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【発明の名称】 使用済原子燃料の再処理方法
【発明者】 【氏名】深澤 哲生

【氏名】高橋 正典

【氏名】柴田 洋二

【氏名】笹平 朗

【氏名】鴨志田 守

【要約】 【課題】軽水炉用燃料製造に適した高精製度のU、およびUとPuの混合物を製造する再処理施設を小型化する手段を提供する。

【解決手段】使用済原子燃料にフッ素またはフッ素化合物を作用させて使用済原子燃料に含まれるウランの大部分をUF6 に転換して分離し、UF6 を吸着剤と蒸留による簡単な方法精製する。ウランの大部分を除いてから、残りの核燃料物質を溶解して抽出工程におくり、プルトニウムを回収する。これによりウランの精製工程として小型の乾式処理を採用できる。ウランの大部分を除いてから溶解,抽出を行うので、処理溶液量と機器設置規模を小さくでき、再処理工程を著しく小型化できる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】使用済原子燃料に、まずフッ素またはフッ素化合物を作用させることにより、ウランの一部分あるいは大部分を揮発除去した後、残ったウラン,プルトニウム、その他の核種を溶媒抽出法により処理することを特徴とする使用済原子燃料の再処理方法。
【請求項2】使用済原子燃料にフッ素またはフッ素化合物を作用させることで使用済原子燃料に含まれるウランの一部を除く工程と、ウランの一部が除かれた前記使用済原子燃料から得られた核燃料物質を含む水溶液に有機溶媒を作用させてプルトニウムおよび/またはウランを有機溶媒に移行させる抽出工程と、その有機溶媒からプルトニウムおよび/またはウランを再び水溶液に移行させる逆抽出工程とを含むことを特徴とする使用済原子燃料の再処理方法。
【請求項3】請求項2に記載の使用済原子燃料再処理方法において、フッ素またはフッ素化合物を作用させることで使用済原子燃料に含まれるウランの一部を除く工程を、使用済燃料の溶解を行う工程の前に実施することを特徴とする使用済原子燃料の再処理方法。
【請求項4】請求項1または請求項2に記載の使用済原子燃料再処理方法において、フッ素またはフッ素化合物を作用させることで使用済原子燃料から除いたウランをUF6の形態で精製することを特徴とする使用済原子燃料の再処理方法。
【請求項5】請求項1または請求項2記載の使用済原子燃料再処理方法において、フッ素またはフッ素化合物を作用させることで使用済原子燃料からウランの一部を除く際に、ウラン分離量を調整することで、残りの核燃料物質に含まれるプルトニウムとウランの比率を1対1から1対10の間の値とすることを特徴とする使用済原子燃料の再処理方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、使用済原子燃料の再処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】現在実施されている再処理技術はピューレックス法である。ピューレックス法は、ウランおよびプルトニウムを含む使用済核燃料を硝酸に溶解し、この硝酸溶液に対して、抽出剤であるTBP(リン酸トリブチル)をドデカンで希釈した有機相を接触させ、ウランおよびプルトニウムがほとんどの核分裂生成物よりも有機相に移動しやすい性質を利用して分離・精製するものである。ピューレックス法の概要はたとえば、日本国特許 特開平9−138297号公報に示されている通りである。この特許に記載の方法では、使用済原子燃料は硝酸に溶解され、その後共除染工程と呼ばれる工程に送られ、ここでTBPをドデカンで希釈した有機溶液によってウラン及びプルトニウムが共に抽出される。このウラン及びプルトニウムを含む有機溶液の共抽出物は分配工程と呼ばれる工程に送られる。その一方で、初めにウラン及びプルトニウムを含んでいた硝酸溶液には多くの核分裂生成物が残され、高放射性廃液として処理される。分配工程では、ウラン及びプルトニウムを含む有機溶液に硝酸溶液が接触するが、このとき、プルトニウムを三価に還元することにより硝酸溶液相に逆抽出される。この際、ウランは有機相中に残るので、ウランとプルトニウムが分離される。分配工程で分離されたウランとプルトニウムは、それぞれの精製工程に送られ、精製工程を通って最終的に得られた純粋なプルトニウム及び純粋なウランは核燃料として再利用される。
