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【発明の名称】 原子炉容器
【発明者】 【氏名】高田 智成

【氏名】久保 登

【氏名】朝田 誠治

【要約】 【課題】加圧水型原子炉の炉心を流れる冷却材流の流量分布を一様化する。

【解決手段】下部鏡板43を備えた有底円筒状容器本体41と取り外し自在の上蓋13とを有する原子炉容器40、容器本体41の中に垂下支持され容器本体41内面との間にダウンカマー21を画成する円筒状の炉心槽19、及び炉心槽19の下端部に水平方向に展延して設けられ鏡板43と協働して下部プレナム53を画成する下部炉心支持板23を有する原子炉において、容器本体41の上部にはダウンカマー21に開口する複数の冷却材入口ノズル15が離れて一体的に形成され、鏡板43の内面上部にはダウンカマー21の下端開口に臨んで階段状突起55が配設されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 下部鏡板を備えた有底円筒状容器本体と取り外し自在の上蓋とを有する原子炉容器、該容器本体の中に垂下支持され該容器本体内面との間に環状下降流路を画成する円筒状の炉心槽、及び該炉心槽の下端部に水平方向に展延して設けられ前記鏡板と協働して下部プレナムを画成する下部炉心支持板を有する原子炉において、前記容器本体の上部には前記環状下降流路に開口する複数の冷却材入口ノズルが離れて一体的に形成され、前記鏡板の内面上部には前記環状下降流路の下端開口に臨んで冷却材流流れ均一化構造物が配設されていることを特徴とする原子炉容器。
【請求項2】 前記流れ均一化構造物が階段状突起から形成され、その突出高さが前記環状下降流路の厚さの0.2倍乃至0.5倍である請求項1記載の原子炉容器。
【請求項3】 前記流れ均一化構造物が粒状物層から形成され、その厚さが前記環状下降流路の厚さの0.2倍乃至0.5倍である請求項1記載の原子炉容器。
【請求項4】 前記流れ均一化構造物が環状突起から形成され、その高さが前記環状下降流路の厚さの0.2倍乃至0.5倍である請求項1記載の原子炉容器。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、原子炉容器に関し、特に加圧水型原子炉用原子炉容器の内部構造に関する。
【0002】
【従来の技術】加圧水型原子炉は一般に、原子炉容器の内部で発生せしめた高温高圧の原子炉冷却材を、原子炉容器の外側に設けた蒸気発生器に導いてタービン駆動用蒸気を発生するようになっており、その原子炉容器の典型的な構造の一例が図4及び図5に示されている。図示された原子炉容器10は、4基の蒸気発生器を持つ、所謂4ループ型の加圧水型原子炉用のものであるが、有底円筒形の容器本体11と着脱自在の上部蓋体13から主としてなっている。容器本体11の側壁上部には、冷却材入口ノズル15と冷却材出口ノズル17とがそれぞれ一体的に形成されている。前述のように、原子炉容器10は4ループ型原子炉用であるから、図5に特に示すように入口ノズル15と出口ノズル17はそれぞれ4個対称的に配置されている。なお、図において矢印は冷却材の流れ方向を示している。
【0003】容器本体11の内部には、上方開口部に近い棚部から円筒形の炉心槽19が垂下支持され、炉心槽19と容器本体11との間に環状下降流路所謂ダウンカマー21が画成されている。炉心槽19の下部に下部炉心支持板23と下部炉心板25が水平に延びて設けられ、下部炉心板25上に多数の燃料集合体が並べられて炉心27を形成する。燃料集合体の上端は上部炉心板29で押さえられるが、その上方に上部プレナム31が形成され、これは出口ノズル17にのみ連通している。なお、容器本体11の底部は半球殻状の鏡板33として形成され、鏡板33と下部炉心支持板23との間が下部プレナム35となっている。
