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【発明の名称】 制御棒駆動機構の試験方法及びその装置
【発明者】 【氏名】長谷川 健

【氏名】川島 良治

【要約】 【課題】選択される制御棒が複数本となった場合、人間系を介在させることなく、確実かつ短時間で試験できるようにする。

【解決手段】現場制御装置3に接続した電動機式制御棒駆動機構5のCRDモータ8にシンクロ発信器9を直結する。シンクロ発信器9からの位置信号、制御棒6の位置を示すリードスイッチ信号を現場制御装置3から電動機式制御棒駆動機構5に出力する。中央操作制御装置2から選択制御棒座標信号及び制御棒駆動モードを現場制御装置3に出力する。これらの信号は現場制御装置3から中央操作制御装置2までは全て制御棒操作監視系伝送装置11により送受信している。伝送装置11により制御棒6の位置、選択制御棒座標及び制御棒6の駆動モードを試験装置1に入力する。これにより、電動機式制御棒駆動機構5の駆動状態を確認することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 原子力発電プラントの電動機式制御棒駆動機構を制御、監視する制御棒操作監視系システムの制御棒駆動機構の試験方法において、前記制御棒操作監視系システムが接続される伝送装置に、マンマシン装置から制御棒の各種試験項目を入力し、試験すべき試験項目を選択して、その選択された試験項目のデータを処理し、この処理されたデータを判定し、この処理及び判定したデータを記憶し、データ出力する試験を行うことを特徴とする制御棒駆動機構の試験方法。
【請求項2】 前記試験項目は前記制御棒操作監視系システムに設置された複数本の制御棒を駆動し、前記制御棒の停止位置の精度及び速度を確認する項目を含むことを特徴とする請求項1記載の制御棒駆動機構の試験方法。
【請求項3】 前記試験項目は前記制御棒操作監視系システムに設置された複数本の制御棒を駆動し、前記制御棒駆動機構のリードスイッチ接点が動作する制御棒位置を確認する項目を含むことを特徴とする請求項1記載の制御棒駆動機構の試験方法。
【請求項4】 前記試験項目は前記制御棒操作監視系システムの制御棒速度確認試験で、前記制御棒駆動機構の速度評価を電動機の起動ないし停止時の緩やかな速度の部分を無視し、前記制御棒駆動機構の移動距離と駆動時間により速度を算出して評価する項目を含むことを特徴とする請求項1記載の制御棒駆動機構の試験方法。
【請求項5】 制御棒操作監視系システムから構成された伝送装置と、この伝送装置から制御棒の情報を入力するマンマシン装置と、このマンマシン装置からの試験内容を選択する試験項目選択回路と、この試験項目選択回路で選択した試験項目により必要な入力データを判別するデータ選択回路と、このデータ選択回路から出力された試験を実施するためにデータ処理するデータ処理回路と、このデータ処理回路からの試験結果の良否を判定する判定回路と、この判定回路で採取した試験結果及びデータを記憶するデータ記憶回路と、このデータ記憶回路からの試験結果を出力する出力回路とを具備したことを特徴とする制御棒駆動機構の試験装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は電動機式制御棒駆動機構の制御棒の駆動状態、リードスイッチの接点状態、制御棒駆動状態等を自動的に試験できるように構成した制御棒駆動機構の試験方法及びその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の原子力発電プラント(以下、プラントと記す)の制御棒駆動機構は水圧式を採用していたが、最近のモータ制御技術の発展に伴い電動機により制御棒を駆動する電動機式制御棒駆動機構が採用されている。
【0003】電動機式制御棒駆動機構により、従来の水圧式制御棒駆動機構の駆動モードであるノッチ駆動、連続駆動の他にノッチ位置の1/4の間隔で駆動停止するステップ駆動方式が採用されている。また、制御棒の位置を監視するためにシンクロ発信器が設置されて、制御棒の停止可能位置が細分化されている。
【0004】また、従来の水圧式制御棒駆動機構では1本ずつ駆動していた制御棒が一度に複数本の制御棒を駆動させることが可能となっている。その結果、電動機式制御棒駆動機構を採用したプラントは出力の微調整、短時間の起動停止、高出力を実現することとなっている。
