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【発明の名称】 熱サイホンを利用した液体金属炉の残熱除去方法と装置
【発明者】 【氏名】キム ヨン−シク

【氏名】シム ユン−ソプ

【氏名】キム ウィ−グァン

【要約】 【課題】熱サイホンを利用し格納容器からの輻射熱伝達を向上させるだけでなく、排気空気の出口温度を相対的に低くでき、空気流路内に追加的に構造物を設置せず向上させた残熱除去方法と装置を提供する。

【解決手段】熱サイホンは自然現象即ち、蒸発と凝縮過程で生じる蒸気圧の差異で高い蒸気圧の蒸発部から低い蒸気圧の凝縮部に蒸気が移動して凝縮部から凝縮された流体は毛細管現象や重力等の外部の力により蒸発部に移動し熱伝達サイクルをなす熱伝達装置である。液体金属炉の外部に伝達される残熱を熱サイホンの蒸発部で吸熱し凝縮部で放熱させる方法と、装置論として、格納部とコンクリート壁との間に設置した原子炉において、コンクリート壁と格納容器との間に熱サイホンを設置し、前記熱サイホンは縦に蒸発部を形成して、その上端に断熱部を傾斜させて連結し、この断熱部に縦に凝縮部を形成して構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 液体金属炉の外部に伝達される残熱を熱サイホン5の蒸発部で吸熱し凝縮部で放熱させることを特徴とする熱サイホンを利用した液体金属炉の残熱除去方法。
【請求項2】 格納部1とコンクリート2壁との間に設置された原子炉3において、コンクリート2壁と格納容器4との間に熱サイホンを設置したことを特徴とする熱サイホン5を利用した液体金属炉の残熱除去装置。
【請求項3】 熱サイホンは、縦に蒸発部6を形成して、前記蒸発部6の上端に断熱部7を傾斜させて連結し、この断熱部7から縦に凝縮部8を連結させた構造を特徴とする請求項1に記載の熱サイホンを利用した液体金属炉の残熱除去装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱サイホンを利用し液体金属炉の受動形残熱除去方法と装置に関するものである。より詳細には、原子炉の熱伝達作動領域にある空気分離器の代わりに熱サイホンの加熱部を設置し格納容器からの輻射熱伝達を向上させて、排気空気の出口温度を相対的に低くでき、空気流路内に追加的な構造物を設置せず残熱除去能力を向上させる方法と装置に関する。
【0002】
【従来の技術】概念設計開発が進行中の韓国内で初めての液体金属炉の安全等級残熱除去系統は、PSDRS(Passive Safety Decay Heat Removal System)だが、原子炉容器を取り囲んでいる格納容器の外部を空気の自然循環により冷却する方法として空気の流れの駆動力は格納容器の側壁により加熱された空気と周辺空気との密度の差異により受動的に形成される。液体金属炉のPSDRSはこのように完全な受動概念の残熱除去方法を採択することで、高い作動信頼性と外部電源や運転源の措置がなくても自然現象により残熱を除去する長所を備える。
【0003】現在、韓国内で開発中の液体金属炉のPSDRSは、図4のように原子炉容器の外部に積まれた格納容器を通して原子炉内の残熱を大気に放出する機能を行う(参考文献(7))。PSDRSを成す主要構造物として最外郭にはコンクリート壁が、その内側には冷たい空気と熱い空気流路を分離する空気分離器がある。そして格納容器側壁があり空気が流入し、出口は煙突形状になっている。PSDRSの熱伝達概念は図7に示し、高温の格納容器壁から空気分離器には輻射(Rad)で、空気には対流(Conv1)で熱伝達がなされ空気分離器と空気との間には対流(Conv2)で熱伝達がなされる。
