| 【発明の名称】 |
沸騰水型原子炉用制御棒 |
| 【発明者】 |
【氏名】足立 昇司
【氏名】後藤 紀昭
【氏名】瀬戸 武裕
【氏名】中山 道夫
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| 【要約】 |
【課題】沸騰水型原子炉用制御棒において、レーザ溶接技術を利用するための最適なとタイロッドの溶接部の配置と開先形状を提供する。
【解決手段】棒状のタイロッド1の4つのフィン8を、シース2の溶接用突出部23のU字横断面で挟み込む状態で溶接される制御棒において、4つのフィン8の先端部の開先形状に凹凸部を形成したり、また、4つのフィンの溶接部9の配置を変えるようにした。本発明によれば、フィンの先端面の凹凸形状により、溶接金属がこの凹凸部に連なり、突出部23と重なり代10の隙間が封をされ、隙間腐食が防止される。また、溶接部の配置を変えることにより、溶接の入熱を分散でき、タイロッドおよびシースの変形を低減できる。そのため、溶接による変形が抑制された健全な制御棒が得られる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 断面十字形状を形成する4つのフィンを有する棒状のタイロッドと、前記フィンの先端部に断面U字形状の開口部を挟んで一定箇所が溶接される4つのシースとから構成され、立設して用いられる沸騰水型原子炉用制御棒において、前記フィンと前記シースとの溶接部は、前記4つのフィンの端面に凸部または凹部からなる開先形状が形成されていることを特徴とする沸騰水型原子炉用制御棒。 【請求項2】 断面十字形状を形成する4つのフィンを有する棒状のタイロッドと、前記フィンの先端部に断面U字形状の開口部を挟んで一定箇所が溶接される4つのシースとから構成され、立設して用いられる沸騰水型原子炉用制御棒において、前記フィンと前記シースとの溶接部は、前記4つのフィンの溶接箇所が、異なる水平位置で溶接されていることを特徴とする沸騰水型原子炉用制御棒。 【請求項3】 断面十字形状を形成する4つのフィンを有する棒状のタイロッドと、前記フィンの先端部に断面U字形状の開口部を挟んで一定箇所が溶接される4つのシースとから構成され、立設して用いられる沸騰水型原子炉用制御棒において、前記フィンと前記シースとの溶接部は、前記4つのフィンの溶接箇所が異なる水平位置で溶接され、かつ、前記4つのフィンの端面に凸部または凹部からなる開先形状が形成されていることを特徴とする沸騰水型原子炉用制御棒。 【請求項4】 前記フィンの先端部の開先形状は、フィン先端面が凸状または凹状のテーパ面または曲面を有してなる請求項1、2または3に記載の沸騰水型原子炉用制御棒。 【請求項5】 前記溶接部は、断面十字形状の180度離れたフィンの溶接部が同一の水平位置にあり、90度離れた隣接のフィンの溶接部が異なる水平位置にある請求項1〜4のうちいずれか1項に記載の沸騰水型原子炉用制御棒。 【請求項6】 前記溶接部は、4つのフィンの溶接部が全て異なる水平位置にある請求項1〜4のうちいずれか1項に記載の沸騰水型原子炉用制御棒。 【請求項7】 前記フィンの先端部は、長手方向の全長に溶接用の開先形状が形成されている請求項1〜6のうちいずれか1項に記載の沸騰水型原子炉用制御棒。 【請求項8】 前記フィンの先端部は、前記溶接部のみに溶接用の開先形状が形成されている請求項1〜6のうちいずれか1項に記載の沸騰水型原子炉用制御棒。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は沸騰水型原子炉用制御棒に係り、特に、タイロッドとシース間の健全な溶接構造を有する原子炉用制御棒に関する。 【0002】 【従来の技術】従来の沸騰水型原子炉用制御棒の利用環境とその構造を説明する。原子炉内では、核燃料中のウラン235が核分裂反応をし、このときに発生する熱を利用し炉水を沸騰させ、同時に発生する中性子が他のウラン235を分裂させる連鎖反応が起きている。 【0003】核分裂の連鎖反応量を制御するため、中性子吸収材を内部に収納する制御棒が利用される。このうち、沸騰水型原子炉で通常使用される制御棒は、十字型横断面をしており、鉛直方向に立設した4つの筒状の燃料チャンネルボックス間に形成される十字型の隙間に、鉛直方向に移動させて挿入される。 