【0003】特開平9−138297号公報では、このピューレックス法の再処理工程を従来の20%程度に簡略化することによって経済性を向上させ、処理施設から生じる廃液を極めて少なくする方法についても述べられている。この第二の方法は、高速増殖炉において用いられる炉心用核燃料についてはウランおよびプルトニウムの純度の高さはそれほど要求されず、また、高速増殖炉において用いられるブランケット用核燃料についてもウランの純度はそれほど要求されないことから、二つの発明を導いている。第一の発明は、逆抽出工程において、高速増殖炉の炉心燃料に適した比率で、ウランおよびプルトニウムを同時に抽出することにより分配工程を省略し、ウランおよびプルトニウムの純度の高さの指標であるDF(除染係数;除染処理前の放射能濃度を処理後の放射能濃度で割った値)の低下を許容することで、精製工程およびそれに伴う処理や試薬を省略する。この発明は再処理抽出工程が共除染工程のみで構成されることから、単サイクル法と呼ばれている。第二の発明は、共除染工程の前に晶析工程と呼ばれる工程を設けることである。晶析工程では使用済核燃料が溶解している硝酸溶液を冷却して、ウランの一部を再結晶化して分離する。この分離により、余分なウランを予め除去しておくと、共除染工程および逆抽出工程で処理すべき核燃料物質の量が減り、かつ逆抽出工程において炉心核燃料用の混合比でプルトニウムとウランを容易に逆抽出することができるようになるため抽出工程および逆抽出工程をコンパクト化することができる。晶析工程では余分なウランが硝酸ウランとして分離される。硝酸ウランは、精製することなく、脱硝および焙焼還元させることにより高速増殖炉用のブランケット用核燃料として使用することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】特開平9−138297号公報に述べられている二つの発明は、回収されたウランとプルトニウムを高速増殖炉用燃料に使用する場合において有効に作用する。しかしながら、再処理によって得られたウランとプルトニウムは、高速増殖炉以外に軽水炉においても使用される。現在の軽水炉では、回収されたプルトニウムを使用するためには、燃料の放射能が十分低くなくてはならない。この解決は比較的容易であり、特開平9−138297号公報に述べられている第一の発明において、省略された精製工程を復活させればよい。特開平9−138297号公報に述べられている第2の発明により、抽出工程および逆抽出工程がコンパクト化されていれば、精製工程も従来のピューレックス法より小さくてすみ、復活させても従来法に比べて非常に小さな再処理工程で、従来法と同程度のDFのプルトニウムが回収できる。
【0005】もう一つの課題は回収したウランの軽水炉での使用にかかわる。回収したウランには、U−235が約1%含まれており、軽水炉で再使用するためにはU-235の濃度を4%程度まで濃縮する。従来は、この濃縮は再処理施設から得られた酸化ウランを揮発性のUF6 の化学形態に転換し、その後遠心分離法などによりU−235の濃度を高める(濃縮する)。これらの処理を行うためにはウランのDFがおよそ1千万程度必要である。晶析工程で分離した余分なウランを精製するためには、元のピューレックス法の共除染,精製工程と同程度の設備が必要になる。このため、晶析工程での分離による再処理工程の小型化の効果がなくなってしまうという問題がある。
【0006】本発明の目的は、ウランの除染係数を高めることができ、かつ処理装置をコンパクト化できる使用済原子燃料の再処理方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題は、使用済原子燃料に含まれるウランの一部を除く方法として、使用済原子燃料にフッ素またはフッ素化合物を作用させる方法を用いることで解決される。