【0004】PSDRSと同系統の作動特性を理解して関連系統設計のための方法論的PARS2電算コードが開発されている(参考文献(1))。このような概念の受動残熱除去系統は原子炉容器の大きさや熱伝達の形態において、設計に制限される限界や熱伝達機構の限界性により、与えられた成し得ることのできる熱伝達能力に限界を備えているという点から障害に作用したりもする。このような限界性を克服するため空気流路に輻射構造物を追加的に設置し熱伝達を向上させるための努力等の研究と努力が傾注されている(参考文献(2))。参考文献(2)の場合は、PSDRSについての熱伝達量の制限性を克服するために、熱い空気流路内に輻射構造物を設置し実質的に熱伝達量を増加させた研究結果としてこれを概念的に図5に示す。適切な輻射構造物を設置することで相当な熱伝達増進を成し得ると提示された。この場合、上述したPSDRS概念に比べて新たな熱伝達経路である輻射構造物との輻射(Rad2)経路の追加で熱伝達量が増加される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来の液体金属炉のPSDRS構造物に熱サイホンを利用し追加的に構造物を設置しなくても残熱除去能力を向上させる方法と装置を提供することにその目的がある。また、従来の熱伝達増進方法である輻射構造物を利用する方法と並行し使用することで液体金属炉の受動形残熱除去系統の熱伝達能力をより増進させることができる。
【0006】従来の液体金属炉のPSDRSのような液体金属炉の受動形残熱除去系統に受動概念で熱伝達がなされる熱サイホンを適用するために、まずヒートパイプと熱サイホンの特性を把握して、カリマー(KALIMER)に適用が可能かの可否と同概念の可能な熱伝達能力を検討した。現在、国内で開発中の液体金属炉のPSDRSを参照した場合として、熱サイホンを適用した場合と正常運転及び過度状態に対する定量的比較と評価を行い解釈結果、全体の熱伝達量に寄与する比率において輻射と対流の比率が互いに反対的結果を示し、全体の熱伝達量に対する熱サイホンの作動温度の影響は相対的に小さいことを確認した。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、液体金属炉の冷却設備において、従来の空気分離器の代わりに熱サイホンの加熱部を設置し空気を通して抜け出る熱量が減少する結果により出口空気の温度が10℃以上減少し、全体の熱伝達量の比較から熱サイホンを設置した場合が20〜40%の熱伝達が増加されることで完成された。
【0008】
【発明の実施の形態】図1は熱サイホンを適用したPSDRS概念図を示し、図2は熱サイホンを利用したPSDRS熱伝達概念図を示す。図3は熱サイホンを適用したPSDRSの平面配置概念図を、図4はカリマーPSDRS概念図を、図5は輻射構造物を利用したPSDRS熱伝達概念図を示す。図6は2相−閉鎖熱サイホンの概念図を示し、図7はPSDRS熱伝導概念図を示す。本発明の構成は方法論としては液体金属炉の外部に伝達される残熱を熱サイホン5の蒸発部6から吸熱し凝縮部8で放熱させる方法と、装置論としては格納部1とコンクリート2壁との間に設置された原子炉3において、コンクリート2壁と格納容器4間に熱サイホン5を設置し、前記熱サイホン5は縦に蒸発部6を形成して、その上端に断熱部7を傾斜させて連結し、この断熱部7から縦に凝縮部8を形成することで構成される。
【0009】熱サイホンの概念について検討して行われたPSDRSへの適用性検討結果は次の通りである。
【0010】熱サイホンやヒートパイプは自然現象即ち、蒸発と凝縮過程でおこる蒸気圧の差異で高い蒸気圧の蒸発部から低い蒸気圧の凝縮部に蒸気が移動して凝縮部から凝縮された流体は毛細管現象や重力等の外部の力により蒸発部に移動し熱伝達サイクルをなす熱伝達装置である。熱サイホンとヒートパイプとの差異は、凝縮された流体を蒸発部に送る機構概念の差異だといえる。即ち、ヒートパイプは毛細管現象を起こし得る部分であるウィック(Wick)や適用される系統で提供する外力により凝縮された流体を移動させる。一般的にヒートパイプは重力の位置にとらわれず作動流体の表面張力による毛細管現象や遠心力、磁気力等を利用することで凝縮された流体が蒸発部に自然に満たされるようにし熱伝達の循環サイクルをなすことに比べ、熱サイホンはウィックを使用せず重力により凝縮された流体が蒸発部に移動する概念である。このような概念が液体金属炉のPSDRSに適用される場合、蒸発部と凝縮部の高さの差異が相当なものと予想されて、重力を利用する構造であるためヒートパイプよりは熱サイホンがまず適用される概念として判断される。しかし、ヒートパイプを使用し3MWe出力のタービンから出た蒸気を凝縮させる乾燥冷却系統(Dry Cooling System)を適用した例(参考文献(3))があることを考慮した時、ヒートパイプの適用も念頭におく必要がある。参考文献(3)の場合、直径5cmで最大長さ22.9mのヒートパイプ140、000個を使用し、作動流体は冬でも凍らず作動できるようアンモニアを採択している。参考にアンモニアの作動温度範囲は、−60℃〜100℃である(参考文献(4))。理論上ヒートパイプの場合、熱伝達能力に影響を及ぼす因子の中からウィックまたは毛細管現象による制限事項が最大熱伝達量を決定する傾向を示している(参考文献(4))。参考に、毛細管現象を利用するウィックは要求される最大毛細管の直径d_poreは、【0011】
