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【発明の名称】 使用済燃料貯蔵ラックおよびその製造方法
【発明者】 【氏名】前田 学

【要約】 【課題】短冊状格子板および短冊状格子板の溶接を省略して強固な組立を実現することができ、溶接作業に要する手間の省略、狭隘な格子間の作業容易化等により、製造時間を大幅に削減し、大きい経済性向上が図れるようにする。

【解決手段】短冊状格子板11を燃料集合体の幅とほぼ同じ幅の板材によって構成するとともに、その板材の幅方向に沿う両側縁に複数の鉤状突起部14とこれらが係止し得る凹部15とを有するものとする。平板状格子板12は、燃料集合体の幅の倍数とほぼ同じ幅の板材によって構成するとともに、その板材に燃料集合体の幅とほぼ同じ間隔で短冊状格子板11が挿通し得る複数のスリット16を有するものとする。短冊状格子板11と平板状格子板12とを格子状に組み合わせ、かつ鉤状突起部14と凹部15とを係止することにより、両格子板の交点を一体化する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 使用済の燃料集合体を収納する複数の燃料貯蔵セルを、複数の短冊状格子板と平板状格子板との格子状の組み合わせによって形成した使用済燃料貯蔵ラックであって、前記短冊状格子板は、前記燃料集合体の幅とほぼ同じ幅の板材によって構成するとともに、その板材の幅方向に沿う両側縁に複数の鉤状突起部とこれらが係止し得る凹部とを有するものとし、前記平板状格子板は、前記燃料集合体の幅の倍数とほぼ同じ幅の板材によって構成するとともに、その板材に前記燃料集合体の幅とほぼ同じ間隔で前記短冊状格子板が挿通し得る複数のスリットを有するものとし、これら短冊状格子板と平板状格子板とを格子状に組み合わせ、かつ前記鉤状突起部と凹部とを係止することにより、前記両格子板の交点を一体化したことを特徴とする使用済燃料貯蔵ラック。
【請求項2】 請求項1記載の使用済燃料貯蔵ラックにおいて、最外周の平板状格子板はボロンを添加していないステンレス鋼により構成する一方、最外周以外の平板状格子板および短冊状格子板はボロンを添加したステンレス鋼により構成したことを特徴とする使用済燃料貯蔵ラック。
【請求項3】 請求項1記載の使用済燃料貯蔵ラックにおいて、最外周の平板状格子板は、最外周以外の平板状格子板および短冊状格子板と比較してボロン添加量の少ないステンレス鋼により構成し、または濃縮ボロン添加ステンレス鋼により構成したことを特徴とする使用済燃料貯蔵ラック。
【請求項4】 請求項1から3までのいずれかに記載の使用済燃料貯蔵ラックにおいて、最外周以外の平板状格子板と短冊状格子板の材料をステンレス鋼に代え、ハフニウム等の中性子を吸収する金属材料によって構成したことを特徴とする使用済燃料貯蔵ラック。
【請求項5】 使用済の燃料集合体を収納する複数の燃料貯蔵セルを、複数の短冊状格子板と平板状格子板との格子状の組み合わせによって形成する使用済燃料貯蔵ラックの製造方法であって、前記短冊状格子板として、前記燃料集合体の幅とほぼ同じ幅の板材によって構成されるとともにその板材の幅方向に沿う両側縁に複数の鉤状突起部とこれらが係止し得る凹部とを有するものを適用する一方、前記平板状格子板として、前記燃料集合体の幅の倍数とほぼ同じ幅の板材によって構成されるとともにその板材に前記燃料集合体の幅とほぼ同じ間隔で前記短冊状格子板が挿通し得る複数のスリットを有するものを適用し、前記短冊状格子板の鉤状突起部を前記平板状格子板のスリットおよび隣接する短冊状格子板の凹部に差し込んで格子状に組み立て、その交点を非溶接で一体化し、この手順を繰り返すことにより使用済燃料貯蔵ラックを組み立てることを特徴とする使用済燃料貯蔵ラックの製造方法。