【0004】そして、上述のような構造の原子炉容器10の内部における冷却材の流れを概説すると、図示しない冷却材ポンプから送られた冷却材は、入口ノズル15を通って内部のダウンカマー21へ流入する。冷却材は矢印に示すようにダウンカマー21内を流下し、下部プレナム35内で反転し、下部炉心支持板23と下部炉心板25を貫流して炉心27内に入る。炉心27内では、冷却材は燃料集合体の燃料棒の外側をこれに沿って上向きに流れつつ核反応熱を吸収して昇温する。炉心27内を上昇して上部プレナム31に至ったら、水平方向に向きを変え、蒸気発生器に向けて出口ノズル17から流出する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】前述したように、図示しない4基の蒸気発生器に連絡するそれぞれ4個の入口ノズル15と出口ノズル17とには、図示はしないが高温高圧用高強度配管が取り付けられている。これらの配管には冷却材ポンプや加圧器なども連結され、その配置に際し物理空間的制約も多いから、製作性や空間効率を考慮すると前述のようなノズル配置となることが多い。しかしながら、入口ノズル15を通った冷却材は、炉心槽19の外面にほぼ直角に衝突するから、方向や速度が時間的にランダムに変化する乱流となり、隣接した入口ノズル15から発した二つの冷却材流れは、互いに衝突する境界で攻め合う。ダウンカマー21の上部で攻め合って生じた冷却材の流動変動が、ダウンカマー21を通って下部プレナム35に至る過程でより大きくなる。このような流れの変動は、炉心27内を上昇する冷却材の流量分布を乱し、均一な炉心流量分布の確保に支障を来し、ホットスポット等の発生に繋がる虞もあり、原子炉の安全な運転上好ましくない。従って、本発明の課題は、冷却材入口ノズルの数が増え、隣接入口ノズルからの冷却材流れの相互干渉が生じても、原子炉炉心内を流れる冷却材の流量分布が一様に維持される内部構造を持つ原子炉容器を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため、本発明によれば、下部鏡板を備えた有底円筒状容器本体と取り外し自在の上蓋とを有する原子炉容器、該容器本体の中に垂下支持され該容器本体内面との間に環状下降流路を画成する円筒状の炉心槽、及び該炉心槽の下端部に水平方向に展延して設けられ前記鏡板と協働して下部プレナムを画成する下部炉心支持板を有する原子炉における前記原子炉容器は、該容器本体の上部に該環状下降流路に開口する複数の冷却材入口ノズルが離れて一体的に形成され、更に前記鏡板の内面上部には該環状下降流路の下端開口に臨んで冷却材流流れ均一化構造物が配設されて構成される。前記流れ均一化構造物としては、階段状突起、粒状物層又は環状突起から形成するのが好ましく、その突出高さ乃至厚さは、環状下降流路の厚さの0.2倍乃至0.5倍とするのが好ましい。
【0007】
【発明の実施の形態】以下図面を参照して本発明の実施形態を説明する。なお、前述の従来技術に関する図面を含め、全図に亘り同一部分には同一の符号を付している。先ず図1を参照するに、原子炉容器40は、有底円筒形の容器本体41と着脱自在の上部蓋体13を有している。容器本体41の側壁上部には、それぞれ1個ずつ示された4個の冷却材入口ノズル15と冷却材出口ノズル17とが一体的に形成されている。それぞれ4個の入口ノズル15と出口ノズル17の平面的配置関係は、前述の図5に示すものと同じである。容器本体41の内部には、上方開口部に近い棚部から円筒形の炉心槽19が垂下支持され、炉心槽19と容器本体11との間にダウンカマー21が画成されている。ダウンカマー21の幅即ち、炉心槽19の外面と容器本体41の内面との距離は、符号Hで表されている。そして、炉心槽19の下部に下部炉心支持板23と下部炉心板25が水平に設けられ、炉心槽19は下部炉心支持板23の位置で容器本体11から水平方向に支持されている。その下部炉心板25の上には、図示しない多数の燃料集合体が互いに隣接して装荷され、炉心27を形成する。燃料集合体の上端は上部炉心板29で押さえられるが、その上方に上部プレナム31が形成され、これは炉心槽19のノズルフランジを通して出口ノズル17へ連絡している。
【0008】而して、炉心27内の中性子束などを検出するため、容器本体41の半球殻状鏡板43を貫いて複数の計装案内管45が延びていて、下部炉心支持板23、上部連接板47及び下部連接板49によって計装案内管45が保持されている。下部プレナム53内に位置する上部連接板47及び下部連接板49は、原子炉の運転時に鏡板43の上面に着座する支持柱51により保持されている。そして、下部プレナム53に面する鏡板43の内面の上部には階段状突起55が形成され、更に下方には階段状突起57が形成されている。突起55と突起57との境界は、下部連接板49とほぼ同じ高さにあり、突起55の突出高さ(ステップ高さ)は、0.2〜0.5H(Hはダウンカマー21の幅)の範囲にある。他方突起57の高さは、0.5H以上の範囲にある。階段状突起55,57の上面は円周方向に延びているが、必ずしも連続する必要はない。