【0004】この燃料チャンネルボックス間に形成される十字型の隙間に、制御棒が滑らかに挿入される挿入性を確保するため、制御棒の十字断面を形成する4枚のブレードの厚み寸法や、幅寸法、角度の位置関係、および制御棒の真直性に厳しい品質が要求される。 【0005】沸騰水型原子炉用制御棒として最もよく使用されるものは、十字断面を持つタイロッドの各辺にU字断面を持つシースを取り付け、シースの内部に中性子吸収材を収納し、タイロッドとシースを溶接接合したものである。 【0006】このタイロッドとシースの溶接接合には、シースの一定箇所を溶接部として突出させ、その突出部をスポット溶接している。スポット溶接を施した溶接部では、タイロッドとシースの隙間に炉水が循環しにくくなりよどむ。よどんだ炉水が長期間炉内の照射を受けると腐食環境を発生させ、この状態にスポット溶接部が晒されると隙間腐食発生の可能性がある。 【0007】一方、TIG溶接を採用して完全溶着させた溶接部は、その構造から炉水がよどむ隙間は発生しない。このため、改良型の沸騰水型原子炉用制御棒のタイロッドとシースの溶接構造は、このTIG溶接を適用し、完全溶着させる方法が取り入れられている。そこで、従前のスポット溶接から完全溶着可能な溶接構造への変更が求められるようになった。 【0008】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来型沸騰水型原子炉用制御棒に比較して、改良型沸騰水型制御棒のシースは薄い板材を使用して製作されているので、シース溶接部の間の座屈に対する強度は低下する。 【0009】また、シースの突出部をタイロッドのフィンに溶接すると、溶接の熱影響によりタイロッドは長手方向に収縮し、溶接部の間の距離は縮まる。同様に、タイロッドの幅方向にも収縮が生じる。 【0010】このように、シースの座屈強度の低下とタイロッドの収縮および溶接部の残留応力により、薄いシースには溶接部である突出部に波打ち現象が発現し、このことが未溶接部のワークの位置関係をずらして溶接品質に影響を与え、上記各寸法を守るための修正作業に時間を費やす原因となっている。 【0011】薄いシースをタイロッドフィンにTIG溶接する際,熱容量の差があるので、アークの入熱で双方に溶融池が発生するまでに時差があり、溶接電流を大きくするとシースが先に溶融し、溶接電流を小さくするとタイロッドフィンが溶融せず、その間にシースに入熱が掛かり熱変形する原因となり、開先形状が変形し溶接品質にばらつきを発生することになる。 【0012】そこで、段取り作業と修正作業を減らすために、シースの変形と溶接部の残留応力を抑え、同時にフィン溶接部の重なり代の面とシース突出部との間で裏波ビードが得られ、タイロッドとシース間が完全溶着する良好な溶接品質を得るため、低入熱で入熱範囲が狭く、TIG溶接より溶け込みが深いレーザ溶接技術を適用することが考えられる(例えば、特開2000−329885号公報、特開平9−61576号公報参照)。 【0013】本発明の目的は、沸騰水型原子炉用制御棒のタイロッドと薄いシースとの溶接構造において、レーザ溶接技術を適用するにあたり、溶接部の位置や開先形状を最適化することによって、隙間腐食の発生を予防できる健全性を確保し、溶接品質と寸法精度が向上し、安定した炉心運転が可能な制御棒を提供することである。 【0014】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明の沸騰水型原子炉用制御棒は、断面十字形状を形成する4つのフィンを有する棒状のタイロッドと、フィンの先端部に断面U字形状の開口部を挟んで一定箇所が溶接される4つのシースとから構成され、立設して用いられる沸騰水型原子炉用制御棒において、フィンとシースとの溶接部を検討し、その結果、4つのフィンの先端部の開先形状に凹凸部を形成したり、また、4つのフィンの溶接箇所を異なる水平位置で溶接するようにした。 【0015】本発明によれば、タイロッドのフィンの先端面に、テーパー面または曲面などにより凹凸形状を形成したので、溶接時、完全溶着した重なり代に由来する溶接金属が、フィン部に設けたテーパー面または曲面とシースに連なり、シースの突出部とタイロッドの重なり代の隙間が封をされ、このため、炉水がよどむ隙間が発生せず、隙間腐食の発生が予防されて溶接品質が向上する。 【0016】また、溶接部の位置を4つのフィンで異ならせることにより、溶接の入熱を分散できるため、溶接部で発生するタイロッドの収縮とシースの変形を低減することができる。そのため、溶接による変形が抑制された健全な制御棒が得られる。 