【請求項6】 請求項5記載の使用済燃料貯蔵ラックの製造方法において、最外周の平板状格子板の材料として、ボロンを添加していないステンレス鋼、最外周以外の平板状格子板および短冊状格子板と比較してボロン添加量の少ないステンレス鋼、もしくは濃縮ボロン添加ステンレス鋼を適用する一方、最外周以外の平板状格子板および短冊状格子板の材料として、ボロンを添加したステンレス鋼もしくはハフニウム等の中性子を吸収する金属材料を適用することを特徴とする使用済燃料貯蔵ラックの製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、原子炉から取り出された使用済燃料集合体を燃料プ−ル内に収容保管するための使用済燃料貯蔵ラックおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に原子力発電プラントにおいては、原子炉を一定期間運転した後に炉心から取り出された使用済燃料を、再処理を行うまでの間、使用済燃料貯蔵プール内に予め設置されている使用済燃料貯蔵ラックに収納貯蔵し、冷却して使用済燃料の崩壊熱を除去するようにしている。
【0003】近年は、使用済燃料貯蔵プール内のスペースを有効活用して貯蔵容量を増加させたい要望があり、これに応えるため、貯蔵燃料間に中性子吸収能力の大きな材料を介在させて燃料相互の未臨界性を保持しながら貯蔵燃料の間隔を狭くするとともに、この介在部材を地震時などにおける貯蔵燃料支持用の強度部材としても利用することによって、稠密度を増大できる使用済燃料貯蔵ラックが提案されている。
【0004】このような使用済燃料貯蔵ラックとしては、中性子吸収能力に優れ、かつ構造強度も良好なボロン添加ステンレス鋼を使用し、これを貯蔵燃料間に1枚ずつ介在させた、いわゆる格子状の燃料貯蔵セル構造のものが知られている(例えば特開2000−258538号公報等)。
【0005】このような条件を満足した使用済燃料貯蔵ラックの従来例を説明する。この使用済燃料貯蔵ラックは、突起部を設けた短冊状格子板と、スリットを設けた平板状格子板とを格子状に組み合わせて、その交点を結合して燃料貯蔵セルを構成するようにしたものである。
【0006】図4はそのような使用済燃料貯蔵ラック10の平面図であり、図5は図4において短冊状格子板11と平板状格子板12とを組み合わせる状態を示す説明図である。
【0007】図5に示すように、短冊状格子板11には突起部14とその背面に凹部15とが設けられており、平板状格子板12には短冊状格子板11の突起部14に対応してスリット16が設けられている。製造時には短冊状格子板11の突起部14を平板状格子板12のスリット16に貫通挿入し、隣の短冊状格子板11の背面の凹部15に嵌合して格子状に組み合わせる。つまり、使用済燃料貯蔵ラック10は、複数の短冊状格子板11と平板状格子板12を格子状に組み合わせ互いに嵌合固着して、図4に示すように方形で複数並設した燃料貯蔵セル13を形成する。
【0008】燃料貯蔵セル13は、図4には示していない使用済燃料貯蔵プ−ルの底面に設けられたベ−ス3上に、ボルトおよびナットにより一体に取り付けられて構成される。なお、複数の燃料集合体7は燃料貯蔵セル13に個別に挿入されてベ−ス3上の着座穴(図示せず)に嵌合支持される。
【0009】図6は、図4のB−B線に沿った拡大縦断面図である。この図6に示すように短冊状格子板11には、その幅方向に沿う一端縁に複数個の突起部14が設けられており、さらに、この反対側の端縁には隣接する短冊状格子板11の突起部14と嵌合する凹部15が形成されている。この各短冊状格子板11は、それぞれ燃料集合体7の軸方向長さに見合う長さと、燃料貯蔵セル13の1セル分の幅に相当する幅とを有する大きさに設定されている。
【0010】一方、平板状格子板12は、燃料集合体7の軸方向長さに見合う長さと、複数の燃料貯蔵セル13を並設した使用済燃料貯蔵ラック10の幅に相当する幅とを有しており、燃料貯蔵セル13の1セル分のピッチ毎に短冊状格子板11の突起部14が差し込まれる複数のスリット16を有している。