【0009】上述のような構造の原子炉容器40において、冷却材Cは従来の原子炉容器の場合と同様に、図示しない冷却材ポンプにより配管を流れ、入口ノズル15を通ってダウンカマー21へ流入し、炉心槽19の外面に衝突する。衝突した冷却材Cは、炉心槽19の外面に沿って四方に向かって流れるが、最終的には矢印に示すようにダウンカマー21内を流下し、下部プレナム35内で反転し、下部炉心支持板23と下部炉心板25を貫流して炉心27内に入る。炉心27内では、冷却材Cは、燃料集合体の燃料棒の外側をこれに沿って上向きに流れつつ、核反応熱を吸収して昇温する。炉心27内を上昇し、上部プレナム31に至った後、冷却材Cは水平方向に向きを変え、蒸気発生器に向けて出口ノズル17から流出する。
【0010】炉心槽19の外面は水平面内で円弧を描いているから、前述の衝突後に炉心槽19の円周面に沿って側方へ回り込む冷却材Cの流れは、衝突前の速度成分と同方向の速度成分を持っていて、量が多くなり易い。このようにして炉心槽19の円周方向に流れる隣接入口ノズル15からの冷却材Cは、互いに衝突して干渉し合うから、最終的には下向きになるダウンカマー21内の冷却材流の円周方向流量分布は変動している。しかしながら、このような冷却材Cの下向き流が、階段状突起55の上面に衝突し若しくは上面から形状抵抗を受けると、横方向特に円周方向の流れ成分が生じ、このため円周に沿う半径方向流量分布が一様になる。このようにして、下部プレナム53に入る冷却材Cの反転流の円周方向流量分布は比較的一様になり、この状態を保持して炉心27内を上向きに流れる。即ち、炉心27内の冷却材流の速度成分分布は一様となり、ホットスポット等が生じない。なお、下部連接板49より下方にある階段状突起57は、省略して平滑な面としても、前述の主要な作用効果は得られる。
【0011】次に図2を参照して本発明の別の実施形態を説明する。本実施形態に係る原子炉容器60は後記する以外前述の原子炉容器40と同じ構造である。即ち、図2の(a)に示されるように、原子炉容器60において、容器本体61の底部の半球殻状鏡板63の内面に粒状物層65が形成されている。粒状物層65の概念図が図2(b)に拡大して示されている。粒状物層65の厚さは、0.02H乃至0.05Hの範囲が良く、好ましくは約0.05Hである。以上のような構成の原子炉容器60においても、ダウンカマー21を流下した冷却材Cは、鏡板63の内面の粒状物層65に接して大きな流体摩擦を受ける。このため、大きい流速を持つ領域の冷却材Cの一部は側方に流れて、流速分布は一様化し、下部プレナム53内に流れ込む反転流の流量分布は一様化して、前述の実施形態の場合と同様の作用効果が得られる。
【0012】更に本発明の別の改変実施形態を図3を参照して説明する。図3に示す原子炉容器70は、以下に説明する部分のみが前述の原子炉容器40、60と異なる。即ち、容器本体71の底部の半球殻状の鏡板73の内面に、環状突起75が複数形成されている。環状突起75の断面は矩形であり、高さは0.2H乃至0.5H(Hはダウンカマー21の幅)であるが、更に隣接する環状突起75の間隔は高さの4乃至6倍である。なお、環状突起75の断面形状は、矩形に代えて三角形や円形等でも良い。
【0013】前記した構成の原子炉容器70において、ダウンカマー21を通って下部プレナム53に流入するステップ状流速分布を有する冷却材Cの噴流は、環状突起75と干渉するために減速される。更に、流体摩擦によりステップ状流速分布が急速に平滑化され、下部プレナム53内で矢印に示すように流れ方向を反転し、下部炉心支持板23及び下部炉心板25を順次通過し、炉心27内にほぼ均一に流入する。従って、前述と同様の作用効果を奏する。
【0014】
【発明の効果】前記したように、本発明によれば、原子炉容器の容器本体の底部鏡板内面に、ダウンカマー乃至環状下降流路の下端開口に臨んで、流れ均一化構造を設けたので、下部プレナム内に向かう冷却材流の半径方向流速は円周に沿って均一化されるから、炉心内を流れる冷却材流の流量分布が一様化される。
【出願人】 【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
【出願日】 平成13年2月28日(2001.2.28)
【代理人】 【識別番号】100057874
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道照 (外6名)
【公開番号】 特開2002−257971(P2002−257971A)
【公開日】 平成14年9月11日(2002.9.11)
【出願番号】 特願2001−54083(P2001−54083)