【0017】したがって、タイロッドの縮みや熱負荷の不揃いが原因となる曲がりや捩れが減少し、また、シースでは残留応力を低く抑えられ、シースの波打ち現象の発生がなくなり、フィンの長さや幅寸法と角度の精度が向上する。また、修正作業を短縮することができる。 【0018】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。まず、沸騰水型原子炉用制御棒において、シースとの溶接部であるタイロッドのフィン先端部の開先形状について説明し、次に、十字形状の4つのフィンの溶接位置の異なる配置について説明し、最後に、本制御棒の製造手順と、本発明になる開先形状にレーザ溶接を適用した施工試験について説明する。 【0019】図1は、タイロッドとシースの溶接部のフィン先端部開先形状が凸状に形成された例の断面および斜視図である。断面十字形状を形成する4つのフィン8を有する棒状のタイロッド1と、フィン8の先端部に断面U字形状の開口部を挟んで一定箇所が溶接されるシース2とから構成され、フィン8とシース2との溶接部9の開先形状が、フィン8の端面にテーパ面を有する凸部31が形成された断面形状となっている。 【0020】このような開先形状を採用してレーザ溶接すると、溶接時、完全溶着したフィンの重なり代7に由来する溶接金属が、凸部31のテーパ面とシース2とに連なり、重なり代7の隙間が封をされ、このため、炉水がよどむ隙間が発生せず、隙間腐食の発生が予防されて溶接品質が向上する。なお、シース2には突出部23が形成されて溶接部となっている。また、シース2内には中性子吸収材3が入っている。 【0021】図2に、開先形状の種々の例を示す。図2(a)は、図1に使用した例であり、タイロッドのフィン8の先端部が、重なり代10に連なってテーパ面11となって三角形状に突出している。 【0022】図2(b)は、フィン8の重なり代10から先端側を円弧で繋いだものである。溶接時、重なり代10に近い位置ほど、シース2の突出部23と円弧面24の間にできる隙間は小さくなるので、溶融した金属がシース突出部23の面と円弧面24との間で連なりやすく、このため腐食環境となる隙間が塞がれるので、隙間腐食の発生を予防することができる。 【0023】図2(c)は、フィン8の重なり代10より先端側をテーパ面11と平面を連ねたものである。テーパ面11は対称である必要はなく、テーパ面11とテーパ面11の間はどのような面で連絡させてもよい。テーパ面11は平面であるため、開先加工が容易になり、使用可能な工具刃の種類が増える利点がある。 【0024】図2(d)および(e)は、フィン8の重なり代10より先端側を、凸な曲面12aとしたもの、および凹な曲面12aとしたものである。曲面12aは対称である必要はなく、また曲面12aと曲面12aの間は、どのような面で連絡させてもよい。 【0025】図2(d)は凸曲面12aを使用するので、溶接部であるシース突出部23の面と凸曲面12aの間で溶融した金属が連結しやすくなり、また、溶接部9近傍の母材の量が減少するため溶接の入熱が伝熱で逃げにくく、重なり代10の温度が上昇し溶融しやすくなるので溶接速度を上げることができる。 【0026】図2(e)は凹曲面12bを使用するので、溶接部9近傍の母材の量が図2(c)の形状に比べてさらに減少するため、溶接の入熱が伝熱で逃げにくく、重なり代10の温度が上昇し溶融しやすくなるので、溶接速度を上げることができる。このため溶接部9の入熱量を低く抑えることができる。 【0027】図3は、タイロッドのフィン8の先端部を、凹状に形成した例である。図3(a)は、テーパ面11で三角状のV溝が形成され、図3(b)は、コの字型の凹溝とした。また、図3(c)では、曲面13によって溝の先端部と底部とを形成した。また、図3(d)は、図3(a)の溝でV溝の先端部に平面14を形成してある。 【0028】図3に示した例でも、図2に記載した例と同様に、溶融した金属が連結しやすくなり、溶接部9近傍の母材の量が減少するため溶接の入熱が伝熱で逃げにくく、重なり代の温度が上昇して溶融しやすくなるので溶接速度を上げることができる。特に、凹溝の両側壁部が完全溶融して完全溶接接合が可能になる。 【0029】次に、図4および図5を用いて、タイロッドとシースの溶接部9の配置を変えた例について説明する。図4は、隣接フィンの溶接位置が異なり、180度離れたフィン同士は溶接位置を同じにした例を示す斜視図、図5は、各フィンの溶接位置が異なる例を正面図である。 