【0011】これら複数の短冊状格子板11および平板状格子板12を、使用済燃料貯蔵ラック10の平面状で互いに直角に交差するように配置して平板状格子板12のスリット16に短冊状格子板11の突起部14を差し込み、さらに平板状格子板12から突き出した短冊状格子板11の突起部14に、隣接する他の短冊状格子板11の凹部15を嵌合固着させて使用済燃料貯蔵ラック10を形成する。
【0012】そして、短冊状格子板11同士、および短冊状格子板11と平板状格子板12とを溶接することにより、互いに強固に固着して複数の並設した燃料貯蔵セル13を形成する。
【0013】図7は、図6のC−C線に沿った断面図であり、図8は図6のD−D線に沿った断面図である。図7に示すように、短冊状格子板11と平板状格子板12との交点(凹部15側の交点)を溶接部17として溶接し互いに強固に固着する。同ように、図8に示すように、スリット16および突起部14が位置する部分では、さらに短冊状格子板11の突起部14と隣の短冊状格子板11の凹部15との接合部を溶接部17として溶接し、短冊状格子板11同士を強固に固着する。
【0014】このように、使用済燃料貯蔵ラック10の製造に当たっては、1枚の平板状格子板12において、そのスリット16の位置に対して複数の短冊状格子板11をその凹部15が向かい合うようにして直角に配設し、この当接した短冊状格子板11の端側面と平板状格子板12とを溶接により固着して、1段目の組み立てを行う。
【0015】次に、1段目の短冊状格子板11の突起部14上に2段目の平板状格子板12のスリット16がくるように平板状格子板12を載せ、短冊状格子板11の突起部14を2段目の平板状格子板12のスリット16に差し込み、このスリット16から突起部14を突き出させる。
【0016】その後、2段目の短冊状格子板11をその凹部15がスリット16から突き出した突起部14と嵌合するように配設し、溶接により1段目の短冊状格子板11の突起部14と2段目の平板状格子板12および2段目の短冊状格子板11の凹部15とを結合する。これ以降、同様の手順で平板状格子板12および短冊状格子板11を順次積み上げて使用済燃料貯蔵ラック10の製造を行う。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上述した使用済燃料貯蔵ラックにおいては、短冊状格子板11同士、および短冊状格子板11と平板状格子板12とを溶接することにより、互いに強固に固着して複数の並設した燃料貯蔵セル13を形成することから、溶接作業に多くの手間がかかる面倒や、狭隘な格子間の溶接作業となるため特殊な治工具を使用する必要が生じ、経済性に問題がある。
【0018】また、短冊状格子板11および平板状格子板12の使用材料であるボロン添加ステンレス鋼の全ての材料をボロン添加ステンレス鋼としているが、このような材料はボロン添加量が増加するにつれて溶接が困難になる材料特性を有している。
【0019】本発明は上述した事情を考慮してなされたもので、構成要素である短冊状格子板、および、短冊状格子板と平板状格子板の溶接部を無くすことにより、製造時間を大幅に削減し、経済性の向上が図れる使用済燃料貯蔵ラックおよびその製造方法を提供することを目的とする。
【0020】また、本発明の他の目的は、中性子吸収能力の高い使用済燃料貯蔵ラックを提供することにある。
【0021】
【課題を解決するための手段】上述した課題を解決するために、請求項1に係る発明では、使用済の燃料集合体を収納する複数の燃料貯蔵セルを、複数の短冊状格子板と平板状格子板との格子状の組み合わせによって形成した使用済燃料貯蔵ラックであって、前記短冊状格子板は、前記燃料集合体の幅とほぼ同じ幅の板材によって構成するとともに、その板材の幅方向に沿う両側縁に複数の鉤状突起部とこれらが係止し得る凹部とを有するものとし、前記平板状格子板は、前記燃料集合体の幅の倍数とほぼ同じ幅の板材によって構成するとともに、その板材に前記燃料集合体の幅とほぼ同じ間隔で前記短冊状格子板が挿通し得る複数のスリットを有するものとし、これら短冊状格子板と平板状格子板とを格子状に組み合わせ、かつ前記鉤状突起部と凹部とを係止することにより、前記両格子板の交点を一体化したことを特徴とする使用済燃料貯蔵ラックを提供する。