【0008】使用済原子燃料にフッ素またはフッ素化合物を作用させる方法は、フッ化物揮発法として知られている。たとえば、文献[JAERI−M6592(1976)]に示されている。この方法は、使用済原子燃料を粉末にしてフッ化工程と呼ばれる工程に供給する。この粉末を比較的穏やかな反応条件におくと、使用済原子燃料に含まれているウランがUF6 に転換して揮発するが、反応性が低いPuはほとんど揮発しない。この方法によりウランの一部を使用済原子燃料から分離できる。通常のフッ化物揮発法ではウランをある程度除いた後、条件を変えてプルトニウムも揮発させて回収する。しかし、本発明ではウランの一部のみを分離すれば良いので、このプルトニウムのフッ化回収は行わない。ウランの一部を除いた後の使用済原子燃料は硝酸に溶解して、従来のピューレックス法または単サイクル法または単サイクル法に精製工程を附加した方法によって精製し、プルトニウムを含む原子燃料に転換する。
【0009】フッ化物揮発法の特徴は、分離したUF6 をNaFのような吸着剤と蒸留により簡単に精製できることである。文献[乾式再処理研究専門委員会:乾式再処理の現状と問題点、日本原子力学会誌9巻9号530ページより535ページ(1967)]によればそのDFは一億から十億に達する。従って、除かれたウランの精製をコンパクトに行うという課題が解決できる。
【0010】このようにして精製したウランはUF6 の化学形であるから、U−235の濃度を高めるための濃縮工程に直接適用できる。このため、軽水炉燃料の再利用にかかわる一連の処理においても、硝酸ウランの脱硝および焙焼還元およびUF6への転換の工程が省略されるため、従来法よりもコンパクトになる効果がある。
【0011】晶析法では、いったん使用済燃料を硝酸に溶解した後、ウランの一部を除く。このため、溶解液量は従来のピューレックス法と変らない。一方、フッ化物揮発法ではウランの一部を除いてから、残さを溶解する。このため、フッ化物揮発法の方が溶解に使用する硝酸溶液量が少なく、ひいては後続の従来のピューレックス法または単サイクル法または単サイクル法に精製工程を附加した方法での処理溶液量が小さくなる。
【0012】ピューレックス法と単サイクル法の大きな違いの一つは、ウランとプルトニウムを分離する分配工程の有無である。プルトニウム含有原子燃料は、使用済軽水炉燃料よりプルトニウム濃度が高いため、ウランを一部除くか、プルトニウムのみを取りだすための分配工程が必要になっている。使用済燃料の溶解前に使用済燃料のフッ化を行って、ウランを分離する本方法では、プルトニウム/ウランの比率を事前に調整できるため、分配工程を不要にでき、よりコンパクトな単サイクル法、または単サイクル法に精製工程を附加した方法を用いることができる。
【0013】以上のように、使用済原子燃料にフッ素またはフッ素化合物を作用させて使用済原子燃料に含まれるウランの一部を除くことにより、(1)分離したUF6 のDFを1千万以上にするためNaFのような吸着剤と蒸留による簡単な方法が適用でき、精製を小型化できる、(2)軽水炉燃料の再利用に硝酸ウランの脱硝および焙焼還元およびUF6 への転換の工程が省略されるため、従来法よりもコンパクトになる、(3)分配工程をもたない、単サイクル法または単サイクル法に精製工程を附加した方法を用いることができる、(4)ウランの一部を除いてから残さを溶解して抽出工程に送るため、溶解に用いる硝酸量と溶解装置の規模,後続の従来のピューレックス法または単サイクル法または単サイクル法に精製工程を附加した方法での処理溶液量と機器規模を小さくでき、再処理工程を著しく小型化できるという効果がある。
【0014】
【発明の実施の形態】〔実施例1〕本発明の基本的な実施例である使用済原子燃料の再処理法につき図1を用いて説明する。図1の構成はフッ化工程と溶媒抽出工程からなる。フッ化工程では使用済原子燃料、またはそこから取り出された核燃料物質に、まずフッ素またはフッ素化合物を作用させる。このとき、フッ素との反応により、ウランは揮発性のUF6 に変換される。このウランの一部分あるいは大部分を揮発除去した後、残ったウラン,プルトニウム、その他の核種を、溶媒抽出工程に払い出す。溶媒抽出工程では、受け入れたウラン,プルトニウム、その他の核種の混合物に溶媒抽出処理を行い、その他の核種の大部分を該混合物から取り除いた、プルトニウムを含む混合物を製品として払い出す。
【0015】本実施例によれば、使用済原子燃料にフッ素またはフッ素化合物を作用させて使用済原子燃料に含まれるウランの一部を除くことにより、抽出工程で処理する物質の量を低減し、処理溶液量と機器規模を小さくでき、再処理工程を著しく小型化できるという効果がある。