【0005】図7により従来の水圧式制御棒駆動機構の試験装置の概略を説明する。図7において、試験装置は制御棒6を操作する運転員とのインターフェイスを実施するマンマシンインターフェイス7、中央操作室に配置される制御装置(以下、中央操作制御装置と略す)2、複数の現場制御装置3及び現場制御装置6と制御棒3を駆動する水圧式制御棒駆動機構23により構成されている。
【0006】従来の試験方法において、水圧式制御棒駆動機構の停止位置確認試験は、ラッチ機能により制御棒の停止位置を決定している。そのため、制御棒駆動機構を1本ずつ通常動作させラッチ機構で停止したことを確認して試験を実施していた。また、水圧式制御棒駆動機構の駆動速度確認試験は、制御棒駆動水の供給流量を調整後、制御棒駆動機構を1本ずつ駆動し駆動時間を測定している。
【0007】電動機式制御棒駆動機構の試験方法は、1本の制御棒駆動装置の停止位置が従来の停止位置より大幅に増加したこと、さらに制御棒本数が増加したことにより試験物量が増加し、試験に必要な時間が大幅に増加している。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】電動機式制御棒駆動機構の採用により、1本の制御棒駆動装置の停止位置が増加し、さらに、制御棒本数が増加したことにより試験物量が増加して試験に必要な時間が大幅に増加する課題がある。原子力発電プラントの建設工期及び点検期間は短縮される傾向にあるため、試験を効率的にかつ短時間で実施することが要望されている。
【0009】本発明は上記課題を解決し前記要望を満足させるためになされたもので、電動機式制御棒駆動機構の試験を、選択される制御棒が複数本となっても、人間系を介することなく、効率かつ短時間で確実に実施できる制御棒駆動機構の試験方法及びその装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る発明は、原子力発電プラントの電動機式制御棒駆動機構を制御、監視する制御棒操作監視系システムの制御棒駆動機構の試験方法において、前記制御棒操作監視系システムが接続される伝送装置に、マンマシン装置から制御棒の各種試験項目を入力し、試験すべき試験項目を選択して、その選択された試験項目のデータを処理し、この処理されたデータを判定し、この処理及び判定したデータを記憶し、データ出力する試験を行うことを特徴とする。
【0011】この発明によれば、1本の制御棒駆動装置の停止位置が増加し、さらに制御棒本数が増加して試験物量が増加し、試験に必要な時間が大幅に増加した場合でも効率かつ短時間で電動機式制御棒駆動機構の試験を行うことができる。
【0012】請求項2の発明は、前記試験項目は前記制御棒操作監視系システムに設置された複数本の制御棒を駆動し、前記制御棒の停止位置の精度及び速度を確認する項目を含むことを特徴とする。
【0013】この発明によれば、選択される制御棒が複数本となった場合でも、人間系を介在させることなく、一度に複数本の試験記録の採取、判定を行うことにより、確実でしかも短時間で試験を行うことができる。
【0014】請求項3の発明は、前記試験項目は前記制御棒操作監視系システムに設置された複数本の制御棒を駆動し、前記制御棒駆動機構のリードスイッチ接点が動作する制御棒位置を確認する項目を含むことを特徴とする。この発明によれば、制御棒のリードスイッチ接点が動作した制御棒位置を容易に確認できる。
【0015】請求項4の発明は、前記試験項目は前記制御棒操作監視系システムの制御棒速度確認試験で、前記制御棒駆動機構の速度評価を電動機の起動ないし停止時の緩やかな速度の部分を無視し、前記制御棒駆動機構の移動距離と駆動時間により速度を算出して評価する項目を含むことを特徴とする。
【0016】この発明によれば、制御棒駆動機構の駆動速度確認試験において、制御棒駆動機構の速度評価を制御棒駆動機構の移動距離と駆動時間により速度を算出して評価することができる。
【0017】請求項5の発明は、制御棒操作監視系システムから構成された伝送装置と、この伝送装置から制御棒の情報を入力するマンマシン装置と、このマンマシン装置からの試験内容を選択する試験項目選択回路と、この試験項目選択回路で選択した試験項目により必要な入力データを判別するデータ選択回路と、このデータ選択回路から出力された試験を実施するためにデータ処理するデータ処理回路と、このデータ処理回路からの試験結果の良否を判定する判定回路と、この判定回路で採取した試験結果及びデータを記憶するデータ記憶回路と、このデータ記憶回路からの試験結果を出力する出力回路とを具備したことを特徴とする。