【0022】請求項2に係る発明では、請求項1記載の使用済燃料貯蔵ラックにおいて、最外周の平板状格子板はボロンを添加していないステンレス鋼により構成する一方、最外周以外の平板状格子板および短冊状格子板はボロンを添加したステンレス鋼により構成したことを特徴とする使用済燃料貯蔵ラックを提供する。
【0023】請求項3に係る発明では、請求項1記載の使用済燃料貯蔵ラックにおいて、最外周の平板状格子板は、最外周以外の平板状格子板および短冊状格子板と比較してボロン添加量の少ないステンレス鋼により構成し、または濃縮ボロン添加ステンレス鋼により構成したことを特徴とする使用済燃料貯蔵ラックを提供する。
【0024】請求項4に係る発明では、請求項1から3までのいずれかに記載の使用済燃料貯蔵ラックにおいて、最外周以外の平板状格子板と短冊状格子板の材料をステンレス鋼に代え、ハフニウム等の中性子を吸収する金属材料によって構成したことを特徴とする使用済燃料貯蔵ラックを提供する。
【0025】請求項5に係る発明では、使用済の燃料集合体を収納する複数の燃料貯蔵セルを、複数の短冊状格子板と平板状格子板との格子状の組み合わせによって形成する使用済燃料貯蔵ラックの製造方法であって、前記短冊状格子板として、前記燃料集合体の幅とほぼ同じ幅の板材によって構成されるとともにその板材の幅方向に沿う両側縁に複数の鉤状突起部とこれらが係止し得る凹部とを有するものを適用する一方、前記平板状格子板として、前記燃料集合体の幅の倍数とほぼ同じ幅の板材によって構成されるとともにその板材に前記燃料集合体の幅とほぼ同じ間隔で前記短冊状格子板が挿通し得る複数のスリットを有するものを適用し、前記短冊状格子板の鉤状突起部を前記平板状格子板のスリットおよび隣接する短冊状格子板の凹部に差し込んで格子状に組み立て、その交点を非溶接で一体化し、この手順を繰り返すことにより使用済燃料貯蔵ラックを組み立てることを特徴とする使用済燃料貯蔵ラックの製造方法を提供する。
【0026】請求項6に係る発明では、請求項5記載の使用済燃料貯蔵ラックの製造方法において、最外周の平板状格子板の材料として、ボロンを添加していないステンレス鋼、最外周以外の平板状格子板および短冊状格子板と比較してボロン添加量の少ないステンレス鋼、もしくは濃縮ボロン添加ステンレス鋼を適用する一方、最外周以外の平板状格子板および短冊状格子板の材料として、ボロンを添加したステンレス鋼もしくはハフニウム等の中性子を吸収する金属材料を適用することを特徴とする使用済燃料貯蔵ラックの製造方法を提供する。
【0027】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。なお、前述した従来技術と同じ構成部分については、同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0028】図1は本実施形態における使用済燃料貯蔵ラック10の平面図であり、図2は本実施形態における使用済燃料貯蔵ラック10の短冊状格子板11と平板状格子板12との組合せの説明図である。
【0029】本実施形態における使用済燃料貯蔵ラック10は、図1および図2に示すように、長尺矩形の複数の短冊状格子板11の鉤状突起部14を平板状格子板12に設けられたスリット16に貫通挿入し、隣の短冊状格子板11の背面の凹部15に嵌合させて格子状に組み合わせ、その交点を互いに一体化して複数並設した方形の燃料貯蔵セル13を形成し、この燃料貯蔵セル13をベース3の上に一体に取り付けて構成される。
【0030】なお、ベース3は図1には示していない使用済燃料貯蔵プ−ルの底面にボルトおよびナット(図示せず)により一体に取り付けられて構成され、また、複数の燃料集合体7は燃料貯蔵セル13に個別に挿入されてベ−ス3の上の着座穴(図示せず)に嵌合支持される。