【0016】〔実施例2〕本発明の一実施例である使用済原子燃料の再処理法につき図2を用いて説明する。図2は、一部ウランの分離を行うフッ化工程に単サイクル法に精製工程を附加した工程を連結した例である。この構成の再処理法は、燃料粉末化工程,フッ化工程,溶解工程,共除染工程,逆抽出工程,精製工程,脱硝・焙焼還元工程,UF6 精製工程からなる。また、再処理ではないが、得られた精製済UF6 の」U−235を濃縮する施設と、その製品を酸化物に転換して燃料を製造する施設を付記する。
【0017】使用済原子燃料は燃料粉末化工程において酸化物の粉末に転換される、この工程は、たとえばOREOX法として知られる酸化還元脱被覆法[Proc. Global‘93 vol.2.p715(1993)]を用いることができる。粉末化した燃料1はフッ化工程に送られ、フッ素またはフッ素化合物によりウランの一部をUF6 に転換し、揮発させる。揮発した六弗化ウラン2はUF6 精製工程において揮発性の核分裂生成物やわずかに同伴したプルトニウムから分離され、DF1千万以上に精製される。この精製にはたとえば蒸留法や吸着法を用いることができる。一方、フッ化工程で揮発しなかった、残りの核燃料物質3にはウラン,プルトニウム,核分裂生成物が含まれる。この残さは溶解工程に送られ、硝酸に溶解する。溶解工程では、必要に応じて残さを溶解しやすい形態、たとえば酸化物に転換する工程を含んでもよい。溶解液4は共除染工程に送られる。共除染工程では溶解液を、たとえば、TBPを抽出剤とする有機相と接触させ、ウランとプルトニウムを有機相に移動させる。核分裂生成物の大部分は有機相に移動しにくいため、ウランとプルトニウムが精製される。この有機相5は逆抽出工程に移送される。逆抽出工程では、薄い硝酸を用いてウランとプルトニウムを水相に移動させる。この工程では核分裂生成物のうち、有機相に移動しやすい物質をウランとプルトニウムから除く。ついで、ウランとプルトニウムを含む水相6は精製工程に送られる。精製工程では、たとえば、TBPを抽出剤とする有機相を用いた抽出と、薄い硝酸を用いた逆抽出を、ウランとプルトニウムの精製度が必要な値になるまで行う。このように精製されたウランとプルトニウムを含む水相7は脱硝・焙焼還元工程に送られ、ウランとプルトニウムの混合酸化物に転換され、プルトニウム含有原子燃料になる。
【0018】以下、本実施例における、使用済原子燃料にフッ素またはフッ素化合物を作用させて使用済原子燃料に含まれるウランの一部を除くことの効果について述べる。
【0019】1トンのウランを軽水炉で燃焼させると、使用済燃料にはおよそ10kgのPuと、920kgないし950kgのウランが含まれる。使用済燃料を溶解する場合、およそ1リットルあたり、ウランとプルトニウムをあわせて約250gの核燃料物質が溶解できる。従って前記の量の使用済燃料を溶解した液量は約3700リットルである。一方、フッ化物揮発法でウランの一部を除く場合、たとえば、10kgのPuに対して4倍量のウランを残す。すなわち、残存核物質量は50kgである。この場合、1リットルあたり、ウランとプルトニウムをあわせて約250gの核燃料物質を溶解すれば、ウランの一部を除いた場合の溶解液量は200リットルに過ぎない。すなわち、フッ化物揮発法によるウランの分離を行うと、溶解液量はおよそ20分の1にまで小さくできる。一方、晶析法では、いったん使用済燃料を硝酸に溶解した後、ウランの一部を除く。このため、溶解液量は従来のピューレックス法と変らない。すなわち、溶解に用いる硝酸量と溶解装置の規模は、従来のピューレックス法や、晶析法に比べて約1/20になるという効果がある。また、後続の従来のピューレックス法式の工程、または単サイクル法または単サイクル法に精製工程を附加した方法での処理溶液量と機器規模も約1/20程度まで小さくでき、再処理工程を著しく小型化できる効果がある。
【0020】なお、この例では、10kgのPuに対して4倍量のウランを残したが、後述のプルトニウム/ウラン比の必要に応じ10kgのPuに対して等量から10倍量のウランを残すのでもよい。10倍量のウランを残す場合でも硝酸量と溶解装置の規模,後続工程の機器規模は約1/10に小型化できる。
