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【発明の名称】 高強度およびすぐれた耐食性を有するZr合金製原子炉燃料被覆管
【発明者】 【氏名】磯部 毅

【氏名】村井 琢弥

【要約】 【課題】高強度およびすぐれた耐食性を有するZr合金製原子炉燃料被覆管を提供する。

【解決手段】原子炉燃料被覆管を、質量%で、Nb:0.4〜2.15%、Cr:0.01〜0.7%を含有し、残りがZrと不可避不純物からなる組成を有するZr合金で構成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 質量%で、Nb:0.4〜2.15%、Cr:0.01〜0.7%、を含有し、残りがZrと不可避不純物からなる組成を有するZr合金で構成したことを特徴とする高強度およびすぐれた耐食性を有するZr合金製原子炉燃料被覆管。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、高強度を有し、かつ高温高圧水や水酸化リチウム(以下、LiOHで示す)含有の高温高圧水溶液に対する耐食性にもすぐれ、したがって細径化および薄肉化を可能ならしめるばかりでなく、実用に際してもすぐれた性能を長期に亘って発揮するZr合金製原子炉燃料被覆管に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に原子炉、例えば軽水炉が燃料被覆管を備え、これが内部に収容した放射性物質である燃料の発する熱を外周面に接して流通する冷却水としての高温高圧水や、通常数ppm程度のLiOHを含有する高温高圧水溶液に伝達する機能をもち、通常ジルカロイ合金などのZr合金製であることも知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】一方、近年の原子炉の高性能化に対応して、燃料被覆管にも細径化および薄肉化、さらに上記冷却水に対する一段の耐食性向上が要求される傾向にあるが、従来提案されているジルカロイ合金はじめ、各種のZr合金製の燃料被覆管の場合、これらの要求に十分満足に対応することができる強度および耐食性を具備していないのが現状である。
【0004】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者等は、上述のような観点から、高強度を有し、かつ耐食性にもすぐれたZr合金製原子炉燃料被覆管を開発すべく研究を行なった結果、質量%で(以下、%は質量を示す)、Nb:0.4〜2.15%、Cr:0.01〜0.7%、を含有し、残りがZrと不可避不純物からなる組成を有するZr合金は、従来原子炉燃料被覆管として広く用いられているジルカロイ合金に比して高強度を有し、かつ高温高圧水やLiOH含有の高温高圧水溶液に対してもすぐれた耐食性を示し、したがってこのZr合金によれば燃料被覆管の細径化および薄肉化を可能とし、かつ使用寿命の一層の延命化を図ることができるようになる、という研究結果を得たのである。
【0005】この発明は、上記の研究結果に基いてなされたものであって、Nb:0.4〜2.15%、Cr:0.01〜0.7%、を含有し、残りがZrと不可避不純物からなる組成を有するZr合金で構成してなる、高強度およびすぐれた耐食性を有するZr合金製原子炉燃料被覆管に特徴を有するものである。
【0006】なお、この発明の原子炉燃料被覆管を構成するZr合金のNb含有量を0.4〜2.15%としたのは、その含有量が0.4%未満では、Nb成分によってもたらされる強度および耐食性の向上効果が不充分で、所望の高強度およびすぐれた耐食性を確保することができず、一方その含有量が2.15%を越えると製管時の熱間および冷間加工性が低下し、所望の細径化および薄肉化を図ることが困難になるという理由によるものである。また、同じくCr含有量を0.01〜0.7%としたのは、その含有量が0.01%未満では、Cr成分がNb成分との共存においてもたらす耐食性向上効果が不充分であり、一方その含有量が0.7%を越えるとNb成分と同様に熱間および冷間加工性が低下するようになるという理由によるものである。
【0007】
【発明の実施の態様】つぎに、この発明の原子炉燃料被覆管を実施例により具体的に説明する。真空アーク溶解炉にて表1に示される成分組成をもったZr合金を溶製し、直径:350mmのインゴットに鋳造し、このインゴットに熱間鍛造を施して直径:220mmの棒材とし、この棒材に1050℃に加熱後水冷の溶体化処理を施した後、750℃に加熱した状態で、熱間押出し加工を施して、外径:80mm×内径:50mmの寸法をもった管状素材とし、この管状素材に600℃での中間焼鈍を加えながら6回の冷間圧延を施すことにより外径:8mm×内径:7mmの寸法をもった本発明燃料被覆管1〜11および従来燃料被覆管1,2を製造した。なお、従来燃料被覆管1,2は、いずれも従来Zr合金として知られるジルカロイ合金2種およびジルカロイ合金4種に相当する組成のZr合金からなるものである。
【0008】つぎに、この結果得られた本発明燃料被覆管1〜11および従来燃料被覆管1,2について、強度を評価する目的で、引張り強さを測定し、さらに耐食性を評価する目的で、軽水炉の燃料被覆管が受ける腐食条件に相当する条件、すなわち長さ:50mmに切り出した試験片を静置式オートクレーブ内にセットし、イオン交換水(伝導度:0.1μSv以下)を用いて調製した、360℃飽和水蒸気圧の高温高圧水の中に150日間放置の条件での腐食試験、さらに加速腐食試験として、イオン交換水(伝導度:0.1μSv以下)およびLiOH特級試薬を用いて調製した、LiOH:0.01mol/L含有の360℃飽和水蒸気圧の高温高圧水溶液の中に90日間放置の条件での腐食試験を行い、酸化膜生成による重量増加を測定した。これらの結果を表1に示したが、腐食増量に関しては単位面積当りの増量で示した。
【0009】
【表1】

【0010】
【発明の効果】表1に示される結果から、本発明燃料被覆管1〜11は、いずれも従来燃料被覆管1,2に比して高強度を有し、さらに高温高圧水やLiOH含有高温高圧水溶液に対してもすぐれた耐食性を示すことが明らかである。上述のように、この発明の原子炉燃料被覆管は、高強度を有するので、原子炉の高性能化に対応して要求される細径化および薄肉化にも満足に対応でき、さらに一段の使用寿命の延命化も可能とするものである。
【出願人】 【識別番号】000006264
【氏名又は名称】三菱マテリアル株式会社
【出願日】 平成13年3月21日(2001.3.21)
【代理人】 【識別番号】100076679
【弁理士】
【氏名又は名称】富田 和夫 (外1名)
【公開番号】 特開2002−277579(P2002−277579A)
【公開日】 平成14年9月25日(2002.9.25)
【出願番号】 特願2001−79734(P2001−79734)