【0031】さらに、図3は図1のA―A線に沿った拡大縦断面図である。図3に示すように、短冊状格子板11は燃料集合体7の軸方向長さに見合う長さと、燃料貯蔵セル13の1セル分の幅に相当する幅で、その両側縁に沿って複数個の鉤状突起部14が設けられており、この鉤状突起部14は片端面の設置高さとその反対側の端面での設置高さが、互いに相違するような位置に設けられている。すなわち、鉤状突起部14は、図3の下方に向って突出する先端鉤部14aを有する構成としてある。
【0032】一方、平板状格子板12は、燃料集合体7の軸方向長さに見合う長さと、複数の燃料貯蔵セル13を並設した使用済燃料貯蔵ラック10の幅に相当する幅を有しており、前記燃料貯蔵セル13の1セル分のピッチで、短冊状格子板11の鉤状突起部14が差し込まれる複数のスリット16を有している。また、平板状格子板12のスリット16の幅は短冊状格子板11の鉤状突起部14を差込み可能な幅に設定されている。
【0033】短冊状格子板11の鉤状突起部14の先端部が平板状格子板12のスリット16の下端部に差し込まれるため、格子板相互を溶接せずに結合する構造としている。
【0034】これら複数の平板状格子板12、短冊状格子板11を、使用済燃料貯蔵ラック10の平面上で互いに直角に交差するように配して平板状格子板12のスリット16に、短冊状格子板11の鉤状突起部14を貫通挿入し、隣の短冊状格子板11の背面の凹部15に嵌合させるにより、平板状格子板12と短冊状格子板11を互いに結合し、燃料貯蔵セル13を構成する。図3に示すように、短冊状格子板11の背面の凹部15の上下幅aは、先端鉤部14aを含めた鉤状突起部14の上下高さよりも大きく、したがって、鉤状突起部14を凹部15に挿入した後、燃料集合体の軸方向(図3の上下方向)に移動することが可能であり、この移動により、先端鉤部14aは、平板状格子板12のスリット16内に挿通した状態で、凹部15内で相対的に下方移動でき、それにより先端鉤部14aにより平板状格子板12を挟持する状態となる。
【0035】なお、最外周の短冊状格子板11の材料には、ボロンを添加していないステンレス鋼が適用され、最外周以外の短冊状格子板11および平板状格子板12にはボロンを添加したステンレス鋼が適用されている。
【0036】これにより、複数の並設した燃料貯蔵セル13を形成するが、この場合、最外周の平板状格子板12同士は、互いに溶接により強固に結合するものとする。この燃料貯蔵セル13の形成に当って、短冊状格子板11の鉤状突起部14が両側縁で、互いに相違する高さに位置するため、平板状格子板12の両側に短冊状格子板11を配設し、その鉤状突起部14を平板状格子板12の高さの相違するスリット16にそれぞれ干渉することなく、挿入することができる。
【0037】また、平板状格子板12のスリット16の幅は短冊状格子板11の鉤状突起部14を差込み可能な幅に設定されており、短冊状格子板11の鉤状突起部14の先端部が平板状格子板12のスリット16の下端部に差し込まれるため、格子板相互を溶接せずに結合することができる。
【0038】また、この構造によれば、最外周の短冊状格子板11と平板状格子板12の材料は、ボロンを添加していないステンレス鋼を使用するので、衝撃値や伸びの値は構造強度上十分であり、地震荷重に対しては最外周の格子板が使用済燃料貯蔵ラック全体の強度を保ち、使用済燃料からの中性子の吸収にはボロン添加ステンレス鋼およびステンレス鋼の両方が寄与する。
【0039】最外周以外の短冊状枠板11および平板状格子板12の材料として適用されるボロン添加ステンレス鋼は、添加するボロン添加量が多くなるに従って溶接性が低下するため、溶接せずに内側のみに配置して中性子吸収材としての役割を果たす。このため、従来の使用済燃料貯蔵ラックに使用していたボロン添加ステンレス鋼に比べてボロン量の多いボロン添加ステンレス鋼を内側に配置する短冊状格子板11および平板状格子板12の材料に適用して板厚を小さくすることにより、さらに稠密度が高く、且つ十分な遮蔽効果を持つ使用済燃料貯蔵ラック10を実現することができる。