【0021】ピューレックス法と単サイクル法の大きな違いの一つは、ウランとプルトニウムを分離する分配工程の有無である。プルトニウム含有原子燃料は、使用済軽水炉燃料よりプルトニウム濃度が高い。使用済軽水炉燃料を溶解し、共除染を行っただけでは、溶液中のプルトニウム/ウラン比はプルトニウム含有原子燃料に必要な値より小さい。このため、ウランを一部除くか、プルトニウムのみを取りだす分配工程が必要になっている。使用済燃料の溶解前に使用済燃料のフッ化を行って、ウランを分離する本方法では、ウランの分離量を調整し、残さに含まれるプルトニウム/ウランの比率が製品であるプルトニウム含有燃料における比率に等しいか、やや大きい値に設定すれば、ピューレックス法における分配工程を不要にでき、よりコンパクトな単サイクル法、または単サイクル法に精製工程を附加した方法を用いることができる。すなわち、ピューレックス法における分配工程を不要にでき、再処理工程を小型化すると共に、使用する試薬,廃棄物を低減できるという効果をもつ。
【0022】使用済原子燃料にフッ素またはフッ素化合物を作用させて使用済原子燃料に含まれるウランの一部を除くと、除かれたウランはUF6 の形態をとる。UF6 の沸点は約60℃で、コールドトラップを用いて固体または液体に転換することができる。また、再加熱すれば容易に気体に転換する。このコールドトラップや、精留装置により、UF6 と揮発率が異なる核分裂生成物がウランから分離される。さらに、気体のUF6 をNaF、及びまたはLiF、及びまたはMgF2 を装荷した吸着トラップに流通させることで、さらに核分裂生成物がウランから分離される。これらの処理によるDFは1億から10億に達し、ピューレックス法における共除染とウラン精製でのDFに匹敵する。一方、晶析法によってウランの一部を分離した場合は、このウランを軽水炉燃料用に再使用するためにはピューレックス法における共除染とウラン精製に相当する操作を行わなければならない。920kgのウランと10kgのプルトニウムから、10kgのプルトニウムと4倍量のウランを残す場合、除かれるウラン量は880kgである。このウランを硝酸に溶解し共除染とウラン精製を行う場合、硝酸溶液1リットルに250gのウランを含むとして、共除染に供給される硝酸溶液量は約3500リットルである。また、TBPなどの抽出剤を含む有機相,逆抽出用水相も同程度必要である。すなわち、共除染で扱われる液体量は約10000リットルであり、精製工程でも同等量の液体が扱われる。共除染や精製に用いられる抽出装置としては遠心速抽出器など、小型のものが開発されており、工程の規模は扱われる液体を貯留する貯槽の大きさで決まってしまう。これらの貯槽は920kgのウランと10kgのプルトニウムの処理に対して共除染、精製工程で20000L必要である。設計にも依存するが中間タンクを必要とすればこの数倍である。一方、UF6 を精製する場合、UF6 を固体または液体に転換できる。880kgのウランはUF6 として1300kgであり、UF6の密度は5.1g/cc であるから、貯留量は250リットルである。複数の貯留装置を設けてもその容積は1000から2000リットルと考えられ、設置規模としては晶析法で分離したウランの精製の1/10以下と考えられる。
【0023】なお、特開平9−138297号公報に述べられている発明の本来の趣旨のように、晶析法によって分離したウランを高速増殖炉のブランケット燃料に用いる場合は、そのウランのDFは低くてもよく、上記のようなピューレックス法における共除染とウラン精製に相当する操作は不要である。
【0024】回収したウランには、U−235が約1%含まれており、軽水炉で再使用するためにはU−235の濃度を4%程度まで濃縮する。従来は、この濃縮は再処理施設から得られた酸化ウランを揮発性のUF6 の化学形態に転換し、その後遠心分離法などによりU−235の濃度を高める。
【0025】しかし、使用済原子燃料にフッ素またはフッ素化合物を作用させて使用済原子燃料に含まれるウランの一部を除くと、除かれたウランはUF6 の形態をとるので、精製済みのUF6 を直接U−235濃縮施設に送ることができる。すなわち、再処理工程内におけるウラン硝酸溶液の脱硝・焙焼還元の工程と、ウランをUF6 に変える転換施設を省略することができ、回収したウランの再利用にかかわるコスト,環境負荷を著しく低減できる。また、U−235濃度約0.7% の天然ウランを出発物質とする場合より、濃縮費用は安価となる。