【0030】図4において、十字断面形状を形成する4つのフィンを持つ棒状のタイロッドと、このタイロッドと同程度の長さを持ち、U字断面形状をして縁部に複数の突出した溶接部を形成したシースとから構成され、シースの突出部でフィンを挟み込んで溶接する構造の沸騰水型原子炉用制御棒において、フィンとシース突出部とを溶接する際、180度離れた位置にあるシース同士の突出部は同一位置で溶接され、90度離れた隣接のシース同士はずれた位置で溶接するようにした。 【0031】4枚のフィンのシースとの溶接部9が同一位置にある従来方法では、溶接による曲がりなどの変形の方向は、断面のX−Y方向混合となり、複雑な変形を発生する。一方、互いに反対側のフィンの溶接部9を同じ位置に、隣接フィンの溶接部9をずらした溶接位置にした図4の方法によれば、溶接の入熱を分散できるため、各溶接部で発生するタイロッドの収縮と、シースの変形を低減できることになる。 【0032】また、タイロッドの曲がり方向を、X軸とY軸に分解することができるため、曲がり修正が必要なときには、その修正方向が明確になり、修正作業がきわめて容易となる。その結果、変形のないより健全な制御棒を提供することができる。 【0033】図5は、十字形状のタイロッドの4つのフィンとシース突出部との溶接部9を、4つのフィンにおいてそれぞれ異ならせた例である。図において、目視Aによれば、シース(1)と(3)とで溶接部9がずれ、目視Bによれば、シース(2)と(4)とで溶接部9がずれ、しかも、図中に一点鎖線で示すように、隣接フィンごとに順次ずらして螺旋(スパイラル)状に溶接部9を配置した。 【0034】このように、タイロッドの長さ方向にスパイラル状に溶接部を配置すると、上記図4の例よりもさらに溶接による入熱が分散する。そのため、入熱による変形と他の溶接部からの影響が低減する。しかも、変形が生じる場合も、螺旋を描くように発生するため、全体的に変形のバランスが得られ、きわめて容易に修正可能となる。そして、レーザ溶接等の低入熱の溶接技術を採用することにより、変形のない健全性の高い溶接棒が得られる。 【0035】次に、図6〜図8を用いて、タイロッドのフィン先端部の開先形状の配置について説明する。図6〜図8はタイロッドの正面図とその側面図をあらわしたもので、タイロッド1の全長にわたり溶接部の開先形状を加工したものである。 【0036】図6のものは、全長にわたり同様の加工をするため、製造容易で、タイロッドの重量を最も軽くできる利点がある。また、図7および図8のものは、シース2の突出部23との溶接に必要な開先形状を、必要な箇所にのみ適用した例である。タイロッドの加工量が減少し製作工程の短縮化が図れる。 【0037】図7では、断面Aは溶接に必要な開先加工を施した位置での断面であり、断面Bは開先加工を施さない位置での断面である。開先加工を施す位置が4つのフィン8で同じになるので、使用するシース2の縁部にある突出部23の配置状態が1種類で済む利点がある。 【0038】図8では、断面Aは対向する2つのフィン8に溶接に必要な開先加工を施した位置での断面であり、断面Bは、開先加工を施さない位置での断面である。断面Cは、断面Aで開先加工を施したフィン8と直行方向の位置関係にある2つのフィン8に開先加工を施した位置での断面である。タイロッド1とシース2の溶接部が、図7の断面Aのように1断面に4箇所ではなくなるので、タイロッドに発生する溶接の入熱に起因する曲がり変形の影響を分散することができる利点がある。 【0039】次に、本発明になる制御棒の製造手順を、図4を参照して説明する。ステンレス製の板材であるシースは、(1)素材から(2)穴明および凸部の切り出しを行い、プレス機で曲げ(3)加工を行い、次工程送り(10)となる。 【0040】一方、制御棒を構成する部品のハンドルや落下速度リミッタ、およびその他の部品(6)を組み立てたもの(7)を、タイロッドの両端部に組み付け溶接(5)を行い、制御棒の骨格を製作して次工程送り(10)となる。 【0041】また、中性子吸収材は、素材(8)に加工と組み立ておよび溶接(9)を行い、棒状の部品となる。中性子吸収材をシースに内包し、制御棒のブレードを組み立てる(10)。シースの溶接用突出部と、タイロッドの開先部分を合わせてレーザ溶接(11)を行い、完成(12)となる。 【0042】ここで、図10および図11を用いて、図2(a)に示した断面形状を持つタイロッドに対して行ったレーザ溶接の施工試験について説明する。図2(b)〜(e)およびその他のタイロッドの断面形状も合わせて説明する。本施工試験では、YAGレーザ溶接機を使用し溶接を行った。施工条件を表1に示す。 【0043】 【表1】