【0040】また、ボロン添加ステンレス鋼の溶接を無くすることにより、使用済燃料貯蔵ラック10の製造において困難な作業が削減され、製造コストの大幅な低廉が実現する。なお、ステンレス鋼がボロン添加ステンレス鋼に比して中性子吸収能力に劣る点については、ステンレス鋼を使用するのは最外周の平板状格子板のみであり、一方の使用済燃料貯蔵ラックの最も外側に貯蔵される使用済燃料に対して、これに向かい合う他方の使用済燃料貯蔵ラックの最も外側に貯蔵される使用済燃料との間には、平板状格子板2枚と使用済燃料貯蔵ラック同士の一定の隙間が介在するため、未臨界性上の問題を補完することができる。
【0041】将来、燃料の高燃焼度化により、使用済燃料貯蔵ラックの材料に対して、より中性子吸収能力が要求されたとしても、最外周の平板状格子板12の材料に比較的ボロン添加量の低いステンレス鋼を使用すれば、最外周以外のボロン添加量の多いステンレス鋼に対し、衝撃値や伸びの値が良好であるため、構造強度上の優位性があり、使用済燃料の未臨界性についても、ステンレス鋼にボロンを添加することにより効果がある。
【0042】なお、前記構造の使用済燃料貯蔵ラックでは、最外周以外の各格子板にボロン添加ステンレス鋼を使用しているが、他に濃縮ボロン添加ステンレス鋼あるいは、ハフニウム等を適用することができる。
【0043】また、最外周の各格子板に価格の安いボロンを添加していないステンレス鋼または比較的ボロン添加量の少ないステンレス鋼を使用することにより、使用済燃料貯蔵ラックトータルの価格の低減も期待できる。
【0044】したがって、本実施形態によれば、地震荷重に対してはボロンを添加していないステンレス鋼または比較的ボロン添加量の少ないステンレス鋼製の最外周の平板状格子板が十分な構造強度を有すると共に、最外周以外の短冊状格子板および平板状格子板は溶接せずに結合することにより、地震時の振動にも十分に耐え、製造において困難な溶接作業が削減され、製造コストの大幅な低廉が実現する。
【0045】また、従来の使用済燃料貯蔵ラックに使用していたボロン添加ステンレス鋼に比べてボロン量の多いボロン添加ステンレス鋼を内側に配置する短冊状格子板および平板状格子板の材料に適用して板厚を小さくすることにより、さらに稠密度が高く、且つ十分な遮蔽効果を持つ使用済燃料貯蔵ラックを実現することができる。
【0046】一方、ボロンを添加していないステンレス鋼または、比較的ボロン添加量の少ないステンレス鋼を使用している最外周の格子板については、一方の使用済燃料貯蔵ラックの最も外側に貯蔵される使用済燃料に対して、これに向かい合う他方の使用済燃料貯蔵ラックの最も外側に貯蔵される使用済燃料との間には、平板状格子板2枚と使用済燃料貯蔵ラック同士の一定の隙間が介在するため、未臨界性上の問題を補完することができる。
【0047】また、最外周の各格子板に価格の安いボロンを添加していないステンレス鋼または比較的ボロン添加量の少ないステンレス鋼を使用することにより、使用済燃料貯蔵ラックトータルとしての価格が安くなり、経済性が向上するという効果も得られる。
【0048】
【発明の効果】以上述べたように本発明に係る使用済燃料貯蔵ラックおよびその製造方法によれば、短冊状格子板および短冊状格子板の溶接を省略して強固な組立を実現することができ、溶接作業に要する手間の省略、狭隘な格子間の作業容易化等により、製造時間を大幅に削減し、大きい経済性向上が図れる。
【出願人】 【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
【出願日】 平成13年3月5日(2001.3.5)
【代理人】 【識別番号】100078765
【弁理士】
【氏名又は名称】波多野 久 (外1名)
【公開番号】 特開2002−257978(P2002−257978A)
【公開日】 平成14年9月11日(2002.9.11)
【出願番号】 特願2001−60357(P2001−60357)