【数1】

で表し、水100℃の場合、5mの高さを上がるためには〜5μm直径が必要である。(d:直径(m)、g:重力加速度(m/s)、rho:密度(kg/m)、σ:表面張力(N/m)、h:高さ(m)、θ:接触角(度))
熱サイホンやヒートパイプによる熱伝達は、その構造及び作動原理上、次のように他の機構より優秀な特性を有する。
1)熱伝導性が高い。
2)表面温度が均一である。
3)熱応答性に優れる。
4)吸熱部(蒸発部)と放熱部(凝縮部)が分離可能で容器形態に制約がない。
5)構造が簡単で軽量(コンパクト)である。
【0012】熱サイホンやヒートパイプの使用範囲は大部分容器内部に封入される作動液体の熱的安定性及び諸性質により決定される。一般的に作動温度範囲は−200℃〜2000℃で、作動液はヘリウム、窒素、水、ナトリウム、銀等多様で、水の場合30℃〜200℃の場合に適用される。このような系統を設計するにおいて、適切な作動液の選定、作動液と容器の適合性、そして熱伝達の限界等についての検討が必要である(参考文献(4))。
【0013】図6は、熱サイホンの一般的な概念を示す2相−閉鎖(Two−PhaseClosed)熱サイホンである。吸熱部を通して熱が加わると蒸発部で作動液が蒸発して蒸気圧の差異により蒸気は断熱部を通過し凝縮部に移動する。移動した蒸気は凝縮部で凝縮して凝縮残熱は放熱部を通って熱が抜け出る。凝縮された流体は重力により容器の壁を通して流れおち断熱部を通って蒸発部に再び入り、1サイクルをなす。ヒートパイプや熱サイホンを利用した熱交換器の熱伝達実験結果によると、可能な熱速の大きさは、0.32〜32.0kW/mで全体の熱伝達計数の大きさは30〜100W/m−℃で表す(参考文献(5)(6))。
【0014】図1は熱サイホンを適用したPSDRSの概念図を示し、図2は熱伝達概念を示す。熱サイホンだけを除外すると、熱伝達機構が現在のPSDRSのそれと同一の概念といえる。よって、正常状態時、格納容器から抜け出る熱量は格納容器の壁から熱サイホンの側壁に伝達される輻射(Rad)と空気に伝達される対流(Conv1)の和で表す。熱サイホンの可能な熱速範囲をPSDRSに適用する場合に、最近のカリマー設計資料を使用し計算すると熱伝達量は0.11〜11.0MWに算定される。これは現在のPSDRSで成し得る残熱除去能力が範疇に入っていることを意味する。よって、熱サイホンの可能な熱伝達能力はカリマーだけでなく、より大きな容量の液体金属炉の残熱除去にも適用可能と判断できる。図3は熱サイホンを適用したPSDRSの平面配置概念の1つの方案を示し、全体配列の中から一部だけを示した。熱サイホンの蒸発部と凝縮部を連結する部分が断熱部だが、断熱部は配管の側壁が断熱材で積まれて外部との熱交換がなされず、下方向には作動液体が、上方向には作動液の蒸気が移動できるように適当な傾きを備えた通路の役割を担当する。
【0015】PSDRSの場合と熱サイホンを使用したPSDRSの場合を定性的に比較するためPARS2コード(参考文献(1))を使用し、熱サイホン側壁が一定温度条件で作動することから、一定温度の境界条件を空気分離器領域に割当てることで熱サイホンを模写できるよう論理を追加した。そして一次系統の自然循環は考慮せず、ただ原子炉容器内のナトリウムチャンネルについて使用者の入力で温度分布を仮定し評価した。
【0016】熱サイホンを使用する場合、熱浸源の役割をする所での温度変化は全体の熱伝達量には大きな差異を示さないことがわかった。参照の場合では、正常運転と過度状態の場合、格納容器の壁からの全体熱伝達で輻射よりは対流による熱伝達がより比重を占めた。しかし、熱サイホンを使用した場合はこれとは反対の傾向として対流よりは輻射による熱伝達が主な経路になることがわかった。