【0044】図10に示すように、タイロッド1とシース2を受け台13に載せ、シース2を固定金具14で固定し、熱引き治具(図に記載せず)を取り付け、タイロッド1とシース2の溶接位置を決める。レール17上に乗り、移動できるレーザ発振器16から伸びる腕に、レーザトーチ15およびトレーラガスノズル21(図11中に記載)が取り付けられる。 【0045】図11に示すように、タイロッド1のフィン8先端側にある重なり代10とシース2の溶接用突出部23を重ね、仮溶接を実施し固定金具13(図10中に記載)でシース2を固定する。 【0046】シールドガス20を溶接部に向けて流す。シールドガス20の種類は本施工試験ではN2を使用しているが、溶接部の酸化を防ぐのが目的であるので、He、Ar、N2など酸化を防ぐ効果をもつガスであればいずれでも良い。また、シールドガス20の流量は、目的の効果が得られる範囲内で使用している。 【0047】次いで、レーザトーチ15を溶接の開始位置まで移動させ、レーザの焦点を調節する。シース2が薄い板のときに、レーザ光線19の出力が大きく、溶接速度が小さいと溶け込みが深く、ビード幅も大きく、裏波ビードも得られ、溶接部の完全溶着が得られやすい。このため、フィン8の重なり代10を大きく取ることができるが、ボイドなどの溶接欠陥が発生しやすい。 【0048】また、シース2が厚い板のとき、レーザ光線19の出力が小さく、溶接速度が大きいと溶け込みが浅くなり、重なり代10を少なくしないと完全溶着が得られない。また、本施工試験では、溶接棒20を使用するので、溶接棒20の供給量が多くなると溶接の入熱が溶接棒の溶融に使用され、このため溶け込みは浅くなり、また供給量が少ないと溶け込みは深くなる。 【0049】完全溶着可能な重なり代10の寸法は、使用するシースの板厚とレーザ光線19の出力と溶接速度、および溶接棒20の供給速度に依存する。そのため、製品仕様の溶接部の強度と溶接品質が得られる範囲を調べ、入熱による変形を少なくするため、その中でもレーザの出力の小さいものを選択し、重なり代10の寸法を決定している。 【0050】溶接ビードは、溶接直後は温度が高い状態にあり酸化しやすく、これを防ぐ目的から溶接直後の溶接ビードへ、トレーラガスノズル21からトレーラガス22を吹き付け、表面の酸化を防いでいる。トレーラガス22の種類の選択方法は、シールドガス20の場合と同じであり、本施工試験ではN2を使用している。 【0051】本施工試験の結果とTIG溶接で行った結果を比較したところ、ビード外観と断面金層が良好で優れた溶接品質であり、溶接部近傍の残留応力の低下が確認できた。また、シースの波打ち現象およびブレードなど全体的に変形量の減少が確認でき、制御棒に求められる品質を満たすことが分かった。 【0052】 【発明の効果】上述のとおり、本発明によれば、沸騰水型原子炉用制御棒のタイロッドと薄いシースとの溶接構造において、レーザ溶接技術を適用するにあたり、溶接部の位置や開先形状を最適化することによって、隙間腐食の発生を予防できる健全性を確保し、溶接品質と寸法精度が向上し、安定した炉心運転が可能な制御棒が得られる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000005108 【氏名又は名称】株式会社日立製作所
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| 【出願日】 |
平成13年2月28日(2001.2.28) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100098017 【弁理士】 【氏名又は名称】吉岡 宏嗣
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| 【公開番号】 |
特開2002−257968(P2002−257968A) |
| 【公開日】 |
平成14年9月11日(2002.9.11) |
| 【出願番号】 |
特願2001−53947(P2001−53947) |
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