部面に一次蓋締付けボルトで取り付けられる一次蓋と、この一次蓋または第1の蓋取付部のいずれか一方に設けられ第1のシール部材が取り付けられる第1の溝と、第2の蓋取付部面に一次蓋を覆って二次蓋締付けボルトで取り付けられる二次蓋と、この二次蓋または第2の蓋取付部のいずれか一方に設けられ第2のシール部材が取り付けられる第2の溝と、第1の溝と容器本体の内部とを連通する第1の連通路と、第1の溝と一次蓋の外側とを連通する第2の連通路と、一次蓋締付ボルトをその軸方向に貫通する貫通孔とを具備したので、容器本体の内部の残留する水分を容易に排出できる。
【0044】また、第1真空乾燥工程及び第2真空乾燥工程において、圧力を計測する発明、またはそれと同時に、温度を計測する発明、或いは、排出された水分量を軽量する発明によれば、圧力の変化率、またはそれと同時に、計測された温度、或いは、計量された水分量から、残存水分量がキャスクの保管環境において再凝縮して水滴とならない量、すなわち許容残存水分量以下になっていることを確認することができる。
【出願人】 【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
【出願日】 平成13年3月14日(2001.3.14)
【代理人】 【識別番号】100058479
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴江 武彦 (外5名)
【公開番号】 特開2002−277585(P2002−277585A)
【公開日】 平成14年9月25日(2002.9.25)
【出願番号】 特願2001−72792(P2001−72792)