【0017】参照の場合、如何なる状態でも格納容器を通して伝達された熱量は全て空気により熱除去される。しかし、熱サイホンを使用する場合は全体の熱伝達量の中から一部だけが空気を通って抜け出た。空気による熱除去量の大きさは、出口空気の温度に直接影響を与え空気による熱除去量が多い参照の場合に温度が相対的に高いことがわかった。空気の温度変化は流量に影響を与え、熱サイホンを使用する場合には流量が若干減少された。
【0018】正常運転と過度状態についての参照の場合、対備熱サイホンを使用した場合での全体熱伝達量の増加は相当な量であることが確認された。また、PSDRSが実際に必要な過度状態時、熱サイホンを適用したPSDRSの熱除去がより効果的だということがわかった。
【0019】熱サイホンの凝縮(放熱)部の外部熱伝達が強制対流や冷却水方法の場合はその大きさが問題とならないが、PSDRSでは凝縮部までも受動概念である自然対流により熱伝達がなされなければならない為、予想される大略的な大きさを評価する必要がある。層流と乱流の場合についての自然対流の相関式Churchill&Chu相関式(参考文献(8))を使用し凝縮部の外気の熱伝達計数に適用し評価した結果、予想される施設の規模は常用発電所に適用された場合(参考文献(3))と比較する時、比較的現実性のある大きさと判断された。
【0020】
【発明の効果】本発明は、液体金属炉の冷却設備において、従来の空気分離器の代わりに熱サイホンの加熱部を設置することで空気を通して抜け出る熱量が減少する結果により、出口空気温度が10℃以上減少し要求される熱伝達量が大きくなる過度状態でその差異はさらに大きくなった。よって、熱サイホンの熱伝達能力は液体金属炉の受動残熱除去系統の性能を最大20〜40%増進させられる非常に効率的な装置で、受動形液体金属炉の出力は残熱除去設備の容量によりその最大の大きさが現実的に制限されていること、本発明を使用することでさらに大容量の受動形液体金属炉を設計できる効果がある。
(参考文献)
(1)シン ユンソプ他2名、PSDRSの残熱除去特性分析、KNS’98春季学術発表会論文集、653〜659頁、1998年(2)Y.S.Sim他、Heat Transfer Enhancement by Structures for AnAir Channel of LMR Decay Heat Removal, Nuclear Engineering and Design、167〜186頁、199頁、2000年(3)A. S. Rovertson and E. C. Cady, Heat Pipe Dry Cooling for Electrical Generating Stations, Proceedings of the 4th Int. Heat Pipe Conf.,7-10 Sep. 1981, London, UK, pp.745-758(4)P. D. Dunn and D. A. Reay, Heat Pipes, 3rd Edition, Pergamon Press, 1982(5)Y. Lee and U. Mital, A Two-Phase Closed Thermosyphon, Int. J. Heat Mass Transfer, Vol. 15, pp.1695-1707, 1972(6)Y. Lee and A. Bedrossian, The Characteristics of Heat ExchangersUsing Heat Pipes or Thermosyphons, Int. J. Heat Mass Transfer, Vol.21,pp. 221-229, 1978(7)ハンドヒ他33名、KALIMER予備概念設計報告書、KAERI/TR-1636/2000、韓国原子力研究所(8)Adrian Bejan, Convection Heat Transfer, John Wiley & Sons, 1984
【出願人】 【識別番号】593114843
【氏名又は名称】韓國原子力研究所
【識別番号】594110804
【氏名又は名称】韓國電力公社
【出願日】 平成13年4月5日(2001.4.5)
【代理人】 【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
【公開番号】 特開2002−214381(P2002−214381A)
【公開日】 平成14年7月31日(2002.7.31)
【出願番号】 特願2001−107670(P2001−107670)