【0018】この発明によれば、伝送装置により制御棒位置、選択制御棒座標及び制御棒駆動モードを試験装置に入力する。これにより、制御棒駆動機構の駆動状態を確認し、その試験結果を出力し、また表示する。また、新たな機器に対してより効率的に制御棒駆動機構の試験を正確かつ短時間で行うことができ、複数の制御棒を動作させ、同時に細かな動きを行っても、自動的にその制御棒の健全性を確認することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】本発明に係る制御棒駆動機構の試験方法の第1の実施形態を図1から図3を参照して説明する。図1において、符号1は試験装置、2は中央操作制御装置、3は現場制御装置、4はモータ制御装置、5は電動機式制御棒駆動機構、6は制御棒である。
【0020】制御棒操作監視系システムは、制御棒6を操作する運転員とのインターフェイスを実施する中央操作制御装置2に接続するマンマシンインターフェイス7と、中央操作制御装置2と複数の現場制御装置3及び複数のモータ制御装置4と、中央操作制御装置2と複数の現場制御装置3を接続する制御棒操作監視系伝送装置11と、中央操作制御装置2と上流側の制御装置とを接続する制御棒自動化伝送装置10と、制御棒6を駆動する制御棒駆動機構モータ(図中、CRDモータと略す)8と、制御棒6の移動距離を検出するシンクロ発信器9で構成される電動機式制御棒駆動機構5により構成される。
【0021】この制御棒操作監視系システムの制御棒自動化伝送装置10に試験装置1を接続して制御棒停止精度試験、制御棒速度試験、リードスイッチ接点確認試験を実施する。
【0022】制御棒停止精度試験の場合は、試験員はマンマシンインターフェイス7から制御棒6の駆動操作を実施すると、マンマシンインターフェイス7は選択した制御棒のデータである選択制御棒信号a、制御棒6の引抜/挿入指令である制御棒操作指令信号b、制御棒6の駆動モード(ステップ/ノッチ/連続)データである駆動モード信号cを中央操作制御装置2へ出力する。
【0023】中央操作制御装置2は、選択制御棒信号aから駆動する制御棒を判断し、駆動する制御棒を制御する複数の現場制御装置3へ選択制御棒信号a、制御棒操作指令信号b、駆動モード信号cを制御棒操作監視系伝送装置11を介して現場制御装置3へ出力する。現場制御装置3は選択制御棒信号aにより駆動する制御棒を判断し、駆動する制御棒を制御する複数のモータ制御装置4へ制御棒操作指令信号b、駆動モード信号cを出力する。
【0024】モータ制御装置4は制御棒操作指令信号b、駆動モード信号cにより、制御棒6をステップ/ノッチ/連続の駆動モードのいずれかで引抜または挿入するため、制御棒駆動機構モータ8に駆動モード及び駆動方向に適した電源を供給する。制御棒駆動機構モータ8により制御棒6が駆動するとを駆動させる。
【0025】シンクロ発信器9は駆動した制御棒6の位置を検出し、現場制御装置3へ制御棒位置信号dを出力する。現場制御装置3は制御棒位置信号dを制御棒操作監視系伝送装置11を介して中央操作制御装置2へ出力する。
【0026】中央操作制御装置2は制御棒位置信号dを運転員に知らせるためマンマシンインターフェイス7へ出力する。また、制御棒自動化伝送装置10を介して選択制御棒信号a、制御棒操作指令信号b、駆動モード信号c、制御棒位置信号dを試験装置1へ出力する。
【0027】つぎに、試験装置1内のフローチャートを図2により説明する。試験装置1のマンマシン装置14により試験項目の制御棒速度確認試験を選択して試験項目選択回路15に試験項目fを入力する。試験項目選択回路15は制御棒速度確認試験に必要な制御棒起動前の制御棒位置、制御棒駆動開始時刻、制御棒停止時の制御棒位置及び時刻停止時を選択し、データ選択回路16へ出力する。
【0028】データ選択回路16は図1に示した制御棒自動化伝送装置10から入力した選択制御棒信号a、制御棒操作指令信号b、駆動モード信号c、制御棒位置から試験に必要な選択制御棒データ、選択制御棒の制御棒位置データ、制御棒駆動中のビットデータを抽出し、データ処理回路17へ出力する。
【0029】データ処理回路17は、制御棒駆動中ビットデータのon/offをした時、各選択制御棒の起動前と停止時の制御棒位置及び時刻のデータを採取し、制御棒駆動時の距離と時間を計算して駆動毎の制御棒速度を算出する。算出したデータは判定回路18及びデータ記憶装置19へ出力する。