【0026】以上のように本発明の実施例によれば、使用済原子燃料にフッ素またはフッ素化合物を作用させて使用済原子燃料に含まれるウランの一部を除くことにより、以下の効果を得ることができる。
【0027】(1)分離したUF6 のDFを1千万以上にするためNaFのような吸着剤と蒸留による簡単な方法が適用でき、貯留量が小さいので精製工程を小型化できる。(2)軽水炉燃料の再利用に硝酸ウランの脱硝および焙焼還元およびUF6 への転換施設が省略されるため、従来法よりもコンパクトになる。(3)分配工程をもたない、単サイクル法または単サイクル法に精製工程を附加した方法を用いることができ、工程を小型にできる。(4)ウランの一部を除いてから、残さを溶解して抽出工程に送るため、溶解に用いる硝酸量と溶解装置の規模,後続の従来のピューレックス法または単サイクル法または単サイクル法に精製工程を附加した方法での処理溶液量と機器規模を小さくでき、再処理工程を著しく小型化できる。
【0028】〔実施例3〕本発明の別の一実施例である使用済原子燃料の再処理法につき図3を用いて説明する。図3の構成はフッ化工程によるウランの分離に単サイクル法の工程を附加した工程を連結した例で、図2の構成から精製工程を除去した構成である。この構成の再処理法では、図2の構成の再処理方法に比べてプルトニウム含有原子燃料のDFが低下する。プルトニウム含有原子燃料を高速増殖炉の炉心燃料として用いるか、DFの低いプルトニウム含有原子燃料を受け入れ可能な軽水炉のための燃料としては、プルトニウム含有原子燃料のDFが低くても良いので、本実施例の構成が成立する。本構成では実施例2の効果に加え、精製工程を除去した分だけ再処理施設が小型になり、使用試薬と廃棄物が低減する効果がある。
【0029】〔実施例4〕本発明の別の一実施例である使用済原子燃料の再処理法につき図4を用いて説明する。実施例2では、UF6 精製工程の製品である精製UF6 を別施設であるU−235濃縮施設に送ったのに対し、本実施例では精製UF6 を濃縮せずそのまま酸化物に転換し、ウラン燃料にする。この燃料はU−235濃度が低いので、軽水炉で燃焼させるのは困難であるが、高速増殖炉のブランケット燃料として用いることができる。また、高速増殖炉のブランケット燃料のDFは低くてもよいので、UF6 精製工程を省略して、フッ化工程の製品である未精製UF6 を酸化物転換工程に送ってもよい。本実施例では、本発明の効果のうち、(3)分配工程をもたない、単サイクル法または単サイクル法に精製工程を附加した方法を用いることができ、工程を小型にできる、(4)ウランの一部を除いてから、残さを溶解して抽出工程に送るため、溶解に用いる硝酸量と溶解装置の規模,後続の従来のピューレックス法または単サイクル法または単サイクル法に精製工程を附加した方法での処理溶液量と機器規模を小さくでき、再処理工程を著しく小型化できるという効果が発現する。
【0030】〔実施例5〕本発明の別の一実施例である使用済み原子燃料の再処理法につき図5を用いて説明する。図5の構成は実施例4において、精製工程を省略した構成である。ウラン燃料を高速増殖炉のブランケット燃料として用い、プルトニウム含有燃料を高速増殖炉の炉心燃料またはDFの低いプルトニウム含有原子燃料を受け入れ可能な軽水炉のための燃料として用いる場合に好適である。本構成では実施例4の効果に加え、精製工程を除去した分だけ再処理施設が小型になり、使用試薬と廃棄物が低減する効果がある。
【0031】
【発明の効果】本発明によれば、ウランの純度を上げることができ、しかも処理装置をコンパクト化できる。
【出願人】 【識別番号】000003687
【氏名又は名称】東京電力株式会社
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
【出願日】 平成13年3月2日(2001.3.2)
【代理人】
【公開番号】 特開2002−257980(P2002−257980A)
【公開日】 平成14年9月11日(2002.9.11)
【出願番号】 特願2001−57564(P2001−57564)