【0030】判定回路18は、図1に示した制御棒駆動装置モータ8のモータ速度パターン例を図6に示すように起動時はトルクを捻出するため、低速で起動を開始し、停止時は目標位置で確実に停止する。低速で駆動する速度パターンを実施している場合の制御棒速度の判定は、起動・停止時に低速となる部分の速度が短時間であるため、無視し、起動位置から停止位置までの駆動距離と駆動時間により制御棒速度を求め評価し、判定結果をデータ記憶装置19へ出力する。
【0031】データ出力回路20はデータ記憶装置19のデータを試験員に提示するため帳票形式に変換し、表示装置21または出力装置22へ出力する。同様に、停止制度確認試験の場合は、データ処理回路17が制御棒駆動中ビットデータにより複数本の選択制御棒の制御棒位置を採取し、各駆動モードで動作した制御棒の移動距離を算出し、判定基準と比較して試験を実施する。
【0032】本実施の形態によれば、選択される制御棒が複数本となっても、人間系を介することなく、一度に複数本の試験記録の採取、判定をすることにより、確実にしかも短時間で試験を行うことができる。本実施の形態における試験方法により当該試験が短縮できるので、今後主流となりつつある原子力発電プラントの短工期建設を実現することができる。
【0033】つぎに図3により本発明に係る制御棒駆動機構の試験方法の第2の実施の形態を説明する。本実施の形態は制御棒リードスイッチ接点の確認試験方法に関する。
【0034】リードスイッチ接点信号確認試験の場合は、図3において、図1に説明した試験構成に制御棒のある特定の位置にあることを検出するリードスイッチ12のリードスイッチ接点信号eが補助現場制御装置13を介して中央操作制御装置2へ出力される。このリードスイッチ接点信号eについても中央操作制御装置2から制御棒自動化伝送装置10を介して試験装置1へ出力する。
【0035】図2において、試験装置内のフローチャートのマンマシン装置14からリードスイッチ接点確認試験項目を選択し、試験項目選択回路15に試験項目を入力する。試験項目入力回路15はリードスイッチ接点確認試験に必要な選択制御棒信号a、制御棒位置信号d、リードスイッチ接点信号eを選択し、データ選択回路16へ出力する。
【0036】データ選択回路16は制御棒自動化伝送装置10から入力した選択制御棒信号aと制御棒位置信号dとリードスイッチ接点信号eをデータ処理回路17へ出力する。データ処理回路17は、各制御棒に対しリードスイッチ接点信号eがonしたときの制御棒位置を採取する。採取したデータはデータ記憶装置19及び判定回路18へ出力する。
【0037】判定回路18は採取データを判定基準と比較し、合否判定を実施し、判定結果をデータ記憶装置19へ出力する。データ出力回路20はデータ記憶装置19のデータを試験員に提示するため帳票形式に変換し、表示装置21または装置22へ出力する。
【0038】つぎに図4により本発明に係る制御棒駆動機構の試験方法の第3の実施の形態を説明する。本実施の形態は第1の実施の形態において、試験装置1を制御棒自動化伝送装置10に接続する構成としていたが、これを制御棒操作監視系伝送装置11に接続して同様に試験を実施したことにある。
【0039】つぎに図5により本発明に係る制御棒駆動機構の試験方法の第4の実施の形態を説明する。本実施の形態は第1の実施の形態において、制御棒の駆動を実施する際はマンマシンインターフェイス7により実施していたが、これを試験装置1から選択制御棒信号a、制御棒操作指令信号b、駆動モード信号cを選択して、制御棒自動化伝送装置10を介して中央操作制御装置2へ出力することにより同様に試験を実施する。本実施の形態により、試験装置1の1台で全ての試験が可能になり試験員の削減が可能になる。
【0040】
【発明の効果】本発明によれば、複数の制御棒を動作させて同時に細やかな動きを行った場合でも自動的にその制御棒の健全性を確認することができる。また、電動機式制御棒駆動機構の試験が正確かつ短時間で実施することができる。
【出願人】 【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
【出願日】 平成13年1月18日(2001.1.18)
【代理人】 【識別番号】100087332
【弁理士】
【氏名又は名称】猪股 祥晃 (外2名)
【公開番号】 特開2002−214382(P2002−214382A)
【公開日】 平成14年7月31日(2002.7.31)
【出願番号】 特願2001−9843(P2001−9843)